第156回国会 財務金融委員会 第21号(2003/06/10) 抜粋 ○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
私も、ただいまの吉井委員の御指摘のごとく、先週来この法案を審議しておりますが、本当にこれで国民保護あるいは契約者保護のための法案かというと、全く似て非なるもの。竹中大臣は先ほど、契約者にとっても選択肢が広がると。ある種善意でお思いなのかもしれませんが、質疑の中でやりとりされることを聞いていますと、根本的な視点が欠落していると思うところがありますので、冒頭、そのところから御質疑をさせていただきます。
先回の私の質問でも指摘いたしましたが、この法案の提出に当たって、本法案のポイントというような説明書きをいただきまして、この法案がまず第一に目的とするところは、保険契約者の保護を図るためであると。これは、先回私が竹中大臣に御質疑いたしましたときも、第一義的には保険契約者の保護だというお話が出てまいりました。
では、なぜ、本当はそうであるといってもそうなっていないかというところの大きな一点目に、個々の契約者の知る権利というものが全く実は保障されていないからだと私は思います。
竹中大臣は、それを、先ほど、保険という一つの仕組みの中で、ある意味個々人の権利が制約されることもあるやに御答弁でありましたが、例えば、このスキームの当初から、保険会社が契約条件の変更を申し出て行政当局が申し出の承認をするまでの間、これは先回私どもの植田至紀が質疑いたしましたが、朝十時に申請してそれが承認されるのが夕方五時である場合もあるし、あるいは十日、一週間かかる場合もある。この間、実は契約者は自分の契約している保険がそのような状態にあるということは全く知らされない、それでいいのですかと植田至紀が質疑いたしましたときに、藤原局長が、「そういうことだと思います。」という御答弁でした。六月三日であります。
竹中大臣も同じお考えでしょうか。その間、全く知ることができない。それは、金融庁は知っているでしょう、あるいは当の生命保険会社は知っているでしょう。しかし、契約した個々人は全く知ることがない。それでよろしいでしょうか。
〔七条委員長代理退席、委員長着席〕
○竹中国務大臣 申しわけありません。その六月三日のやりとり、必ずしも定かに記憶はしておりませんが、今のお尋ねは、契約条件の変更を会社が申し出る、申し出をまだ役所は承認しておりません、それまでの期間、契約者は何も知らないではないか、そういうお尋ねなのかというふうに思います。
これは、もちろん承認をしておりませんし、通知をしておらない段階でありますので、その会社の中での経営の可能性をまだ検討している一つの段階ということになろうかと思います。そのこと自体をその時点で契約者が知らないというのは、ある程度この手続上やむを得ない点があろうかと思いますが、もちろん、それの背景となる会社の経営状態、これはまさに情報開示を通して可能であるわけでありますが、そういうものは常に契約者に対しては十分知らしめるような状況になければいけないというふうに思います。
○阿部委員 今の大臣の御答弁は、経営の可能性を検討して生命保険会社は申請するわけですから、ちょっと違うんじゃないでしょうか。経営の可能性を検討して、さっき言った五年、十年はもたないと判断したから申請なさるわけです。
もう一度確認させてください。経営の可能性を検討途中であるから、契約者は知る必要がないのか。
私は、吉井委員がおっしゃったように、確かに保険ですから、無用な解約が引き続いたりしてはいけないということも理解しておりますが、だがしかし、これだけ世の中的に論議され、保険の利率の引き下げもあるかもしれないということが行き渡ったときに、なおかつ寝耳に水のように、金融庁が申請を受け付けたというところから始まるよりは、うんと誠実に、その申請をした段階から、しかしながらあなたの生命保険はこれこれで、私たちは保障しますよということを言って、そしてその個々人のいわば選択に本当の意味でゆだねる方が、むしろ事ここにまで至った場合、この審議、国民が全部見ているわけです。しかしながら、この七日、十日、あるいは十時から五時は全く蚊帳の外ということが、どうしても私はおかしいと思いますが、いかがでしょうか。
○竹中国務大臣 ちょっと私の聞き間違いでなければ、委員が問題にしておられますのは、その申し出が承認される前の段階、つまり手続に入る前段階のお話なんだと思います。そうした前段階で情報がすべて外に出てしまった場合のデメリットというのは、こういった金融機関の場合、間違いなく私はあるのだと思います。
委員おっしゃったように、これは大丈夫なんだというようなことが人々にきちっと理解してもらえるような状況であるならば、それはそれで一つの解決策かもしれませんが、現実にはやはりそういうことは難しい。
したがって、今回、手続に入ることを承認した上で、きちっと、こういうふうになります、書類を今度は出すわけですね。書類を出すに当たっては、今後の業務の改善の見通し等々も出すわけですから、そういうものが整った段階で初めてきちっと見ていただく。それで見ていただくのが、無用の混乱を避けるためには、私は必要な手続であるかというふうに思います。
○阿部委員 今のは、突き詰めて言えば、風評被害に乗りやすい、余り知識を持つことのない国民に対して、ある種パターナリスティックに、いい手だてが出るまでは、選択肢が出るまでは黙っていようという考え方なんだと思うんです。
私もそうした仕組みというものがあり得ることは理解しますが、何度も申しますが、これだけ国民的論議になって、国民はある程度この現実を知っているわけであります。本当にこの政策に自信がおありであれば、私は逆に、この初動作の段階から事を明らかにして、むしろ起承転結、全部に至るプロセスを国民に開示した上でこの法案の成立を見るべきだと思いますが、あるところでは国民保護という名をとって、実はお金の問題は国民は非常に敏感ですし、自分の掛金の問題ですし、自分に返ってくるお金の問題ですし、開示されれば本当にきちんと判断するだけの力も持っていると思います。
しかしながら、これとこれとこれの手だてができるまでは開示しないというのが先ほどの藤原局長の御答弁ですし、今、竹中大臣もそのようにおっしゃいました。私は、やはりこの出発点というものが実は大きくゆがんでいると思います。
こういう論争のときに比喩を用いると余分なものが入ってくるとは思いますが、あえて言わせていただければ、その方ががんだったとします。医療の世界では、今ではすべからく告知する、そして治療肢を並べて人生の選択をしていただく、その方法がやはり一番よいんだということが長い歴史の中で、昔は医療も今の竹中大臣のように、言ってしまったら不要な混乱を招くんだ、不幸にするかもしれないんだと。
もちろん、医療は個人だけにかかわることですから、先ほど私が申しました、業界全体、保険という全体の枠のことを私が今問題にしているものでないことは御理解していただいた上で、個人の保護という意味であればやはり伝えるべきであると思います。そして、それを超えて、保険という仕組みの保護からしてこれは伝えられないという御答弁なら、それはそれでまた次の質問に移りますから、どちらのお考えであるのか教えてください。
○竹中国務大臣 情報の開示は、基本的にはしっかりと行わなければいけない、そのことを否定するつもりはございません。
しかし、非常に微妙な問題については、どのようにそのことを知らしめていくかというのは、特に金融行政の場合、非常にナイーブな部分があると思います。したがって、その意味ではケース・バイ・ケースであるということになると思います。
委員は、その御職業も踏まえて、がんの告知に例えられました。私は、基本的には、専門家ではありませんが、そのことをやはり告知して、しっかりと認識を持っていただくというのは反対ではありません。しかし、告知するには、恐らくお医者さんの世界でも告知するマナーがあるんだと思います。いきなり何かの壁に、この人はがんだというふうに張り出すわけではないでしょう。非常にきっちりとした状況下で、きっちりとした説明を行う。それに対して、単にがんだと言うだけではなくて、この場合、今後どうなっていきますよ、こうなれば手術すれば可能性はありますよ、これは難しいですよ、いろいろなことを整えて、情報がきちっとわかるようにしてから告知をされるのだと思います。
金融の場合もやはりそういう、一般的に、世界じゅうであるルール、マナーのようなものがあると私は思います。例えば、一つの金融機関が何か破綻とかの状況を迎えたときには、やはりこれは金曜日にマーケットが閉まってからその作業に入るわけです。これも決して、では隠しているのかというと、知らしめるに当たっての一つのマナー、手続なんだと私は思います。
繰り返し言いますが、今回は、そういうことはきちっと通知を出して知らせます。しかし、それまでの期間、きちっと条件が整って、行政もそれを承認して、内容が整った上でその手続に入る、私は、そのような一種の手続論としては必要なのではないかと思います。
○阿部委員 私ががんの例えを出しますときにあえてお断りいたしましたが、例えばがんであると壁に張るわけではないたぐいの問題であるという認識は竹中大臣と同じです。しかしながら、この法案全体を通して透けて見えるものは、やはり個々の契約者に対しての保護が極めて不十分であるという実態があるゆえに、私は、最初の初動作からそのようなものとして組み立てた方がうまくいくのではないかという質疑をいたしました。
例えば、このスキームの後半で、保険会社による契約条件の変更案が作成されまして、その次に「行政当局による契約条件の変更案の承認」という一文がございます。そしてこのときに、「行政当局は、必要に応じ保険調査人による調査を実施」すると書いてございます。この保険調査人による調査の実施に当たって、個々の契約している個人から、自分の場合はこんなに損なんじゃないかというふうな訴えがあったときに、それはどこが受け皿になるのでしょうか。
スキームの下の方でございます。「行政当局による契約条件の変更案の承認」のところで、「行政当局は、必要に応じ保険調査人による調査を実施」となっております。それで、「保険契約者の権利が不当に害されていないか等をチェック」という、ここにはあくまでもマスとして見た場合のチェック機能しかないのではないかというふうに私は思うわけです。しかしながら、あくまでも個的、私的契約であります。個人にとって、自分の場合不利益なんじゃないかと思う人が当然発生します。その方たちの声は一体どこに窓口を持っているのか、お答えいただきたいと思います。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘の、そのスキーム図の中の、下から三段目の「行政当局は、必要に応じ保険調査人による調査を実施」というところでございますが、括弧の中で「保険契約者の権利が不当に害されていないか等をチェック」する。ここは、まさしく先生御指摘のように、集団として、一部の保険契約者に過度に負担を強いて一部がよくなっているとかいうようなもろもろの、不公平がないかとか、そういうものをマスとしてチェックするということを想定しておるわけでございます。
また、先生御指摘の、個々の契約者について、では、だれがどこで対応するのか。基本的には、それは保険会社が対応する。どういうふうな対応になるかというのはちょっとあれでございますけれども、基本的には保険会社のマターだというふうに思っております。
○阿部委員 私は、そうであれば、先ほど来指摘されている圧倒的な知識の差、力の差、それからやはり第三者機関的なものがきっちり受け皿になれるような仕組みがないと、本当に個が守られたかどうか。
何度も申しますが、保険というのは一つのグループで機能しなければいけないところがあることはわかっております。しかしながら、その中で、グループのために逆に個が犠牲になるということもまたおかしいし、そのことを自分が疑問に思ったときに、保険会社とのやりとりだけでは解決しないことが当然あろうと思います。そして、これは明らかに初期の契約、個と個で交わされた契約、保険に入るときは、個人で入っている今の終身保険とかを問題にしているわけです。
そして、その解決策のときになると急に、入った私という個はなしで、グループとして入っているあなた方について、不可分がないか検討して情報を出しますということになっている機構の中では、国民の一人一人が納得してこれにイエスと言えないのではないかということであります。例えば第三者機関を設けて、その声の相談に乗るとか、そういうことも金融庁として、あるいは竹中大臣としてお考えでありますか。
○藤原政府参考人 私の方から先にお答え申し上げます。
先生も御指摘のように、保険契約と申しますのはあくまでも個人と保険会社との間の私契約でございますので、基本的には、一対一の契約更改というのが原則だというふうに思っております。
他方、保険集団の特性といたしまして、非常に膨大な数の社員がおるとか、あるいは保険の集団性とかそういうこともございまして、なかなかそれがうまく機能しないということも事実でございます。
したがいまして、現行の保険業法におきましても、破綻の際の契約条件の変更でありますとか合併でありますとか、そういうものにつきまして総代会で発議し、最終的には異議申し立て制度を活用するというようなことで、いろいろとそういうことを工夫して成り立っておるところでございまして、その辺について御理解を賜りたいと思っております。
○阿部委員 それは破綻という法的処理に入った段階でのお話で、ずっと金融庁がおっしゃっているのは、これは破綻という、そして更生法を利用した法的措置じゃない、私的契約の中でやることなんだと言っているわけです。だから私は、私的契約の中で、そうすれば当然、そこは法的な明確さもないわけであります。そのときに起こることだから、弱い契約者の一人一人について、何らかの窓口、第三者機関があったらいいんじゃないですかとお尋ねしているわけです。
そして私は、非常に答弁上ずるいと思うのですけれども、あるところは破綻処理ではないと言いながら、急に破綻処理の話にして、私が聞いたこれは、破綻処理でないところの私的契約の中で、こんな私的契約を公が勝手に変えるなんというむちゃくちゃをやっておいて、そこに取り残された個人については、逆に、私的契約であることの不安とか疑問とかに何ら受け皿がないじゃないかという指摘をしているわけです。
私は、結論から言えば、法的措置をとった方が明確であると思います。それはそれで一つの選択肢ですから。しかし、あくまでも私的契約の変更でやるんだとおっしゃるから私の質疑があるわけです。大臣、いかがでしょうか。
○竹中国務大臣 少し誤解があるかもしれないんですが、委員御承知だと思いますが、今の保険業法の中にこの異議申し立ての手続があるわけです。これも、もちろん言うまでもなく、個々の契約です。しかし、個々の契約であるにもかかわらず、例えば保険契約の移転とか合併の場合、それで中身が変わる。そのような場合には、しかし、保険集団の特殊性を考えて、これは異議申し立てをせざるを得ない、この手続しかないだろうということで、今ここに保険業法は既に存在して、その中に異議申し立てという保険の特殊性を考えた手続が準備されています。それを援用しようということなわけで、今回、特別にこの枠組みができたわけでは決してありません。
その意味では、そもそも、保険業においては、個人の契約というものと、一方で集団性との調和というのが、以前から当然のことながら根本的な問題として大きな問題になっているわけであります。今回のような条件変更では、それが特にクローズアップされるんだという点も大変理解できるところではありますけれども、今までの法体系の中で使われてきた、整備された一つのシステムなんであるという点は、その点、局長からの答弁であったものだというふうに理解をしております。
○阿部委員 整備されたシステムの中では担い切れないような大混乱を、今回、このことで来すであろうということから質疑をしているわけです。今までの個々人の不服申し立ての仕組みがあるからそれでよしという答弁であれば、余りにも不実であると思います。
一方で大きな変更を来すわけです。個々人は、自分の契約とどんなふうに違ってくるんだろうかということを当然疑問に思いますし、そのために、いろいろなところに相談したいとも思います。それが、自分が契約している保険会社しかない、そこへの不服申し立てしかない。そのような不備な中で今論議されていることは、五年後、十年後、A生命保険会社は傾くかもしれない、傾くことの理由が逆ざや問題であるから、そこに手だてをするんだと。極めて見通しの悪い視界の中で判断をしなくちゃいけない。
何度も言いますが、破綻とか合併であれば明確なわけです。しかし、ずうっと質疑の中で言われてきて、先ほども中塚委員が御質疑でありましたが、一体、現在は破綻しないという現在はどれくらいといったら、五年と言った。しかし、将来的にという将来はどうかと聞いたら、十年と言った。五年と十年、そのようなものが本当に予測され得るのかという問題もありますし、不明確であるということから、保険を契約した個人は漠たる不安を抱えざるを得ないと思うのです。
こういう不明朗な仕組みを導入することによって混乱ばかりが生じてくるのではないかという指摘をして、それに対しての消費者保護の枠が従来のものしかないというのは、どうしても私は不備だと思いますが、いかがでしょうか、大臣。
○竹中国務大臣 先ほどから出てまいりましたし、委員も御指摘のように、会社に比べて、保険契約者一人一人は非常に弱い立場にある、情報量の格差もある、それはそのとおりであります。
したがって、今回は、今までの異議申し立てのスキームを活用するわけでありますけれども、同時に、行政が介入してそれを承認する、チェックするというシステムを入れているわけです。その中には、必要に応じて保険調査人も活用するということも明示をしている。その意味では、これは先ほどからも御質問がありましたが、保険契約者の利益が損なわれることがないように、行政がチェックするというきちっとしたシステムを入れたつもりでございます。
それにかわるシステムが何かあるのかなというと、これはなかなか難しい。そういう意味で、今回、そのようなトータルとしての契約者をできるだけ保護しようというスキームがあるという点も御理解をいただきたいと思います。
○阿部委員 端的に言えば、この法案は常に、ある大きなもの、それが銀行業界でもいいですし、それから、トータルなものという言葉の中に、個人が契約して、個人の運命と個人のお金がそこにかかっているという視点がすごくないんだと思います。そして、例えば、この法案を提出なさるのであれば、それに伴って個人に起こる混乱もあえて受けて立つくらいの覚悟がなければ、国民の納得を得られないものと私は思います。
これだけ繰り返せば、言わんとするところは御理解いただけると思いますし、そうしたある意味での受け皿をつくっていないこの法案自身が問題であるという指摘をさせていただいて、次の質問に移りたいと思います。
同じく、「予定利率引き下げスキーム」の中の表を用いて質疑させていただきます。これは、やはりせんだって、私どもの植田至紀が質疑いたしました点で藤原局長の御答弁にもあったことですが、先ほどの五年、十年、長期的なものと、それから現在の破綻処理ということの比較をさせていただきながらの質疑です。
日ごろから金融庁と生保業界は、早期警戒制度あるいは早期是正措置などを用いながら、生保会社の運営が健全であるべく御尽力、指導されているんだと思いますが、そのことに関して、藤原局長の御答弁からまた引かせていただきます。
ある程度長いスパンを見た場合に、「契約条件の変更をしない場合、ほかの営業努力をいろいろやってみても将来において保険業を継続できない蓋然性がある、」これは、先ほどの中塚委員の五年、十年のところで、「その部分でございますので、短期の話ではございませんので、これからの、どのような営業努力をするとか、あるいはどのような改善努力をする、そこの部分は、まさしく会社しかよくわからない。」会社しかよくわからないから予定利率を引き下げるという結論になっているのです。会社しかよくわからないことを、どうやって金融庁は申請があった場合にきちんと見きわめができるんでしょうか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
どういう文脈で私がそういう発言をしたか、ちょっと定かでないんですが、いずれにいたしましても、私が申し上げたかったのは、今委員が御指摘になりましたように、将来的に長いスパンで見て、営業努力とかいろいろな改善努力をしても、なおかつ予定利率を引き下げなければ、将来において保険業の継続性が困難になる蓋然性があるということが今要件になっておるわけでございますが、営業努力でありますとか改善努力につきましては、それは個々の会社によってさまざまなバリエーションがあるんだというふうに思っております。
したがいまして、そういうものを踏まえた上で保険会社が行政の方に申請をしてくる。それは、私どもとしては、それが出されるまでは、どういうことかというのはよくわからない。したがって、それが出た段階でよく見させていただくということだと思っております。
○阿部委員 もうたくさんの委員から指摘されていますが、ふだんから早期是正制度を用いていろいろな是正措置をしたり、あるいは早期警戒制度といってウオッチングしているわけですよね。しかしながら、将来の計画についてはわからないというふうに言ってしまっては、何のためにふだん金融庁の行政が監督して健全性をきちんと評価しているのかの役割が、もう金融庁の自滅だと思いますが、その点はいかがですか。将来性において、将来の事業計画がわからないという一点だけですか、今の理由は。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
監督当局におきましては、ふだんから、ソルベンシーマージン比率を初めとします早期警戒措置あるいは早期是正措置というようなもので生命保険会社の健全性に留意しているところでございますが、私の先ほど申し上げましたのは、要するに、もう少し長いスパンで見て、今までやっている努力に加えて、さらに新たなる最大限のことをやっても、なおかつ予定利率の引き下げを行わなければ将来的に保険業を継続することが困難となる蓋然性があるということでございまして、常日ごろ、当然のことながら保険会社も努力しておりますし、監督当局もそれをウオッチングしておると思いますが、その状態を超えてさらに何か新しいこと、何か画期的なことを考えても、なおかつそこが難しいというようなことでありますので、そこは通常のレベルの話とちょっと違うというふうに思っております。
○阿部委員 藤原局長の答弁は絶えず変わるように思います。
なぜなら、先ほど中塚委員の御質疑の中で、私もきょうこれを聞こうと思っていましたが、出していただきました資料によりますと、「第一に、現時点では保険業の継続が困難である状況にはないこと、」いわゆる破綻ではない、しかしながら、将来の業務及び財産の状況を予測した場合には、契約条件の変更を行わなければならないというのがこの予定利率の引き下げのガイドラインのもとになる資料だと思います。
その中で、中塚委員も御指摘でありましたが、金利とか株価とか為替レート等、そういうものの変動が問題になって、五年、十年というスパンで見た場合に非常に問題が出てくるんだというふうに先ほどは御答弁でしたし、ここでもそのようにペーパーの上では出てございます。それについて、五年、十年なんて、大体金利だって株価だって予測できないじゃないか。
私、きょう大臣の答弁の中で一番印象的でしたのは、この二年間の環境の悪化であると今おっしゃいました。予定利率の引き下げ、この二年間の環境の悪化、何だ。小泉政権の発足だ。この二年間、一番大きな環境の変化は小泉政権の発足で、株価が非常に下落した。ああ、そうか、これはそのための法律かと思ったくらいでありまして、先ほどおっしゃったような、個々の生命保険会社が将来に向けていろいろな企業設計をするところの問題が企業しかわからないからというのは、ある種とってつけた答弁であると私は思います。
そして、藤原局長も、御自分の答弁をずっと繰り返し読んでいただくと自己撞着がはっきりしますので、私は、申しわけありませんが、次は大臣に質問したいので、今のことをちょっと指摘させていただいて答弁の検証をしていただきたいと思いながら、お返事をいただかないで恐縮ですが、竹中大臣にもう一度伺わせていただきます。
これは先回の私の質疑の中で、逆ざやという構造問題が続いているがと竹中大臣が繰り返しておっしゃるので、では、逆ざやという構造問題は既に九二年から始まり、九六年からは保険の保有契約高が減少したというふうに御答弁でありました。しかしながら、私はきょうの御答弁の方が正直だと思うんですね。この二年間の環境の悪化、株価、金利、為替、この三つ、三重苦。その中で、何とかせねばならないと思ったところが本音ではないかと思いますが、そう憶測させる理由は、例えば、九二年から逆ざや、九六年から保険の契約高の減少、そして、実は一九九九年からゼロ金利政策をとっておられます。
再度伺います。この逆ざやが構造的問題として認識され、今回のような予定利率を引き下げなきゃいけないと思われた決定的なエポックメーキングなもの、あるいは環境の変化は何でありましょう。
○竹中国務大臣 私、先ほど過去二年間の悪化というふうに申し上げたことを踏まえて、阿部委員の御指摘がございました。
申し上げたかったのは、言うまでもありませんが、中間報告が出されたのが二年前であります。二年前になぜこういう問題が議論されてきたかというと、その前から悪化してきたからであります。その前で悪化してきた。しかし、それ以降幾つかの努力を講じてはいるんだけれども、残念ながら逆ざやというのは厳然として存在していて、その間体力がじわじわとむしばまれている、そのように考えているという趣旨で申し上げました。
御質問の趣旨でございますけれども、この問題、いつごろから発生していると認識しているのか、それで今回このような法案を提出した理由やいかん、そういうことだと思いますが、これは、委員自身、前の私の答弁を御引用くださいましたように、やはり九二年ごろから実際は逆ざやになっている、利回りが逆転している。これは、バブル崩壊、九一年ぐらいが地価のピークであったというふうに思いますから、その直後からこのような問題が続いているという非常に根深い問題だということが第一点。それと、九六年からは、そうした意味での日本経済全体の体力が弱ってきて、保有契約高の減少、人々の将来不安の高まりというのが出てきたということだと思います。
今回なぜということでありますが、これは二年前の中間報告でもありますように、この問題は放置できないというような問題意識はずっとあったわけです。今回、こうした問題を改めて法案という形で我々がまとめて提起させていただきましたのは、二年前の中間報告では留保事項というようなことで指摘された問題について、その間かなりの進捗があったということ、それと、引き続き逆ざやの中で体力がじわじわっとむしばまれている。そのような認識の中で、やはり早い時期に、今、別に金融機関、保険会社、どこか特別問題があるという認識ではありませんが、しっかりとした準備のための選択肢を用意しておきたい、そのように判断したからでございます。
○阿部委員 再度伺います。この二年間の環境の悪化という内容は何でしょうか。
○竹中国務大臣 いろいろな要因があるかと思いますけれども、この十何年間ずっと日本経済の体力そのものが低下してきている。低下していく中で、実は、身を削れば削るほど環境そのものは厳しくなっていくわけです。
そうした中で、財務が中長期的に持続可能かというようなことを明示的に問題にせざるを得なくなった。世界的な株安の中で、株安が日本を覆って、その結果、そうした面でも金融機関の損益に反映をされている、そのようなことを総合的に勘案したということです。
○阿部委員 でも、私、今のは答弁になっていないと思うんです。
だって、失われた十年と言われるように、経済のグローバル化に伴って、それから不良債権問題もずうっと引きずってきながら、大臣はさっき、この二年間の環境の悪化とおっしゃったから、ではこの二年間に起きたものは何であるかと私はさっき必死に考えて、思いついたのが小泉政権だと思ったわけで、そして私は、竹中大臣の登場は、もし構造改革がそれなりの財政措置を伴って一体となってやられていた場合は効果も違ったかもしれないと思うのです。ただ、いずれも中途半端であり、なおかつ株価ばかりはどんどん下落し、実体経済を反映しないほどに下落し、銀行株との持ち合いが生保業界を苦しめる。
私はもう一言聞きたいですが、この二年間の悪化とは何ですかと、でも次の上川委員がもう座られましたので、そして総理が御出席でありますので、では一言だけもう一度、二年間の悪化とは何ですか。
○竹中国務大臣 構造改革に真剣に正面から向かい合って、その中で、一つの産みの苦しみとして、今まだ厳しい状況が続いております。しかし、次第に構造改革はその芽を出して、その成果が着実にあらわれてくるというふうに思っております。
○阿部委員 そうであれば、まさにこの法案は無用の長物で、生保業界にとっても迷惑、国民は保護されない、一切御無用の法律と思います。
私は、これで終わらせていただきます。
【中略】○阿部委員 私は、社会民主党・市民連合を代表し、政府提出の保険業法の一部を改正する法律案に対して、反対の立場から討論を行います。
本法案に関しましては、これまで当委員会で議論を行ってまいりましたが、我が党を初め野党委員から多くの質問、疑問に対し、政府は明確に答えようとせず、本当に不誠実な答弁を繰り返してまいりました。生命保険会社の経営が、とりわけ銀行との株式持ち合いによって危機的になりつつあることは既に明らかになっておりますが、こうした問題にメスを入れることなく、すべてを多くの国民・保険契約者に押しつけることを是認する本法案を是認することはできません。
反対理由の第一は、本法案の提出をめぐる不明朗さです。一昨年の金融審議会第二分科会では委員の大半が反対ないし疑問を呈しており、さらに、その後のパブリックコメントでも圧倒的に反対の声が多いのです。政府が法案提出までに行う通常の手続さえもきちんと行っていないことは明らかです。にもかかわらず、政府は、社会的認知は得たと勝手に決めつけて、本法案を提案しました。本法案は、内容以前に、提出のプロセスに不明朗かつ不自然さが際立っているとしか言いようがありません。
第二は、予定利率の引き下げは、生命保険会社が金融庁に契約条件の変更を届け、金融庁が審査した上で承認することになっていますが、申請要件になっている、契約条件の変更を行わなければ保険業の継続が困難となる蓋然性があるというのは、五年、十年の長期は当然ながら予測しがたく、正しく破綻の蓋然性を証明しようとすれば、限りなく破綻が間近でなければなりません。しかし、破綻が間近であれば、当然、再生特例法による破綻処理を行えばよいわけです。
すなわち、そもそも、法が想定しているような、破綻する前に生保会社が予定利率を引き下げること自体が可能なのか、極めて疑わしいと言わざるを得ないのです。しかも、保険契約者の了解は異議申し立てのみであり、さらに、実際に予定利率の引き下げが申し出があり、承認されれば、解約が殺到する可能性も想定されます。そうなれば、申し出た生命保険会社の経営はさらに悪化し、場合によっては、この利率引き下げ後にも生保会社が破綻するようなことも起こり得ると思います。その場合は、どのような責任をだれがとるのでしょうか。
第三は、保険契約者保護の視点が全く欠落していることです。契約変更に対する保険契約者の意思は、先ほど申しましたように、異議申し立てだけであり、それも、十分の一以上となっています。加えて、保険会社すらも本法案には内心反対、その思いを強くしています。しかしながら、大手各社は、この間の金融庁の介入行政になびき、逆に、予定利率の引き下げ制度を使うことはないと言明しながらも、本法案についての参考人意見では賛成の旨を述べられました。内心だれも賛成しない法案を強権的に政府の主導においてつくり上げていくといったこのような手法は、全く了解し得るものではありません。
このように、小手先だけの予定利率の引き下げは、保険契約者のみならず、生保業界の抜本的再生のためにも反するものであることは明確と思います。現下の情勢において問われているのは、保険契約者の保護と生保業界の再生に向けた明確なビジョンを打ち出すことであります。また、そのことを通じて金融行政のあり方のさらなる透明性を強めることでもあります。
そうした努力を一切せず、国民に負担のみを押しつける本法案は、最後に、私どもが到底承認し得ない、この後の採択も承認し得ないことを申し添えて、反対する討論を終わります。(拍手)
○小坂委員長 これにて討論は終局いたしました。
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