第162回国会 厚生労働委員会 第31号(平成17年7月1日(金曜日))抜粋

案件:
 政府参考人出頭要求に関する件
 障害者自立支援法案(内閣提出第三五号)

議事録全文(衆議院のサイト)

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鴨下委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 私も、まず冒頭、先ほどの山口委員と同じお願いを委員長にいたします。

 定足数に欠けること、本日は四回に及んでおります。私も質問中は集中をいたしたいので、委員長の方で定足数が欠けましたらとめていただけますように、よろしくお願い申し上げます。

 冒頭、この法案について尾辻大臣にお伺いいたします。

 障害者の自立支援法ということでございまして、約二週間ほど前に審議が行われ、一たび中断されて、本日を迎えておりますが、本日のさまざまな御回答というのは、残念ながら誠意が感じられない。そして、たくさんの傍聴の障害のある皆さんも、一体だれのための法案をつくるんだろうということを強く懸念されていると思います。

 そこで大臣にお伺いいたします。

 大臣がこの法案で対象となさる障害者、この方たちについて、大体、大臣はどのようなイメージ、アイデア、考えをお持ちになっておられますでしょうか。

尾辻国務大臣 どういうふうにお答え申し上げるべきかと思いながら今ここに立たせていただきましたけれども、一口に障害のある方と言いましても、まず大きく三障害あるわけでございますし、また、それぞれの障害の中でもそれぞれの程度があるわけでございまして、さまざまな障害の方々、お持ちの方々というふうに申し上げざるを得ないところでございます。

阿部委員 大臣と共通認識に持ち込みたいというか持ちたいのは、一つは、やはり障害のある御本人が決定の主体である、御本人である、自己決定であります。そのことを忘れると、この法案がだれのために、例えば適切なサービス量をだれが判断するのか。本人の希望が第一にあって、その方が、自分が持っている障害ゆえにさまざまな、あるいは、自分に内在する障害ではなくて、例えば、道の段差でもそこにあれば障害になります。それを少しでもなくしていくための法律であるということですから、御当人が何を障害と感じるかということは出発点になります。そこを欠いて法案の審議をいたしますと、いわゆる障害者を殺さぬよう生かさぬようの法案になってまいります。

 もう一点、大臣に御確認いただきたいのは、やはりあくまでも今回の自立支援法は、三障害と言われます精神、身体、知的、そういう今までの法体系をただくっつけるということにしかなっていません。さまざまに言われる、世の中で言う谷間の障害、今回も各委員に指摘されました。そして、これがもしグランドデザインに基づいたものであれば、大臣が障害ということをどうお考えか。障害とは自分と環境の間にあるバリアであるというふうにお考えいただきたいのですが、その点は共通認識でよろしいでしょうか。

尾辻国務大臣 今、たしか、自分と環境との間にあるバリアというふうに表現されたように思います。

 私がそこの理解は十分でないかもしれませんが、とにかくは、障害ということは、どういうふうに言えばいいんでしょう、大きな障害の場合はそうでしょうけれども、私どもはいつ何どきまた障害者になるといいますか、そういったようなことにならぬとも限りませんし、また、小さな障害ということでいえばいろいろ障害はみんなも持っておるわけでございますから、そんなにまた障害というのを、障害者と健常者というのをきれいに分けるようなそんなものではない、お互いに社会生活を一緒になってみんなでしていくということが大事なんだというふうに認識をいたしているところでございます。

阿部委員 何でこんなそもそも論を言わせていただいたかというと、私は、ちょっと午前中の大臣の答弁で非常に懸念される点がありました。障害のある方にも、ほかの方と同じように、やはりサービスを利用したらその利用料をお支払いいただくんだ的な発想を私は答弁の随所に感じました。

 しかしながら、この法律の意味するもの、あるいはもう十年以上になります障害者基本法の意味するものは、障害がおありの方と、今かりそめにないとした方が同じスタートラインに立てるよう、同じように生きていけるよう、同等、対等に生きていけるよう、いわば障害のある方にとってバリアとなっているものを取り除いていくわけですから、この方たちのサービス利用は、そのことによって初めて他の方とイコールなスタートに立てるということです。そのイコールなスタートに立つために御負担いただくんだというのでは、障害者の置かれた状況は改善されないのです。この根幹が狂ってしまうと、何のための法案審議かが私は吹っ飛ぶと思います。

 大臣のお心の中に、ほかの人だって負担しているじゃないか、だから、障害のある人にも悪いけれども負担してちょうだいというんだったら、それは、現存する障害を負ったゆえの差別やマイナスをそのままその人に何かしらの努力をさせて越えさせようとする、努力の一部がお金だったり、あるいは自立という言葉、これも極めて二極に揺れるものです。

 大臣、もう一度確認させてください。これは、障害のある人がない人とイコールに一緒にやっていけるために、障害のある方のバリアを取るために必要なサービスをする法律ですよね。

尾辻国務大臣 この法律を自立支援法と言っておることがまさにそのとおりでございまして、今のお話でいえば、自立支援という考え方でございますから、そのとおりでありますというふうに申し上げます。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

阿部委員 大臣もきょとんとして申しわけないのですが、何でこんな、本当に何を聞いているんだろうと思われるかもしれませんが、何度も何度も恐縮ですが、バリアを取るということです。そのために、それは、御本人がそのバリアが少なくなるように受けたさまざまなサービスは益ではないということです。バリアが取れて初めてイコールに進んでいけるということであります。ここをまず一点、きょうは確認させていただいて、二点目の質問に入ります。

 さて、大臣、今回この法案で対象となさっている大臣の描く障害者、数とその方たちの生活状況、所得状況、就労状況についてはどの程度情報をお持ちでありましょうか。

尾辻国務大臣 大きく申し上げますと、障害者の数は約六百万人というふうに承知をいたしております。

 それから、今、障害者の所得の実態につきましてのこともございましたけれども、これについて申し上げますと、例えば、身体障害者の場合には、年収三百万円以上の方が三割いらっしゃる、一方で百万円以下の方が二割強いらっしゃるというふうに存じておりまして、障害者の皆さんの所得状況も多様である、こういうふうに認識をいたしております。

阿部委員 私は、あともう一つ、就労状況もお伺いしたかったですが、今大臣のお示しくださいました所得状況についても、極めて限られた、これはたしか、身体障害を負われてリハビリの施設を経過された方の所得の分析だったと思います。

 もちろん私も、所得の把握が簡単なものとは思っていません。プライバシーもおありでしょう。しかし、障害者の本当にバリアフリーにしていく政策の中には、例えば、今後、我が国が補足的所得の充実策でいくのか、それとも、大臣がいつかおっしゃいましたタックスペイヤーにしたい、これは主には雇用政策でいきます、この二つの流れが、分離するものではありませんが、おのおのの国の障害者の実態を見ながら進められております。

 ですから、私が今大臣に伺ったのは、果たしてどの程度大臣の頭の中に、障害を持たれた方たちの生活状況、所得状況、就労状況がおありの上でこの法律が出されたのか。そもそも、障害者のグランドデザインというのはそのようなものだと思います。

 もし私の問いが大臣の今の即座のお答えにならないのであれば、塩田さんにお伺いいたします。我が国の障害者の自立政策、これは今厚生労働省としては、どちらをということも言えないかもしれません、大枠、グランドデザイン、どう進めようとしておられますか。

塩田政府参考人 私も、今のポストについて、大勢の障害者の方にお会いしましたし、いろいろな場で働いている方とかいろいろな施設におられる方、いろいろな方に会いました。障害を持つ方の置かれた状況はいろいろな状況で、一つの言葉でまとめることが難しいぐらい、本当にさまざまなところで頑張っておられるということだと思います。

 ですから、全体としてどちらに向かうかということを申し上げるのも大変難しい、一人一人置かれている状況が違うということですが、基本を申し上げれば、働ける意欲とか適性のある方はぜひ福祉就労から一般就労に向かっていただきたいと思います。しかし、それができない方は福祉就労でということだと思います。かつ、それでも稼得、収入を得られない方については、年金制度とか手当制度とか、あるいはセーフティーネットの生活保護もありますし、それぞれのお一人お一人に合った対策をきめ細かく一人一人に対してやっていくというのが障害者福祉の基本であろうと考えております。

阿部委員 その割にはきめ細かくないということが、先ほどの山口委員との質疑ですね。その方の状態像を把握していないじゃないか、二次判定と差が出るじゃないかという質疑があったばかりですね。

 だから、言葉だけの答弁はもう要らないんですよ。この審議の中で、もっとリアルに、本当に障害をお持ちの方にどうしていったらいいか。

 大臣に伺います。大臣は、障害者基本法の十三条というのを御存じでしょうか。

尾辻国務大臣 即座にお答えできませんので、今探してお答えをいたしますが、お待ちいただけますでしょうか。

阿部委員 では私が、時間のロスですので。

 障害者基本法十三条、平成五年だと思いますが、「国及び地方公共団体は、障害者の自立及び生活の安定に資するため、年金、手当等の制度に関し必要な施策を講じなければならない。」が十三条です。私がきょう問題にしている所得保障の問題です。

 ちなみに、我が国の障害者の置かれた状況は、極めて不十分な所得保障、極めて低い就労状況、どっちも超低いのです、これは。ここをちゃんと塩田さんに言ってほしかった。よく見れば、ああ、そうじゃないのというのはわかるでしょう。そういうことをきちんと厚生労働省が政府に言ってくれなければ、だれも今必要な施策を本当に決めていくことができないんです。

 では、塩田さん、もう一回、所得保障は十分だと思いますか。

塩田政府参考人 日本の障害者に支払われている所得保障は、昭和六十年だったと思いますが、当時、障害者の所得保障を検討した結果、障害基礎年金という年金制度と福祉サイドからの手当制度の二本立て、それから、セーフティーネットとしての生活保護、そして、働ける方には就労確保、そういう基本的枠組みができておりまして、制度としては体系はでき上がっていると思います。

 前国会で提案していただいたように、無年金の方がいるとか、個別にはいろいろな谷間に置かれている方がまだいることは事実だろうと思いますが、政府としては、完璧とは言えないかもしれませんが、累次の改正で充実強化に努めてきている状況にあると思います。

阿部委員 制度としてはあっても、額が低ければこれが問題なのです。何をもって充実強化に努めていますか、塩田さん。あなたがそうおっしゃる内容を言ってください。

 私は、きょう皆さんのお手元に、ずっと障害者年金の平成六年から十五年までの額を書いてございます。これは厚生労働省につくっていただいたもので、現在百三十三万人が受給、上段です。額は七万五千四百二十二円。ちなみに、この額は生活保護の扶助額より低いものです。ずうっと変わらない、障害者基本法ができても十年変わらない。下には、今塩田さんがおっしゃった特別障害者手当、あるいは、お子さんの場合は特別児童扶養手当、これもずうっと変わらない、何にもふえていない。

 尾辻大臣に伺います。制度の枠ができて、障害者基本法ができました。十三条には、「国及び地方公共団体は、障害者の自立及び生活の安定に資するため、年金、手当等の制度に関し必要な施策を講じなければならない。」とあります。では、この十年、必要な施策はなかったんでしょうか、何か講じられたでしょうか。

 まず、塩田さん、これは年金と手当ですからね、この障害者基本法十三条。答弁をお願いします。

塩田政府参考人 昨年の年金改革におきまして、障害年金制度の改善が一つ行われておりまして、六十五歳時点で障害基礎年金と老齢厚生年金の組み合わせを選択するということが可能になる、これは一歩前進だろうと思っております。

 それから、昨年の秋の臨時国会で、先生方に特別障害者給付金の制度をつくっていただいた。

 それから、年金、手当ではありませんが、今般、障害者雇用促進法を改正していただきまして、精神障害者の人の雇用についても一歩前進が見られた、そういった改善があったところでございます。

阿部委員 まず、三番目のはずるいです。私は今、年金と手当と聞いているんだから。障害者基本法十三条は「年金、手当等」と書いてあるのです。二番目におっしゃった無年金障害者問題は、それこそ超党派でできましたが、厚生省が自分たちの政策的な不備をみずからの手で直したものではありません。なぜ無年金が発生したかということの主体的な総括もありません。一番目について言えば、微々たるものです。それだけをもって、十年間放置してきたことを何ら言いわけできるものではありません。

 午前中、大臣は五島委員の質問に対して、これから障害者の所得保障についてもっと前向きに検討するとおっしゃいました。十年間ほったらかしだったんです。そして、ここに来て決めたものは何か。先に金を取る法案です。障害者も、あなたも人並みになるには利用料が要りますよという法案がこれです。金を取って、所得保障の方は置き去り、置きっ放し。今からじゃ困るんです。

 この法案を出す前に、大臣には、所得保障に向けたプログラムを出す、この十年間の不作為を補う役割が私はあると思いますが、いかがですか。

尾辻国務大臣 いろいろお話しになっておりますけれども、私ども、今所得保障というその所得の部分で先生が話題にしておられる部分、すなわち年金、手当という部分について申し上げますと、まず障害基礎年金二級の分が老齢基礎年金と同じ額にしてあるわけでございますから、十分であるかないか、いろいろな御議論はあるでしょうけれども、やはりそこは国として、これを整合性というかどうかは別といたしますけれども、そこのところで合わせてある、それなりのことはさせていただいておるというふうに思うわけであります。

 それに対してまた手当を乗せておるわけでございまして、今日の財政事情、ずっと続いております経済事情を考えますと、手当の額がそう上がっていないということについての御議論はまたあろうかと思いますけれども、これも、このところのいろいろな事情を考えますと、精いっぱいやらせていただいておるということは言えるのじゃないかというふうに思います。

 そうした中で、今後のことをどうするかということでございますけれども、所得ということをいうと、もう一つ、先ほど部長も答えましたけれども、まず就労ということもあるわけでございまして、そうしたようなことも含めて私どもは今後の施策を考えていかなきゃならない、努力をいたしますということを先ほど来お答え申し上げておるところでございます。

阿部委員 大臣も数値を見ればおわかりだと思います。努力する、努力するといったって、何にもふえていないのです。これで、ここからお金を取る法律が、今回の障害者自立支援法という名の定率、応益負担を強いる法案です。手順が違うと思いませんか。順番が違うと思いませんか。大臣、せめて所得保障がなされるまで負担を待てというのが野党の意見だったと思います。なぜこの順番が逆転してよいのですか。十年間何もしていない。数値は、びた一文上がっていないどころか、下がっているんです、百三十三万人の平均した年金額は。手当も何もふえていない。

 私は、大臣配下の優秀な厚生労働省の前途ある役人の方に、OECD諸国でどんな手当がどんなふうに工夫されているか、あるいは労働能力を失ったための年金がどのように体系立てられているか、調べていただきました。時間もかかりましたが、よくやってくださいました。

 日本よりも本当に重層的に考えられています。例えば、重度の方にはそれだけで重度の手当、重度の介護者には介護者手当がきちんと個人単位で払われます。今我が国のやろうとしていることは、全部その決定権を厚生労働省が持って、認定して、あんたにはこれだけ必要だからあげるよと。全く逆転しています。

 大臣、もう一度最初の答弁をお願いします。

 なぜ、所得保障が据え置かれたままで先に負担をお願いする法案が出るのですか。それは現状を悪化させるじゃないですか。その点についてはどうでしょう。

尾辻国務大臣 これは、このところ措置制度から支援費制度に変えた。そして、その支援費制度の中でやってきて、急に利用する皆さん方の数もふえまして、支援費制度という制度そのものを維持することが大変財政的にも厳しくなってきておるという状況を踏まえて、私どもとしては、とにかくこうした制度を維持していかなければならない、何とか障害者の皆さんに対する必要な予算を確保しなきゃならない、まずそのことを考えて、今回のお願いも、みんなで支え合ってまいりましょうということを申し上げているところでございます。

阿部委員 大臣はよくわかって答弁されているんでしょうか。みんなで支え合うといったって、さっき言ったイコールのスタートラインに立つために、そこまで行くのに金を出せと言っている法案なんです。だからこれだけ反対しているんです、みんな。

 苦しいことはわからないではありません。でも、大臣がまず第一にやるのは、私がこの法案の一番目の一番先の質問でいたしました、OECD諸国中最も低い障害者施策に対しての政策費、どこにもないくらい低い。だから年金総額も手当も少ない。そうしたら、まずそれを大臣がみずからの見識で谷垣大臣にも小泉さんにも言っていただいて、これじゃ障害者にお願いするにもお願いできません、だからもう少し所得保障を、もう少し手当を、そうあって初めて片方の障害者に負担がお願いできる問題ではないですか。なぜそれをされませんか。お願いします。

尾辻国務大臣 財政当局とは、随分と私どももいろいろな折衝をいたしております。

 そうした中で、今具体的に先生が言っておられることについて、私どもが要求をいたしておるところではございませんが、いろいろなその他のことについて、私どもも、財政当局を何とか説得をしたい、しなきゃならないということで、随分、平たい言葉で言うとやり合っておるところでございまして、私どもが何にもしていないということではないことだけはぜひ御理解いただきたいと存じます。

阿部委員 しかし、その交渉事の根幹を過てば、結局は負担を全部障害者にツケ回すことになるわけです。やはりきちんとした障害者基本法十三条を実施してください。

 私は、大臣に次の回の委員会までにお願いがあります。所得保障に向けたアクションプログラムをお出しいただきたい、年次経過を入れて。そうしましたら、あと三年我慢すればいいんだったら、少しは死なずに済むでしょう、ためたお金も食いつなげましょう。しかし、何にも先が見えないのです、今のままだと。障害者の所得保障、年金、手当、就労。就労は本当にまだまだ低いレベルです。

 これと、しかし一方で、十三条の言う年金手当も、必要だからこそ基本法に書かれたんです。何でもこのごろは基本法を無視するのがお好きです、今の政府は。郵政民営化でも、省庁の改革基本法は無視というありさまです。しかし、それじゃ国民との約束事が果たせない、障害者との約束事も果たせない。基本法は紙っぺらになってしまう。

 大臣、お願いします。今度の委員会の審議までに、大臣がお考えになる所得保障、年金、手当、もう大臣の部下には諸外国のことを勉強された方がいます、大臣の尾辻プランをお出しいただきたいのが一点。

 あと、時間がないので、もう一点、きょうはどうしてもここだけはということをやらせていただきますが、実は、障害者の基礎年金は、先ほど申しました生活保護の生活扶助額より低い額になってございます。年金局長、この理由は何でしょう。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御承知のとおり、我が国の公的年金は拠出制を原則として負担と給付のバランスで成り立っておるわけでございまして、その中核が老齢年金であるということも御承知のとおりだと思います。障害基礎年金を例にとりますと、こうした老齢基礎年金とのバランスに配慮してその水準が設定されているわけでございます。二級の場合に満額の老齢基礎年金と同額で、一級の場合はその二割五分増しということでございます。

 そうした中で、こうした障害基礎年金の受給者は、先ほど先生御配付いただいた資料の中でもありますように、約百三十万人いらっしゃいます。

 生活保護は、自立した生活に必要な生活基盤、資産を全く有していない者でも最低限度の生活水準を保障できるように設定され、さまざまな調査や資産を活用した上で不足額を差額として支給するものでございます。

 確かに、生活扶助基準と障害基礎年金との数字というものは、扶助基準も地域によって違いますけれども、違いがございます。また、基準と実際に支給されている生活扶助額との間でも、約七割というような数字もあるようですが、実態上の違いもあるようでございます。

 いずれにいたしましても、制度の趣旨が全く異なりますので、障害基礎年金と生活扶助基準というものを単純には比べるべきものではないというふうに考えております。

 なお、御配付いただきました資料の中にも、約十万世帯の被保護障害世帯の数字がございますが、百三十万人の中でそうした数字でございます。また、障害基礎年金の受給世帯というものでいえば、約五万世帯というふうに承知しているところでございます。

阿部委員 いろいろ多岐にわたって答えてくれましたが、大事なことは答えられなかった。生活扶助ということは、その人が生活していくための最低限の扶助です。では、障害者は最低限生きなくていいのですか。一つ。

 それから、子供のうちに障害になった方に対してと、大人になって以降障害者になった方では、国の税の補てんの比率が違うと思います。この点について、私はちょっときょう時間を切らしましたので、大臣が先ほど、子供たちの医療についても同じ負担をお願いすると言いましたが、この障害者の基礎年金においてすら、子供たちのような、小さいころから障害を抱えて生きた子には税の投入額が多いのです。恐縮ですが、この次までに勉強していただいて、なぜそういう仕組みができたのか。

 拠出はしていません、子供だから。だけれども、子供のうちから重い障害を負って生きてきた子に対して、基礎年金を給付するときにそれなりの、国は六割を入れています。ほかの障害基礎年金では、国は現状三分の一で、それを二分の一に上げるということだと思います。それだけの配慮がなされてきたわけです。

 私は、何も子供だけがよければいいとは思いません。ただ、子供に対しての今回の仕打ちは論外ですし、この社会が子供を要らないのかと思うほど私は立腹しますので、恐縮ですが、大臣にこれを宿題にしますので、よく事務方とお話しいただいて、なぜ障害基礎年金においても子供たちにおいては税補てんが多いのかということで、認識を深めていただきたいと思います、次回に。いいですか。

尾辻国務大臣 いろいろお話しいただいたようなことは改めてまた調べさせてもいただきますけれども、一点、ぜひ申し上げておきたいことは、財政的な裏づけのない数字を幾らお出ししても、これは絵にかいたもちにしかなりませんので、そのことだけはぜひ御理解をいただいておきたいと存じます。

阿部委員 しかし、実態としての生活がかかっていますから、それが保障されなければ何の意味もありません。

 終わらせていただきます。

北川委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。


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