第162回国会 厚生労働委員会 第28号 (平成17年6月15日(水曜日))抜粋

案件:
 政府参考人出頭要求に関する件
 独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法案(内閣提出第六二号)(参議院送付)

議事録全文(衆議院のサイト)

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鴨下委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 今週で本国会も閉じるわけでありますが、今、国会には暗雲が立ち込めております。理由の大半は、筋悪法案ばっかりで、例えば郵政民営化法案、国民のとらの子に手を突っ込んで盗み出すような法案。そして、このきょうの独立行政法人の売っ払い法案ですね、国民が一生懸命ためてきた保険料でつくった施設を二束三文で売っ払う、そうした法案。いずれも本当に、幾ら誠実な大臣が一生懸命答弁されてもだれの心も晴れない、ますます梅雨空が広がっていくような本日の審議だったと思います。

 そこで、しばしの清涼感として、本日のトピックスは、水道行政について聞かせていただきます。

 六月一日から一週間、いわゆる水道週間でございました。今、公共のさまざまな問題、普通、公共料金といいますと、ガス、水道、電気、それから郵便局も私はパブリック、公共だと思いますし、福祉施設、医療も公共だと思いますが、そうしたものの足元が揺らぐことによって、国民には多大な不安感が押し寄せておると思います。

 この水道行政についても、私は、やはりこの委員会の場でしっかりと確認しておかないと不安な点がございますので、きょうは冒頭お願いしたいと思います。

 現下の水道事業が直面する課題は、水質汚染が進む、あるいは、水道は皆水道に等しく敷かれたが、それの修理にお金がかかる、そして大地震問題、地震列島でございますから、そしてまた、修理をして維持するというのは必ずしも財政的には潤うものではない、おまけに水道事業者は小規模な事業体が多いという中であります。

 ここで、いわゆる地震災害等に強い水道づくりというのは、国土交通省も挙げての新たな課題となっておると思いますが、そのための予算措置並びに主体となる水道事業者への指導等の対応について、まず一点、お願いいたします。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年六月に策定、公表いたしました水道ビジョンというのがございまして、この中で「災害対策等の充実」、これは非常に重要な柱として位置づけられておりまして、水道施設の耐震化、災害時の体制整備、その推進を図るということにしているところでございます。

 まず予算措置でございますけれども、緊急時の連絡管等の整備あるいは老朽管の更新などに対しまして従来国庫補助を行ってきておりますけれども、平成十七年度からは、基幹病院など災害時におきまして給水優先度の特に高い施設に対しまして配水を確保するための耐震性配水管の整備、このようなものを新たに補助対象としているところでございます。

 また、水道事業者に対する指導ということでございますけれども、水道施設の整備に当たり、計画的な施設の耐震化を図ることができますように、水道の耐震化計画策定指針、こういうようなものを策定しまして、水道事業者に対しまして技術的に支援を行っているところでございます。

 また、適宜、立入検査等の機会を通じまして、危機管理マニュアルの策定状況や応急給水体制の整備状況等を確認しているところでございます。

阿部委員 私が従来御質問をさせていただいているように、病院も大事なインフラですし、特に病院、今のお話にございましたが、透析等を行うにも水道というのは早急に必要になります。神戸の大震災でも、いわゆる透析をお待ちの患者さんたちが寸断された水道管の中できちんとした医療を受けられない、命綱がなくなるということがございましたし、スマトラにおいてもさようでございましたので、今御答弁の件をしっかりとやっていただきたい。

 あわせて、水道事業者が弱体でございます場合に、広域化というツールも利用していただきたいと思いますが、その点について一点。

 それから、この水道事業というのは、建築、土木、化学、物理、生物、電気、機械、総合的な技術力を必要としております。当然そこには、単にIT技術を導入してそれだけで済むというわけではなくて、実際にそこの職員の問題、技術水準の低下を招かないような施策も必要と思いますが、そこの点について、今の二点、お願いします。

田中政府参考人 まず、広域化の問題でございますけれども、我が国の水道というのは非常に小規模な事業者が多うございます。このため、統合あるいは広域化ということを従来行ってきたところでございますけれども、依然として、規模が小さくて運営基盤が脆弱な事業者が多いということでございまして、引き続き、統合、広域化によって運営基盤の強化を進めていきたい。

 先ほども引用いたしましたけれども、水道ビジョン、ここでもやはり地域の自然的社会的条件に応じた多様な広域化を進めるというふうなことが書かれております。単なる施設整備を中心とした広域化に加えまして、複数の水道事業におきます経営面での一体化あるいは管理業務の一本化などによります広域化についても、地域の実情に応じて推進していきたいというふうに考えているところでございます。

 それから、IT云々ということでございますけれども、基本的にはITというのはツールでございまして、より効率的に管理を行うという意味では活用するのは非常に大切だとは思いますけれども、施設の管理を行うのはやはり人でございます。こういう水道の技術を担う人材の確保、育成というのは非常に重要だと考えておりまして、こういうことは今後とも力を入れていきたいというふうに考えているところでございます。

阿部委員 では、最後に確認で、大臣の方から水道行政に対しての御所見をお聞かせくださいませ。その後、本法案に移りたいと思います。

尾辻国務大臣 私は、若いころに世界を放浪したことがございまして、そのときに、安全と水はただでないということを思い知らされております。そんなこともありまして、水の大切さというのは身にしみて感じておりまして、近年生じてきたさまざまな課題に対応し、次世代に継承するにふさわしい安心できる水道システムを構築することが重要であると考えておるところでございます。

 このことは、去る六月五日に岡山市で開催をされました水道週間の中央行事に主催者として出席した中でも申し上げたところでございます。

 こうした考え方に立ちまして、厚生労働省では、昨年六月、今後の水道に関する重点的な政策課題とその課題に対処するための具体的な施策等を示しました水道ビジョンを策定、そして公表をいたしました。これに沿った施策の展開を今図っているところでございます。今後とも、水道ビジョンの実現に向けて、とりわけ、お話しになりましたような災害に強い水道づくりや、安全で良質な水道水の供給を目指して努力をしてまいる所存でございます。

阿部委員 私は、今大臣が御披瀝いただきましたような水道行政に対してのきっちりとした厚生労働省の取り組みと同じように、公的な医療機関であるところの厚生年金病院、あるいはこれから審議されますような社会保険病院、そうしたものについても厚生労働行政が、せんだってもお尋ねいたしましたが、きっちりとみずからのビジョンを持っていただきたいと思うのです。

 先ほど、山口委員との応答の中で、医政局長が、例えば九州並びに大阪の厚生年金病院は、小児救急医療を担っておられる大事な病院です。大臣に伺います。もしこれが売却されて、その結果、小児医療が継続できなくなったとき、大臣は責任がとれますか。

 私がこんな意地悪な聞き方をするのは、私は、九〇年代から幾多の小児科が閉鎖され、小児救急がやれなくなった現状を通り抜けてまいりました。よほどの覚悟がなければ、それも国の政策医療のしっかりした中核に添えて備えていただかなければ、担い切れないのです。どういったって不採算です。どう努力したって不採算です。私は、小児医療が今、日本の中で危機的な状況にある、その中にあってこうした厚生年金病院の売り払いが考えられる、本当に恐ろしいと思います。

 大臣、もう一度伺います。もしこの売却によって小児医療が続けられなくなったとき、大臣はどんな責任がとれますか。

尾辻国務大臣 そうした病院が今持っております機能をそのまま存続させて売却が行われる、譲渡が行われる、そのことを望んでおるわけでございます。

 ただ、先生が、そうでなかったらというお話でございますし、私の責任ということでのお尋ねでございますけれども、決してそのことを外してお答えするつもりもございませんが、今私に与えられた責任といいますか役目というのは、国民の皆さんの年金、社会保険庁に対する信頼を回復して、もう一度年金を持続可能なものにきっちり立て直すことだというふうに思っておるところでございまして、私は、まずその責任を果たしたいというふうに考えておるところでございます。

阿部委員 私は、それでは大臣は未来への責任を果たせないと思うのです。ビジョンというのは未来に向けたものです。そして今、我が国が最も力を入れるべき、私は、少子化対策ばんそうこうではなくて、子供たちを育てるビジョン、子供たちを支える医療のビジョンだと思います。

 ほかにも医療というのはいろいろな役割を担っておりますが、私は、先ほどの山口委員と局長、大臣の答弁を重ねて聞くと、とても納得もできないし、これは予定外の質問ですが、不安はむしろ増大してしまいました。

 もっと具体的に言えば、例えば病院の売却問題が起こったときに、まず医師たちの間に動揺が起こります。新たな研修医が来なくなります。そのことによって、一番先に人手がたくさんいなければできない小児救急医療というのはパンクします。これは、幾多の経験の、私自身の通ってきた道です。

 私は、やはり厚生年金病院は、例えば事業税を払っていない分、公的だと思います。あるいは、そこの建てている施設についても、土地についても住民税等々は免除されております。それだけの公共性のかわりに、公的に大事な小児救急医療を担っていただいたり、リハビリ医療を担っていただいたりするわけです。

 だからこそ、今この場で私は大臣に伺いたいのは、一体、厚生労働行政の中で、これから公的な医療ということをどう位置づけていくのか。先ほど、五島委員の質疑の中に、私は極めて明確な答えがあったように思います。

 一つ一つばらばらに売り払われると、個々の病院は十分能力を発揮できないばかりか、まず医師が集められなくなるのです。ネットワークしていることによって、そこでの医師の充足なり研修なりも速やかに運びます。大臣はそのようなことを考えたことがおありでしょうか。私は、現場にいて本当にそういうものを幾つも見てきました。今ここでばらばらに売り払う、このことがネットワークを壊し、公的医療の役割を壊し、小児医療をなくす、この大きな、私は懸念じゃなくてもうすぐ来る現実だと思います。

 大臣は、そういうネットワーク機能ということをお考えになったことがおありかどうか、そして、そこでまず、どんな人たちが動揺し去っていくかということをお考えになったことがあるかどうか、お願いします。

尾辻国務大臣 先生は医療の専門家でいらっしゃいますし、まさに現場にもおられますから、十分にそうしたものを御承知であることは、今お話しのとおりであります。それに比べて私が現場を知っているかというふうにお尋ねになりますと、とても先生の域に及ばないと申し上げざるを得ないところであります。

 ただ、小児医療につきましても、小児科の先生が自殺をなさったり、幾つかの悲惨な例があるということも承知はいたしておりますから、小児医療、そして特に救急医療の必要性、そしてまた今日置かれておる状況、何とかしなきゃいけないという状況にあるということは承知をいたしておるつもりでございます。したがって、そのことについても、全力を挙げて厚生労働省としても取り組みたいと思っております。

 両方、私どもにとっては大切なことである。両方と申し上げましたのは、先ほども申し上げた、年金に対する国民の皆様方の信頼を取り戻すということと今の話を両方と申し上げたわけでございますが、どちらもまた欠かせない大事なことであるというふうに思っておるわけでございます。

 そこで、病院一つ一つということと、まとめて考えるということについてのお話もありましたけれども、これはそれぞれまた考え方があろうと思います。一つずつの立地条件などを見ながら、病院を見ながら売却するというか考えていくということも必要でありましょうし、また、幾つかの病院をまとめて、それがまたさらに大きな機能を発揮するという考え方も当然あろうと思いますし、これは、今後の、どうするかということの中でまた、そうした御意見などを踏まえながら私どもも対応してまいりたいと存じます。

阿部委員 今、郵政民営化でも、いわゆる郵便局のネットワーク機能を活用して、それは金融にももしかして活用できるかもしれない、簡易保険でも生きるかもしれない、そういう論議を私たちは一方でしているわけです。そのときに、ばらばらに売っ払って、そして、まして、きょう、もう一つ気になる答弁がございました。簡単な言い方ですが、保養ホームは一体的な運営ではないから先に売り払うと。しかし、保養ホームと厚生年金病院も、相乗効果でおのおの価値を高めております。これをばらばらにしたら、実は二、二が四の効果が一、一になるようなことも生じてまいります。

 私は、今回のこの法案、大臣が何度も国民のニーズと言われていますが、やはり、最大限そのおのおのが力量を発揮できるようにするために連携させたり、込みで考えたりする必要があると思います。保養ホームと厚生年金病院の一体的なつながりのもたらすメリットについて、大臣にもう一度御答弁いただきたい。ばらばらにするよりも相乗効果があると私は心得ますが、大臣はいかがですか。

尾辻国務大臣 厚生年金病院に隣接して設置されております厚生年金保養ホームは、病院との連携のもとで、食事療法でありますとか運動療法等を必要とする方々に、栄養士による栄養相談でありますとか温泉を利用した滞在型のリハビリテーションを行って、利用者の社会復帰に貢献してきたと認識をいたしておるところでございます。

 このような厚生年金保養ホームは、地域の保健医療に貢献している施設であることから、その譲渡に当たりましては、施設の中心的な機能を維持することを条件とした、私どもが申し上げております一般競争入札というこの原則は崩せませんので、その原則によって行いたいというふうには考えておるところでございますけれども、厚生年金保養ホームが地域に果たしておる必要な機能は維持できるように努力したいと考えております。

阿部委員 私の質問はもっと簡単で、両方がドッキングしていることによって厚生年金病院の機能も上がっているんだということを大臣には御理解いただきたいんです。これがないとやはり、私は、実はきのう、湯河原の厚生年金病院と保養ホームに行ってまいりましたけれども、見ると聞くとは大違いだと私も思いました。やはり、こうやって日本の中で二十年近く前に、いわゆるリハビリの、そしてかなりゆったりした、日本人が大好きな温泉というものを活用した施設があり、それが厚生年金病院の価値をも高めているということは、これ以上大臣に聞いても繰り返しになりますのでお伺いいたしませんが、ぜひ御認識いただきたい。

 そして、大臣がいうところの国民の声というところですが、実は国民というのはとても取りとめがなくて、でも、大臣がお聞きになっていない大事な相手があると私は思います。社会保障審議会の年金部会に、連合という労働者の労働団体の代表と企業側、両方出てこられていますが、厚生年金の保険料をお納めになっている、負担した方々の代表であります。なぜ、厚生年金の納めた代表者であるところの、企業も負担しておられました、社会保障審議会年金部会で、この独立行政法人のこういう機構でやるんだ、ここに保険料を使っていいかということをお聞きになりませんでしたか。

 私は、こんな売っ払いにも、あるいは、独法というへんてこりんなものをつくって不動産鑑定士ばかり入れ込むこの機構にも、実は本当は聞かなきゃいけないのは保険料を納めた方たちの代表である連合の皆さんや企業の皆さんだと思いますが、そこには一回も諮問されていないと聞きます。大臣、いかがですか。

青柳政府参考人 手続的なお話でございますので、私の方からお答えをさせていただきたいと存じます。

 まず、今回の私どもの年金・保険福祉施設の整理合理化につきましては、あくまでも、制度をいじるという問題ではなくて、事業の運営という観点であるというふうに位置づけをしております。したがいまして、そういう観点からいたしますと、実は昨年の秋から動き出したわけでございますが、社会保険庁の事業運営評議会という組織を実はつくらせていただきました。ここではまさに、そういった社会保険庁の行っておりますさまざまな事業につきまして、その運営について御意見をいただく評議会という組織を動かさせていただいたわけでございます。

 この中では、数回にわたりましてこの年金福祉施設の整理合理化の問題を私どもも問題提起として取り上げましたし、最終的に機構法案ができましたときには、この法案をお示しして、御意見を賜るというやり方をさせていただきました。この中には、大変口幅ったい言い方でございますが、労働組合の代表の方や事業主の団体の方も入っておられますので、その御意見も踏まえた上で最終的な対応をさせていただいているということについて、御理解を賜りたいと存じます。

阿部委員 参議院での参考人招致の中で、労働団体の代表である方が、自分たちの声が反映されていないという御指摘がございます。青柳さんがそうやって準備され聞かれたと言われることと当事者団体の間に、ずれがあるわけです。間違いなく被保険者の団体でございます。

 私は、その意味においても、この法案には瑕疵があると思います。きちんと国民の声を聞くとは、漠然と社会保険庁への批判を受けて、そして、トカゲのしっぽ切りのように、事なかれ主義に全部売っ払って、それこそ身ぎれいになってという、もしかして大臣の表現の中にはそこまであったのかな、そういうことではないんだと思います。

 厚生労働行政と、そして本当の被保険者の声を聞く努力を、今の青柳局長の答弁でも私は納得できませんが、大臣にもう一度伺うのも、これも指摘だけにとどめさせていただいて、私が願うところの主体的総括という点に移らせていただきますが、もう一点だけ大臣にはお願いいたします。

 今、この独立行政法人に四十一人の職員をお雇いになるというお話ですが、そして、そこのトップには民間事業者をお据えになる。きょう新聞に出た、例えば銀行の管理運営の経験のある方をお据えになるかもしれません。しかし、私は、この四十一人の中に必要なメンバーがあるとしたら、それはやはり医療行政や福祉行政にきちんとした見識をお持ちの方、そして、そういうことからして他の施設とは違うわけです、他の不動産とは違うわけです。ここが私は、今、例えば経済財政諮問会議も、あんないいかげんな会議はないと思うのは、医療関係者が全くいないところで、とらぬタヌキの皮算用的に、医療から幾らもうかるかという話ばかりをしております。

 大臣は、経済財政諮問会議に対しても一定の批判をお持ちだと思います。それはなぜかというと、厚生労働行政を預かれば、金算段だけではいかない。命がかかって、そして、そこで一番大事なものが見えてくるからであります。残念ながら、今度の独立行政法人の設置の中にはその例えば医療行政的視野、福祉行政的視野は見えませんが、そのことについて大臣はどうお考えですか。

尾辻国務大臣 独立行政法人をつくるということでお願いいたしましたこの御議論の中で、いろいろまた御指摘もいただきました。

 その中で、なぜ独立行政法人をつくらなければならないのかと私どもが考えました根拠の一つとして、売却するものの中に、こうした病院もあるし、また老人ホームもあります。そういうものの売却に当たっては、ただ単に売ればいいというものではない、独特の、そういう施設の持っているまさに機能があったり事情があったりする、そうしたものも考慮して売却しなきゃいけないわけでありますから、そこで、売却に当たってもそういう公的な面を持つということから、ぜひ独立行政法人にさせてくださいという御説明を申し上げたものでございます。

 したがって、お認めいただければ、新しくつくりますこの独立行政法人の中では、そうした視点は十分取り入れながらやらせていただきたいというふうに存じます。

阿部委員 今大臣がおっしゃった点は、参議院での先議の中でも具体的には浮かんできません。口を開けば青柳さんが不動産のお話。私たちは、そういうことでこの国民の大事な財産が扱われるのを本当に看過できません。それから、厚生労働行政がどこかに吹っ飛んでしまうことも賛成できません。

 最後に大臣に、きょう、大きな私の資料がございます、お目を通していただきたいですが、「健康管理センター設置前後の健診受診件数及び受診率」という表でございます。これは、全国十五カ所にございます、政府管掌保険の中からつくられた健康管理センターの業務の推移でございます。昭和六十二年にこの健康管理センターがつくられてから、主に政府管掌保険の被保険者で四十歳以上の方を対象に、受診率を経年的に追ったものでございます。

 私は、すべての厚生労働行政をきっちりみずから総括していただきたい。この六十二年から今日までにわたる受診状況と、それから、今後政管健保が、あるいは社会保険庁から分離されて独立した形で都道府県にゆだねられるかもしれない。そのときに、やはり健康管理センターの役割は都道府県にとっても大きくなってくる。それを今この中途半端な段階で売っ払う、一般競争入札にするという点も納得できません。社会保険庁については、平成二十年の秋に、医療保険をめぐる、政管健保をめぐる新たな制度ができ上がるようにも、有識者会議、五月三十一日、答申がされております。

 まず、この件に関しての主体的な総括。健診業務をこれから例えば国が都道府県にお願いする場合に、今、売っ払って、果たしてどうなるものか。そして、なぜ社会保険庁の今後のあり方の形が決まるまで待てないのか。この三つについて、恐縮ですが、大臣、まとめてお願いします。

尾辻国務大臣 まず、社会保険健康管理センターが果たしてきた役割についてでございますけれども、政府管掌健康保険の被保険者等の健康の保持増進を図ることを目的といたしたものでございまして、そうした中で、被保険者等の疾病の予防活動でありますとか、早期発見等の二次予防のために各種検査を実施することなどをいたしておりまして、被保険者等の健康の保持増進に役割を果たしてきたというふうに考えております。そうした意味で、役割を果たしてきてもらったというふうに考えておるわけでございます。

 ただ、そうした生活習慣病予防健診については、最近では民間医療機関を中心とした健診実施機関数が拡大いたしておりますし、また、健診単価の引き下げによる受診者数の数もふえておりますので、そうした意味で、充実がさらに進んできたというふうに思っておるところでございます。したがって、今この社会保険健康管理センターを売却しても、そうした流れは既にでき上がっておるというふうに考えておるところでございます。

 また、なぜ待てないのかという最後の御質問でございますけれども、これは、今回こういう法案を出させていただく、それは、このタイミングであるというふうに判断いたしましたから、全体を通しての法案として出させていただいたということでございます。

阿部委員 中小企業の置かれた実態、そこで働く労働者の健康状態、そして今後それを受けていかねばならないであろう地方自治体の大事なツールを奪うこの売り払い法案は、二重の犯罪だと思います。

 以上申し添えて、私の質問とさせていただきます。

鴨下委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鴨下委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。山口富男君。

山口(富)委員 日本共産党を代表して、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法案に対する反対討論を行います。

 反対する理由の第一は、この間の社会保険庁をめぐる一連の諸問題、すなわち年金財源の流用や採算無視の巨大施設への資金投入、監修料など特定事業者との癒着、官僚の天下りなどについて、責任の所在と十分な解決策を示さないまま、身ぎれいになると称して年金や健康保険の三百二十八施設の廃止、売却を強行しようとすることです。これでは、解明されるべき肝心の問題を施設の売却にすりかえるだけで、国の責任逃れであると言わざるを得ません。

 第二に、対象となる施設は、それぞれ固有の価値を持ち、公的必要性の高い施設があるにもかかわらず、一律廃止、売却を強行することです。戦後、半世紀をかけて培ってきた貴重な医療、福祉資源の売却は、地域医療と生活に不安と混乱をもたらすものです。

 しかも、対象となる三百二十八施設の二〇〇三年度収支は七七%が黒字で、これまでの累積黒字は約五百五十億円であり、この点からも廃止、売却の理由は成り立ちません。一方、本法案で設立しようとする独立行政法人の経費は五年間で三百億円かかります。黒字である施設を売却するのに三百億円も使う、これこそ年金問題で批判を浴びたむだ遣いそのものであります。

 第三に、廃止、売却に反対する多くの世論に反することです。東京厚生年金病院でも、存続・発展を願う会が地域ぐるみで存続を訴えています。湯布院、湯河原、玉造では、厚生年金病院と保養所の存続、拡充を求める連絡会が結成され、地元自治体、議会、商工・観光界、農協なども参加し、町人口を数倍も超える署名を集めています。存続を願う住民世論に背を向けたやり方は、国民の健康と福祉を増進させるべき厚生労働行政がとるべき態度ではありません。

 以上の諸点を指摘し、反対の討論といたします。(拍手)

鴨下委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法案に反対する立場から討論を行います。

 社会民主党は、昨年、年金改正法案審議の際、年金積立金などの運用をめぐる議論の中で、年金保険料の使途を厳格化するよう強く主張いたしました。しかし、そのことと、現在地域で重要な役割を果たしている厚生年金病院、各種の福祉施設等の運営から国が一切手を引き、それらを売却、廃止するということは、全く次元の異なる問題であります。まず、このことを確認し、以下、反対の理由を申し述べます。

 第一の理由は、これまで年金資金を投入して年金福祉施設等を運営してきた国の主体的責任が一切明らかにされないまま、売却、廃止を強行しようとしていることです。多数の天下りを含む公益法人の運営のあり方、年金財政に与えた損失の点検、施設がこれまで果たしてきた役割の検証、こうしたことを一切行わず、五年以内に年金福祉施設の売却、廃止をするというのは、国民には納得がいきません。

 第二の理由は、この売却、廃止のために新たに三百億円をかけて独立行政法人をつくり、国民の保険料をさらに毀損する愚策をとることです。

 第三の理由は、売却は単に市場原理に基づく一般競争入札がとられるため、国民の貴重な年金保険料で設置された各施設の先行きが全く見えず、利用者や地域住民に多大な不安を与えていることです。それぞれの施設が、国民、地域住民、利用者、入居者にどのような役割を果たしているのか、その役割を今後も継続するためにはどのような方法があるのか、地元自治体の意向はどうなのか、まずこれらの検討がなされるべきです。また、地方議会や地元団体からの存続を求める意見が多数出されていますが、これらは全く無視されたままです。

 第四の理由は、法案が、二十一世紀の健康政策にこれまでの厚生行政をどうつなげていけるのかという視点が全く欠けていることです。特に厚生年金病院は、地域医療の支え手として、また保養ホームと連携しリハビリテーション専門病院として、全国各地からも患者を受け入れている実績があります。また、政府管掌保険の運営とも深く関連した健診の位置づけも放棄されています。

 第五の理由は、雇用への配慮が全くなされていないことです。長年経験を積み、地域の医療、福祉に従事してきた労働者は、貴重な人的財産でもあります。雇用を守る方策がとられるべきです。

 最後に、本法案は、産湯とともに赤子を流すものであり、政府みずから厚生行政を否定するものであることを申し添え、反対討論といたします。(拍手)

鴨下委員長 以上で討論は終局いたしました。


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