第162回国会 年金制度をはじめとする社会保障制度改革に関する両院合同会議 第3号(平成17年4月22日(金曜日))抜粋

案件:
 年金制度をはじめとする社会保障制度改革について

議事録全文(衆議院のサイト)

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与謝野会長 次に、阿部知子君。

阿部(知)議員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。本日、二回目を迎えました合同会議でございますが、まず皆さんに、冒頭、なぜ私たち政治家が、この時代、ここに集っているのかをもう一度私はお考えいただきたいと思います。

 私たちは、今、二〇〇五年を生きておりますが、二〇二五年、さらには二〇五〇年という時代を皆さんのお心の中で想像されたとき、それが、先ほど民主党の古川さんのおっしゃったような、現在の若者の不安定な働き方、そして三人に一人が御高齢者という、私たちがこれまで経験したこともない時代がそこに待っております。

 しかし、その時代はまた暗い危機的なものだけではない。逆に、働き方というものをもう一度考え直したとき、例えばワークシェアのような新たな働き方が当たり前になる。実は、そうでなければ、少子化問題も、せっかく数少ない子供を育てようとする若い両親にとって、今までのように、すべての時間を企業の中で過ごすようなお父さんと子育てを一身に背負うお母さん像ではないところの、本当に新しい働き方を、皆さんのお子さんやお孫さんのことを念頭に置きながら私は考えていただきたい。年金は、まず、現在の問題でもあるが、現在の働き方を通して未来の問題を見ているという点であります。

 その意味で、先回の合同会議の第一回目、私は、本当にすばらしい御指摘をいただいたのは、実は自民党の柳澤議員であったと思います。ある意味で、変化はドラスチックであります。そのことを覚悟しない限り、私たち政治家がここに集う意味はない。私たちは、未来を見据えて、そのときあたふたとせずに済むような改革をおのおのここで論ずべきだと思います。

 そして、では、津島議員にも言われました、阿部さん、絵そらごとじゃだめだよ、財源問題をどうするのと。これもまた本当に正しい御指摘でございます。国庫負担を二分の一にするにしても、それから、先ほど言いました、いわゆる生産年齢人口が減る中での保険料と税の問題をどうするかということはすぐれて税制の問題と関係してまいります。そこの根幹をきっちり私は論議していただきたい。所得比例の現在の税制、これは、小渕減税以降のものではとてもその時代には通用しない。現在、非常に若い人の低賃金化は進んでおります。このことを改めて私どもが念頭に置いて、新たな所得課税のあり方もぜひお考えいただきたい。

 同時に、これは丹羽議員から御指摘をいただきました。現在、企業負担分、そもそも社会保障制度というのは、労使の間で、その前は労働者に対しての保障として発生してきたという丹羽議員の御指摘も私は一理ある。しかし、さらに、これから働き方が変わる中で、そしてワークシェアというモデルを持った中で、企業の社会的責任とは那辺にありやということでございます。

 私どもはここで、総賃金あるいは売上総額に御負担いただくような、いわばこれは人件費に対する外形標準課税的なものですが、企業がこれまで負担していた個々の勤労者への負担ということからもう一歩飛躍していただいて、全体の、例えばパートであれ常勤であれ、その方々について総賃金で保障していただくような社会保険料を負担、すなわち社会保障税と申し上げさせていただきますが、そのあり方を、企業もまた概念を変えないと、新たな二〇二五年から二〇五〇年はやっていけないということだと思います。

 引き続いて、私が先回の御意見並びに今回を通じて一番思いますことは、年金の空洞化問題で、ほとんどの与党の皆さんと私ども野党と全く見ている景色が違う、受けとめ方が違うという現状でございます。

 私は先ほど、政治家はなぜここに集っているかと申しましたが、ここにはまず、無年金者を絶対になくすという強い意思があってしかるべきだと思います。

 その意味で、先回遠山議員がお述べになりましたような、国民年金の空洞化は進んでいないかのような数値を用いた例証は、私は、やはり本当に事態の深刻さを受けとめておられませんし、実はこの次の会議の中でぜひ一回目にやっていただきたいのは、国民年金の空洞化の現状をまず認識するための、共通共同認識に立つという作業であると思います。

 完全未納、全く二年間納めていない方が四百四十万五千人、逆に完納、完全に納めている方は八百八十五万人にすぎません。そのほかの方は一カ月から二十三カ月までの間の未納期間を抱えており、その方たちの数は年々膨大になってきておる。このカーブの上昇の著しさは、一つには年金不信、しかしながら、私が何度も申しますように、年収二百万円以下の方が国民年金の加入者の何と三三%に及んでいる、若い世代はもっと高うございます。

 このことは、私たち政治家が、本当に若い世代をどのように遇していくか、今ここで決断し解答を出さなければ、永久に先送りしたまま、若い世代に賦課のみを求め、そして、信頼性を失うという最悪の事態が拡大再生産されます。

 同時に、厚生年金の空洞化問題も深刻でございます。さらに、今回の改正、私は改悪と思いますが、行ったことが、保険料がどんどん上がっていく、人件費を抑制したい企業がどんどんパート化を進めるという、改正がまさに改悪になり、悪いインセンティブを与えてしまっているということは深刻ですので、これは即刻私たちがこのことについてストップをかけなければいけないと思っております。

 そして、その解答の一つに、四番目として、パートタイマーの年金権問題がございます。この件に関しましては、与党の皆さんにもずっと検討していただいているということで、少なくとも、これは早急に合意に達したい項目の第一になってまいると思います。

 しかしながら、企業のおのおのの抱えております産業構造的な問題、例えば非常に人件費比率の高い労働集約型産業の部分での保険料負担、私どもは社会保障税と申しますが、これをどうするか。あるいは弱小、中小零細、この方たちは保険料負担をすることによって企業が成り立たないよというような問題も抱えておるのは現実であります。

 私は、企業が負担する社会保障税においては、先ほどの企業の規模あるいは総人件費に掛けるという際にも、それなりの小さなもの、弱小についての目配りが必要だと思います。と同時に、例えばパート加入を促進させたような企業については、逆にそれなりのさまざまな税制上の優遇措置を持つことも考えてよいと思います。

 とにかく、一人でも無年金を出さないために、私たちは今英知を集めてあらゆる手法を持つべきです。そうでなければ、さきの国会で成立しました無年金障害者問題、今でも引き続き私たちはその危機の中にあります。

 あと二点だけ問題点を言わせていただきますが、いわゆる年金積立金問題も、私は現状非常に不安であるということを申しました。現在、百四十九兆四千百二十八億円ございます。適正規模はいかがなものか、あるいは国会への報告はどうするか、現状の運営はどうなっておるか、私どもは国民に開示しなければなりません。

 女性と年金問題についても、先般伊吹議員からいただきました認識は、私はちょっと現状と違っておると思います。この女性と年金、だれが三号被保険者の基礎年金部分の保険料を負担しておるか。実は、夫ではなく、その他の部分の、厚生年金の二号に加入の独身の方も含めた男女であったり、制度全体で支えておるわけです。ここの認識もずれておるのであれば、早急に正しい合意点を見出していただきたいと思います。

 以上で終わらせていただきます。

与謝野会長 これにて各党一巡の発言は終わりました。

    ―――――――――――――

与謝野会長 引き続き、議員間の自由討議を行います。

〔中略〕

阿部(知)議員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 先ほどやや言葉足らずであった点も含めて、三点にわたりお話をさせていただきたいと思います。

 まず一番目は、国民年金の空洞化をめぐる認識で、今城島議員も御発言でしたが、ここに与野党の間で大きな差がございます。やはりこの点を何としてでも認識を共有しないと私は出発点がないと思います。

 例えば平成十五年度の会計検査院の報告によりますと、第一号被保険者数約二千二百四十万のうち、先ほども申しましたが、二年間全く未納の方が四百四十四万五千人、そして、二年とは言いませんが、十九カ月から二十四カ月、極めて二年に近い年数の未納者が五百三十万おられます。この方たちは、与党の皆さんによれば、今は納めていないけれども将来は納める可能性もあるからということですが、しかし、この数年、未納者の数は本当にウナギ登りでございます。平成七年が百七十二万人であったものが、平成十三年三百二十八万人、平成十四年三百六十三万人、そして平成十五年は約四百四十五万人。

 このあたりの現状をきっちりと認識して、そして、国民年金の未納額の総額が一兆円を超えておるということも、これは私は決して無視し得ない現状だと思いますので、改めて会長にも、次の会議で国民年金の現状認識の共有化を図っていただきますことをお願い申し上げます。

 そして第二点目ですが、いわゆる三号被保険者の保険料について、改めて伊吹議員からも御発言がございましたので、あえて私も言わせていただきますが、このような形で、例えば私並びに小宮山議員が、三号の主婦の立場やあるいは現状の大きな役割を決して過小評価しているものではございません。しかしながら、この三号被保険者問題は女性の間に多くの亀裂を生んでまいりました。

 例えば、同じ主婦であっても、働く主婦もおられます。そして、働く主婦の場合、自分で年金の保険料も負担し、なおかつ、例えば一たん夫が亡くなって遺族となった場合、実は遺族年金の方が高うございます。そこには厳然とした男女の賃金格差が横たわっており、また、女性の勤続年数の短さもございます。

 そして、今や共稼ぎ家庭の方が多くなりました。

 例えば、私たちの子供の世代、孫の世代を考えてみれば、実はここには団塊世代の女性が三人、上川さんと小宮山さんと私とおりますが、私たちは、恐らく、主婦であった時代もあるし、共稼ぎ時代もあっただろうし、そして今のような議員になって国民年金時代もある。多様な年金を変遷してきましたが、やはり一番の矛盾は女性の年金問題だと思っております。この点についても、伊吹議員の御指摘が、私どもが働く女性であるからして主婦の立場を過小評価したというような御指摘につながらないことを私はお願い申し上げます。

 そして、パートタイマーの年金問題については、実は丹羽議員より、極めて踏み込んで前向きで、そうやろうという御発言をいただいてうれしゅうございますが、実は、パートタイマー千二百万人のうち、女性が八百三十五万人でございます。そして、今回、見送られてしまいましたが、年金加入問題で女性たちから反論が出たというのは、女性の賃金が低い。男性の正規雇用の四割、女性の正規雇用の六割がパートの賃金の時給でございます。

 この賃金格差、実は、男女雇用均等法ができたのに、どんどんどんどん男女の賃金格差が進んでおるわけでございます。ここへの手当てもあわせてどうするかをお考えいただいて、私はパートの加入問題というのは本当に重要と思いますので、ぜひともそのような方向にともに歩んでいけたらと思います。

 以上です。

与謝野会長 発言の御希望がまだございますけれども、時間となりましたので、以上をもちまして、本日の自由討議は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。


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