第156回国会 厚生労働委員会 第10号(2003/4/18) 抜粋

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阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。皆さんも、極めてお忙しい時間、遅くまで御苦労さまでございます。あと四十分弱ですが、よろしくお願い申し上げます。

 私は、食品安全基本法の制定と食品衛生法の抜本的な改正ということがうたわれております今回の改正に当たって、冒頭、坂口大臣に、これは先ほど自由党の武山委員もお聞きでありましたが、何が最も根本的な改正であるのかという点をお尋ね申し上げたいと思っております。

 と申しますのも、森永の砒素ミルク事件あるいはカネミ油症事件、これらは実は両方とも私が学生時代に起きたことで、最近、坂口大臣の御尽力でカネミ油症の問題はダイオキシン問題としてかなり解決の緒についておりますが、相次いで、この間の雪印牛乳あるいはBSE問題、そしてそれをさかのぼって忘れることのできない水俣病問題など、私たちの口に入るものから私たちの健康を害する出来事というのは非常に幅広い広がりを持っておって、そこにおける国民の健康の安全ということは、かなり広範な視野に立ち、体系的なものを考えていかないといい改正ができないのではないかと思っておるのですが、まず冒頭、大臣に、今回どのような点が一番改正の中心軸であると御認識であるか、お願いいたします。

坂口国務大臣 先ほどから議論がございますとおり、我々の健康にかかわりますものは、今まで考えていなかったような分野に及んできているわけでございます。その都度、今まで本当に考えられなかったことだというようなことで、新しい事態にいつもこれは直面をしてまいりました。これからもそうした危険性というのは多分あるんだろうというふうに思っております。それは、厚生労働省としての中で解決のできる問題もございますし、物によりましては、これは環境省が中心になって処理をしていただかなければならないものもある、あるいは農林水産省がおやりをいただかなければならないものもあろうかと思います。

 今まで、そうしたことが起こりますごとに、縦割り行政という言われ方をいたしまして、そしてスムーズにそのことが、情報の共有でありますとか、あるいはまたそれに対する対応が手おくれになったりということがあった。そこを今度は総合的に政府一体としてとらえて、そして、各省庁がそうした縦割りの中で行うということではなく、すぐに連携ができるように、情報もそして行動もともに連携ができるような体制をつくり上げよう、ここが一番大きな点であったというふうに思っております。

阿部委員 ただいまの大臣の御答弁の中にもございましたが、思いもかけないことが起こるのは、例えばカネミ油症や森永の砒素ミルクのようにいろいろなものが混入してくる、あるいはBSEのように既知の感染症ではない未知の感染症がそこに発生する、そしてもう一つの大きな点は、環境要因が極めて現代社会大きくなっているように思うのです。

 私は、この法案の骨格、内閣に預けられたところの安全基本法と、厚生労働省の食品衛生法の改正という中に、いわゆる環境省というものが関与する、あるいはあずかる部分の組み込まれ方が果たしてこれで十分であるのかという点を続いて質疑させていただきたいかと思います。

 そして、そのことに入る前に、これも大臣に一点、今後のことに非常にかかわってまいりますので、御認識を伺いたい。

 質問通告していないのですが、実は、今回のアメリカのイラク攻撃で劣化ウラン弾というものが使用されました。これはかつての湾岸戦争時も使用されましたが、貫通力を強めるために非常にかたくしなきゃいけないということで、ウランがその場合に非常にかたいということで選ばれておりますが、同時に、地中に残った場合は重金属としての汚染をもたらす可能性が非常に強いと思われます。

 これは、今後の我が国の国際貢献ということにもかかわってまいりますが、実は、戦禍で非常にいろいろなことが中途半端のままに、例えばWHO等も調査に入っておりましたが、それも中断されておりますし、実際に起こる被害、今後の長きにわたる被害等々について、環境要因を通じて、例えばそれが地中にしみ込んでトマトのような野菜の中にも入ってくるようなこともあるわけで、もちろん我が国のことではないといっても、やはりいつでも可能性はあることでございますので、この劣化ウラン弾問題、大臣としての御認識と、あるいは、今後我が国が何らかの貢献をできる、特に疫学面でのことに関して、お考えがあれば、冒頭、これもお願いいたします。

坂口国務大臣 国内問題も大事でございますが、ただ国内問題だけではなくて、国際的にもやはり日本は健康管理あるいはまた環境の保全のために貢献をしていかなければならない、また、日本ができ得る最も得意とする分野ではないかというふうに思っております。

 したがいまして、イラク等でもしも必要なことがあるならば、日本のそれに対する研究者あるいはまた知識を持つ人がそれに対応するということも、それはあり得るだろうというふうに思っております。

 私、兵器のことは余り詳しくないものですから、どうなるかということはよくわかりませんけれども、重金属等の問題で、日本の中にも重金属の研究者というのはかなり多くおみえでございますしいたしますから、もし重金属の問題等で国際貢献ができるということであるならば、それは日本の国の中でも協力をしていただける方がおみえになるのではないかというふうに私は思っております。

阿部委員 貴重な御答弁をありがとうございます。

 引き続いて、重金属問題では、やはり我が国の戦後の最大の重金属の汚染である水俣病問題、これは、チッソの水俣工場が海に流した重金属である水銀が魚に行き、それが魚を食することで人体に影響を及ぼしてまいりました。

 果たして、今後このような、原因は重金属ですが、それが食べ物を介して何かの健康被害を起こした場合は、この食品衛生法というもののあずかる範囲のこととして考えてよいものかどうか、これも一点お願いいたします。

坂口国務大臣 重金属が食品を通じて影響を与えるということになれば、これは食品衛生法の中で考え得ることだというふうに思っております。したがいまして、これからそうしたことがあれば、それはこの法律の中で対応していかなければならないというふうに思います。

阿部委員 恐縮ですが、一九五七年二月の二十六日に熊本大学が、もともとこれは、熊本大学の研究班が一九五六年に魚介類による重金属類の中毒だという報告を出しましてから、その当時からもう既に食品衛生法の適用が必要ではないかという論議を上げてございましたが、当時の認識がそのようでなかったのかどうか、私もこれは論議の分かれるところと思いますが、先ほどの森永の砒素ミルクは食品衛生法の適用を受けましたが、この水俣水銀中毒は食品衛生法として扱われてまいっておらなかったわけです。

 私は、そのことが逆に、食品中毒として、食中毒として認識されれば、即に摂取を禁止するなり広がりを防ぐことができたのではないかと非常に残念に思っておりまして、横からのお耳はちょっとやめていただきまして、大臣に、これはやはり真摯な私の問いですから、雑音を入れないで大臣から御答弁をいただきたい。

 今のお答えですと、やはりそういうものも食べ物から入ったら、これは食の安全をめぐる食品衛生の問題と考えてよいというお答えでしたので、その点をお願いいたします。

坂口国務大臣 水俣病の問題につきましては、私ちょっと、過去にさかのぼって細かくはわかっておりませんが、少なくとも、これからそうした問題が起こりましたときには、この法律の中で処理ができるものというふうに思っております。

 過去の水俣病の水銀の問題、当時から環境庁を中心にしておやりをいただき、現在の環境省が中心になっておやりをいただいてきたというふうに思っておりますが、しかし、これは健康にかかわることでありますから、当時の厚生省も深くかかわってきたことだというふうに思っております。

 法律上、どの法律の中で今まで処理していたかということまで私ちょっと存じませんけれども、少なくとも今後は、そうした重金属が、食品を通じてそれが健康に被害を与えるということになれば、それはこの法律によって取り扱われるものというふうに理解をいたしております。

阿部委員 私は、あえて言えば、さかのぼってでも起きた出来事は、人間はみんな環境の中に、生態系の中に生きておるわけです。めぐりめぐって生態の連鎖の中で魚や貝を摂取して、人間を食う人はおりませんので、最終蓄積物が人間になってくるわけです。今、ダイオキシン問題でも同じことでして、焼却したダイオキシンが、川、海、そこの貝に行き、魚に行き、また人間へとめぐってまいりますので、実は、今回もし改正が行われますとすれば、そして今まで不十分ないしはある場合には排除してきたことがあるとすると、根本的な考え方において、生態系、環境系というものを広く視野に入れて食の安全を守る、国民を守るという見識が必要と思われますが、そのような御答弁と考えてよろしいでしょうか。

坂口国務大臣 非常に微妙なところでございますが、先ほど出ましたカネミ油事件の問題等は、これはダイオキシンであるということが次第にわかってまいりました。最初はPCBによるものだということになっていたわけでございますが、PCDF、いわゆるダイオキシンの範疇に入るものだということがわかってまいりまして、この問題は厚生労働省の中で現在も取り扱っているわけでございますから、過去の問題でございましても、我々の健康に関することであれば、どの法律の中で取り扱っているかは私もそこまで明確に今わかりませんけれども、やはり取り組んでいかなければならない問題だというふうに思っている次第でございます。

阿部委員 何が大きく違ってくるかと申しますと、食品衛生法で取り扱われて、広い範囲で設けた食中毒という概念に立ちますと、即座にその製品ないしは何か原因物質の排除、禁止ということに向かうわけです。ところが、その認識がないと、原因がわかるまで、わかるまで、わかるまでと先延ばしされて、その間に被害が増大してまいります。

 私は、今回の改正にもしも大きな意味があるとすれば、迅速な対応ということをうたっておられて、それは、問題の原因がたとえ今後追求されるものであったとしても、何らかの危機的異常シグナルが起きた場合にすぐにそこで対処する、摂取を禁止する、このことをやはり確認するというか、そうした法体系にするという点が非常に大きいと思うのです。

 原因がわかるまでと先延ばされたのが実は水俣病であり、実はカネミ油症においても、三十何年たってやっと原因物質はこうだということがわかって、少しずつ解消されておりますけれども、やはり迅速な対応とは、敵が見えなくても、何かということは定かでなくても、とりあえず対処する、そこでとめる。そのために、あえて食中毒という言葉を使う。中毒であれば、即座に原因物質を除去しなきゃいけませんから、そういう認識に立つものと思いますが、坂口大臣にあっては、今回の改正点、先ほど都道府県の方にも緊急に対応を促すということでございましたが、今後について、そういう対応がなされるというふうに考えてよろしゅうございますか。

坂口国務大臣 それは、そのように理解をしていただいてよろしいと思います。

 水俣病のことにつきましては、後ろへ聞けばわかるのかもしれませんけれども、後ろには今聞くなという話でございますから、後で一度しっかりと聞いて、そして後でまた御報告を申し上げたいと思います。

阿部委員 この件につきましては、次回、金子哲夫の方も質疑いたしますので、大臣も勉強してくださいまして、でも、私が一点言いたいのは、本当に、ここで異変が生じたとあったら、とにかくとめていただきたい。その迅速さがないと、怪しいもの、あるいは犯人がわかるまでほっておいたら、汚染は果てしなく広がってしまうということが、この間の我が国の行政が学んだ何よりの負の財産と申しますか経験であったと思います。それが今回の食品衛生法の改正でも、予防原則を旨とするというところにつながってくると思うのです。国民の健康を守るために予防的視点に立ってという一文がございますから、坂口大臣が今回改正の中で一番お考えくださったのはその点ではないかというふうに思っております。

 では、次の話題に移らせていただきますが、いわゆるBSE問題です。

 我が国では、牛の発病は見ましたが、人についてはいまだ発病例は明らかではない。しかしながら、これで万全というわけでもなかろうかと思いますが、現在のところ、どのような人に対しての対策がとられておるか、これについてもお願い申し上げます。

高原政府参考人 BSEに罹患した牛から人に感染いたしましたいわゆる変異型クロイツフェルト・ヤコブ病症例でございますが、これは、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づく四類感染症に指定いたしまして、診断した医師は七日以内に保健所に届け、またそれが都道府県に行く。それでまた、これは委員御指摘のとおり、日本でまだ発病していない病気でございますので、いろいろ診断の方に不確かな点というのが、これは悪い意味ではなくて、慎重を期す必要もあるわけでございますので、厚生労働科学研究事業のプリオン病及び遅発性ウイルス研究班による調査及びサーベイランス委員会による判定を行いまして、正確に把握するということにしております。

 診断につきましても、専門医のいない医療機関を受診した場合であっても正確な判断がなされるように、少なくとも各都道府県に一名の専門医をあらかじめ指定しておりまして、医療機関からの相談に応じることのできる体制を整備し、症例の確実な把握に努めておるところでございます。

阿部委員 今の高原局長の御答弁は、クロイツフェルト・ヤコブ病として発症してきたものの中から、人畜共通感染症のBSEからきたものと思われるものを出てきた患者さんの中から拾っていくという手法で、いわば後方視的といいますか、事が起きちゃってからそこから見つけていこうという手法にとどまっておりますし、現状においてはとどまらざるを得ない。なぜならば、人にこのBSEが感染していく機序といいますか、どうしてというのはまだ世界的にもよくわかっておらないわけです。

 ただし、今後、これは私の方からもお願いしたい件ですが、私自身が小児科医として非常に案じておりますのは、赤ちゃんのおしりから入れる座薬などに使われる基質の中にも牛脂が入っておりますし、予防接種のワクチンの中のゼラチンにも牛脂が関係したものがございまして、現在は禁止されているとしても、これはもう既にあったものはわからないという部分がございますので、アンテナを世界的に高くしまして、これはイギリスで発症していてもなおかつわかっていないわけですから、ゆめゆめ怠ることなく、本当に情報網をきっちりされて、前方視的な研究、要するに、データが出てきた場合に、発症する以前の段階でリスクのものを検索していくようなこともやっていただきたいと思います。極めて今後の問題になってくるように思います。

 そして、次の質問にまた移らせていただきますが、先ほど坂口大臣がカネミ油症のことをお話しくださいました。これはもう本当に大臣のおかげで、ダイオキシン類の汚染だとやっと認められたということになり、随分前進はしたわけですが、実は、鶏の飼料に与えられたダーク油の段階で鶏に異変が起きており、その段階でチェックが入っておれば人間には生じなかったと思うのです。

 BSEもそうですが、動物にサインが出て、それをどこかで適切にブロックすれば、人間には来ない。そうしたことから、今回、農水省と連動してという形にはなるんだと思いますが、これもまた大臣も御存じと思いますが、近年サルモネラの新種の感染症が多うございまして、これは卵とかの中から出てまいるものでございますが、一九九八年でしたでしょうか、百十数万羽以上輸入される鶏のひよこ、そこにおいてもこのサルモネラの菌の一種が発見されて、これは逆に、人間のサルモネラ中毒からひよこが禁止された。普通は、動物の方に異変が出て、人間の方にブロックがかかるのですが、このごろにあっては、人間の方に症状が出て、その原因がサルモネラとわかって輸入の鶏がチェックされる。こうなりますと、人体における感染症と、それから家畜ないしは食肉用の動物に関する感染症のところの情報の交換なり極めて密接なネットワークがないと、今後には対処し切れないと思います。

 特に、このサルモネラも、鶏の場合、家畜伝染病に指定されたのですけれども、何度も言いますが、人間がわかってから鶏が指定されたと、後手なわけですね。この辺を今後、後手にならないための何らかのこの改正の中での前向きなことがあったのかどうか、これは原局サイドでお願いいたします。

遠藤政府参考人 BSE検討会の報告でも触れられておりますように、農水省と厚労省との間のいわば縦割りの弊害というふうなことが言われておりまして、今回の法律改正の中に、例えば、と畜場法及び食鳥検査法におきまして、地方公共団体の責務として、家畜等の生産の実態や獣畜等の疾病の発生状況を踏まえた施策の実施に努めることを規定するとともに、生産段階における規制法であります家畜伝染病予防法に基づく疾病が屠畜検査等の対象疾病である旨を法律上明記し、地方公共団体の現場における畜産部局との連携を一層強化することとしております。

 さらに、国レベルにおきまして、畜産物の生産段階の規制との一層の連携を図る観点から、家畜伝染病予防法及び飼料安全法と同様に、厚生労働大臣と農林水産大臣との連携協力を規定することとしており、具体的な内容として、生産段階での疾病の発生状況や診断技術、生産技術の状況、検査の結果等についての緊密な情報交換、また共通する分野での研究協力等を考えているところでございまして、両省の間でしっかりと連携をとってまいりたいと考えております。

阿部委員 言葉で言えばそういう答弁なんだと思うのですが、何度も言いましたが、サルモネラ菌の場合は、人間が先に発症して、そしてたどっていくと輸入鶏の問題が出てくる。これが多剤耐性のサルモネラ菌なんですね。要するに、抗生物質が余り効かない。こうなってまいりますと、実は、家畜伝染病予防法、こっちばかりでしっかりやっていても、思わぬ落とし穴があって、人間の方から家畜もわかってくる。今回のSARSという、五島先生がさっき聞かれていましたが、その件も同じ広がりを持つかもしれませんので、今後、この委員会ができて、今後の業績がどうであるかにもかかわってまいると思いますから、実績でお示しいただけますように、また今後の質問の楽しみにとっておこうかと思います。

 引き続いて、同じように口から入る、しかし食べ物ではない、が、健康被害を及ぼすというものの中に、子供のおもちゃがございます。

 実はこれは、坂口大臣のお名前で去年の八月に改正がなされたのですけれども、食品衛生法の改正として、子供のおもちゃに使われている可塑剤、子供のおもちゃをやわらかくするためのフタル酸類も、子供がしがしがしがとかんでいるうちに、食べ物ではないけれども、体に入って害を起こすというので、実は去年の八月にフタル酸類の二品目について禁止を入れていただきまして、ことしの八月から実施されるわけです。

 今回の法改正の中で、さらに前向きに考えますと、今回の法改正の中の四条の二という中に、これは通常の食品に関してでございますが、危険性、人体に害を及ぼすおそれがあると確認されたものについて、審議会にかけてそれを中止していくという四条の二にさらに四項目が加わって、その意味では予防原則に少し近づいていっていると思うのですが、いわゆるおもちゃ類にもこの食品の四条の二の部分を準用していただきたいのです。そうすると、これからさまざまな危険が混入してくる場合もあり、今回の二つの可塑剤以外のものが使われた場合でも、危険性が予知、疑わしい場合は準用されて中止されていきますので、現在は適用されておらない四条の二をおもちゃ類についても適用していただきたい、子供は口に入れるのですから。

 この件について御答弁をお願いします。

坂口国務大臣 きょうは、それぞれ個性豊かな皆さん方からずっと質問を続けていただいておるものですから、頭の中が混乱してまいりまして、BSEやらサルモネラやらおもちゃやらということになって、頭がもう混乱してまいりまして、申しわけありません。

 それで、おもちゃの件につきましては、二種類の添加物を用いました塩化ビニール樹脂製のおもちゃにつきましては、御指摘いただきましたとおり、禁止をしたわけでございますが、これは既にもう昨年の八月に行っております。

 おもちゃにつきましては、このように法の第二十九条によって準用されます七条第一項の規定に基づいて、公衆衛生の見地から、必要な規格基準を設定することによりまして、健康被害が発生していなくても流通禁止の措置は可能でございまして、予防的観点に立って、その安全を十分に確保できるものというふうに考えております。

 御指摘の法第四条の二はいわゆる健康食品についての規定でありまして、健康食品は新しいものが次々と出てくるような状況にあるのに対しまして、おもちゃに使用される合成樹脂というのは化学産業の広範囲な用途の中で利用されるものでありますので、ここは若干区別をして考えております。

 しかし、おもちゃのことにつきましては、先ほど申しました法第七条第一項の規定に基づきまして、予防的観点に立って、安全性を十分に確保できる、こう考えております。

阿部委員 大臣も御指摘のように、既に食品衛生法の中でも幾つかの項目はおもちゃについても準用されておるのです。今大臣がおっしゃったように、四条の二は新開発食品の販売禁止というところで、安全性の確証がないものを含む食品を販売することができないという項目ですが、これをおもちゃに準用していただきたい理由は、先ほど申しました二種類の可塑剤は禁止されておりますが、そうすると違う可塑剤の方が使われてまいりまして、むしろこれらの安全性が確保されておらない物質であるということもございますので、それを逐一ポジティブリスト的にこれこれこれとやっていくのも、たんびの法改正になってまいりますし、準用項目を一つふやしていただくだけでありますから、きょうたくさんの質問をしましたので、混乱をさせまして恐縮ですが、また次回、ちょっと整理をしましてお尋ねをいたしますから、お考えをいただきまして、よろしくお願い申し上げます。

 時間の最後をいただきまして、この次、まだ食品衛生法の審議がございますので、それ以外のことで一つだけ、ちょっと私が最近気になっておりますことですので、これも大臣並びに関係の局にお願いいたしますが、いわゆる医師の名義貸し問題でございます。

 北海道の札幌医大、そして、一番百何十名の名義貸しが発覚したのは札幌医大なのですが、そのほかにも、北大、旭川大学、名義を貸している相手も、国立の療養所とかあるいは二百何十床という比較的大きな病院。そこに医者が働いておらぬのに名義を貸して、それなりの診療報酬を保険請求したりして、北海道の社会保険庁からも不正請求だというような指摘が起きておる。

 では、これは一番医療過疎、医者の少ない北海道だけの問題かというと、おっとどっこいでございまして、例えば弘前医大や群馬大学では、医者を派遣するかわりにリベートをもらう、ないしは医局の収入にしてしまう。それから、先回私がお尋ねいたしましたが、研修医をアルバイトとして派遣してもらわないと成り立たないような病院がある。

 それからもう一つ、今まで地域病院に派遣されていた医者を引き揚げている病院がもう二〇%くらいある。今度、臨床研修の指定に伴いまして、大学に医師を呼び戻さないと教育ができない。

 私は、臨床研修の義務化というのは極めて重要な、医療の根本改革になる前向きなことととらえておりますが、逆に、今指摘したような名義貸し、リベート取り、あるいは研修医のアルバイト等々、実態を見ておりますと、ここはやはり早急に、全体像について、派遣労働の問題にもかかわりますので、厚生労働省として実態調査をしていただきたい。

 名義貸しは、北海道については随分、三つの医大で明らかになりましたが、実は全国的に行われており、水面下の問題になっておると思うのです。これは、それがいいことか悪いことかという倫理の問題以上に、そういう形にしないと地域医療がやっていけない実態があるのかもしれないので、一体どのくらいそうした名義貸しが現実に行われているのか。あるいは、もう一つの方は、リベートを取って医局が人を送るということですが、これとて、逆に、医師がいないからそこをどうにかお願いしますというところで成り立つ。三点目のアルバイト医療に関しても、全く人手不足の問題を研修医が労働力として補うということになっております。

 当座、アルバイト診療の問題と医師の引き揚げの問題は、木村副大臣がもうおいでじゃないですが、副大臣の担当下に今調査はしておられますので、名義貸しの実態について、ぜひとも全国の実態を坂口大臣の御見識で実態調査していただきたいと思いますが、いかがでありましょうか。

坂口国務大臣 この名義貸しの問題は、大変残念な出来事でございますが、昔からなかったかといえば、それはあった話でございます。

 この実態を調査するのは、これは厚生労働省がするのか、あるいは文部科学省がするのか、ちょっとその辺のところは私も今わかりませんけれども、私の方でこれはやらなければならないことであれば、私の方で全国レベルで調査をしたいというふうに思っております。ましてや、今回、国立の病院が二人の人を対象にしていたということでございますから、国立病院としてそういうふうな例がほかにないかどうかというようなことも調べたいというふうに思っております。

 それで、いずれにいたしましても、これは毎年八千人ぐらいの医師が卒業しているわけですね。我々のときには三千人しかいなかったわけでありますから、八千人というのは大変な数だと思うんですが、その皆さんが毎年卒業して、それは一体どこへ行ってしまうんでしょうね。それだけ出てくればかなりあふれてくるような気がしますけれども、しかし、足りない。

 例えば、東北の皆さん、この前もお見えになりまして、東北あたりも全然足りないと言っておみえになる。そうしますと、その皆さんが一体どこにいるのかということにもなりますし、私はこれは、大学は文部科学省の問題ですから、文部科学省でやっていただかなきゃいけないというふうに思いますが、大学のいわゆる附属病院の姿勢にもよる、大学の姿勢にもよると私は思っております。

 大学というところは、教育と研究と診療と三つやっておりますが、もう一つ重要な問題は地域医療だと思う。だけれども、大学には、残念ながら、昔から地域医療という考え方というのは少なかったわけであります。非常に乏しいというふうに思います。

 ですから、せっかく派遣をいたしましても、その派遣をした先でその医師がなれましたころに、三カ月なり半年でなれると、すぐ大学が、研究のことを中心にして考えるものですから、その人を引き揚げてしまうというようなケースが間々ございまして、地域医療のひんしゅくを非常に買っていたというようなことがあります。だから、その辺のところを、やはり大学のあり方を考えていただかないと、私、この問題はなかなか解決のできない問題であるという気もいたします。

 いずれにいたしましても、我が省の中でやらなければならないことは着実にやりたいと思います。

阿部委員 名義を貸している方は大学でも、借りている方は四十六の実際の医療機関が借りておるわけで、大臣もおっしゃったように、厚生省と文部科学省とやはり双方で調査していただきたい。

 そして、それは懲罰のためだけではなくて、実際の診療機関がどのように人的なスタッフの中で行われておるかという実態調査と、それと一言申しますれば、やはり都市部に、各道府県の中でも都市に集中して、周辺が少なくなるという現象を生んでおりますので、それは次週に審議させていただきますことになる医療の体制の問題でもありますので、重ねて大臣にはよろしくお願い申し上げます。

 私の質問を終わらせていただきます。

中山委員長 次回は、来る二十三日水曜日に委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

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