第163回国会 厚生労働委員会 第6号 平成17年10月25日(火曜日)抜粋

案件:
 障害者自立支援法案(内閣提出第一一号)(参議院送付)
 障害者の自立の支援及び社会参加の促進のための身体障害者福祉法等の一部を改正する法律案(山井和則君外五名提出、衆法第一〇号)

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鴨下委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日の参考人の皆様には、本当にお運びいただいてありがとうございます。いろいろな観点から、また、私どもが現在審議しております法案の問題点のみならず、日本の障害者施策の根本的問題についても新たに御指摘いただいたように思います。

 きょう参考人にお越しの皆さんももう既に重々御承知と思いますが、実はこの法案は、さきの国会で二回にわたり参考人にお越しいただき、今回また第百六十三国会ということで新たにお願いしたわけですが、例えば御自身が障害のお子さんを抱えておられる経験のおありの方、きょうもお四方、四人おられましたでしょうか、そしてまた当事者の広田さんという、皆さんにお話を伺えば伺うほど、やはり通算すれば三回目であっても本当に問題点がさらに浮き彫りになるということを、冒頭お礼とともに申し上げさせていただきたいと思います。

 きょう、お話の中で、浅輪さんや相澤さんは親御さんとして、特にこの間の負担の軽減策が世帯ということに着目しているがゆえに、親が多少なりとも本当に生活のために蓄財してきたものも全部吐き出さないと減免措置も受けられない問題、特に相澤さんは、これは本当に子供が一人で生きていくため親とどうやって分離していくかということが最大の眼目であるところに真っ向から反しているという御指摘も強くいただいたと思います。

 そして、広田さんがおっしゃった所得保障という問題は、日本のいろいろな政策の審議の中で所得保障すべしとか検討すべしというけれども、十年、二十年、一九八六年の障害者の今の年金制度が本当にやっと日の目を見てからいっかな全く動いていないという意味で、御指摘の点も本当にそのとおりと思います。さきの国会では、附帯決議の中に所得について検討するとありますが、検討する前に負担を求めたら、これはもう逆さと思いますので、この点は私ども立法におる者の責任と本当に思っております。

 きょうの私に与えられた時間の中で、私自身はぜひ、本当にこの問題だけはというと恐縮ですが、ほかにも多々根本的な問題はございます、しかし、本当にきょう来ていただいた参考人の中でぜひ皆さんに再度再度、この法案の抱える大きな問題の一つである、医療ということを福祉の中に投げ込んでしまって、そのことが逆に、人の生きる権利を、子供たちのみならず、心臓病を抱えて成長されて、そして手術が必要なのに受けられなくなる、先ほどの笠井委員と水谷さんの質疑の中でも出てまいりましたが、そのことも含めて、果たして医療をこの法案の中に取り込んでいっていいのか、最初から私はこれを上げさせていただきました。

 逆に、広田さんの思いも一緒なんだと思います。医療に過剰に取り込まれるところに福祉は充実しない、これも事実です。一方で、逆に、医療を福祉に解消したら命が支えられない、私はそのことを、きょう参考人で来ていただいております水谷さんが数値で具体的にお示しいただき、また、ここには応能負担と応益負担の抱える大きな差も私は上がっていると思います。

 水谷さんが、お時間の関係もあり、資料としてつけていただきましたことの御説明も専ら本文の中で引用される形をとられましたが、まず、恐縮ですけれども、前提として第一点、医療と福祉というのは違うのじゃないか、お話の中でも述べられました、私もまさにそう思います。その点について、再度お話をお願いいたします。

水谷参考人 ありがとうございます。

 先ほども述べさせていただきましたけれども、医療は、福祉も買うものではありませんけれども、医療こそ選択をして買うサービスではないというのはもう当然ですね。福祉というのは、やはり社会参加であるとか日常生活をやっていく上で必要な、生活をしていく上で必要なものです。同じように、医療については、生活をしていく上でというよりは、これは本当に命を守るために、生きるために必要なわけですね。ですから、生きるために必要で手術を受けるものですね。それが果たして応益、定率というふうな言い方をしてもいいですけれども、その医療費の量によって負担をしなきゃいけないというふうなことに値するのかどうかということは、私も非常に疑問に思います。

 それと、今回、障害福祉サービスの見直しの中で、やはりこの医療という分野を入れたことについては、そういう点からいっても少し違うのではないか。やはり医療は、かたく言えば日本国憲法二十五条、健康に生きる権利、健康権というものを本当にまさに国民だれもが保障されている、そういう中で、やはり心臓病のように生きるために必要な医療については国が保障をしていただく、公的な保障をしていただくということが筋ではないかというふうに私は思います。

阿部(知)委員 きょう、参考人の中で自治体の首長である亀井さんのお話の中にもちょっと触れられたんです。医療が終われば、あとは御高齢者の介護や障害者の福祉というのは同じようにやれるのじゃないか、そういうふうにお述べいただきまして、本当に医療の部分がきっちりされないと、その後受け取る首長としても大変になってくると私も思うのであります。

 例えば今、後に質問させていただきますが、いろいろな高額医療費で、自己負担の限度額で、しかしまだまだ払い切れない、大変だという場合に、自治体もそれなりの負担、援助をしていかなきゃならなくなるということも、当然このとおりでいくと私は多々生じてまいるように思います。その辺で、受け取る自治体とされてのお考えを一言ちょっと教えてください。

亀井参考人 お答えいたします。

 私は、その部分というのは継続していく部分であるというふうに思っております。ですから、その境というのは非常に専門的な判断が要るのではないかと思っているわけです。ただ、基礎的自治体からすれば、そんな縦割りを横割りにしていろいろな施策を推進していける、そのための法の整備がぜひ必要であるということで、私はこの自立支援法について支持する立場で申し上げたところでございます。

 ですから、例えば、それは発達障害一つとりましても、医療の分野と教育の分野とそして福祉の分野が三位一体となってその子に一番今適切な対応を進めていく、こういうことになるわけでございまして、私が申し上げたのは、どこまでがどうだということの、そういう境は非常に難しいのではないか、こんなふうに思っているわけでございます。

阿部(知)委員 私がお尋ね申し上げたかったのは、今、自治体も個別に医療費助成制度というのをお使いで、例えば更生医療の透析の場合もそうですし、育成医療も何がしかある場合もあると思います。このままで進むと、今の公費、国の割合ががくんと減ってまいりますから、あとは自治体がかぶるか患者さん御自身がかぶるかという形になり、そして特に命にかかわるような医療の分野、今例示された発達障害等々も、別に命にかかわらないとは言いませんが、そういうこと以上に手術とか火急的なものというもので、絶対必要な透析もさようでございます。そこの医療費負担というものがこのまま進めば、私は自治体もまた大変になろうということを案じての御質問でありましたので、申し添えます。

 実は私は、今から二十五年ほど前に、国立小児病院という日本で初めてできた子供のための専門病院に勤めておりました。水谷さんのお話の中にあったように、育成医療という医療制度が一九五四年にでき、六四年に心臓病の方たちも育成医療でやれるという状態になりました。ちょうど小児病院が始まったのが一九六五年で、実は小児医療にとっては、特に難治で、難しい手術、先天的な重い病気を支えていくためには、小児病院と育成医療というのは車の両輪でございました。小児病院のような高度な技術を提供できるところがあって、そしてそのお支払いを親御さんたちが本当に不安なくやれて、初めて私は日本の子供たちの医療というのはここまでやってきたんだと思います。

 ですから、この育成医療をやめて自立支援医療にしよう、そして、ましてきょう水谷さんが計算してくださったように、こんなにだれが負担できるんだろう、どうやって子供たちは、親御さんたちはこれから生きていくんだろう、多少の減免措置をされたといっても、私は今も不安でなりません。

 と申しますのは、水谷さんがおつくりくださった所得階層別に負担の金額が並べてある二枚の参考資料の中、先ほど水谷さんのお話では、何倍になる、何倍になるということで強調してくださいましたが、何倍になるというその倍、倍、倍の重みもさることながら、実際にお払いになる方にとっては、額、幾ら払うんだ、幾らの収入の人が幾ら払うんだという、現実には払える額なのかどうか、すごく問題になると思います。

 例えば、子供を抱えた親御さんで子供さんが心臓疾患でという場合に、このDの十二の二の所得階層では、まず窓口で九十一万五千六百円、約百万円を用意しないとなりません。もちろん後々還付、いろいろな払い戻しがあるとして、私の経験しますところ、本当に最近若い親御さんの所得も下がってきております、その中で百万円まず準備しないと医療が受けられない、それでは本当に親御さんたちがどこでお金を工面してくるやらと、もう目に浮かぶようであります。手近なところでサラ金に行かれるかもしれません。

 そして、皆さんよくこれを見ていただきたい。今までだったら応能負担なので、そうした場合も四万四千円の負担でありました。Dの所得階層十二の二、これは後ほど水谷さんにお願いしたいですが、大体このDの一からDの十二くらいまでが私は若い親御さんの世帯と思いますが、その次のDの十二というところにもなるかと思います。これは年収に直してお幾らぐらいの方の負担なのか。

 そして、もっと本当に子供たちの自立を妨げるのが次のページ、十八歳以上です。先ほど笠井委員とのやりとりにもありましたが、ここでは何と所得税の年額が四千八百円以下の方も当座九十一万五千円を用意しなければなりません。大体、心臓病の子供が大きくなり、やっと就労できた。でも、そんなにフル、満額お金がもらえるような仕事にはなかなかつけません。私が考えるに、本当に大半の子がこのCの二かDの一、二くらいでしょう。しかし、働き出して、やっと自分で歩み出して、そのやさき、手術が必要だ、十八歳過ぎて二十歳である。果たして百万円を用意してやっていくのか、やれるのか。その子の自立を妨げる、これこそ大きな問題だと私は思います。

 今度新たに発生する十八歳以上の自己負担額十一万五千四百九十円だってさようでございます。子供たちがやっと育ってくれた、やっとやっと生き延びてくれた。そして、今度は自分で働き出した、うれしい、頑張りたい。そこにこんな負担をかける法律というのは、私は小児科医を長年やってきた経験から、どうしても子供の、子供というか成長していく子たちにマイナスとしか考えられないのです。

 恐縮ですが、水谷さんにはこの二枚の、私は一時金、当座のお金のお話をしましたが、それだけじゃなくて、この負担額の多さということと、大体どのくらいの年収の人にそれを求めているのかがおわかりでしたら、ひとつお願いします。

水谷参考人 大変説明いただいてありがとうございます。

 まさに今委員がおっしゃっていただいたように、大変な負担になります。それで、私ども、今、阿部先生が上げましたDの十二の二ランクから、所得税額三十万円以上は適用外なんですが、これは厚労省の自立支援法案の資料で見ますと、年収が約六百七十万の世帯というふうに聞いております。

 私どもも確かに、六百七十万というふうな額が高いか低いかなんですけれども、やはり今の社会の中で、非常に物価も高くなって、生活をしていこうと思うと、若い世帯、勤めてすぐ、数年であればそこまではいかない方もいますけれども、本当に、五年、十年、子供たちの教育費もかかるような年ごろになってきますと、そういう年収というのはほぼ、あり得るというかたくさんいるのじゃないかと。私どもの会の中では、全体の中での会員数というのは捕捉している数が少ないものですから、実際にどの程度ということは申し上げられませんけれども、やはりかなりの方がひっかかるのではないか。

 先日の緩和策の中で、世帯合算というものを個々の医療保険で見ていただくというふうに大臣もおっしゃってくださいました。それで、共働き世帯の合算ではなくて、御夫婦どちらかの、障害児がいる方の医療保険で見るんだということは多少緩和されたかもしれませんけれども、そう見たとしても、この年収六百七十万というのは、やはり一定の、中堅といいますか、働いた方についてはこれを超えてしまうのではないか。教育費だとか、そういういろいろな生活にお金がかかる時期に、先ほど阿部先生がおっしゃっていただいた百万近くのお金を立てかえてまず払わなきゃいけない、これは本当に大変なことだろうなと私どもは思っております。

阿部(知)委員 私は、親御さんといるケースも、同時に、本当に働き出して、やっと例えば十八、二十で働き出して、決して多くはない収入で、しかし手術が必要、親からも離れて自立していきたいときの、特にこの更生医療の方の廃止というのも、先ほど来笠井委員との御質疑の中で大きく問題になっていましたが、皆さんもこのグラフを見ていただければわかるように、この自立支援医療にかかる人は本当に少ないのです。そうなると、もうCの一ランクから自立支援医療の負担はゼロ、ゼロ、ずらっとゼロが並んでいきます。

 ここは、水谷さんが今前者の方をお述べくださいましたが、同時に大きな問題として、これからの皆さんの審議の中でもぜひ取り上げていただけますことをお願い申し上げて、私が一方的にしゃべって恐縮ですが、それだけの思いとお受けとめいただいて、皆さんがよい審議と、また参考人の皆さんの重ねての御意見をいただければと思います。

 ありがとうございます。

鴨下委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党・日本・無所属の会の糸川正晃でございます。

 参考人の皆様におかれましては、本日、お忙しい中お越しいただきまして、ありがとうございます。

 私が今週末福井の方に戻りました際に、コミュニティーネットワークふくいに行きまして、田中理事長にお目にかかる機会がございました。そこで少し施設内の様子を見たり、私、国会議員として初めて視察をしたということでございましたので、その熱い思いをお聞かせいただくという機会もできました。

 このC・ネットふくいは、地域の知的障害者雇用に取り組んで十五年目を迎えたということで、これまで試行錯誤の中から就労支援に一定の成果を上げるに至っていると聞いております。私は、福井に事務所を構えてまだ間がないものですから、C・ネットのことを知ったというのはつい最近のことなんですけれども、実際に地域の現場で努力されている方に接してみて、改めて日々の御苦労や志の高さに感銘をいたしました。そして、C・ネットのような取り組みをこれからもぜひ、障害者の種別を超えて、また、福井だけでなくて、全国各地でチャレンジしていただけるように政治の立場から応援していきたいなというふうに考えております。

 さて、現在私の地元が福井ということでございますので、本日は、福井から参考人としてお越しいただいております松永専務理事に主としてお話を伺ってまいりたいと思います。なお、時間が許せば最後に参考人の皆様からぜひ一言お伺いしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 では、今回の障害者自立支援法案の関連において、就労支援の現場からの御意見を伺ってまいりたいというふうに思っています。松永参考人、よろしくお願いいたします。

 まず、C・ネットにおいては、就労支援の実績を上げておられ、また高い工賃を実現して障害者の自立を助けておられますが、そのポイントを一言で言いますとどういうことになりますでしょうか。松永参考人、お願いいたします。

松永参考人 一言で申しますと、やはり本人の願い、そして、安心して一生涯を送らせたい、私たちがその熱い思いをどう具現化するか、そのために私たちはいろいろな活力を持って臨まなきゃならない。それと、それを御理解いただける地域の皆様方、そのことがございますし、行政の皆様方の調整能力、これに負うところが多いわけでありますけれども、最もこういったことが進んでくることには、やはりその地域の政治家の皆様方、その政治力が大きいと思っているわけでございます。

 できないのではなくて、それらが車の両輪のごとく、いわゆる四輪駆動の自動車のごとく、調和のとれたものでなければならない、こう思っているわけでございます。

 以上です。

糸川委員 障害者の方が、その熱い思いということで、自立をしたいという思いの中で、施設の方でそれを酌んで一般就労させていこうというふうになっていくんだと思うんですけれども、障害者の方が施設で能力を伸ばして、手に職をつけて一般就労に移行する、いわば卒業というんでしょうか、というふうにされていくんだろうと思うんですけれども、そうなると、その後の事業運営というのは支障がないのかなと。

 それから、今回私も視察をいたしまして、クリーニングとかパンの事業とかコンビニの事業とか、いろいろやられているなと感じたんですけれども、そこで人手が足りなくなって事業を一たん閉じるとか、それから、例えば知的障害者の方々を多く雇用されているということですけれども、その方々が一般の企業に雇用された場合、退職率も非常に高いというふうにも聞いているんです。そういう方々がまた戻ってこられると、今までせっかく営業してとってきた事業というのを一たん閉じてしまうと非常に影響が大きくなるんじゃないかな、もう雇用できないという、いわば共倒れのような形になってしまう可能性もあるのかなとも思っているんですけれども、その辺どういうふうに対処されているのか。

 また、今回の法案を機に、何か経営戦略を組み立て直すとか、国や自治体に経営の観点からまた求めたいなという支援策というのはございますでしょうか。

 松永参考人にお願いします。

松永参考人 今の御質問でございますけれども、確かに、就労を一般企業に送り出していく、戦力が外へ出ていくわけであります。ちょうどプロ野球で申しますと、イチローが、また松井秀喜がメジャーへ行くようになります。施設とすれば、惜しいな、やっとできたのになという思いがありますけれども、これが施設経営者としての仕事であります。そのようなことから、それを阻止するということはあってはならないことでございますし、また、そこに合った仕事に次の人たちを適職として育てていくのが施設の経営のあり方でもございます。

 確かに、就労支援を、実績を上げていくと施設経営が苦しくなるというような声を聞くわけでありますが、私どもも、今度の支援法が実施されるということを予測いたしまして、もう既にいろいろな事業構築をやっております。

 そうなりますと、職員は今百七十五人おりますが、六十人、約三分の一は資格その他のことで変えていかなければならない、いわゆる首にするわけじゃございませんが、この能力というものを磨いていかなきゃいけないということであります。職業指導員は、ジョブコーチとして雇用の定着を図るために移行しなきゃならないだろう、雇用定着支援要員をやらなきゃいけないということで、二月ごとに研修をやっているわけであります。

 また、生活支援におきましては、こちらの方が非常に多くなってくるわけであります。福井県は、私ども施設整備率が比較的高いわけでございまして、今までは居宅支援事業等につきましては無料で施設の運営の中でやってまいりました。これが今度、居宅支援事業という事業ができるわけでありまして、端的に申しますと、グリコのおまけが事業になる、お金になる、私なりにこういう考え方を持っているわけでございまして、職員には生活支援に十二分に対応できるように全員ホームヘルパー三級は義務づける、この研修もやって今着々と進んでいるわけでございます。

 そのような中で、事業というものは常に変化します。例えば、創業当初は電子部品が花形でございました。ところが、上海にその仕事が移りますと、私どもの障害者一人の賃金で向こうでは十五人の女性が雇用できるとして、すべて向こうへ行ってしまいました。しかし、その加工技術を持った障害のある人としてはその仕事が生きがいですから、収益はマイナスでも、今もって継続し生きがいを提供しています。そのカバーをほかの事業でしているわけでございます。

 そのようなことから、事業を常に創造していく姿勢が必要でございます。それには設備の近代化等の支援等が必要でございます。一般の中小企業対策では設備の近代化資金等の支援がありますが、社会福祉法人にはこうした制度が適用できないというバリアがあるのでございます。この点を少しお考えいただければ、さらに進んでいくことは間違いない、このような思いを持っております。よろしくお願いしたい次第でございます。

糸川委員 政治の立場から、足かせにしないように努力していきたいなというふうに思っております。

 質問を変えますが、就労支援を論じるときに、重度の障害を持つ方の不利、あるいは都市に比べて、私なんかもそうですけれども、地方におけるその就労機会の不利が言われているというのがあるんですけれども、この点松永参考人はどのようにお考えでしょうか。

松永参考人 よくローカル、田舎では仕事がない、こういうようなお話が聞こえてまいります。また、東京では非常に物価が高い、こういうことで生活がしにくいというようなことも聞くわけであります。しかし、その土地にはその土地の仕事が必ずあります。それを拾い上げていくのが施設経営者の仕事でありますし、そして職員の仕事である、それができない職員を雇用しているところに問題がある、私はそう言い聞かせてまいりました。

 そもそも、先ほど浅輪さんのお話にありましたように、清掃事業などは官からの直接受注も考えられますけれども、そのメンテナンスのあり方についてはいろいろな測定をしなきゃならない、その器械、資格を持つことが義務づけられることもあるわけでございます。私どもは、それらについては当然のこととして、一般の企業と協業化し受注をした中からできることを下請をさせていただきながら、できる範囲の仕事を拡充していくことで共存共生の事業所づくりを進めているわけであります。

 そして、重度の方のというお話がございましたけれども、ごらんいただきますのは、この資料の百四ページから、私どもの福祉工場の全従業員、これはもう二年前の資料でございますけれども、重度であるか軽度であるか、全部載っております。重度であっても最低賃金をクリアしている人もおりますし、軽度であってもいわゆる半分以下の能力しかない人もおるわけであります。要は、どのようにして意欲を持って働く環境を整えていくか、この環境整備が重度障害者の雇用につながっている、この実績だけは、きょうここで先生方によく御理解をいただいて御審議していただきたいと思うわけであります。

 以上であります。

糸川委員 本当に、そういう思いというんでしょうか、非常に伝わってくるんですけれども。

 市町村が策定する障害福祉計画というものについて、国としては数値目標などを盛り込んだガイドラインを示すなど水準の低い市町村の底上げを図るというふうにしているんですけれども、市町村の計画策定過程において、障害を持つ当事者の声を反映させるとともに、社会福祉法人とかNPOとか小規模作業所とか、そういった事業者側の実態も踏まえた作業が必要かなと思っているんですけれども、松永参考人はこの辺をどのようにお考えでしょうか。

松永参考人 この障害者の問題、これはいろいろなことを策定するに当たりましては、やはり当事者が自分たちの暮らしのことを、自分たちの一生涯のことをどう考えるかというのは本人が考えるべきことなんですね。そのことを提案していき、行政とのお話し合いの中でよりよい方法を策定していかなきゃならないという思いを持っているわけであります。

 したがいまして、障害者基本法第九条第六項には「障害者その他の関係者の意見を聴かなければならない。」こう書いてあるわけでありますから、当然、各市町村におきましては、それらのことを実施していただくように御指導をしていただきたい、こう思っている次第でございます。

糸川委員 今の松永参考人の御意見を聞きまして、亀井参考人はどのようにお考えでしょうか。

亀井参考人 当然ながら松永参考人と同意見でございます。

 また、松永参考人あるいはまた浅輪参考人の方からも発言ございましたけれども、その地域に合った地域の就労、地域でなければできないというふうな、そういう部分も多くあるわけでございます。私どもは、今、そういう場を三年以内に百カ所ぐらいつくっていこうかということの中で計画をしているわけでございますけれども、それは、例えば地産地消なんかでも、農業等もそういうことで貢献していっていただけるのではないかな、こんなふうに思っておりますし、また、病院なんかでいろいろな、クリーニングであったり、そんな部分もお任せをしていけるようなそういう団体等もつくる仕掛けをしていきたいな、こんなふうに思っておるところでございます。

糸川委員 大分時間もなくなってまいりまして、私のこの質疑が参考人に対する質疑の最後でございますので、ぜひ皆様に一言ずついただきたいなというふうに思っております。

 最後に、この法案について、審議が足りない、さらに審議を重ねた方がいいんじゃないか、また今回の国会で通さないで後にずれ込ませた方がいいんじゃないかといろいろな意見があるんですけれども、皆様、各参考人にお聞きしたいんですが、どのようにお考えでしょうか。

 亀井参考人からお願いいたします。

亀井参考人 法案の熟度の問題かと思うわけでございますが、ただ、私が思いますのは、法案であっても条例であってもそうなんですけれども、これは、それでコンクリートするというわけではないわけでございます。そうしますともう劣化しかないわけでございますけれども、これからより進化させていく、そういう思いの中で、法案を早期に通していただいて、そして今私どもが取り組んでいる地域福祉の追い風となっていったらいいのに、こんなふうに私は思っているわけでございます。

松永参考人 私は、先ほど浅輪さんがお話しになりましたように、小規模作業所、私は実は、平成九年までは全日本育成会の常務理事、副理事長を合わせて六年間やっておりました。そのときに、小規模作業所とは何やと、国といろいろ協議をさせていただきました中で、これは国の補助基準というものは、法内施設への助走期間として三年をめどに助成をするということでございました。ですから、この小規模作業所というのは、本来ならば法内施設に移行しなきゃいけないんですね。ところが、法内施設には、設置基準、先ほどお話がありましたように、お金の問題だとか平米数だとか、いわゆる福祉工場でも保健婦を置けとか、しようもないことがいっぱい書いてあるんです。これをやはり規制を緩和しなければできないわけでありますので、一日も早くこの法律を通していただいて規制緩和をしていただくということを私はお願いをしたいというわけでございます。

 もともと、私の法人で申しますと、一番施設で金もうけしているのは障害者なんです、支援費が入ってくるわけですから。だから、お金をいただいて、社会自立、所得保障するための職員を雇うわけでありますから、そんなできない職員を置いておくこと自体がおかしいんじゃないか、いわゆる施設職員の失業対策事業で障害者福祉があるわけじゃない、こんなことも思っているわけでございますので、ぜひとも、その点を皆様方御検討いただいて、一日も早くこの法案が成立することを望んでおります。

 以上であります。

浅輪参考人 私は少し違うんですが、施設職員というものは、怠惰な人もいるかもしれないけれども一生懸命頑張っている人もいます。その中で、自分の能力を超えるような活動をしている人もいます。ですけれども、そこから先がどうしても切り開けないというときにどうしたらいいのかということで、非常に悩んでおります。

 それで、私が思いますのには、そういう人たちの声も一緒に、もうちょっとよく聞いていただきたい。目の前にあることをどうやって解決していったらいいのかわからない人たちがいっぱいいるわけですが、もちろん親もそうですし、それから当事者である本人もそうなんですが、そういう人たちの意見をよく聞いてほしいと思っております。

 私は、骨格的にはこの自立支援法は決して悪いものではないと思いますが、細かいところがわからないままに、白紙委任状のような形で通してしまうのはちょっと心配です。このまま、自分の子供がどうやって生きていくのかわからないままにそれをお預けすることはできないと思っております。

相澤参考人 審議が早く進むことはもちろん期待しているわけですが、それを前提にして、やはり重大な問題で、まずこの法案には未解決の問題が幾つも含まれているというふうに感じております。

 その一つは、まず、応益負担への大転換というふうに言いながら、当然のことながら応能負担の原則を上限措置という形で盛り込んでいるわけであります。なぜこの応益負担と応能負担との大転換がどうしても必要なのか、それが国際的な基準に照らしてまたどうなのかということについて、私は大きな疑問を持っております、根本的な疑問を持っております。そのことは繰り返しませんが、その点について未解決だということ。

 第二点としては、やはり応益負担、一割負担ということがまずあって、そのために性質の全く違う、医療も福祉も児童福祉も込めて一緒に一括してしまうという方法がこの法案においてはとられているというふうに感じております。これは大変危険なことだと私は思っております。その点について十分な説明が欲しいと思います。

 第三点は、今でさえ市町村間の格差というのは、これはもう天と地ほどあるわけであります。今度の法案で、確かにグランドデザインを描いて全体的な推進を図るという、そういう風としては結構なことだと思うわけでありますけれども、今ある市町村間の天と地ほどもあるようなその格差を、どうやって、どういう手順で、また経済的にどういう手だてで是正していくのかということについての見通しはこの法案には示されていないと感じております。

 以上、とりあえず三点だけ申し上げて、それらのことについて至急議論を進めていただきたいというふうに申し上げます。

水谷参考人 私は、自立ということを考えた場合に、障害者が、経済的にも精神的にも、やはり人として、働いて収入を得て、社会の一員としての役割を担っていくことが自立だと考えております。

 そういうふうに考えた場合に、先ほど医療に限って申し上げましたけれども、例えば心臓病で施設を利用する場合もあります、補装具を使う場合もあります。その場合の、今回の自立支援法案の一番の問題点は、上限というのは、そのそれぞれの利用料で上限、医療で上限ということを加えていますけれども、例えば、そういうふうに重なってきますと、人としての自立と考えると、医療は別、それから補装具の費用も別ですね、そうすると、では果たして生きていけるのかどうかと不安になるのは当然だと思います。

 ですから、そういう点も含めまして、先ほども何点も上げさせていただきましたけれども、まだまだ審議は足りないと思います。もし必要であれば、次の国会でも十分審議していただきたい、拙速な採決は避けていただきたいというふうに思います。

広田参考人 親の方たちのお話を伺って、思いが深いなと思いますが、安心して死んでいただきたい、安心して死んでいける日本の医療、福祉であってほしいということで、前向きに検討していただいて、所得の保障は、阿部議員がおっしゃったように、三年ではなくて、来年度で補正予算を組むぐらいの勢いでやっていただきたい、本人の所得に着目したいということです。

 それと、やはりいろいろな問題があります。精神障害者の区分などは、とても精神障害者の特性に合わないような問題がありますから、そういうことは今後随時論議していただくとして、皆さんが、皆さんの家族が精神障害者になったときに、三十四万人がまだ精神病院の中にいるということを考えたときに、本当にこの国に生まれてきてよかったと、大正年間のこの国に生まれたるの不幸ではないけれども、この国に生まれてきてよかったということを思えるような施策をぜひグローバルに展開していただきたい、細かいことは私たちが考えますから、グローバルに展開して、どこからお金を持ってきてこういうふうな障害者の施策に使えるのかということを、国会議員らしくやっていただくことを期待して、きょうの参加に感謝したいと思います。ありがとうございました。

糸川委員 済みません、時間を超過いたしました。

 きょうは、大変貴重な意見をありがとうございました。また審議を進めたいと思います。ありがとうございました。

鴨下委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。


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