第162回国会 厚生労働委員会 第24号 (平成17年5月19日(木曜日))抜粋

案件:
 障害者自立支援法案(内閣提出第三五号)
 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)
 

議事録全文(衆議院のサイト)

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鴨下委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日は、障害にかかわる雇用の問題、特に、やはり働いていくということは人間の誇りの根源にもかかわってまいりますので、そういうことから参考人の皆さんにお話をいただきまして大変ありがとうございます。御発言いただきました順序と大体同じように質問をさせていただきますが、まず冒頭、輪島参考人にお願いいたします。

 きょうは主に、これから新たに実雇用において算定されます精神障害の皆さんの雇用率のお話の部分が長うございましたが、もう一点、全般的に障害のある方の雇用率ということに関しまして、まず前段、お伺い申し上げます。

 ちょうど長谷川参考人が御提出いただきました資料にもございますように、この間、我が国の障害者の雇用問題は、五十人から三百人以下くらいのところでは従来の障害者雇用よりも雇用が下がってきており、そして一部千人以上、これは特例子会社などの活用もあり上昇してきておるという図が示されております。

 逆に、障害者にとって、例えば地域の身近な企業に就労できるというようなことを考えますと、特に三百人以下の部分、これは経団連の皆さんとどの程度オーバーラップするか私にはよくわからないところでありますが、そういう部分においてもやはり雇用の道が開かれることが必要と思います。

 一方で、やはり現在はとても人件費比率というものが大きく企業運営にも影響してまいるところと思います。そうした場合、企業に御尽力いただくことも当然ながら、政治の側、政策の側で、何かポジティブに誘導するような政策というのも私はあってしかるべきと考えておりますが、そのあたりで何か御意見がございましたら、一点、お願いいたします。

輪島参考人 御質問ありがとうございます。

 一つ私どもとして大きな関心を持っておりますのは、やはり発注奨励ということだと思います。これは、雇用に限定をして今雇用促進法という中の枠組みで議論をしておりますけれども、先ほど先生からも御指摘がありましたように、大きなワークシェアリング、ワークシェアリングということなのかどうかわかりませんが、企業に仕事はあるわけでございまして、基本的には雇用促進法上で企業が雇用の場を提供するということが求められているわけでございます。それに合わせて、いろいろなところで仕事をしていただく、それが雇用なのか、一般的な福祉的な就労なのかということを殊さら分けていくことがどうなのかというような問題意識は持っております。ですから、今後の観点から言えば、大きくそういったものも、企業の雇用を支えるインセンティブとしての一つの制度というような形で議論をしていただくということは、大変重要なのかなというふうに思っております。

阿部委員 ありがとうございます。また私も勉強して検討させていただきたいと思います。

 もう一点、輪島参考人にお願いしますが、今企業は障害者雇用相談室やあるいは産業医を設置され、その中のどの程度のパーセンテージがメンタルヘルスケアに習熟する専門医であるかという問題もあるだろうし、もう一方でリハビリ出勤というような、ならし保育ならぬならし就業的なものも、どの程度の企業で現実にそういう制度をお持ちであるのか、データ的にちょっとお教えいただきたいと思います。相談室と産業医、全般で構いません、精神科医でなくても。中で精神科医をお備えのところがどれくらいか、それからリハビリ出勤のシステムをお持ちの企業がどれくらいか。

輪島参考人 相談室につきましては、大変多くの企業から御相談をいただいております。特に、特例子会社の設立であるとか、そういったことについて言いますと、ある意味で特例子会社を検討し始めてから実際に立ち上げて操業するまで、短い企業では半年というようなケースもございますし、長く検討されて二年、三年という時間を必要とする企業もございます。いろいろな企業のニーズに合わせて相談室のオペレーションをしているということでございます。実際には、昨年は、延べ数でございますけれども百六十件以上の御相談をいただいております。

 それから第二点目のリハビリ出勤の比率、それから産業医の比率ということは、大変恐縮でございますけれども、私どもは統計を持っておりませんので御披露することはできかねるという状況でございます。大変申しわけございません。

阿部委員 一応、厚生労働省の調査等によりますと、リハビリ出勤という言葉がいいのか試し出社というのがいいのかわかりませんが、二六%というふうに出ております。

 私が日ごろ出会います、私は実は小児科医で、少し思春期とかその子たちが大きくなった先も見ておるのですが、そういうところの患者さんたちに聞きますと、なかなかリハビリ出勤の仕組みがなくて、例えば薬を服用中はまだ出社してはいけないのだというふうな言い方をされたり、特に在職中に発病されたケースなどでは、薬を継続しながらやはり出社していただくというのが一番だと思うわけであります。ですから、なお、お取り組みの中に、そういうことをきっちり企業の運営サイドにも共通認識としていただくというようなこともお願い申し上げたいなと思います。

 二点目、長谷川参考人にお願いいたしますが、長谷川参考人のさっきのお話の中で、例えば産業医をきちんとしたらそれに奨励金を出すような、グッドインセンティブというか、前向きにしたらどうかということもありました。私もこれは経験いたしますが、なかなか、先ほどの輪島参考人のお話にもあったように、精神科の医師の数も多くなく、産業医の先生とそれから受け持ち医との間の意見そごというのでしょうか、受け持ち医は精神的な疾患と書くと、逆に産業医によってはねられてしまう場合もあるという、極めて微妙なところで仕事をしている場合が多いわけです。

 先ほどのおっしゃっていただいた奨励金というのは、私もいい仕組みだと思うんです。日本の中では、前向きに何か誘導して、子供でもそうですが、褒めればやはり育つわけで、そういう仕組みをとるということはいいと思うのですが、そのあたりで、例えば産業医をきっちり企業につくっていただくということについてのさっきの御発言のもうちょっと真意と、それからもう一つ、私は、それは同じように労働組合の中にも労働組合内メンタルヘルスケア部署というのがあってもいいように思いますが、そういうことについてはいかがでしょうか。

長谷川参考人 先生御指摘の産業医に補助金とか助成金というのは私ではないと思います。

 私が申し上げたのは、今回の労働安全衛生法の改正の中のメンタルヘルスケア対策として、時間外労働が百時間を超えた者についての産業医との面談というのは出てきますので、労働安全衛生で産業医が果たす役割があるわけですね。企業にはその産業医がいる。それと、労働者個人は、恐らく日常的には自分のかかりつけのお医者さんのところに、内科であったり精神科であったり、自分でお医者さんのところに行っていると思うんですね。

 もう一つ、職場では、自分と自分の上司と、それと職場の同僚がいるわけですね。こういう関係の人たちが、やはり精神病というものはどういうものかとか、それから、そうであったとしても働けるんだ、みんなでちゃんと働ける環境をつくっていきましょう。事業主は、事業主のやはり責務があるだろうと思うんですね。それに従って、その上司は自分のところの労働者の管理をどうしていくのかということが必要だと思うんですね。周囲のやはり職場の人も、あの人と一緒に仕事をするとうちのグループの仕事が遅くなるから嫌だわ、これは職場でよく言われる話で、そうでなくて、自分だってなるかもしれない、自分だって時間外をいっぱいやって大変だったらなるかもしれない。そうすると、この問題は個人の問題ではなくて、職場全体の問題だというような考え方をする同僚、そういう職場の雰囲気、風土が必要なわけですね。

 あと、基本的には、やはり経営者のトップの幹部がどういう姿勢を持つのかということが重要で、そういう環境にあるわけですが、今回の促進法の中で、やはり地域にも支援するいろいろな機関があるわけですが、そういう生活支援機関と、それから事業主のところのメンタルヘルスケアをやっている担当者とか、産業医だとか、かかりつけの医者がやはり連携しないと、こっちに行ってはこう言われて、あっちに行ってはこう言われて、ここではこう言われて、それで振り回されて苦労して、最後はやめていくというのが今の現実の姿だと思うんですね。

 それをやはりもっと連携を強めながら、社会的にも、みんながちゃんと働けるんですよ、例えば、この人はまだ休んでいた方がいい、でも、この人はもう働いて八割勤務がいい、この人は六割勤務がいい、この人は四割勤務がいいとか、いろいろな対応の仕方があると思うんですね。そういうのをやはり関係者が地域的に連携をとることが必要なのではないか、そういう意味です。

阿部委員 私が混乱をさせてごめんなさい。

 私がお願いしたいことは、やはり産業医の先生と労働という、労働者を守るという労働組合の皆さんが、もうちょっと意見を密に交流することによっていい産業医を育てていただきたい。これから非常に、特に精神疾患の場合に、在職中の発病というのは本当に多くて、昨年の労災認定中も四十七万人がそういう形で上がっている。その方たちが復職していけるには、もちろん地域の支援も大事だけれども、一に職場の仲間の支援であって、そして、その職場の産業医も十分理解してくださるということは、とても大事な環境と思いますので、よろしくお願いいたします。

 あと、土師参考人には、神奈川からおいでだということで、私も神奈川なので、とても進んでいると思ってうれしく伺いました。先ほどちょっと聞き漏らして恐縮だったのですが、八十一人の去年の就労とおっしゃったでしょうか、その中で二十一人離職というお話でしたか、二十六人でしたか、私、ここのちょっと意味をよく理解できませんで、そして、離職の内容は、個人的事情や倒産や加齢ということをお話でしたが、そのほかにも何かあったのかということもお願いいたしたいのが一点。あと、特例子会社や重多雇用企業に支援が希薄だということをちょっとおっしゃっていただいたので、そのあたりも、もし御発言があればお願いします。

土師参考人 先ほど最初のときに、昨年一年で八十一人の障害者の就労をということと、離職者が二十六人おりまして、期末で三百四十一人の就労者を抱えております。もし離職者がいなければ、二十六と三百四十一ですから三百六十七というのが残るはずですが、当年度八十一人の中で何人離職しているかというと、三人でございます。それから、その二十六人の中で、企業の都合でおやめになった、仕事がなくなったとか倒産がありますが、それが二人であって、あとは基本的には本人の都合である。本人の都合のその二十四人の中に、加齢による、体力的にもたなくなったという人が二人ありますよということですね。

 ここで申し上げたのは、これからの就労支援というのは、立ち上げの部分は、冒頭申し上げましたように、企業の理解と支援と育てるというのがあればある程度いくと思いますが、継続して雇用していくということも、企業にとっても、本人にとっても大事なことでございますが、そのためには生活支援というのがどうしても不可欠ですよということ。それから、従来は、私も企業側におりましたのであれなんですが、雇用したら企業の責任だというのが一般的な慣行だったと思いますが、生活部分については、特に知的障害者、いろいろ難しい問題を抱えています。これは、社会資源が基本的にイニシアチブをとるべきだというふうに思っております。

 もう一つは、企業なりハローワークなりは、実際にやめた後、その働いていた人たちがどうなるかというのは、実はすごく難しい問題でありますし、ハローワークの機能として、福祉側につなげるというのはなかなか難しいと思います。ですから、行政側も、労働側と福祉側、教育側、どう連携をとるかということが、働くことをふやすことのもとになるかと思います。

 それから、二点目の特例子会社に対する支援でございますが、私は、特に特例子会社につきましては、今以上のことは必要ないと思っております。当然企業の社会的責任もございますし、お金の問題じゃなくて、より労働力として可能性のある人をどう推薦していただくかということと、先ほどの資料の右の一番下にありますが、企業とすれば、私は「労働力として雇用」すればいいのであって、そこで起こる福祉的な問題はやはり社会資源がかかわっていくんだと。

 企業が、先ほど来の質問の中にも何点かございましたが、未達成企業があるとか雇用にためらいがあるということがございますが、やはり知的障害者を雇用するときに、知的障害者をよくわからないというのが一番のポイントなんですね。何ができるか、どうすればどういうふうになるんだということを含めて、その辺が大変不明確である。雇用はするけれども何かあったときにきちっと相談に乗ってくれる体制があるかどうかということと、もう一つは、最悪の場合は引き取っていただけないかと。

 企業は実際は六十歳定年なんですね。本当に知的障害者が六十まで働けるかどうか。働けなくなったときに、やめてくださいと言うのか。余力を残して次へシフトしていくコーディネート役があるかないかについては、大変大きな違いがあると思うんです。

 そういう意味では、安心して相談できる、最終的には引き取ってもらえる、引き取った後かわりの人は雇いますということは、企業の皆さん申し上げているところでございますので、そういう環境をつくるということが一番の支援であって、私は、お金の問題じゃないのではないかと思います。特に、千人以上の企業に特例子会社をおつくりいただいているわけですから、たかがそれだけの障害者を雇用するのに云々ということはないと思います。

 以上でございます。

阿部委員 ありがとうございます。

 竹中参考人には、非常に根本にかかわる勇気をありがとうございます。いいお話でありました。アメリカのADA法もそうですし、みんなに元気をくれたと思います。ありがとうございます。

 最後に、高橋参考人にお願いいたします。

 お話の中にも出てまいりましたが、ハローワークの窓口業務のことでございます。

 今、若者の就労を支援するためにはヤングハローワークというのもございますが、ハローワークの窓口自身に、精神障害をお持ちの方、あるいは在職中にそういう状態になられた方、この方たち、あるいはそういう傷病名にならなくても、みんな失業中はうつに近い状態になります。ぜひとも、私は、ハローワークの機能の中にそうしたメンタルヘルスケアのカウンセリングなりサポーティブな体制なりが必要と思いますが、その点に関して、もしアドバイス、御助言、御提言があればよろしくお願いします。

高橋参考人 大変精神障害者にとってはありがたい御指摘だったと思います。

 ハローワークに限らず、一般的に行政の窓口では精神障害者は大変傷つくことが多くて、やはりどうしても、行政全般と言っては語弊があるかもしれませんけれども、なかなか窓口のところで精神障害者に対して適切な対応をとれる方が少ないのではないかと思います。ですから、とりわけハローワークなどでは自分みずからカミングアウトして申し込むわけですけれども、中にはそれを隠していく方もあるかもしれませんが、やはりそういう状態の方は非常に傷つきやすいような状態ですので、それにうまく対応してもらうためには、そういう精神障害に対する知識と理解を持った方に、ぜひいていただきたいと思います。

 そういう意味で、これからいろいろな分野においてそういう意味の知識の普及啓発ということは私も非常に大事だと思っていますので、先生の御指摘を肝に銘じたいと思います。どうもありがとうございました。

阿部委員 参考人の皆さんに大変に意義ある御助言をいただきまして、ありがとうございます。終わらせていただきます。

鴨下委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。


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