第162回国会 郵政民営化に関する特別委員会 第11号(平成17年6月9日(木曜日))抜粋

案件:
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 郵政民営化法案(内閣提出第八四号)
 日本郵政株式会社法案(内閣提出第八五号)
 郵便事業株式会社法案(内閣提出第八六号)
 郵便局株式会社法案(内閣提出第八七号)
 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案(内閣提出第八八号)
 郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第八九号)

議事録全文(衆議院のサイト)

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二階委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 私は、この間ずっと厚生労働委員会の方で質疑をさせていただいておりまして、例えば先ほどの佐々木憲昭委員の鋭い、突っ込んだ質問、さすがだ、すごいと思いながら聞いておりましたが、なかなかそのレベルに到達しませんので、ごく素朴に、しかしながら、もっと言えば、国民は、私の抱いている素朴な疑問、質問、不安、そういうものと一緒におられるだろうと思いますので、あえて、阿部さん、今ごろ何でそんなことを聞くのと思われる委員がいたら恐縮ですが、私の質問をさせていただきます。

 この間、議事録にまだまだ半分ほどしか目を通させていただいておりませんが、私がやはり一番印象に残るこれまでの御質問は、野田聖子さんが小泉総理になさっている質問でありました。

 官から民、官から民、これが小泉さんはお好きですから、何かもうワンフレーズで官から民、官から民が今や当たり前になりましたが、その中で多くの国民が不安を抱いておる。それは生活レベルの不安である。

 特に、私も野田さんも女性でありますから、本当に現在のこの社会のありようというのは、例えば、子供を学校に送り出せば、異常な事件が起こる。あるいは、子供たちの大事な通学の足である路面電車がなくなる。あるいは、私の分野でいえば、大事な子供の医療を預かる小児医療も、例えば医療だって過度に採算性を求められれば、まず小児医療からなくなる。これで果たして私たちの国は、政府はよく少子化対策大綱とか言いますが、果たして子供のことを考えているんだろうか、生活者の安心を考えているんだろうかと、私は大いに疑問に思うものであります。

 この郵政民営化も、私にとってはそうしたテーマと深く連動しております。先ほどの郵便窓口の問題しかり。膨大な国債を抱えた我が国の将来がどうソフトランディングできるかという問題しかり。あるいは、先ほどの佐々木委員の御質疑とも関係しますが、金融の規律。あるいは、株式市場に与える影響等がどう評価されているんだろうか、織り込まれているんだろうか、これもまた不安。何から何まで不安だらけの郵政民営化であります。

 そしておまけに、今、皆さんも御承知かもしれません、国会の外には、障害をお持ちのたくさんの方々が、障害がありながら車いすで雨風をついて国会に押しかけておる。これは、後ほど谷垣大臣に、私ずっとお会いしたかったので、ここで会ったが百年目と思って質問をしたいことがありますが、国民の関心事は、命にかかわる、生活にかかわる、どうしてくれるんだというところで膨大になっていながら、本当にこの郵政の民営化という問題がそれと絡んできちんとした将来を約束しているかというと、そうじゃないんじゃないかと思います。

 私は、冒頭、私よりもすごく英語の能力がすぐれていて、そして学校でも教えていて、アメリカとも何回もこの郵政民営化問題で討議を交わしておられる竹中大臣にお伺いいたしますが、小泉さんのお好きな官から民というのは、英語で言うとどんなふうに説明されるんでしょうか、例えばアメリカとの交渉事のときに。官から民というと何と言うんでしょう、教えてください。(発言する者あり)

竹中国務大臣 一般に、キャッチフレーズとして官から民というような言い方は、適切なものがあるのかもしれませんけれども、民営化という意味ではプライベタイゼーションというような言い方かもしれませんし、むしろ、市場にもっと近く、市場の原理に基づいてという意味でマーク・ツー・ザー・マーケットとか、そんな言い方なのかもしれません。これはしかし、ケースによると思います。

 いずれにしましても、市場の活力を活用しよう、民間会社の非常に規律のある、まさにガバナンス、株主のガバナンスをしっかりと活用してもらおう、そして市場での競争を通してサービスを効率化、向上させていただこう、そのような御説明になろうかと思います。

阿部委員 もし、ツー・ザ・パブリックじゃなくてツー・ザ・マーケットという言葉を使ったとしたら、私が今ちょろっと言いましたけれども、いわゆるパブリックなもの、これは日本語では公共とか申しますが、パブリックなものはどうなるのでしょうか。医療もパブリックだと私は思います。子供の教育もパブリックだと思います。それから郵便局が担っているサービスもパブリックサービスの一つです。あるいは、もっと言えば、これからの郵貯や簡保の、今日本が歴史的に蓄積したお金の生かしどころも、もっともっと時代に見合ったパブリックなものにあるのではないかと私は思うのです。

 竹中大臣は、ツー・ザ・マーケット、買い物に行くという意味ではありませんが、これは市場の原理にゆだねられないものについてはどのようにお考えで、また国民にどのように説明するのか。ここがないから今多くの国民は不安なのです。これは何のための官から民、官から民か、そして全部マーケットに行ってしまって果たして大丈夫なのか、ここをちゃんと答えない限り、郵政民営化とは何なの、だれのためなのか。さっき、ツー・ザ・ブッシュと言っていましたが、フォー・ザ・ブッシュですか、英語は難しい。そういう、ブッシュのためにかなと思う人もいます。

 国民に今一番説明しなきゃいけないのは、国民が一番、生きていくために絶対欠くことのできないパブリックサービスを果たしてこの郵政民営化法案はどのように提供するのか、国民にとってのメリットとは何なのか。これをまずお願いします。

竹中国務大臣 今阿部委員がパブリック、公的なという言葉を何度かお使いになられましたが、重要なことは、こういう大きな政策のあり方を考える場合にパブリックとガバメントをやはり分けて考えるということだと思います。

 日本でいえば、公私、官民というのはやはり違うのだと思います。公私という概念と、官民というのが違う。阿部委員おっしゃるのは、公私の中の公的な機能、公的なサービス。私的な財・サービスというものに対して公的な財・サービスというものがある、特に公的なサービスが重要である。ともすれば公的なサービスをすべて官で、つまり政府でやる、そういう考え方もあるわけです。しかし、これは今の日本の潮流もそうでありますし、世界の潮流もそうでありますが、公的なサービスを官ではなくて民でもできるではないか、そういう余地が非常に大きいのではないのか、そういう考え方は大変重要なのだと私は思います。

 公的なことを民がやる、代表はNPO、NGOというのがそれに当たるわけでございますけれども、そういう考え方、したがって、民営化されても公的な機能を残した民間の会社というのはやはりあり得るということでございますし、NTT等々はまさにそういうことなんだと思います。

 今回の考え方も、今申し上げましたように公的な機能を担うことも民の企業でできるではないかということ、そしてそのためには、しかし幾つかの仕組みが必要でございます。郵便や郵便局の会社は特殊会社にして、そして公的な機能をしっかりと果たせるようにしよう。特殊会社でありますから、設置基準も総務省の省令でつくって、総務大臣がしっかりと見られるようにしよう。さらには、その中での地域貢献等々も幾つかの枠組み、社会貢献、地域貢献も行えるようにして、地域で郵便局がきちっと設置をされ続けて、そこで金融のサービスも安定的に提供されて、国民の利便が保たれるようにしようではないか。そのような考え方で設計をしたつもりでございます。

阿部委員 マーケットに任せては当然存続できないものがあり、そのマーケットのひずみやゆがみをどう是正していくかというのが今のパブリックの役割であると思います。今竹中大臣がおっしゃったことがそのとおり、この法案がそのようになっていれば、何も私にも文句はありません。しかし、何回も答弁を聞いてきて、いつも最後はマーケット、マーケット、マーケット、マーケット、もしかしてアメリカンマーケットかもしれません、そういう形しか見えないところに国民の不安があるんだと思います。

 私は、もう一つ、もしこれが経済用語であれば教えていただきたいのですが、竹中大臣がお使いになる、国民の経済厚生を一番高める。国民の経済厚生を一番高めるというのは、私の頭ではちょっとわからないのですが、これは何でしょうか。例えば、マーケットの経済効率とかいうのはわかります、市場の原理ですから。これは大臣のそのままのお言葉です。いつの議事録かというと、六月七日の午後の城内さんの御質問への大臣のお言葉です。国民の経済厚生を一番高める、これは何を意味しているんでしょうか。

竹中国務大臣 経済厚生というのは、非常に広い概念であろうかと思いますけれども、私が申し上げているのは、広い意味での国民の満足度。この中には、所得が上がるということもありますし、所得でははかれないような市場外の満足度もあるわけでございますけれども、そういうものを、まさに国民の満足度を広い意味で高める、そのように御理解賜りたいと思います。

阿部委員 今、大臣の御答弁の中で、国民の満足度も含めた、いわゆる幸せ感とか安心感という意味だと思いますが、そういうものを最大限に高める法律になっておるかというと、おっとどっこい、そうではない。これは、さっきの郵便局網の一括か全部か、あんなことで、何かこんな言葉の遊びをしているような場合かなと私は、ちょっと申しわけないけれども、一生懸命やっておられたので後からこういうことを言ってはいけませんが、国民にとってそれは本当に、じゃ、うちの、ここの郵便局どうなるのということなんですから、なかなかあれでは本当の姿が見えないなと思って聞いておりました。

 それで、私が伺いたいのは、むしろ本音は、金融部門、いわゆる郵貯と簡保にたまった三百五十兆のお金、これを民に流したい、マーケットに回したい、ツー・ザ・マーケットというところが、小泉さんも何回もおっしゃっていますから、そのようであると思うのですが、ここでこれが本当に少子高齢化時代を展望した国家戦略か否かということをきちんと考えるのが、私は郵政民営化の一番の本丸なんだと思うのです。

 私がよく例に引かせていただきますアメリカにおいても、農村の、本当に五分行けば馬や牛が鳴いているようなところでも国営の郵便局がある。これはやはりアメリカの国家戦略なんだと私は思っています。ベビーブーマーたちがどんどんどんどん田舎に帰っていく、タックスが安いから。この少子高齢社会、アメリカだって同じように抱えていますから、どこで暮らしていけるか。

 先ほど来、都市の郵便局が減ることはあっても、田舎はそうは、そこそこはとおっしゃっていますが、実はこの二十一世紀の問題は、過剰な都市化で都市が、アメリカのドーナツ化、ドーナツのように中心部が貧困化したらすごく大変なことになるわけです。都市の方が高齢化のスピードははるかに速いわけです。

 だからこそ、今ある郵便局が保てる以上に、これは麻生総務大臣の御答弁を聞きながら思いましたが、今が保てますよというんじゃなくて、もっと各地で暮らせるように、もっともっともっとです。これは地方の発展のためのライフラインを郵便局が支えているんだというポジティブな意味付与をしないと、国民も納得できない、本当の未来像が見えてこない。日本の少子高齢化というのはすごいスピードだと思います。ここにきちんと政策、施策できない政府は、国民から捨てられる。

 その意味で、本当に、これも同じ日の午前中、六月七日の午前中の参考人のお話の中で、田村さんあるいは山崎さんがおっしゃっていたこと、特に金融部分についてですが、例えば、アメリカでは恐慌のときに備えて、金融のあり方の、単に民間銀行だけではない、複線化をきっちりビルトインしておるとか、あるいは山崎さんがおっしゃったのは、共生のさまざまな地域でのニーズ、例えば病院もそうです、保育所もそうです、環境問題もそうです、介護拠点もそうです。こういうものはいわゆる公共の分野です。こういう公共分野に何らかの国民のためた郵貯のお金が生かされるような仕組みをしっかりとビルトインすることだという御指摘がございました。

 竹中大臣に伺います。果たして今回の郵政の民営化でそういうことは展望されているでしょうか。私は、官から民、官から民、ツー・ザ・マーケットではないと思うんです、今やるべきことは。今一番大事なことは、本当に、これからの地域基盤を支えるための、それは例えば、リターンはハイリターンでなくても、堅実に地域を支える基盤。今、銀行は中小には全く貸し出しをしません。さっき伊藤金融大臣がぺらぺらぺらぺらおっしゃいましたが、あんなことで中小に貸し出しができると思うほど甘いとは本当は思っていないと思います。違う仕掛けが必要なんだと思います。

 そこまで展望して初めてこの郵政民営化、あるいは私は公社化のまま他の機能をふやしていくべきと思いますが、それが国民に役立った、二十年後、三十年後、本当に我が国のいい社会をつくると思いますが、大臣、いかがですか、今回の法案はそういうものですか。

竹中国務大臣 阿部委員の御指摘は、本当にこの国の形をどんなふうにつくっていくのだ、先ほどの御質問とも関連していると思います。私はやはり、公的な機能が重要だという御指摘に対しては、私も本当にそのとおりだと思います。公的な機能をしっかりと持続的に担っていかなければいけないのだと思います。

 公的な機能が持続的にもし担っていけないようなことになりますと、これは仮に公的なものが非常に非効率な形で提供されていくような場合にはやはり公的な機能そのものが持続可能でなくなるわけであります。そして、その公的な機能を果たす、それを官でやるとまさに税の負担等の問題も非常に長期的には出てくるわけでありますから、私たちの負担の能力等も考えますと、官でできることをできるだけ、まさに集中的に、集中と選択で集中させて、そして求められる公的な機能のうち民間でできるものはやはり民間でやろうではないか、そういう国の形をつくっていくことが私は必要であろうと思っております。

 今回の郵政に関して申し上げるならば、郵便は、ユニバーサルサービスの機能を負っている、まさに公的なサービスの側面を強く持っていると思います。それにあわせて設置される郵便局についても同様の側面があると思います。そういうものは、したがって、特殊会社として、民間の活力を活用していただきながら、しかし必要に応じて政府もコミットするような仕組みを残して、そして民間の活力を得る。金融に関しては、これはやはり、信用とかが特に重要ですから、官の、絶対的な信用を持っている政府の影響力をできるだけ排除するような形で、しっかりと民間の銀行になっていただいて、しかしそこで郵便局を通じてサービスは国民に提供されるように、そのようなつもりで制度設計をさせていただいております。

阿部委員 残念ながら大臣がおっしゃったような制度設計にもなっていないのがこの郵便貯金銀行と郵便保険会社のありようなんだと思うんです。はっきり言ってとてもグロテスク。手足を縛られて、さあ飛べと言われて、それではおっこちちゃう。

 どういうことかというと、例えばこれは、どのくらいの資本金と申しますか、八兆円かもしれません、郵貯と簡保で。そういう株式会社になって、その株式を十年かけて全部売り払え。しかし、市場の原理からいえば、一番株価の高いときに売るのが一番いいわけで、十年間がそれかどうかなんてわからないわけです。最初に民営化と決めちゃったから変な期限がつく。

 先ほどどなたかの質問にございました、上場するまで何年、そこから売り払っていって何年、これは、やはりその時々の市場が決めるものですから、最初から十年なんて決められたって、そんなものは、逆に言うと市場への政府の不要な介入、あるいは、この二つの会社の手足を縛って、さあ踊れと言っている。

 では、何でこんなグロテスクなものができたのかということが私はずっとわからなかった。でも、このいろいろな審議を聞きながら、ああ、そうだったのかと思ったのが、実は竹中大臣が、去年の四月からことしまで、アメリカと、大臣自身は十七回じゃないかもしれません、十七回にわたっていろいろな、郵政民営化後の郵貯、簡保の扱いについても、これはもう九四、五年段階からあったことですから、お話が現実的になってきたので重ねられた。アメリカ側は、政府保証がつく限り、逆に言うと、そこでは、例えば今の簡保と同じような商品は売ってくれるな、こういう要望を出す。

 私は、邪悪に勘ぐれば、この郵貯、簡保の中に設けられる民営化委員会でしたっけ、何とか委員会というところは、そういうアメリカの要望をきっちり生かしながら、逆に言うと、それに縛られながらしかこの会社は生きられないのか。本当に気の毒だと思いますね、そんな会社。

 それと、もっと言えば、国民の最大利益、国民がためたものですよ。その信用と財産とを全部売っ払ったもの、それをやはり一番、国民の最大限の利益のときに、もし株式会社化したら株として売るというのが当たり前のことなんだと思います。

 そもそも、こんな期限を区切って株を売っ払えなどということが市場原理と相並立するのか、そこを竹中さん、教えてください。

竹中国務大臣 十年の期間でその株を処分する、その点についてしっかりと御答弁をさせていただきます。

 まず、やはり先ほど言いましたように、金融というのは国の信用が極めて重要でありますから、この国の信用、関与を完全に断ち切って、初めて本当の意味での民間としての自由な経営を行うようになる。したがって、株式会社は、その移行期間中に、この貯金銀行と保険会社の株式を完全に処分しなければならないとしております。

 ぜひ御留意賜りたいのは、完全に売却ではなくて、完全に処分をするという点でございます。しかも、この処分につきましては、経済情勢や証券市場の変化による影響を受けるものであるわけですけれども、十年間という長い期間にわたって段階的に処分を行うこととしているところでございます。

 この処分は、要するに関与を断ち切るということでありますので、例えば売却して所有権が移転されれば、これは関与が断ち切られるということになりますけれども、処分の方法としましては、今申し上げたような売却、売却の中にも、これはブロックトレード、自社株買いといったようなものも含まれますけれども、その売却に加えまして、例えばですけれども、委託者が議決権行使について指図を行わないような有価証券処分信託等々も含み得る。これはもうさまざまな手法があると思っております。

 これは、条件つきでありますけれども、きちっとした信託に出して、それで関与は切る。後は、これはもう条件次第でございますけれども、マーケットの状況を見ながら売却という形にする、そういう制度設計にしてございます。

阿部委員 私は、それでは上場できるような株式会社は本当にできないと思います。やはり株式会社は、自分たちに幾らの株価がつくかというところに本当に全力集中できないと、自分たちの誇りある企業運営もできない。

 そして、最後に信託という逃げ場をわざわざ今から設けている。こういうねじれができたところは、とにかく小泉さんいわく、十年後には民営化、国民の最大利益じゃなくても、その結論まずありきという乱暴な手法が、もう本当に、金融なんてほとんど知らない、でも、この私から考えたって、それって変、それっていびつ、そんなの株式会社やれないんじゃないと思うような疑問が起きるような法案だと私は思います。こんな期限を区切って会社の手足を縛るなということを、強くまず一点申し上げたい。

 そして、せっかく谷垣大臣に会えましたから、ここでちょっと質問をさせていただきますが、私は、先ほど申しましたように、障害者の自立支援法というのを、きょうの一番目の御質問は宮澤さんでございましたが、御一緒にやっております。障害者の方がいっぱい外に並んでいる。

 日本の予算の中で、障害者施策と少子化、家庭について使われる予算は、OECD諸国中破格に低い。もう、けた違いに低い。これを厚生省に言っても、財務省がねと言うんですよね。私は、ほかの場があれば、きょう、ここで聞くのはちょっとずるいと思うんですけれども、でも、あの障害の皆さんがどんなにか不安かと思うと、このOECD諸国中破格に低い障害者の予算……(発言する者あり)そうです、作業所に行ったって料金を取られるんです。御存じでしたか、谷垣さん。お願いします。

谷垣国務大臣 ここで会ったが百年目とさっき言っていただきましたので、前にお会いしたのは日露戦争のころかなと思いながら聞いておりました。

 もっと障害者対策あるいは少子化対策の予算をふやせ、こういうことだろうと思います。私も、もちろん障害者対策というものが不要だと思っているわけではありませんし、また、少子化対策というようなことも、もっともっと意を用いるべきだという気持ちがございます。

 しかし、その前提として、今、社会保障経費というのが政策経費である一般歳出の四三・一%をことし占めているわけでございます。そして、社会保障関係経費は自然増で一兆円毎年ふえていくという構造になっておりまして、もちろん、私は、これだけ高齢化が進んできましたから、その一兆円の自然増があるのがけしからぬと言うつもりはございません。当然増というものはけしからぬと言うつもりはございません。しかし、こういう姿はなかなか持続可能ではありませんので、何らかの形で抑制をしていくということを考えながら仕事を進めていかなければいけないと思っております。

 それから、いろいろ、財制審やいろいろなところでも御指摘をいただいておりますが、日本の社会保障関係費も、高齢者のところにとられ過ぎで、今、少子化とおっしゃいましたけれども、若い方々とかそういう方々にもう少し経費を回すべきではないかという御指摘も、確かにそのとおりでございます。

 ただ、それを実現していこうという場合に考えなきゃならないのは、やはりこれだけ日本の財政が悪くなってきておりますと、なかなかこの財政の自由度というのは少ないわけですね。非常に硬直化してきております。

 それを何とか乗り越えるために、これはいろいろな手法を講じなければならないと思っておりますが、私の目的は、できるだけこの硬直化を解きほぐしていって、そして、国債、今たくさん発行しておりますけれども、若い世代のツケを先送りしないようにしなければいけない。そういう全体の財政構造を変えていく中で、いろいろまた御議論をさせていただきたいと思っております。

阿部委員 国債、この問題も、実は時間があればお伺いしたかったですが、今の御答弁の限りで言っても、私は、だからこそ、この郵貯、簡保にたまったお金を福祉とか公共分野にもっともっと活用する道を今とるべきだと言っているのです。

 打ち出の小づちはない。少子高齢化時代に打ち出の小づちはない。だからこそ、この民営化問題は、実は民営化ではなくて、ツー・ザ・パブリックであってほしい。そういう仕組みをどうやってビルトインできるかを真剣に、そこに優秀な大臣がおられるんだから、考えていただきたいと思います。

 そして、事は金だけではありません。いわゆる私たちの社会の価値観の問題でもあります。

 障害は、今は人ごとかもしれません。でも、みんな、私たち、谷垣さんと私などは団塊世代ですから、こぞってみんなこれから障害者予備軍、あるいは障害を持っていきます。この多くの障害者を抱えた社会が当たり前に運営できなければ、私たちは、本当のいい時代、さっきおっしゃいました人間の幸せを分かち合える時代が来ません。

 そして、例えばこの郵貯問題でもそうですが、先ほど、過疎の郵便局あるいは御高齢者の年金窓口のことが言われました。私は、少子化問題で、実は、お金の政策、施策がされると同時に、お母さんやお父さんが堅実に、本当に子供をはぐくむという気持ちをもう一回広く社会に取り戻さないと、とんでもない国になると思っています。例えば、学資貯金とか学資保険とか、皆さん、子供さんが生まれたら、子供のために郵便局にお金をためていくんです。これだって、本当に大事な、子供に今教育を受けさせるためにはお金がかかる、そのことを親御さんなりに形にして支えているものでもあります。

 何から何まで官から民では解決されない分野を抱えているという認識がまずこの委員会にあってほしいと願いながら、私はきょうの質問を終わらせていただきます。

二階委員長 次回は、明十日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

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