第162回国会 予算委員会 第16号(平成17年2月21日(月曜日))抜粋

案件:  政府参考人出頭要求に関する件
 平成十七年度一般会計予算
 平成十七年度特別会計予算
 平成十七年度政府関係機関予算

議事録全文(衆議院のサイト)
ビデオ(衆議院のサイト)


甘利委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 先週に引き続いて今週も週明けから、各委員の皆さん、大変に熱心な御論議で、御苦労さまでございます。

 それにしても、国民的関心事の年金、医療、介護等を論ずる場になぜ小泉首相がおいでじゃないのか、私はとても残念に思いますし、細田官房長官がいらしたら、きょうは何を総理はやっておられるのか、お伺いしたいところです。しかし、ここにおいでじゃありませんので、この一つをとっても、やはり国民が最も望むものを時の首相は一番心に受けとめて行っていくべきだということを、私は、冒頭申し上げさせていただきます。

 引き続いて、二十五分の時間ですので、質問に移らせていただきます。まず、年金問題です。

 きょう、各委員から御指摘もございましたが、昨年の年金論議、特に出生率の問題は、論議の最終盤になりまして新たな事実が発覚し、いろいろな意味でまた物議も醸し、一体この年金制度、本当に大丈夫なんだろうかとみんなが思った一大出来事でもありました。私は、それ以外にも、きょうの委員の指摘にもありましたが、国民年金の空洞化、例えば社会保険庁のお調べと会計検査院のチェックが違うということ一つとっても、これもまた国民の年金不信につながる、本当に問題が多いことだと思います。

 そして、私は、きょうこの場で既に取り上げられました少子化問題あるいは国民年金の空洞化問題以上に、実は最も深刻な、そして年金問題の根幹を支えている厚生年金についても、国の見通しの甘さ、そしてなぜそのような甘い見通しになるかということについて、きょうは、尾辻厚生労働大臣にきちんとした対策も含めて伺いたいと思います。

 皆さんのお手元に配らせていただいた資料の一枚目がございます。ここには「労働力人口に占める被用者年金被保険者の割合」というタイトルがございますが、いわゆる厚生年金に加入されている方が今後どのように推移するかということについて、年金数理課が用いておられるデータでございます。

 国民年金の保険料収入のみならず、厚生年金の保険料収入も毎年毎年予測が外れて、一兆、二兆どころか、ひどいと、五年ごとの再計算と比べれば五兆、六兆のずれが実は出ておるのでありますが、尾辻厚生労働大臣に、一点目、伺います。

 例えば、この男子のカーブでございます。これは、現在厚生年金に加入しておられる方が、例えば三十歳代で全体の働く方の〇・七六加入しておられるとしたら、五十歳代は現在〇・七〇ですが、年金再計算の折には、〇・七六まで、三十歳代の人がずっと五十歳代になればアップするという想定でございます。あるいは、下の女子に至りましては、現在、例えば四十歳代の女性が働いて厚生年金に加入している率、〇・四四といたしましたら、五十歳になったら逆にこれが〇・五近くに上がるという仮定でございます。どう考えても労働実態からは遠い。例えば、五十歳代の女性は大半がパートになっておりますし、厚生年金に加入したくてもできない状態が現実でございます。

 私は、大臣がこういう想定に基づいて厚生年金のいわゆる保険料収入が算定されているということをまず御存じかどうか、一点目、伺います。

尾辻国務大臣 私も、この説明はごく最近受けました。

 まず、労働力人口の将来推計をどうするかということでありますけれども、これは、将来の推計人口があります。それに対して労働力率の将来推計というのを掛けてまず出す。それから今度は、その労働力人口の将来推計に労働力人口に占める被用者年金被保険者割合というのを掛ける。その掛ける数字がこの七六という数字だ。七六%を掛ける、〇・七六と言ってもいいんでしょうが、掛ける。そういう計算をするんだということは、正直に言いまして、ごく最近説明を受けました。

 そこで、この〇・七六という数字がどうなんだということについてのお話があるのかもしれませんが、まずは、知っているか知っていないかという御質問でございましたから、そこまでお答えいたします。

阿部委員 私もこの算定方法を、数理課にどのように現実にやっているのかということをお伺いして初めて知ったわけです。これは余りにも実態とかけ離れております。

 私はいつも指摘させていただきますが、皆さんのお手元に配られました二枚目をあけていただきますと、「国民年金第一号被保険者の就業状況の変化」というグラフがございます。実はこれは、昨年の厚生労働委員会でも五回くらい使わせていただいて、何とか事実に基づいた論議をしたいと思って配った資料でございますが、ここには、平成七年から平成十三年にかけて、果たして国民年金第一号被保険者は自営業者等という頭振りがつく実態かどうか。これは先回も質問させていただきましたが、さらに私は強調したいと思いますが、平成十三年度で見ていただきますと、自営業主はわずか一七・八%でございます。二千二百四十万、現在、概略申しませばそれだけの数の一七・八%。そして、その御家族を含めても二七・八%。かわりまして、一番多いのがいわゆる無職、そして臨時・パートでもう六割以上でございます。

 私は、特に、無職の方にはもちろん雇用のチャンス、そしてパートや臨時という方の厚生年金加入問題がやはり今最も優先してまず取り組まれるべき課題であり、それは、さきの年金論議の決議の中にもございました点です。

 そして、三枚目の資料を見ていただきたいと思います。ここには、「第一号被保険者の年齢構成の推移」というのがございます。一体何歳の人が第一号被保険者になっておるのかということを見ていただきますと、おわかりのように、もちろん、ニートやフリーターとよく言われる二十歳代の方以上に、現在は、三十歳代の方の比率も一九・九%とふえております。

 となりますと、先ほど私が大臣にお示しした、現在三十歳代の方が五十になったら〇・七六常用雇用ないし厚生年金適用を受けておるというこの仮定、これ自身が実態と乖離している。厚生労働省がお出しになったデータだけを突き合わせても、私は乖離があると思います。

 雇用、働き方の多様化という名で、やはり今現実にパート、アルバイト、派遣等々進んでおります。果たして、大臣、この試算で大丈夫でしょうか。ここには、パートやアルバイトになった三十歳代の方を、将来、五十になったら全部常用雇用ないし厚生年金適用で保険料を納めている対象としておられます。

 そうしたら、私は、この五年の保険料収入だって、本当に大丈夫か。せんだって聞きましたら、百年先を見越しているので近々のことは何ともというお答えでした。しかし、これでは国民が、毎年毎年保険料収入の予測値と現実が、幅が余りにずれが大きくて、年金について私は信頼を失う大きなきっかけとなると思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。

尾辻国務大臣 まず、一号被保険者の皆さんが極めて多様化しておるということは、先日もお答えいたしましたけれども、事実でございます。その中で、したがってということがありますが、まず、空洞化にならないようにということを私どもは心配しなきゃいけませんから、多段階免除方式だとか、そういったようなことで対応しようというふうにも考えております。

 それから、パートが多いという今のお話について言いますと、これもお触れになったわけでありますけれども、今回の年金法の改正の中で、附則の中に、今後、パート労働者の厚生年金加入という問題をどうするかということが大事な問題であるということが書いてあるわけでございます。

 それから最後の、七六%で大丈夫かというお話でございますけれども、産業構造の変化といったようなことを考えますと、今のところ、この七六%という数字は見込めるというふうに判断をいたしておるところでございます。

阿部委員 その産業構造の変化とは何ですかと私も担当部局に聞きましたら、今まで自営業であった方がサラリーマンになられるからという答えでした。しかし、そんなことはもう、とうの三十年前から起こっていることであります。

 私は、社会の実相をよく見ていただきたい。今は、そうではなくて、普通に働き、厚生年金やあるいは組合の健康保険やあるいは雇用保険を持っている方が余りにも少なくなっちゃったというのが現状の社会です。私は、どうあっても、この安易な予測、そして現実離れした予測に基づいて年金論議が行われれば貴重な時間がむだになります。

 何度も申します。今、三十歳代の女性が五十歳になって本当に半数以上厚生年金適用か、あるいは三十歳代の若者が七、八割適用か。このことは、この仮説、これに基づいた試算が数理課から出てくれば、そのデータがすべてになってしまいます。まず、このことはもう何度申しましても、恐縮ですが、今の尾辻大臣の答弁は、私は、自営業者がサラリーマンになるという構造は、先ほど申しました一号被保険者は十三年度の段階で一七・八%で少のうございます。これから先そういうことはほとんど起こらない。逆に言うと、ここはもう自営業者の皆さんはそれで成り立つように頑張っていただくのが国の政策、施策と思っております。

 今大臣として、このパートあるいは非正規雇用と言われる方の厚生年金加入問題、どのように現在お取り組みであるか。火急に私は、まず均等待遇、同一賃金、これを制定し、そして加入ということを現実化すること以外にこれを乗り切る策はないと思いますが、大臣の御答弁をお願いします。

渡辺政府参考人 済みません、若干数字につきまして御報告させていただきたいと思います。

 その前に、もとより、厚生年金の被保険者がパート、派遣がふえるというようなことで非正規労働に流れていって国民年金に入る、こういうことが社会保障の根幹に非常に大きくかかわるという危機意識は私ども共有しておるものと思っております。

 それから、パートといいましても、厚生年金を適用されて働いておられる方々もたくさんいらっしゃる。そこで、今、たってお話し申し上げたいと申し上げたのは、推計の仕方が、先生御承知のとおり、直近の雇用動向で非正規か正規かというものの数値を調べて、その先に延長させたということなのでございます。これは、労働力人口のいろいろな統計の中でも正規雇用と非正規雇用の将来推計というものはないものでございますから、直近のデータを延長するということでやっております。

 先ほどのこの図でございますけれども、決して五十代の方々が急にサラリーマン化するというわけではなく、私も田舎の育ちでございまして、高校ではクラスの中から農家になった人がたくさんおりますが、今どきはいないというようなことでございまして、ジェネレーションギャップが移る中でこういうことが少し発生するだろう、その力と非正規化という流れの力との拮抗の問題だと思っております。

 それで、お答えでございますが、直近どういうことになっているかということでございますけれども、御指摘のように、例えば、実績では、平成十年の厚生年金被保険者数は三千三百万人もあったのに、平成十四年では三千二百十万人に減っているじゃないか。ではこのトレンドで、減った方向で推計をすればいいのかという問題がございます。

 しかしながら、先ほど申し上げましたような推計方法をとりまして、今回の改正の財政試算では、十五年度は三千二百二十万人、十六年度は三千二百三十万人、十七年度も三千二百三十万人と見通しております。

 実績はどうかと申しますと、実は十四年から十五年にかけて、十五年から十六年にかけて数字が底を打ち、今上がってきております。例えば、十四年の十一月、三千二百六十三万人というところからさらに減ってきたのでございますが、十五年三月には三千二百十四万人ですが、最近では三千二百六十万人台をキープしているということで、むしろ、三千三百万人が三千二百万人に減ってしまったトレンドで推計するよりも、この三千二百万人台というところで推計している方が現時点では実態に沿っているというようなこともございます。

 ただ、こういうところの推計につきましては、よりよい知恵がないものかという点は、私ども常に考えているところでございます。

阿部委員 出生率だって、少ない場合、中間の場合、多い場合とやるわけですから、ぜひきっちりと実態を踏まえてやっていただきたいと思います。

 続いて、麻生大臣に、御出席いただいておりますので、三位一体改革について。とりわけ、この間、各地方の首長と国の方で、三位一体改革の中身、地方に税源移譲する中身を何にするのかということで、一つは義務教育の問題、そしてもう一つ大きかったのは、いわゆる国民健康保険の財源の一部を調整交付金として地方に移譲するというお話であったと思います。

 では、果たして全体で六千八百五十億円のこの調整交付金を地方に移譲する場合に、地方ごと、県ごとの算定基準はどのようになっておりますでしょうか。

麻生国務大臣 この資料をお渡ししてよろしいでしょうか。(阿部委員「いえ、持っています」と呼ぶ)ああ、そうですか。その資料を御参考にしていただくとよろしいんだと存じますけれども、下に書いてありますように、国と地方の分担金は従来どおり五〇、五〇。こっちの紙の方がわかりやすいと思います。(阿部委員「はい」と呼ぶ)私でもわかるように書き直してありますので、そちらの資料を参考にしていただいた方がよろしいんだと存じます。

 基本的には、真ん中に二つずつ、左右等分にしてありますけれども、現行のものも、新しく改正したもの、国と地方の負担金は五割五割、山分けというか、半分に割ってあるというのがまず基本になっておると御理解をいただけるとよろしいんだと思います。

 その上で、従来、国の調整交付金というのが一〇%、国の決めておりました国庫の負担というのが四〇%、それで五〇%になっておりました分を、国の分の一〇%のところを減らしてもらう。調整交付金の部分は、その分は県に渡してもらうということで、国が約半分を持っておりましたうちの一〇%、正確には四〇対一〇になりますので、比率からいったら一〇ということになるんですが、その一〇%のところの部分のさらに一%を減らしてもらって、それを県に渡してもらう、そして県が調整することになります。

 ここは御理解いただいているんだと思いますが、その県が調整する部分のところは、人口比でやります所得譲与税等々いろいろありますが、先ほど六千八百五十億と言われましたけれども、これは平成十八年度以降でありまして、初年度は五千四百四十九億、約五千四百五十億ということになろうと思います、平成十七年度の予測ですけれども。

 それでいきますと、当然のこととして、県が割り振りますと、税金の方は人口比でいきますので格差ができる、よく言われるところでございます。その差の分につきましては、県が調整するところで、いわゆるフラット税になった分で、ふえた分の、より多く入ってきたところは減らしてもらって、従来払っております交付税を減らして、そしてさらに交付税の部分で、従来よりその形によってさらに減らされるところについては、ふえたところのものをこっちに回してもらうということになります。

 総額は確保してありますので、ふえたところは減ったところを埋めるという形になって、まず財源を確保、総額確保、その上で、今言われましたとおりに、各県が配ります場合には県内の人口比によって差額が出てくることが御心配になっておられる御指摘の点、そのとおりなんだと思いますが、それは、それこそ地方交付税というものでその差額を調整するという形になろうと思いますので、県に権限を持たせるという地方分権の線の趣旨には沿っている形で決着をいたしたんだと理解をいたしております。

阿部委員 私は、厚生労働省の方から、今後の医療改革について、特に県単位で、県が地方分権でみずから決めていくという流れが出ておる中で、一つ大きく案じておりますのは、やはり県ごとに、例えば失業率も違い、疾病構造も違い、独居老人の数も違います。ちなみに麻生大臣のよく御存じの福岡は老人医療費が一番高く、長野県に比べて対極、一九八三年からずっと一位を保持しておりますが、しかし、現実になぜ福岡県がそうなるかというと、歴史がございます。

 これは時間があれば大臣におっしゃっていただきたいのですが、戦後は結核、それから一九六〇年代は炭鉱の閉山、そしてそれがずっと尾を引く形で、やはり独居の御老人が多く、入院をされている方も多く、失業率もまだ高い。こうした県の抱える歴史、そして疾病構造の差がどのような形できちんと目配りされるか。そこがないと、やっぱりその地域で生きる人にとって現実に生きていけなくなる。

 特に、医療費の三つの上は、この福岡、それから、ちょっと二番目を忘れました、ごめんなさい、三番目が大阪でございます。大阪も今失業率が高くて大変である。こういう地方間の産業構造の差、疾病の差、歴史の差は、どのように今後国はユニバーサルサービスとして保障されるのか、その一点をお願いします。

麻生国務大臣 全くごもっともな御質問なんですが、今言われましたように、一番が多分福岡、二番が北海道だったと記憶しますが、三番目が大阪なんだと思いますが、大阪は急激にこのところ伸びてきておるという形になっておると記憶をします、ちょっと数字は違うかもしれませんけれども。北海道の場合は空知という炭鉱地域があったのがやっぱり大きな理由の一つだと存じます。

 その中で、いわゆる地域間格差が極めて大きいところにつきましては、これは二つあるんだと思いますが、その中で、保険の方でいきますと、生活保護なんか見てみましても、その内容の五三%ぐらいが、医療費が占める率が極めて高いんだと思っております。そういう医療費の問題をどうするかというところに関しましては、少なくとも、何となく投げやりになっているような人たちに対してきちんと指導をしていって、いやちょっと待ってください、そんな投げやりにならないでこうとかああとかいう指導員、専任指導員を置いてありますところは、政令都市でいけば十三のうち四つぐらいしかなかったと記憶しますが、そういったところは確実に、終わった、その専任指導員とかいうのを置いてきちんとやった場合については、その分の医療費が減っております。

 それからもう一つ、逆に、長野県を例に引かれましたけれども、長野県の場合は、高齢者、六十五歳以上の方々の就職率が日本で一番高い県なんです。そういう高齢者の就職率の最も高い長野県というところが老人医療費が一番低く、逆に、高齢者就職率の一番低い福岡県が最も高い高齢者医療を払っておるという現実がありますので、そういう点から考えましても、やはり高齢者の就職等々を含めまして、ジリツ、自分が立つ方の自立の部分というのと、自分を律する自律の部分と両方あろうと存じますが、そういった点は、きちんと専任の指導員を置いていかないと、何となく社会から疎外されたような形になっていって、妙に投げやりになっていった形になられておられるというのは、これはかつて最も高かった北九州市が専任指導員を置いたらずっと下がってきておるという点も実例がありますので、そういったところを踏まえながら、今後詰めていかねばならぬ大事なところだと思っております。

阿部委員 人間にも歴史があり、単に、今のように、高齢化して医療費が上がるから削減すればいいのだということではなくて、その地域の産業、そして暮らし方にしっかり目配りした地方分権であってほしいと私は思います。

 ありがとうございます。

甘利委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。次回は、明二十二日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。


第162回国会 国会活動コーナーに戻る   阿部知子のホームページに戻る