第156回国会 財務金融委員会 第26号(2003/07/16) 抜粋

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阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 ただいま日銀総裁の御報告、そして日々の金融政策運営の御尽力、大変御苦労さまです。私は、福井総裁が御就任されてからきょうが初めて質疑の時間をいただきますので、極めて骨格的なことを質疑させていただこうかと思います。

 まず第一点でございますが、いわゆる国債についてでございます。

 国債は、この間、潤沢な資金供給という形でさまざまに、発行額は全体として増加しております。例えば、一九九八年度総額三百三十八兆円、現在、二〇〇二年度速報値で五百三十八兆円と、二百兆ほどの増額がございますが、その国債が一体どこに保有されているかという保有別の主体の分析をいたしますと、いわゆる銀行の保有が二〇〇三年三月末で二三・九%となっております。これは、私が先ほど申し述べました五年前に比べますと、五・八ポイントの比率の上昇でございます。

 この間、銀行は、株価が極めて低迷する、あるいは下落するという中で、より安全な国債へとシフトしてきて、一方での国債発行も、総額が極めて多く出されてきたという、双方が関係していると思いますが、逆に、このことによって、国債の価格の下落、すなわち金利の上昇等々が起こると、今度は銀行が逆にそれで含み損をする。今のように株価が上昇して国債の下落の損を代償しているうちはよろしゅうございますが、なかなかに不安定は増しているのではないかというところからお伺い申し上げます。

 二〇〇三年三月末の大手金融グループの国債保有残高は五十三兆三千億円で、株式の二・九倍になってございます。地銀に至っては十八兆九千億円で株式の四・八倍、第二地銀が四兆七千億で五・七倍と、株式よりも国債にというのがあらゆるレベルで、特に地銀、第二地銀になるほどにその比率が高いという様相を呈しております。

 総裁は、この中で一部お触れでございますが、この間の株高、債券安という構造についてはどのように見ておられますでしょう。一問目です。

福井参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま阿部委員から、最も基本的な金融システムあるいは今後の金融政策運営上の難しい問題点を御指摘いただいたというふうに思っております。

 最近の、不況色が強く、デフレ傾向が長引いている経済環境のもとで、金融機関の資金配分がどうしても国債に偏りがちであるという傾向が続いている。結果として、御指摘のとおり、金融機関のバランスシートの中身を見ますと、資産サイドで、貸し出しの残高に対比いたしますと、あるいはほかの株式等の資産と対比いたしますと、国債の残高のウエートがかなり急激に上昇してきているというふうに思います。

 もとより、金融機関のバランスシートというのは、さまざまな形でリスクが分散されて形成されるべきだというのが大原則でございます。

 リスクと申し上げました場合には、例えば貸し出しの場合には、貸出先の信用度による信用リスク、国の信用、つまり国債の場合には、そういう信用リスクが一番低い、信用度が一番高いというふうに言われております。一方、資産が価格変動する、もう一方のリスクがございます。マーケット価格が変動いたしますと、信用リスクが万全であっても、市場変動リスク、つまりマーケットリスクが大きく金融機関のバランスシートにかぶってくるという危険があるわけです。

 したがいまして、信用リスクとマーケットリスク、あるいはその他のリスクもございますが、大きくは信用リスクとマーケットリスクを広く分散する形で金融機関のバランスシートが形成されていくというのが一番望ましい本来の姿だと思います。

 現在は、経済環境が大変厳しい状況が続いているというもとで、結果として金融機関のバランスシートに国債の残高が非常にふえてきておりまして、これが、経済がむしろ我々の望むいい方向に変わっていく段階で、債券というのは値段が下がり金利が上がるという形で、マーケットの変動のリスクが金融機関のバランスシートの上で顕現化してくるリスクをはらんでいる、そういう点は、私どもも、今後の政策運営上一つの非常に大きな関心事項。しかし同時に、これは個々の金融機関の経営者にとられましても、この問題の所在ははっきり認識しておられることでございまして、期間構成その他リスク管理の体制を、従来よりはさらに濃密に工夫を凝らしながら対応処理を進めておられる。

 将来、どのような問題が起こってくるかわからない点はもちろんございますけれども、十分事前に我々はこの問題を予知しながら対応していかなければならないというふうに考えております。

阿部委員 次は、金融庁に、数値の上でのお尋ねをいたします。

 三月末、国債の長期金利が〇・七%前後でございましたときに、銀行、すなわち大手、地銀、第二地銀の中で、含み損を抱えている銀行というのは一体どのくらいございましたでしょうか。

伊藤副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 直近の計数であります、十五年三月期決算における都市銀行、地方銀行、第二地方銀行の国債の評価損益は、都市銀行が三千三百七十八億円、地方銀行が二千八百八十四億円、第二地方銀行が六百十八億円の評価益となっております。

 なお、十五年三月期決算において国債の評価損を抱えている銀行数は、地方銀行が十行、そして第二地方銀行が七行でございまして、都市銀行については、評価損を抱えている銀行はございません。

阿部委員 再び福井総裁にお伺いいたします。

 そうすると、現在のところ金利は一%、今後これが上昇に向かう、すなわち国債の下落に向かうのかどうかということは、先ほど御答弁にございましたように、市場経済の全体の動向とかとも関係して、不透明というか、予測は十分にはしがたいと思いますが、逆に、金利が〇・七%だったときで既に、地銀で十行、第二地銀で七行の、国債の含み損によるいわゆる赤字という形が出ておりまして、これが一%という現段階で、逆にどのようにお考えになるのか。あるいは、今後、上昇ということで、これは、株価があくまでもリスクを吸収してくれればよいですが、その辺の見通しというか、リスクについてのお考えをお教えください。

福井参考人 まず、個々の金融機関の経営者におかれましては、今おっしゃいましたとおり、銀行ごとに差はあるとはいっても、やはり国債そのものの持っている潜在的リスクがいつ何どき顕現化するかもしれないという前提のもとに、国債そのもののリスク管理をさらに強めておいていただく必要がある。この点は、私どもも、考査を通じて、金融機関の経営者の方々に我々の持っている知識は差し上げながら、やはり金融機関の努力を促していきたいと思っております。

 経済全般がよくなりますときに、経済のよくなる度合いに見合って金利が上がっていくということであれば、まだ相対的に問題が少ないだろうと思います。しかし、市場の中でさまざまな期待、憶測が生じて、それ以上に金利がはね上がるというふうな危険がやはり将来はあるわけでありまして、その点に対して、つまりリスクプレミアムが過度に市場の中で大きく出てくる、結果として金利が経済の実態以上にはね上がるというふうなことを極力防ぐような知恵を出していかなければいけない、これは我々の仕事でございます。

 一方、金融機関の経営者としては、今株価の上昇によって打ち消される部分があるとおっしゃいましたが、基本的には、貸し出しを、景気がよくなってまいりますと資金需要もふえてまいりますので、本来の貸出業務で収益をきちんと上げていく努力をさらに強めていただく、そのこととの兼ね合いで国債のリスクを打ち消していくという努力が非常に大事じゃないかというふうに考えております。

阿部委員 銀行は本来貸し出すのが仕事で、今は、金庫のようになって、貸し出しの目詰まりが起きている状況下ですので、その点に関しては、日銀としても、先般来、どのように貸し出しが円滑に行われるのかについての、銀行とのお互いの、指導なり行政監督なりをなさっておられる、行政監督というか、そのような向きにお話を進められていると思います。

 一方でまた、日銀自身も大量に発行された国債を銀行から買うということで、現在、日銀の資産等々を拝見させていただきますと、量的緩和政策に伴って、二〇〇一年三月では、国債保有の中で日銀が持っておられる分が一一・六%だったものが、二〇〇三年三月では一七・五%。すなわち、国債については、銀行か日銀かで、双方合わせれば四〇%余りを持っておられるわけです。

 ここまでやってまいりますと、先ほど言いました、国債の金利が実体経済の好転に伴って上がればいいですが、いろいろなリスクはそこに含まれている、そのときにこれ以上の金融緩和政策をとるということは、日銀の国債保有の現状から見ても、これは数値を拝見していると、とにかくどんどん、年々比率が上がっていくのですね。特に二〇〇一年度から、日銀の国債保有比率一六・六、二〇〇二年度一七・五となってまいりまして、逆に、国債が我が国の金融のアキレス腱になりかねないという不安も抱くものですが、今後の量的緩和政策とも連動しておりますので、そこのお考えをお教えください。

福井参考人 日本銀行自身も、民間金融機関のことばかり述べて自分たちのことを忘れてはならない、おっしゃるとおりだと思います。

 私どものバランスシートの中にも国債の保有残高が急激にふえてきて、現在、非常に大きなウエートを既に占めるに至っているということは事実でございます。

 ただ、私どもは、金融調節を通じて日本経済を元気よくする、つまり、不況から、あるいはデフレから早く脱却するために仕事をしているという点がございまして、市場の中に存在する何がしかの資産を日本銀行が購入しながら流動性を供給していくということが基本のメカニズムになっております。したがいまして、経済の状況が厳しくて、資金を借り入れる主体が民間ではなくて政府にウエートがかかっている状況にありましては、結果として、日本銀行が買い入れる対象とする資産の中身が国の債務に比重がかかってくることはある程度避けられないということはまず御理解いただきたいと思います。

 それでも、日本銀行が野方図に国債を買い入れるということは正しくないと私どももやはり思っておりまして、あくまで目的を、円滑な資金供給、つまり金融政策の目的の範囲内にきちんとおさめる、それからさらに、日本銀行の国債保有額が銀行券の発行残高を超えない、そういう歯どめをもう一つ設けて行っているということでございます。銀行券の発行残高は、御承知のとおり、今、大体七十兆円ぐらいでございます。日銀の長期国債の保有残高が六十兆円ということで、一応その範囲内で現在運営を行わせていただいているというところでございます。

 なお、市中銀行もそうですが、私どもにおきましても、国債保有に伴うリスクをバランスシートの上できちんと把握する、そして必要な引き当てを行うということで、財務の健全性確保にも努力をいたしております。

阿部委員 総裁の報告書の中にもございますように、まだまだ我が国の市場というか経済の動向は、過剰雇用、過剰債務の調整圧力が強くて、なかなか本格的に立ち上がってきていない。全体七十兆を上限とするんだといっても、もう六十兆まで来ていて、微妙な幅の中で、国民にとりましては余りに国債が多く発行されていくことに、もうそろそろ危険シグナルが出ているのではないかという認識を持つものでもありますから、この時期の微妙な運営と思いますが、なおお取り組みをよろしくお願い申し上げます。

 私は、残余の時間は、本日午後委員長提案になるやみ金融のことについて、若干現状認識をお伺いしたいと思います。金融庁にお願い申し上げます。

 きょう、私はたまたま日経新聞を通勤途上で見ておりましたところ、UFJ銀行が、都内七十二支店の百六十六に上る普通預金口座を強制解約したと。強制解約をした理由は、それがやみ金の口座として利用されていた疑いもあるということでこのような強制解約をなさったということで、また、強制解約ということは前例を見ないということでございます。

 所轄の官庁の金融庁といたしまして、やみ金融問題は、被害者は一般の弱い庶民、でも、一体だれがどのように、どういう手だてをすれば本当の解決がつくのか。すなわち、やみ金融の口座は実は銀行にあったりする、一番信用を看板に掲げた銀行にやみ金融の口座がある。銀行の管轄は当然金融庁である。こうしたUFJに見られたような動きと同じような動きが、各銀行、自律的に行われているのかどうか。監督省庁の金融庁、実際にデータがおありであれば教えていただきたいし、今後の指導姿勢についても、竹中大臣が来られましたので、しょっぱなで申しわけございませんが、よろしゅうございますでしょうか。

五味政府参考人 事実関係だけ、私から簡潔に申し上げます。

 UFJ銀行によりますと、この銀行の都内の七十二支店、百六十六の普通預金口座に、口座開設時における本人確認の際に提示を受けた健康保険証に架空の被保険者番号が記載されていたというようなことが判明しましたので、口座名義人に対して、再度の本人確認のため来店を求めるという文書を発送しましたが、応答がなかったということで、UFJ銀行といたしましては、預金規定に定める「預金口座の名義人が存在しないことがあきらかになったとき、」というのに該当するものとして、口座を解約したというふうに聞いております。

 やみ金業者の手口の一つといたしまして、例えば、悪質なやみ金業者が、クレジット会社とか大手の消費者金融会社から貸付債権を譲り受けたというような偽りを述べまして、顧客に対して執拗なあるいは脅迫的な支払い請求を行って、金融機関の、銀行の口座に振り込みを強要する、こういったような事例が社会問題化しているというようなことがございます。

 これを踏まえまして、私ども、各金融機関との意見交換会などの場におきまして、本人確認法や組織犯罪処罰法上の対応、これを、こうした法律の趣旨にかんがみて、健全かつ適切な業務運営という観点からきちんと適切な対応をとるようにということで従来から要請しておりまして、つい先月、六月も中旬と下旬に、主要行、地銀、第二地銀の各団体に対しまして、意見交換会の場で改めてこの要請をいたしました。

 このUFJ銀行のような口座の解約ということは、これはちょっと取り急ぎの聞き取りではございますけれども、やみ金業者などに対する口座の解約というのは、他の主要行においても基本的に、数の大小がございますけれども、対応して行っているということでございます。

阿部委員 やみ金融被害の実態を知るためにも、どのくらいの数の口座が現状そこにあり、また解約の必要があるものなのか、それはぜひとも、データとして、金融庁としてきちんと数値把握もしていただきたいと思います。それを大臣にひとつお願いしたい。

 あわせて、午後法案が提出されますが、担当大臣として、こうしたやみ金融におけるどういう点に今後、やはり本当に、やみ金融被害者が自殺なさった、六月十四日、大阪でのことですが、そのことを契機に超党派で法案ができるわけですが、何度も申しますが、金融庁というところもそのことと不可分のところに位置しておったわけで、今後、どのような取り組みをお考えであるのか。

 大臣、せっかくお越しくださいましたので、今の二点にわたって、解約口座数の数値をきちんと挙げていただくということと、それから今後の取り組みについて、お願いいたします。

竹中国務大臣 二点御指摘をいただきました。

 最初の問題に関しては、これは、本人確認を本当にきっちりとやっていくということに尽きていると思います。これは監督局長が答弁させていただいたとおりであります。その数値をきっちりと確認しろということの御趣旨は、本人確認をきっちりやる中で、そういった悪用されている口座がないかどうかをきちっと把握しろということに尽きるのだと思います。数字の把握ということになりますと、どういう方法が可能かというのは、ちょっと今すぐはなかなかお答えできない面もあるんですが、いずれにしても、本人確認はきっちりとやっていただく、この点はそのようにきちっと指示をしたいと思っております。

 二点目の、やみ金融対策に対して、これの実効性を確保するために金融庁として一体どのように取り組んでいくのかという一般的な姿勢の問題でございますが、これはこれまでも金融庁としても努力はしてきたつもりでございます。

 まず、これは大変深刻な問題だという問題認識を持っております。その上で、貸金業登録の審査を強化する等々の監督、これは行ってきた、政府広報等を通じた国民への周知等々も行ってきた、さらには、まさに捜査当局との連携強化を図る、それと、被害者からの相談のシステム、こうした四点についてはこれまでも努力を行ってきたつもりでありますが、今般のいわゆるやみ金融対策の検討の過程における先生方の非常に深い御議論を踏まえて、我々もやはり一層強化しなければいけないというふうに思っております。

 まずは、やはり監督部局間の連携、それと相談体制の一層の強化というのが必要だと思います。これは、一部の県には、財務局、警察当局等、関係団体から成るやみ金融対策の防止対策会議のようなものが設置されておりますけれども、さらには相談窓口、こうしたものについてやはり都道府県に指示、要請を行うとともに、広告関係団体に対しても、広告掲載などの適正化について要請を行っていく必要があると思っております。今までの政策をさらにしっかりと強化するような方向で努めたいと思います。

阿部委員 まずは怪しい口座が閉じられるということが大きな一歩ですし、あと、諸般、財務省や警察庁ともかかわっていますので、大臣並びに金融庁のリーダーシップで、実際の被害者が減るようなお取り組みをよろしくお願いいたします。

 終わらせていただきます。

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