第164回国会 厚生労働委員会 第15号(平成18年4月14日(金曜日)) 抜粋

案件:
 政府参考人出頭要求に関する件

 健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)

 良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)

 小児医療提供体制の確保等のために緊急に講ずべき施策の推進に関する法律案(小宮山洋子君外四名提出、衆法第一七号)

 医療を受ける者の尊厳の保持及び自己決定に資する医療情報の提供、相談支援及び医療事故等の原因究明の促進等に関する法律案(園田康博君外三名提出、衆法第一八号)

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〔前略〕

岸田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 四月の六日に本会議で、小泉総理ももちろん御出席のもと、健康保険法と医療法を二つの大きな軸にした今回の医療制度改革関連法案が質疑されまして、それを受けて、当委員会でも、今週水曜日そして本日と、実は断続的な質疑が続いていると思います。

 私があえて断続的と言わせていただくのは、ここのところの国会審議状況は大変にタイトでございまして、これは厚生労働大臣の川崎大臣も大変だろうなと思うほどのタイトさでありますが、私はやはり、医療というのは、人と人が命ということをめぐって信頼関係を結ぶ、医療というのは人が人になす術でございますから、そういうことをめぐって落ちついた審議が行われるということを本当に心から望んでおります。

 そして、もう一つ残念でありますのは、実は、私は、本会議で小泉総理に質問いたしましたが、お答えがいただけなかった問題が二つございます。その前者は医療費の試算方法で、これはまた次週以降取り上げさせていただきますが、もう一つは、小泉総理が、みずから総理として、今医療を担う若い医師たちにどんなメッセージをお送りになりますかということをお尋ね申し上げました。残念ながら、答弁は全く触れられずに、そしてまた、できれば委員会の当初、お越しいただきたいことでありましたが、鴨下筆頭理事、追って総理の御出席もということをお話しいただきましたので、きょうは私の残念の意を申し添えます。

 なぜ私がこういうことを申すかといいますと、実は、きょう、民主党の皆さんが医療関連の、小児医療や医療事故、患者の権利ということで法律案も準備されて、ともに審議できる状況にということで、本日は与野党合同のもとでの審議でございますが、私が見るところ、もっともっと奥深いところに今の医療の危機的な状況があると思っております。

 冒頭、大臣にお伺いいたしたいと思います。

 実は、三月の十日の新聞紙上に、山形の県立中央病院で、医師、病院長や事業管理者あるいは看護師長が、五十歳以上の方総勢十八人が三月いっぱいで一斉に病院をおやめになる、管理者が一斉に十八人やめるという新聞報道がございました。こうした事態は、先ほどの菊田委員のお取り上げになった事例ともども、余りに日常化したために、もしやしてお目にはとまらなかったと思いますが、私が、つい数日前、実は、ここの小児科の部長が自殺をされたということを、私は小児科医仲間ですので、伺いました。管理者が一斉に十八人やめ、小児医療の責任者がみずから死を選ぶ。

 私は、この事態を前にして、実は、一九九九年、私がまだ千葉で私の勤めます病院の雇われ院長をやっておりますときに、四十歳代の女性の医師が、小児科の医師です、脳血管障害で突然に亡くなられ、実は、この方の同級生が、山井さんがお取り上げになった、東京都でやはりみずから死を選ばれた中原医師であるという。私自身より少しお若い、しかし一生懸命働いていた小児科医二人が亡くなられ、今また身近に小児科医師が亡くなられるという事例を耳にして、大臣に伺いたいのは、大臣は、実は厚生労働行政の中で、医療にかかわる医師や看護師の、みずから死を選ぶ率の高さについて御存じか、あるいは厚生労働省はそういうデータをおとりになったことがあるかどうかについてお聞かせいただきたいと思います。

川崎国務大臣 日本の自殺の問題については、政府としても大きな課題であると認識をいたしております。特に、男はロシアに次いで二位、女性は世界で一番自殺率が高い、こうした数字にあります。

 そういった全体の概要は承知しておりますけれども、医師、看護師の自殺率がどのような数字になっているかということについては、私は承知いたしておりません。

阿部(知)委員 実は、昨日の質問取りの段階で厚労省にもお伺いしたのですが、そういうデータはおとりでないと。私は、これは、そういう意識で事に臨むかどうかでやはり実態が浮かんでくるのだと思います。

 ちなみに、福島委員もお取り上げでございましたが、イギリスのサッチャーの医療制度改革後、現在ブレアでございますが、医師の自殺率は他の専門職の二倍、看護婦は同じ女性たちの四倍というふうに高い数値が出ております。このことが、民主党の皆さんがここのところ本当に熱心にお取り上げくださっている医療現場の過重労働等々であるという一因もあるでしょうが、私は、もっともっとやはり奥深いところに、人と人との信頼で成り立つ医療現場そのものの中で信頼が非常に希薄になってきている。

 実は、過重労働であったのは私の時代からも同じだと思います。先ほど川崎厚生労働大臣も団塊世代のお話をなさいましたが、それから、この間のいろいろな御答弁で、団塊世代はリタイア後も働くからとおっしゃっておられますが、そういう感覚は私もある程度、それは撃ちてしやまんではないですが、働こうかと思います。

 しかし、医療という場で働くには、信頼、自分のなしたことが患者さんにどのように受けとめられ、逆に感謝され、本当に大変だけれどもやっていけるというもう一方の踏ん張り棒がないと、お金の問題や過重労働の問題だけでは語り切れない分野で、人と人とがぶつかり合う分野ですから、非常に私は問題の根が深いと思っております。

 大臣は、きょうの御質疑を通じて、いろいろ、医師の問題、医療提供体制の問題、指摘されましたが、きょう一日お聞きになって、今医療の中で一番どんな問題が大変なのか、ここについての御認識をお願いいたします。

川崎国務大臣 いろいろ議論いたしてまいりましたように、我が国の現状の医療制度、これは諸外国からは高い評価をもらっている。しかし、内から見ればさまざまな課題があって御指摘をいただいております、こういう認識をまずいたしております。

 一方で、小児医療、これは急性期の、救急の小児、そういう意味では、一般の開業医の小児科医の皆さん方と、それから救急の病院とのネットワークが、まず、どこかが切れているのかなという感じ、要は連携がうまくいっていませんね。

 もう一つは、小児医療をやはり二十四時間、三百六十五日体制でやるとなると、これは、先ほどの調査資料でも、やはり十人ぐらいが集約化してこなければ十分な医療体制が提供できないな。逆にいえば、そこまでそろわないと過重な労働を強いるという形になるな。そうすると、十人の小児科の医師を集約できるという体制になるとどのぐらいの規模になるかということを、やはりお互いが理解をしながら進めていかなければならない。

 一方で、地域の皆さん方、特に市という固まりになりますと、自分のところに必ずそういうものはあるべきだという御主張が多うございます。そうしたものをやはり県が調整していただいて、私の地域でいえば、両市で一つの小児体制というものがしっかり救急の体制ができ上がれば形づくがなという思いと、結構これが難しい問題だな、正直、難しい問題になっております。それが、自分自身の地元を通じての感覚としてございます。

 周産期医療の問題、急性期の医療の問題、さまざまな問題が出ている中、病院に勤務される医師、看護師の過重労働というのが大きな課題である、このように認識をいたしております。

阿部(知)委員 先ほど私がもう一つお願い申し上げればよかったですが、過重労働の問題とも兼ね合わせて、医師、看護師の、日本全体でも多い自殺という状況の中で、特にそこにまたフォーカスを当てて、厚生労働省としてはぜひフォローしていただきたいと思いますので、この点は、先ほど申し上げればよかったのですが、お願いを申し上げます。

 そして、今、大臣の御答弁でございましたが、それ自身は私も否定しないのですけれども、実は、昨年の五月、イギリスで、ちょうど五月の五日、いわゆる選挙がございました。国政選挙ですね。各政党、労働党や保守党、あるいは、イギリスのリベラル・デモクラティック・パーティーと申しますか、自由民主党というのでしょうか、その各政党がそのときに掲げたいろいろな医療政策の中で、例えば、待ち時間が長い、あるいは、患者が選べるようにしろ、あるいは、もっと医者をふやせ。何だかきょうと似ていますが。

 あるいは、バリュー・フォー・マネー、これは福島先生がお出しになりましたので、どんなサービスだったらどれだけお金を払うよという患者さんたちのチョイスの問題。あるいは、寄附、これは私も取り上げさせていただきましたが、病院への寄附の、寄附によって成り立つ病院の問題。あるいは、そもそもイギリスの総体の医療、ヘルスケアシステムをどう変えるか等々の問題が論じられたのだけれども、実は、最も根源的な問題にはフォーカスが当たらなかったということを、ランセットという、これは私たち医者仲間が読む有名なイギリスの雑誌ですけれども、それが巻頭に書いてございます。

 その最も根本的な問題は何かというと、医師たちの心の疲弊だと。いわゆる、これは単に医療現場が崩壊した、崩壊したということではないのですが、医師たちが気持ちの中で、もう自分を維持できなくなってしまっていると。その根源が、患者さんとの信頼だったり、医療の社会での認められ方だということを、ランセットという英文誌が報じております。

 私は、この医師の心のありかだとかいうのは非常に観念論的だと言われるかもしれませんが、実は、先ほどの山形の県立中央病院で管理者が十八人、小児科医師はみずから死を選ぶ。もう本当に、ぎりぎり頑張れないし、私の友人の言葉を使えば、立ち去り型サボタージュを始めているんだと。死を選ぶか、みずから黙って去っていくかというところに立ち至っていて、それでは、ここのこの審議は何をすべきなのかということで、私は、きょうは、与党の御質疑の中でも、私も野党ですが、野党の御質疑の中でも皆さんがお触れになりました医療費の問題や患者負担の問題以上に、実は、医師の教育と配置の問題を、これは与党も野党も挙げてお考えいただきたいし、現実にできる手だてなので、まず前半はそこに私はフォーカスを当てさせていただきたいと思います。

 大臣にお伺いいたしますが、これも先ほど来民主党の皆さんのお尋ねですけれども、平成十年の五月に医師の需給に関する検討会が開始されて、十二回、検討を行ってこられたと思います。中間報告も出ています。そこでの検討の内容を、再度で恐縮ですが、大臣の目からごらんになって、エキスの部分で結構であります、医師の数が足りないか、足りているか、局在があるか。いろいろなことが指摘されましたが、大体大臣の総括はどのようであるかをまずお願いいたします。

川崎国務大臣 平成十年の話ですね。(阿部(知)委員「十年から十二回、ここまで行われている」と呼ぶ)最近の話ですか。(阿部(知)委員「はい。十年のでも結構です」と呼ぶ)

 平成十年のときは、平成二十九年ごろから供給医師数が必要医師数を上回る、三十万人ぐらいに達するだろうという見通しを立てております。毎年三千人から四千人程度医師がふえてきて、平成三十年ごろには三十万医師体制となって、少し必要医師数を上回るのではないかという一つの想定を立てております。

 今議論をいたしておりますのは、医師の診療科による偏在問題、それから地域的な偏在問題、この問題についてどう対応するかというのを一つの議論、それからもう一つは、総体的にどうであるかという議論を今いたしているところでございます。

 一方で、先ほどの菊田議員との議論の中で少し申し上げましたように、たしか十万人当たり、記憶で申し上げていますが徳島だと二百八十二、また東京ですと二百七十八ですか、そういう意味で極めて高い地域もあります。四国、中国地方は高い数字になっておると思っております。一方で極めて数字が低いところもある。こういった問題をどうやって解消していくかということもある。

 しかし、数が多い県がそれで満足をしているか、十分かということになれば、その県の中にも診療科目と地域によって偏在、要は、県の中央部にどうしても医師というものが集まってきて、過疎地域には、十分な医師数がいるという想定であっても足りないという問題がありますので、そういった問題も含めてどうやっていくか。

 一方で、例えば、大学の定数をふやしたならば、先ほど御議論いただいた、少ない地域に本当に医師数がふえていくのかということになると、必ずしもそうではない。結果としては東京で三百を超える結果になってしまうのではなかろうかという問題も含めて、さまざまな議論をさせていただいております。

阿部(知)委員 大臣はよく見越していらっしゃると思うんですね。例えば、菊田委員のお配りくださった資料でも、同じ新潟の中でも、新潟は確かに医師数は足りませんが、新潟市は医師の数が平均より多く、あるいは六日町、十日町あたりは少ない。同じ県の中にも、都市部に集中している、あるいは診療科ごとにも非常にばらつきがある。

 そして、実は今後、これは本当にこのままではさらにさらにひどくなると思うんですね。都市化の問題もございますし、あるいは三K職場を嫌うという問題もございますし、その中に小児科、産婦人科が入っているのは残念でございます、本当はすばらしい科なんですが。

 私がきょうここで申し上げたいのは、実は、平成十年、そういう医師の需給見通しを立てられて、数の上では足りているが、その後、非常にアンバランスが生じたと。恐らく、このままで定員数だけをふやしても、私は、これはもっと悪化するという立場に立つ者です。

 では、何をするのかというときに、実は、国の政策の中で、平成十六年から義務化の二年研修を終えた医師たちが各地に出てきたわけです。これが各大学どのくらいの数、何科に入局であるかということをお出しいただきたいと厚労省にも文部科学省にもお願いいたしましたが、まだデータがそろっていないということで、本日の質疑には間に合いませんでした。

 実は、医師の養成をして、二年研修をして、研修を義務化してと、ここまでは、私の先輩である、そしてもう既に亡くなられた今井澄先生が、研修の義務化ということを本当に御自身の強い熱意でやられて、また与党の皆さんにも御理解をいただいて事が成ったわけですが、実は、医学部六年が終わり、二年研修した後さらにどこにどのように配置されていくかということについては、全くノールールでございます。

 ちなみに、大臣も御存じのように、かつて、大学がそれなりの入局者を集め配置していた時代は、まだある種のコントロールがありました。今は、全く個々の医師の意識に任されてまいります。そして、果たして日本の医療がそうした全くの自由選択制で担い切れるかどうかということを、私どもは今、政治の意思として本当に審議していかなきゃいけないんだと思います。

 かといって、もちろん職業選択の自由もありますから、あなたはあそこへ、これをやりなさいというわけにいかないということは十分承知の上で、実は大臣に見ていただきたい資料がございます。

 お手元には、これは、厚生労働省が医師の配置、配属をめぐって各地域間格差の問題を審議なさっている委員会の中で、厚労省みずからがお出しになった資料です。アメリカと比べての値です。

 何もアメリカがよくて我が国が云々したいためではなくて、私はこれを見たときに、清水先生の脳外科は多く……(発言する者あり)そうです、違います、私阿部知子の小児科は少ないというふうに読むのか。今、清水先生がおっしゃったように、内容も違い、ただし、ここの注の五のところに記載されておりますように、米国では、診療科別のボード、専門医認定委員会が中心となって専門医認定の前提となるレジデントプログラムを定めて、レジデント数におのおの制約があって、この年はここが少ないからここのレジデント数をふやし、ここはある程度コントロールしようという意思を働かせての医師供給体制になっております。

 ちなみに、もっとわかりやすく言えば、後期研修というのがありまして、今、二年を前期研修とすると、その後の専門医になるとき、自分は何科を標榜していこうかというときにも、そこが全く自由枠ではないということであります。

 私は、これから本当に日本が各地で国民の医療を支える医師を配置しようと思ったときに、一つの大きな決断をしなきゃならないと思います。ここには、例えばファミリーメディスンという形で英語でしか書いてないですが、アメリカで家庭医を志す人、日本ではそういう診療科別ではないのでということで統計がないということですが、今ある研修システムが終わった後、果たして国はどの程度の医師たちをどんな診療科に望むのかということについて、私は、やはり一つの見識を示していかないと、どんなにやってもこの配置のアンバランスというところはなかなか軽減がされないように思います。

 今、医学部教育が六年で、二年研修、アメリカでは、四年の一般大学の後、四年医学部に行き、その後またレジデント制があります。医師の教育ということについて、私は、せんだっても厚生労働大臣に、文部科学大臣とよくお話ししてくださいとお願いを申し上げました。今の医師教育システムとその後の専門課程、もちろん、初期の研修で僻地研修を義務づける、小児科、産科をやるということは少しずつ前に進んでいますが、その後の専門の認められ方、あるいは、いろいろな医師総体を国がどう見て、そこに視野を定めて事を運んでいくかということについて、きょう私はこういうことを初めて申し上げますので、大臣にも急であろうかと思いますが、非常に臨床現場にいれば案じられますので、今私の指摘の点について大臣の御見解をお願い申し上げます。

川崎国務大臣 この二年間の研修医制度の結果をしっかりウオッチしなきゃならぬなというまず認識は持っております。

 行政を担当する者として、阿部委員の御提案は非常に魅力的でございますけれども、本当に理解を得て進むことができるか、まさに言われた職業選択の自由という観点から果たしてやり得るだろうか、こういう感じはいたします。しかし、こうした思い切った御提案をいただきました。自分の頭の中でしっかり勉強はさせていただきたいなと思います。

 一方で、それぞれの国立大学で地元枠、例えば、先ほど菊田委員には時間がなくてお返ししなかったんですけれども、新潟医大を卒業したお医者様が新潟へどのぐらい残られているんだろうか。

 私のところで言います、三重医大を卒業したお医者さんがどのぐらい我が県に残って医療に貢献してもらっているのかということになると、三重医大は、正直申し上げて極めて少ない数字になってきております。ことしから五人を地元枠とさせていただきましたけれども、先日、学長がお見えになりましたので、何とか来年から三十人という数字にしてくれぬかという形でお願いをいたしておりますし、そういうものも進める必要があるんだろう。ただし、来年から三十人枠にいたしましても、八年後にお医者さんが誕生するという話でありますので、今日的な今の医師の偏在問題の解決にはならない、十年後には間違いなくきいてくると思いますけれども。今どうするべきかということになると、やはり集約化を図りながら、各県としっかり話し合いながらやっていく以外にないな、こんな思いを今はいたしております。

阿部(知)委員 今大臣もおっしゃったように、地元枠をふやしても、その地元に本当に行ってくださっているかどうかというところも問題になりますが、今回のいろいろな改正案を見ておりますと、自治医科大学方式で、また自治医科大学の入学定員の問題を少し充実させようということも出ております。

 私は、一県一医科大学の構想の中で、自治医科大学は、確かに各地に医師を送り出してくださっていると思いますし、今後、自衛隊、自衛官の医務官が各地に行ってくださるというのも賛成でございますから、それはいい方法だと思っておりますが、もっともっと自治医科大学方式に学んでいただきたい、その地域枠をふやすだけでなくて。

 と同時に、もう一点、集約化問題では私は逆の懸念を抱いております。

 と申しますのは、集約化のいただきましたいろいろな提案を見ますと、実は、県の権限が及ぶ、すなわち公立病院とか公的病院を中心に小児科や産婦人科を集約していくというお話です。大臣も御存じだと思いますが、例えば小児科で申しますと、小児科病院の総数は全国で三千二百三十一ございますが、公立病院が七百九十一で二四・五%、日本の医療は公と公的と民、いわゆる医療法人でやっているわけであります。これは鴨下委員が、冒頭、やはりこれからの医療は今までの公という区分けだけでなくしっかり地域の民も生かしながらということをおっしゃいましたが、私も全くそれは同じ意見でございます。

 なぜならば、小児医療の場合は公立病院と公的な病院を合わせても千四十三です。これで三二・三%にすぎません。公的病院で人の配置がそこは動かせるからと集約してしまった場合に、かえって地域全体の医療バランスが崩れてくる。私は、ここにおいてはやはり地域のテーブルをつくって、全部厚労省の文書は公的病院を中心に、希望があれば民間もという書き方をしています。こういう官民格差は、何か私が言うのも変な立場でありますが、でも、私はやはりおかしいと思います。

 もう一度、集約化というのは、反面、アクセスが遠くなる方も出ますし、逆に三分の一だけで集約化しようというのは実は不可能です。ここをしっかりと、今厚生労働行政にかかわっている方は、一体医療の公共性とは何なのか。それは、日本にはまだ株式会社の病院などはないわけです。公的病院じゃなくても、みんな医療法人、非営利です。ちなみに、アメリカでも株式会社は少なく非営利のものが多うございます。公共資本だと、それは民間が運営している、経営している病院でも、これは医療法人としていろいろな公共的なものを出して提供しております。

 ぜひ、地域の集約化に際して、公的病院、全部そうでした、小児科も産婦人科も見直すとおっしゃって、では、私は数はどうなっているのかと見てみたら、小児科だけ数えましたらそんなものでありました。実情だと思います。集約化に際して、もう少し視野を広く持って皆さんの協力を仰ぐということをぜひ大臣にお願いしたいですが、最後に御答弁をお願いします。

川崎国務大臣 阿部委員の御指摘どおりでいいんだと思います。

 答弁どおり読みますと、まずは公立病院中心に検討することは有効であると考えているが、集約化の際には、地域の実情に応じて、他の公的な病院、民間病院も含め、協力を要請していくことが重要であると考えている、こういう答弁になっているんですけれども、御指摘いただいたとおり、まさに地域で民間病院が中核的な役割を担っている部分が多いわけですから、そうした病院と各県が相談をしながらしっかりとした医療体制を組んでいくことが大事だろう、このように考えております。

阿部(知)委員 先行して公的病院のみによる再編をくれぐれもお考えにならないようにお願い申し上げて、よいものを育て、医療は命を支える基盤として国民に安心のサービスを提供していただきたいと思います。

 終わります。

岸田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。


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