第162回国会 予算委員会 第20号 (平成17年3月2日(水曜日))抜粋

案件:  政府参考人出頭要求に関する件
 平成十七年度一般会計予算
 平成十七年度特別会計予算
 平成十七年度政府関係機関予算

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甘利委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 平成十七年度の予算審議も、あと、私に与えられた時間を残すのみになりました。いろいろな問題が、例えば今の政治と金の問題あるいはBSEの問題、三位一体改革の問題、いずれも中途半端なままに、きっちり論議されずに終わっていこうとするこの予算委員会というのが私は非常に不満でもありますが、私自身のこの十分間の中で、日本の戦後六十年の過去と未来の骨格にかかわる質疑をさせていただければ幸いと思います。

 この予算委員会でも、あるいはまた厚生労働委員会の場でも繰り返し取り上げさせていただきました遺骨の収集の問題です。第二次大戦で、海外戦没者二百四十万人。

 冒頭、小泉総理にお伺いいたします。

 私は、議員になって早々、これは、パプアニューギニアというところで収集された一九九九年の御遺骨でございます。御家族がこれを、御家族というか、どなたのというのではありません、御遺族が収集に行かれました。私は、この御遺骨の写真を見たときに、政治家としてこのような形で戦後を終わらせて済むんだろうかと思いを深くいたしました。引き続いて、私は、昨年、夏にはモンゴル、そして暮れにはビアクに行ってまいりました。

 皆さんのお手元に資料がございますが、我が国で一体幾つの遺骨が収集されたかは、これは尾辻大臣がよく御存じでありますが、二百四十万のうちまだ百十六万が、あえて言えば、このような形で、これは去年の暮れでございます。よく見ていただければわかりますが、あごの骨あるいは歯がございます。このような形で、土に返るにも返れず、そして、お迎えを待ったまま、無言で今も、これはインドネシアでございます、ビアクの地にございます。

 また、その向かい側のジャヤプラというところで、これは岩場に置かれた風化そのものの御遺骨でございます。頭蓋骨がまだまだ幾つか転がって、重なって、打ち倒れたままでございます。私は、あえてこのようなお姿をこういう場で見せたいとは思いません。でも、これが現実であります。

 小泉総理は、六十年を迎えた重要なこの時期の総理として、このような現状についてどのように御認識であるか、冒頭、お願いいたします。

小泉内閣総理大臣 私も、平成二年でしたか、厚生大臣のときにパプアニューギニアを訪れまして、今もなお海底に眠る御遺骨、そしてあの熱帯の山脈に倒れて眠る御遺骨、慰霊をし、パプアニューギニア政府が御遺骨に対して丁重な配慮をされていることに対しての御礼と、今後も遺骨収集に御協力いただきたいという思いを込めて、訪問いたしました。

 また、モンゴルにも伺いまして、モンゴルにおきましては、戦争が終わったにもかかわらず、戦後に、はるか日本、故国に帰りたいと思いながら、帰ることかなわず病床のうちに亡くなられた多くの方々、その御遺骨に対しまして、モンゴル政府も慰霊の碑を建てて、丁重に遺骨に対して数々の配慮をされていることに対して、私も、慰霊を兼ねて御礼に伺いました。

 戦後六十年たっても、なおかつ多くの日本の方々が異国の地に眠っておられる、こういう点に関しまして、私は、戦争の悲惨さというものを改めて感じました。

 今後、政府といたしましても、無念の気持ちで倒れられた、そして、今なお海、山に眠っておられる遺骨収集に対しては、一日も早く故国日本に帰れるよう努力していかなきゃならないと思っております。

阿部委員 総理のお言葉に二言がないようにやっていただくためには、圧倒的に人手が足りない、あるいは、外務省と厚生省との連携が足りない、それ以上に、我が国には、御遺骨を御帰還させるための法律も枠組みもございません。今は、御家族あるいは御遺族が御自身で行かれて、その場で発見されたものを厚生労働省に言って持ち帰るという枠組みでございます。

 総理は御存じかどうかわかりません。アメリカは、いまだ未帰還の御遺骨が八万人、そして日本は百十万人。事にかかわる職員は、アメリカは四百人以上、我が国は二十人でございます。予算は、アメリカは六十六億、我が国は五億でございます。私は、このことをまずきっちりと仕組みとして、国の責任としてやっていただきたいと思います。

 私に与えられた時間があと少々しかございませんので、未来にかかわる問題をお願いいたします。

 例えば、皆さんのお手元にございます中国を見ていただきますと、東北部、二十四万五千四百人の方が戦死され、いまだ二十万以上が帰国されておりません。事情はよく御存じと思いますが、日中間の国民感情の問題、あるいは、我が国の戦死者と同様、向こうにも戦死者が出た問題などなどがございまして、私は、これこそ本当に、過去と未来をつなぐ、誠心誠意、我が国の日中関係の良好な運営の中でしか解決しないと思います。

 先般、町村外務大臣にお願いし、お聞き申し上げましたが、中国要人との交流はどうなっておるかということで、町村大臣は近く中国の外務大臣とお会いになる御予定もあると思います。総理におかれましては、今後、例えば総理御自身が訪中なさり、さまざまな問題を抱えている、しかし最も重要な今の東アジアにおける日中関係について、お互いの腹蔵のない話し合いを行っていかれるおつもりがおありや否や、御予定がおありや否や、最後にお願いいたします。

小泉内閣総理大臣 日中関係は重要でありますし、日中友好は両国の発展のためにも大事な関係でございます。

 そういう観点から、さまざまな機会をとらえて首脳会談は行っておりますし、双方の都合のいいときに、首脳におきましても要人におきましても、訪問し合いながら、率直な意見交換をすることは極めて大事なことだと思っております。

阿部委員 私は、小泉総理の日朝関係における御尽力を高く評価するものであります。まだまだ不十分な点もあるかもしれませんが、時代を大きく一つ動かしたと思います。

 その意味においては、今、日中関係、このことがまた我が国の東アジアにおけるいろいろな今後の未来を大きく支え、また、日中、日米の関係の良好な運営が全世界の平和にとっても非常に肝要と思いますので、ぜひとも総理の訪中あるいは要人との意見交換を求めまして、私の質疑を終わらせていただきます。

甘利委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして平成十七年度予算三案に対する質疑はすべて終局いたしました。

    ―――――――――――――

甘利委員長 これより討論に入ります。

 平成十七年度予算三案及びこれに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議を一括して討論に付します。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。松岡利勝君。

<中略>

甘利委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 私は、社会民主党・市民連合を代表し、平成十七年度一般会計予算、平成十七年度特別会計予算、平成十七年度政府関係機関予算の三案に対し、反対の討論を行います。

 政府予算は、定率減税の縮小、住宅ローン減税の縮小、フリーター課税、年金課税の強化など、明確な増税路線にかじを切った与党の税制改革大綱と、国民健康保険の都道府県負担の導入、補助金スリム化の名のもと、地方への赤字ツケ回しに終始した三位一体改革を前提にしながら、歳出歳入両面から国民への犠牲と痛みの強要が際立つ負担増突出・生活破壊型の予算となっています。雇用の充実、景気の後押し、財政再建、社会保障制度の根本改革などは先送りし、安易な増税で帳じりを合わせた小泉内閣の姿勢は、政治の責任を放棄したに等しいと言わざるを得ません。

 あわせて、国民年金と厚生年金、雇用保険の各保険料の値上げ、介護保険施設のホテルコストの自己負担、国立大学の授業料値上げなどが家計を圧迫し、ただでさえ下降ぎみの景気にさらに拍車をかけることを強く懸念するものです。

 また、関西国際空港の整備拡張、整備新幹線の新規着工に加え、諫早干拓事業や川辺川ダム建設にも巨額の予算措置がされるなど、政官業の癒着の象徴である大型公共事業は温存されたままです。さらに、ミサイル防衛の予算増や辺野古への移転経費、イラクへの自衛隊派遣関係費などを含む防衛関係費、「もんじゅ」運転再開準備、ITER、国際熱核融合実験炉関係、核燃サイクル事業などの原子力関係予算など、極めて問題が多い事業にも血税が垂れ流されています。批判を浴びた社会保険庁の年金事務費の転用も継続されたままです。

 今、私どもに問われていることは、自然環境の破壊や災害をいかに食いとめ、少子高齢社会に見合う循環型経済社会へと転換していくこと、また、社会保障をどう充実させていくのかにあります。国民の不安を解消し、いかに安心と安全を取り戻すのか、来年度予算はそのための政治のメッセージでなければなりません。

 私は、雇用や社会保障、農林水産業の再生、食の安全、災害、環境、子供、若者、教育の分野に大胆に予算を振り分ける人間中心型予算へ転換することを訴え、三案への反対討論といたします。

 なお、共産党から出された組み替え動議については、我が党として検討する時間がございませんので、反対をさせていただきます。(拍手)

甘利委員長 これにて討論は終局いたしました。


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