第156回国会 予算委員会 第16号(2003/02/21) 抜粋 ○阿部委員 ただいまの法制局長官の答弁も含めて、やはりこの場に一番欠けているものは、すべての基本は人間の生命であるという当たり前の、それも、受刑者の生命が奪われるような仕組みにしかなっていないということだと思いますので、私は、その観点から森山法務大臣にまずお伺い申し上げます。
先回の委員会でも、また、去年の二回の委員会でも、私が腹膜炎による十二月の死亡事例を何回も取り上げましても、そして、先回の委員会で私がわざわざ、大臣、この案件について私が取り上げたことを記憶しておられますよねと私は伺ったんです。そうしたら大臣は、「はい、記憶しております。」という御答弁でした。しかしながら、すぐその直後に、また違うケースについての答弁でしたと御意見を簡単に変えていかれます。
私は、そこまで無視されたこの受刑者、死してなお今もって無視され続けている十二月の事例について基本的なところから大臣にお伺いいたしますから、あれこれ御答弁を変えずに、きっちりお願いいたします。
まず、大臣が、平成十三年の十二月に亡くなったこの方について、最初に知ったのはいつですか。
○森山国務大臣 先回は言葉が足りませんで、大変失礼いたしました。
ただいまの御質問でございますが、平成十四年の十月の下旬に福島瑞穂先生に提供する資料の説明の際に、矯正局長から本件について、自傷行為によると思われる腹膜炎で死亡したものであるという旨を聞いたのが最初だったと思います。
○阿部委員 では、混同のないようにお願いいたします。
平成の十四年の五月に亡くなった方について、その方について最初にお知りになったのはいつですか。
○森山国務大臣 この件につきましては、平成十四年の十一月二十七日に傷害を負わせた人が逮捕されたときであったかと思います。
○阿部委員 大臣、御自身の答弁がまた変わっています。ちょっと、お役所の人を横に置いてください。私は大臣に逐一きっちり伺いたい。
大臣、いいですか、もう一度答弁の機会を与えますから。平成の十四年の五月に亡くなった方について、初めてあなたがお知りになったのはいつですか。きちんと、何月何日ですか。人の死です。一回しかないんです。いつですか。
○森山国務大臣 ただいまの五月の件につきましては、矯正局長から、死亡のあった数日後に報告を受けたのでございます。司法解剖した後において、捜査機関による捜査が引き続き行われることになったということで報告があったのでございます。
○阿部委員 いいですか、大臣。人間の死は、特にあなたが預かっている施設内で起きた人間の死は、そして今まで三年間でわかったものは五件しかないわけです。実はもっとあるでしょう。しかし、わかったものの五件については、ここでこれだけ論議がされているときに、せめてそれくらいのことを覚えるのは亡くなっていった方への私は手向けだと思います、せめて。しかし、それすらない。
そして、あなたは最初、今、十一月二十七日と極めてあいまいに答弁なさいました。あなたがかつて、去年の十二月十日、参議院で井上哲士さんが質問なさったときに、五月のケースについては、よろしいですか、五月の二十七日に亡くなり、その数日後、矯正局から概要について私は報告を受けました、いいですか、二度目の答弁は確かにあなたの言うとおりです。
では、十二月のケース。五月のケースは二日後に受けました、ないしは数日後。十二月のケースは一年以上も報告がなかったですね。なぜですか。
○森山国務大臣 これは、犯罪性あるいは他害性の問題がないというふうに判断されたからではなかったかと思われます。
○阿部委員 今の答弁、しかと覚えておいてくださいね。
では、五月のケースは直後に犯罪性がわかっていたのですか。直後です。五月のケースが逮捕されたのは、たしか、前田容疑者、十一月だったかと思います。あなたは、五月のケースは二日後にわかっているのは犯罪性があったからだとおっしゃいました。大臣に聞いているんです。それくらい、私は大臣に命のことを大事にしてほしいからです。五月のケースは数日後に知ったということは、直後に犯罪性について気づいておられたんですか。
○森山国務大臣 これは、革手錠を巻きつけて強く締めつけた、腹部を強度に圧迫する等の暴行を加えたというようなことがございまして、それが犯罪性を疑わせるものであったのではないかと思います。
○阿部委員 では、もう一つ伺います。
十二月のケースに、この五月のケースにかかわった前田容疑者が関与していたかもしれないことは御存じでしたか。
○森山国務大臣 だれが関与したかという個人の名前は承知いたしておりませんでした。
○阿部委員 そこでまた、あなたが一回一回の国会質疑をいかにいいかげんに聞いているかということが明らかになってしまうのです。
同じ十二月の十日、荒木委員の質問に対して中井矯正局長が、十二月の案件、「その案件は今回逮捕された」、今回というのは五月事件です、「逮捕された刑務官は関与しておるんですか。」と聞かれて、「関与しているという報告を受けております。」
いいですか。あなたが刑務所という場を預かる人であって、事件を起こしたと言われる前田容疑者が関与していたかもしれない事件であるということを知って、なおかつ矯正局は、ないしはあなたは、そのことについてずうっとあえて意識に上らせず、放置してきた。
今、私が議事録を拾って指摘しましたが、あなたには記憶がありますか。
○森山国務大臣 今おっしゃいました件については、うっかりしておりまして、覚えておりません。
○阿部委員 もうその一言で、大臣はやめていただいて結構です。
うっかりしていて人の命が忘れられて、繰り返し殺人が起きて、情願すら踏みにじられて。この国で刑に服するとは、刑に服することすらできないんです、殺されるから。その長があなたであります。私どもは、何回もむだな審議をここで繰り返す必要はありません、あなたに対して。
人の死が忘れられる。今、私は、議事録から拾ったものです。あなたにだって読み直す時間はあった。まして、一番意識しなきゃいけない立場の方が法務大臣です。情願という制度があるのも、十一月の時点では、私どもの保坂展人が聞いて、知りませんでした。そして、その後、悔い改めたかと思ったら、この間の質問は、どれを聞いても、その件はあの件でお答えしたことでしたと全くちぐはぐな答弁を繰り返す。
私は、この十二月のケースの事件性は、既にこの前田氏が、前田氏じゃないですね、前田容疑者が逮捕されたとき、管轄省庁としては、関与しておりますと答弁なさっているんですから、当然意識に上らせるべきだと思いますが、森山大臣、そして責任はどうとりますか。
○森山国務大臣 おっしゃるとおり、そのような議事録があるということは、そのような事態が起こったんだと思いますが、私は、大変申しわけございませんが、言葉が足りませんで、意を尽くせなかったことは本当に申しわけなく思いますが、私といたしましては、今後このようなことがないように十分注意していきたいというふうに考えております。
○阿部委員 注意しても注意しても、きょう私がまた新たなことを指摘しなければ、あなたの意識には上らない。もう私たちは、その繰り返しは、人権のためにも命のためにもできないのです。その役割をあなたに任ずることはできないのです、受刑者の命のためにも。
私は、いま一点、あなたのその感性のなさ、本当に残念に思うことがあります。もうこれで私はだめ押しの一点にしたいので、よくよくお聞きください。
あなたは、この十二月の案件について、いいですか、十二月の案件について、矯正局長から報告を受けたのではなく、刑事局長から報告を受けましたとおっしゃいました。そして、刑事局長の報告とは、よく聞いてくださいね、前回の私の質問の中で、刑事局長の方からいきましょうかね、混乱しないようにね、解剖医の最終的な所見は必ずしも自為によるものと断定するものではなかった。いいですか、必ずしも自為によるものと断定するものではなかったと報告したわけです。
それを受けたあなたは、同じ日の答弁です。一月の終わりごろ聞いております、自為行為と考えても不思議ではないというような内容であったけれども。いいですか、必ずしも自為によるものと断定できないと伝えたんです。そしたら、あなたは、いいですか、自為行為と考えても不思議ではないというような内容であった。
報告をまるで逆さに受け取る。日本語が理解できない。それ以上に、受刑者の死という重要なことが理解できない。刑事局長のあなたに伝えたという内容とあなたが受け取った内容は、ここにこれだけの隔たりがあるわけです。その方には、何度も言いますが、御自身、私の議事録ですから読んでください。
そして、私は医者ですから、私がこういう鑑定書を書くときは、断定できないと書くときは、それ以外の可能性があるということなんです。もう一方の、不思議ではないというときは、それで妥当であろうということなんです。明らかに違うんです。不思議ではない、断定できない、あなたはその後、他害かもしれない、その可能性もあるかもしれないということを聞いたと、同じセンテンスで言っています。
解剖の剖検書は一つです。一つのものを読み、刑事局長が報告し、あなたが真っ逆さに受け取り、しかし、他害の可能性があるかもしれないというふうに考えたとしたら、その根拠は何ですか。
○森山国務大臣 先ほどおっしゃいましたことについて私がそう思いましたというのは、他害かもしれないという言葉も報告の中にあったような気がするわけでございまして、今正確には覚えておりませんけれども、断定しないということ及び、それから、他害かもしれないというような言葉がございまして、私としてそのように感じたのでございます。
○阿部委員 では、先ほど来問題になっている鑑定書を出していただきたい。
ただしかし、私は、大臣、あなた、とても人間としての品格を疑います。きちんと毎回答弁されて、真っ逆さのことを言っているというのは、普通に日本語を理解できる文脈をお持ちの方だったらわかるはずだと私は思うんです。それをわからなくさせるところの立場や役割があなたに課せられているなら、あなたはあなたの人間性のために、その場を去るべきです。私は何回も、本当にこんなことはしたくない、根掘り葉掘り。そのような方に人命を預かっていただいては困るのです。
委員長には、鑑定書はただ一つです。そのことを全く逆さに読むとしたら、現物を見て、この場で――人の死です。だれが困るわけでもない。一番困るのは、殺されたその人です。この場できちんとしていただきたい。
そして、当たり前の理解能力を大臣がもし曇らされているとしたら、その背後で隠れているものがあるはずです。私は、実は矯正局長にも幾つもの隠されたうそがあると思います。ただしかし、きょうは大臣に、非常に重要なお立場にいる大臣にぜひとも御答弁いただきたいので、何度も伺います。あなたは、鑑定書から受けた内容と、それ以外の情報によって他害の可能性があるかもしれないと思われたのか、それとも、鑑定書からそう思われたのか、答弁をお願いします。
○森山国務大臣 私は鑑定書を見る立場ではございませんで、ただ、それらを見まして検討いたしました刑事局長、さらには矯正局長等から報告を聞いたのでございます。
○阿部委員 そうであるならば、矯正局長は報告はしていないという御答弁ですから、それを言うとまたうそになりますから、ちょっと、幾つもうそが重なるともう大変になりますから、やめてください。
そして、それでは、鑑定書そのものを見たか見ないかじゃなくて、あなたが刑事局長が伝えた言葉を真っ逆さに理解している。断定できない、自傷という形では。あなたは、それで十分説明し得る、が、しかし、他害によるとなっているわけです。私のせんだっての答弁です。もし、この場であなたが答弁書――ごめんなさい、答弁じゃなくて質問です、お持ちじゃなくて、議事録を確認したいのであれば、いましばしのお時間は差し上げましょう。ただし、そうやっている間にも、刑務所では人が殺されるかもしれません。
おまけに、私がこの事件で視察した名古屋の刑務所に、私は、余りにも不自然な死なので、特に医務官にいろいろお尋ねしてみたいと思い、電話をしました。医務官にはつなげてもらえず、直後、矯正局から、そのような質問は刑務所にはしないでほしいと。私の議員としての質問権、私は国民の命にかわって質問をいたしました。それをとめるような役所が矯正局です。
私は、先ほども言いました、矯正局長にも、まだこの審議、やっていただきたいですけれども、一人一人の首を飛ばしただけでは中身がよくならないので、システムを変えたいと思っています。ただ、変えていくために、余りにも森山大臣の今の感性では、命について責任感がない。何遍も何遍も答弁を変える。
あなたがもし御遺族だったらどう思われますか。遺族にどう説明するんですか。その件で、私は強く大臣の辞任を求めます。答弁をお願いします。大臣に伺っています。
○森山国務大臣 いろいろと、私といたしましては誠実に御説明し、お答えしているつもりでございますけれども、その意が十分通じないのは、私の表現がまずい、あるいは説明が悪いということだろうと思います。
その点については心からおわび申し上げますし、今後、重ねないように努力していきたいと思いますが、今おっしゃいました遺族の気持ちということでございますけれども、私も、遺族と呼ばれる者の一人になったことはございまして、そのお気持ちがわからないことはございません。そして、それを考えますと、亡くなられた方には本当に申しわけない、御冥福を祈るという以外に言葉はないのでございますが、その気持ちをこれからも大切にして、今後、私の務めを果たしていきたいと考えております。
○阿部委員 何度も申しますが、やり直せることとやり直せないことがあります。これだけ事件が重なり、先ほども申しました、五月の、九月の、両方です、事件に関与したと言われる前田容疑者が実は十二月の事件にも関与していたことは、矯正局も御存じでした。十二月十日の答弁で、みずからおっしゃっていますから。それくらいアンテナがシャープでなければいけなかった十三年の十二月の事件について、あなたは一切無視し、私が何度も何度も何度も、実は、この件では参議院で四回の質問、衆議院で私の二回の質問、質問があってもあってもあっても忘れ、違う答弁をなさり、今日にまで至っています。
本当に、これだけ審議の場を愚弄し、なおかつ人命に疎いあなたには、何度も申し上げますが、私は何も個人的な遺恨ではない、だけれども、本当に受刑者の命を預けることができないのです。私が刑務所に行き、あの寒い独房を見て、私はそれだって改善してほしいです。ホースで放水されて、冷たい体のままあの冷えた独房に入れられれば、だれでも死ぬことができるでしょう。そのような独房の状態を放置し、その前の五月の事例も、確かに革手錠で締め上げましたが、その後、寒いところに放置されたこと、いよいよ死ぬ間際まで何の医療的手当ても受けず死んでいった人のことを思うと、申しわけないけれども、何度も申しますが、大臣には、その任にあらずでございます。
それから、もし、せんだっての私の質問に対する答弁を確認していただいて、全くあなたの理解と刑事局長の具申は異なっておりますので、そういう理解しかできていない審議の状況を自覚されて、何度も申しますが、辞任を要求して、終わらせていただきます。
○藤井委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。
次回は、来る二十四日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
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