第162回国会 厚生労働委員会 第34号(平成17年7月13日(水曜日))抜粋 案件:
政府参考人出頭要求に関する件
障害者自立支援法案(内閣提出第三五号)
労働安全衛生法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)
○鴨下委員長 次に、阿部知子君。
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
昨日の社会保障審議会における厚生労働省側からのさまざまなデータの誤り等々について冒頭御報告がございました。
私は、昨日の社会保障審議会を傍聴させていただきましたが、そこで感じましたことは、各委員も含めて数値の誤りということのみに終わらせているように思います。私が社会保障審議会にお願いしたかったものは、公費医療といいますか、国庫負担で行われているさまざまな医療、三十二条、それから更生医療、育成医療、公費負担医療のこれまでの役割とこれからが、果たして本当にこの自立支援法という枠内に取り込まれて十分に機能するのかどうかという問いでございました。残念ながら、社会保障審議会の中でもほとんどこのことの論議はございません。また、はっきり申しまして各委員も関心が薄いと思います。
私は長年医療の現場におりました。そして、子供たちを育てる育成医療は私自身の小児科医の人生と重なっております。難病の子を抱え、手術の必要な子を抱え、お父さん、お母さんの苦労をすぐそばで見てきました。そういうことが今後どんな負担で振りかぶるか、あるいは本当に自立支援医療というもので賄えるのか。障害を未然に予防する育成医療と障害をサポートしていく自立支援医療については概念そのものが違っております。そうしたものをまるで論じない。この国会審議もそうでありました。社会保障審議会も、残念ながらそうであると私は言わざるを得ません。そのもとは、皆さんがお出しになったデータが不十分であるということからもきていると思います。
私は、本日ここで、尾辻大臣が冒頭おっしゃったような実質的な影響が本当に少ないのかどうかということについて幾つかの質問をさせていただきます。
社会保障審議会のみならず、私ども委員にも、また自立支援医療制度運営調査検討会においても提出されておりますのが、皆さんにお示しのきょうの私の資料の一枚目でございます。私はこのことは繰り返し取り上げてきましたが、果たして、この一番下の課税世帯一、二割という数値が本当にどのように調査されて、世帯ということをどうやって確定したのですかということを塩田さんにお伺いいたしました。そうしましたら、いただきましたお答えが、七月八日ということでいろいろお答えをいただきました。しかしながら、ここに書かれているものは、これは御本人が直接記入する御自身の収入についての調査であるということしか私はいただいた結果からは読み取れません。
塩田さん、もう一度伺います。これは本当に世帯を勘案した、あるいは世帯にかかわるデータを信憑性を持って皆さんに公表できる数値でしょうか。お願いします。恐縮ですが、きょう十分ですので簡略にお願いします。
○塩田政府参考人 精神通院公費負担医療の利用者の方々の所得の分布については、現在あるデータに限界があるということを前提にお聞きいただきたいと思いますが、ない中でいろいろなデータを活用してやったということで、患者調査と日精協が行ったサービスニーズ調査に基づいたということでございます。
ニーズ調査の中で御本人に記入していただきましたが、その際に、きょうの、後ろにあります、この三枚目に書いておられるような聞き方で、あなたには現在次のような収入がありますかといった趣旨を聞いていますので、そこで聞かれた数値は明らかに個人のデータ、個人の収入だと思いますが、では世帯に置きかえる場合にどんな数値があるかとなると、私たち根拠のある数値を持っておりませんので、とりあえずその数値で置きかえてしたということでございます。それはあくまで推計でありますので、その数値だけではなくて、ですからここには約一割から二割という数値で推計ということで、限界がある中でぎりぎりで出した数値ということで御理解をいただきたいと思います。
○阿部委員 世帯を推計させるものは何もないじゃないですか。だったら、ここは訂正してください。これは個人の所得ですね。個人の所得ですね。塩田さん、イエスかノーかで一回で答えてください。
○塩田政府参考人 ニーズ調査のその欄の数値は、聞き方からして多くの方は個人の収入を書いたものと思われますが、そのことだけをもって全体を決めつけたわけではなくて、あくまで推計ということでお示ししておりますので、限界があることは御指摘のとおりだと思います。
○阿部委員 私は、今この段になってこんなことをやらなきゃいけないのが非常に残念です。推計させる根拠を出してくださいとあのときも申し上げました。推計させる根拠は一貫して出されていません。であるならば、正直に真実を、これは個人の所得であると言われたらどうですか。なぜそこで今の段でもごまかされますか、そうやって。推計させるデータなど何もない。ここで聞かれたものは個人の所得じゃないですか。何をもって世帯を推計しましたか。
そして、もう一つ。私はきょう本当にこの段でこういううそを指摘するのは残念ですが、もう一つございます。
このニーズ調査、皆さんにお配りいたしました私の資料の三枚目です。ここでは、果たしてこの調査は精神科通院、三十二条の方を対象にした所得調査となり得るでしょうか。塩田さん、この調査は精神科通院、三十二条の方を対象にした調査となり得るでしょうか。今私たちが必要としているのは、三十二条をお使いの方の所得の把握、分布、これからの医療負担の額、そして、逆に言えば国として手当てしなきゃいけない予算の額です。しかし、これは三十二条をお使いの方の調査になりますか。お願いします。
○塩田政府参考人 御指摘のあったデータは三十二条に限らずその他の方も含んだ調査であるということでありますが、要するに、精神障害者に関するデータが非常に不足しているということの中で、初めての調査の中の初めての項目を利用しながらぎりぎりの数値としてお示しをしているということであります。
○阿部委員 塩田さん、正直だと思います。これは三十二条以外の方も含んでいるのです。私たちがここで審議しなければいけないのは、三十二条の方にかかわる例えば一カ月の医療費あるいは自己負担、あるいはこれからふえるであろう今後の負担、そして予算です。
塩田さんがおっしゃったように、このニーズ調査に記載されたものは、精神障害者保健福祉手帳を所持の方の所得調査です。三十二条をお使いの方の中には、精神障害者福祉手帳をお持ちでない方も半数以上おられます。現在三十二条がどういう方に使われているか、三十二条の実態とは何か、三十二条の役割とは何か、これら一切論じられないから、これは確かに精神障害者の手帳をお持ちの方のある時期外来におかかりの方のデータではありましょう、でもここで審議すべきは、三十二条の存続をどうするのか、振りかえたらどのくらいの人が適用外になるのかです。
大臣、一つ目、世帯所得ではなかった、二つ目、三十二条の方の所得ではなかった、これは審議の前提だと思います。その結果、厚生省が財務省に要求される予算額が変わってまいります。どのくらいの方がどのように今三十二条を利用しておられて、それを自立支援医療に持っていった場合にどのくらいの手当てが必要になるのか。もしも正しい数値が推計されなければ、逆に、ある予算に人を合わせることになります。予算で患者さんの将来を決めていく、逆さの現象になります。
一点目、世帯所得ではない、二点目、三十二条利用実態の所得把握ではない、これはなされていない。この二点について、この段で、そしてそれが予算に関係してくることについてお認めになりますか。
○尾辻国務大臣 部長がお答え申し上げましたように、基本的に、お出しした資料の中の世帯割合約一割から二割、そして推計というふうに断ってはおるようでございますが、お出ししたものの調査が個人の調査からまさに推計したという数字であるということは部長がお答え申し上げたとおりでありますから、私からもそのとおりでありますというふうに申し上げます。
それから、三十二条にかかわるところもそのようにお答え申し上げておりますから、これもまたそのとおりでありますというふうに申し上げます。
ただ、これは部長が再三申し上げておりますけれども、なかなか今、こうしたことの数字、データが非常に乏しい、そうした乏しい中からいろいろ工夫しながら推計して数字を出しておるというその作業をいたしたということだけは御理解をいただきたいと存じます。その数字に基づいてやはり予算要求はせざるを得ないということは、これまた当然のことになろうかと存じます。
○阿部委員 乏しくても、誤ったものを見て予算請求されたら困るんです。それによって支援費も、逆に実際の必要量を見誤りました。その愚を再びこの場で、自立支援法でやることになります。今私が指摘をした、これは個人の所得でしかない、おまけに三十二条の御利用の方の所得調査とは言いがたい、福祉手帳を持った方の調査です。大臣、御存じですか。三十二条の中には福祉手帳を持っていない人が、過半と言っては言い過ぎでしょう、しかし半分かもしれません、現在の三十二条の利用状況。そのことは御存じでしたか。そして、そんないいかげんな予算立てをして本当に必要な自立支援医療が賄えるとお思いですか。
私はとても今の御答弁では納得できない。大臣のは、誤ったものでも、もしもかりそめにも集計があればそれでやってくれというお話ですよね。それはできません、国会の責任において。私たちは、三十二条が果たしてきた役割と、現実にそれを利用しておられる方々が一体どれくらいいて、どのように負担が加わり、では措置すべき予算は幾らなのか、その概略を見せていただきたい。一週間の時間猶予で結構です。なぜなら、精神障害の外来通院の患者さんの三十二条の利用実態は厚生省からも三件上がっています。私がお示しした埼玉の一件も含めて四件あります。
私は、予算が変わってくるからこれを申します。塩田さん、この三十二条関連で、自立支援医療関連で予算のそごは生じませんか。逆に、予算に現実を合わせるのですか。
○鴨下委員長 阿部君に申し上げます。
申し合わせの時間が過ぎておりますので、御協力をお願いいたします。
○阿部委員 わかっています。協力はしたいと本当に、委員長ですから、思います。
しかし、誤ったデータに基づいて、誤った予算措置に基づいてこの審議は続けることができないのではないですか。この点について、大臣、明確にしてください。
○尾辻国務大臣 ただいまの予算に関する御指摘でございますけれども、今度のこの見直しをお願いするに当たっての一番ポイントの一つだというふうに申し上げております義務的経費ということがございます。したがって、義務的経費にしてあるわけでございますから、万が一です、これは万が一予算が足らない、数字が違ってきたということになりますと、まさに義務的経費としてそれは対応せざるを得なくなってくるわけでございますから、きちっと対応させていただきます。
○阿部委員 義務的経費だから予算の見込みがあいまいでよいなどという形で、実際には、更生医療の人数も育成医療の人数も、果たしている役割も、一度たりとも真剣に論議されたことがありません。私は、そうやって本当に人間が生きる基盤の医療ということをないがしろにしていって、皆さんの審議が、あるいは厚生省の役割が、これで果たされるとは思いません。不服も百万ございます。しかし、委員長の裁定で、時間だというならこの質疑を打ち切ります。
しかし、何度も申します。今、大臣は言いました、予算は間違っているかもしれない、でも、義務的経費だから足りなかったら頑張りますと。初めから間違っていることがわかっている、実態がつかまれていないから。そんな調査を検討会にも出し、議員の私たちにも出したということを、私はきょうもう一回質問時間がありますから、きちんとしたおわびと、そして予算額について、この場で答えられないでしょうから、出してください。いいかげんな予算で組んで、財務省からまた言われて、結局は患者負担に振りかえていくやり方を二度と繰り返したくないので、この件をお願い申し上げて、質疑を終わらせていただきます。
〔中略〕
○鴨下委員長 次に、阿部知子君。
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
極めてずさんな資料と、そしてそれをつまみ食い的に積み重ねてここまでやってきたこの自立支援法、自立阻害法とも呼ばれていますが、まず冒頭、大臣にお伺いします。
今、日本という国を船に例えると、日本丸と名づけましょう。この船は、さまざまな財政赤字を抱え、少子高齢化の中で難破船になろうとしております。難破船であったとしても、またうまく乗り越えられたとしても、その乗組員の中で、船に乗る者の中で、一体、だれを大事に、だれを育ててこの国を次の世代に渡そうとするのか。大臣、ここに限られた大きさのパンがあります。このパンを大臣だったら、まず、子供に与えますか、御高齢者に与えますか、障害者に与えますか、自分が食べますか、強い人に上げますか。どうでしょう。
○尾辻国務大臣 今の例えで答えを言えとおっしゃるならば、これはみんなで分かち合うしかないというふうに考えます。
○阿部委員 やはり、それは違うと思うんですね。船からだれを逃すか。いろいろな話があるでしょう。大臣、本当に今の答弁でいいですか。
弱い者、子供、女性、御高齢者などをまず助けるでしょう。それを社会連帯といいます。もちろん、みんな助かればそれでいい。だけれども、ほっておいたら早くに疲労したり、早くに生命の危機にさらされる人にまずパンを分け与えます。それが私は社会の哲学だと思います。大臣の今の答えにはそれが見えません。だから、育成医療のような、子供たちに、数もこれからふえるわけではない、大臣たちが、厚生省が出した資料においてすらふえていくわけではない、そこにすら自己負担を求める、こういう法律が出されるんです。
では、一体、国の少子化対策というのは何ですか。今の大臣の答弁、みんなに分け与えますと。しかし、その中で、自分では暮らしていけない子供たちがまず一番大きな被害を受けます。なぜこの法律の審議の中で、私は、はなから、一から十まで、けしからぬ法案だと思います。だけれども、子供に対しての本当に社会が育てていこうという考え方のないこの法案の枠組み、本当に大臣がこれでこの法体系を考えるのであれば、私は、日本の福祉施策、もちろんそれは障害者問題もそうです、暗黒だと思います。難破船は間違いなく難破するでしょう。そんな審議を積み重ねて、おまけにうそのデータを重ねて、本当に情けないの一言に尽きます。
そして、その情けないことのついでに、朝の質疑の中で、私はもうあのことはあれでやめようと思いました。もう何度もやり、私自身も精根尽き果てました。厚生省の資料の誤りを見つけるのに、次々次々次々うそがあって、事実と食い違って、でも、あなたたちが答弁すればするほどそのうそが積み重なっていっています。きょうの午前中の答弁の中で、私は、精神障害の通院、三十二条の公費負担の患者さんのプロフィール、所得、世帯との同居の実態、一切明らかではないということを確認しました。大臣、それはよろしいですね。三十二条の方の所得は把握されていませんよね。どうでしょう。
○尾辻国務大臣 現行制度のもとでは、プライバシーの問題等から、所得把握が極めて難しいということは率直に申し上げます。
○阿部委員 所得把握が極めて難しい、そして、プラス、うそのデータを出してきた。
何度も言いますが、三十二条については、今厚生省が出していただいたものでは把握されていません。
塩田さん、きのう民主党にお出しになった外来患者さんの所得集計の総数八千七百五十四人の集計のうち、三十二条をお使いの方は何人いたでしょう。あなた方が精神障害者の所得分布だと言ってお出しになった、そして、最初は三十二条の適用の方の項に、おまけに、個人所得ではなくて世帯所得として記入していた。きのう民主党に出された八千七百五十四人の所得の把握データのうち、三十二条適用は何人おいででしょう。
○塩田政府参考人 現行の精神通院公費制度は一律の五%負担制度ということでありまして、所得分布とかさまざまな、データがレセプト以外にないということでございます。
それから、御案内のように、精神障害者に関する問題は、プライバシーの問題もあって、いろいろな実態の把握が大変難しいという大前提の中でニーズ調査というのを初めてやって、その中で何とかぎりぎり参考になる数値ということで使わせていただいたということでありまして、三十二条の方々の所得状況とかそういうデータは把握しておりません。
○阿部委員 そうです。そう言いながら表に出し、今聞けば三十二条は把握していないと言い、大臣、これで審議を進めていいですか。
大臣、今塩田さんは明確に三十二条は把握していないとおっしゃいました。どの委員に配られる表、八千七百五十四人も実は三十二条ではなかった。きのうの夕方六時に民主党に届いたデータも三十二条ではない。聞けば、把握していない。これで審議を進めていいですか。三十二条の精神科通院医療を自立支援医療に転換していくに当たって、果たして十分ですか、その土台は。所得は把握されていない、それが塩田さんの答弁でした。いかがでしょう。
○尾辻国務大臣 ですから、先ほど来部長も申し上げておりますように、今先生がお示しいただきましたニーズ調査による精神疾患による外来受診者所得分布特別集計というこれが、三十二条のものでないということは申し上げておるわけでございますので、決して何かうそを申し上げたということではございません。
○阿部委員 では、申しわけありませんが、朝からもう何度も、これは三度も出ました、配らせていただいている私の資料の一枚目。これは、三十二条の御本人でもなければ、三十二条の世帯でもありませんね。
ダブル確認です。三十二条の御本人でもなければ、三十二条の世帯でもありませんね。何の関係もありませんね。いかがですか。――どうですか。御答弁が遅いならとめてください。
○尾辻国務大臣 これは、申し上げたとおりに、推計の数字でございますので、推計だというふうにして申し上げておるところであります。
○阿部委員 推計しようにも、もとに三十二条の人に聞いていないんです。
では、最初に戻って恐縮です。八千七百五十四人のうち三十二条が何人おられたんですか。三十二条の方の推計をするにも、当てずっぽうになっちゃいます、これは。
先ほどまでは世帯の所得でないということは確認しました。でも今度は、本人が三十二条じゃない。全部とは申しません。一体あなた方がお出しになった、民主党に渡した資料、八千七百五十四人の所得分布、何人が三十二条のものですか。それくらい答えて当然だ。
○塩田政府参考人 日精協で行っていただいたニーズ調査で、この八千七百五十四人中三十二条の方が何人かということは把握されていません。
何度も繰り返し申し上げておりますように、データが限られている中でぎりぎりの推計をして、課税世帯が一割、二割、推計ということで断っているつもりであります。
○阿部委員 塩田さん、やるべきことをやらないで、どこからかわからない、持ってきた推計で、これからこの数値にのっとって、先ほどの大臣の答弁があるわけですよ。これから非課税世帯においては本人と家族を分けることは可能になりますと修正にも書いてありますね。しかし、課税世帯においてはそういう措置はとられないわけです。そうしたら、実際に三十二条のうち課税世帯がどのくらいあるか。せめては三十二条の所得に迫る傍証をつくらないと、この法案を決めてしまったら、そして、課税世帯がここにあるように一、二割じゃなかったら、全く違う形になるじゃないですか。
大臣、これはおわかりですよね。ここには課税世帯一、二割だろうと。しかし、もし三十二条全体を調べて、しかるべく調べてですよ、課税世帯が六割、七割になったら一体どうなるんですか。
先ほど来の修正案だってそうです。課税世帯については分離はされないんですよね、御本人と。どうですか。だからこそこのデータが重要なんです。
○尾辻国務大臣 まず、今、現状では、申し上げましたように、正確なデータ把握に限界がある、したがって推計の数字で出さざるを得ない、その推計の数字を出したということを申し上げました。まずそのことを申し上げました。
それで、今度は、では今後どうするんだというお話でありますから、今後は、新制度で、できて、把握してまいりますと、データはきちんと把握できますから、今度はちゃんとした数字が出てまいりますということも申し上げます。
それからまた、今後の予算確保ということでいいますと、これはもう繰り返し繰り返し申し上げておりますように、義務的経費であるわけでございますから、その確保はできるということも申し上げたいと存じます。
○阿部委員 今大臣のお答えになった二点とも私は違うと思います。
実は、現下でも、三十二条の方の課税世帯状況とかをよりもっと真実に近く把握すべく、来週の火曜までに、日本精神科病院協会と日精診、診療所の団体が患者さんに課税状況を問うアンケート調査をします。来週火曜日にそのデータが上がってきます。これはもちろん、これだって御本人に聞いたんですから、今度だって御本人に聞くのです。その精度は同じでしょう。
そこでもしこの課税世帯割合が一、二割ではなくて六割、七割だったらどうするんだと私は聞いているんです。そして、私はそれまで待つべきだと思います。こんないいかげんな、三十二条の人に聞いたのでもない、世帯でもない、こんな形で法案を進めたら、だれが減免対象か、だれが本人と家族の世帯を分けられるのか、全く見えません。一割と六割では違います。
そして、恐らく、このアンケート調査、日精診と日本精神科病院協会がおのおのにやられますでしょう、患者さんに直に。それほど今精神科の団体は危機感を持っているのです、このうそのデータで全部が進められることに。
課税世帯であれば本人を分離して減免をとれないわけです。課税世帯であれば、例えば、一家にお兄さんがいて弟が精神科に通院しているとします。今までは三十二条は本人だけの世界でした。でも、これからは、課税世帯であれば、お兄さんから、世帯を一にしていればそこまで含めての負担がかかります。家族に黙って通院している人だってあるでしょう。余りにも現実を知らない皆さんがこんな雑な法案をつくり、果たしてどれくらいの人がその苦境に陥れられるかわからないままに進んでいるのです。
大臣、もう一度伺います。ここに出したデータが一、二割で、来週、日精診と日本精神科病院協会が配られるアンケート調査が六、七割であった場合に、逆に言うとこの法案の骨格が狂ってきます、減免の。私は、その可能性が十二分だと思うから、今ここで採決を焦って私たち総体が間抜けになることをやりたくない。それだけのうそのデータしかないんです。塩田さん、来週のことを聞いておられますか。
そして、もう一つ言わせていただきましょう。
私は、ここに、全県の、四十七都道府県の三十二条通院医療の、これはレセプト集計の、そして国保か社保か家族か、その全国集計を持っています。これによっても、例えば社保が三割から四割であれば、当然ここの課税世帯は狂ってくるわけです、なぜより厳密なデータに近づこうと努力なさいませんか。このデータは私ですら入手できます。
あなた方は、何かといえば資料がない、何とかがないと言いながら、うその資料を出してくるのです。私はそれが許せない。ないならないで仕方ない、だけれども、違うものを、似て非なるものを、これが三十二条もどきだと、がんもどきみたいにこんなところに出してきて、そして本来やるべき、あなた方が持っているデータでは分析しない。せんだって埼玉の例を出したら、それは埼玉的特殊性だととある方がおっしゃいました。とんでもない。全国調査の集計が出ています。このことについて、あなたはどう善処しますか。
そして大臣、非課税世帯割合が違ったら、一、二割ではなくて六、七割であったら、この法案の骨格はどうなりますか。お願いします。
○尾辻国務大臣 これは先ほど来の繰り返しになりますけれども、先生お述べになっておられますように、私どもも、現状では正確なデータが把握できない、限界があるということは申し上げておるところであります。
そして、これまた申し上げておりますのは、新制度できちんとデータが把握できますから、その把握に基づいてまた次の対応はきっちりしますということは申し上げておるわけでありますし、この課税世帯が多くなった場合の救済策として重度かつ継続の話は繰り返し申し上げておるわけでありますし、そうした面もしっかり対応するということは申し上げておるところでございますので、御理解いただきたいと存じます。
○阿部委員 大臣ね、理解が違うんですよ。救貧政策としてやるわけじゃないんですよ。精神に障害をお持ちの方が自分らしく家族に遠慮せず生きていけるための法律なんです、支援法は。大臣が今繰り返し言っているのは、免除とか減免とかその施策のことです。しかし、減免を受けるために、家族に自分の病名を告知しなきゃいけない場合も出てくる。その方たちが多いかもしれないのです。
そしてもともと、大臣は、限界があって限界があってと言います。だけれども、私は、限界があっても、うそを出すよりも限界の中でまだ使えるものを使いなさいというのでレセプトの話を出しているんです。
私が朝から聞いて三つ、もうトリプルごまかしです。一つは、世帯じゃない。一つは、本人に記入してもらったと言うけれども三十二条じゃない。そして、決定的なのは先ほどの大臣答弁ですよ。減免の範囲が課税の人には及ばないとしたら、ここの課税か非課税かは大きくこの法案の骨格にかかわってくるんです。その三つをそのままにして採決なんてできない。
塩田さんには、今の全国のこの三十二条の利用実態を推計すること、来週火曜日に日精診と精神科病院協会のデータ、これは課税状況、あなたの、おたくのと聞くんです、その集計を見ること、そしてそれからここを直すこと。
あなた方はうそにうそを重ねてこの資料をどこでも配り歩き、これでは本当の姿が浮かばない。一、二割というのがうそだと、根拠がない、三十二条でもない。いいですよね、三十二条じゃないんです、大臣。三十二条、ここ、精神科の公費負担医療、違うんです、この集計は。三十二条というのは、外来通院のときに今だったら五%になっている方々です。その方たちを相手にした所得調査じゃないんです。確かに、精神科の病院に入院されたり、その後、実は社会福祉施設に入所者の方も含めて所得を聞いているんです。そうしたら、当然三十二条の方じゃないです。
私は午前中に言いました。御本人の調査は福祉手帳をお持ちの方で、これも先ほど情報が寄せられました。三十二条の方のうち福祉手帳は二割しかお持ちじゃないそうです。三十二条の方の所得実態を傍証なりともこの場に提起していただきたい。それからしか審議はできない。
せめて来週の火曜日、日精診と日本精神科病院協会の課税状況調査を待っていただきたい。待って真実の姿がより私たちに示された方が、例えば減免の範囲でもいいです、あるいは、本人が本当にそれで、家族に今だったら言わなくて済むんです、自分の通院のことを。隠したっていいんです、こんなもの自分の秘密ですから。全部暴かれて、家族に気兼ねして、減免対象がどこまでであるのか、そこが狂ってくるんです。
委員長、理事会で審議してください。私は、こんなうそのデータが積み重なった中で、合意があろうとも採決はすべきでないと思います。これは当たり前の、私たち議員の良心だと私は思います。
うそのデータ、塩田さんがもし今、さっきのあのデータの中から、八千七百五十四人の中から三十二条を言ってくれたら私は合意しましょう。しかし、わからない、何人かもわからない。だったら何も把握されてないじゃない、本人所得だって把握されてないじゃない。そんなものにどうやって賛同せよと言うんですか。三十二条医療をやめるんですよ、これから。幾多の人がそこから、今度の自立支援医療から外れますでしょう。あるいは、家族に気兼ねして、自分の病名を告知して、課税世帯であれば家族に出してもらうんです。その課税世帯は六、七割にも及ぶ可能性が高いです。
来週まで待てない話じゃない。もっと真実を知って、私たちはきっちりした審議をすべきです。
委員長、お願いします。
○尾辻国務大臣 これは、先ほど来同じことを繰り返すことになるわけでございますけれども、今先生もプライバシーのことについてもお触れになりました。したがいまして、現状では正確なデータ把握は限界があるということも再三申し上げておるわけでありまして、ですから、正確なデータが把握できないので推計で数字を出しておりますということは、当然申し上げておるわけでありまして、その推計の数字で御審議をいただきたい。
そして、骨格というお話がありましたけれども、この先の部分というのは政省令部分でもございますから、今後私どもが検討するというところの中での部分でもありますから、そのこともあわせて申し上げたいと存じます。
○阿部委員 大臣、まだよくわかっていないんだと思うんです。推計の対象が違うんです。推計の対象は、レセプトを用いて三十二条をお使いの方で推計したらいかがですか、一つ。課税状況は御本人にアンケート調査をとります、これから来週。それをもとに、世帯の課税状況のアンケート調査に基づいて審議したらどうですか。この二つです。この二つです。
大臣、もう一度よく聞いてください。今のお使いになっているデータは三十二条とは関係がない。だから、これだけ朝から、大臣だって、また同じことをと思うかもしれない。でも、推計するにも、しかるべき母集団を見つけないと推計にならないのです。私が今提案しているのは、四十七都道府県の三十二条のレセプトの全景が出ます。これを一つ。傍証です、プロフィールです。
もう一つ、日精診と日本精神科病院協会が患者さんに、来週火曜、世帯の課税状況についてアンケート調査をいたします。それを待ってからでも、この世帯所得状況がわかるじゃないですか。なぜ待てないのですか。こんなうそのデータで、枯れ尾花みたいなよくわからない幽霊を捕まえてやるような審議は間違っています、どう考えても。大臣、今の私の、おわかりですか。
そして、もう一つ。北川企画官は、十一月二十六日の社会保障審議会の中でだったと思います、義務的経費となったからといって確約はできない、この言葉を残しています。私は本当にびっくりしました。これまでの答弁は、みんな義務的経費だからいいじゃないのと。違うんですね、実際の審議会の中での答弁は。
もう一つ、言わせてもらいましょう。私はきのうの社会保障審議会が余りにも悲しかった。なぜ自立支援医療なるものが話されないのか。そして、私のよく知る人に聞きました、どうしてですか、あそこに来ていた人です。彼は言いました。これでやっと与党とのパイプができたから、自立支援医療の問題はわかるけれども、自分たちの声を今聞いてもらうしかないから。私は、そんなふうに障害者当事者団体に思わせている与党なり厚生省。私は、こんなもの、超党派でやりたいです。だって、党派の問題じゃない。先ほど八代さんがおっしゃった、本当に障害者施策がおくれている、だから議員の総力でやりたい。しかし、あの場においてすら、なお、障害者団体のトップの人が、やっと与党とのパイプができました、今崩さないでほしい。本当に涙を私は禁じ得なかった。何だこの法案の審議は。
もう一つ、紹介しましょう。心臓病の子どもを守る会の親御さんが、何度も何度も厚生省に、手術費の高さを、あなたたちが出しているデータと違うということを言ってきました。一貫して問題にされなかった。社会保障審議会にもそのデータは出されなかった。それが今の患者団体の実情です。
何も見ない、何も聞かない、事実に基づかない、こんな中で法律はつくるべきじゃない。だから、火曜まで待つべきです。水曜日の審議でも十分です。真実にのっとって、だれが減免対象か、だれが三十二条の本当の姿か、そして所得の曲がりなりの類推も、アバウトですが出ると思います。これで強行採決なさるなら、私はこの委員会の見識を疑います。事実のない、全くのうそ百万陀羅です。
大臣、私の説明した、より正しい資料のとり方、厚生省には限界があったということをお認めになるなら、より正しい、より近い推計が出るやり方をとってはいただけませんか。
○尾辻国務大臣 これは先ほど来お答えしていることでございますが、調査対象がかなり大きくなっている、その中に三十二条の皆様が入っておられるわけでありますから、まるっきりうその数字を出しているとかなんとかということじゃありません。大きな調査対象があって、その中に三十二条の皆さんも入っている。
ですから、私どもは推計だと、あくまでも推計ですと申し上げているわけでありまして、その数字を出しておりますことは御理解いただきたいと存じます。
○阿部委員 では、今の大臣に百歩譲って、何割か出してくださいな。例えば、五%だったら全然違うんですよ。半分ですか。出ないんでしょう。
私は、きょうこの時間までに出してとお願いしたんですよ、塩田さんの部下に。でも、もらえなかったんですよ。出せないんですよ。せめてそれくらいの誠意があっていいんじゃないですか、大臣。
どれくらいの数、そこに三十二条の方がいたんですか。それすらも出せないで、これを三十二条のがんもどきとして認めよといったって、だめなんですよ。もどきにするのにも、どれくらいの、八割が三十二条であれば、もどきにいたしましょう、しかし、それすらも見えないんですよ。だったら、ほかのデータでやり直すべきです。来週の火曜日です。待ってください。待てない理由なんかないでしょう。(発言する者あり)時間、時間と言う前に、自分たち与党もしっかりと厚生労働省を指導してくださいよ。
こんなずさんな法案で、障害者の生活と人権と生存がかかるものを決めるわけにはいかないのです。大臣の主張にのっとるのであれば、何%か出してください。
○鴨下委員長 阿部君に申し上げます。
申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力お願いいたします。
○尾辻国務大臣 ですから、申し上げておるわけでございまして、先ほど来、現状で正確なデータ把握は限界があるということは、率直に申し上げておるわけであります。ただ、全体があって、その中に三十二条の皆さんが含まれているということを申し上げておりまして、したがって、今何割かというようなお話でありますけれども、そこの正確なデータというのは把握に限界があるので、推計で申し上げた。
そして、新制度で、スタートさせていただいて、今後きちんとデータを把握できるようになりますので、その中でまた対応しますということを再三申し上げておるところでございます。
○阿部委員 法律の課税、非課税世帯の本人負担のところがもう法で決められていくわけです、きょう。だから、だめなんです。それがなければいいですよ、そこがなければ。でも、そこまで決めようというきょうの採決じゃないですか。そんなこと、できないでしょう、大臣。冷静に考えてみてください。課税世帯がここは一、二割だと言っているんですよ。違うじゃないですか。では、来週火曜日、もしこれと大きく異なるデータが出たら、やり直してくださいな。
○鴨下委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○鴨下委員長 速記を起こしてください。
尾辻厚生労働大臣。
○尾辻国務大臣 これは、申し上げておりますように、出しておりますデータというのは、全体のデータだけはわかりますのでそれを出しておる。そしてその中に三十二条も入っておるということでございますので、三十二条全体でないということはお答え申し上げているとおりでございます。
そこで、これはもう本当に何回も同じことを申し上げて恐縮でありますけれども、やはり現状では正確なデータ把握に限界があるということを申し上げておるところでございますので、御理解いただきたいと存じます。
○鴨下委員長 阿部君に申し上げます。
申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力お願いします。
○阿部委員 鴨下委員長ですから協力したいのはやまやまです。本当にいつも御配慮ありがとうございます。
だけれども、今の答弁では私は責任ある採決はできません。だって、三十二条の方の所得把握、一体何人を見たの、十人かもしれない、五十人かもしれない、これではできないのです。
大臣、それでやれという方が間違っているんじゃないですか。何を私たちは採決するんですか、それじゃ。大臣がお認めいただきたいというのは何ですか。三十二条、そうです、大臣らしくない。
私は、この委員会がこんなたび重なるデータの捏造、しかし、来週火曜まで待てばデータがそれなりに課税については、一つではあります、しかし、日本で一番大きい病院協会、精神科病院協会と日精診がやるんですよ、そこまで課税世帯状況を待てるじゃないかと言っています。なぜ待てないんですか、大臣。大きく違ったらどうするんですか。それは単にこの法案の、何度も言います……(発言する者あり)与野党で話し合って決めるにも、うそのデータの上では決められない。委員長、もう一回理事会協議してください。
○鴨下委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、質疑を終了してください。(発言する者あり)
阿部君に申し上げます。
申し合わせの時間が経過しております。御協力をお願いいたします。
○阿部委員 大臣、なぜ来週の火曜まで待つことができないんですか。答弁をお願いします。
より所得に近いデータが出る可能性があります。私は、一カ月も二カ月も先を言っているのではないです。今大臣はお認めになりました、厚生労働省側の資料は不十分だと。まして、三十二条については把握できていない、世帯の課税状況もわからない。だったら、わかるすべが来週、とりあえずあります。なぜそこまで待てないのですか。
○尾辻国務大臣 委員会の御審議について、これは私が申し上げるべきことではございませんので、お許しをいただきたいと存じます。
○阿部委員 私が大臣に伺ったのは、大臣は現下持っているデータには制約があると言っているんですよ。新しい制度が始まってからわかるでしょうと言っているけれども、私はそうじゃないと言っているんですね。現状で、厚生省の中にも、もっとより近い推計もできるでしょう。それから、来週には自立支援医療制度運営調査検討会の中のメンバーからのデータも出るでしょう。今出しているデータは間違いでした、少なくとも反映していませんでしたというところまでは、大臣もお話しくださったんですよ、制約があるからと。
三十二条の方をとったかというと、それもわからないんですよ。だったら、三十二条のデータが出てからする。それが、大臣、提出した法案の骨格にかかわるということはおわかりですよね。もし制約があるなら、待って、より正しい情報に近づける、これが当然の姿と思います。いかがですか。
○鴨下委員長 阿部君に申し上げます。
申し合わせの時間が経過しております。これにて阿部君の質疑を終了させていただきます。
以上で本案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。(発言する者あり)
―――――――――――――
○鴨下委員長 この際、八代英太君外二名提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。尾辻厚生労働大臣。
○尾辻国務大臣 衆議院議員八代英太君外二名提出の障害者自立支援法案に対する修正案につきましては、政府として異存はございません。
―――――――――――――
○鴨下委員長 これより本案及び修正案を一括して討論に入ります。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。八代英太君。
〔中略〕
○鴨下委員長 次に、阿部知子君。
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
私は、社会民主党を代表して、障害者自立支援法案に反対する討論を行います。
まず、反対の第一の理由は、本法案がこれまでの障害者福祉、公費負担医療のあり方を大転換させる内容でありながら、その基礎となる障害者の就労状況、所得把握、生活の実態、医療の必要性等について正確なデータを欠いているという点です。
尾辻大臣みずからがデータの誤りを謝罪し、さらにデータが乏しいと認めたことは、本法案の根拠自体が崩れていると言わざるを得ません。障害者、障害児の生命線にかかわる法律をかくもぞんざいに進めることは、社会福祉を担当する省庁としてはあるまじき行為だと思います。
第二に、障害福祉の分野に定率、応益負担制度を新たに導入するとしている点です。
本格的な障害者の所得保障と抜本的な就労対策がないままサービスの利用量に応じた負担制度を導入することは、極めて深刻な影響を及ぼします。多くの障害者は既に生活保護以下の所得水準にあり、定率負担が導入されればさらに生活水準が引き下げられることはもう明らかです。
そればかりか、例えば障害者すら自己負担したんだからという論法で、この定率負担が他の、例えば生活保護受給者や母子家庭、一人親家庭などにさまざまな困難をさらに与えかねない、そうした沈め石になることです。日本の社会福祉の最低ラインを引き下げることにつながりかねません。社会的な支援を必要としている人に対して、困難、障害が重ければ重いほど負担を重くするという制度は根本的に誤っています。社会保障、社会福祉の名に値しません。
また、世帯単位の収入に基づく負担上限額等の設定は、家族への依存を前提とするものであり、国が障害者施策として進めてきた社会的な自立の促進、個としての対等性の尊重に明らかに逆行するものです。
第三に、障害福祉サービスを主とする法案に目的の異なる医療を入れ込み、自立支援医療と称して、従来の精神通院公費、更生医療、育成医療などを解体してしまう愚を犯していることです。
医療負担の増加は、障害者、障害児の受診抑制、医療の中断、新たな障害の発生、ひいては生命の危機に直結します。特に精神障害者通院医療は、現行一律五%の負担から原則一割、所得税三十万円以上の方では三割と非常に重い負担となります。地域生活の継続、再発防止、自殺防止のために同医療が果たしている役割がいかに大きいかをきっちりと厚生労働省は知るべきであります。
第四に、障害者、障害児の地域生活や自立を支えるための社会基盤、つまり就労の場、住居、人の支え等が絶対的に不足し、地域間格差も歴然としている現状を本法案が全く踏まえていないという点です。基盤整備によってサービス量が確保されてこそ、地域生活、自立は可能であり、それを強力に推し進める特別立法などの施策が不可欠です。
さて、発達、育成期にある障害児については、本法案は冷酷ですらあります。児童福祉法、子どもの権利条約の観点から、育成医療、福祉施策を断固継続すべきです。
他にも、本法の基準となる障害程度認定区分、基準額等の詳細が政省令にゆだねられ実相がつかめないという問題、サービス支給の決定や市町村審査会などにおける障害当事者のアクセス権の確保、障害者の社会参加の基本となる移動介護や重度障害者の地域自立生活の保障、さまざまな点において懸念が深まるばかりです。
なお、本法案への修正案は、障害者基本法にのっとることを規定したとはいえ、逆に、自立支援医療の施行期日の変更等を伴うことを見ても、本法案がいかに拙速に策定され、また、根本的な修正をもたらしていない案に終わっていると思います。さらに、障害定義を国際的な基準に合わせることや障害者等の所得の確保はこれまで積み残されてきた課題であり、修正案を待たずとも、即刻着手すべきものであると思います。
以上をもって私の反対討論といたします。(拍手)
○鴨下委員長 以上で討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○鴨下委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、障害者自立支援法案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、八代英太君外二名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○鴨下委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○鴨下委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
〔後略〕
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