第156回国会 厚生労働委員会 第23号(2003/6/11) 抜粋

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阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日は、共産党の小沢委員の心広い御配慮によって、私の方が質問時間を先に譲っていただきまして、この時間帯に質疑をさせていただきます。

 私は、まず冒頭、先ほど来の武山委員と、あるいは木村副大臣の御答弁などをお聞きしながら、やはりこの法案の趣旨というか基本理念と申しますか、何のためにこの法案をつくるのであろうかという骨格をちょっと論じさせていただこうかと思います。

 この次世代支援対策の推進法でございますが、開いてまいりますと、第三条ですね、「次世代育成支援対策は、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、家庭その他の場において、子育ての意義についての理解が深められ、かつ、子育てに伴う喜びが実感されるように配慮して行われなければならない。」とございます。

 この一文はある意味で当然といえば当然で、子育ての第一人者が親であり、そのミクロコスモスと申しますか、子供を取り囲む一番最小単位が家庭であるということは認識した上で、さて、例えば私どもの現代社会は、多様に働き方や家庭環境の変化やさまざまな変化要因がある中で、本当に子供たちをサポートしていくために、むしろ社会の側が何を組み立てていくかということで、次世代支援対策推進法というのがあると理解しておりますが、冒頭恐縮です、質問予告してございませんが、坂口大臣にその点の確認をお願いいたします。

坂口国務大臣 それは、今御指摘になりましたとおり、私もそのとおりというふうに思っております。

阿部委員 こういうことを申しますのは、実は私は小児科医療の現場にいて、もちろん現代の御両親というものが、やはり子育てということに対して、例えば坂口大臣とか私自身が子育てした時代とは違う環境に置かれていて、さまざまなストレスを感じていて、そしてそれがまた逆に、あなたたちの育児態度、あなたたちの家庭的責任、あなたたちの親としてのあり方が問題なんだというふうに返されたら、本当にそれで元気に子供を育てていけるようなパワーを得られるだろうかというと、決してそうではないと思うのです。

 昔々から振り返れば、時代は、三歳児神話というもののように、三歳まで親がしっかりと育てないと、子供は、例えばですが、昔よく言われました、ぜんそくになるぞ、不登校になるぞ、落ちこぼれるぞと。本当に親はやはり一番子供と密な愛情に結ばれておりますが、だがしかし、その親すら今社会の中の存在として不安定要因をさまざまに抱えているからこそ、子育てというところにまたいろいろな問題も出てきておると思うのです。

 私は、きょうここにお残りいただいた多くの議員の皆さんが、やはりこれまで、子供の問題はマイナーだし、それから子育てということがこういうところで論じられることもそうそうはなかったけれども、むしろこの視点、子育て中のお父さんやお母さんが、本当に子育てにリラックスして、本当の意味で自分たちの成長の一過程として取り組んでいけるよう、あるいは家庭という巣を失った子供たちにも、この社会が温かいはぐくみを用意できるような国でありたいと思って質疑をさせていただきますので、冒頭、前置きが長くなりましたが、一言確認させていただいてから、次の質問に入らせていただきます。

 これも質問予告していなくて恐縮なのですが、坂口大臣にお伺いいたします。

 私は、先回の質問で小児救急医療のことを質問させていただきました。昨今、子供がせっかく生まれてきて、そして医療を受けられずにみすみす死んでいくような時代になっちゃったということはとても不幸ですし、何とかせねばならぬ、これで質疑させていただきましたが、もう一方で、やはり私は、きょう山井委員も問題にされたと思いますが、児童虐待という問題が大きく現実に起きてきている、クローズアップされていると思うのです。

 大臣の御認識をちょっと伺うようで恐縮なのですが、大体児童虐待の報告されている数、年間にどれくらいおありか、御想像がおつきでしょうか。

坂口国務大臣 どうも十分な知識がなくて恐縮でございますが、今まで聞いた、二、三万程度でございましょうか、アバウトな数字しか覚えておりませんで、恐縮でございます。

阿部委員 私が六カ月前にちょうだいいたしましたデータによると、実は私はずっともう折あらば児童虐待を問題にしたいと思っていましたが、なかなか委員会審議でこのテーマを正面から取り上げる時間がなくて、六カ月前に質問をいたしましたことのデータをちょっとひっくり返してみると、平成十二年度で新規発生件数が三万五千人とございました、被虐待。もちろん、残念ながら年々ウナギ登りと思いますが、さらに近々のデータをお持ちでしたら、雇均局の方からお願いいたします。

岩田政府参考人 統計的に把握できますのは、全国の児童相談所に相談があった件数でございます。これは直近の数字が二万三千件でございます。

 今委員が言われました数字は、児童相談所が把握できていない、児童相談所には通報や相談がなかった件で、しかしながら病院ですとか保健所ですとかほかのところで、ほかの関係機関、施設で把握したものを調査されて全国推計をされた数字だというふうに思いますので、児童相談所が把握しているのは、全体の中の相当部分は把握できていると思いますけれども、必ずしも全部ではないということです。

 それで、児童相談所の最近の状況ですけれども、児童虐待防止法の制定前後から物すごい勢いで相談件数が伸びました。そして十四年度、まだ集計はできておりませんけれども、十四年度になって初めて増加の傾向の頭打ちが見られてきておりますので、従来のような増加傾向は一応おさまったのかなという感じはいたしております。

阿部委員 今の御報告を伺いますと、児童相談所で把握するものは全体の約三分の二、私のような、医療機関にいたり、あるいはそのほかの子供のホットラインのようなところ、あるいは学校関係者等々全部ひっくるめると、平成十二年度で三万五千。

 やはり私は、これはお願いでございますが、正しい状況認識を常に厚生労働省としては把握に努めていただきたい。本当にこの問題、なかなか子供から発信できないものですから、お願いをいたしたいと思います。

 重ねて大臣にもう一つ、恐縮ですが、御存じでしたらちょっとお答えいただきたいですが、この児童虐待防止法が制定されて以降、児童が虐待によって死亡した数の総数を、報告されている総数を御存じでしょうか。

坂口国務大臣 きょうは口頭試問みたいな日でございまして、申しわけございませんが、私存じておりませんので、局長の方から答弁させていただきます。

岩田政府参考人 私が把握しておりますのは、百八人ぐらいだったと思います。百十人には行っていなかったと思いますが、百人は超えております。

阿部委員 平成十二年度に児童虐待防止法が制定されて、三年後の見直しが迫っておりますけれども、私ども子供にかかわる者から見ますと、子供が一番死亡する原因として、今ほとんど重い病気が少のうなりましたので、それからあと救急医療も充実すればもっと少なくなりますでしょう、そういうことを勘案して、やはりこの百八という数値は非常に多いと思うのです。

 それが、子供が一番大好きな、子供は、例えば虐待している親であっても、その親が大好きなんですね。決して子供から自分の親が虐待したということを言わないくらいに親をかばうのです。その一番大好きな親から殺されている数が百八ということは、非常に社会として深刻に受けとめなくてはいけないことだと思いますので、冒頭、坂口大臣を試問して恐縮ですが、でもやはり大臣に深く認識していただければきっといい政策が生まれるという私の高い期待だと思って、お許しください。

 きょう私が冒頭ここで問題にしたいのは、いわゆる児童養護施設でございます。これは午前中の山井委員の御質疑にもございましたが、児童養護施設、今、日本全国五百五十カ所ほどございますでしょうが、そこの子供の保育にかかわる保母さんの数等々が非常に貧弱であるという指摘を水島委員も山井委員もしてくださったと思います。

 私が今ここで取り上げたいのは、養護施設で起こった児童虐待でございますが、まずもって、この養護施設、職員の手も少ない養護施設に近年入所する子供たちの特徴について、雇用均等局としてどのような把握がございますでしょうか。

岩田政府参考人 児童養護施設に入所する子供の近年の特徴ですが、二つございまして、一つは、その数がふえているということでございます。二番目は、その入所する子供の中に占める虐待を受けた子供の割合、これが上がっているということでございまして、直近の数字では五割を超えるといったようなことになっております。

阿部委員 本当に今のお答えにいただいたとおりで、子供の数全体は減っているのに、虐待をされて児童養護施設に入所しなきゃいけない子供の数はふえている。

 児童福祉法の一部を改正する法律で、今回四十八条の二で、児童養護施設が地域からのいろいろな子育て相談やさまざまな子育て支援の業務に取り組むように定めているわけですが、私から見れば、その受け皿であるところの児童養護施設が果たしてそれに足るだけの十分な人員、素養そして広がりを持っているかというところをきょう質疑させていただこうと思います。

 実は、私は、議員になる前に、湘南地方の鎌倉にございます病院に勤務しておりまして、その私の勤務しております病院のすぐ近くに鎌倉保育園という、保育園と名前がついておりますが、養護施設がございました。日本で一番古い養護施設で、一八九六年、今をさかのぼること百十何年前に、百十年近くですか、佐竹音次郎という小児科のお医者さんが私財を全部なげうってつくった養護施設で、本当の意味では、本当は社会貢献したいと思ってつくられた施設が、だがしかし、百年たった中で非常に深刻な児童虐待を起こしていた。職員が入所している子供を殴るける、そして親御さんのところに逃げ出して、お父さんが児相に通報してわかる。

 私はたまたまその近くの病院に勤めておりましたので、そこの子供さんがしょっちゅう私のところに受診してきて、体の上ではさして悪くないのに、どうしてこの子はしょっちゅう私のところに来るんだろうと思っていたので、とても鮮烈に覚えているのですが、今思い返せば、子供は私に、第三者である私に何らかのSOSだったのではないかと、その後に虐待事件が数多く発覚して思ったことがございました。

 前置きが長くて恐縮ですが、実はこうした事件は、一九九五年の福岡の育児院、一九九六年の千葉の恩寵園、そして一九九九年の城山学園そして鎌倉保育園と、一九九〇年代の後半から相次いで起こっております。

 このことをいろいろ分析するお立場に厚生省はおありと思いますが、まず、これらの児童養護施設における職員による児童虐待についてはどのような総括の視点をお持ちになり、今回この法案の中でこういう窓口にというふうになさったのかということを一点お伺いいたします。

岩田政府参考人 児童養護施設など施設の中での虐待が時々明るみに出ておりますが、こういうことは決してあってはならないことであるというふうに考えております。

 今委員が言われましたように、一九九〇年代の後半くらいからそういった事件が立て続けに出たということもございまして、厚生労働省としては、まず平成十年にやったことですけれども、児童福祉施設の最低基準を改正いたしました。施設長は懲戒権限を持っているわけですけれども、その施設長の懲戒権限の乱用を禁止するということを児童福祉施設最低基準の中で明記させていただいたわけでございます。

 それから、平成十二年になってでございますけれども、これは児童養護施設だけではなくて社会福祉事業全般についてのことでございますが、社会事業法の一部改正がございまして、利用者からの苦情の適切な解決に努めるための改正があったわけでございます。これを受けて、児童養護施設の関連については、例えば子供からの苦情を受ける窓口を施設の中で整備するということを徹底させましたり、また、施設の外の第三者機関として社会福祉協議会の中に運営適正化委員会などを設けるなどしまして、万が一発生をしたときに苦情が解決できやすいような、そういう仕組みを今整備してまいっているところでございます。

 こういう事件があるということは、もう本当にあってはならない残念なことなんですけれども、一つは、職員の子供の人権に対する理解の弱さというんでしょうか認識の低さと、それからもう一つは、やはり施設の閉鎖性ということがあるように思います。今後とも、施設内の虐待が決して起こることがないように、職員の研修その他、徹底してまいりたいというふうに考えております。

 今般の改正は、児童養護施設が、難しい問題と言ったら言葉が適当でないかもしれませんが、非行の子供あるいは虐待を受けた子供、そういったような子供もお預かりをして養護してまいっております。そういう長い歴史の中で、子育てについての高い専門性、深い経験を積んでいるというふうに思いますので、そういったものを地域における子育て支援に役に立てていただこう、児童養護施設というのは、入所施設の子供をしっかり養護するという大事な役割は持ちつつ、それと両立する範囲内で、地域における子育て支援に専門性を発揮していただこうというふうに考えているわけでございます。

 また、この取り組みは、施設を閉ざされたものから地域に開放したものに変えていくということでもございますので、先ほどの、あってはならない施設内虐待というのをなくすということにも結果としてつながることではないかと考えております。

阿部委員 私は、この問題に解決策を、思いつく限りでも五つくらいあると思うのです。一つは、山井委員が御質疑になりました、預かっている児童対職員の数の見直しでございます。ただでも虐待されて人間の信頼関係を築きづらい子供が入所者の半分を占めているわけで、これまでの職員基準でいいのかどうか。

 そして、基準は基準で、現実には基準を満たしていないところがいっぱいあります。例えば、今基準、六人対一人とした場合に、鎌倉保育園では、現実には十五人の子供を一人の保母さんが見ていました。そして、一室で寝起きして、朝四時に子供たちを起こして、一日じゅう一緒の生活です。そうすると、六時ごろには寝てもらわなきゃいけないから、就寝させたい、でも起きている子供がいる、ついついいらいらする。本当に職員基準はきちんと現実に配置されているのか。それから、児童の質というか抱える問題が変わってきているときに、なおこれで十分なのか。

 今回の法律ができて何が変わるんですかということを皆さん御質疑でいらっしゃいますが、本当にこの法律をきっかけにそういう現状の把握が一つでも前に進めば、やはり皆さんの熱心な審議の結果と受けとめたいと私は思いますので、この一点はぜひとも調査し、現実にどれくらい必要なのか、見直すということをお願いいたしたいと思います。

岩田政府参考人 児童養護施設など児童福祉施設につきましては、職員配置についての最低基準がございますので、これについては、各都道府県が定期的に立ち入って調査をするなどで、その履行の確保に努めているところでございます。

 また、この最低基準だけではなかなか対応しづらいような、虐待を受けたお子さんの入所比率が上がっているということもございますので、これまでのところ、例えば心理療法の担当の職員を配置する、あるいは虐待を受けたお子さんに対して個別に対応できるような職員を配置するといったようなことについて、予算上の加算をしてまいりました。

 これでもまだ十分ではないという御議論がきょう随分ございましたけれども、実は、社会保障審議会児童部会の中に、社会的養護のあり方について、専門委員会を五月から立ち上げて検討をいただいております。その中で、児童養護施設などの施設のあり方、職員の体制のあり方、そういう問題についても検討してまいりたいと考えております。

阿部委員 あと、実際に職員のキャリアなんですが、平均在職年数一年五カ月とか、短大を卒業されてそこの職員になって一年五カ月とか、若い方が大半だというような調査もございます。

 私は、年であればいいとかは思いませんが、やはりキャリアのいろいろな層の厚さがないと、子供の出してくる信号とかわがままとか甘えとか、さまざまなものに十二分に対処し切れない。今おっしゃったのは、こういう児童相談の専門員を置こう、あるいは心理のカウンセラーを置こうという、いわばぽつぽつぽつであって、職員全体の構成がどのようなものであるかというところも実態を把握していただきたいと思います。これは質問ではないので、要請です。

 そして三番目ですが、子供たちにとっての居住面積ですが、一人当たり三・三平米、二畳分ですね。ここで布団も敷き、勉強もし、何から何まで行うわけです。そして、一室に、先ほど申しましたように、多い場合は十五名とか入ってしまう場合もあって、これは場所によっては、男の子と女の子が高校生でも同室になってしまったりするところも現実にはあるわけです。

 居住空間三・三平米の見直しあるいは個室化あるいは施設のダウンサイズ、グループホーム化ということについてはどのような取り組みがあるでしょうか。

岩田政府参考人 今委員がおっしゃいました居室面積児童一人当たり三・三平米というのは、児童福祉施設最低基準の水準でございます。国が補助対象としております施設の面積は、ちょっと今手元に数字はございませんで、記憶していないんですけれども、これよりも相当広い面積に対して国の施設整備費の補助は出ることになっております。

 また、平成十二年度の予算におきまして、今委員がおっしゃいましたような問題意識から、施設整備の際の補助面積を大幅に改善いたしまして、従来、大部屋が中心でありましたけれども、これを二人部屋にできないか、またさらには個室をもっとふやせないかということで、改善できるような補助制度に改めているわけでございます。

 また、養護を必要とする子供、特に虐待を受けた子供などについては、できるだけ家庭的な環境のもとの中でしっかり養育していく必要があるというふうに思いますので、施設も大型ではなく小規模のもの、例えば、地域小規模児童養護施設という名前で呼んでいるんですけれども、平成十二年度から、六人ぐらいの子供に大人二人が一緒に生活をするような、そういった小規模の施設を整備していただけるような補助金制度もつくったところでございます。その箇所数を、十五年度予算においては、従来の二十カ所から四十カ所に拡大をさせていただいております。

 まさに、今委員が言われましたように、施設のあり方、小規模化ですとか大規模の施設の中でのユニット化ですとか、子供たちの居住環境といいましょうか生活環境の改善についても、先ほど申し上げました社会的養護のあり方に関する専門委員会などの場でこれから検討してまいりたいと考えております。

阿部委員 一つ確認ですが、平成十四年度の二十カ所は、現実に二十カ所できたでしょうか。

岩田政府参考人 二十カ所できております。

阿部委員 では、それがさらに四十カ所、そしてやはり小規模化ということが現実に、本当にどんどん進められることを私は期待しておりますので、よろしくお取り組みをお願いします。

 そしてもう一点、実は先ほど、子供が、自分が虐待というか、自分の不利益あるいは困難を訴えたいと思った場合に相談する箇所の問題ですが、岩田局長の御答弁では、その施設内に苦情受け付け窓口を置く、例えばポストですね、それから社会福祉協議会の中に窓口を置く、あるいは児童相談所の中に置く。

 ただし、子供はすごく賢くて、児相というのは自分を措置した、自分の処遇を決めたところですよね。自分の処遇を決めたところに自分が文句を言っていっても、どうせ施設と児相はツーカーじゃないかというふうに、これは子供の言葉です。何で言っていかないのと言うと、あっちに言っていったら、こっちにわかっちゃうものという言葉をよく私も聞きました。そして、鎌倉保育園をめぐる問題でも、その後のいろいろな検証で、児童相談所が十分そういう窓口にはなっていないという総括がありました。

 私がここでお願いしたいのは、やはり例えば子供ホットラインのような、本当に民間の方も参加したようなホットラインの設置を国が何らかの援助をしながらもっともっと広く行っていただく。要するに、自分と直接かかわりない第三者性があるところで子供たちがSOSを出せないと、なかなか子供にとっては助けの言っていく場がないと思います。これはまた、先ほど岩田さんがおっしゃった今後の検討課題に入るのかもしれませんが、ぜひそうした場合は第三者機関で、子供たちの措置に直接かかわらないところに窓口を設けていただきたいと思いますので、御答弁だけお願いします。

岩田政府参考人 児童養護施設の中に、最低限、苦情の窓口を設けるということは必要だというふうに思いますが、私が訪問した児童養護施設の中で、非常に進んだ取り組みをしている例では、そこに外部の相談の電話番号が張ってございまして、弁護士さんの電話番号なんですけれども、ここにいつでも電話をしなさいという掲示がございました。そういうことで、施設によっては非常に前向きの取り組みをしていただいているところもあるというふうに思います。

 子供のホットラインについてのお尋ねでございますが、やはり国として支援をしておりますのは児童相談所の取り組みでございまして、児童相談所の中には、子供の相談を専らできるような電話相談体制を講じているところもございます。また、民間の団体の活動でございますが、チャイルドラインという活動が今全国的に展開されておりまして、全国で今五十団体以上、五十以上の取り組みが広がっているのではないかというふうに思っております。

 公の役割、民間のそういった活動、それぞれあろうかというふうに思いますけれども、今後とも、子供たちが権利侵害を受けたときの救済の問題についてはしっかり考えてまいります。

阿部委員 私は、本法案の審議は、そうした社会的なセーフティーネットのあり方についてみんなが認識を深めて、一番権利の弱い子供たちに対して、あるいは本当に親の虐待というのも、親が虐待に走るときというのは、親自身も困難な状況を抱えたり、SOSを出せない状態にあるときですので、そういう周りの支援体制をここが論議する場であってほしいと思います。

 ここでまた坂口大臣にちょっとだけ質問させていただきたいのですが、坂口大臣は、病虚弱児のための養護施設というのが、今の私が質問していたのは普通の児童養護施設なのですが、病気を持って、例えば糖尿病とか腎不全とか、未熟児網膜症があったりしてお目が見えないとか、何か病気を持った病虚弱児のための養護施設というのが我が国にはあって、それが多分平成九年の児福法の改正で養護施設に一体化されるという経緯があったことは御存じでしょうか。

坂口国務大臣 それは聞いております。

阿部委員 私はこの問題でも、一体化するという方向になったのですが、そしてそれに伴って、実はことしの四月で、東京都が千葉の成東というところに持っております病虚弱児のための養護施設が閉鎖され、来年は一つ、静岡県にございますやはり同じような東京都の病虚弱児施設が閉鎖されるのですが、果たしてここで、病気を抱え、保育も必要、教育も必要という子供たちの行き場が十二分に受け皿として整備されたかどうかということが一点、非常に不安なわけです。

 私のところに寄せられたいろいろな声によりますと、病気がある程度以上重い子は、病院に三カ月とか入院して、またちょっとの間どこかに退院、そしてまた普通の病院に三カ月入院を繰り返しておったり、それから、児童養護施設の方で受け入れて、それなりの、保母さん以外に看護婦さんとかをつけて、設備を整えようということではあるが、看護婦さんが非常勤であったりして、十二分に医療的なケアのいわゆるカバーができないという指摘も受けておりますが、この件については岩田局長はどのようにお考えでしょう。

岩田政府参考人 虚弱児施設も、戦後の子供の健康問題を反映しているんだと思いますが、当初は結核のお子さんが大変多かったそうでございますが、その後、その比率が著しく小さくなりまして、今度は身体虚弱のお子さん、それからぜんそくのお子さんが大変ふえてきたという状況があったそうでございます。さらに、直近の状態では、登校拒否ですとか心身症ですとか、むしろ、体の虚弱というよりも、心の病気を持ったお子さんのウエートが高くなってきたということがございまして、そういったことを背景に、虚弱児施設は、制度として通常の児童養護施設の中に吸収されたというふうに理解をいたしております。

 そのときに確認されておりますことは、その結果、子供たちの処遇が低下するということがあってはならないということで、例えば看護師などについては、引き続き定められた人数を置いていただくということについて助成の対象にするなど、必要であればやってきておりますので、児童養護施設になったとしても、病虚弱児ということで、特に個別の対応が必要な場合には個別対応職員を配置するとか、今申し上げましたような看護師を配置するとかということで、必要な体制をとることが入り用だと思っております。

    〔宮腰委員長代理退席、委員長着席〕

阿部委員 私は、やはり厚生労働省として、もう少し緻密な子供たちのフォローアップをしてみていただきたいと思うんです。さっき申し上げたように、三カ月で病院をたらい回しという子もいるし、それから常勤のナースがいない養護施設もあります。

 私は、これから案じているのは、虐待によっても身体的な障害を残した子がやはり発生しているし、くると思うのです。その子たちにとっても、医療と同時に保育と、そして教育を受けられるような生活の場がないと、本当に私たちの社会は子供たちを見捨て去っているということになりますので、私は、今の、きょうの岩田局長の答弁はそれとして伺いますが、その実態把握、フォローアップ、追跡調査をちょっとしてみていただきたいです。そして、いずれそれが出た段階で、また審議を重ねたいと思います。

 坂口大臣にひとつ御答弁いただきたいですが、実は、こういう医療を伴っている児童養護施設、平成九年の改正で既に養護施設に吸収合併されていくことが決まったものについては、現在でも一応、成東まで入れると三カ所、みちのくみどり学園と、関西に健康の里、そして首都圏には成東というのがございました。今後の成り行きにもよりますでしょうが、やはり医療、教育、保育が三つ必要な子供たちがおるとすれば、エリアごとにそうしたことに国が力を、補助なりを入れていくということも私は考え得る。今の岩田局長のは、養護施設に個別にナースをつけたりなんなりしたと。それで十分にやっていければよろしゅうございますが、私は、反面、医療的ケアを要する子が、子供は少なくなっても、さまざまな事情であると思いますので、その点については、こういう問題の所在もどこか念頭にとどめておいていただくということをお願いしたいですが、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 養護施設の中に入り切るのかどうか。入り切るといいますのは、お子さんの持っております疾病その他の問題で、その中に入り切れるのかどうかということもあるだろうというふうに思いますが、先ほど局長から答弁ありましたように、医療施設者もそこに加わって、そして、総体でそういうお子さんを見ていくというのも一つの方法ではというふうに私も思って聞いていたわけでございますが、今後、少し状況をよく見まして、そして、そうしたお子さん方が無事にやっていけるようにどうしたらいいかといったことを少し考えていきたいと思います。

阿部委員 重ねてお願い申し上げます。

 最後の質問ですが、今までの質問は、次世代支援対策推進法の一、二、三までを伺わせていただいて、これから四以下一括してただ一つだけ伺おうと思います。

 この法案は、地域において、あるいは企業において子育てがより支援しやすい体制になるようにさまざまな枠組みを決めておりますが、その中に、企業に対しては、次世代育成支援対策推進センターというものをつくって、そこで企業の事業主支援をするということが第六にうたわれ、第七には、次世代育成支援対策の推進を図るために、地域で次世代育成支援対策地域協議会を置くということがうたわれております。

 支援センターの方は、雇用者側がよりよい育児休業のとり方等について考えるわけですが、この点は後ほどきっと小沢委員が御質問と思いますので、私は、地域協議会の方に地域のさまざまな働く実態を含めて、教育関係者、福祉関係者、事業主、地方公共団体によってつくるという支援対策地域協議会の中に、労働団体、あるいは岩田さんがおられる雇用均等局、あるいは産休がきちんととれなかったということの駆け込み寺になるような労基署など、労働者の側にかかわる、勤労者の側にかかわる分野を担う方たちを入れるようなガイドラインにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

岩田政府参考人 地域協議会の構成ですけれども、第二十一条をお読みいただきますと、これはいわばだれがつくってもいいということになっております。例としては、地方公共団体が中心になって、その地域の事業主団体や労働組合や児童福祉の関係者、教育関係者、それらに広く声をかけられて、そして地域の行動計画を策定するに当たっての議論をする、あるいは行動計画の進捗状況をそこで評価するといったような、そういう地域協議会もあると思いますし、特定の領域といいましょうか、子育て支援をやっているようなグループが集まった地域協議会もあるでしょう。家庭教育の問題を議論するような教育関係の方のお集まりの地域協議会もあるというふうに思います。

 いずれにしろ、それぞれの地域で、やりたいと思う人が自由にやっていただいていいという仕組みでございますので、どういう構成メンバーになるかというのは、本当にその地域の自主的な判断次第でございます。労働組合が入るとか、私どもの地方機関でございます地方労働局の関係者が入るということもあっていいということでございますので、そういうふうに、構成については柔軟に、地域が自主的に判断できるということは、指針その他でしっかり明らかにしてまいりたいと思います。

阿部委員 せっかくつくられるんですから、きちんとした、本当に今の雇用均等局の声が入るようなものにしていただきたいと思います。

 終わります。

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