第156回国会 財務金融委員会 第22号(2003/06/11) 抜粋 ○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
本日は、週半ばにもかかわりませず、各参考人には大変御苦労さまです。
そして、この「りそな」問題を中心に質疑をさせていただきますことは大変に貴重な機会と思いますが、だがしかし、一応方針も決定して、公的資金の注入ということも段取りされた後で、国民が、こういう国会の審議という場、委員会の参考人招致をいただくということは、私としては何だか手順が逆だと思います。
一番必要なことは、いろいろとられる政策の透明性ということと説明責任、そして国民が十分に納得して、そしてこれで大丈夫だと思える確信というものがそろって初めて国の政策というのは賄われるべきと思いますが、そうしたことが全く逆さになった場できょう質疑をさせていただくということは、反面、残念でもあります。
しかしながら、せっかくちょうだいいたしました機会ですので、より国民にとってよい方向に事が運ぶように、私なりに疑問の点を聞かせていただこうと思います。
まず、勝田参考人にお願いいたします。
きょう、これまで何人かの委員との質疑、やりとりをお聞きしておりますと、勝田参考人が、一応御自身で、三月の決算のプロセスまでは比較的、自己資本比率も六%から六・五%くらいあって、何とか経営、運営が続けられるものではないかと思っていらしたところが、その後の繰り延べ税金資産の評価の差をめぐって今回のような事態になったという御答弁でありました。
私が一点目に伺いたいのは、朝日の監査法人の方が四月三十日に辞退されるという事態があったわけですが、その朝日の監査法人が、正式な証明書をつけた監査に入ってはおらないと思いますが、辞退されるきっかけとなったことが、やはりこの繰り延べ税金資産の取り扱いにおいて、将来の収益性等々の不透明性を見ると、繰り延べ税金資産の算定はなかなかに難しいのではないかという指摘は、既に勝田参考人のところにあったものと思われます。
そういたしますと、その次の新日本監査法人とのやりとり以前に、その繰り延べ税金資産というところをめぐって、あるいは他の見方もあるかもしれない、要注意状態かもしれないということはアナウンスされたのではないかと思うのですが、その朝日の監査法人の辞退ということをめぐっては、勝田参考人は、自社の経営の健全性ということにかんがみて、どのようにお受けとめになったでしょう。一点目です。
○勝田参考人 お答えいたします。
朝日監査法人が不受嘱通知ということで、四月三十日付で文書をちょうだいしておりますが、私もその不受嘱ということは四月の末に聞いております。
そこで一番疑問に思いましたのは、なぜかというよりも、やはり決算承認をいただく監査法人がなければ困りますので、それは新日本監査法人が単独でも決算承認をするという報告を受けましたので、そうかということで、そのままそれを聞いたわけでございます。
以上でございます。
○阿部委員 普通は一つの監査法人が、今まではお二つである程度この合併以降見ていくという形をとっておられたんだと思いますが、その一方が御辞退をされている。そうなれば、経営者としては当然に、なぜだろうと、自分の預かる銀行の万全な経営のためにあらゆる情報を得て判断なさるのが私は賢明と思いますが、そのなぜだろうということはお思いにならなかったのかということを、一点お願いいたします。
○勝田参考人 先ほども経営者として無能だという御指摘をいただきました。今思えば、本当に、なぜだということをもう少し慎重に問えばよかったわけでありますけれども、少なくとも、繰り延べ税金資産についてそういった厳しい考え方があって不受嘱になったということではなくて、今回、新日本監査法人がちゃんとやっていただけるということの報告で、私もそのままそれを受けてしまいました。それは、今御指摘のとおり、反省をいたしているところでございます。
以上でございます。
○阿部委員 私は銀行という組織を存じませんが、やはり一つの企業体として見た場合に、もちろん勝田さんが直接じゃなくて、部下の人たちが渡り合い、やりとりし合ったものがきちんと上げられないシステムというのは、今後もやはり、例えば経営陣がかわったとしても体質は残りますから、国民にとっては大変に不安。何せ、二兆円お金を入れた後も続くかもしれないという不安があるわけです。
その点についてはまた後ほど聞かせていただきますが、この監査にかかわられた二法人におのおの伺いたいと思いますが、先ほどの五十嵐委員の御質疑で御答弁があったかどうか、ちょっと私も聞き漏らしたのかもしれませんが、重なったらお許しください。
まず、二〇〇二年三月期末の段階での繰り延べ税金資産の評価ということですが、あさひが四千六百一億で、これはもしかして六・七年分にかかわるのではないか、あるいは大和は二千九百四億円で、八・九年分ではないかと。私は、このおのおのの監査法人に伺いたいのですが、繰り延べ税金資産は非常にグレーゾーンになりやすくて、この何年分であるという大体の考え方、将来の収益性も見なきゃいけないわけですから概しては言えませんが、そこがころころ変わってしまっては論議の土台が本当にできないと思うのです。
さっきの五十嵐委員の御指摘について、あさひと大和の繰り延べ税金資産評価、二〇〇二年三月期末についてお願いいたします。おのおの監査法人に。
○竹山参考人 ちょっと御確認したいのですが、二〇〇二年三月期ですか。(阿部委員「そうです」と呼ぶ)それは一年前ということですか。
一年前の繰り延べ税金資産自体は、りそな銀行さんは、大和銀行ですね、合併前は。大和ホールディングスさんの方では五年上げておりまして、今回は、多分御指摘は三年だというふうなことに変わっているんじゃないかという御指摘だと思うんですが、基本的には、こういう問題の前にまず申し上げなきゃいけないのは、繰り延べ税金資産自体は、一般的には、銀行業は特にそうなんですけれども、あくまで、将来の課税所得というものが約束されている、そういうときに会社の状態自体を判断しなきゃいけないということで、会社が本当に、本業も含めて、いろいろな形で、将来の収益を上げられないというようなケースが、分類でいえば五とおっしゃっています、五の方になり、だんだん番号が少なくなるほど普通に経営できているんだ、こういう理解でございます。
そういうことから判断いたしまして、金融機関の場合は、特に本業的なものはどの銀行もきちっとしたコアの純利益を持っておられますが、一般的な経済的な環境で、基本的に、不良債権の処理あるいはいろいろないわゆる株式の下落で落ちたのであって、そういうことがなくなれば、そういう状況から脱却すれば、通常で言われているいわゆる五年というのは法人税法上の繰越欠損期間なんですね。期間で、ずっと循環すれば別段いいんだ、課税所得があるんだという通常の状態に戻るということで、二〇〇二年三月期までは自己資本の状況等を見て、大体その状況にあった。
ただ、この一年の株式の下落等、不良債権の加速等によって、自己資本の毀損等を含めてそういう状態ではなくなった、こういうふうな経済環境の変化が答えが変わっているということでございます。
○阿部委員 申しわけありません。朝日の方にもお答えいただく前に、質問を正しく理解していただきたいんですが、既に二〇〇二年三月期末で繰り延べ税金資産を評価されたときのあさひと大和がおのおの五年分以上計上しているんじゃないかという質問なんです、簡単に言えば。
それだとやはり監査ということ自身の恣意性とか裁量性とかが加わって、国民としたら何を信じていいかわからない。ある日、何年分が何年分に変わってしまったり、そして、そうであると一体会計監査法人というもののいわゆる公共性といいますか、信頼性ということが揺らいでくるので、明確にお答えいただきたいんですが、二〇〇二年三月の期末のあさひ、大和のおのおのの監査においては、その監査されたおのおのの法人として非常に絶大な自信を持って、これがこの数値でよいと思っておられるのか。要するに、年数を数え過ぎなんじゃないかということなんです。今るるおっしゃったこととそのままです。
○竹山参考人 それでは、大和銀行の方について、私の方から御説明申し上げます。
二〇〇二年三月期におきまして、今の計算はあくまで過去の数字で計算されていますが、基本的には、収益力というのは、課税所得は将来に生まれるものでございます。したがって、その状況で計算するということでございますから、そこの過去で埋まった数字とはちょっと違うような感じで、もう一つは、繰り延べ税資産は、細かい説明しませんが、タックススケジュールと申しまして、一つ一つ消していく中で回転していくという計算がございまして、基本的にはその中におさまるという計算がございます。そういう中において五年でいけている、こういうことでございます。
○岩本参考人 二〇〇二年三月期については、私ども埼玉銀行の監査を新日本監査法人と共同して監査をしております。
二〇〇二年三月につきましては、私どもの本部審査、そういう社内の審査の手続があるんですけれども、その審査の段階で特に問題があったというふうな報告を受けておりませんので、二〇〇二年三月については問題があるというあれは感じておりません。
それで、議員がおっしゃるように、繰り延べ税金について六年何カ月間の計上額じゃないかという御指摘があるんですけれども、この点については、当年度を含めた過去の利益で考える考え方も一つございますけれども、後々五年間の中期計画なり将来の収益計画を聞いた上で繰り延べ税金の回収の可能性を判断しておりますので、前三月期については、審査の段階でも、その辺、社内的に検討して特に問題等があったというふうには私は聞いておりません。
○阿部委員 では、岩本参考人に引き続きお伺いいたしますが、例えば二〇〇二年三月の段階では、経済がV字回復すると思っていたかもしれない。なぜなら、先ほど岩本参考人はおっしゃいましたが、この繰り延べ税金資産の算定は後々の収益力を中心に見るので、いわゆる将来性について収益力ということを見るので、その収益力から見た場合、今回の「りそな」は全くゼロ査定しなきゃいけないし、一年前だったら、合併前ですけれども、埼玉銀行とおっしゃいましたが、その場合は、例えば、普通、私どもが考えたら六・七年分じゃないかと思うものでも三年分か五年分か、そのあたりだろうというふうに考えられた。
では、今回、「りそな」の収益力について非常に低い評価をされた理由と、一年前、合併前、埼玉であったころに、収益力の健全性について、ある意味で過大評価されたところの差は何でありましょうか。
○岩本参考人 まず、二〇〇二年三月の埼玉銀行、私ども埼玉銀行だけを共同監査していたんですけれども、それと、二〇〇三年三月末と、一つ経営形態が変わっていることがあります。それは、埼玉銀行の中から埼玉りそなという部分が二月末付で分離をされている。分離された後の埼玉銀行の部分と大和銀行が三月一日から合併されてりそな銀行になったわけですから、収益計画そのものが新しい組織体として当然我々に示されているわけですので、単純に前回のところと今回のところを比較するというわけにはいかないと思います。
○阿部委員 ある意味で正直なお答えだと思うんです。
要は、収益力が高い埼玉りそなと、ほかの、先ほど来大阪の何々とか全部抱え込んじゃったがゆえに、合併したところのりそなホールディングスという一つの、りそな銀行もありますが、中核にした全体が先行き不透明になってしまったと。私も、ある種その指摘は当たっていると思うのです。であれば、合併されたときの、そのときの監査というものも、そうした不安定要因をきちんと評価されて、監査法人として責任ある監査をなさるべきではなかったかと思うのですが、いかがでしょうか。岩本参考人でも、新日本の監査法人の方でも結構です。
今おっしゃったことは、去年は埼玉だけだったから、これは収益力もまだいいだろう、今度合併したら、先行き不透明になっちゃった。そうしたら、合併の時点できちんとした監査をなさるべきじゃないですか。それができていないから、こんなわずか二カ月で自己資本比率が云々と。
自己資本比率、逆に税の繰り延べ資産を入れられない理由は、収益が悪いからですよね。そうであれば、さきの段階の増資ということだって、もっと増資が必要だったかもしれないし、国民から見れば極めて納得できないわけです。合併して、すぐにまた公的資金を注入しなきゃやっていけないような状態になるなら、合併のときに何らかの問題があったのではないかと思うわけです。その点、監査法人として見られてどうか。
そして最後に、勝田参考人に、合併時点で本当に企業体としてやっていけるだけの足腰があったと今でも思われているのか、おのおのお願いします。
○竹山参考人 済みません。今の御指摘でございますが、私どもは、平成十五年三月期の決算で、御意見申し上げましたが、そのような、朝日さんとはちょっと違いまして、基本的にはそれぞれの時期で判断しています。したがって、我々が監査証明する時期において、今出した答えのように、経済環境の変化によってあくまで繰り延べ税金資産自体の回収可能性の答えが変わっただけでありまして、全体的なことについては変わっていないということは、これはやはりきちっと申し上げておかないと、そういうことが事実でございますから、そういうことでございます。
○岩本参考人 私ども、あさひ銀行について共同監査をやっていたんですけれども、あさひ銀行は二月末日をもって消滅して、りそな銀行に合併をしたわけですけれども、こういうケースの場合、二月末で監査証明を出すということは、制度上行っておりません。それは受け入れ側のりそな銀行の二〇〇三年三月三十一日の監査証明の中に含んで監査意見を出すということで、制度がそうなっておりますので、私ども、監査人になっておりませんので、議員のお尋ねにお答えすることができません。
○勝田参考人 お答えいたします。
りそなホールディングスとして、まず、信託を分社したりそな信託というのがございます。ここは今でも、今ちょっと株が下がって預かり資産が減っておりますので、いわゆる業務収益は年間で二百億程度の、それでも業務純益ベースで二百億程度の、そして埼玉りそなは、不良債権そのものをりそな銀行が引き取って、優良ないわゆる地域銀行として、年間三百億の業務純益を上げる銀行としてつくり、先ほど申しました近畿大阪銀行は、まだ多少不良債権もあり、問題を持っておりますけれども、それでも一般貸し引きを差し引く前の業務純益は二百八十億。
りそな銀行そのものも、大和とあさひの合併でございますから、総トータルで三千億を超える業務純益を上げる銀行であるという点で、また加えて、三月に向かっての、不良債権の大口の引き当て処理も済みましたので、私としては、今このような状況になってなかなか言いにくいところでありますけれども、苦労はしてきたけれども、これから将来に向かっていい明るさが出てくるかなと思いながら、四月、五月を経てまいりました。当時の、いわゆる地域銀行の連合体、そして信託をその一翼に担う、いいビジネスモデルができたというふうに考えて、指揮をとっておったわけでございます。
以上でございます。
○阿部委員 今のお三方の参考人のお話を伺いましたが、それではなかなか国民は納得できないなと思います。とにかく透明性がないということと、そして今後の収益力という、一番国民が知りたいところに、今勝田参考人、少しお述べくださいましたけれども、それでも、だがしかし、監査法人の方はだめだと言っていて、公的資金が出るわけですから。
限られた時間で、私もほかに質問ありますが、一応、きょう伺ったことを参考に、午後、また質疑させていただきます。
ありがとうございます。
【中略】○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
皆さんにも、長時間の審議、御苦労さまでございます。
私の冒頭の質問は、先回私がこの委員会で、六月四日の日に竹中金融大臣にお願い申し上げました、金融庁と「りそな」の間の、今回の公的資金注入にかかわるやりとりのメモの提出の件についてお伺い申し上げます。
まず、冒頭確認したいことですが、今回の「りそな」への公的資金の注入というのは、ある監査法人が銀行を監査して、その判断のいかんによっては、その銀行そのものが大変に経営上困難であるというふうにある日突然判断されて、その結果二兆円の公的資金の投入が決まるという、国民にしてみれば本当にある日突然という感じで、その前の段階が全く見えない中で一つの政策が決まったということだと思います。
そこで、私が大臣にお願いいたしましたのは、かかる事態に至った、特にこれは金融庁が監督官庁ですから、その監督官庁からごらんになって、国民に納得してもらうためにも、「りそな」とのやりとりというものをきちんと明示していただきたい。
特に、竹中大臣は、金融庁とのやりとりメモのうち、全部かどうかはちょっとよくわかりませんが、主要なものは一応見たと御答弁ですので、まず一問目、主要なものは一応見たの主要なというものを、ちょっと時系列をかけて御説明くださいますか。
○竹中国務大臣 お尋ねは、主要なものは一応見たの主要なものとは何か。
これは、それぞれ先方とのやりとりがございます。そのやりとりについて、係員レベルでやったこともあるかもしれませんし、局長レベルでやったこともあるかもしれません。その節目節目でいろいろな、これはこういう重要な知らせがあったとか、ないしは重要な用件を伝えたとか、そういうようなものについては一応議論を整理いたしまして、それで目を通したということでございます。
もちろん、日々のいろいろな連絡、係員が何か連絡したとか、それをすべて見ているというわけではございません。
そういう意味で申し上げました。
○阿部委員 至極当然で、主要なものにお目通しをなさるわけです。この政策に至るやはり節目節目というものもございますでしょうし、そこで、大臣が主要と認識された、もちろん、出す方も、大臣、これが事の経過ですとか、ここまで来ておりますとかおっしゃって出されたんでしょうから、その主要なものの大きく記憶に残られる節目節目は何でございますかと伺っていますから、抽象的じゃなくて、何度も言いますが、この間、監査法人の手心一つでもしかしてこの「りそな」という銀行の評価が全く変わって、公的資金注入になったんだというこの事態が国民にはびっくりなわけです。監査法人の監査の仕方で結果が変わってしまうんだということは大きな衝撃ですから、これに至るまでの経緯が何段階かあると思うのです。そこで、主要なものの内容をお願いいたします。
○竹中国務大臣 監査法人の手心一つでとおっしゃいましたが、決算というのは、監査法人がそのものの資産性を認定するか費用性を認定するか、それによって結果は違ってくるわけでありますから、決算というのはやはりそういうものだ、監査法人がいろいろなものについていろいろな判断をするということの積み重ねであるという点は、これは否定できないのだと思っております。
主要なものとは何かということでありますが、これは前回も申し上げたつもりでありますけれども、監督のプロセスでいろいろなやりとりがございます。それを、きょうはこういうことがあった、ああいうことをやった、これを聞いた、これを申し上げるということは、これはやはり差し控えさせていただかなければいけないと思います。監督というのは、日々のやりとり、いろいろございますけれども、それを申し上げるというのはやはり限界がございます。その点は御理解をいただきたいと思います。
ただ、いずれにしましても、繰り返し申し上げていますように、私のところには、五月の七日に、「りそな」と新日本監査法人の間でいろいろなやりとりがあるということが上がってまいりました。その後いろいろな議論を続けるということでありますから、そこは議論は続けてもらうようにということでありました。それで、その後のやりとりを、これは五月の十四日の朝にまとめて報告を受けて、考え方の整理についてもしっかりと報告を受けて議論をいたしました。その段階で、総理に対しても、いろいろな可能性を想定しておかなければいけないというような趣旨からお話を申し上げた、そのことは御答弁を今までさせていただいたとおりでございます。
○阿部委員 私は、きょう午前中、参考人の、「りそな」の前責任者の勝田さんに来ていただきまして、また、両監査法人の方にも来ていただきましてお話を伺ったのですけれども、やはり、かなり事実認識にそごがある、食い違いがあると、今もって、現段階でも思ったわけです。
ありていに言えば、勝田氏にあっては、いろいろな意味で、三月期に資本増強もした、それから、これから収益力を上げるべくいろいろな努力も、幾つも手を打っている。そして、もっと言えば、新日本監査法人とも、ある程度事前の、合意とは言いませんが、そのことに、自分たちの会社経営をめぐる健全性についてある程度共通認識にあったと思われたものがやはり変わってしまったと。それは今もって恐らく勝田氏の心の中でひっかかっていることのように、私はきょう午前中お聞きしたわけです。
そこで、やはりそれは、私は一つの監査法人の手心次第でという言葉をあえて使いましたが、監査法人の判断いかんで一つの大きな銀行の将来見通しが変わってしまう。結果についてはそのようなことはあろうが、その過程が見えなければ国民は納得できないと、過程の透明性を求めているわけです。
今、大臣は、五月七日並びに五月十四日、五月七日は監査法人の方の監査状況、そして、五月十四日はそれを受けて考え方の整理をしたようなもののメモを見たとおっしゃいましたから、私は、それは、事ここに至っては隠すべきことは何もないと思うのです。隠すべき秘密は国民に対してはないと思うのです。もう方針も決定されましたし。ですから、この段階でメモを資料としてお出しいただくことをお願いいたしましたが、まず、このことについて大臣のお考えを伺います。
○竹中国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、監督上知り得ることというのは実はたくさんございます。これは、我々は監督権限を持っているわけで、いわばまさに当局でありますから、その監督権限、検査の権限、それに基づいていろいろなことを情報として知り得る立場にございます。しかし、その知り得ることをすべて外に対して出すということは、これはやはり監督行政の性格から考えて控えなければいけないと思っております。
監督上知り得る情報については、例えばですけれども、銀行の財務の健全性とか銀行の経営戦略、これを公にすることによって競争上の地位とかその正当な利益を害する場合というのは、これは出てまいります。これは、行政機関の要請を受けて、公にしないという条件で任意に提供される情報もその中には含まれている。そうすると、自由な意見が妨げられて、今度は、当局に出したらこれは全部外に出てしまうぞということになったら、これは正確な事実の把握が困難になって監督ができなくなってしまいます。
そういうことがありますから、監督上知り得たこと、個別の金融機関がみずから進んで既に発表していることはもう問題ないわけでありますが、当局として、監督当局として、その権限上知り得たことを明らかにするのは、これは差し控えなければいけないというふうに思っております。
しかし、「りそな」に関して、必要なことを、公的注入の仕組みでありますとか経営健全化計画、そうしたものに関しては既に公にしているとおりでございます。
○阿部委員 「りそな」が公的資金の注入前の段階であれば、今大臣のおっしゃったような一般論は私は成り立ち得ると思うのです。しかしながら、事二兆円近くの公的資金の注入が決まり、その経緯というものを国民は注視、注目しているわけです。その中で、最大限やはり国民への説明責任を果たすというのが、むしろ監督官庁として本当にきちんとした監督をしているんだということの私は証左になると思うのです。何から何まで隠した上で、そして、これがお上の決めた方針だからこのようでよしといって国民の金を使うことはまかりならぬのです、はっきり言えば。
そして、私は、これは押し問答で、その次、大臣にはもうそれ以上いきませんでしょうから、再度、委員長にお願いいたします。私が要求した資料について、委員会で御討議いただいた結果はいかがであったでしょうか。
○小坂委員長 理事会で協議をいたしましたが、意見調っておりませんので、資料要求には至っておりません。
○阿部委員 では、さらにさらにお願い申し上げて、もう一点、資料要求の件がございます。
実は、これは先回の委員会で海江田万里委員が請求されました、五月十七日の金融危機対応会議の議事録でございます。竹中大臣は公表なさるとおっしゃいましたが、いまだ私どもは見ておりません。一体いつ公表されるんでしょうか。
○竹中国務大臣 御指摘の五月十七日の金融危機対応会議の議事内容、議事要旨につきましては、何とか今週中に公表する方向で作業を進めております。
○阿部委員 私は、その公表も含めて、本日のこの委員会の基礎資料だと思うのです。竹中大臣は、個別のことは個別の企業秘密だから言えない。では、政策者判断として行った金融危機対応会議の議事録も出ない中で、私どもは抽象的論議をしなくてはならなくなります。これは、政府がした一つの判断をめぐって、その前提となる会議の議事録を要求いたしました。私は、かかる委員会が持たれる前に提出すべきと思いますが、政策、行政の責任者として、大臣はそこはいかにお考えですか。
○竹中国務大臣 私としても、できるだけこの議事内容、議事要旨は公表したいと思っておりまして、事務局に対してはそのように指示をしてまいりました。もちろん、もっと早ければもっとよかったということかもしれません。ただ、我々としては、精いっぱいうんと早くして今週中にということで、これも私なりに事務局のしりをたたいて、事務局も頑張って準備をしておりますので、御理解を賜りたいと思います。
○阿部委員 私は、そういう態度は国会審議の軽視だと思います。皆さんもこんなに遅くまで本当にお疲れの中、きょうなんか午前午後審議しているわけです。そして、どういう判断で、どういう方針でこのことが決まったかという骨格は、政府としての判断はこの五月十七日の金融危機対応会議できちんと示されるべきものであるはずで、そのことを踏まえてみんなが審議したいと思っているわけです。ただ時間つぶしのために、ただこまつぶしのためにやっているわけではないわけで、一回でも実り多くやっていくのが私は国会審議のありようだと思います。
それに向けて、やはり事務方にむち打っても、本当に、まだまだなんだとおっしゃいますが、それは、政府の責任者としての大臣が本当の意味で国会をどう考えるか、政府はこの国会の委員会をどう考えるか、自分たちのとった方針に、国民の代表である私たちが国民にかわって質疑しているこの場をどう考えるかということであると思います。
今週中にとおっしゃっても、それは今週の金曜日まででしょうか、明確な御答弁をお願いします。
○竹中国務大臣 今週中にというのは、基本的にはウイークデーでありますから、週末ではなくて金曜日までに何とか間に合わせたいと思っております。(発言する者あり)
○阿部委員 十三日の金曜日ではないかという声が聞こえたようですが。
でも、私は、本当に遅過ぎると思います。そして、お金の投入だけが決まっていて、こういう国会審議が形式化、形骸化される、その大もとになっていると思いますので、重く受けとめていただきたいと思います。
先ほど来、これは佐々木委員も聞かれたと思いますし他の委員も聞かれたと思いますが、実は、この「りそな」に合併する前の旧あさひ銀行と旧大和銀行に対しての通常検査は、あさひに対しては昨年四月十八日から六月十四日、大和に関しては十二月三日からことし二月二十四日までで行われております。そして、今回、その二つが合併して、さらに公的資金の注入というプロセスを踏んでおりますが、この間に金融庁は再査定、再検査はなぜなさらないのでしょうか。
○伊藤副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。
今回の処置は、りそなグループが総資産四十四兆円を超える銀行であり、そして大阪や埼玉に極めて厚い顧客基盤を抱えている、中小企業に対する貸し出しというものも非常に多い。そのりそな銀行が過少資本に陥ってしまった、健全性の指標の四%を割り込んで二%になってしまうということが十五年三月期の決算で明らかになったわけであります。この状況を放置しておけば信用秩序の維持に極めて重大な支障を生ずるおそれがある、その危機を未然に防止するために、危機対応として、緊急対応として今回の処置を、金融危機対応会議を開き、資本の増強の必要性を認定したところでございます。
この資本増強の必要の認定の前提になったのが十五年三月期の決算でございまして、この決算に当たっては、委員御指摘のように、旧大和銀行に対して通常検査が入っているわけでありますし、またリアルタイム検査としての特別検査、あるいはDCFの手法、そうしたものが反映をされているわけであります。さらには、外部監査人である監査法人が厳格に監査をして、その上で過少資本に陥るという決算の内容が明らかになったということでございますので、私どもとしては、現時点において得られる最も確実性の高い情報ではないかと認識をいたしております。
したがって、こうした認識をもとに、十五年三月期の決算をもとに資本増強を行うことが適当だというふうに考えたところでございます。
○阿部委員 国民から見れば、これだけのお金を入れるのだから当然、十五年三月期の決算、そして、先ほど申しましたように、「りそな」は「りそな」として出発したそのときに、二つの、二つというか主な意味では二つですが、一緒になって、もっとより多くの地域銀行を集めて発足して、そして発足後わずか数カ月でこのような事態に至っているわけです。一体金融庁のこれまでの監督はどうなっていたのか、合併は果たして正しい判断だったのか、合併してやっていけたんだろうか。やっていけないからすぐこんな公的資金の注入になったわけです。
今の副大臣の御発言というのは、自分たちが監督している銀行という企業体に対しての監督責任をまるで放棄したような答弁だと思います。なぜなら、監査法人がちゃんとやっているからよいのだというなら、本当に、監査法人間で今二つ大きな違いが生じたわけです、はっきり申しませば。その違いに目をつぶって、とにかくやったからいいんだというふうに強弁なさるなら、金融庁なんか要らないんです、本当に。(発言する者あり)皆さん方の方が詳しいからいろいろありますが、やはり、これからもこの百二条の適用に当たってこんなにルーズに勝手にやられるんだったら、だれも金融庁の行政姿勢というものは信頼しないと思いますが、逆にこれからする場合、しない場合、常に通常の検査しかしないのですか。大臣、いかがですか。
○竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、この百二条の法律そのものが、信用秩序に対する重大な支障が生じないように迅速に行動するということを前提にしてつくられている。これは、私は、この法律の一つの建前であるというふうに思います。そうした中で、これは改めて、一種の、例えば買収か何かを行うときはいわゆるデューデリジェンスをやるわけですけれども、それも相当の時間をかけてこういうのをやるわけですけれども、そういうことを前提にはしていないというふうに私は思います。これをやっていると、本当にその間に資産が劣化したり、本来の百二条が持っている趣旨がやはり生かされないようになるというふうに考えるわけです。
もちろん、その場合に、通常の決算のプロセスがきちっと行われているかどうかはしたがって大変重要になります。その点に関しては、先ほど伊藤副大臣から答弁がありましたように、我々は、そういう通常の決算がきちっと行われるように、通年専担検査の仕組みをずっとつくってきた。資産の査定に関しては特別検査を二年続けて行った。さらには、今回、これは一部には反対もあったわけですけれども、ディスカウントキャッシュフローという資産査定を厳しく、まさに市場価格に近い、マーク・ツー・ザ・マーケットで行えるような仕組みを取り入れて、できるだけそれが、特別検査の結果等々は今回の決算の中に反映されているわけで、まさにリアルタイム検査になっているわけでありますから、そうした意味でのしっかりとした決算の仕組みはつくってきたつもりでございます。
百二条の意味と、検査の仕組み、これはあわせてやはり御理解をいただきたいと思います。
○阿部委員 今の答弁では、例えば、私はすごく簡単なことを聞いたわけです。あさひと大和が合併して、発足したばかりなわけです。だれもこの私どもの市民社会の中で、発足したばかりの銀行がわずか数カ月で、その発足に対しては、恐らくそのことが、やはり多様な銀行の合体したものができるわけですから、経営的な困難、システムの混乱、そして逆に言えば、本当にうまく統合されていくだろうかという不安を抱えながらでも、監督官庁である金融庁がきちんと問題点をわきまえてこの合併に向かっていっただろうからという安心感を持っていたわけです。でも、やってみたら、ふたをあけたら、数カ月で公的資金の注入だとなったわけです。
私は、そのときに、少なくとも金融庁として、では本当にこの合併判断はよかったのかどうか、そこまで立ち返って伺いたいですが、いかがですか。
○五味政府参考人 合併の認可は、ことしの二月二十五日に行われておりますが、この合併並びに埼玉りそな銀行への再編の認可に際しましては、その時点までの私どもの監督上持っておりますさまざまなデータ、あるいは検査の結果、あるいは途中経過、こうしたものを総合的に勘案いたしまして、法令に定められております認可基準に沿っているかどうかということを審査し、その結果として、この法令の認可基準を満たしているというように認められましたので、この認可を行ったということでございます。
ただ、その後、先ほど来御議論になっておりますけれども、監査法人の監査の過程で、三月期決算の繰り延べ税金資産計上の厳格化等が要因となって、自己資本比率が四%を下回ることになったという事情でございます。
○阿部委員 私は、やはり政治は結果責任だと思うのです。どういうことかというと、合併のときに、金融庁としては、今るる述べられましたように、まあこれでいけるだろうと判断したと。ふたをあけたら、やれないから、そして、繰り延べ税金資産の計算方式が変わってしまえば、ごろりと変わって公的資金二兆円投入だと。逆に、こういう結果に至った責任は、監督省庁の金融庁はどうとるんですか、竹中大臣。
○竹中国務大臣 基本的には、昨年の九月期の決算に基づいてその認可の議論は行われております。昨年の九月期の財務状態と、それとことし三月期の財務状態の間でやはり変化があったということに尽きるんだと思います。しかし、その変化の要因というのは、決してこれは、例えば一般的な資産の査定の問題等ではなくて、前に申し上げましたけれども、自己資本比率の下落のかなりの部分が実は繰り延べ税金資産に依存している、この繰り延べ税金資産についてのまさに査定が独立した監査法人によって今回厳しく行われた、その点に集約されているんだと思っております。(発言する者あり)
今、席から議論がありましたけれども、これは確かに増資を行っているわけで、その増資が、まさにコンプライアンスの観点からガイドラインにのっとってて第三者増資が適切に行われたかどうか、これはきっちりと我々としては検査をしていくつもりでございます。
○阿部委員 そんなことを後から言われたっていい迷惑なんです。どういうことかというと、九月から三月の間に変わったことは何かと今大臣おっしゃいました、財務諸表の中で。一つは合併があったということですよ。それから、自己資本比率について、特に繰り延べ税金資産について厳しく査定するように、二月二十五日でしたか、各監査法人に指令を出したと。しかし、そうであれば、既に増資の段階で、この九月から三月、三月に増資しているわけですから、増資の額、それから増資というものが、本当にこれでやっていけるのかどうか、そこできちんとした監督指導が行われれば今回のようなことにはならなかったと思うのです。そこの監督責任を私は今問うています。何か人ごとのように常に、こっちに「りそな」があって、こっちに監査法人があって、この間でやって、繰り延べ税金資産の見直しが違ってきたのでこうなりました、そして国民に二兆円ぶち込んでくださいとお願いします。しかし、そういうことがないように金融庁は監督しているのが役目じゃないですか。私は、そんな無責任な答弁、本当に金融などは全然知らない素人から見たってとても承服できませんし、納得できませんし、何のための金融庁かと思うわけです。
そして、もう一つ伺いたいです。
ここに二つの監査法人があって、そのおのおのの繰り延べ税金資産の評価において差があったように伺います。今後もこういうことはおありでしょう。その監査法人をまた監督しているのも金融庁ですが、こうした事態、差があり得る事態を踏まえて、監査法人と金融庁の関係というのは、今後どのように金融庁は行政的に取り組んでいかれるのでしょうか。いつも、自分たちには関係ない、関係ないという形でやらないでいただきたい。何が責任で、何が役割なのかをきちんと自覚された上での御答弁をお願いします。
○竹中国務大臣 我々は、例えば今回の繰り延べ税金資産に関しても、我々が問題提起をしたわけです、昨年の秋に。それに基づいて我々が金融審の中にワーキンググループをつくって、今この難しい問題をどうしていくかということをずっと議論していこうとしているわけです。そのやさきに、非常に大きな判断をゆだねられた監査法人において、今回、新日本監査法人において厳しい見解が示されたというのが現状であります。
お尋ねの件、繰り延べ税金資産、会計監査法人に関しては、これは監査法人の監査の内容について我々が圧力をかけちゃいかぬというのがまさに皆さんの御意見であって、そういったことに関して我々がコメントをする立場にはないと思っております。
しかし、これは一方で、公認会計士法、ここの場でも御審議いただいた公認会計士法では、いわば公認会計士協会等々のクオリティーコントロールに関して、我々が、今度新たに行政がコミットするという形が出ている。これに関しては、公認会計士法をしっかりと運用していくという形で我々としても全力を尽くしたいというふうに思っております。
○阿部委員 私は、最後にここで指摘しておきたいのは、やはり、合併という時点で既に金融庁はこの事態を正しく認識し、この合併自身が、本当にこれでやっていけるのかどうか、今の繰り延べ税金資産のお話もそうです、その判断をすべきであった。金融行政にもてあそばれた「りそな」もかわいそうですし、そして監査法人の、自分たちの査定問題においても、果たして本当に独立性が保たれたのか否か、疑義は山のように広がっていますので、資料の提出をお願いして、質疑を終えます。
○小坂委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。