第156回国会 厚生労働委員会 第21号(2003/6/4) 抜粋

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阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日までの審議を踏まえて、そしてこの間、修正案の作成に向けた、与党並びに野党民主党の皆さんを中心とした協議に敬意を払いながら、しかしながら、やはり私自身がこの法案について抱いている大きな危惧をどうしてもきょうは大臣並びに関係の実務担当者に御質疑いたしたいと思い、十分のお時間をいただきます。

 私がこの十分で伺いたいことは、主に女性たちの出産や育児にかかわる点でございます。冒頭、質問予告をしてございませんが、坂口大臣にお伺いいたします。

 私はこの法案を見ましたときに、一年の有期雇用が三年に延長される、また、三年は五年にということを見たときに、一番最初に、もう直観的に危惧を抱きましたのは、ちょうど女性たちが子供を持とうかな、持つことを選択しようかな、一番そうした思いを抱く年齢に、その方たちの働き方が、有期で、今まで一年が上限であったものが三年に延長されるという事態が果たしてどのように影響するだろうかということでありました。

 大臣は、直観としてというと失礼ですが、この法案の提出に当たって、まず、そうした女性たちの出産あるいは育児にかかわる問題と今回のこの労働基準法の改正のクロスするところについては、御認識はいかがであったでしょうか、お願いします。

坂口国務大臣 有期になる皆さん方が、どういう方がなるのかということは、確かに今阿部議員がおっしゃったような年齢の人たちも、それはいるかもしれませんし、子育てが終わった後、有期やろうかという人もいるかもしれませんし、そこはいろいろあるんだろうというふうに私は思っております。ですから、女性の方も多いでしょうし、その中の年齢もさまざまだというふうに私は思います。したがって、その中に出産適齢期の皆さん方がお見えにならないと私も申し上げているわけではなくて、確かにそういう皆さん方もお見えになるだろうというというふうに思っています。

 きょう午前中にも少し議論がございましたが、その皆さん方の問題、例えば、一年というのであれば一年ということで決着がつくかもしれませんけれども、三年ということになってくると少し長くなってまいりますから、その中で、妊娠ということだってあり得るというふうに思うわけです。そうしたときに一体どうするかということにつきましては、これはやはりあらあらのルールを少し決めておかないといけないだろうというふうに思いますし、よく議論をしたいというふうに思っております。

 また、それぞれの企業におかれましても、労使の間でのお話し合いというものもあるわけでございますけれども、その前にやはりもう少し大きな立場からそれを、そうしたときにはどうするかというようなことも少し尺度を決めておかないといけないのではないかというふうに思っている次第でございます。

阿部委員 いつも前向きな御答弁で大変ありがたいと思いますが、私は、本来はこうした法案の提出に先立って、この問題がきちんと把握されるべきだと思うのです。

 例えば、有期雇用の労働者七百二十万人のうち、女性たちの何歳くらいの年代がそうした形態で働いているのか。せんだって、派遣労働法のときも同じことを申しましたが、やはり派遣労働ですと、二十歳代、三十歳代が大変に多い。そして、今の育児休業法ですと、期限の定めなき労働者に対しての適用でございます。

 今の坂口大臣の御答弁を聞かれて、岩田局長に伺いますが、今の大臣の御答弁は、こうした有期という働き方の拡大と合わせて、育児休業法の、ある意味での、大きな意味での見直しも必要ではないかという御意見と承りましたが、原局として、お考えを伺いたいと思います。

岩田政府参考人 仕事と子育ての両立を保障するための就業条件の整備をするというのは、また大変大事な課題であるというふうに思っております。

 現行の育児休業法は、育児を理由として雇用の中断が起こることがないように、その継続を図ることを目的といたしておりますので、したがいまして、雇用期間が一定の期間にあらかじめ限られている期間労働者は、その対象から除外をしているものでございます。しかしながら、労働基準法が改正され、期間雇用者の法制が変わるということでございましたら、そのことがこの育児休業法の体系の中にどういう影響を及ぼすことになるのか、そういったような観点も含めて、検討する課題の一つであるというふうに考えております。

 労働政策審議会で、四月から、育児休業法全般の見直しに入っておりますので、その中で、この委員会の御審議も踏まえて検討がなされるということを期待いたしているところでございます。

阿部委員 もう一点、岩田局長にお願いいたしますが、例えば、育児休業法の指針、通達の中に、そうした期限の定めなき労働者でなくても、実態において業務内容がそれ相当であることということとあわせて、契約が更新されていることという一項がございます。そういたしますと、有期が三年になると、契約更新とは、三年、三年、六年、あるいは五年、五年、十年たっていないと、この指針、通達にはひっかかってこないということも、現実に、このとおりに解釈すれば起こってまいります。

 私は、三年、三年、六年、その間に、女性たちが産むことを選べない、すごく重要な、本当に、生存権あるいは自分の生き方の制約になってくると思いますが、この一点をもっても、私は、原局がみずから問題点を指摘して、労政審なら労政審に投げるくらいの覚悟がないと、女性たちの均等待遇というのは保障されていかないと思いますが、今の私の一点、この契約が更新されていること、この通達そのままにお考えであるのかどうか、お願いします。

岩田政府参考人 今、委員が触れられました指針は、有期労働契約が実質的には期間の定めのない契約となっている状態かどうかということを判断するときのための指針でございまして、有期労働契約の雇いどめの可否が争われた過去の裁判例を踏まえまして、期間の定めのない契約と実質的に異なるか否かの判断をするに当たって、幾つかの留意点を記しているわけでございます。

 契約の更新だけではございませんで、業務の内容がそもそも恒常的であるかどうかですとか、継続雇用を期待させるような事業主の言動があったかどうかとか、更新がされたか、あるいは更新の手続が形式的であるかどうか、そういったようなことを総合的に判断をするということになっております。

 したがいまして、今先生が言われました点につきましても、契約法制が変わるということでしたら、そのことも含めて、これからの審議会の中での議論も踏まえて、指針のあり方もまた再度検討してみたいというふうに考えます。

阿部委員 最後に一問だけ、松崎局長にお願いいたします。

 先ほど大臣答弁で、労働時間の短縮、わけても有給休暇の取得は非常に重要である、そして、この法案提出に至る実態調査の中で、実は、先回の私の質問に、松崎局長は、有給休暇と育休については調査をしていないが、する必要もないと、あえて短絡的に、失礼な言い方ですが、おっしゃっていました。しかしながら、きょう、ここで大臣の御答弁を聞かれて心に変化が起きたのではないかと推察いたしますので、育休の状況、そして有給休暇の取得状況、この有期労働者たちの現状についてきちんと実態調査をすること、そして、七百二十万人の年齢分布、特に女性たちのありようについてきちんともとデータをお出しになることを要求したいと思いますが、簡潔に御答弁をお願いします。

松崎政府参考人 有期労働者の問題につきましては、昨年暮れの労働政策審議会の建議におきましても、この場でもいろいろ御紹介があったと思いますけれども、トラブルの発生の状況を把握して審議会に報告しろ、さらに、もうちょっと全体的な有期労働契約のあり方について検討を行うということが述べられております。

 したがいまして、そういった検討をこれから行っていくに当たりまして、どういったデータをもとに検討していくのがいいのかということになろうかと思いますけれども、そういった場合に、今御指摘の有給休暇なり育児休暇なり、そういったものがどの程度必要なのか、また、必要であるのかないのか、そういった点を含めましても、今後の検討の中で考えていきたいというふうに思います。

阿部委員 有休も育休も必要なものですから必要かどうかを検討されては困りますから、それを申し添えて、終わります。

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