第156回国会 財務金融委員会 第7号(2003/2/26) 抜粋

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阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 通知してございます質問の順番を変えさせていただきまして、きょうは日銀の速水総裁に御無理を申し上げまして、お時間をちょうだいいたしましたので、速水総裁への御質問から始めさせていただきます。

 この間、日銀の新総裁並びに副総裁人事等々が内定という形で発表されておりまして、随所で取り上げられておりますが、日銀が新しい日銀法になりましてからずっとその重責を担ってこられた速水現総裁にあっては、とりわけ金融行政、非常に難しい折、また日本の経済の低迷も、先ほど来問題になっております空洞化などの問題もありながらの、日銀総裁としての仕事が今も続いておるわけだと思います。

 きょうは、私は主に三点にわたってお伺いをしようかなと思っておりますが、この五年を振り返ってごらんになって、新聞等々ではいろいろなお考え、総括と言ってもよいのでしょうか、そういう向きの御発言を見かけますが、国会で一度、速水総裁のこの五年を振り返ってということのお話を、まず冒頭に伺わせていただきたいと思います。

速水参考人 私、九八年の三月に日本銀行に総裁として戻ってまいりまして、それから五年になるわけでございますが、参りましたときは、既に公定歩合は〇・五%、短期金利、無担保コールは〇・五%を下回る水準でありました。

 日本銀行は、わずかに残った金利引き下げの余地をぎりぎりまで活用して、短期金利を〇・〇〇一%まで低下させていきますとともに、短期金利以外の金融緩和の波及ルートにつきましても、どういう道があるかということをいろいろ模索し、そして、いわゆる量的緩和の枠組みというのを採用いたしました。これをもって、情勢の変化に対応して、潤沢な資金供給を続けてきたつもりであります。

 こういった、内外の中央銀行の歴史に例を見ないような思い切った金融緩和によりまして、金利は、やや長目のものを含めて広範に、ほぼゼロまで低下しております。また、期末を控えて、金融システムがなお問題を抱えておりますもとでも市場の流動性懸念が払拭されるなど、市場は非常に安定的に過ごしております。こういったことを通じた景気の下支えには、私どものこういった政策が貢献してきたというふうに考えております。

 ただ、現在のこの金融緩和は、一段と強力な効果を発揮していくためには、やはり構造改革を通じた経済の活性化、それともう一つは金融システムの機能の強化ということが不可欠だと思います。

 特に、後者の金融システムの機能の強化ということを具体的に今言わせていただければ、一つは、銀行の信用仲介機能というものを強化していくということと、もう一つは、借り手である企業サイドの、企業金融の市場化といいますか、証券化といいますか、企業がそういった資金を市場から直接調達する道をもっともっと広げていく必要があるということを感じております。

 そういったことがございますけれども、日本銀行としましては、景気の本格的な回復とデフレの克服のために、今後とも中央銀行としてなし得る最大限の努力を継続してまいる考えでおります。

阿部委員 金融行政の評価は、恐らく、短期的になされるよりは、歴史を振り返ったときに、おのおのの評価がつくものではないかなと私は考えております。そういう観点に立ったといたしましても、今速水総裁のこれまでやってこられたことのお話も伺い、また、せんだっての質疑の折にも、世の中でインフレターゲティングと言われておりますようなインフレ目標に向けてさらに日銀ができることがないかということの質疑の折にも、速水総裁は、既に量的緩和ということにも踏み込んでおるし、基本的にはこれまでの政策の延長で行うんだというお話でございましたし、私もそのようなものであろうかという認識にも立っておるのでございますが、いま一点。

 せんだって、総裁もG7に御出席なさいましたが、私は、今アメリカのイラク攻撃という問題が、世界の金融情勢だけではなくて、経済情勢に与えている影響というものをどのように考え、またどのように対処しておくかということにおいて、ちょうど総裁の交代時期にも当たるやもしれませんし、せんだってのG7での速水総裁の、皆さんのプレゼンテーションの御感想並びに総裁自身のお考え、そして、私は、恐らく、そのときG7では、今後の課題として株価の暴落を防ぐ、あるいは随時金利を引き下げる、ないし為替できちんとした安定をつくり出すというふうなことが皆さんで合意されたと思いますが、そういう点を踏まえた上で、特に一点。いわゆる円安誘導のことが今我が国でもこの間話されてまいりましたので、このことの認識も含めて、総裁の御見解を伺いたいと思います。

速水参考人 先日、週末に行われましたパリでの七カ国財務大臣・中央銀行総裁会議におきましては、確かに皆さんが地政学的な問題が近く起こるという危険性や不確実性を持っておりました。しかし、それについての、そのときにどうするかという議論は、それぞれお考えになっておられると思いますけれども、議論の対象にはなっておりません。

 公表されたコミュニケをごらんになりましても、最初のパラグラフに、地政学的な不確実性が高まっている、しかし、我々の経済の基礎的な強さとより力強く成長する能力に引き続き確信を有しているということで、これは、既に、近く起こり得ることであるけれども、それが長く続くものではないということを考えた上で、むしろそれが終わった後の主要国の経済の成長率を高めていくということが、欧州も日本もアメリカも、それぞれの今考えていることを述べて、中期的に先行き経済の成長を伸ばしていかなかったら、国内も経済的にうまくいきませんし、それだけでなくて、七カ国がやらなければならない世界全体の貧困の問題とか、いろいろな問題がたまっておるわけでございます。そういうものにどうやって手を伸ばしていくかといったようなことも、結局、こういう七カ国の経済の成長率が上がっていくということが必要なんだということをみんな強く意識して議論をしておられました。

 日本につきましてもそのことは同じでありまして、日本は金融・企業セクターを含む構造改革に取り組んでいることを改めて表明したということがこのコミュニケにも書いてあります。

 そうやって、先行き、少し先の経済の成長を伸ばしていくということを議論したというのが実情でございます。

 それから、地政学的なリスクについて、我々が今どういう準備をしているかということにつきましては、イラク情勢などの地政学リスクが顕在化していることは確かであると思いますけれども、その場合に、三つのルートがあると思うんです。一つは、金融資本市場の動揺が起きはしないか。二つ目は、原油価格の高騰が起こりはしないか。三つ目は、海外経済への悪影響等が起こりはしないかといったようなことでございます。日本経済にも何らかの形で影響が及ぶ可能性は否定できないと思います。

 ただ、具体的な影響の度合い等につきましては、地政学リスクがどのような形で顕在化していくかによって異なっておりますし、一概に申し上げることは難しいと思います。

 日本銀行としましては、こうした点も含めまして、経済金融情勢について注意深く見てまいりたいと思っております。

 為替の問題につきましても、どういう影響が市場に起こってくるのかというようなことを見た上で検討すべきものだ、対応すべきものだというふうに思います。

阿部委員 私があえてこの文脈の中で、円安を例えば政策的に誘導してはどうかというふうな意見もある中で、速水総裁の見解を伺いたかったのは、今、地政学的という言葉が使われるときは、かなり戦争時のリスクという、当然その地域の持つリスクということで好んで使われておりますが、例えばですが、日本とアジアの諸国も、当然ですが、日ごろ地政学的なリスクを共有し合っておるわけです。

 その中で、速水総裁が、例えば今後日本が円安誘導などをした場合に、当然アジアの市場、アジアの信頼、アジアの国々との関係等においてよい方向には向かわないであろうという、中長期的なことを展望されての円安誘導についての否定的なお考えかなと私は思ったのです。

 すべて論じられるとき、非常に短期的、そしてその場の、何か起こったらどうするんだという形でしか他国との関係、あるいは、これは経済的、歴史的、外交的関係が金融に組み込まれていないとすると、やはり私は、非常に今の金融というのは将来を見誤ると思うのです。逆に、速水総裁があえて円安誘導に傾かずとおっしゃるときにお使いになる、アジアとの関連というところに地政という意味も持ちたいと思いますので、私の認識しているような意味で、速水総裁が円安誘導ということにあえて乗らないというふうに御認識なのかどうかという点を、一点お願いいたします。

速水参考人 為替の問題は、これは財務省の問題でございまして、政府が決めるべきことで、私の方からこうやれ、ああやれと言うことは、持論としては言わせてもらう場合もありますけれども、政策をお決めになるのは財務省でお決めになるわけで、今の、地政学リスクというのが顕在化してきたときに為替市場にどういう影響が出るであろうかということは、あらかじめ、いろいろ予測しておく必要があるとは思いますけれども、世界全体のマーケットですからね、為替というのは。二十四時間、一兆五千億ドルの金が動いているわけですから、それが、何か起こったときに、こういうことが起こったときに何が起こる、どういうふうになるのかというようなことは、今の時点で予測することは非常に難しいと思います。

 そういう意味でも、これは、確かに問題が生ずる可能性はあるかもしれませんけれども、今ここで、平時のときに何かやらなければならないというものではないと思います。

阿部委員 私は、逆にそれゆえ、なるべく平時を保つような経済の仕組み、あるいは金融の、お互いの信頼がこれからの世界の基盤になると思うのです。

 今、アメリカがイラクに対して武力攻撃に出るということは、ブッシュ大統領がサダム政権をどういうふうに見るかという、極めて政治的、軍事的な側面で論議されておりますが、実は、一番このことの与える影響が大きいのは経済金融市場になってまいると認識するものです。特に、グローバル化した経済の中では。

 先ほどの、為替の問題は財務省であるという日銀総裁の、それは正論でございますから、そのように受けとめておって、また財務大臣にも質疑をしたいと思いますが、私は、なぜ日本の経済界や金融に携わる人が、もっとこのイラク問題、アメリカが今まさに着手せんとする、アメリカの武力攻撃という不安定要因に、むしろ安定性を増すために穏やかな解決ということを望まれないのか非常に不思議でならないので、速水総裁にあえて御質問をいたしました。

 そして、三点目、もう一つだけお願いいたします。

 きょう、日経新聞にも出てございましたが、これまで、政策決定委員会でいろいろな重要政策をお決めでございましたが、組織的に業務委員会というものの立ち上げをなさったというふうに出ておりますが、組織運営上、どのようなお考えでこうした新しい委員会の立ち上げをなさったのか、それ一点だけお願いいたします。

速水参考人 今おっしゃいました業務委員会というのは、私どもの銀行の中でいろいろな問題を理事方が話し合って、それを検討して、打つべき手を間違いなく打っていくという内部の制度でありまして、これは副総裁がチェアマンになって動いております。何かあれば私のところへ相談に参りますけれども。そこで今おっしゃったようなことがどの程度議論されているかというのは私もよく存じませんが、当面のいろいろな課題を日銀の中にある委員会で議論して、やるべきことを決めておりますことは、おっしゃるとおりでございます。

阿部委員 よく聞き取れなかった部分もあるのですが。

 速水総裁は現総裁でありますし、この業務委員会の発足も既に現実になっておるというふうにメディア報道では、私もじかに聞いたわけではないのでわかりませんが、でございますので、その委員会の性格とか期待されるものについては、これは質問予告もしてございませんでしたけれども、十分存じませぬがではなくて、もう少しきちんと御答弁をいただきたかったかなと思います。

 これで速水総裁への質問は終わらせていただきますので、極めて玉虫色のものかもしれないということがわかったということにとどめて、総裁にはお時間がございますので、御退席をいただいて結構でございます。ありがとうございました。

 そして、引き続いて、塩川財務大臣にお願いいたします。

 為替の問題は財務大臣だよと振られましたが、それ以前に、私は、やはり、塩川大臣はもちろん戦争も御存じだし、戦前の経済、戦後の経済、ずっと見てこられて、そして今、二十一世紀初頭という時期で、先ほど言いましたが、経済も金融もグローバル化した中で、いざアメリカは攻撃をするんだというふうな事態を一方に控えて、もちろん、小泉政権、それを支持なさるというお考えのようでありますが、特にこのことが、我が国への影響としてもどうあるか。もちろん、世界経済、アメリカ経済にも影響は大きいと思いますが、我が国経済へのという点においても、財務大臣でいらっしゃいますし、経済が悪くなれば税収も減りますし、困ってまいることと思いますから、ぜひ、ラフな印象ではなくて、どこまで、どのように現時点で御認識であるか。

 例えば、影響が、今言われているのは短期的であるからまあいいんじゃないのと、簡単な言い方で恐縮ですが。しかしながら、必ずしもそうはならないかもしれませんし、まして、私は思いますけれども、短期的であっても、今、原油価格も高騰しておりますし、私どもの日常生活でもガソリンも上がってまいりましたし、タクシーの運転手さんも大変だろうなとか思ったり、あと、仕入れ値も原油価格の高騰で上がりますから、今、極めて日本の経済にとっては立ち上がっていかなきゃいけないという大事なときに、アメリカのイラク攻撃、やはりリスクファクターとしてきちんと踏んでおかないと、もちろん、やめてくれというのが一番いいと思っておりますが、私は。

 そうした私の思いも含めて、財務大臣としての今の、どういう対応ないし体制をお心に考えておられるかということを一言お願いいたします。

塩川国務大臣 これは、まだイラク問題が未発のことでございますので、空想で、あるいは単なる想定だけで申し上げるのはいかがかと思いますので、遠慮させていただきたいのでございます。

 しかし、我々願うことは、イラクが過去において設置した大量破壊兵器の実際を、実情はどうなっておるのかということを能動的に証明していくということが一番大事だと思っておりまして、それがない限り、この不安は解消しないと私は見ておるのでございます。

 いずれにしても、これからの進展はどうなるかはわかりません。わかりませんが、もし不幸な事態になった場合どうするかということは、先ほど速水総裁のお話にございました、パリのG7の会議でも、この問題が一時間半議論されました。結局、推移を見なけりゃならぬという結論になったのでございますけれども、短期に収拾する場合と長期になる場合、そして、うまくいって全く、武装解除が行われて事態が無事収拾するという場合、この三つのことについて議論いたしましたが、やはり、議論の中心は短期のところに集中いたしました。

 そこで一番重点にされた議論は、原油がどうなるかということと、為替がどう変動するかということ、そして貿易の程度が収縮するのかどうかということ等でございまして、貿易の収縮は経済成長に非常にマイナスになる、だからこれは避けなければならない、そのためには為替の安定が必要であるという点が議論になったところでございまして、それについては各国、G7加盟国はロシアも入れて八カ国になりますが、さらに一層協調の体制をとろうということを一致して確認したところであります。

阿部委員 今の大臣の区分けを使うと、私も、未発、それが起こらない方向にぜひとも、日本も実はもっと働きかけられるやり方があると考える者の一人です。

 しかし、今の政府の既存の方針は、国連安保理に提出される、アメリカの武力攻撃をも含む一連のイラクに対しての対処に賛成なさる立場をとるやに伺っておりますので、私は、この段階で、やはりぎりぎり、実際に経済混乱を来さないような、先ほどおっしゃいましたが、貿易の収縮ということでも、必ずこれは、今既に為替も変動、株価も、アメリカの株も非常に下落しておりますし、当然ながら、貿易、為替の関連するものもいい影響は何らないわけでございます。何か戦争をして逆にもうかることがあるのか、単純に思えば。

 私は残念ながら戦争経験者でないので、でもきっと塩川大臣は、ちょうど二十くらいでありましょうか経験されて、経済に与える影響というのも何であるか、それ以上に、本当にさまざまなマイナスしかなかったこととお思いでいらっしゃると思うんです。

 例えばイラクという離れたところだからいいんだよと言っていられないほどの影響を、現下の経済、金融はグローバル化しておりますので、与えるというところで、なお大臣の説得力をもって小泉首相をおいさめいただきまして、なるべくイラクの武装解除に我が国も手をかそうじゃないか、武力による解除じゃなくて、兵器破壊の実際に手をかそうじゃないかという方向に、塩川大臣が後見人として小泉首相に御進言いただきたいと思いますが、いかがでありましょうか。

塩川国務大臣 これは政府として決めていくことでございまして、政府の決定について小泉総理のリーダーシップというものは当然とられるものでございます。

 しかし、私は阿部さんに申し上げたいと思いますのは、要するに大量破壊兵器を世界からなくしていこうという運動、少なくとも拡散をしないようにしようという運動がアメリカを中心にして行われておる。このアメリカとヨーロッパとの関係、アメリカと日本との関係というものは非常に違うということも考えていただかないかぬ。

 日本におきましては、安全保障の問題をどういうふうにするかということは重大な問題でございまして、現に、昨日ですか、ロケット弾の実験が行われておるのでございますから、そしてまた、台湾海峡等におきましてもいろいろな問題を含んでおりますし、そういうアジア全体の平和ということを、アジアの関係国が集まってどうやっていくかということがまず重要でございます。そのためには、大量破壊兵器というものが世界からだんだんと減産されていくということが一番重要な問題じゃないだろうか、ここに焦点を絞って努力していくべきだと思っております。

 おっしゃるように、我々も戦争なんてやるものじゃない。私も昭和十八年に行きまして、二十二年に復員してまいりました。それはもう実に辛酸をなめて復員してきたのでございますけれども、阿部さんはまだ生まれていない。それだけに、そういうことは人以上に私は骨身にしみておりますから、戦争を避けることの努力は一層言ってまいりたいと思います。

阿部委員 私は、単に空想的に戦争がなければいいと思っているわけではなくて、塩川大臣のおっしゃったように、大量破壊兵器も含めた軍縮にいろいろな手段がある、ただ、その手段に武力攻撃ということを加えないでほしいと思うだけであります。まだまだやれることはあると思うし、核軍縮も含めて日本は先頭に立つべきだという思いでお尋ね申し上げたので、塩川大臣もそこを酌んでいただいての御答弁だったと思いますので、なおよろしくお願い申し上げます。

 それから、もう一言申し添えれば、例えばCTBTからの離脱ということも含めて、アメリカ自身も、核軍縮並びに一般的な軍縮にきちんとした態度を示さないと、これはやはり示しもないと私は思いますので、日米が友好関係にあるならきちんとそのことも物が言える日本としてやっていただきたいというふうに、これは政府関係者に強くお願い申し上げます。

 引き続いて、竹中財政金融担当大臣にお願いいたします。

 実は私は、同じ質問予告を三度も竹中大臣にしていながら、きょうが三度目の正直で、このほかの委員会ではほかの、例えば森山大臣の御答弁などにちょっと時間を要しまして、竹中大臣に予告をしながら伺うことができませんで、きょうが三度目になりました。

 失礼をまずおわび申し上げて、テーマは同じで、私は、やはりこの間ずっと、アメリカがもしも実際にイラク攻撃というような事態になったとき、それが経済にどう考えてもプラスじゃない、ETFがもうかりますよという以上に、アメリカのイラク攻撃は全然買いではありませんね。これはよろしくないですねと私だったらアナウンスしてほしいと思うのですが、竹中大臣、アメリカのイラク攻撃が経済に対して与える要因、マイナス、プラス、非常に簡単な質問で恐縮ですが、まずそれからお願いします。

竹中国務大臣 以前から御通告をいただいて、その分長く考えさせていただく時間があったわけでございますけれども、基本的に、戦争というのは破壊の行為でありますから、それが新たな価値を生み出すということは当然ないわけであります。もちろんこれは今、そういうことがないように、ぎりぎりの平和的解決に向けた交渉が行われているわけでございますし、それを我々も期待しているわけであります。

 しかし、外交そのものの選択というのは、非常に多面的な判断で、これは最終的に国益の観点から行われなければいけない。

 その中で、具体的に、アメリカの軍事的な行動がもし仮にあった場合の影響については、これは塩川大臣が先ほどG7の議論を御紹介してくださいましたが、私の知っている範囲でも、アメリカの経済専門家の間で同様の議論がなされているというふうに認識をしております。

 これは、短期なのか、中長期なのか、それが特に原油価格にどのような影響を及ぼすかによって影響は違ってくるわけでございますけれども、やはり破壊的な行為であるという意味において、その意味でのプラスはないわけであります。

 繰り返しますが、外交的な選択というのは非常に多面的に国益を考えて行われるわけでありますが、経済に関しては今申し上げたようなことが原則であろうかと思います。

阿部委員 竹中平和担当大臣というふうにいたしまして、経済側面からも絶対にこのイラク攻撃がないように御尽力いただきたいと思います。

 私は、この間のドル売りや、あるいはポンドも売られておりますところを見ますと、おっしゃる多面的な側面というのは、世界じゅうが本当に、戦争を起こさんとするアメリカやイギリスに対して、もちろん損得のところもありますが、気持ちの上でも、反戦のデモ、渦は、世界各国、大きな流れですから、昔は有事に強いドルと言われておりましたが、ドル売り、イギリスのポンドも売られるという状況があるわけです。

 こういうことをごらんになって、一つは財政学者として、経済学者として、あるいは日本の金融担当大臣としてどのように御認識なさいますか。もう一問お願いします。

竹中国務大臣 G7でのキーワードも地政学的な不確実性ということであったと聞いておりますけれども、まさにその不確実性というものが、今の個々のニュースに対して市場が非常に敏感に反応するという状況をつくり出しているのだと思います。その点に関して言うならば、やはりその不確実性をなくしていくための努力ということが、政策上は大変重要な問題であるということだと思います。

 前半の、有事、ドル云々ということに関しては、これは、エネルギーの消費の状況であるとかその他の生産力の変化とか、さまざまな要因が、例えば一つの事件が起こったときに対する各国の経済への反応度というのを、非常にダイナミックにその変化をもたらしつつある状況なのだろうなというふうに思っております。

 いずれにしても、我々にとってできること、特に経済的な観点から申し上げられることは、その不確実性をとにかく減らせるように政策的な努力をすることであるというふうに思っております。

阿部委員 一番の不確実性をなくすのはやはり武力攻撃をしないということだと端的に思います。果たして、この武力攻撃を含めて、アメリカが行動した場合に、戦費の負担、あるいは最近はやりの戦後処理、何かたたいてから処理するというところで、日本は特に戦後処理関係の財政支出を求められるこれまでの経緯がありますが、塩川大臣、お伺いいたします。

 アメリカが軍事攻撃に出た場合、アメリカの国内経済にも非常に経済負荷が加わるだろうと言われておりますが、日本にもそれなりの、応分の負担が求められることになるとまず御認識であるか、そして、そうした場合どうなさるかの二点、お願いします。

塩川国務大臣 まだ不確定なことでございますので言明は避けたいと思いますけれども、いずれにしても、こういう事態が起こってそういう事実が発生してまいったということになれば、これはやはり国として、国益を中心にして考えることは当然でございますが、同時に、国際的協調の面からもどう処理するかということの問題だろうと思っております。現在は全く考えておらないということであります。

阿部委員 何度も申しますが、考えなくて済むように、くれぐれも内閣一体となって行動していただきたい。いろいろな試算がございますが、一たん軍事的なものが起これば、非常に短期的といっても幅があります。日本の負担分が一・八兆円ではないかという試算をなさる方もおられるわけです。そうであれば、本当に、今の我が国の経済状況、どう見ても、今本当に頑張って再生していかないと、日本の国益にも反すると私は思いますので、大臣にはよろしくお願いいたします。

 そして、最後に、本来はこのことで長くやろうと思っておりました配偶者の特別扶養控除の問題を論議させていただきたいのですが、一つだけお願いします。

 この配偶者特別控除が廃止された場合に、一番打撃と申しますか影響が大きい層はどういう層だと御認識でしょうか。塩川大臣、この一つで終わりますので、お願いします。

塩川国務大臣 一応、一番影響が出てくるのは中産階級の家庭ではないかなと思います。

阿部委員 私もまさにそうだと思うのです。今、富は偏在し、アメリカでもそうですが、一部の非常に富裕層と貧困層の間にあった中間階層が貧困化していくということが極めて国を不安定にしていると思うのです。制度として、配偶者特別控除並びに配偶者控除そのものに我が党は対案を持っておりますが、今回の案は何ら追加措置もなく、例えばかわりに子供の手当で給付するとか、いろいろな考え方があります。その一番打撃を受ける層への何ら補完的な給付なく、削減だけを行われたということで、非常に問題が大きいと私は思いますが、追ってまた委員会で御質疑をさせていただきます。ありがとうございました。

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