第156回国会 財務金融委員会 第12号(2003/4/18) 抜粋

議事録全文(衆議院のサイト)
ビデオ(衆議院のサイト)

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 皆さん、本当に暑い中、長時間、御苦労さまでございます。

 それから、日銀の福井総裁には、私はきょうはもう質問はございませんので、もしお疲れであれば御退席いただいても結構でございます。ありがとうございます。

 では、お残りの皆さんで、私もなるべくいい答弁を得て早く審議が終わるように頑張りたいと思います。きょうは、ぜひとも私は皆さんのお知恵を拝借したい。特に与党の皆さん、たくさん残ってくださいましたので、ありがたいので、皆さんの知恵袋をぜひとも拝借したい。野党もいるのですけれどもちょっと少ないから、与党の皆さんでお願いいたします。

 私は、きょう実は、この委員会に先ほどまでずっと出られませんでしたのは、食品衛生法といいまして、さまざまな食品の安全性、特にこれからの季節ですと、サルモネラ菌中毒とかブドウ球菌中毒とかあるいはO157とか、そういう食べ物の安全性をめぐる審議の方で厚生労働委員会におりましたので、ちょっと席を外しておりましたが、皆さんにも少し景色が変わっていいテーマかと思いますので、その関連のことで、そして、なおかつ財務金融委員会にかかわることから御質疑申し上げようと思います。

 一九九五年に製造物責任法、世で言うPL法というのができまして、製造物に異物が混入したり細菌がくっついたりさまざました場合に、消費者保護の観点から製造者の方にきちんとした責任を負わせようとそれなりに一歩進歩した法律で、しかしながら、その法律をまともにきっちり運用すると、なかなか生産者もリスクが高うございますので、自分のところでつくっていて思わぬことで思わぬものが混入したりして、特に中小製造者に対してリスクも同時に伴うので、これに伴ってPL保険というものができてまいりました。一種の責任保険でございます。

 これはこれでまた金融庁の管轄で、前向きなのですが、一つ皆さんに御紹介したい事案は、九九年の四月に熊本県で、女の子が乾燥焼きイカを買って食べたところ、それにサルモネラ菌がついておりまして、食中毒が原因で左足のつけ根が壊死といって腐ってくる障害を負いました。当然ながら、この女の子は後ずっと歩行が跛行、差別ですが、世ではびっこと言っていますが、跛行になりまして、このお嬢ちゃんに対して二千九十万円の示談というか補償がおりることになりました。

 当然ながら、この菓子製造業者はPL保険に入っていたのですけれども、倒産してしまったのですね。小さな製造業者、特に食べ物の製造業者等々は小規模でございますので、一度食中毒とか問題を起こすと即破産に結びつく。PL保険に入っていても、業者が破産すると、被害者であるお嬢ちゃんに払われるお金は払われずに、今度は破産法の適用を受けて、PL保険から払われるお金も全部破産法の網がかぶってしまいまして、このお嬢ちゃんは請求権もないという状態になっております。

 それを問題として、お嬢ちゃんの両親が裁判に訴えましたけれども、それでも、破産の場合は、例えば不動産の抵当権とか勤労者への給与が先ですので、そのような処遇をされると被害者救済には回らない。そもそも、PL保険が製造物の何らかの問題によって起こった消費者への負担をカバーするといううたいなのですが、現実には補償されないという事態が起こりました。

 実は、医賠責というのは御存じでしょうか、医師の損害賠償保険。今、医療も医療ミスがしょっちゅうで、申しわけないですけれども。そのときに、医師も保険に入っているのですけれども、これがまた医師が倒産したり死亡したりすると、医賠責も払われない事態も生じてきます。すべての責任保険の中では起こり得る事態なのですが。

 そこで、まず法務省にお伺いいたしますが、今回の事件から教訓にできることは、被害者保護、被害者保護といいましても、実際に法の体系が必ずしもそれに沿っていないことも、現在このようなリスクの高い社会では生じておる。もし、このお嬢ちゃんたちに対して、あるいは医療被害者に対して、破産処理の際に被害者の直接請求権を認めるようなことを考えるとさまざまな法改正が必要となってくると思うのですが、こういう現実を見て、法務省としては、まず、きょう参考人で来ていただきましたが、どのようなお考えがおありか、お教えいただきたいと思います。

房村政府参考人 御指摘のように、責任保険に加入していた場合であっても、保険会社から支払われるのは、被保険者にまず支払われますので、破産等があった場合には、一般的に言いますと、それは一般債権者の引き当てになりまして、特に被害者の方に優先的に支払われるという仕組みにはなっておりません。

 ただ、これは、保険契約の内容いかんによるわけでありまして、例えば、責任保険の保険約款で、被害者の方に直接請求を認めるというような内容をしておれば、これは、契約自由の原則によりまして、被害者の方が直接請求権を持つ。その場合は、その請求権は破産財団の制約を受けませんので、被害者の方が直接その保険会社に請求する道も開けるということにはなります。

 ただ、これは、責任保険一般についてはそういう考え方はとられておりませんので、個別にそのような保険約款を採用するか、あるいは、特に特別法で手当てをするというようなことが必要になろうかと思います。

阿部委員 ありがとうございます。

 自動車については、自賠責保険は直接請求権を持っておって、けがないしは死亡した場合に直接その被害者が請求するということができますが、今の法務省のお答えでも、一般的にはそういう組み込まれたものがない。

 例えば、これも金融庁の直の管轄ではないので恐縮なのですが、先ほど法務省がお答えくださったように、約款の中に、例えばPL保険においても、被害者保護を明確に定めるような直接請求権、ないしは、こうした場合は被害者が直接請求できるんだよというふうなことをうたうということも可能であり、なおかつ、あえて言えば、必要となってくる時代でもあるかなと思うんです。

 なぜならば、先ほども申しましたけれども、この間、企業倒産は非常に多うございまして、それも、中小の製造業というのは、御承知おきのように、一つのミスなり一つの予測せざる事態が起きたときに、もろにそれを振りかぶって倒産していくということがかなり多うございますので、現在の法体系ではそうはなっていないけれども、やがて、どこかで被害者保護の精神をこの社会の中にビルドインしていかないといけない事態かなと思います。

 このPL保険を管轄しておられる金融庁として、もちろん、金融庁が保険商品について、あなたたち、それを約款に入れなさいとか言うことはできないのは承知しておるのですけれども、世の中の流れの変遷の中で、保険を監督する金融庁として、また、こういう事態の多発をごらんになって、皆さんもこれも御記憶にあるかもしれませんが、九州の方のからしレンコンという事件もございまして、これは、食べた人が亡くなってしまいまして、当然、業者もつぶれてしまって、死亡しても何も救済もないという事例もございます。

 竹中大臣には、先ほど申しましたように、業者に命令せよとかいう意味ではなくて、でも、提示を受けて、金融庁として何らかお考えのところがあれば、御意見をちょうだいしたいと思います。

竹中国務大臣 阿部委員からの御質問に関連しまして、私も、そうしたことを報じている新聞報道等を少し勉強させていただきました。

 確かに、直接請求すれば、その御紹介くださった女の子の場合等々、随分状況は違う。しかし、現状では、他の債権者とこれが同列に扱われるというふうに聞いております。

 金融庁は、保険の新しい商品に対して許認可するという立場にありますけれども、基本的には、我々としては、そういう申し出が業界からあれば認可はできるというふうに思っております。

 ただし、我々が保険会社から聞いているところでは、例えば直接請求等々に関しては、保険金額を上回る損害が発生した場合の保険金の支払い方法、つまり、被害者への分配方法はどうなるのか、多くの被害者との示談をする体制及び費用、さらには破産法上の法的な整理、一般債権者に対抗できるか否か、そういった種々の検討課題があって、現時点では商品化するに至っていないというふうに聞いております。

 繰り返しますが、金融商品の認可という観点からは、我々はそういう心づもりはございますので、これは業界でさらに努力をしていただく、さらには必要な法整備を行っていただくという中で、ぜひ、いろいろな制度そのものが前進していけばよいというふうに思っております。

阿部委員 社会の需要に応じて、そういう新たな保険も商品化されるようなことも同時に望みますし、また、知恵の府であります立法府においても、何か可能なことがあるか否か。きょうは私も、これが答えというものを実は定かには持っておらないのですけれども、でも、問題が余りにも多発しており、先ほど申しました医賠責、医療ミスの問題も折があれば取り上げさせていただきたいと思いますが、非常に深刻になってきておりますので、ぜひとも皆さんの心にとどめていただいて、また、これからの何らかの方策に結びつけていただきたいと思います。

 では、この件は終わりにいたしまして、あと少し、本来のことで伺わせていただきますが、三月期決算についてでございます。

 省庁の方から確定した数字は出ておりませんが、新聞報道によりますと、UFJ、三菱東京、りそなの三銀行は三年連続で最終赤字、みずほと三井住友も二期連続の赤字で、大手十二行のうち、七グループの赤字集計三兆六千億円、逆に、黒は五グループということになっておりまして、大変に不良な成績だと思いますが、金融庁、監督官庁のトップとしての竹中大臣の御所見をまず伺いたいです。

 それで、これ、もしどなたかが聞かれていたらごめんなさい。席を外していたので。聞かれている場合は、簡単な御答弁で結構でございます。

竹中国務大臣 詳細についての御質問はこれまでございませんでしたので、お答えさせていただきたいんですが、実は、御承知のように、今まだ決算の数字を確定しているところでございますので、私からコメントできることは実はほとんどないというのが現状でございます。

 主要行の十五年三月期決算につきましては、本年に入りまして、すべての銀行等が業績の予想修正を発表しておりまして、発表によれば、これらの銀行等は、与信関係費用の増加でありますとか、株式等の償却・売却損が増加した、また、そうした結果、経常の利益、当期利益ともに赤字になると予想しているというふうに承知をしております。

 繰り返しになりますが、しかし、今各行において決算の取りまとめを行っているところでありまして、現時点では確たることは申し上げられないという状況でございます。

阿部委員 わかりました。

 それと、引き続きまして、この大手十二行を対象に、三月末までの間に特別検査を再実施なさったかと思うのです。その結果はいつごろ公表されるのでありましょうか。

伊藤副大臣 特別検査についてでありますが、現在作業中でございますので、検査終了後、速やかに、その結果をとりまとめて、集計ベースで公表させていただきたいというふうに考えています。

 なお、その具体的な公表方法につきましては、対象の債務者やあるいは対象金融機関を風評リスクにさらすことのないように留意しつつ、今後検討してまいりたいというふうに考えております。

阿部委員 確定的なものも出ておりませず、また、風評リスク等もあるということは今の御説明で承知しておりますが、大まかな見通しをしただけでも、この三月期決算を予測いたしますと、不良債権についても、昨年より六兆円ほどは減少させたでしょうが、二十兆円を超すものになるかもしれないと。

 いつも竹中金融大臣がおっしゃる金融再生プログラムでは、平成十六年度中には半分以下に低下させるという目標ですから、そうすると、これから十兆低下させていかなくちゃならないということで、現実性のある見通しなのか否かというところも含めて、大臣の御所見を伺います。

竹中国務大臣 不良債権の額がどのようになっていくのか、これも決算の過程でありますので、どのような形になるのかということを我々も注目して今作業を見守っているところでございます。

 今回、新たにDCF等々を導入するということで、その基準が少し変わる分、不良債権が増加するという要因も特殊要因としてはあろうかと思います。そうした点も踏まえて、実は決算が確定した段階で、我々としては、不良債権比率を半分に目指すということについてのシナリオをより明確に把握していきたいというふうに考えているところでございます。

 さらに、その中で考慮するべき要因としましては、産業再生機構ができましたですけれども、要管理先の中の債権が産業再生機構で健全化していく、そのようなプロセスも実は不良債権比率の低下のためには大変重要だというふうに思っておりまして、そうしたことを、決算の結果を踏まえ、さらには産業再生機構の稼働も見据えながら、その道筋を明確にしつつ、ぜひともその目標を達成したいというふうに考えております。

阿部委員 ただいま挙げられましたあれこれのもの、例えば産業再生機構にしても、これまでいろいろな方策も打たれてきたものとは思いますが、さはさりながら、結果として見た場合に、これまでの改革プログラムなるものは全般で評価するとまずまずうまくいっているのか、いやちょっとなのか、大変だめなのか、一言で、ABCでお答えを最後にいただいて、終わらせていただきます。

竹中国務大臣 御承知のように、四月四日の金曜日で、工程表に書かれているすべてのプログラムが出そろったところでございます。一部まだ金融審で検討しているものもございますけれども、我々としては、これが軌道にようやく乗ったというふうに思っております。

 ABCというのは結果でございますから、いい結果を出すための条件が整ったところだと思っておりますので、結果を出すように我々も努力しますし、金融機関にも努力をしていただきたいと思っております。

阿部委員 七千円割れ株価になりますと極めて危機的になってまいりますので、よろしくお願いいたします。

 終わらせていただきます。

小坂委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

第156・157回国会 国会活動コーナーに戻る   阿部知子のホームページに戻る