第156回国会 厚生労働委員会 第18号(2003/5/28) 抜粋 ○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
きょうももう私の回で最終でございますが、いつも私の回のときにこういうことばかりして恐縮なのですが、でも、せっかく傍聴に見えている方よりも、我慢強く待ってくださっている委員は別として、やはり成立していないのではないかと思います。
それで、私は最終回ですし、時間の後の皆さんの予定もあると思いますから続けてやりますが、だがしかし、やはり本当に恥ずかしいと思わなくちゃいけないし、私は、何でこんなていたらくかということは、実はこの法案の出され方、そして答弁のいいかげんさ、働くことに対する哲学、全く感じられない。よく恥ずかしくないものだと私は思いながらずっと聞いておりました。
特に今、小沢委員の御質疑に対して松崎基準局長の二つのお答え、一つは、司法判断イコール国民のコンセンサスに近い、そのまま法律にすればよい、そんなものだったら、武山委員も繰り返しおっしゃるように、立法府なんて要らないんです。
やはり働くということを、この社会の中で、特に混乱期、多様な働き方が現実に必要とされ、また望まれる。労使双方からかもしれません。そのときにあって、その働くということがきちんと社会の中で位置づけられ、守られ、より双方が発展していくためのいわば政治の先見性が問われているのが立法府だと思います。その意味で、私は何度聞いても松崎局長の答弁ははなから、申しわけないが、何のためにこの委員会をやっておるのだと思わざるを得ないのです。
では、なぜそういうことになるか、だれが一番責任なのかということにおいて、申しわけございませんが、質問予告していないのですが、でも坂口厚生労働大臣に伺いたいと思います。
実は、五月の六日、城島正光委員が代表質問において小泉首相にお尋ねになったことですが、例えば、一九七三年、フランスにおいては、ちょうどいわゆるオイルショックの時期で、雇用環境が非常に大変な折から、逆に解雇規制をルール化、法制化するような取り組みがなされた。あるいは、ついせんだって、韓国、一九九六年にやはり労働問題をめぐる大改正があり、引き続く九八年に解雇規制ルールを法制化した。
事態は、やはり労働環境も経済環境も変わる。その中でどのような向きに政治が行動するかにあると思いますが、坂口大臣が実はこのことについてはっきり言明された場面というのは、残念ながら、私も聞き漏らしたのかもしれませんが、ないのですが、大臣が一つだけ関連してお答えになったとすると、有期の労働者の契約期間中、きょう山井委員も御質疑でしたが、五年なら五年、三年なら三年で、逆に労働者の就職の自由、意思の自由を奪うことにならないかという御質疑が、これも城島委員から本会議であったときに、それについて社会的コンセンサスがまだでき上がっておらぬからという御答弁が一個あったのが、大臣がお考えになるこの労働法制全体に対してのスタンスかと思います。
前振りが長くてこれも申しわけないのですが、大臣、やはりこの現局面下で、非常に雇用も大変、経済も大変、そして大臣は、やがては経済もよくなろう、あるいはもっと働く側も働きたいような働き方に持っていけるだろうというお考えをお持ちなことは前提として、今この時点で、この国会が働くことということについて定めなければいけない一番の問題は何か、そしてその方向性は何かということについて、御答弁をお願いいたします。
○坂口国務大臣 現在の経済の置かれております立場、そして労働問題が置かれております立場、これは一つの大きな転換期に差しかかっているというふうに私は思いますね。
例えば、日本におきます労働力人口はあと一、二年で減少に転じてくる、そういう時期にかかっております。また、日本の経済におきましても、日本の経済はいわゆるグローバルな世界の中で新しい方向性を見出していかなければならない、そういう事態に直面をしている。あの右肩上がりの時代のあの経済の内容とは全く異なっている。そういう状況の中で、今労働者がその権限をどう守っていくか、私は大変大事な時期だというふうに思っております。
そうした意味で、労働者が安心して働けるようにするためには一体どうするのか。もちろん、先ほどから出ておりますように、裁判の中で最高裁の判決でも示されている。それは法律としてちゃんと今まであれば、その法律に基づいて裁判が行われたでありましょうけれども、残念ながら労働関係の法律の中にその法文は存在しなかった。そういう意味で大変残念なことだというふうに私は思っておりますが、それだけに、今この大事な時期でありますから、私は、この解雇ルールというものを明確にしておく必要があるのではないか、それはこの労働基準法の中に明確に書くことが大事ではないかというふうに思う次第でございます。
先ほど第一条、第二条も読ませていただきましたが、第一条、第二条の中に書かれておりますことは、労働基準法の掲げる精神をその中でうたっております。そのうたっております精神の中で、この解雇の問題をそこに入れるというところに意義があると私は思っているわけでありまして、そういう意味でこの十八条の二を読んでもらいたいということを先ほどから申し上げているところでございます。
○阿部委員 そのようなお考えに立ったとして、解雇規制ルールを明文化するのか、今回のように、ずっとできないという条文の体系で来た労働基準法をできるという形に変えていくのかは、実は非常に運命の分かれ道になるわけです。
そこで、これも大臣にお伺いしたいですが、今回、この基準法の改正に当たって、通常であれば労働基準法研究会等々での審議、論議、これは、私は全くそれを是とするものでもありませんが、少なくとも労働者側の方にとっての不利益とか、労働者側から見て法的観点の検討をする研究会、学者の会です。
さっき、学者はいろいろおっしゃるからとおっしゃいましたが、審議会と並行して、あるいは先立ってそういうところでの法的な研究というものもきちんとされて、しかるべく成案を見て提出されるべきだと私は思いますが、そこがどうあっても、これは規制改革会議がもうちょっと雇用環境の流動化というか使い勝手のよい労働者のあり方ということを求められて、そのことにそのまま乗っかる形で今回の、本来は労働者側のいろいろな健康や働き方を守るべき厚生労働省が、間を一個抜いてしまってそのままに法律化されているのではないか、そのことが逆にこうした審議過程にもあらわれているのではないかと思いますが、今回なぜ、労働基準法研究会等々の意見を聞く、ないしはそこでの問題点、指摘を受けて事が進められなかったのでしょうか。後ろから実務サイドがおっしゃるなら実務サイドが御答弁ください。
○松崎政府参考人 確かに労働基準法研究会というものがございまして、最近ここでも議論がございました例えば労働者派遣法でございますとかパート労働者の対策要綱でございますとか、いろいろな労働基準関係の法律については、労働基準法研究会という学者の先生だけの集まりで、いわば審議会にかける前に成案を詰めるということでやってまいりました。
しかしながら、やはりこれはオープンではないのではないか、ちゃんと労働政策に関しましては、当時は労働基準審議会、今は労働政策審議会の一つの分科会でございますけれども、ほかの審議会とは違いまして、労働関係につきましては、公労使ということで、公を代表する方、それから労働者全体を代表する方、使用者全体を代表する方、こういう公労使三者構成という審議会があるんだから、そういう学者だけで私的な研究をするのではなくて、もっとオープンに公労使入った場でもともと初めから研究すべきだという意見が非常に強うございました。
そういったことで、今回の場合は形式的な場としては労働政策審議会の労働条件分科会、こういった場を使わせていただきまして、かなり長期にわたって検討を行い、また私の経験におきましても、今回の分科会といいますか審議会ほど、特に学者の先生、弁護士の先生おられますけれども、公益委員がいろいろと発言をされ、いろいろ見解を述べられ、また労使の委員から質問をされ、それに答えられたといった例はなかったぐらい、真剣に法律的な観点からも議論をされたということで、きちんと法律的な観点からの検討は行ったというふうに考えております。
○阿部委員 今の御答弁ですが、やはり大きな矛盾があると思います。労働法研究会、労働基準法研究会でも結構です、今までほかの働き方については、派遣とかパートについてはきちんと相談してきた、この労基法についてだけは、その方たちに相談するよりも審議会方式で、そこに公益委員を多く入れたという御答弁でした。しかしながら、逆に言えば、この方たちを排除したことにもなってきます。
そして、いわゆる公労使一体になった審議会ということで、そこの部分が中心にやりたいという声が高かったという御意見ですが、これはどなたの声が高かったのでしょう。よりはっきり、だれの声が高かったんですか。厚生省の声ですか、使用者側の声ですか、労働者側の声ですか。
○松崎政府参考人 だれの声が大きかったといいますか、それは特に公益委員として、こういった審議会の場があるんだから、そういうところで我々だってそういう責任を果たせるということだと思います。そういった御意見に対しまして、労使も賛同してやったということでございますし、また基準法研究会も、派遣法でやりましたのはもう二十年近く前の話で、それ以来途絶えておりまして、また新たに再開ということは考えなかったということでございます。
○阿部委員 今の前半の答弁も答弁になっていません。だれが労政審、労働政策審議会を中心にやることがいいと発案されたのですか。この間の、全部そうですけれども、資料を出してください、何してくださいということでも、だれがというちゃんとした主語、働きかけにはだれから始まったかがあるんです。それが松崎さんの御答弁には全くないんです。ファジーで責任逃れで、その結果、ほとんど労働者の声が聞かれていない。そして、こっちの席はあき、向こうがいっぱい来る、こういう審議状況になるわけです。
もう一度伺いますが、労政審が中心になって事を進めるべきだ、労働基準法研究会についてはもう二十年も前だから、これは実は私がきのう部屋で伺った担当のお話と違いますが、労働基準法研究会でも、解雇ルールをどういうふうに明文化していくか、解雇規制ルールというやり方でやるのと、解雇ルール、今回のようにやるのと、論議があり、いろいろな意見があったと伺っております。二十年前しかやられていない、派遣法について二十年前にしかやられていないというのも本当のことでしょうか。もう一度御答弁お願いします。
○松崎政府参考人 ちょっと話がずれるかもしれませんけれども、労働契約、これは今回の解雇の問題も含めてでございますけれども、私がたしか労働基準局の監督課の課長補佐のときに派遣法の研究会があり、そこでは派遣法の原案をつくったわけでございますけれども、そのときに、やはり御指摘のように、労働基準法研究会で確かに検討いたしました。これは、派遣問題について、従来の使用従属関係という一本の関係、これを労働契約関係と指揮命令関係に分けるというところ、こういった非常に従来にない法律関係をつくるということで、かなり法制的な面があるということでお願いした記憶がございます。
それに絡んで、労働契約の問題について言えば、労働基準といいますか労働関係の法律の中で、労働契約法というのはもともとないじゃないか、こうやってだんだん労働契約というものが重要になってくる時代、働き方が多様化していく時代では、労働契約というものの重要性が増すんだから、例えば労働契約法といったものを検討すべきではないかといった議論もございました。そういったところで、一応そういった話もあったということで、私ども事務方としましては、いろいろそれ以降、研究会の場ではなくて、たまにはいろいろな先生に相談しながら、長期的に検討してきたという事実がございます。
また、今回の場合におきまして、話は戻りますけれども、だれがという話でございますけれども、確かに検討したのは十三年の九月でございます。
今申し上げましたように、過去十数年にわたりまして、労働契約法というのができれば何とかしたいということで、我々事務方は、いろいろな諸外国の例、そういったものも参考にしながら、また先生と個別に相談しながら、論文を読みながらということで温めてきましたけれども、やはり全体としてはなかなか整理がつかないというところがあって、成案には至っておらないわけでございますけれども、そういう経緯の中で、十三年の九月に、今度、午前中も申し上げたと思いますけれども、こういった状況の中で、基準法の改正といいますか、労働契約期間の関係、裁量型の問題、それから解雇ルールの問題、こういった問題について見直すべき時期が来ているんじゃないかという公労使三者の共通認識のもとに検討が開始されたという経緯がございます。
したがいまして、そのときに、なぜ、だれが審議会でやろうと言い出したかということでございますけれども、これは、従来の基準法研究会が残っており、その直前まで基準法研究会という方式を使っておったのであれば、選択の余地があったのかもしれませんけれども、そのときは現実問題としては、基準法研究会でやるか、それとも別に新しい研究会を新たに設けるかということになり、そういった中で、従来、審議会でもいろいろ関係者の方から御議論があったわけでございますから、その場を使おうということになったのだと思います。
また、あえてだれがということになれば、当時の労働基準局長かもしれませんけれども、それは現在においてその責任は私が引き継いでいるということを言わざるを得ません。
○阿部委員 そういう雑駁なことをなさるから、例えば労働基準法研究会でも、契約法としてこの解雇の問題は、逆に雇用の問題、雇用契約上で解雇の問題をどのように扱うのかは大変にいろいろな側面が、これは問題があるという指摘があったわけです。
それを受けて、問題があるという指摘を受けながら、何らその過程を検討せず、もう一つの、審議会というのはいろいろなところでありますから、審議会形式の中に投げ込んだ。そしてそこで、一方で規制改革会議でのこれからの望ましい労働者のあり方というのを、当然使用者側からの提案を受けた形でこの政策審議会にかける。
私は、例えば契約法上、法的にいろいろな問題が多様にあるといったら、その次にまず考えるものは、さっき言った働き方の哲学なんだと思うのです。そこが全く欠落してしまって、こっちにはニードがある、法体系はよく検証されない、その合間で、ぐちゃぐちゃにしたまま今回現状追認的な形を何とか玉虫色で法制化しようとするから、何だか禅問答のような、足しても引いても変わらないだけ、上下逆さにしても同じだとか、そんな論議をしているから、本当にこれが労働者のためになるのか。
私は、例えば有期とか派遣とかいう働き方が、本当に労働者側の選択でそのように選択されていくものである可能性があるとすれば育てればいいと思いますし、その意味で大臣の御認識と一緒ですが、このままでは本当の個人側の働く者の意思も保障されないし、健康問題にも問題が出てくるということで、野党そろって修正を求めているわけです。
今のような、これまでの審議、これまでの検討、これまでの考え方も全く不明瞭、そして哲学もない、なし崩しの中で法制化されていくこのことについて、もう一点松崎局長に、長く労働基準局におられましたから絶対に御存じなことと思いますので、お尋ねしたい点がございます。
いわゆるILOの百五十八号条約というものが一九八二年でしたかできておりますが、このことに関しまして、我が国の厚生労働省の国際課、本当は国際課にお答えいただくのがいいのかもしれませんが、どのような検討をされ、どのようなお考えがあり、そして、私は昨日、この検討資料を出してくれと言いましたが、資料がない、全くない、二十年間全くないと。しかし、そんなことはあり得ないと思うのです。これは非常に大きな労働の解雇のルールです。そのことをめぐって百五十八号条約があり、厚生労働省としても検討はされてきたと思うのです。なぜ全く資料がないのか、どんな検討がされたかもわからないのか、もし現場に詳しい松崎局長が御存じでしたら教えてください。
○松崎政府参考人 正直申し上げますと、余りこの件については詳しくないというのが正直でございます。
ただ、ILOの百五十八号条約は、先生御指摘のように、労働者を使用者の発意による雇用の終了から保護するということを目的にして、いろいろな雇用終了の場におきます手続とか、さらには、この場でもいろいろ議論になっております解雇問題が訴訟で争われる場合のいわゆる挙証責任の問題、そういったことについても規定してございます。
そういったことで、検討した経緯といいますか、確かに、きちんとといいますか、がりがりと批准へ向けて検討した記憶はございません。
と申しますのは、今申し上げましたように、これを一見して、百五十八号条約、これは仮訳でございますけれども、読むだけで既に何点か現行制度とは全く違っている。例えば、意思表示をしたときには、解雇する前に労働者に弁明の機会を与えなければいけないといった点。細かい点でございますけれども、差別的な条件の一つとして皮膚の色が入っているといったようなこと。それからさらに、先ほど言いました挙証責任が使用者側に負わされていること。一見明らかな部分がございます。
それで、我が国の場合、御承知のように、このILO条約というもの、こういったものについて、確かにこの条約は、採択の場合には政労使賛成してございます。これは、趣旨について賛成したわけで、こちらの方向へ向かった、こちらの方向といいますか、こういった趣旨について賛成で、中身についてできることは取り込んでいこうという趣旨だと思います。
したがいまして、今申し上げましたように、一見しても問題点がありますので、具体的な批准に向けたぎりぎりした検討というのは行っておらなかったはずでございますし、私の記憶でもぎりぎりとした検討は行っておらない。したがいまして、具体的な検討資料というものはないということになろうかと思っております。
○阿部委員 今の答弁は、総論賛成、各論反対、結局何もやっていないという答弁でありますが、こういう今グローバル化した、経済も働き方もいろいろな意味でグローバル化して、国際基準ということがやはり非常に重要だという時代になり、そして二十年間、今の松崎局長のおっしゃったような、何の文書も残さず、総論は公労使で合意したけれども、あと細かな点、皮膚の色とかなんとかがあるからと。そんなの印象ですよね。
逆に、厚生労働省という、昔は労働省といったのでしょうか、そうした省庁を挙げて、何ができて何ができなくて、現実の制約は何か、国際法にのっとれない我が国独自の制約があるならそれは何か、我が国に不適切であるならそれは何か、そういうことが検討されてしかるべきと思いますが、この二十年間の怠慢について、坂口厚生労働大臣にお考えを伺いたいと思います。
○松崎政府参考人 確かにこの百五十八号条約につきましては、政労使一致で採択に賛成しております。
と申しますのは、総論賛成ということよりも、趣旨としては賛成で、特に我が国の場合は、批准というものにつきましては、国内法と突き合わせ、まさにこれは法制局で法令審査するわけでございますけれども、国内制度との突き合わせを行いまして、本当に漏れがないということを、国内法を整備してから批准するということで現在まで来ております。
したがいまして、現行制度におきますと到底、先ほど皮膚の色も申し上げましたけれども、そこは私の感じでは解釈で何とかなろうかと思いますけれども、先ほどの挙証責任の点、そういったものについては致命的なものがあって、これについては、見ただけでこれは現行制度ではなかなかできないということで、検討はしていなかったということでございます。
○阿部委員 採択に賛成で、しかしながら、個々に点検すら印象においてしていない、何も公文書が残らない、そんな行政というのはありでしょうか。
例えば、今回厚生労働省が出された労働基準法の改正は、今いみじくも松崎局長がおっしゃったように、真っ逆さなわけです。例えば、この百五十八号はむしろ解雇規制ルールです。「当該労働者の能力若しくは」云々「運営上の必要に基づく妥当な理由がない限り、終了させてはならない。」と。「限り、終了させてはならない。」と、解雇規制ルールの明文化。それから、挙証責任についても、第九条にございますが、「終了の妥当な理由のあることを挙証する責任が使用者にあること。」となってございます。
私は、少なくとも、これが採用されるかされないか、不都合は何か、この採択をしたんであれば、それから国際化した時代に我が国も乗りおくれまいとするんであれば、やはりきちんとした検討、その検討もなくてなぜ真っ逆さの法律が出てくるのか、そこが厚生労働行政の怠慢ではないかと思うのですが、もう一度これは坂口大臣に御答弁をお願いいたします。
○坂口国務大臣 真っ逆さまというお話でございますけれども、内容は私はそんなに違っていると思いません。表現の仕方がどうかということであろうというふうに思いますけれども、私は、趣旨は十分に尊重しているというふうに思っております。
したがいまして、この法律をつくるにいたしましては、解雇ルールをつくるということを初めに言いましたときに、これは労働側もそれから経営者側も、両方とも反対だったんです。反対、もうそんなのはつくらなくてもいい、今のままでいいと、両方とも反対でございましたけれども、だんだん話をしておりますうちに、しかし、そうはいうものの、裁判の判決の結果だけで、そして労働基準法の中に何にもないというのも、言われてみればそれはそうかということで、だんだん皆さんも、それでは一遍検討しようじゃないかということになってきて、そして皆さんいろいろと審議会でも長時間かけて御議論をいただいたというふうに思っております。
書き方の問題は確かにあるんだろうというふうに思いますが、しかし、その言わんとするところ、そこは私は間違っていないというふうに思っておりますし、先ほどから何度か申し上げておりますように、この労働基準法という法律の中の位置づけ、その位置づけの中に書いた十八条の二ということでございますから、私は十八条の二をそんなゆがんだ読み方はできないというふうに思っている次第でございます。
○阿部委員 別に、私がゆがんでひねくれていて、それから坂口大臣が真っすぐで疑いがないわけでなく、一つの法律は、それが法律としてできたとき、私はやはり一番大事なのは立法趣旨なんだと思うんです。そこに込められた哲学なんだと思うんです。そのことが余りにも現状を足しもせず引きもせずというんであれば、現状でよいわけです。
そして、実は私も労働分野など全くの素人ですから、こういう法案がかかると一生懸命勉強するわけです。それで、この百五十八号についても、本文を見てふむふむと思った点があるので、ぜひ大臣も、もうお読みかもしれないけれども、御確認いただきたいんです。
一九八二年にこの条約ができたときの書きぶりの中に、「近年多くの国で経験された経済上の困難及び技術的変化に起因する重大な問題に留意した上、」要するに、今私たちが認識しているような経済上の困難あるいは技術革新に伴う働き方の変化、そのことを勘案した上で、解雇規制ルール、挙証責任は使用者側、そして、してはならないという法文をつくって、世界にこれを広めていこうという法律の体系があるわけです。
私は、そのあたりは、大臣の本当に純粋な意識される部分と、一たびこの法律がひとり歩きし出したときのさまざまな問題を懸念しますし、それ以上に、やはり本当に我が国で、特に若い人たちがこれから安心して働いていける法体系をつくるのが、現在の政治家の私たちの役割だと思っていますので、大臣にはもう一度、この百五十八号ができた社会状況、社会環境、そして今我が国が直面しているさまざまな困難状況の中での先見性をお示しいただきたいと思います。
まだまだこれから質疑の時間もたくさんあると思いますから、大臣にも、もしかしてお心が少し変わるかもしれないし、お時間の経過を見させていただいて、また別途、質問をさせていただこうと思います。
もう一つ、私は、この委員会審議が何だか法文解釈的で、押したり引いたりでつまらないなと正直なところ思う理由のもう一つが、勤労者の実態、労働者の実態ということを、何を聞いても、ほとんど厚生労働省側が把握していないという答弁が余りにも多いのです。先ほどの小沢委員の時間外労働の件でしたか、これも把握していない、あれも把握していない。私がお部屋に厚生労働省の係の方をお呼びして伺ったときも、本当に把握していないというのが多うございました。
そして、把握していないままに、例えば有期契約についても、三年から今度五年、あるいは一年を三年と、どんどこどんどこ延ばしていかれますが、そもそもでございます、この三年という雇用契約の労働実態把握はどのようになされているのか。
昨日、私が伺いましたところ、一応、雇用条件に関するものはアンケートをおとりになった、契約期間の上限が三年よりは五年がいいという方も多かった等々が示されましたが、労働時間はどうなっているか、給与はどうなっているか、有給休暇はどうなっているか、育児休暇の取得はどうなっているか、このことについてデータがあればいただきたいと申しましたが、いかがでしょうか。
○松崎政府参考人 今の有期労働契約が三年の方の労働実態についてだろうと思いますけれども、これは平成十三年に、厚生労働省におきましては、今申し上げた有期労働契約三年の対象労働者を含む有期契約労働者を対象にしまして、何点かの調査をしてございます。
調査項目としましては、労働時間、賃金支払い形態、それから従事している業務、業務上活用している資格、就業年数、契約の更新の有無、回数、それから有期契約労働者として就業している理由、契約期間が決定された理由、望んでいる契約期間の長さ、契約期間終了後の希望、法律上の上限が延長された場合の不都合の有無、こういった項目について調査はしております。
〔宮腰委員長代理退席、委員長着席〕
○阿部委員 有給休暇もしていらっしゃると今おっしゃったっけ。
○松崎政府参考人 これはまさに、有給休暇については、今申し上げましたように、項目には入っておりません。
○阿部委員 あと、育児休暇はどうでしょうか。
○松崎政府参考人 これは本来、有期労働契約が三年の方についての中心的な現状と、それから今後の希望みたいなものを聞いておりますので、そんなに項目をふやせられないということもありまして、それもしてはおりません。
○阿部委員 松崎局長は、今、内閣が、内閣委員会の方で少子化対策基本法というのを提案されているのを御存じでしょうか。
○松崎政府参考人 たしか、きょう内閣委員会で、議員立法ですか、議員提案の審議がされたということは知っております。
○阿部委員 いわゆる少子高齢化問題、今まではどちらかというと高齢化問題に軸足が多うございましたが、昨今は、国会の共通認識として、少子化問題をやはり何とかしていかなくちゃいけない。そのときに、私は、先回の質問でも、派遣労働、二十歳代、三十歳代の女性に多い派遣労働の方たちがどのように育児休業がとれるのか、そのこともお伺いいたしましたし、雇用均等局長が御答弁でございましたが、ことしの四月から調査をかけるというお話でした。
しかしながら、本当に女性たちが今のような労働形態の中で出産を選び取れるのか。このことは、我が国が本当に真剣に取り組まないと、例えば少子化対策基本法で不妊治療に厚生労働省が保険適用をするとか、そういうこと以上に、全体の女性たちの働く条件、働く環境、働く現実が把握されていなければ、私は、対策は対策としての意味をなさない、本質的に誤った方向にしか進まないという思いを強くしています。
そこで、松崎局長にお伺いいたしますが、有給休暇についても育児休業についても調べてはいない。それで、もともとこうした働き方の変化は、人が人らしく、ゆとりを持って、選べる、こういううたい文句で登場してきました。有給休暇もわからない、子供を産めるかどうかもわからない、そうした働き方、これを現状調査もせずになぜ三年から五年に延ばしていかれるのですか。
○松崎政府参考人 こういった今申し上げました項目の調査、こういったものによりまして、大体の現状とそれから方向性、特に働いている方の希望といったものが、具体的に自分の労働条件、そういったものを前提にしながらの御希望、そういったものがわかるということで、そういったものを参考にさせていただいているというところでございます。
○阿部委員 そういう考え方だから、我が国には過労死が後を絶たず、少子化していくんです。本当に働いている人たちの人間的な働き方というのは何かという原点に厚生労働省が立ち返らない限り、使い勝手のいい有期やパートや派遣でしかなくなります。
逆に、望んでそのような形態で、本当に権利として働けるというような可能性があるとしたら、まず厚生労働省が、現実にそういう形態で働いている方の実態がどうかというところの項目の中に絶対に、ゆとりであるところの有給休暇、そして女性たちが当たり前に産み育てる、もちろん男性もそれに参加するわけですが、そういう人間の営みの基本がきちんと調査されなければ、こんな法律、出すべきでないと思いますが、松崎局長、いかがですか。
○松崎政府参考人 私といたしましては、今回の改正といいますか、改正案をつくるに当たりまして、完璧とは言いませんけれども、必要かつ十分な調査をしたというふうに考えています。
○阿部委員 それが必要かつ十分な調査では大変に困りますし、やはり基本認識を何としてでも変えていただかないと、この国で働く人々は本当に、さっき言った過労死するか、子供を産むことすら選び取れなくなっています。
坂口大臣に御答弁をいただきたい。私は、少なくとも現状調査の項目の中に、労働者にとって働くことのゆとり、有給休暇、そして女性にとっては、やはり妊娠というのは、もちろん計画的に、三年有期が終わって、そして妊娠してまた三年、こういうふうに全くコントロール下にあるものでもございません。やはりその時々、産める条件、それは働き方のゆとり、あるいは、実は育児休業法にも期限の定めのある者の育児休業はもともと論外になっておりますが、育児休業法が定められたとき、有期はせいぜい一年まででした。しかしながら、法律の方が勝手に三年、五年と有期を延長していき、その間、女性たちには何らの法的な保障がなく、しかし、国は基本対策で産めやふやせと言いますが、やれっこない、できっこないことを女性たちは迫られるわけです。
やはりここは大臣に、基本的な認識、特に私は、具体的に申しますれば、有期で働く、三年で働く人たちの有給休暇問題と育児休業の実態調査をしていただきたいが、いかがでしょうか。
○坂口国務大臣 少子化対策、これは各分野でやらなきゃならないことだけは、総論は私もそのとおりというふうに思います。これは、ただ単に医療の問題とかそうした一部の問題だけではなくて、厚生労働省だけではなく、各省庁ともにこの少子化対策に対する取り組み方というのはやらなきゃならないというふうに思っています。
その中で、何をどうやるべきか。私も、いろいろの場面に直面をしながら、何を行ったらこれは解決ができるのかということを思うわけでございますが、一つは、現在の経済状況の置かれている立場というものがございます。これは、日本の国だけでどうしようと思っても、なかなかできないことでありまして、世界における日本の置かれている立場を考えましたときに、まことに厳しい経済状況ではございますけれども、その中で生き抜いていかなければならない、そういう側面があるわけでございます。しかし、その側面の中で、日本の国として何を考えていけば日本の少子化を予防することができるのかということだろうと思うんです。
先日もここで少し御紹介申し上げましたけれども、今私の方でまとめておりますデータ、これは、日本の都道府県の中で、いわゆる労働時間の長い県ほど少子化が進んでいる。逆に言えば、労働時間が短いほど子供の数は多い。これはもう物の見事な統計上の数字になっておりまして、非常に私も驚いたわけでございます。そういたしますと、これは労働時間をどう短くしていくかということが、とりもなおさずこの少子化対策として最も大事なことだというふうに言わざるを得ません。それは、女性だけではなくて男性も含めてだというふうに思います。
先ほども申し上げましたとおり、皆さん方のお話の中にも、やはりお金は多い方がいいけれども、金だけが人生ではない、それよりも生きがいのある仕事をしたい、そういうお考えでNPO等にお入りになって、そして少ない賃金の中で頑張っておみえになる皆さん方もおみえになる。やはりそうした中で、子供というものを産み育てていくというこの文化をどう日本として構築していくかということだろうというふうに思っております。ですから、全体としては、男性も女性も含めまして、労働時間というものをどう抑制していくかということだろうと思っています。
私は、そういう意味では、働き方は多様化させた方がいいというふうに思っています。しかし、現実問題としては、今、働く時間数が短い方向に進んでいないんですね。どちらかといえば、リストラが行われて、そして残った皆さん方の労働時間数というのはふえてきているという現実がある。だから、ここをどう乗り切るかというのがこれから最大の課題になっているというふうに思っております。
そうしたこともあって、いわゆるサービス残業の問題につきましても、これは基準法違反でもございますし、これはいけない、もう一歩前にどうして進めたらいいかというふうなことで議論をし、一歩前に進めることにしたわけでございますが、それだけではやはりこの達成はできない。もう少し、日本の国全体として、その中で何をどうしていくかということについて議論を深めていかないと、この問題は達成できないというふうに思っています。
これは、もちろん労働条件ということも大事でございますが、ただ単に労働条件だけの問題ではない。日本の全体の仕組みそのものも変えていかなければならない。そうした大きな問題に直面をしながら今進行しているというふうに総論としては自覚をしているところでございます。
○阿部委員 もちろん労働条件だけの問題ではなくて、子供を産み育てることを社会がどんな価値観を持って受けとめていくかという、これもその哲学だと思います。しかし、最低条件を整えないと、やはりそれもならない。その最低条件とは、働く働き方だと思います。
その意味で、先ほどの松崎局長の、私がお願いした有給休暇や例えば育児休業のとり方の問題、全く意識にも上らない、全く調査もない、全く必要性も感じない、そのような形で進められていくことは、本来の厚生労働行政にとって、あるいは日本の社会にとって、本当に弊害しか生まないと思います。
私は、何度も申しますが、あわせてまた、これ以降も質問させていただきますので、きょうは幾つか問題点の指摘にとどめさせていただこうと思いますが、今大臣のおっしゃったゆとりある働き方ということについても、具体的事例を挙げてお話をさせていただこうかと思います。いわゆる裁量労働の問題で、裁量労働が導入されてから、果たして勤労者にとって働く時間のゆとりはどう変わったかということでございます。
この点に関しまして、厚生労働省がお出しいただきました資料の中にも、裁量労働、今回、企画型の労働にも裁量労働を広げるということですが、そもそも、今大臣がおっしゃった労働時間の短縮という大きなゴールに向けて裁量労働を取り入れて以降、そのゴールは達成されたか逆さに向いたか、松崎局長に御答弁をお願いします。
○松崎政府参考人 従来から政府では、年間実労働時間千八百時間という目標を掲げまして、そこへ向けて労働時間短縮、これは、所定労働時間、残業だけじゃなくて、年次有給休暇、特別休暇も含めてでございますけれども、そういったものを含めて年間千八百実労働時間に向けて努力をしておりますけれども、現在のところ、そこまでは達成しておりません。
また、そういった中で、企画裁量型とかいろいろな、いろいろなといいますか、専門型の裁量型、そういったものが導入されましたけれども、これによる影響というのも、ふえたとも言えず、また減ったとも言えず、どっちにも、ニュートラルというふうに私はとらえております。
○阿部委員 それは余りにも恣意的な、自分たちがとった労働統計をちゃんと見るべきです、松崎さん。
専門業務型で、「ほとんど変わらない」が五九、「短くなった」と「やや短くなった」を合わせると一四・二、「長くなった」と「やや長くなった」を合わせると一九・九。この五%の差をあいまいにして、わからなくして、あえてデータとしてとらないというのは余りにも恣意的です。あなた方は何のために統計をとっているのか。やはり労働時間を千八百時間なら千八百時間に短縮していくために、この裁量労働の導入が果たして延ばしたか縮めたかくらい、もっと自分たちのとった統計を真剣に見てみるべきです。五%の差、五%であれ「長くなった」に多いということは、やはり十分認識されてしかるべきです。そういう認識で次々次々裁量労働を広げていくから、何度も申しますが、悲惨な事態が生じるわけです。
せんだっての委員会で山口委員がお取り上げになりまして、具体的に例示をされませんでしたが、いわゆる光文社事件というのがございます。これは、二十四歳のまだ若い編集者、専門業務型で働く二十四歳の若い労働者です。この方が過労死なさいました。
この方の労働時間、死亡直前一カ月で二百九十三時間五十二分、時間外労働百二十七時間。死亡前二カ月三百四十三時間五十六分。いいですか、二カ月というのは、一カ月間で三百四十三時間働いているんですよ。時間外労働百七十時間。死亡前三カ月二百三十九時間、時間外労働百二時間。死亡前四カ月三百十八時間、時間外労働百五十八時間。死亡前五カ月三百二十九時間、時間外労働百五十八時間であります。
そしてこれは、一昨年の十二月の労災の認定の見直しによって六カ月にさかのぼって、長時間労働だということで、やっとの思いで労災認定はされました。しかしながら、二十四歳のこの死んだ青年は帰ってきません。私たちの社会が本当に若い人たちを守るルールをつくっているのかどうか。
そして、この方のお母さんが裁判の中で述べられた意見陳述を読んでも、この御本人が望んでそのような裁量労働をしていたかというと、決してそうではありません。
この方は、男性ですが、女性週刊誌に就職されました。そして、新たな経験しない分野だけれども、どうやっても編集者になりたいからといって勤めたのだけれども、原稿の催促の電話、バイクで家に原稿が届いたり、あるいは催促に出向く、毎日帰宅は午前一時、二時、そして一年目が終わるころには三週間に一日の休みもない出張校正、息子は風邪以外に病気はしたこともなく、体力も人並み以上にあった、そんな息子がどうして、社会人になって一年四カ月、たった二十四歳で死ななければならなかったのでしょうというお母さんの意見陳述があります。
私は、少なくとも厚生労働省として、こういうさまざまな労働形態を取り入れていったならば、そのことが本当に大きなゴール、労働時間の短縮に向けて進んでいるのか否かの政策評価が一点、そしてもう一点、やはり労災問題があわせてこうした不幸な死を生まないように一つでも改善していかなきゃいけないと思いますが、この点について坂口大臣の御認識を伺います。
○坂口国務大臣 労災につきましては、今までのいわゆる短期の過剰労働というものが中心でありましたのを、短期ではなくて中期と申しますか、何カ月間かにわたりまして過剰労働が続く、そうしたものにつきましても過労死として認めるという方向にしなければならない。
実はこれは、私、前回に労働大臣をさせていただきましたときの宿題になっておりまして、そのときに言い残したことをずうっとそのまま旧労働省の中で検討を進めてきてくれておりまして、そして一昨年の十二月に、この過労死の問題、基準改正をさせていただきまして、中期的な労働に対しましても過労死として認めるということにさせていただいたところでございます。裁判中の皆さん方、その中でも幾人かこれに当てはまる方は裁判を取り下げさせていただいて、そして過労死を認めさせていただいた、こういう経緯があるわけでございます。
これからも、こうした物の考え方、やはり論理的にも整理をしながら進めていかなければならないというふうに思っておりますが、過労死の問題は、超過勤務になったときにどうするかの話でありまして、問題は、そういう超過勤務が続かないようにするためにどうしたらいいかということが一番大事なことでございますから、これからも一生懸命やりたいと思っております。
○阿部委員 今の大臣の御答弁を受けて、原局の松崎局長には、これから裁量労働がまた広がっていくような今回の法改正ですが、過労死防止に向けての歯どめ策は何か具体的にお考えであるのか、この点についてお願いいたします。
○松崎政府参考人 先生は過労死の問題を出され、また、今大臣からも過労死の認定基準というものを、もっと現状に合った格好で、過去にさかのぼって見ることによってこの認定を進めていくということでやっております。しかしながら、ここでとどまったのでは、いわば、死ぬまで働け、死んだら後は面倒を見てやるというふうになってしまいまして、これでは私ども、行政ではございません。
したがいまして、十四年の二月、昨年二月でございますけれども、過重労働による健康障害防止のための総合対策というものを策定しております。これは中身としましては、時間外労働の削減でありますとか、年休取得の促進でございますとか、特に健康管理の徹底といったものを掲げまして、そういった事項について具体的に事業者といいますか企業が講ずべき措置というものを決めまして、そこで指導をし、進めてもらっているところでございます。
この過重労働による健康障害防止対策でございますけれども、これは通常の労働者はもちろん対象でございますけれども、時間管理をみずから行うといいますか、裁量労働制の対象になっております企画型裁量制、専門型裁量制の方ももちろん対象になります。
したがいまして、そういった方についてもこういったことをきちんと進めるようにしなければならないということをさらに徹底することによりまして、従来にも増してこの健康障害防止対策というものは強力に進めていきたいというふうに考えています。
○阿部委員 私は、今のような対策はもちろん重要ですし、しかしながら、それが実相を把握していないと有効な対策にならないと思うのです。
そこで、今松崎局長の御答弁に、年休取得の促進という答弁がありましたね。でも、では有期雇用の人はどれだけ有給休暇をとっているのか、実態は調べる必要がありませんと。それでは、年休取得の促進というのは何を意味しているのか。自家撞着ですね。法律とか行政というのは美しくうたわれていればいいわけじゃなくて、実際を知って、生きている人間を本当に生かしていくためのものだと思いますが、今の局長の言った年休取得の促進ということと、有給休暇の実態調査がない、有期雇用でもいいです、裁量労働の方々の有給休暇でもいいです、そのことについての矛盾はお感じになりませんか。これで終わりますので最後に。
○松崎政府参考人 矛盾といいますか、全体についての統計はあるわけでございますけれども、なかなかそれのためだけの統計調査というのは行っておらないということでございます。
また、そういうことでございますけれども、今申し上げました、ちょっとお答えになっていないかもしれませんけれども、過重労働の健康障害防止対策、確かにこれは、健康障害を防止するためにいい、ためになるものをいろいろ挙げておりますけれども、我々の職場の実態を考えてみましても、確かに年休の取得というのはなかなか難しいなと。確かに、特に夏休みについて、計画取得ということで、一カ月以上前にカレンダーを配りまして強制的にやらせていますけれども、これでも難しいというので、これは書いても、特に労使協定による計画年休、こういったものが一つの意義ある格好になるかもしれませんけれども、こういうのを使わなくて、個人個人が今こういう状況の中で、私は来週休みますと言うのはなかなか難しいなというような感じがしております。
したがいまして、これは全部やってはおりますけれども、やはり時間外それから健康管理の徹底、そういったところを現在は私個人としては地方に対しても、重点といいますか、指示を与えてやっておるという状況でございます。
○阿部委員 時間が来ましたので、次回、引き続いてお願いします。
○中山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
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