第156回国会 厚生労働委員会 第4号(2003/03/19) 抜粋

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阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 残り十分のお時間をいただきまして、きょうは、戦没者の遺骨収集並びにその後の埋葬問題について私の質問をさせていただきたいと思いますが、冒頭、現在のこの審議の場も、アメリカがせんだってイラクへの武力攻撃を現実的には宣戦布告に近い形で開始する、そのことをとめることすらできない非力な政治家としての自分たちという、非常に重苦しい気持ちで私は本日の質問をさせていただこうと思います。恐らく坂口厚生労働大臣も同じ気持ちかと思います。

 なぜ無益な殺りくが繰り返されていくのか。本当に二十一世紀になって、愚かな人間のなすわざと思いますが、その愚かさが、あるいはまた勇ましさによって覆い隠されて真の戦争の悲惨がわかりづらくなってしまったゆえではないかと思いますので、私は、議員になりましてからのこの三年間ずっと、日本での戦没者、とりわけ海外戦没者、ある方たちはシベリアの凍土の中で、またある方たちは南方のジャングルの中で、飢えや、本当に勇ましい戦闘とは関係のないところで餓死したり傷ついて亡くなっていった方たち、そしてその方たちの遺骨が現在もまだ百十六万、未帰還でございます。

 冒頭、質問予告してございませんが、坂口厚生労働大臣にお伺いいたしますが、海外戦没者二百四十万人のうち、戦後五十八年たちましてまだ半数がこの国に帰っておられないという状態で、この予算案等々を拝見いたしますと、既に可決したものと思いますが、ことしは戦没者の遺骨収集作業というものも、収集箇所も九カ所、昨年が十六カ所がことしが九カ所となっておりますし、だんだんに規模が縮小されておる。そして、まだ百万体以上の遺骨が残っておられる。私は、実はことしの夏、遺骨収集に出向かせていただこうと思っておりますが、今のままのやり方では、恐らく、永久にここに帰ってこられない方たちがたくさん出るように思います。

 坂口厚生労働大臣に、まず、この遺骨収集ということに関して、現状の進捗状況、そして、まだまだ到達しない目標ということに関して、これからの御決意、お考えのほどを冒頭お願い申し上げます。

坂口国務大臣 遺骨収集に対しまして、阿部議員が非常に熱心にお取り組みをいただいておりますことに感謝を申し上げたいと思います。

 この遺骨収集の状況を見てみますと、国によりましてはかなり進んで、あるいはまたほとんど進んだというところもございますし、国によりまして全く進んでいないという状況もあるわけでございます。

 これから先、この遺骨収集、なお熱心に取り組んでいかなければならないというふうに思っておりますが、私は、今までこの遺骨収集のできなかった国、現在もできていない国、そことどう交渉をするか、そしてこれは、五十年以上、五十八年でございますか、もう経過をしているわけでありますから、少なくともこの際、過去のさまざまなことはもうかなぐり捨てて、どうかひとつそうしたことに応じてほしいという申し入れをやはりちゃんとして、外交的に決着をつけなければいけないというふうに思っている次第でございます。そのことが済まない限り、多くの皆さん方の遺骨を日本に迎え入れることができ得ない段階に来ているというふうに思っております。

阿部委員 さすが大臣の御見識と思いますし、本当にそのように努力していただきたい。

 私が昨日要求いたしました資料でも、平成十二年度、十三年度、十四年度と遺骨収集の数は、平成十二年度千三百三十九柱、十三年度二千七百十柱、十四年度二千五百三十柱と、ややふえておる。ただし、これは旧ソ連方面が現実に遺骨収集されるようになったということを受けてであって、南方方面だけを見ますれば、十二年度六百三十三、十三年度四百三十九、十四年度二百十九と、だんだん減ってきております。

 南方方面は、特に、かつての日本の行った戦争時のさまざまな問題についての謝罪も含めた外交的な意思表明というものがなければこれ以上遺骨収集が進まない、あるいは、遺骨の傷みがひどくて、ジャングルの中を分け入って遺骨を収集してくることがなかなかできないという双方の問題がございますので、ぜひとも政府として総体を挙げて取り組んでいただきたいと思います。

 では、予定された質問に入らせていただきます。

 これまで、そうやって遺骨収集を重ねてきて収集された遺骨の中で、九一年以降、収集した遺骨を御遺族に返せたものが三百九十六柱あると言われております。ソ連方面が多く百六十四、モンゴル二百十六、南方十六ですが、実は、御一体として遺骨収集してきましても、御遺族にお引き取り手がない、あるいは何らかの御事情でお引き取りを拒否される、あるいは定かに名前が確定できない場合は、個別に収集した御遺骨も、もう一度全部のほかの骨と一緒くたになって処理されてきておりました。

 私は、それが余りに個の尊厳を脅かすということで昨年も質問いたしまして、とりあえず個体として収集されたものは個体として置くという御答弁で、厚生省がお預かりいただいているものと思いますが、この個として預かられた御遺骨を今後どのようなやり方で埋葬していかれましょうか。また一緒くたにブレンドなさるか、それとも、個は個として、引き取り手がない状態であってもそれなりの収集、埋葬をなさるのか、その一点をお願いいたします。

坂口国務大臣 結論から先に申し上げますと、個体性を維持したまま納骨する方法につきまして現在検討しているところでございます。

 しかし、お名前もわからないし、どうすることもできない遺骨も多いわけであります。そうしたところは今まで合体をして納骨させていただいたということもあるわけでございますが、今後、できる限り個体性を維持していくということを中心にしながらやっていきたいというふうに思っているところでございます。

阿部委員 名前がわかったかわからないかで、その方の個人の尊厳が異なるわけではないと思います。特に、お名前がわからない、あるいはわかっても遺族に引き取り手がない方が、これまで、何度も申しますが、ブレンドされてまいりましたので、個体性を、きちんと分けられるものは個体として埋葬していただくことを重ねてお願い申し上げたいと思います。

 引き続いて、時間との関係がございますので、DNA鑑定の件に移させていただこうかと思いますが、これまで、個体として収集されてきて、しかるべくDNAが鑑定されればお名前がわかる、あるいは御遺族がわかるという方があるやもしれないことについて、DNA鑑定をどうするかということをこれもお願い申し上げていましたが、担当局の方から現在の進捗状況を教えてください。

河村政府参考人 平成十一年度の遺骨収集から、個別あるいはこれに準ずるような形で埋葬されている場合には、遺骨の一部を検体として未焼骨のまま持ち帰っておりまして、現在までのところ五千五百六十三柱の検体を厚生省において保管しておるということでございます。

 戦没者遺骨のDNA鑑定につきましては、これまで有識者による検討会を開催いたしまして、技術的あるいは倫理的な問題につきまして鋭意検討を行ってきておりまして、もうそれが最終局面に入っております。年度内には、つまり今月中には報告を取りまとめることができる状況になってきておるというのが今の状況でございます。

 それから、そうした場合に、埋葬者名簿等から推定できます関係御遺族に対しましては、これまでも遺骨収集の実施あるいはその結果のお知らせを行っておるわけでございまして、このDNAの鑑定の実施、これは十五年度に入ってからということになると思いますが、その実施についても、改めて関係御遺族に対してお知らせを行うなどの適切な周知に努めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。

阿部委員 御遺族も年々御高齢化しておりますし、歯の一かけあるいは小指の一本からでも今はDNA鑑定できる時代でございますから、早急な周知徹底と、そしてなお、私は、どのような小骨であれ、もしもそれが一人のものとわかれば、すべて個として埋葬していただきたい、そのための墓地のあり方ということも検討いただきたいと、これは坂口厚生大臣にお願い申し上げて、本日の質問を終わります。ありがとうございました。

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