第156回国会 厚生労働委員会 第8号(2003/04/09) 抜粋

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阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 皆さんも、本日の長時間の審議、大変御苦労さまです。そして、法案の審議に入ります前に、二つの事項にわたって、特に坂口厚生労働大臣に厚生行政全般にかかわる視点からの御答弁をお願いしたい点がございます。

 一点は、せんだって三月十三日に大阪地裁で判決が出ました三種混合、MMRワクチンのワクチン禍に関しまして、地裁での判決は、そのうち二名についてはメーカー責任並びに国の責任を認め、一名についてはインフルエンザ脳症との区別がつきがたいという判決を得ておりますが、その後、このインフルエンザ脳症と区別がつきがたいと言われたケースについても、阪大微研の方が和解という形で補償を行うというふうな形に進行しております。

 このMMRワクチンのワクチン禍と申しますのは、実は私は一九七四年に小児科医になりましたが、一九七五年に大きく問題になった百日ぜき、破傷風、ジフテリアの三種混合ワクチン、これも非常に重篤な後遺症を残しまして、三百八名が被害認定されておりますが、この案件を上回る千六十五人の被害認定がございまして、日本のワクチン接種のもたらすさまざまな問題においても、極めて重要な位置を占めている事例であるとは思います。

 そして、八九年の四月に接種が始まってわずか半年、六カ月たちましたところで、福島県から重篤な事例、死亡例、髄膜炎、難聴が報告されておりまして、これも厚生省が既に報告を受けておりながら九三年の四月まで接種が継続されて、千六十五人と非常に多い被害が生まれました。

 また、ワクチンの製造においても、阪大微研が製造方法を変え、そのことがまた髄膜炎等の発生を高めたのではないか。あるいは、八九年の十月にはカナダで既に、同じ使われた株、占部株と申しますが、これの問題が指摘されておった。

 どう見ても、安全性、それから国民へのアナウンスメント、そして製造過程でのさまざまな問題、いずれをとりましても、厚生行政、ワクチン行政、予防接種行政の汚点と思われますが、この事案について、さきに厚生労働省は、私ども四野党の申し入れにもかかわりませず控訴なさいました。私は細かい点については追ってこれから問題にしていこうと思いますが、この控訴を受けて、今、小児を持つお母さんたちの間では、予防接種というのは、何か起こっても国はこういう形で逃げてしまうんだと、非常に不信を強めておる現状がございます。

 坂口大臣に、まずこの控訴問題、そして予防接種への信頼性ということについて、及ぼす影響についてどのようにお考えか、お願いいたします。

坂口国務大臣 MMRのワクチン訴訟につきましては、経過は今御指摘のあったとおりでございます。

 大阪地裁判決が出まして、その中では、国の行政上のいわゆる法的義務違反というのは認められないということになっていたわけでございますが、しかし条理上の監督義務がある、こういうことになっておりまして、私もいろいろと勉強をしたわけでございますが、法律上の義務違反はない、しかし条理上の監督義務があるということになりますと、これは、これからの裁判におきまして、どんな法律をつくりましても、法律上はないけれども条理上の監督義務があるというふうに言われるとこれは一体どうなるのだろうか、これは法律上、全体としての位置づけから見てどう考えるべきかということを私も勉強したわけでございます。

 法務省にもお聞きをしましたところ、今までにも、法律の条文を示しながら、ここについて条理上の監督義務が認められるといったようなことはあったようでございますけれども、いわゆる条文を何ら示さずに、ただ漠然と条理上の義務があるというような判決は今までなかったということだそうでございます。

 そうしたことを受けまして、このワクチンの問題は厚生省にとりましても大変大事な問題であり、そして、国民の皆さん方にとりましても重要な問題でありますだけに、早く決着をつけたいという気持ちも率直にございましたけれども、しかし、こうした判決の内容を見ましたときに、あいまいにしておいてはやはりいけない、高裁におきましてもう一度その内容を精査していただき、そして法律的な解決もつけていただきたい、そんな意味で控訴をさせていただいたところでございます。

 このワクチンにつきましては、これからも続いていくわけでございますし、大変大事な問題であり、そして副作用を起こさないようにしていかなければならないことは当然でございますが、ワクチンというのは、ワクチンに限らずでございますけれども、この副作用を全く皆無にするということができればそれにこしたことはございませんけれども、どうしても、人それぞれの体質が異なります以上、若干つきまとうということもあるわけでございます。

 したがいまして、そうした問題を、これから国として、ワクチンをやっていくのが妥当なのか、それとも、そうしたものがつきまとう以上、これは個々の意思に任せるべきものなのか、そうしたことも含めながら、これからこの問題に取り組んでいかなければならないと思っているところでございます。

阿部委員 今、二点にわたってお答えですが、条理上という表現があいまい性を含むと。

 しかしながら、先ほども申しましたように、より大きな判断に立てば、どうやって本当に幼い子を持つお母さんたちに安心してワクチンの接種を受けていただけるか、この信頼性を失うことの大きさの方が私ははるかに大きいと思います。

 そして、大臣はお気づきでありながらわざと後段の答弁をなさったのかもしれませんが、実は、このワクチン自身は、予防接種にはいろいろな被害があり、予測できないものもあるやもしれません。それは認めますが、ワクチンの製造過程で明らかに違う製造方法をとり、抗体価を高めたいがために製造方法をある種勝手に変更して問題が生じておる、あるいは、既にカナダで報告があるのに打ち続けた、あらゆる面で本当に失態の相次ぐ、そしてワクチンの期限切れまで使っておった、どういう観点から見ても国に勝ち目はない裁判だと思いますから、追ってまたこの場でも問題にさせていただきたいです。

 もう一点だけ。

 この千六十五名について、髄膜炎も含めていろいろなケースがございますが、国としてはどのような、いわゆる後遺症調査ですね。髄膜炎と申しましても、そのとき髄膜炎で、後、治って何ともないと思っても、年月を経て、てんかんが起きたりもいたします。この千六十五名について、大臣は今後、これは事務方ではなくて、政治的なことで伺っておりますので、私は、そうした責任姿勢がないと、さっき申しましたように、親たちは、ワクチン禍が起ころうと何しようと、裁判を起こそうと、国だけはまた控訴し続けるんだと思っておるわけですから、国の政治姿勢として千六十五人に対して、例えば特別なチームを設けてフォローするもあり得ることですし、最大のワクチン禍ですから、どのようにお考えか、お願いいたします。

高原政府参考人 千六十五人というのは、MMRで予防接種法に基づく救済制度の適用となった患者数であると承知しております。

 この救済制度は、不可避的に発生する医学上の副反応被害にとどまらず、予防接種を受けたことによる健康被害を広く対象としておりまして、これにより広範な被害者救済を行っておるわけでございまして、MMRワクチンの訴訟も現在係争中でございますので、これに関する答弁は差し控えさせていただきたいと存じますが、必要に応じ、そのフォローアップというふうなものは考えてまいりたいと思います。

阿部委員 高原さんの今のような答弁で、本当に予防接種行政を国民が安心して受けてくれるかどうか。今、インフルエンザの予防接種禍の問題も随所で起きておりますから、あわせて今後問題にさせていただきますが、千六十五人以外にも認定漏れあるいは可能性のあるというケースもございますし、一つだけ明らかに厚生省として考えていただきたいのは、最大規模の、もちろんその以前に種痘の問題がございますが、以降、最大規模のワクチンの被害であり、本当に行政上はあってはならないことであったという点にかんがみて、きちんとした責任ある行政を心から望むものです。

 いま一点、お願いいたします。

 臓器移植関連ですが、既に先回、先々回お伺いいたしましたが、これまで行われた臓器移植関係で二例の人権侵害勧告が出ておりまして、三月十三日、三例目、古川市立病院の事例で、またもですが、脳死判定の手順の問題、いわゆる政令で定められているものと違って、無呼吸テストも、カロリックテストといって水を耳に入れて見る前庭機能反射のテストも政令に従っていない、著しい人権侵害であるという三例目の人権侵害勧告が出ました。

 この件も、実は坂口厚生大臣には私はこれまで何度かお伺いいたしましたが、やはり脳死臓器移植ということを人権という観点からきちんと見ることは極めて重要であるという御指摘をいただいていますので、きょうは具体的な提案ですが、今、臓器提供施設になっている各施設、もう四百を超すと思いますが、三例の人権侵害勧告が起きたという事実を各施設に周知徹底させていただきたい。

 と申しますのは、つい去年もそうですが、和歌山でもやはり脳死判定手順の間違いがあり、三時間後にまた再検査。しかし、三時間そのまま放置されたら、死にどんどんどんどん近づく一方で、救命措置はなされない。極めて現場は人権侵害の累々たるしかばねとなると思いますから、かかる三件、人権侵害勧告があったということを各臓器提供病院に周知徹底していただきたいですが、大臣の御答弁をお願いいたします。

坂口国務大臣 臓器移植につきましては、特に初期の事例につきましては、いろいろの手続上の問題があって、混乱があったようでございます。公衆衛生審議会の臓器移植専門委員会におきまして、御指摘の事例を含めた四例目までの事例の個別検証を行っております。

 その後、その検証の結果を踏まえて、脳死判定基準の確認方法等を明確にするために、平成十一年九月に脳死判定マニュアルの取りまとめを行って、今日に至っております。それは御承知のとおりでございます。

 三例の問題につきまして、この検証会議におきましては、この手順を誤っていることはないということでございました。

 しかし、初期の段階のことでございましたしいたしますので、この検証会議の結論はこういうことでありますけれども、しかし、これからおやりをいただくような病院におきましては、その誤りのないように、初期の段階のときに戸惑ったようなことのないようにといったことは、これはそれぞれの病院に対しましてこれからもよく言っていかなければならないことだというふうに思っている次第でございます。

阿部委員 今、大臣、初期とおっしゃいましたが、先ほど私が挙げた二〇〇二年の十一月、和歌山の事例もございますので、現場では周知徹底されておらぬということを御理解いただきまして、やはり人が本来助けられる場の医療ですから、急がれてドナーとなることのないように、周知徹底をお願いいたします。

 本来の質問に入らせていただきますが、先ほど来、武山委員と小沢委員の質疑を伺いながら、極めて重要な御指摘があったと思いますので、質問予告以外のことですが、冒頭、いわゆる雇用保険三事業の中で、雇用福祉事業関係について、これは大臣に御答弁をお願いいたします。

 武山委員が先ほどお聞きでありましたのは、人間だれでも、失業等々いたしますと、そのときの気持ちの混乱、あるいは新しい職が見つかるまでの不安、さまざまに、家族問題もゆがんでくる。その中で、例えば、ハローワークのようなところにそれなりの相談窓口、それは心理的なカウンセリングも含めた相談窓口を設けたらどうかという御発議で、それに対して鴨下副大臣が、労災病院、例えば横浜労災等ではそういう窓口もあるしという御答弁ではありました。

 ただし、失業されて医療保険を失っている場合もございますし、大臣が日ごろおっしゃいますように、今、雇用労働環境、非常に大きく揺れ動いています。特に、日本は終身雇用という仕組みの中でずうっと、ある種の精神的安定、経済的安定を得てきた国であります。そのことが、今大きく変わらざるを得ない。外圧にもさらされ、また、みずからの内からも新しい働き方を求めていこうという考え方もあり、非常に価値観のはざまにある時期だと思います。

 そして、先ほど戸苅局長お答えでしたが、ちょうど高度経済成長期、勤労者への福祉として、あの巨大な、でっかくてすばらしいスパウザ小田原をつくられたと言いましたが、今、勤労者のための本当の福祉といった場合には、私は、この揺れ動く価値観の中で、やはりハローワーク、そうしたところにきちんとカウンセラーを常備する、このことが、実は、雇用保険三事業の中の雇用福祉事業のいま一本の大きな柱となってもいい。

 大臣もお医者様ですからよくおわかりでしょうが、病院に、例えば精神科に、あるいは心療内科に行くまでもなく、もうほとんどの失業された方たちが心にうつ的なるものを抱えるのは病気以前の段階で、もう当たり前のことになっております。その中で、雇用保険三事業、私は、もう巨大な建物も要らないし、それを押しつけの、ごみくずみたいに売っ払うのも間違っていますが、雇用保険三事業の中の勤労者の福祉事業の中に、ぜひともカウンセリングという側面を入れていただきたい。

 以前に一回質問したことがございましたが、きょう、武山委員が非常にお時間をとって詳しく御質疑でありましたので、その質疑も聞いていただいた上で、これは実は大臣の英断だと思うのです。新たな柱を立てるという意味で、恐縮ですが、再度、今の問題で御答弁をいただきたいと思います。

坂口国務大臣 失業者の皆さん方、あるいは職を求めておみえになります若い皆さん方の健康問題をどうしていくかということは、これは大事なことだというふうに思いますが、ただ、今御指摘をいただきましたようにハローワークにそのことをやれということになりますと、そういうことの判断のできる者は一人もいないというとおしかりを受けるかもしれませんけれども、ほとんどいないわけでございます。さて、それを、各ハローワークにそうした健康問題まで相談に乗れる者を配置することができ得るであろうかということは、率直に言って、ちょっとそこまではできるかなというのが私の偽らざる気持ちでございます。

 したがいまして、失業をなすった皆さん方の健康問題でありますとか、あるいはこれから職を求めようとする若い皆さん方の、まだ就職をしておみえにならない皆さん方、そうした皆さん方の健康をどこがどのように御相談に乗るのかということは、これはしっかり考えていかなきゃならないというふうに思います。

 先ほど武山委員にもお答えを申し上げましたけれども、割り振りとすれば、それは地域で御相談に乗るということ以外にないわけでございますが、地域と職場という二つの割り切り方だけでいいかどうかといったことにつきましては、これは厚生労働省になったわけでありますから両方を見ているわけでありますので、そのあり方というものにつきましては少し検討させていただくということでどうでしょうか。

阿部委員 鴨下副大臣にも先ほど御答弁いただきましたし、ただ、やはり地域の病院にかかるというのは、会社の方はもうやめちゃっていたりしますから、なかなか企業の産業医のところには行けませんし、地域の病院にかかるまではいかなくても、本当に九割以上がうつだと思います。仕事がなくなってるんるんという場合はないわけですから、ぜひとも大臣、副大臣、知恵を寄せ集めて、柱を立ててくださるようにお願い申し上げて、次の質問に入らせていただきます。

 今回の雇用保険法の改正は、保険料の料率もアップ、給付も下がる、踏んだりけったり改正ではございますが、しかしながら、財政が苦しいんだよと言われれば、失業者もふえておりますので、それもまたさはありなんと。

 そうした場合、何を考えるのが一番普通の考え方かというと、いわゆるセーフティーネットとしては、より多くの方がそのネットにかかわってくださる、みんなで渡れば怖くないと。加入者をどうあっても多くしていく、そして、本来加入の要件を持ちながら加入していない方を積極的に加えてネットの網を安定なものにしていくというのがやはり一番常套的な考え方だと思うのです。

 そこでお伺いいたしますが、まず私立大学の皆さんについては、適用状況を見るとわずか一五・六五%と極めて低い状況にございます。これは五年間でもほとんど、五%から一五に上がったとはいえ、非常にまだ低い状態が続いておる。ここを、九万人相当おられると思いますから、このことについて、どのようにネット拡大の努力をしておられるか、御答弁をお願いします。

戸苅政府参考人 おっしゃられるとおり、とにかく、雇用保険の適用になる方には確実に雇用保険に加入いただいて雇用保険料をきちんと納めていただくというのは、これは欠かせない財政健全化の条件だろうというふうに思っています。

 そういった意味で、今御質問の私立学校の教員の方でありますが、これは法律上、当然に雇用保険の被保険者になるわけであります。そういったことで、従来から私立学校に対する加入勧奨等には取り組んできたわけでありますけれども、学校の教員の方の場合、失業するという切迫感というのがなかなか現実のものとしてないということもあって、余り進んできていなかったというのもまた事実であります。

 そういったことで、平成十三年の十二月に総合規制改革会議の中で、私立学校教員等について雇用保険への加入を速やかに促進すべし、こういうふうな動きがございまして、これを受けまして、同じく平成十三年の十二月に厚生労働省として地方に通達を出しまして、私立学校に対して、雇用保険に加入するようにという文書の送付、それから学校訪問によります加入勧奨を全国一斉に行ってきたということでございます。

 加入の状況は今御質問のとおりでございますが、最新の数字をちょっと申し上げさせていただきますと、平成十四年の十一月には一六・六%というところまで上がってきているということであります。

 ただ、正直言って、これで十分という水準ではございません。そういった意味で、こういった低水準をいかに解消していくかということでございまして、これにつきましては、平成十四年の三月に閣議決定されました規制改革推進三カ年計画でもうたわれておりますので、それから、この雇用保険の制度の改正を審議いただいた労働政策審議会の職業安定分科会の報告においても、公労使一致して私立大学を初めとする未適用の事業所への適用促進を着実、迅速に進めるようにということでございます。

 これを踏まえまして、私立学校教員への雇用保険の適用について、今後さらに実効がきちんと上がるように、積極的、継続的に取り組んでいきたいというふうに考えています。

阿部委員 ぜひそうしていただきたいと思います。一五%や一六%では、幾ら私立大学の教員だから失業しないといっても、これから子供の数は少なくなり、大学も倒産の危機はいっぱいあるわけですから。

 それといま一つ、いわゆる国立大学、独立行政法人化されました場合に、これまでは公務員に準じていた職員の人たちが、今度は独立行政法人の職員だという形で、この方たちも雇用保険適用になると思いますが、その総数と、その方たちが雇用保険に加わった場合の収入増についてお答えください。

戸苅政府参考人 今回の国立大学の非特定独立行政法人化に伴いまして、国立大学の教職員の方も雇用保険の適用対象になるということでございます。

 保険料率一・四%ということを前提にいたしまして、年収がどのくらいかというのはあるんですけれども、厚生労働省の毎月勤労統計で計算しますと大体年収四百万強かなと、こう思いますので、仮に四百万ということで計算いたしまして、何名の方かというのは、ちょっと私ども、十三万四千人程度と伺っていますので、それで機械的に計算いたしますと、約七十五億円の収入増ということになると思います。

阿部委員 先ほどの私立大学の教員の方とあわせて、繰り返しになりますが、基本的にセーフティーネットを広く張るということに尽力いただきたいです。

 あともう一点、これはいろいろデータを出してくださいと申し上げましたが、なかなか当局から御答弁がいただけませんで、いわゆる事業者数、一人以上の従業員を雇った事業者数を数え上げて、その中の従業員数を数えて、一体どのぐらい雇用保険でカバーされているのか、カバー率というと言えないというお答えではありますが、今後、本来は雇用保険の中に組み入れられるであろう方たちで、まだ現状ではそこに加入しておらない方たちをどのくらいと踏んでおられるのか。

 それで、もう一点伺いたいのは、やはり男性よりも女性の方が加入率が悪い。これはパート等々で二十時間以内の方もおられますから一概には言えませんが、本来、自分が加入要件を持ちながら加入していない方も多いのではないかと思うので、男女共同参画という視点から見ても、女性たちの加入ということはこれからどのように働きかけていかれるのか。その二点、お願いします。

松崎政府参考人 労働保険、特に雇用保険の適用の関係だと思いますけれども、このカバー率といいますか、これは、先生は実際の雇用保険の被保険者の数と、それから例えば総務省でやっております労働力調査によります労働者数、そういったものを比較されてのことかと思いますけれども、これはもともとといいますか、雇用保険の被保険者となる方については要件がございまして、例えば最近ふえておりますパート労働者の方、短時間労働者の方につきましては、労働時間が二十時間以上であり、かつ一年以上の雇用が見込まれるといったような要件がございます。そういったことから、対象が違いますので、一概に比べることはできないんじゃないかというふうに考えております。

 それから、女性についての話でございますけれども、これについても、すべて原票をチェックしておりませんので、そういった数字は手元にはございませんので、御容赦願いたいと思います。

阿部委員 何でもそうですが、セールスとか、物を成り立たせようと思うと、どこに芽があるか、どこに必要性があるか、そしてどういう働きかけをすれば、とにかく、セーフティーネットである限り、社会みんなで支えていかなければ成り立たないというのが原点ですから、何度かこの件は部屋で質問取りをしましたが、わからない、把握できない、複雑だ、いろいろ御託は並ぶんですが、そこからも芽をとっていかなければ物は拡大いたしませんので、行政当局としてきちんとした対応をお願いしたい。

 さらに、そういう加入要件がある方に働きかける部署、労働基準監督署の中で、先ほど私立大学にも働きかけておるとおっしゃいましたが、その労働基準監督署の中にも、必ずしもそういうことに携わる人員、要するに、労働基準監督署の仕事量のことも私は詳細には存じませんので、行政当局としていろいろ仕事量を考えられて、本当にこの加入者をふやすためにどれだけの人的配置をしたらよいか、そのことについてもきちんと御検討いただきたいと思いますが、これは漠然とした問いで恐縮ですが、大臣にお願いいたします。

坂口国務大臣 必ずしも今の御質問の趣旨を十分に把握できなかったところはありますが、この保険に加入をしている、していないということがなかなか十分にわかりにくい面は率直にあるんですね。特に女性の場合、お勤めになっております状況によりまして、パートといいましても一概にはなかなか言えない面があって、ここははっきりしにくいわけでございますが、しかし、雇用保険、それから医療保険、年金等の徴収の一元化をこれから進めていきたいというふうに思っております。

 そうした中で、今まで、こちらは入っているけれどもこちらは入っていないというような人も中にはあったりいたしますので、そこは双方相見ながら、大体全部入っていただけるようにしていきたいというふうに思っておりますし、特に女性と年金の問題等が今大きな課題になっておりますし、ここをやはり整理して、パートの皆さん方もやはり入っていただけるようにしたいというふうに思っております。

 そういうことになってまいりますと、パートの皆さん方も、年金、医療、雇用、それぞれお入りいただける体制が整ってくるのではないかというふうに思っております。その辺の整理が大事でございますし、この一年ぐらいの間でそれはやりたいというふうに思っております。

阿部委員 私も大臣と基本的認識は同じで、女性たちが自分なりの収入に応じて保険料を払いながら、社会保障をしっかりと二十一世紀サイズにしていくということは、非常にこの国の未来にとって大事と思いますので、そのようにお進めいただきたいのと、さらに、先ほど申しましたように、さまざまな業務をどこで行うかということはありますが、やはり人手、加入していただくにも人手が必要ですから、その辺も十分な人員を考慮していただきたい。

 先ほど小沢委員の御質問で、保険料を値上げしたり給付を下げる前に一般会計からの財政出動をしたらどうかという御提示、そして、そのことについて政府・与党と、それから民主党案への御質疑がございましたが、それを繰り返す形になりますが、諸外国における社会保障の仕組みを見ましても、労使折半で保険料を払うということ以外に、国がそれなりの財政出動をして、国々で違いますけれども、より広くセーフティーネットを張ろうという動きが各国あると思うのですが、民主党案の一番の売りは何でございましょうか。お願いします。

大島(敦)議員 私たち民主党案で一番大きなところは、今の失業者の方の気持ちに立っているということなんです。

 日本の失業される方というのは、初めて失業される方が非常に多いんです。今の、多分四十代、五十代の方、今回の政府案にもあったとおり、最高限度額を引き下げるというのは、これは初めて失業されるから、次に移る職場の給与が下がるわけなんです。その不安感というのは物すごくありまして、私の同期とかあるいは先輩もこういう状況に置かれておりますから。

 諸外国、アメリカとか転職することが当たり前の社会では、人間として転職することになれていますから、失業したとしても心の準備ができている。私たちの社会ですと、心の準備ができていない方が多いものですから。

 今、どうして一般会計かという御質問がございましたけれども、そこのところは今の経済政策がうまくいっていないと思いますので、その部分については緊急的に政府が一般会計からお金を繰り入れることによって安定化させるということが必要だと思っています。

 特に、これから失業される方の不安感を取り除くということ、やはりこういう施策というのは、要は供給者側の理屈ではなくて消費者側の理屈で立てるべきだと思っておりまして、ですから私たちは、民主党案としては、これまでの一年間の、三百三十日の基本手当の受給日数プラス大体七百三十日の手当を考えております。このことは、一年間ですとあっという間に、多分四十代、五十代の方は、失業された状態に置かれて、焦りだけで過ぎてしまいます。プラス二年間あるということは、焦りよりも、じっくりと今までの会社生活を振り返って、心の準備をして、新しい能力をつけるということ、まだまだ日本人、私たち、五十代の方、四十代の方、六十代の方、可能性があるものですから、その可能性を精いっぱい出していただく施策が、私たち民主党案のポイントですか、売りであるということでございます。

 以上です。

阿部委員 基本的に今の御答弁に賛意を表しまして、最後に一問だけお願いいたします。

 いわゆる研修医問題でありますが、既に参議院で朝日俊弘委員からも御質疑があったと思いますが、新聞紙上報道によりますと、市中病院の当直業務が現状の研修医抜きには回らないために、研修医に当直をやらせる、アルバイト診療をやらせることもあり得るというふうに厚生労働省がお出しになったという新聞報道がございました。

 このことは朝日委員が既に質疑されて、そうした趣旨ではないということは承りましたが、さらにもう一点だけ確認をとりたいですが、研修医が当直することはあると思いますが、単独で当直する、いわゆる単独当直診療というものは行わせないという方針を基本的に厚生労働省として確認していただきたいですが、大臣にお願いします。

坂口国務大臣 今回の研修医制度をつくるということになりましてから、大学病院を初めとする大きい病院は、地方に派遣をしていた中堅どころの医師を次から次へと引き揚げを始めるといったようなことが起こっておりまして、地方の病院にとりましては大変困った事態が訪れているということを最近とみに聞くわけでございます。研修医制度を実施をして、本当にお若い皆さん方がそれぞれの地方に行っていろいろ研修を受けられるということになれば、ある程度、多少は解消されるのかなというふうに思っておりますが、しかし、それは研修をしていただかなきゃならないわけでありますから、中堅の医師の皆さん方がお見えになったのとは大分違うというふうに思います。

 当直の話でございますが、研修であります以上、やはり当直もされて、そして救急医療なるものがどうしたことかということもやはり研修をしていただかなければならないというふうに思います。そのときにもう一人指導医の人も一緒にはたについていて当直していてくれればそれにこしたことはありませんけれども、現実問題としてはなかなかそうもいかないんだと私は思うんですね。しかし、何かがありますときにそのことを手伝ってくれると申しますか、それはこういうふうにするんだということを助言してくれる体制があれば私はいいんじゃないかというふうに思っております。だから、そうした体制をしいて、いかなる時間であろうとそういうふうにするということが大事じゃないかというふうに思います。

 私なんかもやりましたけれども、正直言って、聞く人がいなくて、どうしたらええかと思って別の部屋へ行って本を見ても、急にはわからないというようなことが再三ございましたけれども、やはりそういう指導医の先生にいざというときに相談できるという体制があれば私はやっていけるというふうに思っています。

阿部委員 電話相談等で、患者さんも診ないで不適切な指示が出ている事例もございます。先ほど問題にした古川市立病院の脳死、ドナーになった方も、研修医がオーベンと言われる当直の先生に連絡されたけれども、来たのが朝の五時で、そこまで放置されて、研修医の単独診療でした。

 非常に医療ミスも多発する中で、今の大臣の御答弁は、私はもう一度改めて伺わせていただきたいと思いますが、やはり基本的にすぐ駆けつけられる距離、そして基本的には院内に当直する体制でなければ、研修医の当直体制を認めれば、結局は労働力としての労働不足を補うため、そして悲しい医療ミスを数多く生むということになると思いますので、さらに検討を重ねて、そういうことのないようにぜひともお願いしたいと思います。

 これで終わります。

中山委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。


【中略】

宮腰委員長代理 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 まず最初に、紀陸参考人にお伺い申し上げます。

 極めて抽象的な問い方ですが、日本の企業は、企業にとって人は財産だと思いますが、人をどう遇したいと思っているかということで、これは労働者への企業サイドからのメッセージにもかかわる部分だと思いますが、そのことを少し具体的にお教えいただきたい。

 というのは、午前中も申しましたが、日本はこれまで、長期の雇用慣行、安定的な慣行の中で、ある種、労使協調して支えられてきた部分もありますし、それから今非常に、固定費、すなわち人件費の部分を削減しないと企業も国際競争に勝てない、あるいは銀行の融資もしてくれないという外圧もかかりまして、そうはいっても、人を大事にするということの中身がもしかして変わってきているのかもしれないしというところで、何点かお伺いいたします。

 まず、紀陸さんたちがカバーしておられる実業界の中で、実業界みずからが新規の採用、求人を現在手控えておるというような比率と申しますか、そういうものは全体を見渡したときに一体どのくらい、まあ旧来どおりに新規採用もしているよというところもおありかもしれないし、いや、新規採用も含めて八割方手控えないと今、日本の企業というのはやれないんだよということなのか、そのあたりをまず一点お願いします。

紀陸参考人 阿部先生の今の御質問にお答えしたいと存じます。

 いろいろな企業の中でどのくらいの企業さんが新規採用しているか、かつ、新規採用するにしても、トータルでどのくらいの割合で従来と比べて雇用の数を維持しているかというと、その辺の具体的な実数はちょっと定かにはわかりませんけれども、ただ、少し求人倍率も改善してきておりますし、昨年、一昨年と比べると、これからは、少し企業の採用意欲というものにもだんだん改善の兆しが出てくるのではないかというふうに思っております。大分これまで、やむなく企業再編に伴って雇用人員を減らしてきましたけれども、それもだんだんと、部分的ではございますけれども、一服感が出てまいりまして、これから雇用増の方に少しずつ展望が開けてくるのではないかというような予測を持っております。

阿部委員 ぜひそうあってほしいですが、先ほど来何人かの委員の御指摘で、若年者の失業率が日本でも高まっていますし、全く職歴を持たない若い人たちがどんどんどんどんふえてくるということは、これからの中期的な労働市場を考えた場合でも、だんだん就労人口は減って働き手は減ってくる中ですから、ある時期の採用の中断が企業としての持続力を欠くということも出てくると思いますので、今の見通しどおり、これからは少し前向きになるよということに期待しながら、次の点でございます。

 先ほど来これも問題になっておりますが、中高年のリストラも含めて、若い人は手控えている。そうすると、同じ企業の中でも、真ん中に入る、サンドイッチになるところの三十から四十五歳くらいの層に、例えば労働時間の長期化とかさまざまな職場のストレスとか加わってくるかと思いますが、その中堅層、中間層に関しまして、企業サイドとして今どういう認識をお持ちで、またどういう気配りをなさっておるか、その点をお願いします。

紀陸参考人 今、企業の中で一番大きなうねりとして出てきておりますのは、特に働く人に対してどういうインセンティブを与えるかという問題ではないかと思います。

 企業の人件費が高い、先ほどそういう感じを持っている企業が多いという御指摘がございましたけれども、まさに競争力強化のために人件費をどうしたらば合理化できるかという点が大きな課題なんでございます。

 ただ、そのやり方として、一律に全体を下げるというようなことではなくて、いろいろな賃金制度なり処遇制度を変えて、働く人に、本当に成果を上げた人にはそこの賃金引き上げ増あるいは処遇の改善ということが結びつくように、インセンティブを図る工夫をどうやって組織の中に入れ込むか、そこにいろいろな企業が腐心をしている。それが、特に今御指摘のような中堅層に効果があるような形で制度の見直しをして、かつ、それが実際に運用できるように、どの企業さんも、大企業さんも中小企業さんも同じかというふうに思っておりますけれども、そこに一番意を用いているのではないかというふうに私ども感じております。

阿部委員 私どもも漏れ聞きますし、また多少は経験いたしますけれども、やはりこの中堅層、中間層が、精神的なストレスも含めて、かなり健康を害している場合も多く、そのインセンティブというのはいい方に働けばいいですけれども、悪く働くと落後感を伴ったりさまざまに、うつにもなってまいります。きょう午前中もそういう論議をいたしましたけれども、ますます今の厳しい状況の中で、むしろ矛盾が集約しながら表に出ない層と思いますので、経営団体としてもさまざまな面のサポートを考えていただきたいのと同時に、今度は高年層、六十歳以上。

 例えば六十歳の定年で、六十二歳からの年金支給で、この間を六十二歳まで何とか年金までつなぐような企業側からの努力というのもおありかと思いますが、それについてはいかがでしょうか。

紀陸参考人 お答えをいたします。

 今一番どの企業も腐心をしているところはその部分でございまして、六十歳以降の方々にどういう形で職場を提供するか。基本的には再雇用という形でもってどの企業さんも努力をしておられますけれども、ただ、現実に仕事が減っているというような場合には、それをどういう形で再雇用の機会を提供するか。できるところは、グループ企業の中で他社に出向に行っていただいたりして、何とか雇用の機会をつくろうというように懸命の努力をしているところであります。

 特に、これからあと五年ぐらいで今の団塊の世代の方々が皆さん六十歳を迎えるものですから、その後の十年近い間どうやってしのぐか。今より以上にこれからいろいろな形で高齢者雇用が深刻な問題になってきますので、その対応は、今時点からどの企業さんも非常に真剣に考えておられるところだというふうに思っております。

阿部委員 私もちょうど団塊世代ですが、では、引き続いて中村参考人にお伺いいたします。

 今の企業サイドの、これから五年をかけてむしろエージレスに働くような形に持っていきたいというお話ではありましたが、労働者サイドから見て、そのあたりの企業サイドの取り組みと、また、労働者サイドとしての課題というあたりではいかがでしょうか。

中村参考人 六十歳以降の年金との接続の問題は非常に重要だというふうに私どもも認識をいたしております。

 現在、三年前ぐらいから六十一歳で、今度六十二歳ということでございますが、三年前のときは、これは労使の協力ということでありまして、いわゆる人を特定しない、基本的に希望者全員に対する継続雇用制度というものが、これは労使の努力があってかなり進みました。ところが、御案内のような状況でございまして、この間、それ以降の進展がぴたっととまっておる。その中で六十二までさらに延びていくということで、極めて危機感を抱いておるというふうに考えておるところでございます。

 私どもの調査にもありますが、現在、六十二までいっているのは四割ぐらいという実績でありまして、とりわけ、大企業では何とか頑張っていただいているのですが、それ以下のところで大きな課題を抱えている、全く検討できないというようなところも同数ぐらいあるという実態でございまして、これは仕事をどうつくるかということも含めて、まさしく現場の知恵の部分が非常に大きなウエートを占める部分でございます。

 そういう意味では、まず労使が一生懸命努力をして、適正な処遇も含めてつくっていくということが非常に重要であるというふうに考えております。そのための整備、支援というものを国としてきちっととっていくことが重要ではないかというふうに思っております。

阿部委員 引き続いて、今の中村参考人にお伺いいたしますが、参考人からちょうだいいたしました資料を拝見していまして、ハローワークの前で行った調査の中で、失業を二、三カ月して一番声の高かったのが社会保険負担の減免であるということでありましたが、具体的には、以前に健康保険の問題で民主党が提案をなさったことがあるかと思いますが、現在、労働団体として、この社会保険の減免について具体的にさらに突っ込んだお考えがあれば教えていただきたいと思います。特に、本当に失業されて収入が減った、あるいはないのに保険料を払っていくわけですから、その辺で、こういう形にというような具体的提案がもしあればお教えください。

中村参考人 一連の雇用対策ということの強化で連合としてお願いをしている問題がございまして、まさしく今この社会保険料等の負担の軽減という部分のところがその一つでございます。

 基本的にはまず医療、年金も含めてなのですが、受給権あるいは権利というものをきちっと担保するということが基本的な考え方の論点の一つでございます。問題は、制度に組み込んだときに負担をどうするかという部分の関係がございまして、とりあえず、昨年からこの一年間にやった雇用対策の要求につきましては、考え方として、負担については猶予をする、そのかわり権利はきちっと適用するという措置を講ずるということが、現在の連合としての雇用対策の中で決めていることであります。

 ただ、連合としては、年に二回、政策制度をまとめる議論をしておりまして、その新ラウンドの議論が始まっているところでございます。この問題は当然焦点になって、現在議論中ということで、免除ということも含めて再度検討してはどうかという議論になっておるところでありますが、この部分はまだ確定をしたわけではございませんので、現在のスタンスとしては、今までのこの一年間の雇用対策の部分のスタンスでございます。

阿部委員 ぜひ必要とされる部分と思いますし、私どももまた、御指摘いただければ国会審議の中に取り上げていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 最後に、大須参考人にお願いいたしますが、これは諸外国との比較でも構いませんが、私、午前中も伺いましたが、日本が、勤労者の中で雇用保険というものにカバーされておる率が果たして諸外国と比べて低いのか高いのか。先ほど大須参考人は、必ずしも働いていなくて、業も得ずして職のない若い人々の問題を問題にされましたが、一方で、就労はしていながら雇用保険を持たない方たちの存在というのがあると思うのですが、この点について、日本のプロフィールと、それから改善点について御意見があればお願いいたします。

大須参考人 外国の例については、申しわけないのですが、というかわからないのと、勉強していないのがありますし、それと、外国の問題をやるのは、単に一つの制度だけ取り上げてもなかなか比較にならないのじゃないかというのが僕はいつも考えている問題でして、申しわけありません。

 それで、では日本の雇用保険のカバー率というか、ですからそれも、先ほど言いました失業者の保障の範囲の問題と、それから雇用保険に加入している率というか、両方あると思うのですね。それで、失業者のカバーというのは、これは失業者を完全失業者というふうにとらえるのかはいろいろありますけれども、わかるのは完全失業者ですから、先ほども言いましたように、完全失業者数は現在三百万人を優に超えているという状況は変わっていない。それから、失業保険の方の実受給者、これは最新のは何か百十万人ぐらいだと思います。ですから、この比較ということでいけば、失業という事態に対して雇用保険がカバーしているのはその程度でしかない、こういうことであります。

 ただ今度、雇用保険の加入ということですと、先ほど言いましたように、公務員の問題は一応雇用保険法の規定に基づいて入っていないわけですね。ですから、この規定を変えなければいけない。私立大学の教員については、規定にはなくて入っていないというようなことです。それから、恐らく実際にはかなりもっと徹底した調査は必要だと思います。ただ、かなり零細な企業とかそういうところで漏れているのはあると思います。

 ただ、何か非常に実利的な言い方をしてあれですが、例えば公務員とか私立大学の教員も、大体は比較的失業が少ないので、入ると雇用保険はよくなるのですが、ほかのところは、入るとむしろ財政的には厳しくなる可能性もあると思います。だから入らない方がいいというのではなくて、趣旨としては、もちろん雇用の不安定な人も安定した人も入って、そして失業した人を保障していくというのが制度ですから、そうした上で、もう少しできるだけカバー率を上げて、その上で雇用保険のあり方というのはもう一回考えるべきだと思います。

阿部委員 我が国の社会の安定感、安心感のためにも、今いただいた御指摘を踏まえて、さらに論議を深めたいと思います。ありがとうございました。

宮腰委員長代理 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 参考人の皆様方におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げたいと存じます。

 次回は、来る十五日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

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