第162回国会 厚生労働委員会 第21号 (平成17年5月13日(金曜日))抜粋 案件:
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
障害者自立支援法案(内閣提出第三五号)
障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)
○鴨下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。阿部知子君。
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
冒頭、本法案の審議に入ります前に、また本日のトピックス、一つ大臣にお願いいたします。
きょうは、在外被爆者問題で、実は、五月の十日に広島地裁におきまして、アメリカにお住まいの被爆者手帳をお持ちになった方が、お連れ合いがお亡くなりになって、葬祭料の申請や、あるいは御自身の健康手当の申請を、もう既に手帳はお持ちの方ですが、アメリカからもともとの広島、もと広島にお住まいですから、そこになさいましたところ、今の厚生労働省のお預かりの被爆者援護法では、御自分のお住まいの市町村にそれを申請しなきゃいけないということで、アメリカに住んでいて広島に申請したらだめだという決定が下されて、しかし、それはおかしいんじゃないのというふうに裁判を起こされて、広島地裁の判決が、例えば手帳をお持ちでアメリカに今お住まいであれば、それは広島に居住で広島にお出しにならなくても、当然、被爆者はどこにいても被爆者であるから、その事実に確かに相違はないので、これは広島市の判断が不当であるという判決がおりました。
実は、こういう同じような判決は各地で相次いでおりまして、高裁判決でも同様の結果を見たものもございます。
そろそろといいますか、この在外被爆者問題、実は、坂口前厚生労働大臣に非常に御尽力いただいて、わざわざ手帳の申請のために、御高齢者が例えば韓国あるいはアメリカから日本にやってこなくても、あちらで申請できるようにというお取り計らいもやっていただいた経緯もございます。
引き続いて、こういう手当あるいは埋葬料の、お亡くなりになって、夫が死んだ、それでは埋葬料、被爆者であるということの申請を、そのもともとの手帳を申請した、あるいはもともとのお住まいでなくても、海外からも郵送による申請で受けられるように、厚生省本体の、国の政策自身の方式を変えていただきたいと思います。
そうでないと、訴えられた市町村は、広島にしろ、長崎にしろ、国の枠がそうでございますから、自分のところでは受けられないと思いながら、非人道のきわみだという立場に立たされて、実は、広島市長の秋葉さんは談話されて、もう市としては控訴せずという形をとられるということですが、この苦悩の自治体の首長の立場を考えますと、やはり国の法の枠の中で、海外からの申請も可能とするというふうに御判断いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○尾辻国務大臣 手帳をとるということは、あるいはまた手帳を持っておられる方が今度は手当を申請するといったような、それぞれの段階でどうするかとか、細かな議論はいろいろございます。ただ、確かに今、被爆者の皆さんが御高齢になっておられるということを考えますと、また今私どもがどういう施策を考えるかということは、それを検討する時期にあるということは私もそのように考えております。
ただ、今一番身近な問題といいますか、今お述べになりました広島地裁判決についてどうするかということについては、これは広島市の考え方もまだ聞いてもおりませんし、それから、各方面と協議をしなきゃならないというようなこともございますので、その協議をして、また私どもも私どもの方針というのを決めたいと思っておりますので、そこの部分について今申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。
○阿部委員 既に御紹介しましたように、広島市は控訴せず、これは首長の英断です。と申しますのも、繰り返しこういう同じような訴えが、そして訴訟という形をとって被爆の御高齢者を苦しめるということは、もう人道にかんがみて、いかんせん、国の仕組みが悪いために首長がそこで非常に苦しい立場に立たされるということですから、広島市長の英断も踏まえて、現在として国の判断をよろしく早急にお願いしたいと思います。
幾つかの係争では、国と自治体双方が訴えられるというケースもございますが、この場合は広島市が被爆者の方から訴訟を起こされ、そして市は控訴せず、海外からの申請だから却下するということはしないというふうに、ある意味では単独で考えるわけですが、しかし、本当は国の法の仕組みですから、ぜひ国としての御判断をよろしくお詰めいただきたいと思います。
引き続いて、障害者自立支援法に入らせていただきます。
本日で二日目でございまして、論議もだんだんに、急速にと申しますか、盛り上がってまいりました。と申しますのも、昨日の日比谷の集会、集計八千人と言われる障害者並びにその方たちを支援する方々、やはり今回のこの自立支援法では本当に障害者の生存もおぼつかないし、いい方向への改革となるにはほど遠いということで、一部の障害のある皆さんは、みずから国会の外に座り込むという形での抗議行動を繰り返されているわけです。
大臣のお目にもとまりましたでしょうし、実は、私もきのうの夜十時過ぎ、国会を出ましたところ、園田委員が熱心に座り込みの皆さんのお体を気遣って、またお話に耳を傾けておられて、本当に握手をすれば手も冷たいし、外は寒うございましたし、お体にさわるということは本当に懸念されますし、また衛視さんたちも、ドアをあけて明かりが外に出るような形で、衛視さんたちも大変に御配慮してくださっている。御苦労だと思います、お手洗いに行きたい方も多いし。
でも、私は思いますけれども、この国会にお勤めのすべての、私ども国会議員で立法に携わりますが、国民の大事な立法府を預かるという思いに支えられてお仕事をなさる衛視さんたちも、本当にあそこでなぜあの方たちが体が不自由なのにいろいろな思いをかけて座っておられるんだろうということで、御自身の労働強化もあえて苦とせず見守ってくださっているんだと思います。私は、ここで何か大きな御不幸がなければいいと、きのうは寒かったですし、本当にそう思いながら、園田先生よりは先に帰らせていただいた次第です。
そういう必死な思いの中で行われている審議ですから、もちろん担当の厚生省の塩田さん初め、あるいは尾辻大臣もあだやおろそかなことではないとは思いますが、しかし、それにしても、気持ちがそうでないとしても、現実に出てくる法案は、障害者の現実をきっちり見ていないということにおいて、結果的におろそかな法案が出てきていると私は思います。
まず冒頭、塩田さんにお伺いいたしますが、この間、支援費制度のある種の立ち行かなくなった理由、お述べでございます費用が膨張したこと、当然ながらそれは、ニーズ、予測、そこにどのくらいのニーズがあるかということを見誤った、もしくは想像ができなかった、あるいは下準備調査がなかった、この三つくらいが一番大きいと思いますが、塩田さん、担当してみられていかがですか。
○塩田政府参考人 支援費導入が、地域で障害を持つ方が暮らせるようにということを自己決定、自己選択という趣旨で導入されたことは評価されていいことだと思っておりますが、同時に、政策立案者として、それを支えるための財源の仕組みでありますとか、あるいはサービスをきちんと適正に把握する方法とか計画的な手法が足りなかったという点については、御指摘のとおりだと思います。私は当時は担当者ではありませんでしたが、一般的経費、裁量的経費という中で、ほかの分野に比べてかなりの額の増額の予算を当時も組んでいたことは事実でありますし、それを上回るサービスの伸びがあったということで、支援費制度の導入自体は正しかったと思います。
ただ、当時、障害者福祉分野は、高齢者分野に比べまして基礎的なデータが足りないということもまた事実でございます。それから、市町村によって、都会の市町村はかなり充実したサービスが行われておりますが、多くの市町村においては、高齢者福祉や児童福祉に比べて、ほとんどデータもなければ担当の職員もいない、そういう段階でスタートしております。
そういう基礎的データのない中で予算不足になり、こういうような事態になったことは、ある意味では歴史の避けて通れないステップであった面もありますので、過去、私どもの対策、政策立案に問題点があったことは率直に認めたいと思いますが、大事なことは、支援費の理念を今後どう実現するかということでありまして、そのために制度をどう立て直すかという観点から御提案をしているつもりでございます。
○阿部委員 やはり物事は、実態を見なければ正しい判断も処方せんも出ないわけです。
ここで西副大臣にお伺いいたしますが、では、今のような支援費の経過の中で、今度のデザイン、グランドデザインという大仰な名前がついていますが、実態を見たのか。先ほど谷間の障害者の問題の御指摘もありましたし、現実に、例えばこれの手帳のある知的障害者の数でも、二十四回目の審議会の中である委員がお話しですが、日本は、知的障害者の数四十九万というふうに出しますが、実際はもっともっと多いだろう。他の諸国の知的障害の発生率が人口の〇・五から二・五%と言われている。日本は〇・三六%くらい、この四十数万人では。となると、本当にグランド、地に足のついたデザインかどうか。実態はまだ把握されていない、走りながらやるといっても、デザインの方はできてしまおうとしている。
やはり物の手順は、しっかりと調査なり把握なりをしてそのことを国民的共通認識として、これだけの人がいて、この方たちは、あすは私たちかもしれないし、例えば、障害を持つ子を持つ確率も、自分が更生医療の腎透析のお世話になる確率も、あるいは年をとって身体障害者になる確率もみんながあるよと。要は、国民的納得に持っていかないと、私は本当のいいモデル像というのは出てこないと思うのです。そして昨日、八千人の方がお集まりであった。私たちが予測する以上に多くの方たちが現在障害に直面し出している時代だと思います。
グランドデザインという発表からわずか二カ月で成案を見たこの法律、果たして地に足はついておるや否や、西副大臣にお伺いいたします。
○西副大臣 私も、昨日の大規模な集会終了後、尾辻大臣のところに代表の皆さんがおいでになりまして、その後に直接お目にかかる機会がありました。御要望いただくと同時に生の声を聞かせていただいて、皆さん方の不安の御様子が手にとるようにといいますか、本当に胸に響くような思いで聞かせていただきました。
今回のこの新しい障害福祉施策、これを進めていくに当たりましては、先生御指摘のように、障害者の皆さんのニーズをまず踏まえる、それから基礎的なデータをきちっと確立するということが大事であり、残念ながら今までは、今部長からも御説明申し上げましたように、そのことが必ずしも確立されていない状態であったということは反省すべきことだというふうに思います。
その内容がわかりまして初めてきちっとした方向性が出るということは事実でございますが、そのために、今回の法案におきましては、それぞれの市町村に地域の障害者の状況を踏まえてサービスの数値目標を決めていただく。これは障害福祉計画というふうに今呼んでおりますけれども、この中で、どういう障害者の皆さんが何人いらっしゃってどういうニーズがあるかということをきちっと初めて数値的にも出させていただく、この作成を義務づけさせていただきました。
このことをもとにして、それぞれの市町村におきまして、その地域の実情に合わせてサービスが見込まれていくということでございます。それを、県を通じて国の方できちっと必要量を把握して、その上で計画的に国としても施策を整備し、また実行していくという体制を今回初めて、この法案を成立させていただきましたならばつくらせていただきたい、こういうふうに考えているところでございます。
○阿部委員 もしそのように取り組むのであれば、私は、また介護保険と一緒ですが、この国会審議は準備不足、実際のデータがない、十分に当事者の声や関係者の声を聞いていない、それで法律の審議にかかるということで、あえて言えば、出し直していただきたいです。だって、こんな不十分な状態で、実態も把握されていない、当事者の声も聞いていない。
そして、もう一つ言わせていただきますが、私は、きょうまた私の選出の神奈川県の自治体のいろいろな要望書、これは十七年の二月に出されたものですが、手元に持ってまいりました。この十七年の二月に出たものは、実はさきの十月に出たグランドデザインへの見解をまとめたものです。グランドデザインへの市町村の見解がまとまらない、やっと出されるころにもう法律が出されてしまっています。それでは当事者になる県や市町村が準備不足に戸惑い、ここにはまたまたいろいろな懸念も書かれております。
全部を紹介する時間がございませんが、大臣、やはりグランドデザインを出したとき、グランドなのですから、実体のないグランドなので蜃気楼かもしれませんが、でも、少なくとも各市町村や都道府県にこのグランドデザインに対してのきっちりとしたコメント、骨格について、考え方についてのコメントを得られたのか、聞かれたのか、どう理解されたのか、この点をお伺いいたします。
○塩田政府参考人 支援費につきましては、市町村で御苦労していただいておりますが、一方でいろいろな問題が発生しておりまして、市町村が障害を持つ方にサービスを提供していく上で、財政面を含めて制度の手直しが急務であった、そういう背景のもとで仕事をさせていただいたつもりでございます。
審議会で議論をしていただいただけじゃなくて、市町村の関係者とも、例えば市長会、町村会とは、たまたま介護保険の議論もございましたので、何度も私自身伺いまして、いろいろな形で首長自身から御意見を伺いましたし、市町村、自治体の関係者の意見も踏まえながら立案をしたつもりでありますが、いかんせん、確かに予算編成、要するに財源を確保するということがサービスの前提になりますので、その作業も見ながらの作業でありましたので、十分説明が足りていない部分があったことについては率直に反省をさせていただきます。
○阿部委員 何でも反省する、反省するといって先に進んでいたら反省といわないんです。そういうのを馬耳東風というんです。
大臣、私、塩田さんまじめですから、こんな意地悪なこと言いたくないんですけれども、でも自治体だって、きっちりした文書でグランドデザインへの要望書を出したばかりです、二月に。そうしたら、もう法律ができてきちゃっていた。それはあんまりだし、これは自治体だけじゃないです、各種、例えば私の手元には自立支援法案に関する要望書という形ですが、精神科七者懇談会、精神医療にかかわる七者懇という懇談会からも大きな懸念の声が寄せられている。でも、それもあれも、ああ不十分でした、不十分でしたと、実は聞く耳持たず法律をつくるんだったら、だれにとってもうまくいくわけないんです。
大臣は、一つでも、例えばグランドデザインに対する各自治体からの、市町村からの、県からの要望書をお目通しのこと、ありますか。お答えをお願いします。
○尾辻国務大臣 いろいろな要望書をこの件につきましてもいただきましたので、そのうちの一つでいただいたのかなと思いますけれども、今、ではどこからのものでいつだったかと明確に覚えておるかと言われますと、正直に申し上げまして、記憶にございません。
○阿部委員 では、大臣も公務多忙でございますし、要望書もたくさん寄せられると思いますが、もう数多いので、きょう私が特に取り上げたい点の公的公費負担医療の見直しということについて、神奈川県の上げている要望書を少し取り上げさせていただきます。
ここには、障害に係る公費負担の見直しについては、精神通院公費、更生医療及び育成医療の対象者の範囲を狭めることについては、障害の軽減や再発予防等の目的からしても不適切であり、行わないこと、そして二番目が、公費負担の医療の見直しに当たっては、今地方が既に重度の障害者に対する持ち出し分として行っているものがあるので、十分慎重に制度の調整を行ってやってくれということなどが書いてございます。
実は、この公的公費負担医療の見直しについて、審議会を含めてどの程度きっちり論議されたのかということで、さきの委員会で山口委員がお取り上げになった二十四回までも含めて、私はこの社会保障審議会の部会のお話し合いの中から公費医療にかかわる部分を目につく限り拾ってみました。私の知らない部分もあるし、読み落としもあると思いますが、塩田さん、お伺いいたします。公費負担医療について、この二十四回の部会の中で取り上げられた時間、御発言はどの程度ありましたか。
○塩田政府参考人 審議会については、その都度大きなテーマを決めて議論をしていただいたわけですが、テーマに限らずいろいろな分野の話を、意見交換とか御意見をいただきましたので、何回やったとか、今現在、直ちにお答えするだけの資料を持ち合わせておりませんでしたが、何回かはそういういろいろな議論をさせていただいたと記憶しております。
○阿部委員 担当者にしてその程度では、これは審議するに足らずですよ。いいかげん、本当にいいかげん。そして、患者さんたち、そこには命がかかわっているんです。申しわけないけれども、今の塩田さんの答弁では答弁にならず、値することなしです。
この次きっちりと、何回、どんな論議が出て、そして論議がどこまで深まったか。さっき御紹介しましたように、県は県で不安を上げてきているわけです。患者さんも、負担は増える、範囲は狭まる、自分のあすはどうなっちゃうんだろうと、本当に切実です。そして、しかしそのことを受けとめるはずの塩田さんが、何回か覚えていない、どこだったか覚えていない、あったかもしれない、なかったかもしれないという論議では、本当にこの落差は埋めがたいのです。
私が確かに見たのは二十一回の、それも恐らく三十分くらいの論議でしょう。ほかにあれば教えてください。私のところに持ってきてくださいと、きのう私は厚生労働省に頼んだんですから。ほんのちょっとの資料が来ました。
しかしまた、私はきょうこの場で、厚生省の資料のずさんさについて、本当にこんなことで論議ができるのかということをお話し申し上げさせていただきたい、きょうの私のメーンテーマとしたいと思っております。
実は、皆さんのお手元に配らせていただいているのは「通院医療・更生医療・育成医療の件数の推移」、これは、通院医療というのは精神医療、それから更生医療は腎不全とかその他いろいろお体のお悪い身体障害の方の医療、そして育成医療は十八歳までの子供たちの医療です。ここの図は、実は私が厚生省にお願いして後からつくっていただいたものでありますので、皆さんが審議会の中でお使いになった資料とはどんなものであり、何をおっしゃられたかということを、まず、皆さんの資料の中の一番最後のページをお開きいただきたいと思います。
皆さんがこの二十一回の審議会に際して御利用になった、そして主な説明のもとになったのは「公費負担医療に係る総医療費、公費の推計」、これは、このままでいくと公費負担医療はどんどんウナギ登りになって公費の負担も大変だよということを印象づけるためにつくられた資料です。八年間で一・八倍という数値が述べられています。
これは確かにうそではありません。でも、物事を審議するにはうそがございます。この図は、実は、精神医療も更生医療も育成医療も全部ここにぶち込んで、そして費用が増大するということのみを強調したいがためにおつくりでございます。
一枚さかのぼっていただきますと、十というナンバリングのある資料がございます。ここには、精神医療が平成十六年度から十七年度に五百四十七億、更生医療と育成医療が百十一億から、今度少し自己負担を取りますので、それで減って百八億という、改正効果と言われるものが、自己負担をしていただければこんなに安くなりますよという図です。この二つを合わせると、公費負担医療の政策は費用が増大するから患者負担を取りましょうという結論を誘導するための二つしか資料がない、これはお話でございます。
そこで、私がお願いいたしましたのは、さかのぼって一枚目。では、一体医療費を押し上げている本当の原因は何であり、精神医療、更生医療、育成医療、おのおのに見た場合にどういう解決策が来るのか。もし皆さんの懸念の点が費用が増大しているよという点であれば、実は解決は幾つもありますが、少なくとも二つあると思います。
なぜその疾患がふえて、その疾患が重症化して、かかるお金がふえていくのか。尾辻大臣は、介護のときには予防介護、予防介護とおっしゃって、重症化を防ごうよとおっしゃったわけです。こういうときだって本当に、医療ですから、同じ、もっとそういう発想がきいてしかるべきです。
ここの一段目、通院医療は確かに平成六年度から十五年度までを比べますと約二倍半にふえてございます。これも、もしかして入院よりは通院がふえればそれはいいことでございますし、単に数だけではこれは比較できません。精神医療には精神医療をどうやってよくするかという本来の考え方と処方せんがございます。二番目の更生医療も確かにふえてございます。これが実は一番ふえている部分で、金額では一番でございませんが、数では一番です。この更生医療を押し上げているものは、今腎透析の患者さんがふえて、これの多くの原因が糖尿病でございます。もともとの、なぜその疾病がふえてきてそういう状態にならざるを得ないかというところに手だてして後、初めて患者さんの負担の問題や立ち行かなくなる医療の問題が論じられてしかるべきと思います。
でも、私はきょうの時間でこの二つを深く立ち入ることができませんので、最後の、とんでもない育成医療問題をやらせていただきます。
育成医療は、皆さんのお手元の二枚目には、育成医療においては、何と親御さんの負担増をすることによって総枠のかかる費用も二十八から二十二億円と減っておる。これは、ほかの精神とか更生は、患者負担をさせてもなおやはり少しずつ増大する。ところが、育成医療の場合は、かなりの部分を患者負担に持っていき、総額も抑制されています。果たして我が国は子供の育成をしなくていいのかと、私は真剣にこのことは怒り、大臣に本日ぜひ検討していただきたいことのテーマでございます。
大臣は、内閣の開催されます少子化問題の会議に出ておられると思います。そこでは、果たして子供たちの健全育成ということにおいて、厚生をつかさどる長としてどんな御発言をしておられるのか。これは、大臣が内閣府の中でどんな発言をしてくださるかによって、子供がどのように産み育てられ、守られ、生きていけるかが決まってまいりますので、大臣が、内閣府の少子化対策会議でどんな御発言で、こういう子供たちの育成のための医療あるいは小児慢性特定疾患のための必要な経費をどのように皆さんにお伝えであるか、お願いいたします。
○尾辻国務大臣 少子化問題の会議も官邸でも開かれるわけでございますけれども、その中で、その都度いろいろな発言は当然いたしております。
そうした中で、今お話しの部分について申し上げますと、私がよく言っておりますことは、少子化対策といっても、分ければ二つあるのではないだろうか。一つは出生率を上げるという少子化対策、それからもう一つは、今確かに子供の数が少ない、その少なく生まれた子供たちを大事に育てるという少子化対策、大きく分けてこの二つあるだろうということを申し上げまして、その少なく生まれる子供たちを大事に育てるということの中で、当然、子供たちの疾病に対する対策、予防といったようなことも十分やらなきゃいけないということで、また各大臣にも協力をお願いしておるところでございます。
○阿部委員 言葉だけではだめなんですね。やはり子供を育てるには現実にはお金もかかりますし、子供が病気であれば余分な出費も多うございますし、私は、本当に障害を持ったお子さんを育ててくれている親御さんは、社会がむしろ感謝状を出してもいいくらい。私もたくさんの障害児と親御さんを見てきましたが、本当に一生懸命愛護して、子供たちの命を大切にするという価値観を私たちの社会に教えてくださるわけです。
にもかかわらず、この全体費用は、そもそも、二十八億が果たして全体予算の中で多いか少ないか。これだって本当に決して多くはない、それを二十二億に抑制して、親御さんの自己負担を強いて、それで果たして我が国が少子化対策云々できるのか。失礼な言葉ですが、ちゃんちゃらおかしいと私は思うのです。
小児慢性特定疾患の折にも親御さんの応能負担をお願いいたしました。やむを得ない措置だった面もあると思います。しかし、その小児慢性特定疾患でも、親御さんから子供さんの育成のための、治療のための食費を取るようなことはいたしておりません。今度は、更生医療、精神医療、全部上がっているというこの三つの図の中にたたき込まれて、子どもの医療はさらに削減されて親の負担がふえていく。こんなことで本当に少子化対策ができるのか。
そして、少子化対策の基本要綱とかいろいろ出てございます。重点施策。この重点施策の中には、成育医療に関する全国的なネットワークを構築するという一項がございます。それほどに成育医療は、例えば子供さんの心臓が悪い場合、腎臓が悪い場合、御病気を治し、障害を軽減し、社会参加を図る本当に重要なつえでございます。
この部分をやたら親御さんの負担を増し、ただでも、申しわけないが、障害をお持ちのお子さんは被虐待児になりやすいんです。今多い児童虐待でも、障害児の虐待される率は高いんです。親御さんにさらに経済負担をかける、社会は冷たい、こんな中で子供を育てようなんということは、私は到底この国の政治が本当に少子化に直面し、改善していこうという意思があるとは思えません。
大臣、私がまたこの次、続けて質問をさせていただきますが、この育成医療、なぜこんな値上げが許されるのか、どんな論議がされたのか、この次で結構です、きっちり御答弁いただきたい。そして、その答弁がもしも不十分なものないしは根拠無根なものであれば、しっかりと少子化対策会議に出て、子供の医療を削ることはまかりならぬ、親に負担をこれ以上かけることもまかりならぬ、国の不幸であるという御発言をお願いしたいですが、御答弁をお願いします。
○尾辻国務大臣 最後の御質問につきましては、次回ということでございますので、次回整理してお答え申し上げたいと存じます。
そして、今お話しのように、少子化対策について私が官邸におけるさまざまな会議で発言することは当然でございますし、主張することも当然でございますので、今後とも続けてまいります。
○阿部委員 他の医療問題についても、また次回よろしくお願いいたします。
終わらせていただきます。
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