第162回国会 厚生労働委員会 第22号 (平成17年5月17日(火曜日))抜粋 案件:
障害者自立支援法案(内閣提出第三五号)
障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)
○鴨下委員長 次に、阿部知子君。
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
本日は、参考人の皆様、特に障害の当事者であったり、長く障害のある方々を支えて頑張ってこられた皆さんの貴重な御意見を拝聴することができ、私ども国会にいる者にとって本当に責任の重さを痛感する次第であります。そして、そうしたことと同時に、例えば先ほど尾上参考人の資料の中にございましたが、我が国の障害施策にかかわるそもそものパイの小ささ、このことが国会議員みんなに認識されないと実はこの法案はにっちもさっちもいかないんだと平易な言葉では思います。
私どもの委員会の中で、例えば小泉総理に来てもらおう、あるいは谷垣財務大臣に来てもらおう、あるいは、きょうはちょっと御参加が少ないですが、もっと責任政党の自民党の委員の皆さんにもたくさんいてほしいと思います。
というのは、この障害者問題、かつては障害者問題という部分問題でしたが、実はこれからの時代は、だれでもが障害を持ち得るし、また国の骨格的な政策であるからして、このことを避けては通ることができないという認識に立たないと、少子高齢社会のグランドデザインができないと私は思っております。
そうした観点に立ちますと、きょう、四人の参考人の御意見というのは、実は、例えばこの法律ができなくて成立しなくても、後は野となれ山となれでは、あすから先が見えない谷間に落ち込んでしまう不安と、しかしまた一方で、私もその一人ですが、これで、この法案で本当にやれるの、これ大丈夫なのという不安が、本当に両方で渦巻いているような気がいたします。その一番の理由はもとのパイが少ないということですが、それ以外にも、理念的な問題も多々あるように思います。
きょうは順次、御発言いただいた順番で限られた時間で質問をさせていただきます。
冒頭、森参考人にお願いいたしますが、やはり御指摘の点で最も重要なのは所得保障の問題であります。これは六十一年に障害者年金という形で確立されておりますが、しかし私は、やはり先ほどの山口委員と同じように、今の障害をお持ちの皆さんの所得レベルで応益負担なるものを導入して、実はさらに、さらにさらに暮らしも苦しく、そしてある方は生活保護には落ちないと言う。これも私は不適切な言葉だと思います。生活保護というのは、もっと日本の中で捕捉率が少ないわけです。生活保護の現実の収入以下でお暮らしの方がたくさんいて、しかしさまざまに、貯金を持てないとか子供の就学のためのお金をためることもだめとか、とても使い勝手の悪い制度になっている中で、右にも左にも行きようがない政策になると思います。
非常にわかりやすく教えていただきたいが、一体幾らぐらいあれば暮らせるのか、障害を持って、そしてこのシステムで。この点について、実は、私は党の中で年金担当の合同会議にも出ておりまして、我が党は国民年金と今言われております部分の基礎年金、基礎的暮らし保障年金八万円という試算を一応いたしました。このときも随分自分自身は苦労しました。しかし、いろいろなお声を聞いて、その基礎を一体幾らに置いておけばいいのかというのは、これからある程度の負担を皆さんにお願いするような社会の仕組みではやはり合意しておかないとスタートができないと思います。
森参考人は、長い年月障害者施策をごらんになってきていて、さっきは、これは応益にしたって今ちょっと大変だから移行期を設けてやった方がいい、あるいは入所の方にも預貯金が残るようにしなきゃいけないという感覚をお述べくださいました。本当にそうだと思いますが、果たして、私たちの政治の責任で、住宅の費用とかもございますが、現金にかかわる収入は、障害をお持ちの場合、一体幾らと考えていけばよいのか、お考えをお願いいたします。
○森参考人 大変難しい問題だなという気がしております。
そもそも、生活保護ではいけないという意味は、私の考えでは、生活保護というのはやはり一時的なものであろう。したがって、更生というのがバックにあるわけですね。ところが、障害者の問題というのは生から死までしょっていっちゃう。そうすると、全く親がかりでいく、これはやはり脱却すべきだ、これは人間の冒涜ではないか、私はそう考えているんですね。したがって、本当は、地域の生活不自由の人たち、重度の人たちがひとり生活する一日の姿、一週間の姿、一年の姿、こういうものを描きながらやらなきゃいけないだろうと思っています。
それで、額はどうかという難しい問題ではありますが、昔、費用徴収制度が入る前は、身体障害者関係の施設は、生活保護費計算の一・五倍、この収入があった人についてはいわゆる食費を納めていただきます、こういう制度だったのです。それが変わったわけです。それも一つのヒントかなと。つまり生活保護の一類、二類プラスあれで、これは地域によって違いますけれども、例えば一・五というのも一つの線かなというふうに思ったり、あるいは、そうすると今度はやはり国民の人たちが納得しないかなと思ったり、大変難しい問題だと思うんです。
でも、やはり人間が人間をどう保障するかというのが障害者の問題だと私は思っていますので、その辺をやはり、我々の意見は意見ですけれども、皆さんがぜひ御解決していただいて、どうだと、こういう案を反対にいただきたいなという気がするわけです。
それで、お互いに平等に共生社会をやるのならば、そういう形が、お互いにコンセンサス、ですから、私は応益とか応能とかというのじゃなくて、やはり物を買う、胸を張って買う、そのためのお金がどうなんだろうというような計算と、やはり哀れみだとか何かじゃないんですよね、権利。もうすぐですよ、権利条約が今さっき出ましたけれども、その後に出てくるのが何かといったらば、差別禁止法ですよ。恐らくそこへ行くと、今の法律のもっと集大成で、総合的な障害者法みたいなのができるかもしれませんし、そこまでのつなぎもあるわけです。目標はそこへ行くんですよ。
ですから、その辺を踏まえた上でやっていただかなくちゃいけないし、そうかといって、これを廃案にしていいなんということは、私は、本当に障害者みんな不安になってしまいますよ。だから、やはりいろいろな障害者の意見を聞いて、みんなで知恵を絞っていい制度にしていただいて、法律はそれなりにしていただかなければ、やはりいつまでもこんな不安で、もう障害者の人たちが集まらなくてもいいような、胸を張って歩けるようなことをしていただきたいな。これは、やはりまだまだ差別というのはあるじゃないですか。
それと、もう一つは、最後は、私は、いわゆるいろいろの法律は、だれでも利用できるというような法律になってもらいたい。特別の法律じゃなくたっていいんですよ。例えば公営住宅法でもそうでしょう。今度は知的障害者もあるいは精神障害者も単独で入れてもいいですよという話になってきた。あるいは年金だって、これはやはり一般的な国民の中のあれとしてやっているわけですよ。それとまた雇用の問題だって、社会的な問題としてみんなでやっていこうという考え、そういう考え方にしていかなくちゃいけないだろう。しかし、そこへ行くまでの間、やはり、この機会はいい機会だと私は思っています。
なかなか、口で言うのは簡単ですけれども、その理念等についても実現していただきたいな、こう思っております。
以上です。
○阿部委員 差別禁止法の早期の成立ということは、ここに参加の委員の各位も思っておると思いますので、なお努力したいと思います。
引き続いて、笹川参考人にお伺いいたしますが、私もきょう改めて自分の認識の甘さを思いましたが、視覚障害の方の半数以上が七十歳以上、そして六十歳以上が七三・四%、いわゆる年金受給年齢でございます。就労はかなり中途失明の方は難しいと。そうなりますと、先ほどの年金問題、現実の収入保障の問題がそこに厳然としてあるわけですが、果たして、これもまた重なって恐縮ですが、その年金額あるいは現実の収入で移動も含めて応益負担していかれる、可能でありましょうか。その点についてお願いいたします。
○笹川参考人 私どもの団体、実は明日から三日間、山口県の下関市で第五十八回の全国盲人福祉大会を開くことになっております。その中で当然この障害者自立支援法は議論の中心になりますけれども、これまでにも私どもは、今の年金の給付額は極めて不十分、最低、一級を十万円以上に、また二級を七万五千円以上に引き上げていただきたいということで要求をしてまいりました。残念ながら、今日なお、その日を見ないわけでございますけれども、今回もし応益負担が導入されるとしたら、これはもう明らかに福祉は後退です。少なくとも年金で対応できるだけの引き上げをすべきだというふうに考えます。
先ほど御指摘ありましたとおり、視覚障害者の場合は本当に年金生活者が大半です。そういう人たちが今度のこの制度で本当に必要なサービスが得られるかどうか、これは極めて私は疑問だと思います。結局はもう家でじっとしているしかない、全く今の時代の要求に反した方向へ行ってしまうんじゃないかというふうに考えております。
欧米先進国に比べても今の年金水準は決して高くはない、低い。国力あるいは経済力に応じた年金の支給を図っていただきたいというふうに考えております。
以上です。
○阿部委員 ますます課題が重くなりました。ありがとうございます。
引き続いて、尾上参考人に、私どもは、国会の審議をいたします場合に、やはり現実が見えないと何を私たちがやらなきゃいけないかが見えないという点で、きょう参考人がお示しいただいた資料というのは本当にリアルだと思いますし、こういう資料に基づいて、どうしなきゃいけないか、どうすることが可能かということになるんだと思います。
いただきました資料のうちの二ページですが、「グループホームでの生活が危機?」とございます。本当に今の日本の障害者施策の中で最も欠けている住宅政策、というか、障害者だけじゃなくて全部の国の政治で欠けておりますが、ここの「グループホームでの生活が危機?」というところにつきまして、もう少し現状を私どもにお示しいただければと思います。
○尾上参考人 このグループホームについても、今回、自立支援法でどういうふうになるのかと非常に懸念されるところでございます。
資料の二で、グループホームでの移動介護は利用不可にというふうなことをまず一点書いておりますけれども、この点、まさに今回の国会審議の中で御議論をいただきたいところなんですが、今までは、グループホームに入居している人も、地域生活への第一歩ですから、そこからホームヘルプを使ったりガイドヘルプを使って、つまりそれを足がかりにして社会に出ていく、そしてそのことによって地域生活が可能になっているんですね。
ところが、今回の法律事項の中には書かれていないにもかかわらず、今回の共同生活介護、共同生活援助で、グループホームやケアホームの利用者は移動介護は使えなくなるというような話が出ております。この点も含めて、国会でぜひ確かめていただいて、もしそうなったとしたならば、閉じ込めの間になってしまいます。
そして、グループホームと、今回ケアホームというのが新しくできるということなんですけれども、この点、ちょっと条文の方、この資料の六ページを見ていただけますでしょうか。六ページのところの上から二段目ですけれども、ケアホーム、第五条十項というのは、「この法律において「共同生活介護」とは、障害者につき、主として夜間において、共同生活を営むべき住居において入浴、排せつ又は」云々という「便宜を供与する」というふうになっているんですが、地域生活というのは一言も入っていないですね。共同生活援助の方は地域生活というものが入っております。要は、この書き方というのは、条文を見ていただければわかりますが、ここの「共同生活を営むべき住居」ということをそのまま「入所施設において」というふうに置きかえれば、全く入所施設の文言なんですね。
だから、この点、このケアホームは地域生活の場なのか、いわば小規模施設なのかということをぜひこの国会で御議論をいただきたい。私たちはあくまで、やはりこのグループホーム、ケアホームというのは地域生活の場でなければならないというふうに考えます。
それと、あともう一点は、先ほど松友さんもおっしゃっておられたとおり、施設の横に併設したり、ましてや病院の敷地内につくるようなものを、ここで言うグループホームやケアホームと言っては絶対ならない。なぜなら、この法律は、少なくとも市町村は、障害者がみずから望むいわば場所において地域生活を営むことができるということを目標にしているわけですから、施設の横や病院の敷地内にできるようなホームがグループホームやケアホームと言われると、そもそもの法律の枠組みからも大きくずれることになるのではないかと思っております。
○阿部委員 最後に、松友参考人にお伺いいたしますが、実は私は月曜日は小児科のお医者さんというのをやっておりまして、昨日も、長く診ているダウンのお子さんと御両親が来られて、その子は授産所で働いていて、パンづくり、パウンドケーキを焼いているんですけれども、もちろん工賃はゼロ。次に来た子は、長い難治性のてんかんのお子さんで、この子はクッキーを焼いていて、月に四千円もらっておる。私が言うのも変ですが、障害をお持ちのお子さんを長く抱えて療育してこられた親御さんというのは、本当に頭が下がるというか、こういう親のもとに神様はお与えくださったかと思うような、頭が下がる親御さんです。
特に私が医療現場にいたこともあって、やはり、子供が障害を持ったり、てんかんもそうですし、心臓病もそうですし、先天異常のダウンもそうですが、そういうお子さんをはぐくみ、育てている育成医療の分野も、今度は自立支援医療という形でよくわからない範疇に投げ込む、精神障害に関する医療もそうですが。私は、これは、将来的にこの自立支援法が介護保険と統合するという方向は私は是とするのですが、そのときに医療の問題が、また、自立支援医療というわけのわからないボックスの中で行き場がなくなってしまう。介護保険は医療という範疇と違う部分で成立しておりますし、医療モデルがとられるということは望ましくないわけですから。
その意味で、松友さんもお子さんのてんかんやいろいろなことでお悩みになり、またお金もかかったし、医療費以外にもかかるんですよね。そういうところで、今回、医療問題がこの障害者自立支援法の中にごそごそっと、私にしてみれば入り込んでいると思うのですが、この点は、親御さんの立場、特に、今までの児童福祉法ですと育成ということがメーンなんですね。そこから外れていく、もちろん障害ということは同じであるが。この点についての御意見を賜れればと思います。
○松友参考人 全く予測していなかった質問であり、かつ、私たちの内部においては十分な検討をしていなかったテーマであります。
ただ、御指摘のとおり、医療モデルではなかったとしても、医療的な支援というのはあらゆる障害の方にとって極めて大きいし、特に疾病、疾患がベースにある人にとって、あるいはそれが不足している人にとっては、欠かせないテーマであります。釈迦に説法ですが、児童期と成人期等においては対応等も異なるかと思いますけれども、やはり、医療システム、医療技術とともに医療費という部分に十分なるフォローがないと、障害を重くしたり、あるいはそういうことによって不幸なことになるというのを身をもって感じているところであります。
ただ、率直に申しまして、十分なる検討を組織としても個人としてもしておりませんので、この具体的な意見については述べることはできませんが、やはり、医療問題がよくも悪くも障害分野において、知的の分野でもそうですけれども、ややもすると軽視されているというか、あるいは、医療でだめだからもうあとは福祉だ、あとは自立生活だという形でされていることについては、ある種、私は不幸なことだと思います。医療も一つの支援技術、支援システムの一つとして、先ほど言いましたようなきちんとした、医療費を含めて、体制が整えられていく、そのことによって社会生活も保障される面があると思いますので、この件も含めて十分な体制整備をお願いしたいというふうに思っております。
ありがとうございました。
○阿部委員 皆さんの貴重な御意見を生かしながら、これからの国会審議を進めてまいります。
ありがとうございました。
○鴨下委員長 以上で午前の参考人に対する質疑は終了いたしました。
〔中略〕
○鴨下委員長 次に、阿部知子君。
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
本日の参考人の皆様には、御高齢やあるいは障害をお持ちの当事者であるというきつい状況を押して長時間の参考人としての御参加、本当に御苦労さまでございます。
私は、皆さんが参加された二十四回の社会保障審議会の障害者部会の議事録も、全部とはまだ申しませんが、かなり読ませていただいて、実は、この審議会の二十四回の論議の中でも十分に論議が尽くされない、皆さんのお気持ちの中に残った大きなしこり、そして、それを今度は国会審議が始まるからという形で閉じられた二十四回目の議事録、とても切ない思いで本日ここに立っております。
と申しますのも、朝も申しました、もっともっと各委員はここに参加して、皆さんの期待に沿うような、声を聞くような努力をしないと、皆さんが二重に裏切られてしまうかもしれない。社会保障審議会のあり方も、従来のようにきっちりとした答申を上げてその声が反映されるという形にもなっていないし、国会論議にと投げられたボールを受けとめる側がどうかというと、これまた極めて安直な状況にあるんじゃないかと私は思います。その意味で、別に私だけが例外でもなく、私も含めての国会の役割ということと思っております。そして、そういう観点から幾つか質問をさせていただきます。
冒頭、私は、きょう藤井参考人が、呉秀三、私の卒業した大学の精神科の教授でございますが、お話をしていただきました。私がまだ二十歳代の初めのころですが、この呉秀三の胸像の前で、本日御参加の全家連、精神障害者の家族の皆さんの団体に属しておられました渓さゆりさんという、歌人でもあります、歌を詠まれる方でした、御存命であればもう九十になられるでしょうが、その方から、御子息様を精神障害で抱えて、そして家族の連合会をつくって一生懸命やっているというお話を聞いたのが、私にとっては精神障害の皆さんの現状を知るきっかけでございました。もう四十年近く、三十数年前のことでございます。きょう小松参考人のお話を伺いながら、いかに御苦労の長かったことか、多かったことか、改めて、本当に襟を正さなきゃいけないと思って伺いました。
私は、今回の法律がもし通過するのであれば、三つの改善点が絶対必要と思っておるものです。その私の考えから、まず冒頭、小松参考人にお伺いいたします。
私は、精神障害者の医療を自立支援医療という形で取り込んでいくということが本来的な解決ではないというふうに強く思っております。と申しますのも、実は、先ほども紹介させていただきました、私は小児科の医者で、不登校の子供たちなどをよく診ておりますが、最近は、家族の風景、お父様が精神障害に会社勤めの途中でなられた、あるいはお母様が子育て中にそういうことになられた、非常に家族の、例えば子供を抱えて、従来であれば二十ごろの発症の方が多かったものが、最近では、本当に日常的、当たり前に生活の中からさらに精神障害ということをあわせ持つ方がすごく多くなって、そのことが一方で精神科通院医療の高騰にもつながっております。
それを解決するのに一〇%の自己負担という形に返しても、かえって、家族の家計の支え手、それで子供もいるような方から高い医療費をいただくということになって、私は本末転倒の結果になるように思います。そして、従来、本来であれば精神医療のあり方のより本質的な改善として図られるべきものが障害者自立支援法の中に取り込まれて、そして逆に言えば、医療モデルをまかり間違うと障害者自立支援法の中に引っ張り込んでしまって、かえってどちらにとってもよいことが起きないんじゃないか。
小松参考人の御意見では、例えば低所得者は五%の負担にしていただきたい、あるいは継続的かつ重度というのではなくて、もうちょっと広くとっていただきたいという御意見でした。でも、私は、そもそもこれをなぜ障害者自立支援法の中に引っ張ってこなきゃならないのか、そのことが、私が診る患者さんの風景からするとどうしても納得できません。
そのあたりが、本当に財政事情が苦しく、そしてずっと御苦労してこられた、精神障害を抱えた御家族のやむにやまれぬ選択であるのかもしれませんが、逆に、本来的な精神医療の充実をそれとしてお求めくださるような流れについてどのようにお考えか、一点お願いいたします。
○小松参考人 障害者本人の負担を一〇%にしないで、本来医療としてやるべきことがあるのではないかというような御質問だと理解しましたけれども、よろしいでしょうか。
この支援法と今は連携がないんですけれども、さっき藤井さんもおっしゃったのですが、まず、精神科特例がありまして、このために、非常に手薄な医療スタッフが治療に当たり、あるいは入院患者のケアに当たっているというようなことがあります。そういうことと関連があったと思いますけれども、やはりこれも藤井さんがちょっとおっしゃったのですが、多剤大量処方という日本独特の医療がありまして、非常に種類も量も多い投薬がなされております。
これが習慣的に、世界ではあり得ないことなんだそうですけれども、統計上、数字を見ますと、何か日本は、ゼロから一錠というのが二〇%ぐらい、それから二錠が四〇%、残り四〇%は三錠以上ですね。これが、ほかの国で見ますと、ゼロから一がほとんど一〇〇であって、なかなか二錠以上飲んでいるところは少ないというようなことがあります。これが、例えば、非常に薬がたくさん処方されているということは医療費を上げているんじゃないかなということはちょっと言えるんじゃないかと思います。
ただ、私も専門家じゃございませんので、ただこういうのに関心があるものですから、いろいろな本やあるいは専門家に接触する機会は多いですから、ある程度伺っておりますけれども、これは専門の先生方にぜひ検討していただいて、こういう場があればそこでまた発言いただくとかいうようなことが必要ではないかというふうに思っています。
以上でございます。
○阿部委員 ありがとうございます。
続いて、安藤参考人にお伺いいたしますが、私は、この法案が改正すべき二点目はやはり応益負担と言われておりますところの問題で、本日、安藤参考人から非常に、御助言というか、ああ、そういう考え方もあるかなという点をお聞きしたように思います。
先ほど参考人は、所得保障と合わせて負担率を上昇させていってはどうか、例えば、現状で一割負担はやはり無理である、三%にするなり、所得が充実したときに率も考えていこう、私はこれは非常に現実的な提案であると思い、もう一度そのあたりを強く御説明いただけたらと思うのですが。
○安藤参考人(手話通訳) ありがとうございます。
私は、先生のお話の社会保障審議会の障害部会のメンバーの一人なんです。昨年の三月から問題が出てきましたけれども、その中でまず介護保険と支援費制度の統合という方向が出てきたわけなんです。
ただ、その審議の中で私ががっかりしたのは、障害部会のあり方です。その部会では、事務局で企画され整理された内容が長い時間かけて報告されて、私どもがそれに異を唱えるとか変更を希望しても、全く、ほとんど受け付けられない。一つのセレモニーであって、厚生労働省が方向を一応建前として部会に出して、了解を得ましたというようになってしまっているということ。そうではなくて、きちんと障害部会で意見が反映され、修正されて国会に出されれば、私たちも参考人として説明しなくてもいいですし、皆さんの御苦労もないと思うんです。だから、この障害者部会といいますか審議会というものを、もっと権威のあるものに変えていただきたいと思うんですね。
その時点で、私は、今の障害者の所得レベルでは、介護保険を前提とした一〇%の応益負担はなじまないし、私たちも福祉の制度の利用が抑制されることになるというようなことを言ったんです。ただ、介護保険との統合とか相互利用の目的というもののタイムリミットがもう既に決まっていたので、ほとんど聞いてもらえなかったという経過があります。
さっきも言いましたように、国の財政状況などで国民の皆さんの納得していただく方法として応益負担がやむを得ないということならば、障害者の所得状況に合わせた段階的な実施というものを、それは国民の皆さんへの説得力になるし、私たち障害者も納得できる材料になるのではないかと思っています。これは絶対やるべきではないかと思っているわけです。
○阿部委員 本当に御指摘のとおり、ありがとうございます。
また、大濱参考人には、本当にお体がきついかと思います。私どもがちょっとあくびをしたかに見えたことがあれば、本当にお気持ちを傷つけて申しわけないと思います。
大濱参考人が同じように障害者部会の中で疑問を投げかけながら、実はどう読んでも答えていないなという箇所も多くて、それは、障害者の所得状況と、施設に入っていて五万か六万で、その中から一万七千円出したらどうなるんだということを聞かれても、ほとんど厚生労働省側は答えていない。だから、ただいまの安藤参考人と同じように、本当にお怒りかと思います。
その気持ちにさらに上塗りをしてしまったようで申しわけありませんが、私は、大濱参考人には、本日三つ目の改正点、すなわち、障害の認定にかかわる作業のときに、疾病モデルも本当に間違っておりますし、等級、段階づけというのも違う、そこで、環境モデルを導き入れて当事者性をどう持つかということが第三の改善点だと思います。
大濱参考人の御意見の中に、やはり障害者、当事者を入れなさいということが明確に書いてございますが、これも厚生省に言うと、本人を入れると云々となります。でも、私はやはり当事者を入れるべきだと本当に思います。その点について御意見をお願いします。
○大濱参考人 ありがとうございます。
本当に、障害者部会、これははっきり申し上げて、一人何分も話をできる時間がないというような、いつもそういう部会になっております。それは現実問題です。
それと、何点かありますが、今厚生省は非常にデータが少なくて、厚生省が出したデータ、唯一今ここに出ているのが、きょうの資料の1の定点調査というのがありまして、過去に調べられた唯一のデータらしいデータと言えるのがこの資料1の2です。そして、ここに書いてありますように、障害者の二十四時間以上の介護、定点調査をやった場合の二十時間から二十四時間の範囲で、わずか〇・一%しかないんですね、全体の一〇〇%に対して。
それで、この二十時間から二十四時間、ここら辺についてはぴちっと守っていただきたいというためのアセスメントは、ではどういう方法ができるのかといいますと、これはもう医療モデルでは多分無理です。それはやはり限界があります。障害者個々がどうやって社会に参加したいか、それから社会ではどういう活動をしたいのか、そういうことを、やはりそういうほかの医療モデルじゃない部分をきちんと判断していかないとこれはできないと思っておりますので、そういう意味合いで、この資料、厚生省がかつてつくった資料をあえてここに添付させていただきました。
ここにある資料の中で、あと、では、それにかかる費用はどれぐらいなんですかということなんですが、ここにございますように、これを合計しても、費用合計は一・三七%です。本当に最重度の障害者にかかる費用というのは非常にわずかな部分ですので、ここはぜひきちんと勘案していただきたい。
そして、私どもは従来から、介護保険等の部会での話、今安藤委員からも話がありましたが、同じ委員として参加していまして、介護保険統合ありきみたいな障害者部会になっていたのが現実でありまして、その中で非常に、資料4としてきょうデータをお示ししましたが、介護保険の将来的な数字として二十兆円という数字が出ているわけです。それに対して障害者がどうなるかという数字を私たちが算出いたしましたが、それは、障害者はこれから伸びるということはなくて横ばいになるという数字でして、障害者介護の費用は五千億弱、障害者福祉全体でもせいぜいたかだか一兆五千億前後もあれば障害者は十分やっていける、きちんと二十四時間、制度として確保して地域で暮らせるんだという数字であります。
したがって、本当に安易に介護保険の中に組み込むという施策がいいのか、国税できちんと担保する施策がいいのか、私はそれは今後議論がしっかりと尽くされていけば見えてくる問題であると思っていますので、私は保険に反対しているものではありません。別に反対しているものではないですが、将来的に必要であれば保険施策の中に入っていくこともやぶさかではないと考えていますが、その前に、二十四時間ちゃんと暮らせるような制度につくってしていただきたい。
それが可能であれば、もちろん保険で賄われようと国税で賄われようと、それは最終的にはいいと思いますが、そこら辺がみんな不安で、きょう冒頭に申し上げたように、朝八時半から沖縄の方から電話がかかってきて、あした沖縄で決起集会をやるんです、本当に私たちは地域で生活できるんですかという声が上がってきているのが現状です。ぜひ、そこら辺、御配慮よろしくお願いいたしたいと思います。
ありがとうございます。
○阿部委員 改めてきっちり論議することの必要性を御指摘いただきました。
最後に、藤井参考人ですが、私は、きょうお示しいただいた資料の一ページ目、いわゆる生活保護と比較いたしまして、生活扶助の一類、二類、障害者加算、そして住宅、これは当たり前の姿ですよね。これが全然なっていない中で、何か砂上の楼閣のような論議を私どもはしているわけで、所得保障がないということは最大の問題であります。
そして、そういう思いで、参考人の資料の中で「所得保障」と書かれております二ページにわたるこれを読ませていただくと、非常によくできているというか、ああそうか、こうすればいいんだというような御助言にも近いものが、実は一九九八年に提案されておるわけです。今は二〇〇五年、七年間たっても、いっかな一歩も進まないどころか後退している中で、いかに皆さんの思いが歯がゆいか、あるいはこの審議が現実とかみ合わないかという思いを強くしておられるとは思います。
しかし、きょう私は、藤井参考人の本当に四点にわたる改正点、非常にきちんと提案いただいたように思いますので、また、あえてもしもう一言おありであれば、済みません、時間が短くなりましたが、お願いいたします。
○藤井参考人 ありがとうございます。
私は、この国会というのは障害分野の歴史にとって非常に歴史に残ると思うんです、こうして参考人として招致してもらったということを含めてですね。
私は、私自身も今、目が悪い。実は、だれにも言っていませんでしたけれども、私は今、通勤するときにうちの娘にお願いしているんです。ところが、一切どこも費用も出ません。娘は結局、少し早目に、通勤の前に相当早く一緒に出なくちゃいけない。このままもし応益負担等が進んだ場合、私は、この間与党に随分頑張ってもらったこともあって、収入認定につきましては、家族の収入は合算をしないという方向で検討してもらっている、これはうれしいんです、でも、一万五千円であっても二万四千六百円であっても、またこの負担が恐らく家族に及ぶんだろうと。つまり、つらいのは、やはり家族の中で肩身を狭くして生きていくということ、これは恐らくその身になってもらわなければ多分わからぬと思うんですね。
私は、社会、ましてや家族の中ではせいぜいせめて解放されて生きていきたいという点において、この応益負担という問題は、結局は、本人がサービスの受給を我慢するか、または家族の負担か、サービス事業提供者がその負担をかぶるか、こうなってくるんじゃないかなと思うんです。結局は、過剰利用の抑制だとか、あるいは三年後の介護保険の統合ということを前提にしているということ、ここをもう一回、この根本問題を考えてほしいなということを思って、発言を終わります。
○阿部委員 各参考人には本当にありがとうございます。しっかり頑張って審議していきます。ありがとうございます。
○鴨下委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
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