第156回国会 厚生労働委員会 第12号(2003/5/7) 抜粋

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阿部委員 委員長の代行を初めとして皆さんには、長時間の審議、御苦労さまでございます。そして、坂口厚生労働大臣初め木村副大臣も、多種多様な質疑が行われる中、ずっと御在席で御苦労さまでございます。

 だがしかし、申しわけございませんが、定足数を足りておりません。きょうは朝方から食品衛生法の審議、そして現在、医療問題一般、そしてこれからまだ労働者派遣法に入ろうか、こんなにてんこ盛りの審議状況は無理でございますので、一回時間をとめていただきたいと思います、定足数が足りるまで。よろしくお願いします。

宮腰委員長代理 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

宮腰委員長代理 速記を起こしてください。

 阿部知子君。

阿部委員 では、まず第一問目、SARSの問題に関して、今朝来、家西委員並びに江田委員がお取り上げでございますが、再度坂口厚生労働大臣にお伺い申し上げます。

 大臣には、せんだってのASEANプラス3への御出席で、東南アジア諸国での担当保健大臣の各位とのお互いの意思の確認、あるいは今後のWHOのいろいろな調査研究体制の中での協力ということを話し合ってこられて、それが大きな一つの成果と思いますが、いま一点、せんだってもお尋ね申し上げました中国との個別のといいますか二国間協力関係と申しますか、このことについてさらにもう少し話を進めさせていただきたいと思います。

 先ほどの、たしか江田委員とのお話の中だったと思いますが、中国政府の担当者から首相の方に何らかの協力要請があり、そのことで坂口厚生労働大臣と小泉首相がお話をなさいまして、主にはマスクとかガウンとか物資の支援面についてはある程度協力体制をしこうということが話されたが、人的な交流、研究体制あるいは臨床の治療法についてのさまざまな確立あるいは予防体制についてのいろいろな知識の交換ということまでについては、なかなか具体的な申し出ということも把握できないし、そこにおいてはまだ進んでおらないというお話ではありました。

 しかしながら、坂口大臣、せんだってから極めて前向きにこの問題をお取り組みくださいまして、実はせんだって、四月二十八日から四月三十日までの間、私どもの社会民主党の党首土井たか子以下六名が中国に出向きまして、じかに、今度新たに主席になられた胡錦濤主席、そしてついせんだってまで国連大使であったトウカセン氏、トウカセン国務委員と今おなりですが、については非常に親日家でありますし、日本の大使館にも在籍したことがおありで、なおかつ国連機関にもおられたということで、このSARSということに関しての日中間の交流、支援体制について、ある程度の具体的なお申し入れが土井党首の方にございました。

 そのことを踏まえて、土井たか子名で坂口厚生大臣に要望書を提出しているかと存じますが、大臣はお目通しでありましょうか。これが一問目です。

    〔宮腰委員長代理退席、委員長着席〕

坂口国務大臣 五月の二日の日でございましたか、土井委員長のお部屋にお邪魔をさせていただきまして、そして内容をちょうだいいたしました。そしてそのときに、中国に行かれまして、そして向こうの主席を初め皆さん方からお聞きになりましたお話もお伺いをさせていただいたところでございます。特に、その中には阿部議員も同行されて、そして整然とした御意見を述べられたというふうに土井党首からお聞きをしたところでございます。

阿部委員 わざわざ党首室までお越しいただいた由にてありがとうございます。そこで恐らく我が党の土井党首が申し上げたことと思いますが、私どもが伺いまして、二つの点にわたって具体的な提案をいただきました。

 一点目は、先ほど申しましたトウカセン国務委員からでございますが、現在の中国のSARSという問題が、特に都市部から農村部に人口の流動に伴って拡大する懸念もこれまた多く、やはり予防医学の面、疫学の面、治療の面で日本の先見的な知識あるいは研究体制について支援を仰げればというお話でございました。

 この点に関しまして、やはり外交というのは人と人という側面がございますから、ぜひとも坂口厚生大臣に御尽力いただきまして、直接に中国の首脳部の方、そして今回、保健大臣が副首相という形でおなりでございますので、私は、これは日本にとって顔の見える国際貢献の非常に大きな転換点になると思うのです。

 これまで日本は空港をつくったり、あるいは今回もガウンやマスクという形の物資では、やはり十分に日本の持っている潜在能力や、あるいは科学知識における先見性をアジアの地域に活用していくきっかけがなかなか出ないと思うのです。

 これは、坂口大臣が疫学も御専門でありますし、ぜひとも向こうの指導部の方と、再度土井たか子を御利用いただきましてでも結構でございますから、御連絡をおとりいただきまして、具体的な研究体制の協力について、あるいは治療体制、実は広東省には二名の国立医療センターの医師がかつて派遣されまして、非常に効果を上げております。また、香港には疫学関係の医師が日本から派遣されて、これもウイルスの同定等に効果を上げております。ぜひとも、北京、今非常にまだまだ燃え盛っておると言われる地域でありますが、やはりここで日本が活躍できるということは、私は今後にとっても非常に意味が多いと思いますので、その点の御検討、御答弁をもう一回お願いいたします。

坂口国務大臣 中国の問題につきましては、私たちも非常に心配をいたしております。とりわけ、都市部だけではなくて地方にこれがどう波及をするかということも非常に心配をいたしております。

 WHOの事務局長にもお会いをいたしましたけれども、やはりWHOの事務局長さんもそのことを非常に心配いたしておりました。医療施設の少ない地方にこれが広がってしまったら手がつけられなくなるのではないか、今のうちに何とか処置をしないといけないと、強い決意を持っておみえになりました。

 それで、私も中国の副代表ともお話をいたしまして、お手伝いすることがあれば一緒にやらせてくださいということを申し上げたわけでございます。こちらでも、こちらの駐日大使にもお会いをいたしまして、そしてそのことを申し上げたわけでございますが、大使からも、ありがとう、しかしこの病気をおさめる自信と能力があります、こういうお話でございまして、みずから積極的に、人的支援をしてほしいというお言葉までなかなかいかなかったわけでございます。ASEANの会議におきましても副大臣に同じことを申し上げたんですけれども、ありがとうございますというお礼は何度か言っていただきましたけれども、具体的なお話がなかった。

 しかし、その後官邸の方に、やはり協力をお願いしたいというお話が正式に来たようでございます。それで、取り急いでその内容について、外務省も含めて、今問い合わせをしているところでございます。現在のところは、午前中にも申しましたとおり、マスクでありますとかあるいは体温計でありますとか、あるいは部屋に入りますときに着ます予防着と申しますか、一遍一遍捨ててしまわなければならないものですから足りない、救急車等も含めて、そうした物の支援をしてほしいというお話は来ておりますが、人の問題につきましては現在のところまだ来ていないということだそうであります。

 私は、やはり地方にこれを広めないためにも、どこかで予防線を張らないといけない、波防堤をつくらないといけないというふうに思うわけでありまして、中国の中でそういうことが足りているのかいないのか、人的な支援が必要なのではないかというふうに私は思っておりますけれども、そこに対するお答えは今のところまだ来ていない。こちらとしては、そういう御要望があれば私たちも御支援をさせてもらいたいということを申し上げているところでございますけれども、今のところ来ていない。そこのところを一体どうするかということが今後残された問題でございます。

 向こうで治療をするというわけには、向こうの立場もございますし、なかなかいけないのだろうというふうに思いますが、しかし、予防的なことだとか研究を同じにやるとか、そうしたことはできるわけでありますので、ぜひそうしたことでお役に立てばというふうに思っておりますし、積極的に申し上げているわけでございますが、しかし、余りこちらが積極的に申し上げて、かえって向こうに何か威圧的にとられてもいけないわけでありまして、なかなか気位の高い国でございますから、向こうの立場をよく理解してこちらも申し上げなければならないというふうに思っている次第でございます。そうした中で協力することがあればぜひやらせていただきたい。

 これは決して対岸の火事ではありませんで、中国で大きく拡大をすれば、必ず日本にその飛び火があるわけでございますから、対岸の火事ではなくて、やはり共同の問題として解決をしていくという心構えで我々もいかなければならないというふうに思っている次第でございます。

阿部委員 ただいま大臣も御指摘のごとく、実は、現在の小泉政権になりましてから、向こうの胡錦濤主席と小泉首相もまだお会いではございませんし、川口外務大臣も、実際には会見を申し入れられても成就しておらないわけです。やはりもちろん向こうにもプライドがあり、大国意識もある中で、しかしながら、やはり刻一刻何としてでも蔓延を防止しなきゃいけないというもう一方の重大事がある中で、坂口大臣のお人柄と御見識で一つの外交の道を開いていただくというのも、私は、日本にとっても非常に意味があり、なおかつ本当に全世界のSARS体制にとっても非常に重要だと思います。

 なお、常に坂口大臣にあれもこれもと申し上げて恐縮ですが、しかしながら、ここは一肌も二肌も脱いでいただくしかないものと考えておりますので、引き続き、かつ早急にお願いいたします。

 さらにもう一点、実は阿南大使、北京におられます大使にも会ってまいりまして、今厚生省からはお一人、外務省に厚生労働省から出向する形でお人が行ってられますが、お名前を言うと小宮山さんと申されますが、この方がお仕事上、非常に邦人保護とか邦人への情報提供で手いっぱいであるということと、それからもう一つは、医務官ではございませんので、向こうの衛生官との話し合いの中で、多少なりとも、もうちょっと情報を引っ張り出したいと思っても、なかなかもうちょっとというところがいかない。阿南大使も、御承知のように毅然とした方ですから、だから厚生省に送れとおっしゃったわけではないですが、現実には、そこにもう少し医師関係の厚生労働省の方がおられれば、もっともっと中国からの情報の入手と、それから邦人保護ということにその情報を返せるであろうというお話を、これは私も党首もじかに伺ってまいりました。

 そこで、もう一点は、厚生労働省内から現在中国の大使館に派遣しておられる方の補充、もう少し多面的に、例えば、片っ方は医務官、片一方は厚生労働行政に見識のある方とかいう組み合わせで力を発揮していただくようなことは御検討いただけまいか、これを二点目の質問でお願いいたします。

坂口国務大臣 一度そこは検討させていただきたいというふうに思いますが、同じことをWHOの方も言っておりまして、もう少しというところが聞かせてもらえないということを言っておりました。

 それで、国際医療センターの医師は、邦人が非常に不安がっておみえになるということで、中国に二人派遣をいたしまして、邦人の皆さん方に対しましては、この病気の状況、そしてどういう予防策をしたらいいかといったようなことについてずっと回ってもらって、それでようやく落ちついていただいたというようなことがあるわけでございますが、中国の住民の皆さん方の問題としてそこに入り込んでということにはなっていないわけでございまして、これは今お話ございましたとおり、邦人の方中心にどうするかという問題と、それから中国の皆さん方のお手伝いをするのにどうするかといった問題もございますので、そこは外務省とよく相談いたしまして、必要ならば人を送り込むということもしたいというふうに思っております。

阿部委員 ぜひともそのようなことを早急にお願いしたいと思います。

 実は、日本企業にお勤めの皆さんも、私は北京に行ったときにお会いはできなかったのです。会うことが感染の機会をつくるかもしれないというので、電話で何人かの方とお話し申し上げましたが、在留邦人の方も決して不安がとれたというわけではなくて、その大きな根源が、情報が中国政府からどこまで得られているかということにおいて一歩歯がゆいと、正直なところおっしゃっておられました。それには、先ほど申しました多少なりとも医務官としての知識のおありの方が厚生省から派遣されておれば、より多様な情報収集となると思いますので、これは部局内で検討できることですので、よろしくお願いしたいと思います。

 引き続いて、MMR問題、予防接種問題についてお伺いいたしますが、MMRの予防接種禍、残念なことに控訴という形で、厚生労働省がさらに大阪地裁の判決を承服せず控訴なさっておりますが、その一方で、こういうワクチンの予防接種禍について、広く事故防止のための検討を推進していくことという通達が三月十一日付で出ております。予防接種の引き続く事故防止について、今厚生労働省内のお取り組みをまず一点お願いいたします。これは事務方で結構でございます。

高原政府参考人 予防接種の事故については、あってはならないことでございまして、防止全般についてマニュアルの作成を現在関係学会と協議しながら進めているところでございます。事故防止のための作業フローチャートや確認チェックリストの作成、また過去の事例の検討というふうなものを盛り込む予定でございます。

 事故防止マニュアルの作成に当たりましては、関係学会、有識者、さらには予防接種健康被害者、そういうふうな方々の御意見を十分拝聴いたしまして、どういうところに事故が起こりやすいのか、どういうことをやれば防げるのか、そういうことを明らかにするということで現在事務的に詰めておりまして、それをまた有識者に見ていただくということを考えております。

阿部委員 昨日私が部屋で伺いましたところ、小児科学会にお願いして、ある程度の予防接種の事故防止のガイドラインはおつくりである、それから有識者にも御意見を伺うということでもあり、今高原局長の方からは、予防接種の被害に遭われた方たちの御意見も伺っていこうというお話でした。

 実は、MMRのワクチンも、期限切れのワクチンが使用されているということの指摘は被害者から上がってまいりました。残念ながら、接種しているサイドから気がついたものではございません。

 きょうのいろいろな審議の中で、坂口厚生労働大臣が、例えば医療の規制緩和という問題においても、利用者側、患者さんの望む、市民の望む規制緩和というのは何かと考えなくちゃいけないという御答弁でありましたが、私は、予防接種問題も同じように、実際には、子供に予防接種を受けさせて安全かどうか悩むお母さんたちの声、あるいは受けてしまったことで障害を負って非常に悩んでいる、苦しんでいる、あるいは取り返しのつかないことをしたと思っておられる親御さんたちの声というのもぜひとも教訓として生かしていただきたいと思うのですが、これは大臣に確認ですが、今高原局長がおっしゃったように、この予防接種禍問題においても、これから患者さんの声、被害者の声を聞く場を、ガイドライン並びに今後成案を見るまでの間に設けていただくということの確認を一点お願いいたします。

坂口国務大臣 これから予防接種の問題を考えていかなければならないわけでございまして、その中で、やはり被害に遭われた皆さん方、不幸にして副作用のあった皆さん方のお声というものもこれはお聞きをしていかなければならないというふうに思っております。そうした中で、より副作用の少ないワクチンをどういうふうにつくっていくか、最大の課題でございますので、そこをしっかりと見詰めていきたいというふうに思っております。

阿部委員 実は、予防接種は子供自身が判断するのではなくて、その子を育てている親が判断して受けさせております。それゆえに、何か事故が起きたとき、親は自分のせいでという思いを非常に強く抱くものであります。いわゆるインフォームド・コンセントのあり方についても、親御さんたちに十分意見を聞く。この間のインフォームド・コンセントですと、親御さんにどちらかというとリスク判断をしなさいと投げられた場合が非常に多くて、そのことによって、最終的にはもちろん親御さんが判断するにしろ、判断しがたいところのものを投げられている場合もございますので、これはぜひとも今の大臣の御答弁のように、ワクチンの安全性と同時に、それを受けるサイドの患者さんの声も聞いていただきたいと思います。

 同様に、患者の声、利用者の声ということで、いわゆる医療提供体制の改革ビジョン案についてお伺いを申し上げます。

 これは、担当が木村副大臣、本部長の坂口厚生労働大臣から木村副大臣が任命されておられますので、主に木村副大臣にお伺い申し上げます。

 まず第一点は、木村副大臣が、三月八日の日に設置されましたこの医療制度改革のさまざまな推進本部、実務のリーダー、本部長代理ということに任命されました。

 先ほど来政治献金のお話も出ておりますが、医療制度改革と申しますのは、やはり現在非常に重要なところに来ている折でございます。これまでの政治資金管理は、副大臣になられる前のこともおありでしょうし、それ時々の管理をなさってきたという御答弁でしたから、そのように一応承っておりますが、この重大な任につかれて、今後でございます。

 やはり私は、例えば関係する医師会や薬剤師会あるいはさまざまな医療関連団体から献金があれば、それは、副大臣の意思に、あるいはお考えにかかわらずさまざまな憶測を呼び、きょうも実はそのために、審議は同じように二重、三重にその問題が審議時間に正直言って食い込んでおりました。

 私は、坂口大臣がおっしゃる李下に冠を正さずというお言葉は、やはり一つの責任あるポジションにつかれたときの見識と承っておりますが、三月八日医療制度改革推進本部の本部長代理という大任を担われた副大臣が、今後、関係する業界団体からの政治献金についてお受け取りにならないという方向で、お役中、検討することはいかがお考えでしょうか。

木村副大臣 先ほどの山井先生の御質問にもお答えをさせていただいたわけでございますけれども、政治献金は政治家の活動として法律上認められているものでございまして、私は、政治資金規正法に基づき適正に処理をしているところでございます。

 副大臣といたしまして、国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範に基づきまして、国民全体の奉仕者として公共の利益のための職務を遂行しており、政治献金の有無にかかわらず、一部の利益のために影響力を行使したことは断じてなく、今後ともあり得ません。

阿部委員 それは主観だと思うんですね。そのことがどのように客観的に映ってしまうか、あるいは憶測されてしまうかということも含めて対処していただかなければならない立場におありではないかという指摘をさせていただきました。

 そして、このことは次回もまた審議に食い込むこととなると思いますが、他の委員も含めて御質疑と思いますので、私はもう一点、ぜひとも、任命された医療制度改革推進本部のあり方について、木村副大臣に見解を伺いたいことがございます。

 実は、医療提供体制改革のビジョン案というものが私どもの部屋に三十日付で配られておりまして、私も目を通させていただきましたが、担当部局にお伺いいたしまして、このビジョン案はどういう過程で作成されて、例えばどのようなヒアリング等々を経てここに案として御提示でありますかと伺いましたところ、そのヒアリングを受けた団体は、いわゆる業界団体でございます日本医師会、歯科医師会、薬剤師会、日本病院薬剤師会、日本看護協会以下で、これは医療提供サイドのヒアリングだけなのであります。

 先ほど坂口厚生労働大臣の御答弁にございましたように、これまでの規制改革、規制緩和においても、医療を提供する側のヒアリングはあったけれども、これからは、患者さんが望む規制緩和とは何なんだという、視点を全く逆転して見ないと物事は見えてこないということを、きょう大臣は非常にいい御答弁をしてくださったと思いますが、せめてこういうビジョン案というものが部屋に配られます前に、ヒアリングにおいて、各患者団体あるいはこの間問題になっております被害者団体、なぜならば、今、医療は信なくば立たずという時代になって、安心、安全というものがぶっ飛んでいる時代でございます。そして、安心、安全の対象はだれかというと患者さんでございます。

 そこで、やはりこういう案を作成される場合にも、今後、厚生労働行政の中で、あらかじめきちんと患者さんたちの声も聞かれた上でたたき台をつくられるような風土を心がけていただきたいと思いますが、この点についていかがでしょうか。

木村副大臣 いつもながら先生に大変適切な御指導を賜りまして、まことにありがとうございます。医療も政治も信なくば立たずであります。

 それで、先ほどの関係団体のヒアリングでございますけれども、医療提供体制側だけではなくて、例えば日本経済団体連合会とか日本労働組合連合会とか、そういう医療提供体制側だけでない方々からのヒアリングも行っているところでございますし、先生御指摘の医療提供体制の改革ビジョン案を取りまとめるに当たりましては、昨年八月に医療提供体制の改革の基本的方向について中間的に取りまとめ、公表した際に行ったパブリックコメントというものを行っておりますし、医療提供体制の改革ビジョン案を取りまとめるに当たって行った新聞社の論説委員等を含めた有識者からのヒアリング等を行っておりまして、それを通じまして、国民各層の幅広い御意見を伺ってきたところでございます。

 そして、いずれにいたしましても、国会における御議論やさまざまな立場からの御意見を今後も踏まえながら、適宜見直しを行ってまいりたい、このように思っているような次第でございます。

阿部委員 骨子の一番目が「患者の視点の尊重」でございますから、その主体である患者さんをまず第一に思い描いていただきたいと思います。

 引き続いて、私は、このビジョン案を見ましたときに、これが果たしてどれほど医療の現実というものを把握しておるのか、極めて不安に思うものです。

 どういうことかと申しますと、せんだって来、いわゆる医師の名義貸し問題、あるいは大学病院が医師を引き揚げる、あるいはアルバイト診療、大学病院におられる医師のアルバイト診療問題等々が新聞紙上をにぎわしておりますが、まず一点目、きょうは文部科学省にもお越しいただいておりますので、いわゆる医師の名義貸し問題、北海道で極めて顕著になりましたが、札幌医大、これは道立でございますが、このほかにも、国立の北海道大学十七人、旭川医大三名という形で、文部科学省の管轄下にある大学附属病院が医師の名義貸しをいたしておりました。

 名義借りをした方は医療法違反でございますが、果たして名義貸しという行為は文部科学省としてどのように考えられ、または処罰、処遇の対象と思っておられるのか。あるいは、こういう事態が北海道だけのことだとお思いなのか、その点について副大臣の御見解を伺いたいと思います。

河村副大臣 委員御指摘のように、現実に北海道大学あるいは旭川医科大学で名義貸しの事実があったことが確認をされたわけでございまして、道立札幌医科大学で、最初に北海道保健福祉部の方で調査をして出たということで、立入検査の結果そうなったわけでございます。

 医師は実態の勤務がないのにやったということでありまして、その結果、不正請求につながるようなことも起きるわけでありまして、服務上、倫理上、極めて大きな問題であると私も考えておりまして、このようなことがほかの国立大学で行われてはならないわけでございますので、今後関係者が名義貸しに関与することのないように早速指導をいたしたところでございまして、このことについては周知徹底を図ってまいりたい、こう思っておりますが、今回については、その実態をさらに調査しなきゃなりません。その上に立って、服務上どういう問題があるのか、これをきちっと対応して、責任のとり方等々については検討してまいりたい、このように思っております。

阿部委員 実態を把握するというお話で、ではどうやって実態を把握しているのですかといって私のところに持ってきていただいたのが「「名義貸し」問題に係る北海道大学及び旭川医科大学の調査状況について」という二枚の紙でした。これは、各医師や大学院生に、あなたは名義貸しをしていますかと聞くアンケートです。実は、みずから名義貸しをしていると答える場合もあるし、答えられない状況にある方もいろいろございます。

 やはり、物事の実態を把握するのに、その把握方法が適切かどうかということが一番肝要と思いますが、ここでちょっと厚生省サイドにも私はお願いがございます。

 実は、北海道でのさまざまな医師の名義貸しが明らかになりましたのは、医療監視並びにレセプトのチェックをしてまいりまして、架空診療という厚生省サイドのあずかる部分での状況を突き合わせた結果、名義貸しが二百七名とか二百八名とか露見いたしました。

 そこで、今後、厚生省が各都道府県に指導して行っておられます医療監視の中で、医師の名義貸し、架空診療について重点指導項目、チェック項目にしていただけるよう、厚生労働部局でのお考えを伺いたいと思います。これは、時間の関係で恐縮ですが大臣にお願いいたします。

坂口国務大臣 厚生労働省といたしましても、引き続きこれは全国的な問題として検討したいというふうに思っております。

 名義借りというのは悪いということはどの病院もわかっているわけですね。貸す方はどうだったか知りませんけれども、借りるという方はこれはもう違法行為であるということをみんなわかっている。わかっているものですから、なかなかわからないようにしているんだろうと思うんです。例えば職員名簿ですとか出勤簿だとか、そうしたことはわからないように私はしているんではないかというふうに思います。全国的な問題としてこれは調査するようにしたいというふうに思います。

阿部委員 実は、特にこれは文部科学省へのお願いですが、貸す方もやはり問題意識が薄いと思うんですね。おまけに、実は大学院生の身分不安定を解消するために、借り手が借りたいと言っていないのに貸すことを押しつけて、そして社会保険をつけている場合も実態としてございます。これは、厚生労働省側と文部科学省側がきちんとテーブルを突き合わせて密にコンタクトをおとりいただいて、ぜひともこの実態、私は、どちらかというと、一つは医師の人手不足で借りている実態、それから逆に、人手不足がなくてもそこから派遣してほしい、継続のゆえに名義借りをして、社会保険も全部自分たちが担ってでも、それを担保にして医師派遣をほかにもらうという実態も、これは私が昨日部屋で聞いた中で明らかになりましたので、今後、恐縮ですが、最後に文部副大臣にお願いいたしますが、厚生労働省と協力して事の調査に当たるという決意のほどを一言お願いいたします。

河村副大臣 委員御指摘のございましたように、また大臣からも御答弁ありましたように、貸す側、そして借りる側、両方がございます。したがいまして、これは我が省としても両方からの調査ということが必要でございますので、厚生労働省側ともしっかり打ち合わせをし、突き合わせをしながら効果的な調査方法をつくってまいりたい、このように思っておりまして、正確な実態把握をやってまいりたい、このように考えておるところであります。

阿部委員 残余はまた次回お願いいたします。ありがとうございます。

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