第162回国会 厚生労働委員会 第10号(平成17年3月25日(金曜日))抜粋 案件:
政府参考人出頭要求に関する件
地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、公共職業安定所の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)(参議院送付)
臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律の一部を改正する法律案(熊代昭彦君外一名提出、第百五十九回国会衆法第一六号)の撤回許可に関する件
臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律の一部を改正する法律案起草の件
介護保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)
議事録全文(衆議院のサイト)
ビデオ(衆議院のサイト)
○鴨下委員長 次に、阿部知子君。
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
先ほど来、お二人の委員から、職業安定所の新たな設置にかかわりまして、その政策の透明性、公平性について、さらに厚生労働省としてきっちりとしたデータを提示していただいた上で今後は充実を図っていただきたいというお話がございました。とりわけ、今、雇用情勢も厳しく、働くこと自体がさまざまに、権利として保障されない、憲法二十七条、労働は権利であり義務であるという二十七条の本当の中身が揺らいでいる折と思いますから、ぜひ労働行政、とりわけ職業を得ていく過程における職業安定所の役割ということをさらに厚生労働省として充実させていただきたいと思います。
そうした前提に立ちまして、私は、例えば人口がふえた、新たな産業圏ができ上がった等々の問題、この問題が一方にある、それと同時に、一九九〇年代後半から、とりわけ働き方の多様化という形で言われますが、実際には非正規雇用の増大、多様化か流動化かあるいは不安定化か、いろいろな言い方はされると思いますが、労働の現場が変わっている、働く人たちの置かれた状態が変わっている。そうした中で、ハローワークが就職支援、再就職支援を含めていろいろな取り組みをなさっているわけですが、この変遷する労働雇用環境の中でハローワークとして新たにどのような機能をつけ加えてこられたか、また、今後つけ加えるべく、もちろん人だけではなくその人が持つ機能の面もございますので、その点に関しての御答弁をお願いいたします。
○青木(功)政府参考人 ハローワークの活動でございますけれども、先生御案内のとおり、長い歴史の中で、仕事さえあればいいという時代から、今先生お触れになりましたように、求職者の方々の意識が多様化する、それから仕事の現場の方も多様化するということになっております。そういった意味で、同じ仕組みで同じマインドで求職者の方と御相談をするという上で、さらにそれに付加した知識、識見というものが必要になってきた時代になると思います。
例えば、なかなか就職をしてくれない若い人たちであるとか、あるいは求人状況が厳しい高齢者の方、あるいは家庭から職場に再参入しようとする主婦の方とか、それぞれ異なった思いというものがあるわけでございます。こういった方に適切に御相談をする、そして、外部労働市場のことも十分勉強して御相談をする、こういう体制が必要になってきておりまして、そういったことが職員に求められております。また、それに加えて、さまざまな民間の専門家の方を活用して職員のコーディネートのもとで御相談をするというふうな体制に変わってきている部分もございます。
○阿部委員 昨日御説明をいただきました折に、そのような新たに付加した知識がハローワークにも必要であるということで、例えば就職支援ナビゲーター、再就職プランナー、あるいは若者ジョブサポーター、いろいろな名前はつくわけですが、おっしゃったようにその一つ一つが本当に大切と思いますけれども、現状では、そのようなことに能力やキャリアをお持ちの外部の力をかりておる。私は、非常にそれはそれとしていいことであるのですが、本来は、その相談に当たる個々のハローワークの職員が、将来的には自分の能力としてそういうものを加味してより本当に必要とされるサービスを提供するようになれないと、逆の意味で、ハローワークは何をやっておるのか、定員ばかり無用にふやしてと。あるいは、定員削減の中でどんどん数が減らされていき、しかし、それは働く者にとってもいいことではないと思うのです。
そういう点で、実は、ハローワーク自身の今後の職員の教育のあり方、ここも私は、数だけでなくて重要と思っておりますが、厚生労働大臣としてどのような人材育成策をお考えなのか。省内の労働大学などでの研修もおありだということですが、私は、さっき御紹介したように、今、いろいろな名前の外部のキャリアの人をお招きして、逆に言うと、ハローワークの職員にオン・ザ・ジョブ・トレーニングをしていただいて、本当にそういう意味でそういう能力をみずからが身につけていただくということもとても大事で、それが、かつてのような、一つの就職先を首になり、こちらに御紹介するということだけではなかなか済まない現場職員の、一つは能力を上げ、フラストレーションを少しでも低めて、一番いい仕事をしていただくために不可欠と思いますが、お考えを伺いたいと思います。
○尾辻国務大臣 お話しのように、求職者の皆さんの御相談というのも大変多様化しておる今日でございます。したがいまして、そういう多様化した御相談に的確に対応しようと思いますと、相談に乗る側の専門性も高めていかなきゃならない、これもお話しのとおりでございます。したがって、専門家の力もかりていますけれども、しかし、当然、職員の資質の向上を図って自分たちで対応できるようにしなきゃいけない、このことは大変重要なことでございます。
今どういうことをやっているかというお尋ねでございますけれども、労働政策研究・研修機構を通じまして、職員の専門能力を高めますために、職員の方もいろいろな経験の段階がございますから、その職員の行政経験のステージに応じまして、必要となる面接相談技法でありますとか、職業適性検査の活用等に係る知識、技能の付与を行いまして、特に中堅職員に対しましては、キャリアコンサルタントを養成するための研修を今行っておるところでございます。
こうしたさまざまな努力をいたしておりますが、今後とも、職員が求職者に対して専門的できめ細かな個別相談援助や業務全体の統括を的確かつ効率的に行うことができるように、職員の資質向上に意を尽くしてまいります。
○阿部委員 本当にそういうことが必要であるから職員の数の充実も図っていかなければならないというようなことが国民的にも納得される形に私はぜひしていただきたいし、それがひいては国民自身の利益につながっていくと思います。
引き続いて、私は、若者の就労支援政策、二点にわたってお伺いしたいと思います。
この間の雇用の流動化によって、実はその影響は各年代に及んでおるわけですが、しかし、一番大きな影響をこうむっているのは、私は若年層に強い影響を及ぼしていると思います。例えば、十五歳から三十四歳の年齢のフリーターと呼ばれるパート、アルバイト、そして内閣府の統計ではここに派遣や請負など非正規雇用全部入れますが、そうすると、四百十七万人がそういう流動する雇用形態の中で働いておるという、著しい数だと私は思います。
そして、そうしたいわゆる常用雇用ではない若者の支援に向けまして、厚生労働省でも幾つかのお取り組みをなさっておると思いますが、私は、やはり政策というのは、鉄は熱いうちに打てではありませんが、このときにこういう政策を打てば、若者が常用雇用に向けてみずからの能力も高め、インセンティブも高め、目標に到達するというふうなことになると思うので、きょうは、厚生労働省の施策の中で、YESプログラム、こういうリーフレットもできておるのですが、このプログラムについてお伺いしたいと思います。
YESというのは、ユース・エンプロイアビリティー・サポート、このごろ、さっき言いましたようにナビゲーター、サポーター、何とかという横文字ばかり多いのですが、若者に向けてはYESというのはいい売りかと思います。
このYESプログラムは、いわゆる厚生労働省お墨つき認定書というのを、幾つかの、例えば自己表現能力とか面接能力、あるいは読み書きそろばん、基礎能力等々について受講をいたしまして、あなたはこれで受講済みですよ、ぽんという認定書をいただくコースで、去年の秋から実際に始まっており、四十七人が認定書をいただいた。またその人たちが本当に認定書を持って厚生労働省お墨つきで就職できるかどうかはこれからまだのところではあるのですが、実は、このYESプログラムの対象が、現在では、主には高校卒業あるいはそれ以降の大学、専門学校生などの教育の中であわせてこのYESプログラムを取り入れて、その人たちがより仕事に結びつきやすい方策をとるという計画がこのYESプログラムでございます。
私は、特に高校生、今、例えば、十年前高卒の求職者数は百七十六万人くらいあったものが、二十二万人と求職もぐっと減る。一方で、高校から大学に進学する人もふえているわけですが、逆に、高校が終わった段階できちんと職業にインセンティブが持たれる、あるいは面接に行ってもそれなりの対応ができる、自己表現ができる、すごく重要なことだと思っております。
そこで、担当の厚生労働省の部局にお伺いいたします。
従来であれば、高校は学校教育で文部科学省、そこから出て、果たして、労働市場にというか、そこから一歩出ると今度は、失業状態であれ、職が決まらない状態であれ、求職中であれ、厚生労働省管轄というふうになってまいりますが、ぜひこのYESプログラムは高校教育の中にも積極的に取り入れていただいて、高校生たちも受講が進むような取り組みを図られてはいかがかと思いますけれども、御答弁をお願いいたします。
○上村政府参考人 先生御指摘のYESプログラム、日本語では若年者就職基礎能力支援事業という言葉になっておりますけれども、これは、今先生からお話がありましたように、企業が若年者に対して求めている能力の内容、それからそれを身につけるための目標を若い人たちに示しまして、その修得を公表する仕組みとして昨秋からスタートしたものでございます。
この制度につきましては、高校生にとっても極めて有意義ではないかというふうに思っておりまして、現在、一般的にはハローワークや経済団体等を通じまして先ほどのこのパンフレット等を配布するなどして周知をしておりますけれども、高校生ということにつきまして、都道府県の教育委員会などを通じましてパンフレットを配布するなどすることにしております。
引き続き、文部科学省とも連携をとりながら周知を図っていき、活用されるようにしていきたいというふうに思っております。
○阿部委員 私は、若者の就労支援はぜひ縦割りを排して、本当に国として総力を挙げて政策的に取り組んでいただきたいと思っております。
世に言う七五三現象で、中学卒業されると三年くらいしか職が続かず、高校だと五年、大学は七年と。今若者は全体に流動化しておるわけですが、そうした職業が続かなくなるというときにも、かなりそれ以前の職業教育のあり方が十分トレーニングされていなくて、電話応対一つ、人への表現一つ、さまざまな問題を現状で若者は抱えておりますので、私は、さらに大臣にもお取り組みをお願い申し上げます。
最後に、いわゆるニートの問題に移らせていただきます。
このニートという言葉が国会内の審議で出てまいりましたのは、たしか二〇〇四年の二月段階で、民主党の水島広子さんが予算委員会で坂口厚生労働大臣と河村文部科学大臣にお尋ねになって、そのとき河村文科大臣も坂口大臣も、つまびらかには存じておりませんが、そういう御指摘があって今後しっかり勉強したいという御答弁をいただきました。
ニート、今では新聞紙上にも出るようになりましたし、教育課程におらず、また就職活動もしておらず、トレーニングにも乗っかっていないという状態の若者をいいます。特にイギリスでこの問題が出た場合は、十六から十八歳という中学卒業後高校段階でいる子で、中途退学したような子供たちが一九九九年で十六万人いて、国として問題だということで俎上に上ってきたわけです。
我が国は、この一年間、このニート問題について国会の場に提示されて以降どのような取り組みをしてきたかということで考えてみますと、私は、実は厚生労働省だけの問題ではございませんが、やはりかなりの部分、働く若者の自立支援、働いていけるということが自立の根幹ですので、そういうことに向けて、残念ですがまだまだ厚生労働省としても対策が少ないように思っております。
せんだって、内閣府の統計では八十五万人というニートの数を出しました。これは、就職を働きかけていない子とそういう意思のない子ということです。ここもまた二段階には一応分けられるのですが、就職する気はあっても働きかけていない子と、はなから就職する気がない子で半々に分けていくわけです。
私は、ニート対策というのは、やはりきっちりその子の、その若者のプロフィールをつかんだ上できめ細やかに政策立案していかないと、きっちりと、本当に手間暇がかかるわけです。就職、働く気もない、あるいは本当にそれを求めていないという段階の子から、どうやって自立に結びつけていくのか。
ここで、尾辻厚生労働大臣に伺いますが、内閣府でも統計を再調査し直しておられる段階であり、今後厚生労働省として、このニートの若者たちに向けた政策としてどのようなことをお考えであるか、あるいはまた他省庁との連携をどのようにおとりになるのか、この点をお願いいたします。
○尾辻国務大臣 まず、答えから申し上げますけれども、今私どもはニート対策として若者自立塾を考えております。これは、ニートと呼ばれる人たちに一定期間合宿生活をしてもらって、ぜひそうした中でお互いに話し合いをしたりしていただいて、働く意欲だとか、もっと言いますと人生に対する頑張ろうというような気持ちを沸き立たせていただきたい、こういうふうに思っておるところでございます。あるいは、ヤングジョブスポットでありますとかハローワークでの働きかけとか、いろいろいたしております。
そういうことをいたしておりますけれども、私がきょうこの機会に、お尋ねでもございますからぜひ申し上げたいと思いますのは、今私どもが考えております若者自立塾、これは既にやっていただいておるような方々もおられるんです。そういう皆さんとお話し申し上げたり、そういうところにいるニートと俗に言われている若い人たちと話をしたりいたしまして強く思いますことは、私どもはニートと一言で言いますけれども、ニートと呼ばれる若者たちもそれぞれなんですね。そしてまた、それぞれにいろんな悩みを抱えています。これはヤングハローワークに行ってもそう思うんです。ヤングハローワークでいろんな相談事業に乗っていますけれども、一番何が多いかというと、心理カウンセリングが一番多いんですね。
そういうことを思いますと、私は、この問題というのは非常に重要な今日本の抱えている問題だと思いますから、私どもだけでなくて、そして単に就職を手伝ってあげようという立場だけではなくて、若い人たちの将来をみんなで考えてあげようというような立場から、政府全体で、そして各省連携をとりながらやっていかなきゃいけないと思いますし、それと、マンツーマンできめ細かにやっていかないと、ちょっと一くくりで何かしようなんというものではとても解決しない問題だと思っております。
きょう先生に御指摘いただいたことは大変重要な問題だと考えております。
○阿部委員 ぜひそのようなお取り組みをお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
○鴨下委員長 以上で本件に対する質疑は終局いたしました。
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