第164回国会 厚生労働委員会 第20号(平成18年5月10日(水曜日))抜粋 案件:
政府参考人出頭要求に関する件
健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)
良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)
小児医療提供体制の確保等のために緊急に講ずべき施策の推進に関する法律案(小宮山洋子君外四名提出、衆法第一七号)
医療を受ける者の尊厳の保持及び自己決定に資する医療情報の提供、相談支援及び医療事故等の原因究明の促進等に関する法律案(園田康博君外三名提出、衆法第一八号)
派遣委員からの報告聴取
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〔前略〕
○岸田委員長 次に、阿部知子君。
○阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
本日も、午前と午後にわたりまして、各委員からいろいろな問題の指摘がございましたけれども、どのお話をとりましても、果たして、これから地域で生きていくための基盤としての医療はきちんと提供されるんだろうかどうかということが、この審議のありようとは、全く解決を見ないままに、もう審議が半分くらいこれで来たんでしょうか。私は、この間の審議というものが、逆に、本当に元気になれない、本当にこれで国民のための、私どもが目指す医療制度改革の何がしかを、答えを出しているんだろうかと思うときに、非常にむなしい気持ちになるものであります。
しかし、そうはいっても、投げ捨てるわけにはいかないので、きょう、幾つかの点で大臣に、これは質問予告外のことで恐縮ですが、きょうの審議を承りながら、私は、やはり、そうはいっても、困難な中にやれることはあるし、やらなきゃいけないことはあるという意味で、大臣というお立場にある川崎厚生労働大臣に、ぜひお願いがございます。
一点目は、先ほど来、山井委員と川崎大臣のお話の中にもございましたが、医師は不足しているのか、あるいは足りているのか、これはどなたも問題になさいました。数は、確かに、今二十六万、やがて三十万、足りておるだろうという大臣のお話でありました。ただし、偏在はあるかもしれない。ここまでは、もう繰り返し同じでございます。
ところで、大臣は、この厚生労働委員会の審議の中で参考人をお呼びして意見を伺いましたが、その中で、実は私の恩師に当たりますけれども、鴨下参考人の意見陳述をお読みになったでしょうか。お願いします。
○川崎国務大臣 詳細は読んでおりません。
○阿部(知)委員 私はぜひ読んでいただきたいんです。何も私の恩師だからではありません。鴨下先生は、社会保障審議会医療部会の部会長としても、お取りまとめの重要なお立場にあります。
あの場で鴨下先生がおっしゃったことは、毎年、医師は確かに八千人卒業していく。しかし、うち四千人内外は大学院大学に最近は進むようになっているという指摘でありました。実際の労働力として臨床現場にどのくらいの医師がいるのか、このことが見えないままずっとこの論議が続けられたら、私は、不幸な行き違いの結果、今回の審議によって、何か、あたかも集約化され改善されるかのような幻想のもとに、もう私たち医療現場はやっていられない、つぶれちゃうという悲鳴に近いものを感じるわけです。
大臣、ここで一つお約束いただきたい。参考人です。せっかく来ていただきました。私は、よく、小児科医時代に、教授からもっと研究しなさいということも言われました。でも、あの場で私の教授がおっしゃったことは、今、研究分野に向かう医師と実際の臨床現場に向かう医師、数の中で比べてみれば、臨床分野に向かう医師が少なくなってきている。私は、この十年余りの実態を御指摘くださったんだと思うんです。これもまた実態です。しかし、どなたも、厚労省のだれもです、このことを御存じないです。当然ながら現場は不足します。その本当の切実な臨場感なくして私はこんな審議は意味がないとすら言わせていただきたいが、大臣、もう一度お願いします。お読みいただけますか。
○川崎国務大臣 後で読ませていただきますけれども、一方で、大学院大学に行かれるから、臨床医師として働いていないというお話でしょうか。
正直申し上げて、この二年間の研修を受けられた方々がどういう方向に行かれるかということは、我々ウオッチしております。現実に、一人一人の方々から回答を得て、医療現場で働かれているということは私どもつかんでいるんですけれども、それとは違う数字が出ておる、こういうお話でしょうか。
○阿部(知)委員 もちろん、この臨床研修の義務化が始まる以前に、普通にまだ義務化されない前でも、みんな大学で研修をしたりしておりました。大体二年間ほど研修した後、今度は大学院大学に行くという流れができました。五年内外の年限を大学院大学に行く中で、実際の臨床、第一線病院からは引き揚げました。その方たちは大学院で研究をなさいます。時々は診療をなさいます。私は臨床現場にいて、このときから医師は少なくなりました。臨床を一生懸命頑張って、どんどん少なくなる人数で頑張ってやってきたのが小児科のこの十年です。
今の私のが大臣へのお答えになったかどうか。私はこれで答えたつもりです。大学院大学というものに行く間、実際の臨床の第一線の病院の常勤医は務めることができないのです。数があっても労働力としてはないのです。このことをよく文部科学省と、私はこれまでに何回も大臣に、文科省ときっちりと話をしてくれと申しました。この中で実態を把握していただきたいが、いかがでしょうか。
○川崎国務大臣 正直、いろいろな議論をいただいてきて初めて聞く話でございますので、私なりに調べてみます。
大学院大学へ、臨床研修を終えて、また大学へ戻られて、東大ですと百人の定員が、大学院ですと百七十ぐらいの定員になりますか、そこへ戻ってきている。したがって、正直申し上げて、せっかく神奈川県や埼玉県で研修を積まれた人たちがまた東大の大学院に吸収されちゃっているな、こういう感じはあります。しかし、それが逆に二年、三年たてばまた現場に戻るのではないかという理解を私はしていたものですから、それが戻らないとなるとこれはなかなかの議論になりますから、よく詰めてみます。
○阿部(知)委員 もちろん、戻る方も戻らない方もありますが、その年限が大臣がお考えなほど短期的なものではございません。その中で、もちろん、生涯を研究者として生きる方もおありです。それはそれで道でございますから。
ただ、あの場で鴨下参考人がおっしゃったのは、日本の医学教育は医師臨床教育としての徹底がなかったのではないかという御指摘でした。それに関連して、この大学院大学のお話も出てまいりました。
アメリカ等々では、実践を最大重視した、いわゆる医師としての臨床教育が、総計、医学部教育八年でございますが、その全般にわたって行われます。その後も実践的な臨床医として巣立っていかれ、専門医を取る機構になっています。今、もし日本が数だけで過不足を論じているのであれば、ここに大きなエアポケットができているということも勘案していただきたいと思います。
あわせて、私は、集約化の問題で、今、集約化した場合に、同時に二つのことをなすべきだと思います。
お産は安全でなければなりません。そのために集約化しようというのは、過渡期的にやむにやまれぬ処置だと思います。しかし、そのために患者さんは、おなかの大きいお母さんは遠い産院に行かねばなりません。そのために何ができるか。
私は、アメリカで留学していた病院の周りには、非常に安いお金で泊まれる宿泊施設がございました。すなわち、分娩日、予定日近くになったらそこに移動して住まえる。ホテルはとても高くてその受け皿にはなれません。ただでも若い世代はお金がありません。しかし、雪道を二時間、三時間、場合によっては吹雪で閉ざされるかもしれない。お産は一瞬で暗転します。本当に途中で、タクシーの中で生まれちゃうことだってあると思います。
もし、やむを得なく集約化なさるのであれば、すべて、どこの場でその待機の時間をきっちりと安心と安全で保障できるかです。これは厚労省だけでできない施策であれば、国土交通省ともきちんと御相談いただきたい。たかが分娩に当たる手当が三十万から三十五万にふえた五万だけでは、とても、いつ予定が来るか、陣痛が始まってから行って間に合うのは、せいぜいが初産、初めてのお産でしょう。本当に危険で、私はお母さんたちがもうお産をするということが怖くなっちゃう実情が非常にわかるような気がします。
大臣、集約化に伴ってその近辺の宿泊施設、例えば小児病院では、親御さんが付き添うときにかりそめにそこに宿泊できるようなゲストハウスを設けています。そういう方式をとってでも、私はあくまでも集約化は過渡的と申します。しかし、本当に患者の立場に立ち、本当に産む身になって考えたときに、今のような集約化をされたのではお産はできないです。大臣、いかがですか、これは私の一つの提案です。
○川崎国務大臣 安価なホテルを提供したらどうだという一つの切り口の御提案をいただいたわけでございますけれども、確かに、過疎地域に産科というものがなくなって、都市部へ出てお産をしなきゃならない、それに対応する費用というものをどうしていったらいいのか、こういう切り口で御質問をいただいたんだろうと思います。
確かに、集約化するときにどうしていったらいいか。先ほど議論が出ておりましたけれども、交付税が、もしくは一般財源という形で交付税化される、その中で県や市町村が交通費を出したらどうだ、こういう御提案もありました。そういったものも踏まえて、何ができるかよく議論してみたいと思います。
○阿部(知)委員 申しわけありませんが、交通費を出すくらいでは途中で生まれてしまうことがあるのですから、本当にリアルに考えていただきたいんです。
産めやふやせやと少子化対策の旗を振っても、ばんそうこうにもなりはしないと私はいつも言っています。なぜなら、産む身の不安、親になる側の女性たちの、あるいはお父さんになる若い世代の不安にちっとも絡み合わないからです、今の国の政策は。ぜひ大臣、私が一例を挙げたのは、小児科のゲストハウスというような、親御さんたちが重症の子に付き添うために近くに、例えば長野の小児病院等々にはございます。ごらんになって、そうしたことをつくれるだけの措置をしていただきたいと思います。
もう一つ早急にお取り上げいただきたい施策があります。
小児科医や産婦人科医、特に産婦人科医は、このままでは幾ら、申しわけありませんが、労働条件を多少よくしていただいたとて、私は、この間のがたがたがたと減ってきた医師の数は回復しないと思います。我が国は、果たしてそれでいいのか、子供が生まれない社会でいいのかというと、だれも違うとおっしゃると思います。
では、どうすればいいのか。これも参考人の鴨下先生の御提案でしたが、大学の医学部に必ず周産期センターを設ける、ここで小児科医師と産婦人科医となる人たちが相互に情報を交換しながらお産に接する。これは、今手をつけたって、大臣がおわかりのように六年余がかかるかもしれません。でも、六年よりはもっと早いでしょうね。やらなければ生まれません、医師が、赤ちゃんがじゃありません。もう今お産を経験できる医師たちも少なくなりました。集約化すればするほどそうです。教育の根本から見直さないとこれは手だてがないんだということを、私は何度もこの委員会の冒頭で申し上げました。
たまたま鴨下参考人の御提案が、大学に周産期センターをきちんと設けていくという御提案でした。これもあわせて文科省と早急に検討していただきたいと私は思いますが、いかがでしょうか。
○川崎国務大臣 こうした議論を煮詰めながら、私自身も産婦人科の方々とゆっくり議論をしてみたい、こう思っております。皆さん方からいろいろな御提言もいただきましたので、それも踏まえた上で、何が実効性あるかということは議論したい。鴨下先生、すばらしい先生でしょうけれども、一人だけの御意見ではなく、いろいろな人たちの御意見を聞きながら詰めてまいりたい。
また、体制的には、文科省とはやはりもう少し突っ込んだ議論をお互いにしなきゃならないな、こう思っております。大学の教育のあり方から始まって病院のあり方、今病院のあり方を御提言いただいたわけですけれども、そういったものを踏まえて突っ込んだ議論をしたい。
また、つい最近も、放課後児童クラブのことで文科省と合意を得ました。あれは多分、あのときも御提言いただいたんだと思うんですけれども、早くやれということでございました。来年中に全国でできるようにしたいということで、お互い合意ができました。
より一層文科省と議論しながらやってまいりたい、このように思っております。
○阿部(知)委員 もうこれだけ多くの委員がお取り上げで、各地で悲鳴が上がっていることですから、時間が勝負です。今本当に、少子化は私どもが考えている以上に深刻な、この社会の未来がなくなる、あるいは地域で生きられなくなる、地域、本当に地方分権していこうというときに、そこに命が生まれない、これほど深刻な課題はないんだと私は思います。
そこには恐らく党派の別もなく、ただ命の問題があるだけですから、先ほど、鴨下先生以外にもよい意見があるだろうから広く求めてみるとおっしゃいました。それも大臣の見識の一つと思いますが、私は、ここでお呼びした参考人がせっかくそれだけのお話をしてくださった、それを生かせない委員会であれば、何のために、ただ形式のために来ていただいたのかと悲しくもなるものであります。ぜひいろいろないい御意見、ほかの参考人もございました。大臣にはお目通しいただきたいと思います。
本来のきょうの私の質問に入らせていただきますが、私は、この医療制度改革が今、子供、生まれる、出生という方に一つのフォーカスが当たると同時に、逆に御高齢者にとっては、高齢者バッシング、本当にこの社会に、これまで戦争も含めた御苦労をいろいろな形でしてくださってきた、その御高齢者に何と冷たいやりようかと憤りすら覚えます。
実は、これも私の大学の教授で大内力さんという方が、自分たちはこの国に二度死ねと言われた気がする、一度目は戦争、二度目はこの医療制度改革だというふうにおっしゃいました。それほどにです。
この意味するもの、短期的には、とにかく高齢者の窓口負担を上げて病院に来ないようにしましょう。中期的には、在院日数を短縮して、行き場もないままにたたき出されるかもしれない御高齢者の不安。長期的には、何のエビデンスもない、メタボリックシンドロームを振り回して地方に過重な負担をぶん投げていく。私は、こんなためにこの貴重な時間が費やされているかと思うと、本当に悲しいものがあります。
大臣に伺いたいと思います。
この間、厚生労働省に何度も部屋にお越しいただきましたが、医療費の高騰要因、医療費はなぜ高くなっていくのかということで、いつもいつも、年寄りが多くなって医療費を食って金食い虫で、だから何とかせにゃならぬというお話でした。本当でしょうか。
○川崎国務大臣 七十五歳以上の医療費を取り上げたときに、今約四割ぐらいを占めておるんだろうと思います。しかし一方で、我々が七十五歳以上の年を迎えたときには、今の千二百万から二千万になる、やはり五割を超す時代になるということはやむを得ないんだと私は思います。ですから、高齢化の中で医療費がかかるようになるという事実を、私は否定するということは無理だろうと思います。
そういう意味では、高齢化による影響、それから医療の高度化等のいわゆる自然増による影響、これはあると思います。いろいろな要件がございますけれども、一番大きなものは何かと言われれば、我々の世代が高齢というものを迎える、そのときには大変大きな負担を若者にしてもらわなきゃならぬことになる。そのことについて今から少しずつ適正化をしていかなきゃならぬ、こういう感覚でおります。
○阿部(知)委員 私は、高齢化は一つの要因である、これはだれしも否定できません。
しかし、医療費がなぜ上がっていくのかということを分析するときに、今大臣も、これは私も昨日厚労省に申し上げましたから、医療の高度化、技術革新によってもまた医療費は増大していきます。
しかしながら、実は、高齢化も技術革新もそれをよしとして、例えば長寿をことほげる、あるいは高度化した医療によって生命が長らえる、必要な治療が受けられる、このことによって国民はそこにお金をかけてもよしとするわけでございます。ここの委員会の論議が、メディアの取り上げ方が低調だ、あるいは偏っている等々の御指摘、午前中にありましたが、それ以上に、一体、今何を国民合意しなきゃいけないのかが国民に伝えられていないところの不幸が私はあるように思います。
大臣のお手元に、きょう準備させていただいた一枚目です。「五百万円以上高額レセプト件数の年次推移」というのがございます。
医療現場におりますと、月に一千万以上を実際には医療給付されているような高額レセプトというのが上がってまいります。これも、だから悪いとかではありません。実際に、そうしたものを私たち医療者は目にするわけです。その件数がどんなふうに推移しているか、厚労省はデータをお持ちかどうかということで私がお尋ねしました。
ここには、月に一千万円以上のレセプトが、平成七年度で三十八件、平成十六年度では八十九件。毎月です、一千万円以上のレセプトが現状、十六年度では八十九ございます。大臣、これをよくごらんいただきたいんです。これは、実は健康保険組合連合会のものでございます。基本的に勤労者世帯かそのお子さんのお使いになっている高額な医療費のレセプトでございます。五百万円から一千万円のものも、平成七年度では千五百四十七件から現状で二千三百七十三件ございます。
実は、これだけを見ても、この間恐らく治療は濃厚になり、高額になっているんです。これが一方の技術革新の一つの証左だと私は思うんです。
まず大臣に、これはどうごらんになりますか。
○川崎国務大臣 全体像としましては、今申し上げたように、過去十五年程度の推移を見ますと、医療の高度化等の自然増約二、三%で推移しております。
一方で、お示しいただきました資料でも、高額のレセプトは年々ふえてきているということは間違いない事実だろう、それは私どもも承知しております。
○阿部(知)委員 承知しておられるということでありましたが、果たして高額医療費が医療給付費の一体どのパーセントを占めているのかというデータをお出しいただきたいと私は厚労省にお願いしました。恐らく、お返事がまだいただけていないのか、ないのかだと思いますが、ちなみに、武蔵野市の医師会でお出しである集計を見ると、レセプトの統計の上位一〇%の患者さんが総医療費の六割をお使いです。上位一%の患者さんが医療費の二六%をお使いです。高額医療費が、医療給付費の四分の一を一%の患者さんが使っています。
これも、だから悪いではありません。だったら高額医療費ということについてどんな合意をとっていくのか、私は、これがなくして御高齢者ばかりが、あたかも医療費の高騰要因のように言われるこの審議のむなしさを、逆に厚労省はなぜデータすらとろうとしないのか。これは、今私の見たのはホームページで見つけた医師会の集計であります。本当に、一%のために四分の一を給付している。それでもいいかもしれません。でも、その内容は何であり、国民が合意すべきことだと思います。大臣、いかがでしょう。
○川崎国務大臣 高齢化による影響も大体二%弱、それから医療の高度化の自然増が二、三%、こういう理解をしております。
一方で、高度化というものを否定するかといったら、これはだれも否定しない話でありますので、そこも織り込みながら医療というものを考えていかなきゃならぬだろう。一方で、高齢化プラス、高齢化するところの人口が急激にこれからふえてしまうということも事実ですから、今の一・八、一・九、この数字を明らかに超えてしまう時代が来るだろう、高齢化による影響ですね、我々の数が多いですから。ですから、そういったものを両方あわせながら議論をしていかなきゃならぬだろう、このように思います。
○阿部(知)委員 大臣も御承知のように、この間高齢者の医療費の伸びはほとんど動きがございません。もちろん累次の改革によって抑制されているということもあります。私は、せめて実態を把握して、何が高騰要因なのか、それを国民はよしとするのかどうかということがわかる論議をすべきだと思います。
もう一つ、きょうはずっと取り上げたくて後送りになっていましたリハビリの問題を最後に一つだけ取り上げさせていただきます。
大臣も御存じだと思いますが、免疫学者で多田富雄さんという方がおられます。非常に世界的にもすぐれた免疫学者ですが、四年前に脳梗塞を患われて、現在も言語障害が残られて、いわゆる構音障害と言った方がいいんでしょうか、あるいは半身麻痺も残られて、リハビリ中であります。
この多田富雄さんが四月の八日の朝日新聞に投稿をなさいました。これからは脳梗塞によるリハビリは百八十日を過ぎたらもう医療給付の対象ではないということが決まった、これは自分にとっては死の宣告である、簡略に言えばそのような内容でした。
今、医療現場では同じような声が多くの患者さんから上がっています。また、PT、OTを病院に雇い、その患者さんたちのサービスをしていた病院サイドも混乱しております。厚労省は、これをみんな介護保険のデイケア等々で、通所リハビリで行いなさいということです。となると、患者さんは、自分の高血圧や糖尿病のためには医療機関に行き、わざわざリハビリのためには別途、交通費もかけてデイケアに通わなければなりません。時間も無駄、お金も無駄、これは本人にとってです。そして、プラス、本当にこれが必要な方へのリハビリ制限になってくるのではないか。
この現場に起きている混乱と不安と是正策について、実務サイドでも結構です、お答えください。
○水田政府参考人 お答えいたします。
今回の診療報酬改定におきまして、リハビリテーションの体系を疾患別に再編成する中におきまして、重点評価ということが一つキーワードでございまして、一日当たりの算定単位数の上限を緩和するということで、発症後早期のリハビリテーションは評価をする。一方で、長期にわたって効果の明らかでないリハビリテーションが行われているという指摘があることから、疾患の特性に応じた標準的な治療期間を踏まえまして、今委員御指摘のありました、疾患ごとに算定日数の上限を設けたところでございます。
ただ、この算定日数上限の適用に当たりましては、失語症でありますとか高次脳機能障害、こういった疾患でございまして、リハビリテーションを継続することによって状態の改善が期待できると医学的に判断される場合には、算定日数の上限の適用を除外しているということでございます。
御指摘の脳血管疾患についてでございますけれども、神経障害による麻痺及び後遺症につきましても算定日数上限の適用除外としてございまして、例えば広範囲の脳梗塞の場合など、これが今申しました神経障害による麻痺及び後遺症を来して、リハビリテーションを継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断されるものであれば、算定日数の上限の適用除外となるものと考えてございます。
ただ、これが維持期のリハビリテーションということになりますと、これは委員御指摘のとおり、介護保険の要介護認定を受けて通所リハビリを受けていただく、こういう介護保険との役割分担ということも念頭に置いて整理をさせていただいたものでございます。
ただ、もう一点、委員御指摘のありました、基礎疾患についての治療があるじゃないかということでありますが、通所リハビリは病院、診療所等で行われるわけでありますので、その場合には、医療の部分につきましては医療保険で、通所リハビリにつきましては介護保険で、事業所になっていれば給付を受けることができる、このように考えてございます。
○阿部(知)委員 私が言いたいのは、非常に机上の空論で、一人の人間をこっちが医療部分、介護部分と切って扱うことの非人間性ですよ。それから、維持期といったって、やらなきゃ能力は落ちていくんです。こんなことは医学の常識でもあります。
こういう形で、本当に多くの脳梗塞の後遺症の患者さんが不安と戸惑いと、もう死ぬような苦しみを負っています。大臣には、この点についてもぜひもう一度、もし新聞もお目通しいただければと思いますし、善後策をもっともっと綿密に検討していただきたいということをお願い申し上げて、本日の質問にいたします。
ありがとうございました。
○岸田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時四十一分散会
―――――――――――――
派遣委員の福島県における意見聴取に関する記録
一、期日
平成十八年五月八日(月)
二、場所
ウェディング エルティ
三、意見を聴取した問題
健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)、良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案(内閣提出)、小児医療提供体制の確保等のために緊急に講ずべき施策の推進に関する法律案(小宮山洋子君外四名提出)及び医療を受ける者の尊厳の保持及び自己決定に資する医療情報の提供、相談支援及び医療事故等の原因究明の促進等に関する法律案(園田康博君外三名提出)について
四、出席者
(1) 派遣委員
座長 鴨下 一郎君
新井 悦二君 木原 誠二君
林 潤君 平口 洋君
郡 和子君 仙谷 由人君
山井 和則君 福島 豊君
高橋千鶴子君
(2) 意見陳述者
福島県町村会長 菅野 典雄君
福島県医師会副会長 高谷 雄三君
東北大学大学院医学系研究科医科学専攻発生・発達医学講座周産期医学分野教授 岡村 州博君
福島県産婦人科医会会長 幡 研一君
仙台市立病院救命救急センター副センター長兼小児科医長 村田 祐二君
国見町長 佐藤 力君
(3) その他の出席者
厚生労働省大臣官房審議官 宮島 俊彦君
厚生労働省医政局長 松谷有希雄君
――――◇―――――
〔前略〕
○岸田座長 次に、阿部知子君。
○阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子と申します。
国会では、この三年ほど、一昨年には年金制度の改革、昨年が介護保険、今般医療制度改革という審議が行われておるわけですが、最も国民にとって大切であるはずのこの社会保障制度全般が、実はこの間の改正で本当によい方向に向かっているのかどうか、私は非常に心もとないという立場に立っております。
山本参考人にはこれまで何回かお越しいただきまして、都度、御意見も伺いましたし、いろいろな現場で長く地方自治を預かっておられる立場からの貴重な御意見も承りましたけれども、特に今回のこの医療制度改革におきましては、県の役割が新たにきちんと位置づけられたという意味で評価はされます。と同時に、これから例えば市町村なり県が医療ということをやっていく場合の財源問題というのが全く見えないまま、地方や市町村に移譲というか職務が渡されるということに私は非常に懸念を抱いております。
ぜひ山本参考人に教えていただきたいのですが、例えば先ほどのお話の中の国保においても、市町村の一般会計からの繰り出しといいますか、そこに入れる、あるいは市町村立病院をお持ちのところは、その財政赤字の補てんに、全国的に見れば一兆円余りのお金が入っているわけですね。これはもちろん民営化していくということも一つの方向ですが、やはりそれなりの政策医療を担っているがゆえの不採算というところもあると思うのです。
今後、本当に医療が地方分権化されるために、果たして国はどのような財源措置をとればよいとお考えか、まず山本参考人にお願いします。
○山本文男君 国保の方の赤字体質というのはずっと続いているんですね。ことしや昨年できたものではないわけでして、長年のずっと続いてきた国保の財源不足なんです。
その中で、さっきも申し上げましたように、大体、全体で一兆円足らない、約一兆円くらいが毎年不足をするわけですけれども、そのうちの六千億程度は、それぞれの制度がこしらえてありますから、その制度に基づいて国が補てんをしているんです。残り、どうしても三千億程度、三千五、六百億になると思うんですが、これが制度がありませんから、どうしても、赤字をたくさん出したそれぞれの保険者である市町村が一般財源から負担をしているというのが実情でございます。ですから、これを解消するためには一体どうしたらいいかということは、我々にとってはやはり長年の課題でございます。
ところが、簡単にそうはいきませんものですから、したがって、解消するためにはどうしても国民保険料を高く引き上げる以外はありません。高負担それから高給付ということをやればそれで解消するかもしれませんけれども、それではとても住民の皆さんたちの理解を得ることができませんので、そこらあたりに、言うならば我々にとってはジレンマがあるわけでございます。したがって、制度をもう少し考え直していけばうまくいくんじゃないかと思うんです。
第一、国保の被保険者というのは、もう先生御存じのとおりに、保険料を収入から払っていく、そういう人たちは一六%ぐらいしかいないんですね。それに無職の人が六%、あとは年金の人たちが非常に多いわけです。ですから、保険財政の財源そのものが非常に乏しいというのが国保の実態なんです。だから、そこらあたりを解消しない限り、さっき申し上げたように、国保の財源の安定化というのは難しいと思います。
そこで、どうしてもそういうような財源不足の起こり得る原因を国側の支援によって解消するような道はないのかなというのが長年の私どもの課題。そこで考えたのは、私どもは、医療保険というのは全国で一本化が一番いい。健保もなし、政管もない、国保もない、みんな一つになった保険制度にした方がいいということで、医療保険の一本化というのを私どもは主張してまいりました。全国町村会としては、それを主眼にして今日までお願いをしてまいりました。ところが、なかなかそれが簡単にいかないものですから今日のような状況になっているところです。
だから、もう一つは、国や県に依存するということも大事ですけれども、それよりも、自分たちが自己努力をして、そしてこの解消に努めていくことが必要である、そういう認識を高めていくことが一番大事なことではないか、そういうふうに思っております。
以上です。
○阿部(知)委員 もちろん自己努力は原則でございますが、結局、医療と申しますのは、絶対的なニーズでもあるわけですね。人は好んで病気になるわけでもなく、また老いを重ねていくわけでもなくて、そのときに必要な介護や医療であるからこそ、国民が、例えば税の投入の仕方の合意をとった上で、どこに何を使っていくかという問題になっているんだと思うんです。
私は、次に横倉参考人にお伺いしたいのですが、大変に貴重なレジュメをいただきまして、この基本的な考えのところにもお述べでございますが、今回の医療制度改革によって地域の医療提供体制に困難が生じないようと、まさに地域の医療体制に本当に困難が生じないんだろうかという点を私は本当に懸念するものであります。
先生のお示しのデータの中にもございますが、例えば介護保険でお示しいただきました七番のデータで、福岡県の中でも会社立の事業所が全くない町村があって、ここでは介護保険を受けようにもサービスがない。結局、サービスを提供できるだけの、医療においても提供体制をどうきっちりとインフラ整備していくかということがないと、これからは特に、高齢者医療制度でもそうですが、介護保険でもそうですが、保険料はいただいているんだけれどもサービスは受けられない、はっきり言うと詐欺じゃないか、そういうことすら起こりかねないほど、今医療提供体制の方にほころびが生じてきているのが現状なんだと私は思うんです。
先生がおっしゃる医療提供体制に困難が生じないようにというあたりは、具体的にはどうあればよいのか、ここをお願いいたします。
○横倉義武君 地域医療、福岡県内で見ても、いわゆる福岡市中心の非常に人口過密な地域と、極端に言うと、山本町長がいらっしゃるような、かなり人口の過疎地域とございます。我々の願いというのは、やはり、福岡だけに限って言いますと、県民がどこにお住まいになっても必要な医療はちゃんと受けられるというような体制だけはしっかりつくっておかなきゃいけない、また、高齢者の方が介護が必要なときは介護が提供できる体制をつくっておかなきゃいけない。
先ほど資料をお話しになりましたように、いわゆる民活、介護保険の場合は株式会社の参入等を非常に期待されました。確かに都会には参入したんですが、田舎には参入しないんですね。そこを補完したのは何かといいますと、もちろん市町村の社会福祉協議会もやりましたし、それと、地域にある小さな医療機関が介護サービスまで何とかケアしていくという形をつくっていったわけであります。それが今回の改定で余りにも大きな激変になりますと、そこら辺ができなくなる。そういうふうにならないように、今度のいろいろな法改正がございますが、その運営に当たって十分な配慮をしていただきたいというのが一つの大きな願いであります。
ようございましょうか。
○阿部(知)委員 先生からいただきましたデータの中には、ほかにも、例えば福岡県の医療費は高いと世上言われておりますが、やはり独居率が高い、日本のいろいろな諸政策の中で住宅政策というものが非常に手薄であったがため、それから現在は都市化が非常なスピードで起こっているために、独居のお年寄り、また過疎に住まうお年寄りなどなど、本当に医療という分野だけでは解決しない住まいの問題というのが大きくここで資料としても示されていると思うのですね。
医師会というのは全国組織でございますから、各県でこうしたデータをおとりいただいて、医療は医療で努力いたしますが、しかし、いかんともしがたいところは他の政策で手を打っていかないと、結局は、医療費の抑制をせよせよという中で、医療提供体制もおぼつかない、あるいは独居の方は一体どこに行けばいいのかということが生じてくると私は思うのです。
きょう先生からいただきましたデータが非常に実際の分布をわかりやすく示してございますので、また重ねてこの点については全国的なデータもお示しいただきたいとお願い申し上げます。
同じように、独居とかあるいは療養型病床群の問題もそうでございましょうが、社会的入院と言われていることに関しまして、きょう中山先生のお話も大変に参考になりまして、実は先生は二百四十二床の病院で院長をやられて、実際に日本の医療をこれまで地域において密着して支えてきた、恐らく中核病院といいますか、そうした地域密着型の病院で先生はお仕事をしてこられたんだと思います。ここの介護型療養施設が百四床というのも、やはり、例えば独居である、あるいは家族が御高齢者同士であれば、病院で最期を迎えざるを得ないということの結果もここにあらわれているように思います。
この点、先ほど来何人かも御指摘でありましたが、今回療養型病床群は、理念においては、例えば介護は介護、医療は医療と分けていくことはできても、一人の人間を医療と介護と分けてなかなか区分はできませんし、受け皿という意味で、これから先生方の病院がどのような形で実際に介護型の療養におられる百四床の方々のお世話をなさっていかれようとするのか、このあたりをお願いいたします。
○中山眞一君 今の御質問は、介護型療養病棟全廃後のお話、その辺を見据えてと。(阿部(知)委員「はい」と呼ぶ)それは非常に一番悩んでいるところでございます。
たまたまこれは介護病棟百四で、医療型を十六というような格好に今しておりますけれども、私が言いたいのは、この足して百二十床というのは、やはり制度変更に基づいて変わってきただけのところがございまして、実際は内容は、余り本当は変わっていないということなんですね。
だから、おっしゃるように、一人の患者さんをどちらかに分けるということはもちろんできませんし、感覚的には、医療が必要だった患者さんがいつの間にかもう介護中心になっているということは、日々遭遇することだと思います。
それと、また、悲しいかな、患者さん御本人はどっちであろうとよくわかっていないということも現実の問題ですよね。とにかくどちらかでちゃんとお世話していただければ、もうそれが一番ありがたいんだというのはすごく、多分そのぐらいのことは思ってはると思います。もちろん御家族はある程度理解しておられますね。
今、全廃の問題、本当に頭を痛めておりますけれども、今の制度の中でいえば、やはり同一敷地内とか同一の建物の中でその間を橋渡しするような、いわゆる今現存する老健とかとはまたちょっと、経過措置的なものを必要として、そういった意味で、言葉は悪いですけれども時間稼ぎをさせていただけるような環境は、私どもの病院に限らず、やはり全国のいろいろな似たような病院の中は必要としているんじゃないか、そういうふうに考えております。
○阿部(知)委員 実に御苦労の多い分野だと思います。逆に、患者さんにしてみても、あなたはここから例えば医療型の療養病床群、次に介護型の病床群と移らされても非常に負担が強いものと思いますので、いろいろなことを加味された上で、よろしくお願い申し上げたいと思います。
以上で終わらせていただきます。
〔後略〕
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