第162回国会 厚生労働委員会 第12号 (平成17年4月1日(金曜日))抜粋

案件:
 政府参考人出頭要求に関する件
 介護保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)

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鴨下委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 週末の本当に遅い時間まで、皆さんの審議、御苦労さまです。

 そして、各委員の御質疑を聞きながら、あるいはまた厚生労働省側の御答弁を聞きながら、私は、この介護保険法案を審議するに足る状況にない、データがないということをまず冒頭申し上げたいと思います。

 そして、中村老健局長にまず明確にしていただきたいことがございます。中村老健局長も、この部署の責任者であれば、「介護保険かわらばん」、こういう色刷りのものが各自治体に配られているのを御承知おきかと思います。まず一点、御存じですか。お願いします。

中村政府参考人 それは私どもの介護保険課の方で作成しておるもので、存じております。

阿部委員 では、これについては責任ある立場であるということを確認した上で、月に一回ないし二月に一回出ております、二〇〇四年九月版でございます。

 ここに、先ほどから山口委員のお取り上げの日医総研の川越先生のデータ、しかし、これは今、この間盛んに厚生省が大好きで使っている、要介護一あるいは要支援の方は一番悪化度が速い、すぐ悪くなっちゃう、だから予防給付にしようという根拠を示したグラフでございます。

 お持ちすればよかったですけれども、読ませていただきますが、要支援の方では四八・九%が重度化し、要介護一では三四・八%の方が重度化するという、いわば半分くらい悪くなっちゃうのが要支援、三分の一以上悪くなっちゃうのが要介護一、だからここの部分のサービスのあり方が問題なんだという論議の初めになった、これが証拠の品でございます。

 それに比べまして、先ほど、人のデータを使って恐縮ですが、これは厚生労働省がお出しになったもので、ホームページにも出ておりますので、山口先生がお使いになりました、これは二〇〇二年度と三年度の要介護一、二、三、四、五、要支援の方々がどの程度重度化していくか、あるいは維持されておるかというデータでございます。当初示しましたこの「かわらばん」を二〇〇一年度とすれば、二〇〇二年度、三年度と明らかに変化がございます。介護保険を五年間やってきて、変化が見られています。老健局長、何が変化だと思いますか。

中村政府参考人 委員の方から御教示賜りたいと思います。

阿部委員 それはずるいと思うんですね。これは本当にまじめに答える気がないですよ。それこそ不適切ですよ。これはあなたたちが出したデータですよ。

 この中で見られることは、要支援の方も要介護一の方も、現状維持ないしは重度化が年々減っているんですよ。なぜこれだけのデータをお持ちなのに、恣意的に、まだ介護保険制度も定着しない、この川越先生自身がおっしゃっているんですから。このデータを色刷りで全国にばらまいて、おまけに先ほどの厚生労働大臣の御答弁、要介護一、要支援がふえていて、その方たちへの施策が思うように上がっていないと大臣は認識されているんですよ。大臣だってだまされているんだと思いますね、だって、あなたたちがデータを示すんですもの。五年やってきて、自分たちの都合のいいところのデータだけ使って、だまして国民を誘導していくなんて許されないんですよ。

 老健局長、私は明確にしていただきたい。この下には「訪問介護の利用回数が多くなるにつれて、要介護度が悪化する」、これは訪問介護をすればするほど悪化すると書いてあるんだけれども、逆さでしょう。介護度が悪くなるから訪問が多くなるんですよ。これだって、鶏か卵か、わけのわからない論争をわざわざ恣意的に一段目と二段目に並べているんです。私は、この資料作成の責任を問いたいですし、事実と違う。年次経過が組み込まれていない、介護保険がもたらした改善点がここには酌み取られていないし、酌み取ろうとしていない。

 このことについて、中村局長の答弁をまずきっちりと、不適切とか言っていないで、委員の質問を不適切とかいう立場にはないんです。あなたはデータを出して、このことにかかわる本当の審議を準備する立場におありです。それだけ責任も重いわけです。私はこのデータの読み方を説明しました。もう一度御答弁をお願いします。

中村政府参考人 介護保険の「かわらばん」につきましては、私どもがお出ししている資料でございます。地方自治体の方とかあるいは介護保険に関心のある方々にお配りをしたりしておりますので、私どもの考え方があらわれている部分があると思います。御批判があるのであれば、またそこのところについてはいろいろ指摘もしていただき、私どもも真摯におこたえをしたいと思います。

 それから、この配付資料の点でございますけれども、またよく私どもももう一回勉強もさせていただきますが、必ずしも、要支援や要介護一のところの重度化などが経年的にそれほど大きく変化しているというふうには考えておりません。

 それから、特定のデータのみで議論をしているのではないかという御批判をよくいただきますが、私ども、介護保険部会でも五年間、当時は五年たっておりませんでしたので四年間の事業の検証ということで、さまざまなデータをお出しして議論をしていただいて、やはり介護度の低いところについては所期の効果が上がっていないという議論をいたしているところでございます。

 それは、要介護度別に見ますと、要介護になった原因の疾患の違いがございまして、要介護度が重度のところにつきましては脳卒中の原因の方が多いわけでございますが、要支援、要介護一のところにつきましては、主として廃用症候群に関連する原疾患の方が高い。この部分については、適切な機能回復訓練、リハビリテーションを行えば改善の余地が高い部分である。そういった部分が高いにもかかわらず重度化なり改善なりが、重度化が他の部分と違わず、改善がそれほど見られないということについては、やはり思うだけの効果が上がっていないのではないか。そういう議論を踏まえまして、今回の予防重視型システムへの転換をさせていただいたところでございます。

阿部委員 だから、データの読み方、とり方が誤っているんです。あなたが公にした、国民に示した、大臣に示したデータでは、要支援の方は半数、四八・九%悪化するという資料を皆さんに配りました。

 その後、厚生労働省がホームページで発表したデータによれば、要支援の方は三〇・一%悪化します。数値が二〇%近く違うのです。そして、これが例えば五〇%悪化するものが三〇%に減ったのであれば、この間の介護保険がもたらした改善とも言えるじゃないですか。なぜあなたは、それがあなたの恣意的な、今べらべらべらべら言われました。しかし、五〇%が三〇%に減ったらいいじゃないですか。

 一言で、この数値だけで、背景疾患とかいろいろ言われました。それは、もともと老いというものは、そこでとまってよくなっていくものではないわけです。老いることがなくなってしまえば、人生苦しみも死もなくて、もしかしてつまらない。そういうことではなくて、私たちは、老いがその人なりに充実するよう、しかし、介護保険を提供すれば、悪化が、進行がとまり、あるいはスローになり、維持されていくことを目指しているわけです。

 一言で明確に、ぐちゃぐちゃ言わず答えてください。あなたの示した資料は、五〇%、要支援の人は四八・九%悪化という、これは逃れられない、あなたが配っているデータです。その後、厚生省のホームページです。この二点が出ています。トレンドはほぼ同じです。要支援の人が三割悪化、仕方ないかもしれません。制度が始まるときは五割、その後三年、四年経て三割、改善ではないですか。

中村政府参考人 端的にお答えしますと、まず調査が違いますので、七千八百七十八名……(発言する者あり)お聞きいただきたいと思います。そこの、私どもが「かわらばん」で示したという資料と私どものホームページに出ているという資料とは対象者も違うわけでございますので、まず二つの調査を比較して、あたかも変化率があることをもって違ったというふうに言われるのはちょっとおかしいのではないかと。

 例えば島根県の調査については、七千八百七十八人の……(発言する者あり)七千八百七十八名についての調査でございますし、私どもの調査は、要介護認定状況の変化についての調査は……(阿部委員「委員長、お願いします」と呼ぶ)国民生活基礎調査の中で、調査対象人員が四千五百三十四人ということで……

鴨下委員長 局長、では答弁を端的に。

中村政府参考人 はい。申し上げたいことは、二つの調査を比較して、二つの調査が同一の基盤に立っている調査かどうかについては精査が必要ではないかということで申し上げていることでございます。

阿部委員 そうであれば、次回のこの委員会の審議までに経年的な変化とその分析をみずからなさって、きちんと説明してください。あなたがなぜこの資料を使われたのかの根拠もないのです。ローカルなものとおっしゃいました。全国的なもの。なぜローカルなものを使い、なぜ初期のものを使い、そしてそれ以降と比較できないものを使い、なぜ審議を進めるのか。

 大臣、お願いします。こんな審議は私は不誠実だし、あり得ないと思います。大臣として、この五年を見直す、介護保険施行五年の認定者の推移を見直すきちんとしたデータを持って次回の審議に臨むことを、まず一点お約束ください。お願いします。

尾辻国務大臣 統一した基準のもとでの経年的なデータを出すというのは必要だと思います。したがいまして、こっちでやったデータとこちらのデータと、これを別個に比べてみてもそれは余り意味がないというのは局長が答えているとおりだろうと思いますけれども、とにかく同じ基準の経年的なデータと先生がおっしゃる、それで比べてみよと言っておられることはそのとおりだと思いますから、努力をさせていただきます。

阿部委員 そうです。それとあわせて、変な「かわらばん」を配らないでほしいんですね。だって、一部のデータですよ。信憑性と、他の比較ができないんですよ、これでは。そんなものを配られて、この五年の見直しはできません。この「かわらばん」の信憑性についてきちんと、次回で結構です、大臣は御存じないかもしれない。しかし、大臣がお聞きになっている、いわゆる軽症者に予防効果が上がっていないですよ、あるいは重度化を防げていないですよという認識自体、これから出てきているんですから。

 例えば、「訪問介護の利用回数が多くなるにつれて、」何度も読ませていただいて失礼ですが、「要介護度が悪化する」と。本当に悪化したから訪問回数がふえるんですよ。当たり前じゃないですか。こんなものをしゃあしゃあと、そして、本当に選んで、一部を選んで出した審議ということを、私はとても、この件については続ける気がありませんので打ち切らせていただいて、先回私がお願いいたしまして、まだ解決のついていない点に移らせていただきます。これも厚生労働行政のずさんさと思っておりますので、自覚して御答弁をお願い申し上げます。

 事の発端は、今週の月曜日でございましたが、長崎にございます佐世保市の市立病院で、心臓外科手術を去年百七十三例やったから、うちの病院は特に心臓外科の手術にいい病院、評価の高い病院だという表示を出しておられました。

 今、週刊誌でも雑誌でもいい病院がはやりですから、非常に患者さんたちは、どこがいい病院、どこに行けば自分の命が助かる、特に心臓ですから、やはり取っかえるわけにいかないし、二つとないし、うまくやってほしいと切実でございます。その心臓手術について、佐世保の市立病院で百七十三例の経験があるから、厚生労働省としては診療報酬に五%加算して、この施設をよい施設に認定をいたしました。

 ところが、この病院には昨年度心臓外科はありませんでした。ない病院でどうやったら百七十三例も手術ができるのか。ここに大きなからくりがあって、これを社会保険事務所が書類審査して、いい病院という許可を出しました。この点のずさんさについて、まず担当局からお願いします。

水田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、問題となった加算の仕組みでございますけれども、平成十六年度の診療報酬改定におきまして、過去一年間に行われた手術の件数が一定数以上の保険医療機関におきましては、当該手術に係る診療報酬点数を五%加算できる仕組みとしているところでございます。

 御指摘の事案におきましては、先生言われましたとおり、佐世保市立総合病院におきまして、心臓外科手術の実績を百七十三件として加算を請求しておりましたけれども、これは当該心臓外科医師が以前に勤務していた病院における手術の実績でござまして、同病院における、佐世保市立総合病院におきます手術の実績はゼロであったことが判明したものでございます。手術の施設基準に係る通知におきましては、過去一年間の手術の実績につきましては保険医療単位で見るということが明記をされておりまして、このことにつき解釈に幅が生ずるような余地はないものと考えております。

 今後でございますけれども、今申し上げましたことを前提としながら、請求した病院の側、それから審査した地方社会保険事務局の側にどのような問題があったのか、どうしたらこのような誤りを未然に防ぐことができたのか、よく考えた上で適切な対応を講じてまいりたいと考えております。

阿部委員 よく考えなくても、そうです、保険料の詐欺ですよ。五%上乗せして、違うものでもらっているんですから。

 いかに社会保険事務所の審査がずさんか。本当にこんな起こり得ないことが起こり、国民の大事な保険料が使われている。社会保険庁の問題と私は同じような、やはり勤務における、本当にそのことを一生懸命やろうという気風というんでしょうか、そこに緩みがあるように思います。

 そして、引き続いて、今審査中だとかおっしゃっていますから、しかるべく、どうして起こったのと。こんな単純、ちょぼミスですよ、悪いけれども。なぜ起こったのか。起こり得ないんですから、ない科の手術実績が上がってきたんですから。しかし、答弁が今ほどでしたので、時間がもったいないので次に行きます。

 同じように、今度は東京医大で、これは特定機能病院と呼ばれて、いわゆるいい病院中のいい病院、今、全国で八十一カ所ございますが、大体、大学病院とかそれなりのランクづけの高い病院です。東京医大で心臓手術をなさった患者さんが相次いで四人亡くなられました。東京医大は特定機能病院ですので、事故報告がなされなきゃいけないのですが、なされておりませんでした。起きたのは二〇〇二年十月から二〇〇四年の一月までの間で、心臓の中にある弁、動いて血液を送り出す心臓の弁ですね、これを取りかえる手術において四人が次々と亡くなられました。

 ここも、同じように特定機能病院、いい病院、お墨つき病院、保証つき病院であったために、患者さんたちも信じました。よもやと思いました。でも、余りに立て続くので、このことをいろいろな方面に聞き、病院にも問い合わせ、そして、大学では外部委員会をつくり、心臓外科の専門家の先生にお集まりいただいて、一体これはどうして死んじゃったのか、こんなことで、避けられない死だったのか、あるいは技術的な問題だったのかということを検討していただいたら、どうもこのお医者さんは、アメリカには留学しておられて、そこでの手術を見たり参加したりはあったかもしれないけれども、御自身で心臓弁の手術をたくさんやったわけでもなく、また、たくさんやったわけではないから練習させてやろうという教授の御高配で、患者さんが四人次々と亡くなりました。

 この特定機能病院、厚生省がいい病院ランキングをしておる病院です。こうした病院で、いわば患者さんたちは厚生省が機能評価してくれたんだと信頼すると思います。こういう事態が相次いでおります。東京女子医大、埼玉医大、そして有名になった慈恵医大の青戸病院、全部特定機能病院です。何が問題であるのか。本当に、医療の不信、患者さんたちの不安、増大していると思います。

 この件について尾辻大臣に、時間がないので、私は本当は局長もお願いしようかと思いましたが、恐縮ですが、きょうは大臣に、このような事態が相次いでおるということを御認識であるのか、そして、厚生労働省として、今私に言われたこの状況でも、情報でも結構です、問題意識を持たれて、この特定機能病院のあり方について何らかの検討をし、改善をしていくお気持ちがおありかどうか、まず御答弁をお願いいたします。

尾辻国務大臣 特定機能病院に係るいろいろな問題が発生しておる、幾つかの病院で発生しておるということは私も承知をいたしております。そして、そのことを大変憂慮すべきことだというふうにも考えております。

 今お話がありましたように、特定機能病院といいますと、それは患者の皆さんからすると、まさに、お墨つきという表現をされましたけれども、そういう病院だというふうに思われるわけでありますから、そうした病院でこうした事故が続くということは、これは放置できません。

 したがって、このことについて何らかの検討が必要だということを私も感じております。

阿部委員 まず問題意識を持っていただくということは極めて重要と思いますし、この特定機能病院については診療報酬上ももちろん優遇されておるわけです。いい技術を育てて、そこに高い評価を持っていこうという厚生労働省の施策です。ところが、実際には看板倒れ、中身がないばかりか、現実に患者さんの被害が相次ぐと。

 では、どうすればいいのかということで、私は、この間何回か同じような事例がありますので、厚生労働省にも御提案してきましたが、実はそうした特定機能病院で起きた医療事故、ミスの場合も過誤の場合もあると思います。意図してミスした、あるいは、せずして過誤した、あると思います。そういう実態が特定機能病院の評価に全く結びついていないのです。事故は事故で医療機能評価機構というところが匿名で集めます。しかし、ここでの情報はそこで閉ざされ、こちらの特定機能病院は、みんな悲しいことに被害者が訴えるか新聞記事になるか、記事になれば医療不信が増大して、国民も不安でならない状態の中でしか発見されません。

 私は、特定機能病院というのは、厚生労働省がきちんと把握し、指示も出し、評価もできる、いわばモデル病院であると思います。そこにおける医療事故の現状の把握と機能の評価をリンケージさせていくような方向、このことを大臣にお願い申し上げたいですが、いかがでしょうか。

尾辻国務大臣 今のこの特定機能病院の承認に当たりましては、医療安全体制について一定の基準を定めていまして、その一定の基準を満たすと承認される、承認の要件はそういうことだということで行っております。しかし、そうした中での相次ぐ事故でありますから、これらのことについても見直さなきゃならない、その必要性は感じておるところでございます。

 そこで、これもいつも申し上げておりますけれども、十八年度に医療保険の全体的な見直しの提案もさせていただくつもりでおりますけれども、その際に、医療保険だけじゃありませんで、医療提供体制という、これもまた大きな問題だと思いますし、このことについても見直しの御提案をしたいと思いますから、そうした中でもこれらのこと、特定機能病院がいかにあるべきか、また承認の要件をどうするかといったようなことも必ず見直しの対象にしたいと思いますので、また御提案もいただいておるというふうに今お述べいただきましたけれども、ぜひいろいろな御意見をお寄せいただきますように、改めてお願いも申し上げます。

阿部委員 女子医大の事例にいたしましても、東京医大の事例にいたしましても、いわゆる院内の安全委員会にこの問題になった症例が全く上がっていないのです。そうなると、本当にきっちりと問題が把握されないということもございますので、安全委員会のあり方も含めて、そして十八年度に控えた診療報酬の見直しの中で、今現在女子医がないので八十一です、病院もきっちりと何らかの手だてで見直していただきますことをお願い申し上げて、きょうの質問といたします。

鴨下委員長 次回は、来る六日水曜日午前九時三十分理事会、午前九時四十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。


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