第164回国会 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別委員会 第7号(平成18年8月11日(金曜日)) 抜粋

案件:
 政府参考人出頭要求に関する件

 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件(イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更等)


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〔前略〕

三原委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日は三大臣おそろいでございますので、私に与えられた時間が十二分と短うございますので、各大臣にも、恐縮ですが、手短な御答弁をお願いしたいと思います。

 まず安倍官房長官にお伺いいたします。本日は基本計画の変更ということに当たる委員会でございますが、基本認識をまずお尋ねしたいと思います。各委員の中からも御質疑にございましたが、イラクの治安状況ということについての認識、特に我が国の政府の認識についてお尋ねしたいと思います。

 いただきました基本計画の変更の文案の中にも、「多国籍軍からの治安権限移譲プロセスも進行するなど、」云々とございましたが、イラクの治安状況ということにつきましては、民間人の犠牲も含めて、極めて深刻な事態が現在進んでおると私は思います。

 ちなみに、我が国の外務省とそれから内閣官房に民間人の犠牲についての集計をお尋ねいたしましたところが、確たるものは集積していないというお答えでありましたので、私が入手しましたもの、すなわち国連UNAMIの統計と、そして米国のブルッキングス研究所のものから引かせていただきますが、UNAMIによれば、今年一月から四月まで平均二千百人だった民間犠牲者が、五月は二千六百七十、六月には三千人、同様にブルッキングスの集計によると、市民の犠牲、五月は最大で千五百九十三、六月は千八百四十八。お手元に資料を配らせていただいているのはブルッキングス研究所のものでございます。

 こうした事態を見ても、私は、今回の基本計画の変更ということに当たって、治安状況についての政府の認識が少し甘いということと、アメリカでは、先ほど来委員の御指摘です、内戦にもつながりかねないことも織り込みながら対処しておられます。安倍官房長官、いかがですか。

安倍国務大臣 イラクの治安状況に対する政府の認識についての質問だと思います。

 イラクでは、バグダッド等でテロや各種の攻撃が頻発し、宗派間の対立も見られるなど、予断を許さない状況が継続をしていると認識しています。

 こうした状況にあって、イラク政府は、バグダッドや南部のバスラでの集中的な治安対策の実施、国民和解計画の策定など、事態の改善に向けて懸命の努力を払ってきています。また、イラク治安部隊は、昨年一月は十三万人でございましたが、本年八月二日現在、約二十七万五千人にまで増強をされた、このように承知をしております。

 このような状況におきまして、我が国としては、民主的で安定した国づくりに懸命に取り組むイラク政府の努力を、国際社会と連携しながら積極的に支援をしていくことが重要であると考えております。

阿部(知)委員 イラク政府の真剣な取り組みを否定するものではございませんが、その中にも宗派対立があり、例えば治安プロセス、治安を担う部隊の中にも同じような宗派対立ないし虐殺等々も起きているわけです。もう少し緻密に現実をごらんになって。

 私は次の質問は額賀長官にお願いいたしますが、特に、航空自衛隊が活動を拡大するという中にあって皆さんどなたも心配しておられると思います。治安状況はいかなるものであるのか。先ほど来の御答弁によれば、例えば人道復興支援とそれから多国籍軍の安全確保活動は実は区別がつかないんだという簡単に言えば御答弁だと思います。また、聞いてみる気もない。

 そういう中で、例えば、国連機と違いまして自衛隊機が物を運ぶ場合に、それが兵隊を運んでいるのか物資を運んでいるのか、もちろん戦闘する側からは見えません。その中で自衛隊機の安全をどう守るかということにおいて、私は現実的な御答弁をいただきたい。例えば、国連機というものは今ほとんど飛んでおらない。今後はどうなるのか。その国連機の抱えるリスクと我が国の自衛隊機の抱えるリスクは違うのか、同じなのか。この点いかがでしょう、額賀防衛庁長官。

額賀国務大臣 先ほど来お話がありますように、多国籍軍の中でも、みんなも、何も治安維持活動だけではなくて、さまざまな人道復興支援活動も展開をしていることも事実でございますし、我々は、国連の要請もあり、引き続いて活動を継続するということにしたのはもう御承知のとおりでございます。

 その際に、委員がおっしゃるように、我々は、まず何としても安全を確保しなければならないということでございます。だから、C130の安全をどういうふうに確保するかということについてできる限りのことの措置を行っているわけであります。

 実際に小火器とか携帯型地対空ミサイルで被害を受けた輸送機もあるのは事実でございますから、そういうことを踏まえて、しっかりと情報収集等々もやりながら、自衛隊のC130が飛ぶときは安全が確保された時点で行う、制限された中で仕事をするわけでありますから、能力を超えた以上のことをやる必要はないというふうに思っておりまして、そういう考え方で自衛隊の皆さん方には言っておりますので、陸自と同じように皆無事に安全で日本に帰ってくるように万全の体制をしかせていただきたいというふうに思っております。

阿部(知)委員 それは当然国民も同じ思いです。

 ただしかし、私が伺いたかったのは、例えば今国連機は飛んでいませんが、国連機であることと自衛隊機であることと米軍機であることと戦闘状況において何らかの差があるのか、リスクの、危険の。私はその点が極めて懸念されるわけです。

 もちろん、日本が交戦をしないという前提のもとで自衛隊機は行っております。この安全性の担保ということは、おのおの日章旗を例えばつけることでそれが高まるのであれば、そのような担保になるでしょう。しかし、現実にはおありとお考えでしょうか。また、国連機は実際に運搬にこれから稼働するのでしょうか。いかがですか、大臣。

額賀国務大臣 国連の旗を掲げた飛行機が飛ぶかどうかは承知しておりません。自衛隊のC130の飛行については、これは、我々が我々の考え方で我々の法律に基づいて守り切るということでございます。アメリカがどうであるか、韓国がどうであるか、もちろん、情報収集しながらお互いに連携をとる必要はあると思っておりますが、我々は我々の力を十二分に発揮して、安全を守ることに全力を注ぐということでございます。

阿部(知)委員 その治安状況の先が見えないということは、イラクに行っていらっしゃる日本の大使館の方の発言にもございます。ちょうど、奥大使が亡くなられてもうすぐ三年がやってきますが、彼がまた一番心配していたのも治安状況でした。その心配される治安状況の中で彼はあのような攻撃に遭い、亡くなられました。私は、とても志のあるいい外交官だと思っております。そういう意志のある、本当にイラクと日本の将来を考えた外交官の死がああいう形で訪れたということを日本政府はもっと真剣に考えていただきたい。そのための治安確保ということにももっともっと私は多面的な分析をしていただきたいとお願い申し上げます。

 最後に麻生外務大臣に、このイラクの件では、確かにバグダッドにせんだって行っていらっしゃいました。サマワから日本の陸上自衛隊が撤収して、その後がどうなるんだろうかという不安の声が大きい中で麻生大臣行かれたんだと思います。そのことと別に、きょうは私はレバノン情勢について麻生大臣に破格のお働きをお願いしたいので、お伺い申し上げます。

 我が国は、イスラエルによるレバノンの攻撃に対して即時停戦ということを表明し、そのための幾つかのアクションも行ってまいりました。八月二日には、イスラエルに伊藤政務官ですか、いらっしゃいましたし、今後、国連でも決議が上がるそういう段階にもあるとは思いますが、実は、イスラエルの側は地上戦で今侵攻を開始し、犠牲も、イスラエル側にもレバノン側にも拡大するやに私は思います。

 こういう中にあって、刻一刻やはりスピーディーなアクションというものが必要ですが、麻生外務大臣には、再度イスラエル側にも出向かれて停戦の働きかけをする意思がおありや否や。また、特にこの間、アメリカのライス国務長官の役割というのが、必ずしも世界の中で本当にアメリカが果たすべき役割を果たしていないのではないかという声も上がっております。アメリカへの働きかけはいかがお考えか。二点、恐縮ですがお願いします。

麻生国務大臣 これは、けんかをしているときには片っ方だけとめてもとまりませんで、あのヒズボラというのも大量のロケット弾を撃っておりますので、ヒズボラにも行かにゃいかぬということにならないと公平を欠くということになるんだと思います。これは、けんかは大体両成敗というのが常識ですけれども、私らにヒズボラとのコネクションというのはほぼゼロです、正直申し上げて。したがいまして、イスラエルに仮に行ったといたしましても、相手にはちゃんと言ってくれたんだろうね、相手の条件は何と言われると、こっちは答えようがないんですね。ここのところはやはり阿部先生、これは一番難しいところでして、こういった話というのは両方に行かにゃいかぬというところがなかなか難しいところなんです。

 片っ方の方は国家ではありませんしテロ組織というものでありますので、私どもはテロ組織とは闘うということはもうはっきりしておりますので、今の段階であのコンドリーザ・ライス長官等々といろいろ話をするというのは、この間のクアラルンプールでも似たような話をいろいろしておりますけれども、両方とも、これは即時といったって、両方する気がないのに即時といってもなかなか効果が上がらないのが事実だと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、日本がここで何ができるかと言われて、私がそこに行くことによっていかなる効果があるのかというのが、ちょっと正直申し上げて今の段階でよく見えておりませんので、今後の検討の対象にさせていただきます。

阿部(知)委員 ぜひ、一刻も早い停戦に向けて、シリアやイランへのいろいろな総体的な枠もあると思います。核の問題もあります。麻生外務大臣がぜひ御尽力いただきたいと思います。

 ありがとうございます。

三原委員長 御苦労さまでした。

 本日は、これにて散会いたします。


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