第156回国会 厚生労働委員会 第22号(2003/6/6) 抜粋

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阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 私どもの社会にとって何よりの希望であります子供たちのことが、こうやってたくさんの同僚議員の皆さんの熱心な討議によって、あるいはまた大臣、副大臣以下担当省庁の皆さんの知恵を絞って論議されることに、まず冒頭、私は三年間国会に立ったところですが、この今回の質問が一番心からいろいろないい答えを獲得したいなと思うものでありますので、大臣にもくれぐれもさらに前向きの御答弁をお願い申し上げます。

 そして、実は、先週、先々週の労働者派遣法あるいは有期雇用の問題は、先ほどの小沢委員も御指摘ありましたが、多様な働き方という言葉は悪くはないのですが、現実には不安定な雇用で、特に女性たちが産む環境ということにおいては、私は、一歩どころか百歩後退ではないかと案じておるわけです。

 そして、その懸念の上に立ちますと、私の大好きな子供たちがまず生まれ出るには、コウノトリがぽこっと運んでくるわけではなくて、お母さんのおなかから生まれてくるわけですが、そのお母さんの働く環境あるいはお父さんとなる人の働く環境ということが、この次世代育成支援対策推進法案提案理由説明のところに残念ながらちょっと一言触れられていないんじゃないかなと思うので、冒頭、指摘だけさせていただきます。

 冒頭から三行目、「我が国における急速な少子化の進行並びに家庭及び地域を取り巻く環境の変化に伴い、」とございますが、私は、家庭及び地域及び労働を取り巻く環境の変化に伴いと一行入れてほしかったと思いますが、これを大臣に聞いても、先回も聞きましたので、お考えはいろいろでございますと言われてしまうと余り楽しくないので、一応私の指摘にとどめさせていただいて、もっといい答弁がいただけるような問いから始めます。

 まず、これは午前中の江田委員への坂口大臣の御答弁か、あるいは鴨下副大臣であったか、ちょっと失念いたしましたが、今回、配偶者特別控除が廃止されまして、約二千五百億のそのための財源をどのように使うか、少子化対策に使おうか、大変にありがたいことと思いますが、そうではあってもなおさらに、もともと我が国の児童手当、子供が本来子供であることで、この社会に生まれてきたことで保障されるべき根源としての児童手当というのは、ヨーロッパ諸国に比べても破格に、ゼロ一けた違うんじゃないかしらと思うほど破格に少ないと思います。

 もちろん、予算の配分は、大蔵省、今は財務省と厚生労働省のせめぎ合いの中でしかいかないものとも思いますが、でもしかし、ここで大臣、やはりさらなる児童手当そのものの、私は、親がどのような状態であれ、どこに生まれようと、やはり子供は子供その子としてこの社会に生きていくいろいろな権利の保障のまず第一は児童手当であろうと思います。

 今後、あらゆる困難、危険を越えて、この児童手当の拡充に前向きに取り組んでいただけるものと心から期待していますが、まず、その点に関して大臣の御答弁を伺いたいと思います。

坂口国務大臣 まだ決定したわけではございませんけれども、現在、小学校入学前のお子さんに対しまして児童手当が出ておりますが、少なくとも小学校三年生までは延長できるものと思っているところでございます。

阿部委員 財源措置に関しましても、今後恐らく、配偶者特別じゃなくて配偶者控除の方も、やがて、男性と女性がおのおのにさまざまな社会保障を得ながら支え合っていく社会ということをモデルにした場合に、廃止という極端な方向をとるかどうかは別として、何らかの措置も行われようかと思うのです。

 でも、それだけが行われたのでは、やはり現実には非常に、子供を産みたいと思っても現実に産めない多くの若い層も出てくると思いますので、これは大臣がもううなずいていただいたので、そうだと言ったと勝手に思わせていただいて、子供の本当の児童手当そのものの充実に、例えば子育て支援対策何とか費とかやっても、砂に水をまくようなもので、吸収されていく先は本当のその子に届かないということがなかなかあるので、児童手当として充実させていただきたいということを冒頭お願い申し上げて、質問に入らせていただこうと思います。

 今回の法案、二法案ございますが、特に次世代育成対策に関します推進法に関しましては、拝見いたしましたところ、一から三番までは、主に現実にここに生まれてきた子供たちにフォーカスが当たっておりますし、四以降は、そのお子さんの親となられる方たちにフォーカスが当たった取り組みだと思います。もちろん、多少オーバーラップいたしますけれども、本日は一から三について主に伺わせていただき、また次週、四以降をやろうと思います。

 私は、次世代のいろいろな支援対策の中で、いわゆる行動計画をつくって、県も市町村もおのおのに行動計画をつくっていく、それ自身はよろしいことかなとも思いますが、そのためのガイドラインを厚生省としておつくりになるということが書かれております。

 現在、三千市町村のうち、実は、エンゼルプランを初めとして、戦後の長い母子保健行政の中で、それなりの地域の取り組みも含めて、子供たち支援対策ということについて、ある程度行動計画的なものが作成されている市町村も既にあると思いますが、三千市町村を母集団にとったときに、そのような今厚生労働省がガイドラインとしてさらに充実させようと思う、その土台になるような行動計画的なものができている都道府県は一体幾つぐらいおありでしょうか。

岩田政府参考人 都道府県は、四十七全数で地方版のエンゼルプランが策定されております。

 市町村についてですけれども、平成十三年四月一日現在ですが、千三百七十二の自治体で策定されております。

阿部委員 済みません。都道府県と市町村と分けて言うべきでありました。

 都道府県はラフな策定計画で済むと思いますから、現実に生活の場に近い市町村というところでの策定計画ということが非常に現実に重要になってくると思いますが、この三千自治体のうち、既にそれらしい形のあるもの千三百七十二といたした場合に、策定されていないところの特徴と策定されているところの特徴、何か差異はございますでしょうか。

岩田政府参考人 簡単な分析しかできておりませんけれども、今申し上げました数字を市、町、村に分けて状況を見てみますと、市は策定率が約八〇%、町は三六%、村は一七%ということでございまして、自治体の規模によってプランの策定状況が大きく違うのかなというふうに思っております。

阿部委員 私も、実際に、本当に現実に立ち返って考えますれば、今の市町村のサイズによると思うのですね。市八〇%、子供も総体に多うございます。それから、町、村となっていくに従って御高齢者の比率がふえてまいります。一部過疎化あるいは小学校の廃校、そして現実にもう地域に子供がいないというようなところもございます。

 もちろん、一人でもいれば、一人は万人のためにですから、策定計画も重要と思いますが、実は、なべて三千市町村が同じようにこの行動計画というところに重きを置くこと以上に、私は、最低限のインフラ、最低限の整備として、まず子供たちが現実に一番命の危機にさらされているところの、例えばですが、救急医療問題とか、さらにもう少しフォーカスを当てて、そのことがどのように保障されているかというような形で、子供たちの健全な生育ということを今回厚生省にぜひお考えいただきたいと思うのです。

 と申しますのは、これまで私も小児科医で母子保健をやっていましたので思いますが、大体は、母子保健と言われます領域、そして今回の次世代育成支援推進法の中でも、一応ガイドライン的に検討中となっている行動計画策定指針の骨子の中でも、「子どもの健康と安心・安全の確保」「母子保健医療提供体制の整備」という非常に漠たるものですので、これでは、例えば各市町村が、本当にどこに自分たちが最低限殺さないための整備をどうするかというふうに意識化するのが、なかなか仕事も多うございますし、逆に小さい村とかは職員も少のうございますから、大変になってくると思うのです。

 ここで坂口大臣にぜひともまたスーパー前向きな発言をお願いしたいのですが、私は、実は以前に、国の政策医療十二の中に、小児救急医療を新たにお取り入れくださいますように大臣にお願い申し上げて、大臣は、そのようにいたしたいと思いますと非常に達見で御返事をいただきました。そこで私は、このたびはこの行動計画の中に、特に小児の救急医療ということの現実の充実体制、もちろん、ないものはないのでやろうと思ってもできないというのもそうですが、せめて全国のありようを浮かび上がらせるために、行動計画指針の中に、特に小児救急医療についても一行触れていただきたいと思いますが、局長と大臣におのおの御答弁をお願いいたします。

坂口国務大臣 この法案におきまして、市町村でありますとか都道府県が策定いたします行動計画の内容の一分野といたしまして、「母性並びに乳児及び幼児の健康の確保及び増進」というのが掲げられております。もう一度申し上げますと、「母性並びに乳児及び幼児の健康の確保及び増進」というのが掲げられておりまして、これは小児救急医療体制の充実につきましても、市町村でありますとかあるいは都道府県の策定する行動計画に盛り込んでいただきたいというふうに考えているところでございます。

阿部委員 大変ありがとうございます。

 それでは、引き続いて、小児救急医療体制のことでの質疑に移らせていただきます。

 数日前に新聞報道がございましたので、きょう御出席の委員の皆さんも、あるいは坂口大臣も御存じの事例かと思いますが、東京の東部地域病院を受診された豊田理貴ちゃんという五歳の坊やが、朝方の五時前でしたか、病院を受診されて、一回はおなかが痛いということで受診されて、浣腸を受けておうちに帰って、またおなかが痛くなって七時過ぎに病院を受診されて、そして一応、ちょっとトラブルはあったようですが、お医者さんに診てもらって入院をして、しかしながら、午前中いっぱいお医者さんの診察は受けられないで、午後に急変して亡くなられるという事件がございました。

 診断名が腸閉塞、腸が詰まってとなっておりますので、現代の医療で適切に加療すれば、やはり五歳のぴんぴん元気な子が死ぬような病気ではないと私は思います。現代医療は、もうそこまでは一応クリアしていると思いますが、非常に不幸な転帰をとられたわけです。

 そして、この東部地域病院というのは、国が輪番指定で東京都にお願いして、ある程度の補助金を出し、東部地域での輪番に組み入れているところなので、豊田さんのお母さんとしては、ここが行きなさいよと指定された病院でもあり、受診されて入院したのに、診てもらえずに亡くなった。本当に悔やんでも泣いても余りある親御さんの気持ち、それから亡くなった子供の不幸を私は思うわけですが、まず、坂口大臣に冒頭、この出来事、事件についてどのように今お考えであるかを伺います。

坂口国務大臣 けさも少しお話があったところでございますが、私も、この記事を見ましたときに、やはり問題点は二つあるというふうにそのときに思いました。

 一つは、これは病院の患者さんに対する対応の仕方、いわゆる診断以前の問題としてそれが十分であったかどうかということではないかというふうに思います。

 それからもう一つは、そのお子さんを診断して、そして腸閉塞という、どちらかといえばどこにでもある病気を診断ができなかったということに対する問題があるのではないかというふうに思います。一言で腸閉塞と言いましても、種類はいろいろでございますから、一概には言えないかというふうに思いますけれども、レントゲン写真を撮れば、その障害を起こしている上のところにガスがたくさんたまっているとか、いろいろなことがそれだけでもわかるわけでございますし、そんなに難しい話ではなかったのではないかという気がいたしまして、それだけに大変残念に思う次第でございます。

 なれた小児科の先生であれば、十分対応できたはずではなかったかというふうに考えるわけでございますが、しかし、患者さんの症状というのはそれぞれ違うわけでございますから、素人の私が一概にそういうことを申し上げるのは失礼かというふうに思いますけれども、大変残念に思っている次第でございます。

阿部委員 今、大臣の御指摘で、二つ問題があろう、一つは病院の対応、患者さんの訴えに対して、看護婦さんが取り次いだにもかかわらず診察がおくれた、あるいは午前中丸々診察がなかったというような状態、二つ目は診断のレベルあるいは治療のレベルの問題という御指摘をいただきましたが、私が先ほど申しましたように、輪番として、輪番に指定されていれば、利用者はというか患者さんは、地域の方は選ぶこともできないし、とにかくそこに行くしかないわけであります。

 言いようによっては、あるだけいいじゃないかという言い方もあえて言う方もありますが、私は、そう言ってしまったらもともと行政なんか要らないと思うわけで、逆に、こうした実際の診療レベル、患者応対ということも含めて、患者さんたちにとって安心できる医療体制が提供されるために、例えば厚生労働省として次のステップ、何かお考えのことがおありなのかどうか。

 これは、お部屋での質問取りのときは医政局長にお願いすると申しましたが、局長でも大臣でも、今大臣はかなり微に入り細にわたり御答弁いただきましたので、原局サイドとして医政局長がもし御答弁であっても結構であります。

篠崎政府参考人 今回の事件につきましては、病院における事故調査委員会で、大学病院などの医師の第三者を加えて、ただいま大臣から申されましたような事柄ですとか、あるいは診断の妥当性などについての検証が近く行われると聞いておりますので、私どもとしては、監督官庁である東京都から詳しい事実関係等の報告を待って、適切に対応したいというふうに考えております。

 また、ただいま先生から申されましたように、ある意味では、医療の質と申しますか、あるいは医師の質と申しますか、そういうものの確保が重要ではないかという御指摘だろうと思いますけれども、おっしゃるとおりでございまして、これは教育の問題あるいは研修の問題ではないかと思っております。

 私どもといたしましては、地域の小児科医師などを対象として、特に小児救急医療分野の研修を小児医療拠点病院において行っておりまして、地域の小児救急医療の充実に努めております。また、そのための研修のための国庫補助もしているところでございます。また、平成十六年度から新たにスタートいたします医師の臨床研修制度におきましても、小児科の実習を必修といたしておりまして、少なくとも一カ月以上、三カ月を目安として、その研修を必修化するというような方向で検討しているところでございます。

阿部委員 二十五年前に受けました小児科医の教育の知識からすれば、これはいわゆる小児の腸重積といって、腸と腸がはまり込んでそこが腐っていく、小児科医のイロハで、まずこれを診断できなければ怖くて当直できないというような疾患だと思います。大人の方がなられる腸閉塞と違って、子供の腸は非常に入り込みやすいので、小児科医が当直するときに、いわゆる音のないぜんそくとこの腸重積ということは必ず死に直結する危険性があるからというふうに私どもも指導されて医者になったわけです。

 そして、なおこういうふうに患者さんが亡くなっていく現状というのは、本当に日本の社会が、逆に言えば、子供たちのことに向いて後退しているというか、ないがしろにされている。特に、当直のお医者さんも疲れていたのかもしれないけれども、不安な親御さんを待たす、そして午前中に全然診ない、これでは本当に浮かばれまいなと思います。

 医療の質ということについて、今度、聞き及ぶところによりますと、厚生労働省としても、医療安全相談センター、医療安全対策支援センターでしたか、そういうセンターをおつくりになって、相談業務も受け付けるということでありますから、その病院の評判とかいうことは、当然そういうセンターからも相談が寄せられて、上がってくるものと思うのです。そういう地域に、保健所に窓口を持つセンターにもたらされた相談と、それから現実の医療提供とが、どこかでドッキング、情報交換していかないとよくなっていかないと思いますので、これは、医療安全対策支援センターの活動の一部としてまた次回質問させていただきますので、指摘にとどめさせていただきます。

 もう一点、今、局長御答弁の拠点病院の件ですが、私、これも以前から問題にしておりましたが、二次医療圏、大体三十万人を一つの二次医療圏と見て、日本全国三百六十三、二次医療圏に分けて、そこで、その地域で子供が夜必ず入院できるという病院がきっちりあるような体制をつくっていただきたいとお願い申し上げて、私が質問したときは、たしか百二十くらいの整備状況だということを半年ほど前伺いましたが、その後、少しは進捗なさいましたでしょうかというのが一点。

 それから、さっきの篠崎局長の御答弁の中に、地域の小児科医教育のために、拠点病院を中心に小児科医のレベルを再教育していくということもお考えだとおっしゃっておりましたが、それは、医師会とかの動きと連動したものであるのか、それとも直接厚生省が拠点病院にお願い申し上げてやっていくようなプログラムであるのかについてだけお願いします。

篠崎政府参考人 小児救急の対策についてでございますが、数字を申し上げますと、平成十四年度末現在の数字で申し上げますと、拠点病院につきましては六病院十二地区で実施をいたしております。このほかに、前からやっておりました二次医療圏を単位といたしております小児救急医療支援事業につきましては、百地区で体制整備が進んでいるというところでございます。

 それから、今御指摘になりました研修のことにつきましては、これは小児救急医療拠点病院に直接補助をいたしまして、そこで直接研修を行っていただこう、こういうプランでございます。

阿部委員 ありがとうございます。

 一応お伺い申し上げたのは、実は、医師会は加入している方もしていない方もございますし、加入は基本的に任意のものでございますので、柔道整復師の問題でも同じですが、整復師の業界というところを経ないと研修できないというふうにしておくと差別が生じます。もちろん、一つの窓口として医師会なり整復師会の窓口を利用されるということはあっていいかと思いますが、やはりいろいろな、そこで現実に診療している方たちの総体に、区別なく、差別なく行き渡るような教育体制ということをお願い申し上げます。

 引き続いて、今の医療提供体制ということでお伺い申し上げますが、これも先回少し質問予告してございましたが、特に小児救急医療では切実でございますが、大学が臨床研修必修化ということを平成十六年度に行うに当たって、それを理由にした地域病院からの医師の引き揚げが起こっているのではないかという指摘がなされて、厚生労働省の方でも実態調査等々もなさったやに伺っておりますし、また文部省とも連携してこの問題で意見交換がなされたことかと思いますが、これも医政局長でよろしければ御答弁お願いします。

篠崎政府参考人 平成十六年度から実施されます新しい形の臨床研修制度の準備を進める中で、地域の医療機関での医師の確保が困難になるのではないかといったような指摘あるいは懸念をする声が聞こえてきております。

 そこで、四月の十八日でございますけれども、省内の新医師臨床研修制度実施推進本部におきまして、大学病院の関係者そして地域医療の関係者、地域の病院等の院長に集まっていただいた地域医療関係者から御意見を伺ったところでございます。

 いろいろ御意見がございましたけれども、例えば、大学病院の医師数には大きな変化はないので、引き揚げはないのではないかという大学側のお話もありますし、また、地域の病院に医師が行かなくなるのは引き揚げが原因ではなくて、本人の自由意思によるものではないかという側の意見もあります一方、大学病院による医師の引き揚げが始まりつつある、あるいは、新制度に対する大学病院の準備が進むにつれて、今後、その可能性がますます大きくなるのではないかというような意見も聞かれたわけでございます。

 それで、病院団体等の調査によりましても、若干そういう数字が見られるわけでございますので、私どもといたしましては、今後、地方厚生局におきまして、地域の医療関係者を構成員といたします連絡協議会を設置して、地域医療を担う病院における医師の確保を支援したいというふうに思っております。また、文部科学省との連携も密にしておりまして、新しい臨床研修制度の円滑な実施に向けて、その準備に取り組んでいるという状況でございます。

阿部委員 私も、確かに文部科学省からも数値の入ったものをいただきまして、過不足がないんだというお返事でしたが、たった一つだけですが、きょうは、幾つも私のところに寄せられますので、一つだけ事案を御紹介したいと思います。

 ある医療法人T病院というところからいただいたもので、この病院は創立が一九八〇年で、一九八七年には特定医療法人として認可されており、地域の中核病院で百七十三床の急性病院です。一九九七年からは、さらに病院を新築して文字どおりその地域の中核病院となっておりますところですが、一九八九年四月から、ある大学小児科医局より医師を派遣していただき、一九九九年までの十年間でだんだん一人から二人とふやしていただいたところが、二〇〇一年八月からは、指導医が派遣されるという約束があったにもかかわらず、突然二名の引き揚げが起きたということです。

 そのときに大学の医局がこの病院に伝えたところによりますと、一、今後は民間病院には医師を派遣しない、公立病院のみにします、二、T病院の意向はわかったが、これからは医局の人事というのは人事委員会で決めるので何とも答えかねる、三、今のことの繰り返しですが、今後の医局人事はすべて医局内人事委員会で決定します、四、T病院を希望する人がいれば赴任を妨げないということなのでありますが、現実にこれは、この大学病院はもちろん国公立のとある有名病院ですが、やはりかなり現実のところ医局の意向なり、それから、この言い方は極端と思いますが、民間病院には派遣しない、公立病院にしますというような言い方といい、実際には、地域医療病院の重要視というところが、だんだんウエートがなくなっていっているのではないかなと危惧されるわけです。

 そして、現実には、この二名の医師の引き揚げで、この病院は年間約五千万円の減収が現実になった。やはり小児科医がいなければ、三人体制でやっていたところ、一人になりましたから、実際の実診療上の影響も出るし、地域では基幹病院がなくなるということになっていますので、やはり先ほど私がお願い申し上げましたように、行動計画の中できっちり小児医療も見ていただいて、どこがSOSを出しているか、そして、そういうことをトータルに情報収集して、厚生労働省として医師の適正配置ということを再度考えていただきたいと思うのです。

 私がここまで申し上げますのも、実は、医局の問題は、今、どんどん医局はやめましょう、例えば、弘前大学、群馬大学も、医局はなしにしましょうという一方で、それではどこを媒介に医師を紹介していくかというと、有料の職業紹介所が入っている場合が指摘されています。

 札幌医大の例ですが、有料職業紹介所が、これは医師の名義貸しのために自分たちの業を行った。ただし、この有料職業紹介所は無資格であったために問題になっていますが、有資格の有料職業紹介所が、今後は、医師の希望と地域の希望あるいはいろいろをメニューして配置するということも十分起こってきます。そうしました場合に、条件のよいところ、都会、仕事の軽いところ、当然、人はだれでもそうですけれども、なびくと思います。

 でも、医療というのはそうしたことを超えて、ある公共性を持って国が提供していかなきゃいけないというところですので、坂口大臣に、くれぐれも文部科学省との意見交換、それから、もしかして今後医局がなくなっても、紹介業というような形で医師の派遣が行われるかもしれないような現状を踏まえて、厚生労働省としての医療提供体制に取り組んでいく幾つかの御所見を伺いたいと思います。

坂口国務大臣 私は、やはり大学病院、すなわち大学の医学部というところは、地域医療というのは一つの大きな柱だと思うんですね。それは、教育もあるでしょう、研究もあるでしょう、診療もあるでしょう。しかし、それだけではなくて、政策医療やそして地域医療というものがやはり一つの大きな柱でなければならない。そのことを抜きにして大学病院というのはあり得ないと私は思うんです。ところが、今までの大学病院は、ややもいたしますと地域医療ということを忘れてしまって、研究とその大学病院における診療と、そして学生の教育だけに偏ってしまっている。

 私は、地域の病院に医者を出さないというのは大学病院の傲慢だと思いますね。それはやはり厳しく言っていかなければいけないことだというふうに私は思います。また、そういう体制をつくっていくために私たちも考えなければいけない。

 今回のことの端を発しておりますのは、今回の研修医制度におきまして、今まで大学病院にばかり研修医が固まっておりましたので、もう少し地域にも研修医が散らばって、そしていわゆる本当の地域における医療とは何かを研修してもらう、勉強してもらうということが大事だということで、そういうふうにしたわけでございますけれども、何か逆に大学病院からしっぺ返しを食ったような感じになりまして、地域の医師をすべて引き揚げるというような形になってまいりまして、二、三回、大学の先生方ともよく話をしたわけでございますけれども、必要ならばもう少し話をしなければならないのではないかと最近考えているところでございます。

阿部委員 声を上げられない小さな子供たちのためにも、ぜひとも坂口大臣の今の御決意と見識を強く大学にもお伝えいただきまして、本当のいい医療提供体制ができますことをお願い申し上げて、残余の質問は次回に、申しわけありません、予告してありましたが、時間の配分が悪くて足りません。

中山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

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