第164回国会 厚生労働委員会 第27号(平成18年6月2日(金曜日))抜粋 案件:
政府参考人出頭要求に関する件
戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)
社会保障に関する日本国とカナダとの間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案(内閣提出第八〇号)(参議院送付)
薬事法の一部を改正する法律案(内閣提出第六七号)(参議院送付)
がん対策基本法案(古川元久君外四名提出、衆法第一六号)
がん対策基本法案(鴨下一郎君外三名提出、衆法第二九号)
議事録全文(衆議院のサイト)
ビデオ (衆議院のサイト)
〔前略〕
○岸田委員長 次に、阿部知子君。
○阿部(知)委員 社会民主党の阿部知子です。
本日は、与党並びに民主党の皆さんの御配慮で四十五分の時間をちょうだいいたしましたので、本日話題になっておりますテーマ以外のことで、冒頭、大臣、通告外ですが、一問お願い申し上げます。
昨日の夕刊の各紙、またけさの新聞紙上で、二〇〇五年度の合計特殊出生率が一・二五ということで、この小泉政権になって以降もそうでございますが、年々予測を上回って下がり続けるということで、もちろん子供の出生は数の云々ばかりではございませんが、やはりさまざまな今後の社会保障政策にも影響してまいるかと思います。
大臣にあっては、今、この六月中にもいろいろな少子化対策の見直し等々の検討中でもあると思いますが、一点目は、まずこの数値、どうごらんになりますかということと、それから、小泉政権の中でやってきたさまざまな施策と成果が必ずしも十分ならず、むしろ進捗がとめられないという事態について、今後どういうことをお考えになりますかという二点をお伺いいたします。
○川崎国務大臣 昨年の十二月の、たしか二十四日だと記憶しておりますけれども、通常一月一日に発表いたします人口見通しを、昨年から人口が減ることになった、たしか百六万七千人の子供が生まれたけれども百七万七千人の方がお亡くなりになった見通しである、これは十二月三十一日まで確定しないわけですけれども、少なくとも一万人減る社会を迎えただろうと。したがって、百六万七千人の子供が生まれたということからすれば、当然、今日の出生率、正式の数字を出させていただきましたけれども、計算上、誤りなきものを出させていただいた。
そのときから、少子化社会が私どもが考えた以上のスピードで進んでいるということは意識した中で当然予算編成もし、また一月以降の対策も打ってきたところでございます。小学校六年生まで児童手当の拡張、また十月からは出産のお祝い金を三十万から三十五万円にさせていただくというような対策をしながら、一方で補正予算、本予算でこの数年間の中で随分保育所の整備をさせていただいてまいりましたけれども、もう少し足りないという面で、補正予算も含めて手厚い措置をさせていただいてまいりました。
しかし一方で、言われますとおり、まだ歯どめがかかっていないのが現実でございます。何とか出生率の低下に歯どめをかけなきゃならぬという中で、私自身、きのう記者会見で申し上げたのは、一番大きな理由は若者の就職にあるんではないだろうかと。これは委員からも随分言われました正規雇用、非正規雇用の問題も含めまして、この十年、我が国の経済が大変厳しかった、そのときに就職期を迎えた若者が就職に失敗をしたり、もしくは不安定な雇用に入っている、それが、結婚が減る、したがって出生率が下がるという問題に結びついているように思うと。また、もう一方で、子育てというものを二人でやっていく、男性と女性が協力し合いながらやっていくという社会にまだまだなっていない、その辺に、企業にしっかり理解を求めていかなきゃならない、こういう話をずっとしてきたところでございます。
一方で、猪口大臣はそうした危機感の中で各県を回られて知事さんの意見を聞かせてもらった。それが猪口さんの考え方として最近出されたところでございます。
一方で、私どもは中野副大臣に企業を回ってもらって、もう少し正規雇用というものをふやしてもらえないだろうかと。特に、ことしの高卒、大卒の就職率はかなりよくなってきた、三ポイントか四ポイント回復してきておりますけれども、今申し上げたように、十年前、十五年前にさかのぼりながら、中途採用というものをもう一度考えてくれないか、それから少子化というものに対して協力を求めたい。こういうことに対して、先日、日経連とそれから日本商工会議所、それぞれお見えになりまして、少子化に対する考え方を取りまとめていただきました。もちろん政府にやれという部分もありますけれども、我々みずからもやらなければならない、こういった感じで数字が出てきて、意見が出てきているところでございます。
そういったものを合わせながら、私ども、しっかり進めていかなければならぬな、将来の我が国を考えたときに少子化というものは大変な、重要な課題でありますし、国の活力を失うことになるということで意識をいたしているところでございます。
一方で、就職が少しずつ改善していきますと同時に、二十代後半の結婚、これが下げどまってきたかな。上がってきたと言っているんじゃないんです、下げどまってきたなと。当然、三十を過ぎた方々の結婚は、晩婚化ですから毎年率は上がってきています。二十代の結婚の下がりが少しとまってきたかなという感じと、出生率も、今の一月、二月の数字を見る限りは少し明るい兆しもあるような気がするし、大臣、それは少し見過ぎだぞと言われるかもしれません。
いずれにせよ、そんなものをしっかりウオッチしながら、六月に入りました、今月中の取りまとめに全力を挙げなければならない。総理もきのうお話がありましたように、また官房長官もお話がございましたように、大きな課題であるという認識の中で懸命に取り組んでまいりたい、このように思っております。
○阿部(知)委員 大変丁寧な答弁をありがとうございます。
私も従来から指摘させていただいておりますように、財政支援、例えばですが、出産の無料化ももちろん望ましいですし、あるいは児童手当の増額ということももちろん重要ですけれども、と同時に、あわせて働き方のルールがもっと日本の中できっちりされないと、均等待遇一つ保障されておりません。
今の若い方たちが、年金も、ある意味では厚生年金加入でなく、国民年金になり、未納、未加入状態になる、あるいは医療保険も国民健康保険に多くお入りになる、失業保険はお持ちではないような状態に置かれている。働くこと自身が非常に不安定で、また将来設計ができなくなっているという部分に、日本がやはり国としての政治的な分野でしっかり対策をしないといけないだろうということで、これは重ねてお願い申し上げたいですし、また、追って男女雇用均等法のお話の中でも出てまいるやもしれません。
それともう一点、私がここで大臣に伺いたかったのは、これまでいろいろな年金の制度設計は、出生率にいたしましても、中位推計というところに大体予測を立てて行ってまいりました。例えば、おととしでしたか、年金のお話のときには、その後に推計値が出て、何で先に言わないんだと大変問題になりましたが、その後も、まだ大丈夫、見直さなくても大丈夫というお話でした。
私は、先ほど来申しますように何も子供の出生は数ではないけれども、さまざまな制度設計がそういうものにのっとって御提案だったり審議されておると、果たしてこうした制度設計の見直し自身は行わなくていいのかということにおいても、やはりきちんと私たち政治の場にある者が考えていかなければいけない。もちろん対策を打てば改善もしてくる部分もありますが、残念ながら、百年安心と言われておりましても、年金問題も、社保庁の問題のみならず、そういう実務的な問題のみならず、制度設計でも不安があるわけです。このあたりと、出生率と関係した制度設計の見直しについてはどうお考えでしょうか。
○川崎国務大臣 年金計算というのは、一つは当時議論してきたことと大きく変わりましたのは、経済環境が変わった。すなわち、当時の議論では百五十兆、百六十兆ある資金がうまく回らない時代、特に十四年ぐらいの数字をメーンに十六年の議論をいただいたと思います。そこは随分変わってきた。多分、七兆円、八兆円の株等の利益を上げておると思います。そこは一つ変わりました。それから、十六年の議論からいえば、今御指摘のとおり、それ以上出生率は下がってきているということも事実であろうと思います。こうした条件を加えながら、今後どうしていくかというのは当然常に議論しなきゃならぬ。
しかし一方で、年金というのは極めて長い話をいたしておりますから、私自身、これは何も政府の了解の中でしゃべっていません、個人的見解としてしゃべっておりますのは、二〇五〇年、一・三九の出生率なら大体一億人ぐらいの人口になるんだろうか、そのときに我が国の労働力というのはどのぐらい、すなわち経済力というのはどのぐらい維持しながらやっていけるだろうかという仮定をしながらお話をさせていただいております。そういう意味では、今の段階において二〇五〇年、一・三九という出生率を断念するような状況にはないだろうと。
したがって、やはりさまざまな政策を積み上げながら一・四、まあ一・五になったらもっといいのでしょうけれども、私は一億人国家でいいのではなかろうかなと。何も、これから一億三千万、一億四千万、どんどん人口がふえる社会を目指すのか、我が国がある意味では安定した社会をつくるとしたら、今申し上げた仮定でいいのではないだろうか。それも前提にしながら労働力問題、経済力問題を少し皆さん方とお話をさせていただいている。
そこへ阿部議員がいつも御主張されるとおり、では、その中で日本の活力を保つとしたらどうなるかということになれば、一つは、女性の労働というものをやはりもう少ししっかり位置づけていかなければなりませんねという話と、一方で、この団塊の世代が大体幾つぐらいまで働くかねという問題が大きな課題。それから、やはりどう考えてもフリーターの二百十何万という数は多過ぎる、これに対する対策をしっかりしなきゃならぬ、こんなふうに考えております。
○阿部(知)委員 きょうは社会保険庁問題の集中審議ではありませんので深くは触れませんが、この年金ということについて、例えば、現役世代の五〇%ということを約束された二年前の設計に対して、これも、国民は本当にそうだろうか、もうこんなに人口が減っていってしまってと。
大臣は、今、二〇五〇年で一億人、サイズの問題として提案されましたけれども、この労働力人口をふやす、女性たちを活用するというところも当然置いた上で、果たして本当に、御提案のこれまでの年金の制度でやっていけるのかどうか、ここはまた私は疑念のあるところでございますので、きょうは、まだこの段階で見直さなくてよいとおっしゃった大臣の御答弁だけいただきまして、次のテーマに行かせていただきます。
私は、この二法案については、そもそも党としても賛成でございますが、あえて中身の論議に入る前に、賛成であるということを申し添えた上で、一つお願いがございます。
この日本とカナダの年金の相互乗り入れと申しますか、二重加入になりいろいろな問題が生じないようにというこの締結には賛成でございますが、しかし、また一方で、社会保険庁問題で、例えば平成十七年の十月にアメリカとのこうした相互の取り決めが発効するということになっており、もう発効いたしたと思います。社会保険所というんでしょうか、そこの現場段階で、果たしてその実務とか状況についてどの程度周知徹底されているのかというのが、実は非常に不安な出来事がございました。
同じ年の十七年の八月に、社会保険庁に、今度からこういうのができるからと聞きに行ったら、できてから、発効してから聞きに来てくれと言われたと。こういう国際化時代ですから、社会保険庁の職員の意識も、なかなかこの複雑な実務が入ってきて追いつかないという点はあると思いますが、国会でこうやって法律で決めていったことが、本当に実務レベルまで、実行力として成り立つような御指導をぜひいただきたい。
こんなことをここで確認するのは大変に恐縮なのですけれども、現場段階でどのようにこうしたことが自覚され、実施されようとしているのかというところで、私はちょっと疑念がございますので、これも大臣、これまで幾つかの国とあわせてやりましたから、どういう指導がなされていて、実際に各現場でお働きの皆さんがそうしたことを周知しておられるよう、確認をして、徹底もしていただきたいですが、いかがでしょうか。
○川崎国務大臣 当然、その仕事をする人たちが制度を理解して、やはり国民へしっかりメッセージを出していかなきゃならぬということであろうと思います。
そういう意味では、社会保障協定について、これまでドイツ、イギリス、韓国、アメリカとの協定が発効しておりまして、協定締結ごとに協定の概要等を説明したチラシ、小冊子を作成し、これは事業主等へやっております。
それから、関係団体への協力、それから年金受給者に対して、裁定請求の事前案内のはがきや受給者あて封筒等を活用した個別の情報提供というようなことでやってきておりますけれども、今委員が、私がもらった質問はそういう話ではなくて、それをしなければならない社会保険庁の教育はしっかりできているのかということでありますので、そこはまだ、私、検証しておりませんけれども、しっかりやらせます。
○阿部(知)委員 グローバル化時代ですので、例えば、留学生がアメリカとかカナダで学校を卒業して、そのまま向こうで就労するようなケースもあります。大臣がおっしゃったように、日本で企業に就職していてそれが派遣されるという形であれば、まだ事が、会社側がやるのでしっかりしておるんですね。ところが、国民年金にかかわりますような業務を行っている社会保険庁のところで生じてくる問題は、なかなか、実は、申しわけないが、職員に徹底しておらないように思いますので、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
引き続いて、大臣が先ほど高橋委員の御質疑の中でおっしゃってくださいました遺骨収集事業ということで、これは予告をしてございますので、順次進めさせていただきたいと思います。
今週の月曜日になりますか、五月の二十九日に、ことしも例年どおり千鳥ケ淵に納骨をするということで、岸田委員長を初め、この厚労委員会の各メンバーも、また各党の代表も御参列で納骨式が行われました。川崎大臣にあっては、恐らく社会保険庁問題でお忙しゅうございましたことで、中野副大臣がお越しでありました。私は議員になりましてから、毎年この千鳥ケ淵の納骨というのは個人でも参加させていただき、この間は党のお役目としても参加させていただいています。
大臣に、恐縮ですがそもそも論で幾つかお伺いしたいことがございます。
大臣は、まず、アメリカのアーリントン墓地というのには行かれたことがありますでしょうかというのが一点です。これを伺いますのは、実は、千鳥ケ淵墓苑と呼ばれる桜が美しいあの区域とアーリントン墓地というのは、同じに見えて同じ扱いではないのですが、そのことを少しだけ冒頭触れさせていただきたいので、大臣には、アーリントン墓地に行かれたことがありますかという一点、お願いします。
○川崎国務大臣 私自身、アメリカには余り行ったことはないんです。したがって、アーリントン墓地は行ったことがございません。
○阿部(知)委員 アーリントン墓地は、いわゆる墓地としていろいろな戦争で亡くなられた方たちが埋葬されているところですが、千鳥ケ淵は、墓苑という名にあらわれるように、もともとは環境省の管轄の公園で、そこに、いろいろな経緯があって、御遺骨が収納されることになりました。
日本では墓埋法というお墓の取り決めの法律がございまして、墓埋法にのっとれば、もともと自治体がここは墓地であるという許可を出さなければいけないのですが、正直なところ、私の調べました限り、今日に至っても、千代田区にございますけれども、千代田区が、自治体が認めた墓地という扱いにはなってございません。しかしながら、現実には、そこに、戦争で亡くなられ、お名前が知れず、あるいは正直申しますとお名前が知れても引き取り手がない方も含めて埋葬されております。
今、国においては、一方の靖国神社参拝問題とあわせて、やはりどなたもが無宗教で、そしてまた外国の方もお参りいただけるような国立の追悼施設をつくろうというお話で、多分大臣も、私はテレビカメラでちらっと見ましたが、そのようなことに御尽力であると思いますが、一方で、しかしまたそれも、墓地ではございません。私ども、通例、庶民感覚で墓地というのは、御遺骨を納めて、そしてそこはお墓として認められているところでございます。この日本の中で、実は墓地として法律的に認められたところはないんだということ、これは非常に大きな問題でございます。
例えば、これから国立の追悼施設ができたとて、では、お連れ帰った御遺骨をどこに順次お納めしていくのかということが問題に上がったときに、非常にまだ中途半端な形でずっと遇されております御遺骨のありようということを考えたとき、大臣にはぜひこの真実というか事実ということを御認識いただきたいですが、いかがでしょうか。
○川崎国務大臣 今お話を承りました。
私自身が厚生労働大臣に就任いたしまして、実は、御遺骨をまず収集してくる、そして千鳥ケ淵の墓苑にお納めする前に厚生労働省の中に安置してあります。そこについては、厚生省に、こうした仕事をさせていただく者はお参りをさせていただくというような形でさせていただいておりますけれども、最後は千鳥ケ淵におおさめするという思いでおりましたので、多分、当然お墓であろうという意識を持っておりました。
○阿部(知)委員 自治体、例えば東京都で墓地として認められますと、今度、身元不明の方たちの御遺骨を合わせて納骨してはいけないという法律がもう一方であるんですね。
ところが、私はもう何回もこの委員会の審議で取り上げさせていただきましたが、千鳥ケ淵に御遺骨が入るときは、遠方で収集されて現地で一回焼骨されて、日本で再焼骨されて、最初のある時期はアルミ缶にざらざらっとまとめて入れられて納骨ということがございました。この委員会でも、坂口前厚生労働大臣にお願い申し上げて、個体性のわかるもの、お一人お一人がわかるものは、やはりそれはお一人としておさめていただきたいということをお願い申し上げました。
もちろん、墓埋法の墓地でない以上、合葬というんでしょうか、これも別にどこの法律の禁ずるものではございませんが、やはりもともとを正していくという、墓地としてきちんと私たちがそこにおおさめできるという、これ、自治体にそうお認めいただかないといけないわけですけれども、そういうこともあわせて必要と思いますので、きょうは問題意識のありかを冒頭、大臣にお伝え申し上げて、実際的なお話に行かせていただきたいと思います。
実は、私もことしの一月、フィリピンのセブ島に遺骨収集に民間の方と御一緒に参加させていただきました。一昨年にもうなりますか、十二月にはインドネシアのビアク島というところに、これも民間の方と参加させていただき、実はことしの納骨はインドネシアのパプアニューギニアのまたさらに先にあるビアク島周辺からの納骨が非常に多かったということで、本当に一体でも多く御帰還いただきたいという思いでやっております。
ところがでございます。最近、やはり年月もたち、千鳥ケ淵におさめて慰霊するという遺骨の数がだんだん減ってまいっております。これは、年月がたったということで、遺骨も風化しますし、状況も、例えば地震などがあるとわからなくなるとか、いろいろな年月による負の面というのがございます。
しかし、もう大臣も既に問題で指摘されて、参議院でもお取り上げかもしれませんが、この間、最も未帰還の御遺骨が多いフィリピンで、民間の方がお集めになった御遺骨の受け渡しをめぐって、いろいろなトラブルと申しますか、厚生労働省側との行き違いが発生してございます。これは、やはり亡くなっていかれた方のことを考えれば、ここでさまざまに一体でも多くお帰りいただくという原則がどうやって実現されるかということにのっとって大臣にぜひ御尽力いただきたいのですが、この間、御遺骨が古くなり、やはり、日本の方の骨か、あるいは米兵の骨か、あるいは現地の方の骨かわからないということもあって、現地で鑑定をしていただくという制度が発足しておると思います。いつごろから発足したか、また、私が多少経緯を述べましたが、どのような経緯で今日に至っているかをお教えください。
○大槻政府参考人 遺骨鑑定についてのお尋ねでございます。
近年、厚生労働省が遺骨収集団を派遣いたしまして遺骨収集をいたします際に、同行あるいは立ち会いという形で、遺骨鑑定人に参加いただくという場合が多いわけでございます。
この経緯でございますけれども、平成七年度からは東部ニューギニアにおきまして、また平成十一年度からはインドネシア、平成十四年度からはフィリピン及びマーシャル諸島におきまして、遺骨鑑定人の立ち会いを実施しているところでございます。
この背景でございますけれども、今委員の方からも御指摘ございましたけれども、一つは、現地政府からの要請、一定の配慮をしてほしいということがございます。やはり、現地住民の遺骨あるいはアメリカ人の遺骨等々とちゃんと区別をして収集していただきたいという強い要請もございますし、また、私ども日本の御遺族からいたしましても、今日、DNA鑑定等もやっておるわけでございますけれども、そういう御要望を踏まえますと、従来以上に慎重に取り扱わなきゃならないということで、遺骨鑑定人に立ち会っていただく場合が多いという状況でございます。
○阿部(知)委員 ここで、委員長にお許しを得て、私自身がセブに行きましたときの収集された御遺骨と、厚生労働省がその後行かれまして焼骨前の御遺骨の写真がございますので、ちょっと委員長にお見せした上で、大臣にもごらんいただきたいです。
亡くなっていかれた方々の尊厳もございますので、皆さんに資料をお回しするというより、少し閲覧していただいて、また回収をさせていただきたいので、委員会席にも同じ手法でやらせていただきたいと思います。
一枚目は、私自身が、集められた御遺骨を拝見したもので、二枚目は、先ほど申しました厚生労働省の焼却、現地で焼却なさいますから、そのためにまきの上に載っているものでございます。いずれをごらんになっても、果たして本当に日本の方々の御遺骨であるのか。正直言うと、米兵の皆さんのものは骨格がかなり違いますので、目視的にもわかりますけれども、そのほか、現地の方であるのかというのは大変難しいというのは実情だと思います。
そこで、先ほど審議官がお話しになったように、鑑定人も御依頼になったわけですが、だがしかしというか、果たしてこの鑑定人の鑑定技術がどのようなものであろうかということで、随所で御指摘がされるようになってございます。
もちろん、日本政府として、ダタールさんという人類学の教授をお願いされているのですけれども、先ほどの審議官のお話にもありましたが、最近、日本の国内では、御遺骨について、DNA鑑定も含めてかなり法医学的に綿密に調べていくような流れもある中で、現地で非常に簡単にさっさっさっさと区分けされる現状を見ていて、これまで遺骨収集にかかわってきた方々が、余りにも簡便過ぎる、本当に鑑別する能力がおありなんだろうかと。その結果、日本人のものでないと目視で置かれて、この国に帰ってこられない御遺骨があるとするならば、非常にこれが問題であろうという指摘がなされております。
厚生労働省としては、こうした指摘についてどのように基本的にお考えであるのか、この点をお伺いいたします。
○大槻政府参考人 ただいまの御指摘でございますけれども、フィリピンにおける遺骨収集についてのお話でございます。
フィリピンにおきまして厚生労働省が最近行う遺骨収集におきましては、日本人戦没者の遺骨を日本にお帰しするというために必要な遺骨鑑定を行っているところでございます。今、教授の名前等も御指摘になったわけでございますけれども、フィリピンにおきましては、やはり現地の実情に詳しい専門家に御協力いただくことがよろしいであろうという考え方からいたしまして、在外公館を通じまして、フィリピンの国立博物館という国立の施設、権威ある施設でございますが、そこからフィリピン大学の人類学博士のフランシスコ・ダタールさんという教授を遺骨鑑定人として推薦をいただいているところでございます。
厚生労働省といたしましては、このダタール教授が現地の収集現場をごらんになりながら、考古学及び文化人類学的な見地から鑑定を行っていただいておる、このことにつきましては信頼をしているところでございます。
同教授の鑑定方法ですけれども、遺骨が発見された現場において、その埋葬状況、遺留品がどうなっているか、その地域における過去のいろいろな歴史等々を総合的に判断されまして、考古学あるいは文化人類学的な見地から遺骨の鑑定を行っておられるというふうに承知をいたしておるところでございます。
○阿部(知)委員 すごく簡単に言えば、普通の庶民の言葉で言えば、周りに薬きょうがなかったか、あるいはヘルメットが転がっていないか、いろいろなそうした現場の、遺骨が出てきたところの状況証拠と、そして後は目視だけなんですよね。
申しわけありませんが、博物館とか人類学の専門とするところは、もともと、博物館の方が立ち会うようになったのは、フィリピンから、フィリピンが考古学的に掘り出したもので何か価値あるものを日本が持って帰っては、これはいかがかということもあったんだと思います。
現段階で、先ほど審議官自身もおっしゃったように、日本の御遺族の要望も、DNA鑑定とか専ら法医学的な、例えば横田めぐみさんの御遺骨だってそうなんだと言われる、御遺骨の真偽のほどだってそうなんだと思うんです。極めて微妙で、非常にもうこれはセンシティブ条項ですよ。そういうものに、ぱっぱっぱっぱっという振り分けだけで、そして本当に考古学、博物館かなというのが多くの民間の収集された方たちの疑念なんです。
疑念は疑念として受けとめていただいて、フィリピン政府を信用しないとかではありません。日本の現状で、日本の法医学の方を派遣するということだって可能なわけです。本当にここは、そうやって一体でも多く連れ帰りたいという意思が、政治の意思があるかどうかで、私は今の対応は違ってくるんだと思います。そのままほうり出されて、違うと言われてそこに残る御遺骨の中に、もし一体でも日本のものがあったらどうしようと、私は現地で非常に胸を痛めました。
きょう大臣には、このことは私からのお願いで、ぜひこれは、メディア等でも、ダタールさん自身が自分は余り鑑定能力がないとおっしゃったというようなこともあって、今騒ぎにもなっております。でも、こういうことが騒ぎになるということは、私は、亡くなっていかれた方にも決していいことと思いませんし、それだけの年月、日本が放置した結果であります。
であるならば、今私どもが持つ最新の知見あるいは手法で、なるべく本当にお一人でも多くお帰りいただきたいと願うものですので、大臣のお考えを伺いたいと思います。
○川崎国務大臣 阿部委員が言われましたように、基本的にはフィリピン政府の協力を得ていかなければできない。また、フィリピン側から言えば、日本人以外の遺骨を持ち帰られるということについては、逆にフィリピンの方々、もしくはアメリカの方々のを持ち帰ることになりますので、そういった議論はあると思います。
しかし一方で、私どもは、あのような報道がされまして、やはり事実関係をしっかり調べて、そして外務省とも事実関係を調べた上で対処しなきゃならぬ。ああいう報道をされてから、知らないよという態度をとってはいかぬ、これはもう御指摘のとおりで、しっかり事実関係の把握に努めながら、フィリピン側とも話し合いをしていくということで進めてまいりたいと思います。
○阿部(知)委員 尾辻前厚生労働大臣の時代に、この遺骨収集をもっとスピードアップして進めないと、御遺族も亡くなられていくしということで約三千万円の情報収集費というのがついた以外は、実は、遺骨収集については予算も格段の増額がございません。そうした中で行っていることですから、やはり私は、政治の意思としてこの御遺骨を一体でも多く連れ帰るということが必要と思います。
実は、尾辻前大臣にも坂口前大臣にもお伺いしましたが、そのための時限特別立法というようなものがあってもいいのではないか。実は、昭和二十七年の委員会の決議で御遺骨のことが触れられているだけで、あとは何ら立法的な根拠はないのであります。
きょうすぐお返事がいただけるとは思いませんが、冒頭、川崎大臣が遺骨収集のことを真剣に考えてみたいとおっしゃってくださいましたので、もし立法的措置が必要なものであるならば、何せきのうも部屋に厚労省のお役人を呼んで、いや、財務省の財布がかたくてねとか言われますと、これはやはり政治の意思で挙げてやらないと、なかなか難渋なんじゃないかと私も思うものであります。
きょうは私の、もうこれは提案ですから、大臣としてぜひお考えと御検討をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○川崎国務大臣 実は、参議院の厚生労働委員会でこの御質問をいただきました。一つは、先ほど言いましたように、厚生労働省にあります遺骨の安置所にしっかりとした礼を厚生労働大臣として用いているか、こういう御質問をいただきました。もう一つは、今お話ありましたように、六十年たっていまだに帰らぬ人たちがいる。現地で取り残された遺骨を国家の責任としてしっかり国にお帰りいただくように努力すべきじゃないか、こういう御質問をいただきました。
一方で、尾辻大臣が予算づけいたしましたように、情報が少し足りなくなってきている。したがって、そのことに少しことしは力を入れようという対応をいたしておりますけれども、やはり先ほど御指摘のとおり、六十年もたってしまいましたので、全力を挙げるということはやはり明確にしながらやっていかなきゃならない。そういう意味では、私自身も尾辻前大臣と同様にこの問題をしっかりやっていかなければならない。
一方で、先ほど少しお答え申し上げたように、韓国からも同様の話が日本に来ておりまして、これに対して全力でこたえていかなきゃならないだろう。これは国際的な信義であろうと思っておりますので、岡田政務官を先頭にしながら、各省庁の政務官協力し合いながら、もう一度やり直そうということでやってもらっております。
やはり、我々の主張だけではなくて、逆に他国からのそういうことについても気遣いをしていく、そして六十年間のこの歩みというものをしっかり銘記しながらやらなきゃならぬ、このように思っております。
○阿部(知)委員 確かに大臣がおっしゃいますように、今私はフィリピンの例を挙げましたが、戦没者数が五十一万八千で、まだフィリピンは十三万三千の御帰還であり、三十八万四千九百四十が残る。しかし、それにまさるとも劣らないのが、中国の東北部等々の未帰還状況であります。そしてまた、おっしゃったように、韓国の方々が日本で亡くなられて、その御遺骨も我が国にある。こうした当然戦争の責任の問題、あるいは人道的な、その後の人としての道に反することというのは、やはり政治がきちんと正していかねばならないテーマだと思うので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
また、私がこれまで何回か遺骨収集、特に民間の皆さんがなさるものに同行させていただいて、現地の方とお話しして思いますのは、現地では、こういうふうに自分たちの骨はほうり出さないということを必ず言われます。ですから、先ほどの鑑定で、こっちがフィリピン人、こっちが日本人、私は何度も言いますが、アメリカ人の骨は大きいからわかります。こうやって分けていくときに、現地の人すらいぶかります、私たちはこんなことはしないと。遺骨を雨ざらしに置いているのは、言わないけれども、日本人だけじゃないのというふうなそぶりを私は何回も経験しています。ですから、ここはぜひ本当に。
そしてもう一つ、民間の方がやっているんですね。かつての戦友とか、あるいは御家族を亡くされた、そして若い人でも、行ってみて実際を見て、ひどい、何とかこれは、という方がやっていますから、そこから集まってくるいろいろな情報を、今の私どもの国が持つ最新の知識でおこたえして事を成り立たせていくように、くれぐれもお願いしたいと思います。
その最新の知識ということを申し上げれば、実は平成十五年度から、これも私が何回か委員会で審議をさせていただきましたが、御遺骨のDNA鑑定ということで厚生労働省としてもお取り組みであります。特に、一体性を損なわない、シベリア等々で亡くなられた方の御遺骨や、あるいは歯などがありますと、そこからDNAの採取が可能でございますので、御帰還を待っておられる御遺族とマッチングさせた上でDNA鑑定をやっていくという仕組みでございます。
しかしながら、現状で、そうやって鑑定を待っている御遺骨が一万一千七百九十六、これは厚労省の中にございます。そして、その中で、しかし鑑定に足る材料がとれるものが七千三百二十四。そして鑑定のお申し出、これは御遺族からのお申し出が一千百三十四ということで、せめてこの一千百三十四の方々の、御遺族が待っている、うちに帰ってきてほしいとお待ちである方のDNA鑑定も現在五百八十三件しか進んでおりません。
私は、鑑定の技術が、いろいろな大学でどこでできるかという問題もございますが、やはりこれを迅速に、せめても、例えば御遺族も御高齢で待っておられます、ここを迅速化する方策はどこにあるのか。
それと、もう一つ大臣にきょうお願いがございますのは、実は、御遺族が鑑定を申し出るときに、もしそうであれば、その御遺骨を最後は御自分が、御家庭に受け取るという受取人ということを署名しなければなりません。しかしながら、例えばあるところで再婚をされていたり、日本の中で、その後の人生のいろいろな変遷の中で、自分の墓には入れられないけれども、わかれば、戦地で亡くなった方の、本当にこの日本において帰ってきておさめるべきところにおさめたいというお気持ちのある御遺族もまだおられます。実際に、この受取人、自分が必ず受け取るんだという形をもう少し緩めていただくこと、そして鑑定をスピードアップすること、この二つについて、現場サイドの御答弁で冒頭結構です、お願いします。
○大槻政府参考人 戦没者遺骨のDNA鑑定についてのお尋ねでございます。
平成十一年度から十五年度までの間に遺骨収集を実施いたしました旧ソ連の埋葬地等の関係遺族のうち、千百三十四名の御遺族から申請書が出されている、その現状につきましては、先生御承知のとおり……
○岸田委員長 審議官、マイクをちょっと近づけて。
○大槻政府参考人 はい。鑑定した結果で、遺族との血縁関係が判明したものが二百十二件、否定されたものが六十件、二百七十二件の結果が出ております。平成十五年度から始めまして、十五年度は八件でございましたが、十六年度は七十一件、十七年度は百九十三件と、鑑定技術等々の向上の中で順次進展をしているところでございます。
私どもとしては、鑑定を促進するために、研究者の方々と相談をいたしまして、少しでも研究機関をふやそうということで、当初一機関でございましたけれども、今年度は九機関へと拡大に努めてきたところでございます。
また、実際に鑑定を行っておられる研究者によりましての会議を開催いたしまして、鑑定機関の分析結果について個別に検討をし、鑑定技術の向上なり鑑定の迅速化に向けた検討も行いながら進めてきておるところでございます。その結果、身元判明数も次第に増加をしているところでございます。
さらなる鑑定機関の拡大等々、努力をしてまいりたいと考えております。
○阿部(知)委員 何度も言わせていただきますが、遅いのでありますね。待っている側はもう自分の寿命との闘いになっています。どうやったらもっと迅速化できるのか、予算の問題なのか、スタッフの育成なのか、もっと真剣に厚労省としてやっていただきたい。
そして、もう一点伺いましたが、必ずしも御遺骨の受け取りを条件としないということであれば、私も鑑定して私の親族かどうか知りたいという方ももっとおありだと思います。この点についても、大臣、最後に、恐縮ですが、意識に上らせていただいて、DNA鑑定、せっかく今我が国は技術的にも進めてまいりました、それで待つ人がいる、本当に一日一日自分の命との闘いになっています、ぜひ迅速化していただきたいが、最後に御答弁お願いします。
○川崎国務大臣 戦後六十年たってまだこのような問題が起きているということについては、まことにある意味では申しわけないという思いを持たせていただいております。
今御提案いただいた件については、私ども、検討させていただいて、前向きに努力をさせていただきたい、このように思います。
○阿部(知)委員 ぜひよろしくお願いいたします。終わらせていただきます。
○岸田委員長 以上で両案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○岸田委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
まず、内閣提出、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○岸田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
〔後略〕
第164回国会 国会活動コーナーに戻る 阿部知子のホームページに戻る