第164回国会 安全保障委員会 第6号(平成18年4月20日(木曜日)) 抜粋

案件:  理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)

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〔前略〕

浜田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 私は、実は神奈川県の選出でございまして、この委員会でも多くの皆さんが沖縄の問題をお取り上げでございますが、神奈川も沖縄に次ぐ第二の基地県でございますし、昨年来のいわゆる日米のいろいろな交渉、2プラス2の中でも、私のおります神奈川にかかわることがたくさんございます。

 そのこともございまして、昨年の暮れにアメリカのワシントンに出向きまして、先方の国務省並びに国防総省あるいは安全委員会の皆さんともお話を伺い、逆に、非常に大きな、先方はチェンジという言葉を使いましたが、あなたたちは変わらねばならないというふうに言われまして、その言葉の強さと印象が非常にある中で、果たして私どもの国は今、何を、どう変わることを要求されているのか、あるいはそれについて国民合意はあるんだろうかということを深く懸念するものであります。

 冒頭、通告外で恐縮ですが、一昨日のこの委員会の議事録を読ませていただいていて、平岡委員と麻生外務大臣のやりとりの中で、日米安保条約の極東条項のお話が出ておりました。

 額賀長官にお伺いしたいですが、例えば私どもの神奈川では、座間に米陸軍第一軍団司令部、そしてあわせて、横須賀に原子力空母の配備が二〇〇八年段階で合意されております。原子力空母は、この間の米国のQDR、四年ごとの国防見直しの中でも、広くアジア太平洋州に展開する、今後の迅速性、機動性において、格段に今までの通常型空母とは異なるものと言われております。

 そうした場合に、日米安保条約の中の極東条項、フィリピン以北並びに韓国や台湾の周辺という地理的条項については、額賀長官は、せんだって私がイラク委員会でこのような趣旨を遠回しに伺ったのですが、現段階でも日米安保条約における極東条項の政府統一見解というのは堅持したままでこの再編に臨もうとしておられるのかどうか、いかがでしょう。

額賀国務大臣 もうこれ以上議論が進んでいくことはないと思いますが、阿部委員のおっしゃるとおり、従来の安保条約に基づいて、日本の安全とこの地域の安定のために作用している、その範囲の中でやっているわけであります。

阿部(知)委員 その点を確認いたしますと、私から見ると、幾つかのそごが出てくるように思います。

 先ほど申し上げましたように、座間には米陸軍第一軍団司令部、それがアメリカから来るものなのか、日本国内の改編で配置するのかというところは、麻生大臣の御答弁を聞くとややグレーゾーンには見えますが、とりあえず、この米陸軍第一軍団司令部が座間に置かれ、そこに我が国の中央即応集団が置かれるということで、現実においては、テロの問題を含めて、移動においても地域的な問題においてもかなり広範な共同の行動が要求されるゆえに、我が国の中央即応集団は座間にともに置かれるんだと思いますが、この点はいかがでしょうか。

額賀国務大臣 新しいそういう、テロだとかあるいはまたゲリラだとか、脅威に対応していくために、そういう中央即応集団及び米軍の第一軍団が、改編された司令部が来られるということにおいて、お互いに共通の認識を持ち、日本の防衛体制が強化され、国民の安全を守る、あるいは地域の安定にも寄与するという意味においては、従来の枠組みの中であるというふうに思っております。

阿部(知)委員 これは先ほど申しますように、既に二〇〇一年のQDRでもそうですが、広く不安定の弧をにらみながら米軍が行動していくときの機能強化とそれから再編でございますから、当然、現状のイラクやアフガニスタンを見ましても我が国が後方支援しているわけですし、地理的要件は既に乗り越えておるのだと私は思います。でも、額賀長官はこの前の御答弁で法治国家であるからとおっしゃいましたから、その辺は逆に、私は、私の立場は違いますが、そごがあるのであれば、国民から見えづらい形にしないということも重要だと思っております。これ以上詰めても御答弁いただけないと思いますので。

 あわせて、ここにもう一点、国際活動教育隊ということをあわせ置くことについて、私は、さまざまな国際平和活動、あるいは人道支援活動、あるいは地震等々の救難救援活動は我が国の自衛隊がむしろ世界の中で特殊な能力を持っておりますし、今後、その能力、ノウハウを生かして本当に国際的に活動してほしいと思うものですが、そうするためにも、実は、今回のこの中央即応集団の中に、一つの組織図として、その一環として置かない方がむしろ大きな意味での発展があるように思うのです。

 なぜならば、先ほど来お話し申し上げますように、座間に来るという米陸軍第一軍団司令部と中央即応集団がリンケージしたもとで、情報交換をしたもとでさまざまなゲリラ対策やこれからの平和維持活動が想定されます場合に、世界は今、アメリカに対しての、イスラム圏の対立をも含めて、あるいは国連レベルでの合意事項も含めて、必ずしも一致したものにはなっておりません。例えばイラクの攻撃にしても、アメリカは有志連合という形をとりましたし、これは国連全体でかかわったものではない。しかしながら、世界じゅうで起こることは、実はイデオロギー対立やいろいろなその時々の状況を超えて、やはり世界の中から飢餓や貧困をなくし、困難を一つでもなくしていくための我が国がこれからやるべき活動が国際活動というものだと私は思いますから、なぜあえてこの中に置かれたのか。非常に卑近な例をとれば、例えばアメリカに対立するエリアで何かが起きた場合に、この平和活動協力隊は、あるいは平和活動は十分に機能し得なくなる懸念も抱かれます。この点についてどうでしょうか。

額賀国務大臣 これは阿部委員とも共通のものがあるといいと思っておりますが、今後、自衛隊を活用していくに際して、いわゆる国際平和協力活動というのは、仕事は拡大していくんだろう、これは災害救助とかそういうことも含めまして。これまで、PKO活動とか、イラクにも行っているしアフガンの対テロ活動もしている、そういった、我々の自衛隊が体験をした、そういうものをやはり自衛隊の財産として継承していく必要がある。その場その場で各方面隊の一時的な経験に済ませていくのはもったいない。そういうものを体系づけて、我が国の自衛隊の今後の二十一世紀の主要な仕事として平和協力活動を展開していくために、こういう国際活動教育隊というものを陸上自衛隊の中心的な活動の一つとして位置づけていこうというふうに理解をしております。

 そういう意味で、陸上自衛隊全般に教育をしたり経験を蓄積させていく、そういう一環であるというふうに理解していただければありがたいと思います。

阿部(知)委員 私も、そのような方向にしていくためにも、実は幾つかの論議が必要だと思っております。

 一つは、アメリカとの共同行動をどこまで、どのように仕切っていくのか、あるいは自衛隊と別組織でこれを行うのか。

 もちろん、これまでのノウハウを蓄積して、本当に得がたいノウハウは幾つもあると思います。陸上自衛隊だけでなくても、航空自衛隊にもあるいは海上自衛隊にもいろいろな、日本の自衛隊が頑張ってきて、それは本当に、人命の救助やあるいは災害への救助であるということは他国にはない財産ではないかと思っておりますから、それが十分に世界還元できるような組織のあり方で、特に、さっき申しましたように、この間、我が国が日米の協力関係、それも軍事的な共同行動まで踏み込んでいこうとするときに、そうであるがゆえにできなくなってしまうことがあるのではないかと懸念いたしますので、この部分についてはぜひ、ノウハウを蓄積することには賛成でございます。ただ、別の組織、ここのあり方でないことを求めるものであります。この点についても、これからいわゆる自衛隊の任務のあり方についてまた別途御論議の場があろうかと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 引き続いて、後半の質問に移らせていただきます。

 私は、きょう、長官のお手元に、平成十七年度の自衛隊の自衛官の自殺の数を載せさせていただきました。

 私はまだ国会に参りまして六年目でございますが、この間、我が国における自殺者数が毎年三万人を超えるということや、あるいは、本来は本当にいろいろな意味で国民のために最大の奉仕を心がけておられるであろう自衛官が、あるときは夢が破れたかもしれない、あるときは経済的困難かもしれない、あるときはいろいろな御病気かもしれないが、とにかく、みずから死を選ばれるという自殺ということを非常に悲しむものであります。

 毎年の予算委員会でこの自衛官の自殺は取り上げさせていただいていますが、本当に残念なことに、去年とほぼ同数の数でございます。グラフを見ていただければわかりますように、平成十六年、十七年、それは前年の十四、十五を上回る数に増加しております。

 額賀長官も、この点については、私も何度もお伺いしますので、配慮はしておるという御答弁でございますが、さらに今年度のこの数をごらんになってまたいろいろなお取り組みもお願いしたいわけですが、お考えをお願いいたします。

額賀国務大臣 今、この数字、それからこのグラフを見させていただきまして、前途ある有為の自衛隊の方々が自殺をしているということについて、改めてつらい思いをいたします。

 原因について、どういうふうにこれを分析されているのかまだ承知しておりませんけれども、よく中身を考えさせていただいて対応をとっていきたいというふうに思っております。

阿部(知)委員 この間、自衛隊の中でも相次ぐさまざまな事件、一つはサラ金等々で破産をなさる、あるいは大麻の問題、あるいは隊内のいじめの問題。私は、やはり組織というのは人でもつ、やはりそこの中にいる人がどのように考え、どのように行動し、自分の役割や意義をきっちりと確認しながら前に進めるかということが実は最も肝要なのだと思っております。

 自衛隊内でも今挙げましたいろいろな対策のプロジェクトは組まれていると思いますが、やはり一度は長官みずから全体像をごらんになって、今隊員に何が起きているんだろうかということを、隊員のお話を聞くことも含めて鋭意お取り組みいただきたいと思います。

 そして、私はきょうもう一つ、実は、命に深くかかわります問題といたしまして、自衛隊の医官の問題を取り上げさせていただこうと思います。

 二ページ目をあけていただきますと、昭和五十四年から、自衛隊に附属するための医官を防衛医科大学で養成するようになりまして、数を見ていただきますれば、順次ふえてまいっておる。年間七十数人がどんどん養成されて卒業していくわけですから医官の数はふえていくはずでありますが、下のグラフをごらんになっていただきますと、実は、平成十四年度をピークに、十五、十六と、自衛隊の医官は減っております。

 これは、時間の関係で私が勝手にしゃべらせていただきますが、なぜかというと、防衛医科大学校を出られて自衛隊の附属する病院に勤務されても、卒業の七年目くらいでおやめになるという方が約三割、昨今ではおられます。ここにはいろいろな原因があるという、アンケート調査等々も担当部局でなさっておられるように伺いますが、実は、自衛官をやり、そして自衛隊員の命を守ると同時に広く国民に奉仕したいと考える医師たちが、その途上で、例えば臨床経験、患者さんの数が少ないということも含めて、自分の医者としての将来に不安を持たれる。

 これは、さらに次のページをめくっていただきますと、各自衛隊に附属する陸海空の病院が書いてございますが、大体、例えば病床数五百の一番大きい自衛隊中央病院でも病床の利用率が三七・〇%、要するに入院されている患者さんが少ない。場合によっては十数%、ベッドはがらがらという状態になるわけです。

 もちろん自衛隊の医官は隊員のための医師であることは原点でありますが、しかし、自衛隊員とていい医療を受けたいと私は思うのです。そうなると、臨床経験を豊富にしていただいて、また医師自身が、おのれのスキルを維持できるような形で医官を教育したり研修したりサポートするということが必要で、その一つとして、もっと多くの病院で一般の方を診る、地域住民を診る、国民とのきずなをもっと深める、役に立つようにしていただきたいのです。

 今のところ二つしかオープン化されておらず、さらに今後二つ、とりあえずはというお話ですが、大臣、いかがでしょうか、もっと思い切って、このオープン化を基本方針として、もちろん無理なところはあるかもしれません。ただ、基本をどっちに持っていくかというところで、御英断をお願いしたいと思います。

額賀国務大臣 せっかくの自衛隊病院があって、しっかりと勉強なさった先生もおられるわけですから、それが臨床の経験にもつながるし地域の皆さん方も喜ぶ、その辺のところは方向性としては考えるべきじゃないかなと思いますね。

 今おっしゃるように、駆け出し、そんなに数は多くないけれども、前向きに検討していくことは大事なことではないかと思っています。

阿部(知)委員 今、この国会では医療制度の改革が論議されておりますが、こちらにおいても実は、医師たちの内的な動機が崩れ去っていくということが一番大きな問題で、おやめになる、あるいは立ち去り型サボタージュといって黙って去っていくということが今、医療現場ですごく多くなっています。命を支える本当に大事な役割で、まして自衛隊の医官となればその思いもひとしおと思いますので、ぜひこれは間髪を入れず大臣が検討していただきたい。

 さらに二点お願いがございます。

 実は、自衛隊の三宿の病院で空調施設の談合問題が生じました。私は、自衛隊の病院といえども、私は実は民間病院を運営しておりましたが、他の病院と同じようにその財務諸表を明らかにする。例えば、医業利益と申しますが、医療による収入がどのくらいで、人件費がどのくらいで、それから建物をメンテナンス、器材をメンテナンスする、購入するために幾らかかるかを国民にオープンにしていく、私はそういう時代だと思っております。これが一点と、もう一つ、地域で医師が足りない。産婦人科医と小児科医が足りない。ぜひこの自衛隊の医官の中からも、もちろん本来任務に差しさわってはいけませんが、鋭意、配置、配属を地域と連携して積極的に行っていただく。

 二点、いかがでしょう。

額賀国務大臣 公的な機関であるほど透明性を求められるのは民主主義の原点であります。したがって、そういう視点で点検をしてみる必要はあると思います。

 それから、医務官ですか、医師不足にどう対応するかでありますが、最近いろいろな地域でそういう御相談を受けておるのでありますけれども、なかなか、言われるように、十分に対応できるような数がそろっているわけではない。自衛隊病院自体にも産婦人科とかそういうものがないところもあるわけでございますから、そういう地域の要望ということはよくわきまえておりますので、我々もよく考えてみたいというふうに思っております。

阿部(知)委員 名護には産婦人科医が行くのではないか等々言われていたり、基準を明確にしていただいて、やはり国民全体にわかる形でよろしくお願いいたします。

 ありがとうございます。

浜田委員長 次回は、明二十一日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。


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