第156回国会 財務金融委員会 第19号(2003/6/4) 抜粋

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阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。本委員会で質問をさせていただくのは非常に久しぶりなので、緊張しながらきょうの質問を準備いたしましたが、しかし、それに先立ちまして、仙谷委員並びにその後の各委員が要求されている資料につきまして、まず、竹中大臣に、私が素朴な質問をさせていただこうと思います。

 実は、私は、もう一つの部会は厚生労働委員会というところに所属して、この間、行政関係者に、行政の政策決定に至るまでのいろいろなやりとりのメモをお出しいただくように、厚生労働委員会でも随分資料要求いたしまして、そのことでずっと審議が延長されておりますところから参りましたので、ああ、財金も同じかと思いながらきょう聞いておりました。

 私が竹中大臣に伺いたいのは、「りそな」の問題で、金融庁の指導のあり方がどうであったかということが本日論議されていたと思うのですが、「りそな」と金融庁のやりとりをメモされたものについては、実際に竹中大臣はごらんになったのでしょうか。

竹中国務大臣 これは監督の中身でございますけれども、物によってさまざまでありますけれども、必要な報告は受けております。

阿部委員 私が伺ったことに、賢い竹中大臣ならば、今のは答えじゃないとわかると思うんですけれども、メモ書きのようなものはあったのか、ごらんになったのか、この二つでお願いします。

竹中国務大臣 内部のメモ書きのようなものは、すべてということではありませんけれども、物によってはございますし、そういうものも必要に応じて見ております。

阿部委員 もっと、「りそな」と金融庁の担当者のこの一連の、やはり金融庁だって、「りそな」が公的資金の注入というステージに至るまでのさまざまなやりとりを、それは省庁ですからしなきゃいけないと思うんです。

 私は竹中大臣に見たか見ないかを聞いているのであって、後ろから余分なことは言わないでください。竹中大臣が知っているはずじゃないですか。自分が見たか見ないかを人から言われなきゃいけないようなことは恥ずかしいです。ごらんになったか、あったのかと聞いているんですから。

竹中国務大臣 済みません。私の方が彼に質問をしたんです。その内部の文書の規則等々についての質問をしたわけであります。

 これは、先ほどのお答えに重なりますが、そういったものについても必要なものは見ております。

阿部委員 明確にお願いします。「りそな」に関して金融庁のやりとりのメモ、見たか見ないかのどちらかでお願いします。

竹中国務大臣 全部かどうかはちょっとよくわかりませんが、主要なものは一応見たと思っております。

阿部委員 それでは、これは委員長にお願いでございますが、そのことで、審議並びに来週は参考人の意見陳述も予定がされておるやに聞いておりますわけで、それに合わせて、必要な資料となる場合もございますから、今竹中大臣は、ある部分のものはあるというお答えでしたので、それを提出していただくことを検討していただきたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。

小坂委員長 どのような内容になるのかわかりませんので、金融庁と協議したいと思いますが、それにつきましては、まず委員会において理事会で協議をさせていただいて、金融庁に対してどのような要求をするか決定をさせていただきたいと思います。

阿部委員 私が要求いたしておりますのは、「りそな」問題をめぐる金融庁と「りそな」当事者とのやりとりメモでございますから、何度も失礼ですが、あるとおっしゃいましたので、あればそれをお出しください。どのようなものになるかはわかりませんがということで今委員長おっしゃってくださいましたが、そうではなくて、今やりとりを聞いていただければ、私は、それがありますか、ありませんかと伺って、竹中大臣は、一部ではあるかもしれないがごらんになったとおっしゃったんですから、私はそのメモを要求しますので、理事会で検討していただきたいと思います。

 もう一度委員長にお願いします。

小坂委員長 理事会で検討いたします。

阿部委員 ありがとうございます。

 では、本来の質疑に入らせていただこうと思います。

 まず、竹中大臣にお伺いしたいと思いますが、そもそもこの法案はだれのためにつくるのでしょうか。一問目です。

竹中国務大臣 一義的には保険契約者のためであるというふうに思っております。しかし、それが結果的に、保険のシステム、金融システム、ひいては日本の経済の全体に資するものになるというふうに思っております。

阿部委員 一義的にはと申しますのは、最も中心となるのは保険を掛けられた国民の多くだというふうに理解してよいかと思いますが、大臣の御答弁ですと、すべての関係者がより大きな利益というふうに御答弁されるんですね。先ほど、ちょっと前の御答弁ですけれども、すべての関係者がより大きな利益ということと、一義的に、生命保険に加入した加入本人ということが矛盾する場合もあると思うんです。

 すべての関係者に、より大きな利益と、一義的に御本人、保険契約をされた方がありますが、そこは明確にしていただきたいのですが、一義的ということは、最優先されるべきは保険契約者でありましょうか。

竹中国務大臣 もちろんそうであります。

阿部委員 そうであれば、その質問はまた別途にさせていただきます。

 そして、今回の保険業法の改正で、これも竹中大臣がよく口にされる言葉ですが、逆ざやという構造的問題が生じたためという答弁が繰り返しございます。一体、逆ざやという構造的問題という認識をお持ちになったのはいつからでしょうか。

竹中国務大臣 これは、実際に逆ざやになっているのは平成四年からであるというふうにデータ上は出ております。

 私がそういう認識を持ったのはいつかということでありますと、ちょっと正確には思い出せませんですけれども、現実問題としては、その時期から逆ざや問題がじわじわと進行してきたと認識をしております。

阿部委員 しかしながら、従来認識されている逆ざや問題が、より一歩何らかの対応をせねばならぬ、危機対応でもいいですし、有事対応でもいいですし、事前予防対応でもいいですが、ステップアップせねばならぬと判断された時期はいつですか。

竹中国務大臣 生保の問題というのは、そういう意味では一九九〇年代の半ば、終盤ごろからいろいろな形で議論をされていたというふうに認識をしておりますので、そのころから、個人的な問題意識ということではそういうことは持っておりました。特に、平成八年から保有契約高が減少するということが起こったというふうに認識をしています。これは九六年ということになりますでしょうか。それ以降、九七年に、例の一種の金融危機が起こって、九八年、九九年、さまざまな問題が展開していくわけでありますけれども、そうしたことを経て、生保が抱える問題というのは今非常に大きくなってきたというふうに考えております。

    〔委員長退席、林田委員長代理着席〕

阿部委員 事実としての逆ざやは平成四年から生じ、平成八年からは保有契約高が減ってくる、変更されてくるということの中で、竹中大臣個人としてではなくて、金融庁の責任者として金融行政を振り返ってみて、時々にどのような政策なり対応なり指導なりをなさってきたのでしょうか。

竹中国務大臣 私が金融担当大臣を拝命してからまだ七カ月ぐらいでございますが、さかのぼって、金融庁としてはどのような対応をしてきたかということから申し上げますと、先ほど、平成八年から保有高が減少してきたというふうに申し上げました。実は、平成九年に日産生命、十一年に東邦生命等々、十一年から十二年にかけて生命保険会社の破綻処理が続きました。ここがやはり金融行政の上でも大変重要な一つの時期であったというふうに思っております。

 こうした中で、さまざまな措置を金融庁としても講じてきております。例えば、平成十一年度から例の早期是正措置とか早期警戒制度を活用した監督の制度というのを始めております。平成十二年度からはセーフティーネットの構築を行っている。その後さらに、今回もよく引用されます、生保の、例の金融審の中間報告が十三年に出されておりますし、それを受ける形で、先ほどから申し上げておりますように、ディスクロージャー、情報の開示でありますとか財務基盤の強化でありますとか、さまざまな政策措置も講じられてきたということであります。

阿部委員 金融庁の担当責任者として、そうした措置が不十分であったから今回のような法案を提出されたのでしょうか。何らかの総括はどのようになっているんでしょうか。

竹中国務大臣 銀行に関しては、明快に私申し上げましたように、危機ではないけれどもやはり健康体ではない、解決すべき重要な問題がたくさん残っている。その意味では、生保に関しても同様の形容ができるのではないかというふうに思っております。これは、さまざまな措置を講じてきましたけれども、マクロの経済環境が一層悪化する中で、生保に関しても、やはり解決すべき重要な問題が幾つか残っているというふうに思っております。

 その中で最も大きな問題の一つが、逆ざやの問題であろうかと思います。逆ざやに関して、もちろん経営の努力でこれを補っていかなければいけないということは言うまでもありませんけれども、金利状況、金利環境がこの十年で激変してしまって、その中で、高い利回りを約束したけれども、現実の運用利回りは低いものにならざるを得ない。そうした問題に関しては、一つの大きな優先度を持って、政策としても対応しなければいけない、このように考えているわけでございます。

阿部委員 私も、当然ながら逆ざや問題がないとは申しませんし、それはそれとして問題はあろうかと思いますが、先ほどの佐々木委員の御質疑にもありましたように、やはりこの間、危機対応をせざるを得なくなっているところの隠れた背景というか真の背景は、株価の問題があるのではないかという先ほど来の御指摘でございました。

 そして、先ほど藤原局長が、この法案は保険契約者と経営者のためにつくる、いわゆる生保業界のためにつくるとおっしゃいましたが、私から見れば、生保業界にとっていい迷惑だ、本当に気の毒だと思えてなりません。

 なぜなら、今の現代社会、少子高齢化と言われます。御高齢者の数がふえて、子供たちが減ってくる、その中で、また個々の方の寿命も長く、一日も、一年も長く、日々長くするように医療も進んできた中で、逆に言えば、保険という構造の中で、本来的に言えば、いろいろなやり方で、その業としてのなりわいはきちんとやっていけるはずの芽をいっぱい持った分野に、たまたま銀行との持ち合い株の問題が大きく桎梏になっていて、さっきの三利源の、三つの収入を分けた中で、本来業務がうまくいっていてもほかのものに足を引っ張られざるを得ない。そして、これだけ国会でも審議され、何か予定利率下げなくちゃだめなのかもしれないんだってねと言われた日には、自分たちの商売は本当に上がったり。これから展望がなくなる方にしか――だって、個人が契約して、また利率下がるかもしれないと思ったら、だれも、先ほどの委員の発言にもございましたが、契約しなくなるのが人間の普通の気持ちだと私は思うんです。

 きょう参考人でいらした横山さんも、経営そのものは黒字である、簡単に言えば。新しい商品開発もしている。そして、ちなみに、片仮名名のつくような生保会社はみんな新しい商品で黒を出しているわけであります。そうした中で、実は収益力を悪くしたのは株価の低迷が要因ではないかという指摘については、竹中大臣はどうお考えでしょうか。

竹中国務大臣 株価の低迷が多くの企業、特に保険会社に対して非常に大きな重荷になっているというのは、これは事実として全くそのとおりであると思っております。

 我々としては、繰り返しになりますが、構造改革を進めて、日本の潜在成長力を高めて、株価が結果として上昇するような姿をぜひ導いていきたいと思っております。

阿部委員 株価の上昇はだれでも願うことであります。しかしながら、そのことが、なかなかデフレは短期には脱却できまい、中長期的にしっかりした、新しい経済のグローバル化に即した体制を考えないといけないという一つの覚悟があるからこそ法案にも意味が出てくるのだと思いますが、もしも今の竹中大臣の御答弁であれば、では、手をつけるべきは、持ち合い株も含めた株という構造がもたらしている構造的不利益について手だてすべきだと私は思いますが、この点はいかがでしょうか。

竹中国務大臣 先般、関係閣僚が集まりまして議論したのは、まさに日本の株式市場が持っている構造的な問題について、できることからとにかくやっていこうではないかという我々なりの思いがあったからでございます。

 日本の株式市場、株というのは、将来の収益、企業の価値を映し出す非常に重要な鏡であるという側面を持っている。しかしながら、同時に、当面の市場に関して見ると、短期的な需給要因に非常に左右されているように見えるという側面があります。十年前は、日本の株取引のうちの約二五%は銀行が担っていた。生保も、多いときは九%ぐらいのウエートを担っていた。それがそれぞれ、今株取引に占めるウエートが一%から一%台になっている。かつて機関投資家として価格を安定させる、安いなと思うときには買いに入る、高いなと思うときには売りに入る、そういう形で、裁定取引を行って、株価を安定させていたような機関投資家がこのマーケットから消えてしまっている。したがって、代行返上等、少し特殊な要因が出てくると、それに株価が非常に引きずられるような、いわゆる構造問題を持っている。

 そういう問題を解決するための手だてを、我々としても、いろいろあの手この手で今考えているわけでございます。なかなか一朝一夕にはいきませんけれども、やはりこういう努力は努力として、ぜひ続けていかなければいけないと思っております。

阿部委員 そのあの手この手の中に、個別、生保の関連の会社と銀行の保有株の問題で、あの手、この手、その手、どの手のどれでも結構ですから、お考えがあれば披瀝していただきたいと思います。

 私は、こんなに生命保険の契約者並びに経営者に負担をかける、このやり方以前に、金融庁として、あるいは経済財政担当大臣としてお考えにならなきゃいけないことがあると思いますから、個別、生命保険という問題と銀行の保有株という問題で、どのような見識がおありか、お願いします。

竹中国務大臣 今私が御説明申し上げた株式市場の構造的な改革と今回の法案を含めて、生保、銀行の問題というのは直接は関連しているとは必ずしも思ってはおりません。もちろん、長期的に、財務の基盤を銀行においても生保においても強いものにしていっていただく、資産の量もふやしていっていただく、結果的にそこが優良な需要家になって、市場を活性化していくということは必要なことであると思っておりますので、その意味での金融システムの再生、それに向けた努力というのは個々に積み重ねていかなければいけないと思っております。

 そのほかにやるべきことがいろいろあるだろう。これはそのとおり、個々にやるべきことはたくさんあると思っております。これは、財政赤字という制約の中で、しっかりと歳出の改革を行っていかなければいけない。そのためにどういった形での歳出改革を目指すとかということは今月中に骨太の第三弾として取りまとめるということにしておりますし、その中には、国と地方の問題、年金の問題、さまざまの問題が入ってくると思います。これをやればうまくいくということではなくて、今我々の目の前にあるたくさんの問題を、根気強く、一つ一つ、難しくはあるけれども解決していかなければいけないと思います。

    〔林田委員長代理退席、委員長着席〕

阿部委員 そういう総論を伺いたかったのではなくて、現在、例えば生命保険主要十社の株式保有率を見ますと、銀行などの金融関連株の比率は、平成十四年三月末で一七・五%、やはりこれは高い水準にあると思うのです。そうした問題、すなわち株価、特に銀行株の下落が経営状況にまた反映してくる。これも、私よりも、本当にこの道の専門で、実際にいろいろなことを、勉強も含めて積み重ねてこられた大臣から見れば、どこに処方せんを置くべきかという問題で正しい認識があってしかるべきだと思うのです。

 今のは本当に大枠の、骨太の総論です。そして出してきた手だてはこそくな、そして本当に契約者の負担だけの、これが、だって、契約者を第一義的に守ってあげますよというのはうそじゃないの。負担ばかり、全部損ばかり、嫌なことばかり押しつけて、中間にやることがあるでしょうよと、私は本当に単純ですから、考えるわけです。そしてその知恵と見識を大臣に示してほしいと思って聞いているのですから、こんな宙に浮いた骨太か、こそくな利下げかじゃなくて、きちんと真ん中の、銀行保有株問題、どう解決していくのか、お考えがあれば教えてください。

竹中国務大臣 今回お願いしている法律は決してこそくな問題であるとは思っておりません。そのことはこれ以上申し上げませんが。

 今、直接の御指摘は、株の問題が生保の収益を圧迫しているだろう、特に銀行株との関連について、何か直接、しかも割と短期間にできることはないのか、そういう御指摘かと思います。

 これについては、与党の方でも実は、金子筆頭理事初め皆さんに大変いろいろな御議論をいただいているというふうに認識をしておりますけれども、株式買い取り機構の機能をどのように強化していったらよいのだろうか、日本銀行の銀行保有株の買い取りについて何かさらにお願いできることはあるのだろうか、ないのだろうか、それと、銀行の株式保有の期限を、今、平成十六年に設定しておりますけれども、それをBISの基準に合わせて変更するということもあり得るのかどうか、そうした点が与党のプロジェクトチーム等々で御議論いただいている主要な論点であるというふうに認識をしております。

 今申し上げた点は、いずれも、直接的で、かつ即効性という観点からもやはり重要な政策であると思います。

阿部委員 私があえてこそくと申し上げましたのは、傷をしたときにバンドエイドを張っているようで、逆ざやがあるから最初の利率を下げたらいいだろうというのは、本当にだれでもが、それは血が出ているからそうした方がいいかと思いますが、血を出させている原因があるんじゃないかと思えば違う対処法があるんじゃないかと思うわけですよ。

 先ほど来、これがこそくかあるいは本質的かということを判断するためにも、ではガイドラインができていますかと言ったら、それはこれから考えますですし、例えば金融審議会の部会でどんな審議が交わされましたかと言っても、それもこれから出しますと言って、それでは、これが本当にいい根本解決になるのかどうか、みんなが情報を共有できる基盤がないということが不毛な論議を重ねていくもとになりますから、あわせて、また委員長にお願いですが、必ず各委員が御指摘の資料は出していただきまして、国民にしてみれば二兆円ものお金を、私も見たことがない、そんなお金、国民だって見たことがない、税金の、あるいは損失を生むかもしれないものを入れるわけですから、きちんとした資料を論議に足るべく提出していただきたいと思います。

 そして、百歩譲って、竹中大臣がこれぞ本当に逆ざや問題のいい解決なんだともしこの予定利率の引き下げを思われるのであれば、もしかして竹中大臣の心の中には、深読みすれば、これによって生保業界の再編を促進しようというお気持ちがおありなのかなと思いますが、まずはそれが一点。あるいは、そう考えていなくても、副次的にはそうなるのかなとちらっと思っておられるのかどうかも一点。お願いします。

竹中国務大臣 今回の法案は、冒頭で申し上げましたように、保険契約者にとって、このままで放置するのがよいのかどうか、それとも何らかの別の選択肢を準備する方がよいのかどうか、そこがあくまでも出発点であり、原点であります。したがって、再編のためにこういった法律を用意しているという意図は全くございません。

 しかしながら、昨日も、これは海江田委員でございましたか、御議論いただきましたけれども、やはり、保険の解約が進まないようにするためには、保険会社自身が本当に経営革新をしっかりとやって、これでもってこの保険会社は大丈夫であるというような非常に強い認識を持ってもらえるような、そういう状況を同時につくり出してそれを見せていかないと、単純に予定利率を引き下げるというだけで物事は解決しないというふうに思います。

 その中で、経営改革の一つの手段として、非常にダイナミックで野心的なビジネスモデルを提供するというような面もありますでしょうし、さらには非常に意味のある合併、再編というようなものも中にはあるかもしれません。そういうものが伴ってこの予定利率引き下げのスキームが生かされてくるということはあり得ることであるというふうに思っております。

 いずれにしても、今回のスキームを一つの選択肢として、経営を思い切って改革していく、これを一つのきっかけ、手段にしてほしいというふうに思うわけでございます。

阿部委員 きっかけ、手段になるか、生保業界という業界にとって本当に取り返しのつかないマイナスになるかは、本当の意味でようよう、大臣であれば見きわめていただきたいと思うんですね。

 私は、何度も申しますが、生保業界は今、年齢構成の変化、疾病構造の変化、そして人々が望むものの変化に合わせてよい商品を開発していけば、やはり時代のニーズはセーフティーネットとか安心とか安全を求めるところにあるわけですから、決してそんな悪い業界ではないと思うのです。そこで、こんなに不安定で、最初の契約が途中で変えられるんだよなんという商品をだれが買いましょうかと私は思います。

 そして、さっきの、朝の参考人もそうでした、横山さんは、うちは絶対これをやりませんと。みんなそう言いますよ、やりませんと言っているものをわざわざつくっていく。おまけに、こうしたことがあるからかどうかわかりませんが、S&Pでやる格付もどんどん日本の生命保険会社は下がって、そして下がったところで外資系に買いたたかれて持っていかれるというふうな構造を繰り返しているわけです。

 それに比較すれば、再生特例法を早期に適用した、例えば東京生命などの方が、利率の引き下げもそれまでの破綻処理の銀行と比べれば高どまりして行えたじゃないか、あるいは、さっきの劣後資産とか基金とかそこから処理して、契約者のところへの負担は一番軽く済んだじゃないかという指摘があるわけですが、この点についてのお考えをお聞かせください。

竹中国務大臣 結果的にどのような形で逆ざや問題を解決していくのが一番よいのか、これはいろいろなケースがあり得ると思いますし、この後恐らく海江田委員がそうした点についての御質問もされるのだというふうに認識をしておりますが、基本的には、非常にダイナミックな経営戦略の中で、また経営環境の中で、いろいろな問題が出てくるのであろうというふうに思っております。

 しかしながら、一般論としてあえて申し上げれば、保険契約者にとっては、破綻する場合に比べて、破綻を予防しながら予定利率を引き下げる、しかしながら、それに経営改革を伴って保険会社がしっかりと財務基盤を強化して強い組織体になっていくということであれば、それはその方が保険契約者にとってのコストが小さくなる可能性が高いのではないかというふうに基本的に我々は考えているわけでございます。

 それぞれ、司法的な手続、破綻の手続等々いろいろなケースがあり得ると思いますけれども、繰り返しますが、そうした意味で、経営の選択肢を我々としては提供したいということでございます。

阿部委員 生保業界とすれば、金融庁が言えば選択肢の一つだと言わざるを得ないんですよ、これは立場の差で。

 それが「りそな」問題でもあるかと思いますから、「りそな」に関する資料の提出をさらにお願いいたしますが、最後に一点だけお願いいたします。

 例えば、先ほどの法的整理手段、あるいはこのむちゃくちゃな利率の下げという方法以外にも、銀行では、ペイオフのように一千万円までは保護というふうな、ある意味での契約者にとってのセーフティーネットをはめることをやりましたが、生保では、例えば死亡における満期の契約だけは保護とか、ある程度の分けたセーフティーネットをどこにつくるとかいうチョイスとか、そういうお考えは竹中大臣にはないのですか。

竹中国務大臣 お尋ねの点で、ちょっと不明な点もあるんですが、セーフティーネットに関して申し上げるならば、補償水準というのは、現行の生保のセーフティーネット、責任準備金の九〇%ということになっておる。これをもし一〇〇%にしたらどうかというお尋ねでございましたら、これはいろいろな御議論があるかもしれませんけれども、保険会社におけるモラルハザードの発生の抑止ということもやはり考えなければいけないのだと思います。したがって、これを、九〇%を一〇〇%に引き上げろということでございましたら、これは私は適切ではないのではないかというふうに思っております。

 ただ、いずれにしましても、我々としましては、検査、モニタリング、いろいろやらなければいけないことがあります。健全性の確保に向けて経営努力を求めて、風評リスクが生じないように、いろいろな手だてを講じていきたいと思います。

阿部委員 解約が殺到してその生保がつぶれるとか、そういうことも本当にこれで、危険、風評被害も考えられますから、十分に一つ一つの対応を検討していただけるようお願いして、海江田さんに質問を譲ります。

 終わります。

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