第162回国会 厚生労働委員会 第15号 (平成17年4月12日(火曜日))抜粋

案件:
 介護保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)

議事録全文(衆議院のサイト)

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鴨下委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。本日は、参考人の皆様には大変御苦労さまです。

 まず冒頭、山本参考人にお伺いいたします。

 介護保険制度というのは、市町村を主体として、保険者として五年前に発足して、当初、反対であられたが、五年間一生懸命いろいろなお取り組みをしてこられた御経験をお話しいただきました。

 今回の改正の中で、サービス提供の一番主体になる保険者のいわゆる権限が多少は強められた。それは例えば、問題のある指定業者の県への通告とか立入調査権というところは確かに改正されましたが、山本参考人御指摘の、例えばその地域にどのような入所施設、あるいはどのようなサービスが必要かということで、県が許認可権を持っておりました場合に、市町村の声と県の声、県の立場、もっと言えば国も、例えば老人保健事業で、これまでは新ゴールドプラン等々ございましたので、その中での計画という大枠があり、県があり、市町村があったわけですが、今後さらに市町村の権能を高めていくためにどういう点が必要であるとお考えか。一点目、お願いいたします。

山本参考人 最初のころのことをお話し申し上げましたので、言いかえますと、市町村というのは保険者という立場だけであって、ある意味では、やることがなかったんですね。ただ要介護にしてくださいという申請を受け付け、それをさっきのいわゆる調査員から、そして審査会に行って、ケアマネジャーがマネジメントされたものをそれぞれの施設が、事業体がサービスをするというのが今の流れでございます。保険者としては、その中には全然介入できなかった。しかも、さっき言ったグループホームとか、そういったものの建設についても市町村の意見は重要視されなかったんですね。

 だから、本来は、これはやはり入り口から出口までは保険者の責任なんですよ。その保険者の責任であるものを、途中、一番エキスになっているところだけは県へ持っていってしまったわけですね。だから、最初の仕組みが悪いと私は思うんですけれども、今回の改正でそれらが少し緩和されて、市町村の意見を重視するということになっておりますから、改善はされたと思います。

 もっと私が思うのは、保険者がすべてのところに、言うならば、いろいろな意見を出したり、調査をしたり、それらに対する決定権を持つとかいう、そういう権限をもう少し与えてもいいんじゃないか、そういうふうに思うんですね。しかし、一挙にいきますと県と市町村の対立になりますから、そこらあたりもよく考えて、県と市町村が協調しながらやっていけるということにした方が案外効果が高いかもしれません。

 そういう意味で、今回の改正では、そこまで、完全にはいかないけれども、まあ、いったんじゃないか、そういうふうに思っておりますので、御了解いただきたいと思います。

阿部委員 次に、野中参考人にお伺いいたします。

 新予防給付についての評価については、私も参考人の御意見と思いを一にするものでございます。運動機能だけに過多に評価が偏っておりますし、コスト評価もございませんし、何よりも、本人の生きがい、生きる場にどう寄与したかがございませんので、これは、その点では今回の改正案は非常に問題が多いと思います。

 しかし、きょう、せっかくお越しいただいて、ぜひともお伺いしたい点といたしましては、介護保険が始まりましてからずっと医療と介護の連携という言葉が、言葉としては登場しておりますが、実際に、先ほど野中参考人のおっしゃった三施設、特養、老人保健施設、療養型病床群、いずれも医療と生活の、度合いは違え双方を必要としている中で、今度改正されるとすれば、医療ということも、やはり必要であってもなかなか手に届いていないという実態が多くの利用者から上げられておりまして、この点の改正について具体的にはどういうふうに踏み込んでいけばよろしいのか、そこを少しお話しください。

野中参考人 お答えします。

 確かに、現場では、医療を必要とする患者さんに適切な医療が提供できないという部分が上げられておりますのは、おっしゃるとおりだと思います。

 実際には、ある面では、その患者さんの病状に応じて、私も先ほど主張しましたけれども、三施設は利用しながら、そしてまた一般病床とどういう関係を持つかどうかという部分が、本来は移動するということが前提でこの三施設の医療と介護というのはできているわけでございますけれども、実際に今、現実面では、その移動が容易ではない、あるいは高齢者に対する医療というものがやはり地域の病院においてはなかなか実行されていないという部分がございます。

 ですから、ある面では、施設、施設において必要な医療をどうやって提供できるかどうか、医療の体制も含めて考える。もう一つは、やはり現場のかかりつけ医、いわゆる地域のかかりつけ医とどういう関係を持つか、その辺と、それから地域の病院との連携をもう一回再構築することが大事だろうと思います。

 実は、患者さんが病気になって、そして施設の中で医療を受けるという視点と、もう一つは、患者さんが一般病床で病気を治して、そして退院されるときに、三施設とどうやって、三施設に行くのか、あるいは在宅に行くのか、在宅支援というか、その辺と在宅ケアとの連携が私ども日本医師会としては重要だと思っておりますし、今後ともその辺を地区医師会で、個々の患者さんにとっての医療のあり方をもう一回点検するように日本医師会としては指針として地区医師会に示したところでございますので、今後もその辺の部分が必要だろうと思います。明確にはお答えできませんけれども。

阿部委員 利用者の皆さんに伺いますと、例えば次の施設をどこにするかを含めて家族が自分で探さなくちゃいけない、その部分はケアマネジメントでも支払われませんし、非常に負担も多く、路頭に迷うというと失礼ですが、手だてもなく悩んでおるという声をよく聞きますので、今後これが地域包括支援センターのお取り組みで可能になるのかどうかも、私はちょっとこの審議を通じては見えておりませんので、まだ宿題かなと思いまして、今ちょっと野中先生にお伺いをいたしました。

 あと、矢野参考人にお伺いいたしますが、お話の中で、いわゆる地域支援事業というものを今度新たに切り取って行う場合のコスト評価ということをおっしゃられたんだと思います。

 私もある意味で同じように、これまで老人保健事業やあるいは在宅介護支援センター事業あるいは介護予防事業という形でいろいろな事業があったものを今度地域支援事業にまとめるということで、しかしながら、財源は介護保険の財源をどどっと、どどっでもないです、どっくらいですか、持ってくるということであります。

 逆に言うと、この地域支援事業は、いっぱいやれば非常に給付も増大というかお金もかかりますし、いいかげんにやれば利用者にとっても意味がないという意味で、私は、今、地域の介護予防モデル事業の中でも実はコスト評価は全くやられていない、せいぜい筋トレで、言っちゃ悪いけれども、私は筋トレは評価していますが、でも、それで何メートル歩けたかということだけじゃなくて、生活の質、本人の意欲、そして、実際にやはりどのくらいの費用をかけ、どのくらいの評価があるかということだと思うのです。

 矢野さんがおっしゃった、地域支援事業を考える場合にはコスト問題も大切である、そのように承りましたが、もうちょっと内容をお話しいただければと思います。

矢野参考人 介護予防全般に言えることなんですが、ある意味ではまだ試行錯誤の段階だと思うんですね。こういうサービスをやれば必ずよくなるというふうに、立証されているものもあるとは思うんですが、まだ十分それだけの実績を積んでいないと思います。

 ですから、まず基本的に、これからよかれと思うことをやっていくわけですが、効果があるということになったらそれをサービスとして追加するということも可能だと思いますし、それから、実際にやってみたけれども余り効果がない、いろいろ御指摘の事例もありました福祉用具の貸与とかあるいはホームヘルプサービスなんかについて、必ずしも効果がないということであれば、それは制限するなりやめていくというふうにして、中身をだんだんとよくしていくという努力が一方で私は必要だと思います。

 それと、それは質的にそのサービスがどうであるかということなんですが、御指摘のとおり、費用対効果ということは十分検証してみなくちゃいけないと思うんですね。限られた財源でどうしたら一番いい効果が生まれるかというのがこの事業の大事な視点だと私は思いますので、やはりその点の配慮がなくてはいけないだろうというふうに思っております。

 それから、従来行われておりました地域支援事業は、それぞれの市町村の住民サービスという形で行われていたわけですね。それにはいわゆる要支援とか介護度一とかいうような認定というのが行われずになされているというのがかなりあると思うんです。そうしたものを介護保険制度の中に取り入れるというのはちょっとおかしいんじゃないかと思っておりまして、これは制度そのもののあり方と費用の問題も含めまして、そこのところはやはりちゃんとけじめをつけなければいけないんじゃないだろうかというふうに思います。

 私は、市町村が要支援にもならないようにといろいろ配慮しながら事業をし住民サービスをするということは、それなりにそれぞれすばらしいことだと思うんですね。それはやっていただくにしても、それを安易に介護保険制度の中に取り入れるということは問題が大きいというふうに思っております。

 十分お答えになったかどうかわかりませんが、以上でございます。

阿部委員 小島参考人にお伺いいたします。

 九四年、この制度発足当初に調査をなさって、御家族に対して憎しみの感情を抱く方が三割という、これは悲しい数字ですが、介護保険が始まって五年近くたって、今度は施設で働く職員が入所者に憎しみを抱くということが三割ないし四割近くなっていると。

 そうすると、この制度がやっと発足して、よちよち歩きか、まあ、もうちょっと歩いたかもしれませんが、そこでまた同じような問題にぶち当たるのであれば、やはり介護現場の、特に介護労働の問題が大きいと私も御指摘を聞きながら思いました。

 そこで、介護労働者の置かれた状況について他の委員からも御指摘がありましたのですが、私は特に、いわゆる医療に属していたような吸引とか摘便とか褥瘡処理とか、こういうことも多く現場では介護労働者が担っておる、これはどのように改善すべきであると考えるのか。そのあたりをもうちょっとお願いいたします。

小島参考人 先生御指摘のように、先ほどの私が述べましたところの褥瘡の処置の問題ということで、実際、施設介護、このアンケートの中でも出ております。三割ぐらいがやはり褥瘡処置を介護職の皆さんが行っているという実態になっていますし、在宅でも多分そういう実態はあるのではないかというふうに思っております。

 ここは、私は、意見で述べましたように、そのあり方をやはりきちっと整理するということを早急にすべきじゃないか。これは本当に医療行為だからもう介護従事者がやらないというふうにきっちりけじめをつけるか、あるいは、一定の講習、研修をした場合には介護職の皆さんでもそこは医師等の指導のもとに処置ができるといったような整理をするか、そこのところをまさに早急に、現場のヘルパーの皆さん、介護職の皆さんを入れて、検討の場ではっきりすべきだというふうに思っております。

 ここは、私は、今のところこうだということはありませんので、やはり現場の声をよく聞いて詰めていただきたいというふうに思っております。

阿部委員 残る参考人のお二人には、私の手順が悪く、お聞きすることができませんでした。申しわけありません。

 ありがとうございました。

鴨下委員長 以上で午前の参考人に対する質疑は終了いたしました。

〔中略〕

北川委員長代理 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 今の中田参考人に引き続いてお伺い申し上げます。

 御発言は初めてだそうですが、とてもわかりやすく御説明いただきまして、ありがとうございます。お話の中に、平成十五年三月のデータをお示しで、現状維持ないし改善の方も含めれば八四%と。後期高齢者が八〇%以上いるという現状を考えれば、老いの進むスピードと、できなくなっていく、あるいは維持されていることの意味の大きさということをお話しくださいまして、それもとても印象に残ります。

 私は、お話を伺いながら、実は私も老人保健施設をお預かりしていたことがございまして、今度のホテルコストの導入というのは、自分がお預かりしていた施設を思い浮かべると、特養よりは、ここに区分けしてございますいわゆる第三段階の方は少のうございますが、それでも、ああ、あの方たちは果たして負担できるんだろうか、特におばあちゃま方、おひとり暮らしで、年金で、女性たちをイメージすると、ほとんど、ハナコさんもだめ、モモエちゃんもだめ、だれもだめという世界でございます。

 そこで、御提案はすごくリアルで私はよかったと思うのですが、第三段階の方で年金八十万円から百万円余りまでの方、ここは本当におひとり暮らしの現在の御高齢の女性たちが多く当てはまると思うのでございます。こういう老人福祉施設協議会からの御提案を果たして厚生労働省側はどのように受けとめ、どのように踏み込もうとしているのか。前向きなのか、とどまっておるのか、全然なのか、そこを一点、お願いいたします。

中田参考人 今議員のお話の中で、要するに、私ども社会福祉法人というのは、本来的な使命の中に、やはり低所得者対策といいましょうか、低所得者に対する配慮というのは当然あるわけでございまして、現在も社会福祉法人の利用者減免制度というのはございます。

 ただ、この現在の制度そのものが、いわゆる生活保護だとか老齢福祉年金だとか、極めて低所得者、低い所得の方たちに対する減免制度でございまして、今回、このホテルコスト、それから食費の導入ということに関連して、やはり今議員おっしゃったように、八十万から百万くらいの方というのが、私も施設で調べてみたんですが、それなりにいるわけですね。ですから、そういう方が利用できなくなるということは非常に不幸なことでございますから、それは私ども社会福祉法人としての使命として利用減免を積極的にやろうじゃないか。ついては、その基準を緩和して、もう少し金額を上げて、そうした方にも利用できるような制度にひとつしていただきたいという提案もしています。

 この見直しの中で、厚労省もこの社会福祉法人の利用者減免制度については見直すということを言ってございますので、中身はわかりませんけれども、私のこの提案に対してぜひひとつ耳を傾けていただきたいなということでございます。

阿部委員 私自身は、このホテルコスト、食費も含めて本当に高いと思いますので、もともと導入反対の立場ですが、しかし、物事の成り行きの中でそのようになるのであれば、ぜひ今中田参考人がお話しのような形で、特に、本当に利用できなくなる実態を何としてでも起こらないようにしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 あと、山口参考人にお願いいたしますが、私も以前からみつぎ病院の取り組みは物で読んだりして、非常に先進的だということを私も感じておりました。中でも私が思いますのは、やはり、そこに医療施設があって、それもかなり中核的なみつぎ病院という医療施設があって、そして保健婦さんの活動があってというこの歴史、継続、そのことが可能にしている点も多いと思うのです。

 現在、日本全国、特に地域中核病院の存在が非常に経営難に追い込まれたりして危うくなってございますが、先生からごらんになって、医療施設が中核としてあったことの意味ということをもう一度ちょっとお話しいただけますか。

山口参考人 今議員がおっしゃるとおりでありまして、私どものところは、病院という、旧総合病院が核になってやったのは先ほども申し上げたとおりです。したがって、医療という面で、地域の支援事業にしろ、在宅ケアにしろ、いろいろな面をバックで支えることができる。

 しかも、そこにはいろいろな職種がいる。例えば、今議員おっしゃるように、保健師の問題にしましても、実は市町村の抱えている保健師のほかに病院保健師というのが十四、五人おります。この保健師の存在というのは大きいんです。それから、リハビリのスタッフが四十数名おりますから、これも大きい。したがって、うちはそういうスタッフが地域へどんどん出ていきます。ソーシャルワーカー、MSWも十名近くおります。

 そういう点は、確かにその職種だけで見れば不採算ということは言えるんだろう。ただ、トータルで見たときに、例えば、そういう職種がいるために、退院のときに、長期入院というものがかなり緩和されています。

 というのは、もう退院していいですよと主治医が申し上げますと、普通は我が家に帰るのは不安だから、家族の方が何とかもう少し置いてくださいとおっしゃるケースが多いんです。これは議員も御経験かもしれません。施設にしてもそうです。しかし、家に帰っても、いろいろな職種の人が後を追いかけて、ちゃんと訪問とかあるいは通所サービス、いろいろなサービスが受けられますよ、全く不安はありませんよ、こういうことを申し上げます。そうすると、実際におるわけで、実際に行くわけですから、そういう点は非常に納得して退院していただける。

 これが、実は病院経営にプラスになっているんです。今は、御承知のように、診療報酬の上で、長期入院は報酬がダウンする仕組みになっていますから、これが早い時期に回転しますと、経営上もプラスになる。だから、私どものところは、施設も在宅もそういう点でうまいぐあいに連携をとりながらやっている、こういうのが確かに、病院経営、健全経営を維持しておりますけれども、一つの要因だろう。

 それよりも何よりも大きなのは、最近も外来患者がふえつつありますけれども、地域住民、患者さんの、利用者の方々の信頼度がやはり増しつつあるのかなと。こういうのが患者さんの増につながっている、これもまた一方では病院経営にプラスになっております。こういうことから健全経営が可能になっておる。

 確かに地域の中核病院は赤字の病院が多うございますが、私は、病気の治療だけでなくて、私たちは地域包括ケアと呼んでおりますが、こういうふうな介護保険も含めて、そういうことをやること自体が住民の皆さん方のニーズにこたえることでもあり、そして病院経営にとってもプラスになる。私どもの病院は医療収益の四分の一を介護保険が占めております。こういう点は、やはり利用者、患者さん、住民のニーズにこたえることでもあり、健全経営にもつながっている、こういうことを申し上げておきたいと思います。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

阿部委員 次に、見坊参考人にお伺いいたします。

 きょういただきました資料を見ながら、日本における老人クラブ連合会がイギリスの取り組みに学んで、徒歩圏の中に老人クラブ連合会を置いていこうという取り組みであったということを、改めて興味深く拝見いたしました。

 私は、先ほど見坊参考人がおっしゃった、二十年前は保健師さんがいろいろなところに来てくれたというお話で、私も実は小児科医ですが、二十年から三十年前は保健婦さんがはかりを持っておうちに行って赤ちゃんをはかり、あるいは精神疾患の方の発掘というと変ですが、在宅でいろいろ引きこもっておられる方の発見もやっておられた。その意味で、地域保健というのは、実は子供から御高齢者まで一貫して本来は取り組まれるべきであったし、ここのところ、実は後退しておって、そのことが、今度地域包括支援センターができて、御高齢者については保健師さんが配置されるかもしれないけれども、できればやはり全体の、子供から御高齢者までが一望に見渡せるという地域であることが非常に重要だと考えておる、私の持論であります。

 そこで、見坊参考人へのお尋ねですが、今、そういう徒歩圏にある老人連合会が地域の小学校と連携をしてくださって、そこでの何らかの、子育て中のお母さんや、あるいは御高齢者でも徒歩圏の学校であれば行けるという方たちとの連携、ドッキングをした動きを、ぜひとも住民主導というか市民主導でこれは行っていただきたいし、もしかしてお取り上げであるかどうか、お教えくださいませ。

見坊参考人 老人クラブは、昭和三十八年、老人福祉法から始まったように見られておるんですが、実はそうではなくて、戦後の終わった段階で、占領政策の中で行われました。

 社会保障制度はイギリスから学んだわけでありますが、その中で、老人ホームの先覚者がイギリス大使館から老人クラブのテキストを入手した。なぜかといいますと、養老院の施設長が、自身で、養老院の中で、これでいいのであろうかという疑問から、イギリスではどうなっているか、そういうことから始まったわけであります。

 今お話しの中で、それでは子供からということについては、実は私は、戦後、社会福祉の道へ入ったのは岩手県でございまして、岩手県におきまして、児童の問題、特に赤ちゃんの死亡率が高い、これは、農村の主婦の重労働と社会の無理解が影響しておりました。そのために、赤ちゃんをたくさん産んで、たくさん死なせている、そういう日本一のちょっと恥ずかしい実態がありまして、県内挙げまして、これはもう本当に、婦人団体、青年団体、医者、保健師、学校まで巻き込みまして、乳児死亡率ゼロ運動、これが岩手県の沢内村の原点になっております。

 乳児死亡率半減運動から始まってゼロ運動に入り、それと同時に、東北には脳血管障害が非常に多いということがありましたので、この乳児死亡率の問題についての取り組みと同時に、高齢者の減塩運動、血圧をいかにして低くするか、そういうことを並行してやったわけであります。つまり、全県運動としてやりました。その中で保健師さんは地域にどんどん出てやってきた、このことを私は十数年間経験したのであります。

 今日、時代は変わりました。少子高齢化の時代で、そして新しい考え方がまた始まっておりますが、今お話しの子育て問題は、老人にとりまして非常に重要関心事でありますし、特に文部科学省からも呼びかけもあり、また地域の中でも、子育て支援、次世代支援、このことにつきまして、母親と一緒になって、そして学校と一緒になりましてやる。そのことの事例は、今お手元に老人クラブの活動マップというのを差し上げてあります、その中にも一例が入っておるかと思いますが、非常に今広がっております。

 ただし、私どもだけではこれは成果が上がりません。私どもはその中で高齢者らしい役割を果たしたい、それにはやはり地域全体がそうした点で、特に市町村の行政関係の御理解が必要、そう思っておりまして、これからはますますその点については力を入れてやりたい、こう思っております。事例はかなりいろいろな点が挙がっておりますので、よろしくお願いいたします。

阿部委員 よろしくお取り組みをお願い申し上げます。

 服部参考人にお願いいたします。

 お話の中で一番核心の点は、現在の介護保険制度では、在宅、特に介護度が重い在宅の方、四、五の方が在宅ができないというところにあって、私も介護保険の改正点はまずその点であると思います。

 これは、例えば介護保険の給付の上限を撤廃にするのか、おっしゃった介護保険六、七というのはもっと給付が使えるような形で、とにかくこの保険は、在宅で、自分の住まいたいところで老いをみとろうという保険であったはずですから、そこの充実に向けての御提案があればお願いいたします。

服部参考人 御質問いただきましたように、今、年齢とともに、または疾患が悪化するとともに、どうしても亡くなります。厚生労働省が出している出雲のデータを見ていただいてもわかるように、介護度五の方は二年間で四一%亡くなっておられます。介護度四の方も二年間で三分の一は亡くなっておられます。ということは、介護保険というのは本当に、この国で最後老いて、そして人間らしく全うしていくというところ、そこを支えているのが介護保険であろうというふうに私は思っております。

 そのときに、重度になって高齢になって場を移していくということ、その環境を変えるということだけでも、その方の心身に与える影響というのは大きなものがあります。できる限り在宅で、本人も望んでおります、その地域であればできることというのがあります。施設に入って新しい環境の中で、私は施設も本当に重要だというふうに思いますけれども、まだまだ、もうちょっと在宅の手があれば、サービスがあれば在宅で暮らしていける人、それが、今まで何人かの方からもお話があったかと思いますけれども、サービスの量だけではなくて、介護する方との関係性、それから、その人が住んでいる住宅との関係性、そういうさまざまな視点から在宅が困難になった場合に、もうほかに施設以外には選択肢がないというのが実態であります。

 その意味で、今、介護度五の方も、一人当たりの利用率を見ますと、施設入所の方からすると半分にもなっておりません。その意味で、必要な方は認めるということをやることによって、最期のときを在宅で暮らしていくことができる、そのことが、本人だけではなくて、それを見ている周りの人に対しても安心感を与えます。

 その安心感があると、実は高齢者のお財布のひもが緩くなります。今は、不安で不安で仕方がないので、本当に小銭をためていてもこれが使われないんですね。まさかのためというふうにおっしゃいます。私は今がまさかですというふうにその方に言います。それでも、不安があるので、お金を使われないまま、本当に最期を、非常にサービスの面で貧困な状況の中から人生を最後に送っていく、または、意に染まない形ででも、残念ながら多くの施設の中で最期を全うしなければいけない。

 その方にとって施設は必要だとしても、もっと在宅で最期がみとれる方がたくさんおられます。その方に対するサービスの限度額をふやしていくということで、もっと組み合わせることによって、トータルの費用を削減しながら在宅が可能になる。時間をもうちょっと延ばしていく、それだけで、金銭的には非常に大きな変化が出ますので、それをやることによって、本人、家族、そして地域が安心をします。

 そういうような、これから本当に少子化ですし、高齢化が進んでまいります。日本の高齢化の中で、今のような形でサービスがそれほど使えないということは皆さん知っています。でも、信頼があるからこそ、地域の中で支え合おうという気持ちが出てまいります。

 その意味で、この介護保険制度というのが本当に信頼を失わないような形で、本人が希望すればできる限り在宅で暮らし続けることができる、こういう安心感を与えることができる、これが今回の制度改定の中でぜひとも検討していただきたい中身であります。

阿部委員 池田参考人の貴重な統計的データと、池尻参考人の現場のデータは、これからの審議に活用させていただきます。ありがとうございました。

鴨下委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。

 参考人の方々には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。


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