第164回国会 厚生労働委員会 第29号(平成18年6月9日(金曜日))抜粋

案件:
 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 がん対策基本法案(古川元久君外四名提出、衆法第一六号)

 がん対策基本法案(鴨下一郎君外三名提出、衆法第二九号)

 職業能力開発促進法及び中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六六号)(参議院送付)

 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律案(内閣提出第六八号)(参議院送付)

 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(小宮山洋子君外五名提出、衆法第三二号)

 がん対策基本法案(古川元久君外四名提出、衆法第一六号)及びがん対策基本法案(鴨下一郎君外三名提出、衆法第二九号)の撤回許可に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件

 がん対策基本法案起草の件


議事録全文(衆議院のサイト)
ビデオ     (衆議院のサイト)


〔前略〕

岸田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党の阿部知子です。

 本日は、四月に始まりました医療制度改革論議の冒頭から、本会議質問においても、民主党の皆さんが、ぜひ、国民的関心事でもあり、また私ども一人一人も決して無縁ではないがんという、私どもの、現在、我が国において死亡原因の第一位を占める病態に関して、いわば国民的な、がんの治療について求めるもの、そのことにおいて基本法を、民主党も出され、また与党にもそうした提出を求めるという流れの中で今日まで参りました。本会議で小泉総理も、みずから与党案も示しながら審議をしたいというお考えでありましたし、成案を見て、本日、与党案を含めた提案の趣旨を伺うことになってございます。

 とりわけ、冒頭、与党案ということに関してお伺いいたしたいですが、今、国は、実は昭和五十九年度から対がん十カ年総合戦略というのを開始されて、平成十六年度からは第三次対がん十カ年総合戦略、すなわち平成二十六年までに向けて十カ年戦略の途上であります。厚労省の書かれたもの等々もお読みいたしますと、第一次、第二次の成果を踏まえて第三次にかかっているという中であります。

 その中にあって、このたび与党案が提出された、では今までの総合戦略において欠けたるものがあったのか。この点は、例えば、先ほど高橋委員の御質疑で福島提出者がお話しされましたが、患者さんの自己決定、そういう言葉は使っておられませんが、御自身で選び取っていく治療ということを重く見たというお話もございました。

 冒頭、お伺いいたします。欠けたる点はあったのか。さらにです。それから、では、大きな成果だと言われる大きな成果とは何であるのか、二点、お願いします。

福島議員 お答えいたします。

 冒頭、一言申し上げておきますと、民主党案の提案を受けて、それに対応して準備したということではなくて、私ども公明党は、昨年来、がん対策基本法をつくるべきだということを申し上げてまいりました。まず、この一点でございます。

 欠けたるところというのは、私どもも主張してまいりましたけれども、例えば放射線治療の領域、放射線治療の専門家というのは五百名しかおりません。これから、今後、高齢化がさらに進んで、がん患者がふえていく中にあって、放射線治療というものは一つの非常に大きな柱でございますけれども、それを支えるに足るだけの体制がない、こういった点も指摘をしなければいけないというふうに思っております。

 そしてまた、緩和ケアの問題。ホスピスも非常に二十年前と比べればふえたと私は思います。しかしながら、一般的な治療の現場でどこまでそうした点に配慮がされているか、こういう指摘もあるだろうと思います。

 そしてまた、先ほど高橋委員から御指摘もありましたけれども、例えば乳がんの治療にしましても、この病院に行ったら乳房を全摘されてしまう、この病院に行ったらそうではない、こうしたことも実は患者さんが選択、選択という言葉を使っておりますけれども、選択できるような環境にあるんだろうか、セカンドオピニオンの話もまだまだ入り口に入ったところだろうと思います。

 こうした点では、やらなければいけないことがたくさんある、そういう認識はあるわけでございます。

 一方で、大きく前進したということも事実だというふうに私は思っております。

 私も医師でございますが、消化器の分野におきましても、私も内視鏡をやっておりましたけれども、内視鏡自体も非常に進歩しました。最近は飲む内視鏡というようなものも開発されてきた。治療においても世界で最高の水準にあるだろうというふうに私は思います。内視鏡だけで、初期の、早期のがんであれば切り取ってしまうことができる。

 また、日本人は大変肝臓がんが多いわけでございますけれども、この領域でも世界をリードしてきたというふうに思います。血管の塞栓術から始まりまして、内科的な治療でも、最近はラジオ波で焼くというようなことも、ようやく高度先進医療から保険適用という話になってまいりました。

 こうした点を考えると大きく前進したことも事実だ、しかし一方で国民の求めるさまざまな要望というものもある。そういうことを考えると、今まで政府で十カ年戦略を繰り返してまいりましたけれども、新たにそれを基本法として、日本の構築すべきがん医療というものの基本的な方向性を示す。と同時に、計画そのものを法律で定まった計画にするということが必要だというふうに考えたわけでございます。

阿部(知)委員 細部にわたってまでるる御説明がありました。そして、私があえて伺いたかったのは、福島先生は公明党ですから、公明党がこうした考えをお持ちであったことは知っております。しかし、このたびは与党案という形での御提出ですから、その双方を踏まえてできれば御答弁もいただきたかった。

 そして、治療の均てん化とか、放射線治療の問題とか、疼痛緩和とか、あるいは早期診断における技術進歩とか、それから治療における技術進歩というものは、日本の医療総体のレベルの向上とともに今日もたらされていると私も思うのです。

 でも、今回の与党案を拝見いたしましても、実は六条に「国民の責務」ということは明記されておりますが、これは成人病と同じように生活習慣病でもあるから、例えば喫煙とか肥満とか、いろいろな因子となるものについて注意をしなさいと個人管理に帰されておりますが、日本のがん対策の中において最も欠けたるものは疫学の調査だと私は思っております。これが、国民の責務という片っ方には重い責務をかけられながら、果たして国や地方公共団体あるいは厚生労働行政の中でどのように考えられてきたか。

 恐縮ですけれども、時間の関係で具体的な質問にちょっと移らせていただきますが、これは民主党案の中にも見られる登録制度の問題でもございます。

 福島委員もよく御存じのように、今、厚生労働省は地域がん登録というものを研究班として推進してございますが、実はこのたび提出された与党案にも、このがん登録をどのようにこれまでの、地域ごとしかないわけです。それから、正直申しまして、このがん登録のことに関して最も詳しい資料と思う、厚労省も一部監修におかかわりと思いますが、がん研究振興財団のお出しになったものを見ても、我が国のがん登録の制度は国際的に見ればまだまだ問題が多いという指摘がされております。

 この点についてはどうお考えで、そして、与党としてどのようにこの法案の中に盛り込まれたのか、あるいはこれからなのか、お願いします。

福島議員 委員御指摘のように、疫学的な情報というものはがん治療を考える上において極めて大切であると私も思っております。それは、発生の状況を知るということだけではなくて、果たして我が国のがん治療がどういった水準に達しているのか、例えば五年生存率はどう変わってきたのか、こういったことを把握するということが必要だと思います。

 例えば、大阪府で行っておりますがん登録の事業は、WHOでも評価をされている非常に水準の高いものでございます。そのデータから得られることは、例えば、さまざまな医療機関で成績がどのように違うのかという具体的な信頼に足るデータもそこから得られるわけであります。今後、がんの専門的な医療機関を整備していくに当たりまして、その水準がどうかということを把握するためにはこうしたデータが私も不可欠であるというふうに思っております。

 しかしながら、与党の中で検討する過程で、日本人の意識として、自分のがんに関しての情報というのはすぐれて個人的な情報である、そうした個人的な情報が一方的に収集されるということについてさまざまな思いというものが国民の中にもあるのではないか、その点についてはより慎重な理解を求めるプロセスというのが必要ではないか、こういう御指摘があったことも事実でございます。

 そうしたことから、与党案の中では、がんの罹患率等について情報を収集する取り組みについて支援をするという形で、誤解のないような形で規定をさせていただきました。実質的には、現在行われておりますところの地域のがん登録事業というものを支援していく、現にこういう体制はあるわけでありますけれども、そういったことを意味するというふうに考えております。

 そして、アメリカのがん登録法もそうでございますけれども、基本的には、アメリカのがん登録法も、修正がん登録法ですが、州ごとの取り組みというものを評価し、そしてまた一定の水準に達したものについてきちっとこれは支援をする、こういう枠組みになっているわけであります。

 現在のがんの情報を収集することについての国民の理解ということを踏まえれば、こうした一つ一つの取り組みを支援する体制というものを今後もきちっと続けていくということが大事だと思っておりますし、その中で、全体としての制度の見直しをすべきだという御意見があれば、これはまたしっかりと受けとめて、進めていかなければいけないというふうに思っております。

阿部(知)委員 これは先ほど高橋委員と福島提出者の間でのやりとりにもございましたけれども、がんは、体内因子だけではなく環境、労働環境も含めた環境、アスベスト問題を御提示でございました。アスベストは、これから労働環境だけでなくて普通の環境の中にも出てまいります。あるいはダイオキシン等々の問題を考えたとしても、やはりきちんとした、どこに何がどのように発生し、どういう治療によってどういう転帰をもたらしていくかということは、非常にこのがんということを考える根本であると思います。

 その意味では、今提出者がおっしゃったように、各地域ごとの登録システムの精度を上げ、そのために国が何ができるかということと同時に、やはり日本という国全体として見て何が課題なのか。例えば、九州地方には白血病関連の疾患が多うございます。また、もちろん被爆に関係する、原爆等々の発症も遺伝子に変異を起こすがんでもあるわけです。そうした全体を見通すための疫学並びに登録ということについては、さらに与党としても御検討を加えていただきたい。

 同じ質問を民主党にいたしますが、実は福島提出者の選出県である大阪でも、私は神奈川ですが、一応がん登録は地域的には進んでおります。ただ、私どもの場合は川崎市が個人情報保護の観点からこれに加わっておられないということで、かなり進んではおるが、さっき提出者のおっしゃったような懸念の点もある。民主党案にあっては、このがん登録ということを重く見て御提案でございますが、個人情報保護の観点との折り合いというかすり合わせということはどのようにお考えでしょうか。

仙谷議員 大変日本においては難しい問題を今御提起いただいたというふうに思っております。

 このがん対策基本法では、八条で、とりわけ八条二項で、がん患者に係る個人情報の保護が図られるようながん登録制度の、あるいはがん情報ネットワークの構築についてはそういう制度設計がなされなければならないというふうに考えております。

 一般論としても、先ほどアメリカの州法の話、それからドイツにおいても州法で、がん登録法を個人情報の保護という観点からも、だから法律をつくらなければならないんだということで登録法をつくっておるようでありますが、もう少し一般化しますと、どうも先進国では、とりわけインターネットといいましょうか、IT化された個人情報の保護についてはいろいろな枠組みをつくっておるようであります。つまり、プライバシーコミッショナーとか、日本でいえば情報公開審査会というのがありますけれども、そのような仕組みを、個人情報保護の観点からチェックができたり差しとめができたり、そういう機関をつくっておるようでございます。

 この個人にかかわるがん情報というのは、個人がコントロールすべき極めて重要な情報だと思いますけれども、それと、これががん登録制度によって標準治療確立のための、あるいは疫学調査としての重要な資料になる、そういう公益性、公共性を持つとすれば、その折り合いといいましょうか兼ね合いというのは必ずつくし、この両立をさせることのできる制度設計というのは必ずできる。早くこれに取りかからなければ、いつまでたっても、標準治療とか、それから一般的な病気と保険制度の関係でいいますとDPCなんということを厚生労働省は言っておるわけでありますが、そんなことは絵にかいたもちというか、夢のような話でどんどん先送りされていってしまう、こういうふうに思います。早急に制度設計ができるような方向で取り組むべきだと我々は考えております。

阿部(知)委員 ぜひそのようにお進めいただきたいと思います。

 社会保険庁等々でこの間の所得情報の勝手な流用もございましたが、これから健診等々のデータもみんなオンライン化されるわけです。このがん対策のみならず、個人情報をどうきっちり守りながらデータに入力されたものを生かしていくかということはもう時代の課題でございますので、これは与党も民主党の皆さんも挙げて妙案を練っていただきたいと思います。

 次に、私は政府に、厚生労働省の方にお願いがございます。

 実は、私は小児科医で、子供と申しますと、がんということで第一に浮かぶのが白血病でございます。この法案の審議の中で、高齢化に伴ってがんが死亡率の第一位というお話はよく出てまいりますが、実は、いまだに我が国の多くの子供たちにとっても大変に痛ましい病態ということで小児がんがございます。もちろん、小児だけでなくても、白血病等々はいろいろな遺伝子の損傷で、今成人でも問題になってございますが、この白血病等々の治療においていわゆる骨髄移植ということは、我が国の患者さんたちに大きな光をもたらしたと私は思います。

 一九九一年の十二月に、こうした骨髄移植を取り扱うための骨髄移植財団というものができて、今日までドナーの登録がおよそ二十三万人、目標三十万人ですが、ドナーのプールを持っていればいるほど適合した患者さんが治療を受けやすいということで、骨髄バンクを介して既に七千例が骨髄移植を受けておられます。

 私は、実は昨年度も問題にさせていただきましたが、この骨髄財団の運営方式について、もっともっと患者還元ができるんじゃないか。すなわち、患者さんに自己負担少なく骨髄移植を受けてもらえるのではないかと思う点がございますので、特に川崎厚生労働大臣に、待ち望む患者さんのためにもちょっとお話をさせていただきたいと思います。

 私が昨年問題にいたしましたのは、十六年度の決算で、財団の中の内部留保金というのがいわゆる規定上の三〇%を上回っておって、こういう財団は補助金を受けてやっておりますから、内部にお金をため込んで、患者さんや必要な方に還元されないというのはいかがなものかというので、この留保金の適切な額ということをめぐって厚生労働省の方からも指導をしていただきました。

 そして、明けて、では大分よくなったかなと本当は思いたいのですが、ところが、皆さんのお手元の資料の三枚目をあけていただけますでしょうか。ここには骨髄移植財団の収支状況というのが十三年度から十七年度にわたって書いてございます。実は、平成十三、十四と見て十五年度、ここに国庫補助金収入というところが、それまでの二億二千万から三億八千万と増額されております。これは、坂口前厚生労働大臣の御尽力で、骨髄移植を患者さんの負担少なく受けていただくための私は一つの英断であったと思います。現状、その流れを受けて、十七年度では約四億四千二百万、補助金が入ってございます。

 そして、その下でずっと見ていただきまして、私がシャドーのようにいたしましたが、ことしの財政を見てみると、例えば十六年度と十七年度の大きな違いは、四億の補助金をいただきながら、患者負担金積立金とか情報システム更新積立金とか、みんな積立金というところにたまり込んで、結果的に見れば、一番下の次期繰り越し収支の差額は一億九千万で、実は内部留保金は三〇%を欠けるようには表面上はなってございますのですが、実にこの網をかけた部分全体で四億二千数百万という形になって、入っている補助金と同じ額だけ内部留保にされているわけでございます。

 私は、これでは、わざわざ補助金を入れて患者さんの負担を少なくしようと思ってこられた坂口大臣の意思もどこかに飛んでしまう。もちろん、何がしかの積立金はあってよろしゅうございますが、例えば、こんなに二億三千万も患者負担金の積立金をするくらいであれば、お一人の患者さんの自己負担、保険医療以外に今二十七万円ございます、これを五万円当たり軽減してさしあげても五千万円しかかかりません。内部留保金がこうした形で表面上消されても、たまり込んでは意味がないと思います。

 この点について、実務サイド並びにそれを受けて大臣の御答弁をお願いいたします。

中島政府参考人 骨髄移植財団の運営の件でございますけれども、この骨髄移植財団というものの行っております事業が、いわゆる骨髄移植についての仲立ちをするということで、そこに発生いたします諸経費の関係を処理しているということで、通常の公益法人とはやや違った特殊な事業を行っているというような面もございます。

 私どもとしても、この内部留保金につきまして、これがただただ留保をしていく、膨らましていくという趣旨で行っているものとは当然考えてございませんけれども、十七年度決算の状況や患者負担金軽減積立金の状況を見ながら、財団といたしましても、来月を目途に患者負担金のあり方について検討しているところと聞いておりまして、厚生労働省としましても、財団バンク事業の適正な運営を図る観点から、適切に指導してまいりたいと考えております。

阿部(知)委員 大臣にもぜひこれはお目通しいただきたいです。私は、こんなに何とか名目の積立金ばかり積み立てていって、投入した補助額と一緒が積み立てられるのでは、厳しい財政の中でやっている意味がございませんので、大臣に認識していただけたかどうか、御答弁をお願いいたします。

川崎国務大臣 資料を見させていただいて、患者負担金軽減積立金ということで、二億三千万ですか、積ませていただいている。これはもう少し明確なメッセージを出すべきだろうと。

 それから、要は、物事が決まるまでになかなか官僚体質というのは物事を発信できない。しかし、患者さんの気持ちを思ったときに、我々は今こういう方向で議論しているんですよということをやはりできるだけ出していくことが必要なんだろうと。

 確定的なことは今申し上げられませんけれども、できるだけメッセージを早く出させるようにさせます。

阿部(知)委員 よろしくお願いいたします。

 最後の質問に移らせていただきます。

 これは先ほど高橋委員との御質疑でも出てまいりましたが、老人保健法の中で行われていたがん検診が、健康増進法にのっとって一般財源化されました。その中で、多々案じられるものはありますが、私が特に問題にしたいのは、先ほど福島提出者もおっしゃいましたが、肝臓がんの問題であります。

 我が国はなぜか、皆さんのお手元の資料にございます一枚目を見ていただきますと、カラーを白黒にいたしましたので、ちょっとわかりづろうございますが、男性でも胃がんは減りましたが、大腸がんと肝臓がんがふえておる。女性においてはそれほど肝臓がんの動きは顕著ではなく見えても、これは下から四段目の波線でございます、やはり決して少なくない。

 次のページをおあけいただきますと、がん死亡割合の国際比較、ちょっとこれも細かくて恐縮ですが、これを見ていただきますと、我が国は、男性においても女性においても非常に肝臓がんの占める比率が他の諸国より多うございます。左側が我が国でございます。これは、福島委員が先ほどおっしゃってくださったことのそのままをデータ化したものでございます。

 この肝臓がんの発症要因というものも、例えば農薬とか有機溶剤とかいろいろなものがあるのも事実ですが、もう一方で、慢性化する炎症、すなわち肝炎、特にC型肝炎からくる肝がんというものが大きな時代的な問題になっていると思います。

 厚生労働省として、今後、がんについて検診のあり方を検討するとおっしゃっておりましたが、老人保健法が廃止され、健康増進法の中で一般財源化されて、はてさて、どのような形で、我が国に特異的に多い肝がん、特にC型肝炎との兼ね合いもございましょう、こういうものに対してどんなお取り組みをなさるのか。

 ちなみに、時間の関係で私自身の考えを申せば、もちろん地域健診の中でもきちんと肝炎ウイルスの有無はチェックされるべきですし、老人保健法では五年置きでございました、また職場健診においても、こうしたC型肝炎ウイルスの存在、見つかれば、治療に結びつき、発がんが予防される。明確なこれは進歩のあるものでございます。

 この双方についてどんなお取り組みをお考えか、最後の御答弁をお願いいたします。

中島政府参考人 肝炎対策、特に肝がんとの関係においてということでございますが、肝炎対策につきましては、厚生労働省において、これまでも、国民に対して普及啓発、研究開発、検査体制の整備など、さまざま取り組んでまいったところでございます。

 しかしながら、新たな治療法が種々開発をされるなど、肝炎診療を取り巻く状況もいろいろと変化をしてきているということから、平成十七年三月に専門家会議を開催いたしまして、さらなる推進方策について御議論いただき、昨年の八月に報告書が取りまとめられたところでございます。

 現在、この報告書に基づきまして、肝炎ウイルス検査体制の強化、診療体制の整備、治療方法の研究開発などの総合的な治療水準の向上、そして感染防止の徹底、普及啓発、相談指導の充実というようなことを柱といたします総合的な肝炎対策を行っているところでございまして、今後とも一層の推進を図ってまいりたいと考えております。

阿部(知)委員 私は、具体的に職場健診とか地域健診の項目にきっちり位置づけてくださいとお願い申し上げたので、今の中島局長の御答弁をさらに深化させていただきますことをお願い申し上げて、質問を終わります。

〔中略〕

岸田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党の阿部知子です。

 本日は、主に若い人たち、若者の働き方あるいは雇用状況について、今我が国が直面している若年者の失業率の増大、あるいは若年無業者の中でも、また求職を希望しない、職を求めない、いわゆるニートと呼ばれるような状態の若者のあり方も含めて、一体政治は何ができるのか、何をしなければいけないのかということを論議する場だと心得ております。

 思い起こせば私がまだ初当選のころに、民主党におられた水島さんという、現在はアメリカ留学中と伺っておりますが、彼女が、精神科医でもあり、イギリス等々で問題になっているこのニートという状態、就職もしていないし、何らかの教育訓練を受けているわけでもない若い人たちの存在について、英国の例を引きながら問題を喚起されたということを私も現在思い出しております。

 そして私は、この国会中に、いわゆる青少年委員会におきまして、このニートの中でもさらに引きこもりというような状態になった若者が、いわゆる宿泊訓練施設に連れていかれ、縛られ、手錠をはめられ、その中で受けた暴行によって亡くなったという事件を取り上げて、ひたすら若者をびしばし訓練すれば、あるいは、引きこもった者を引っ張り出して、そしてある精神的な訓練も含めて仕事をさせればよいのだというふうなやり方が行き過ぎれば、結局は見えないところで非常に不幸な事件を生むんだということを青少年委員会でも取り上げさせていただきました。

 事ほどさように、この若年無業者の問題は非常に幅がございます。日本ではこれを何という命名ですべきかということについても、実は私は、余り合意がない、あえて言えばフリーターという言い方で若年無業者ということをとらえさせていただきたいと思います。

 その中で、実は、平成十八年の一月に、各省庁が連合する形で若者の自立・挑戦のためのアクションプランというものの改定がなされました。川崎大臣もこの中に入っておられますのでよく御存じと思いますが、今、内閣府を初め各省庁を挙げてこの若い人たちの、次世代の就労はどうあるべきかということが考えられているという形態はとっておりますが、私自身は、やはり非常に日本の若者に対する援助なりあるいは就労に向けたさまざまなオプショナルなチャンスというものは限られておるように思っております。

 そこで冒頭お伺いいたしますが、まず、今回の直接の法律の改正にかかわります実習併用職業訓練制度と申しますのは、一体、このフリーターと言われます若年無業者のうち、どこにフォーカスを当てた政策であるのか、このことをまず冒頭、お願いいたします。

上村政府参考人 今回御議論いただいております実習併用職業訓練につきましては、基本的には新規高校卒業生を中心に考えておりまして、そういった方々が実習を併用した訓練を経ることによって、現場に入職することが促進され、そういったことを通してフリーター化の防止に資するという観点で進めようとするものでございます。

阿部(知)委員 その点に関して先ほど杉村委員からも御質疑がありましたが、恐らく今度の法律は、新たに新卒の、主に高校卒業段階で、例えば専門学校等に行きながら、一方で中小企業等々で求められる人材があれば、この方たちを半分は教育、半分は仕事という枠の中にはめていこうというものだという御説明だと承ります。

 もちろん先ほど来お話にありますように、若年無業者のプロフィールというのはさまざまでございますので、今おっしゃったように、ここで勤めて将来離職してフリーター化することを防ぐための新卒者に対する政策と限定して見た場合にもでございます、いろいろ問題が私はあるように思います。もちろん他の手だてがいいようなプロフィールをお持ちの方もおられると思いますが、新卒で、他に例えば学校、専門学校等々に行っておられる、あるいは行きながらOJTをなさるというコースを考えてみた場合に、先ほど高橋委員の御質疑にもございましたが、この方たちは、いわゆる教育期間中なのか、あるいは労働者なのかということにおいて、極めてあいまいな身分に置かれます。

 先ほどの御質疑を承っておりますと、例えばこの方たちが、労働三権あるいは社会保障における年金の問題、あるいは医療保険の問題、あるいは最も大きいのは失業保険と思いますが、こういうものを持つか持たないかということにおいてもケース・バイ・ケースであるような御答弁でありました。となると、実は、六カ月から二年間にわたって、逆に、極めて若者にとっては気持ちの不安定な状態にもなりかねません。

 後ほど申し上げますが、我が国で失業していながら失業保険を受けられない方々が、特に若い人で多くなっている現状のある中で、あえてこの身分ということにおける均等待遇やあるいは社会保障の問題をきちんと明示されない理由はおありでしょうか。

上村政府参考人 先ほども申し上げましたが、実習併用職業訓練を受ける訓練生につきましては、企業との関係では有期の雇用契約を結んで実習についてもらうわけでございまして、その面では当然のことながら労働者ということになります。

阿部(知)委員 先ほどの御答弁と多少は違いますよね。労働者であれば労災の適用とか、私が最も懸念するのは失業保険でございます。

 例えばこのコースの途中で失業したといたします。そうした場合に、この若者が失業保険を持っているかどうかは再チャレンジするときの収入の保障にもかかわってまいります。そういう点についてお考えになったことはあるのかどうか、お願いいたします。

上村政府参考人 これも先ほど高橋委員の御質問にお答えしたところでございますが、労働保険それから社会保険につきましては、それぞれ各制度の適用要件に合致するか否かによってその訓練生についての判断がされるわけでございまして、その要件に従って被保険者であるかどうかが判断されるわけでございます。

 なお、労災保険につきましては、業務災害であれば、当然のことながら対象になるということになるわけでございます。

阿部(知)委員 これまででも、その当然、当たり前のことがなされてこなかった。地域で再チャレンジプラン等々で企業に何がしかのお金を出す、その企業、当事者が例えば労災保険にちゃんと加入させているかどうかの要件チェックも、厚生労働省は残念ながらやってこられませんでした。私はあえて、そういうことがあるので、今回この件はすごく懸念をいたします。しっかりした指導、特に労災保険はもう当たり前ですが、当たり前すらちゃんとされない。

 そして、私が大きく取り上げたいのは失業保険の問題でもあります。これはまた別途、後ほどやらせていただきますが、そうした視点がないままに、こういう働く現場に、もしかして二コース、二重構造を取り入れることになるかもしれません。一方は、正規に雇用され将来を嘱望されるコース。一方は、この訓練と職場での教育を併用しながら、有期でぶつ切り細切れに働いていくようなコース。これは若者にとりましては、何が一番やる気を失うかということは、職場内の差別という問題でございます。

 私は、きのう何時間も、申しわけないけれども現場サイドの若いお役人の皆さんにも伺いましたが、差別される側に立つかどうか、わかるかどうかということが、こういう行政においては極めて重要であります。そもそも今、「「ニート」って言うな!」という本があるくらいで、やはり呼称一つにいたしましても、社会的に見れば、やる気のない人、あるいはプータロー、あるいは気持ちの持続がない等々の言い方をされがちであります。

 就職の冒頭に親御さんや御本人によく話しますとおっしゃいますが、あなたはどうもそういうコースみたいだから教育しながら実習訓練も受けなさいよというふうな形に言われれば、最初からやる気がやはりなくなります。見る見る若者は仕事の中で変わっていく、そのくらい仕事というのは本来重要な、生活の一部であり、成長の一部であると思います。

 そうした点について、二コースに分かれがちな意識と、そしてこういう雇用形態の問題点については、大臣はよく御承知おきと思いますから、この政策をとるに当たってのお覚悟のほどをお願い申し上げます。

川崎国務大臣 私は何回も申し上げていますのは、一つは、ニートとフリーターを同じ使い方をしない方がいい。フリーターという問題とニートという問題、この言葉がいいかどうかも含めて、もう少し仕分けをして考えるべきであろう。

 ニートの問題は、やはり六十四万の中で三十万を超える方々が一度も就職したことがない。また、中学から高校へ行く段階、また、高校から上を目指した途中の段階で、実は学校の途中で起きたケースの方が多うございます。そういう人たちがもう一度社会連帯の中に入ってくる、そういうきっかけをどういう形でつくって、結果として、もう一度学校へ行くか、職業という道を選ぶか、いろいろな多様な道が実はニートの皆さん方にはある。

 そして、実は、この話し合いというものはまず親子の間で行われるべきだけれども、残念ながら親が言ってもなかなか子供は聞いてくれぬ、こういう事情も出てくる。そういった中で、地域の専門家の人たちが、でき得れば御本人に語りかけたい、また、同じ活動をしたい。しかし、それが無理な場合は、親御さんだけでも出てきてくれて専門家の意見を聞いてくれ。そういう中で、みんなで協力し合って、一部引きこもりという人たちもいるでしょう、社会の中に出てきてもらう。そこで、もう一度勉強し直してもらうか、もしくは職業という道を選ぶか、こういう切り口だろうと思うのです。

 フリーターの皆さん方というのは、基本的には私は労働意欲のある方という思いでおります。どういうきっかけで、実は就職のチャンスがなかったか。先ほどから申し上げているとおり、極めて我が国が厳しい状況の中でそういうところに追い込まれてしまった人たちもいる。それから、自分が学生時代に思っていたものと社会というものに随分差がある。自分はこれを目指したかったんだけれども、社会はそういうものではなかった。したがって、そこをどうミスマッチを解消していくか。

 いろいろなことがあろうと思いますけれども、少なくともフリーターの皆さん方は意欲を持っておられる方々ですので、私どもしっかり支えながら、仕事をしていってもらいたい。これが一つです。

 それから、今の話の中でもう一つ違ってまいりましたのは、高校から就職をされる方、工業高校とか商業高校の方が多うございますけれども、この方々は高い率でそのまま職場の道に歩まれます。

 実は、普通科を選ばれる方々の方が、先ほどのニートの方にもありましたけれども、少しよそへずれてしまう。普通科の多くの方々が、実は大学へ行かれるか、もしくは専門学校。大学へ行かれる方が五十万、専門学校へ行かれる方が三十万ぐらいの数になっておりますので、この三十万という数に着目しながら、高校でそのまま就職する人と、高校からもう一段階勉強もしてみたいんだというところへ着目したのが今回の一つの制度であろう、こう思っております。

 高校で就職しようとする人は、ある意味でははっきり自分の目標がしっかりしている。実は、専門学校へ行かれる方の中で、例えば私は看護師さんになりたいという人たちは、これはかなり職業意識が高いんですけれども、高くない方々もいらっしゃいますので、そこと企業現場というものをうまく結びつけたいなというのが今回の制度でございます。

 そういった意味では、確かにいろいろな切り口があって、社内の中において、ああ、おまえは勉強しながらか、おれはもう仕事一本だ、こういういろいろな会話が出てくるんだろうと思いますけれども、そこは委員の御指摘もあり、我々しっかりウオッチしながらやってまいりたい、こう思います。

阿部(知)委員 先ほど、イギリスのこのニートという言葉の発祥の歴史、そして、政治の中でどのような政策が打たれてきたかということを多少お話し申し上げましたが、サッチャー政権の後にブレア政権が誕生したときに、いわゆる教育、教育、教育と、教育を三つ並べたのは、もちろん、初等中等教育、義務教育におけるいろいろな学力の差。そして、日本と同じように、いわば職場でそれまで訓練されていた職業訓練における長期の自分のキャリア形成における教育が、やはり企業の状況が厳しい、あるいは非正規雇用等々で寸断されていく。そういう場における教育の問題。そして三つ目は、福祉政策としての教育にあると言われております。三つ目は、いわゆる今は貧困の再生産といって、御家庭の収入の少ないおうちに、やはり、例えばニートや、あるいはホームレスになってしまう子供たちが多いという社会問題を抱えて、三つの観点からアプローチしようということでありました。

 今、大臣の御答弁にもありましたが、今回の施策はあくまでも、例えば、高校を卒業して専門学校に行こうか、そのまま就職しようか。専門学校に行った方の方が、もしかしてそのまま就職した方よりも離職する率が高いのであれば、フリーターになる、あるいは、もっと言ってニートになるのを予防するための施策であろうという位置づけでありましたが、事ほどさように、どういう対象に向けてどういう施策を打つかは非常に綿密でなければならないと思います。

 私が指摘した、例えば、現在二百万人の若年無業者のうち、大臣もおっしゃいましたように三人に一人は全く就職したことがない、あるいは、家庭の年収においても三百万円台、四百万円台の方がふえている、中卒の皆さんがふえているという形でございます。

 もちろん、中卒だろうと高卒だろうと、その子がやっていければそれで十分いいのですけれども、やはりそれなりの支援をして、働くことと自分の人生をマッチさせてほしいというのが政策でありますから、そういう観点から見ると、やはり私は、個々に、政策目標と、どういうターゲットに何をしたらどんな効果があったかは、きちんと点検していかなければいけないと思います。

 その意味で、先ほど来の御答弁を聞いて、例えば、若者自立塾、ジョブカフェ、日本版デュアルシステムのおのおのが、例えば何名の就労を生んだ。でも、例えば若者自立塾の場合は、三百十二人の卒塾を出したが、そのうち何と正規雇用に移った方は極めて少ないとかいう結果は出ております。

 結果の前に、まず、どんな方がそのコースに入られたか。入ったプロフィール、どんな人たちがそのコースに入ったかということを分析すべきと思いますが、ずっと高橋さんの御質疑とか承りながらも、ほかの委員もそうです、どんな方がそのコースを受けて、日本版デュアルシステムもそうです、どんな成果があったかということを、一切厚労省はおまとめではありませんよね。いかがでしょうか。

 私は、これはやはり政策的には評価が難しくなってしまいますから、今後は、そもそもどんな方がそのコースを受講されているのか、例えば、極端な話、学歴、御家族のもしかして年収、あるいは御本人の持っているいろいろな制約などもきちんとある程度把握した上で、最も適切なコースを準備されるべきと思いますが、いかがですか。

上村政府参考人 例えば若者自立塾でございますけれども、それぞれどういう経路で入塾するに至ったか、例えば、多くは家族、母親が多いんですが、そういった経路ですとか、状況ですとか、事情等はどうなっているかということは、それぞれの塾で十分把握し、それを踏まえた対策をとっているところでございます。

 それらをすべて詳細に集計したものが手元にはございませんけれども、それぞれのところでは、今申し上げましたようなことを踏まえてきめ細かな対策をとっているところでございます。

阿部(知)委員 それを厚労省が把握していなければ政策的評価もできないんです。

 先ほど、予算も未消化だという菊田委員の御指摘がありました。日本版デュアルシステムについても、では、どんな人が受講されてどんなふうになっているのか。やはり正直なところ、この政策は、もともと高卒あるいは大卒でどこかで仕事をされたけれども、ちょっとうまくいかなくてという方の場合と、高校を中退されて、その後の職業経験もほとんどなくてだと、違ってくると思います。それは相手を差別することではなくて、私は、その方に必要な施策のありかを有効に組み立てていくための政策努力だと思いますから、いま少しの御尽力をいただきたいと思います。

 それから、さらにもう一点。この政策についてもそうですが、例えば、いろいろな訓練校に行き、OJTで仕事をするという場合、この訓練校にかかわる費用は、今度の法案でも全部自前になっております。でも、大臣、御存じでしょうか。今、例えば専門学校に行っていらっしゃる方の中にも、奨学金を受けないと続けられないという方の数がどんどんどんどんふえております。もちろん、大学に行っている方もそうです。とすると、日本の国において、若い人が十分な職業能力を身につけるときに、もっと教育部分に公費支出をしてもしかるべきではないか。

 これは、いろいろなデータ、OECDデータなどと比べましても、若者が荒れていたフランスでは、対GDP比が多分〇・四%、それでも彼らはやはり納得しなかった政策があったわけです。日本においては〇・〇一%と、きのう伺いました。

 要するに、若者の就労に向けての財源のあり方、特に教育支援のあり方について、大臣のお考えを伺いたいと思います。

川崎国務大臣 今回のシステムでございますけれども、基本的には雇用ということでございますので、賃金を支給されるものだと考えております。賃金を支給されて、その上でこのような訓練を受ける、こうした収入を得ているということから考えますと、実際、専修学校へ、それのみに行っている人たちとのバランスということになると、当然、必ずしも不適切な状況ではないのではないかと思っております。

 しかし、一方で、例えば、企業が応援してくれるという場合もあります。もう一つは、費用を自己負担することが困難である、今委員が想定されたようなケースにつきましては、日本学生支援機構による奨学金も十分使えるということになります。

 それから、先ほど柚木議員の御質問にありました、大都会のみの専門学校になってしまうのではないかというお話がございましたけれども、各地域にあります公共職業訓練を活用する場合は、技能者育成資金の貸し付けによる支援を行うということでございますので、状況に応じながら、いろいろな支援策を考えているところでございます。

阿部(知)委員 大臣の御答弁の一点目は、企業から賃金が出ているからいいじゃないかと、簡単に言えばそういうことかと思いますが、ただ、例えば、労働時間がいろいろな社会保障の適用にもならないような短い時間という場合も想定されます。フルに働いてフルに学校に行ったら、もうこれは体がもちません。となると、果たしてここで得られる賃金というのが、その方がもう一方で、教育のための自己投資をしなきゃいけない賃金を上回って余りあるかどうかというと、生活のための賃金が今度は出てこないというふうなことになりかねません。

 私は、やはりこの段、日本は本当に大事な、未来は若者にしかないのですから、中でも、学習意欲があってそこで学びたいという方々についてのさまざまな奨学金というのは、もっともっと、角度を変えて援助していってしかるべきだと思います。

 ちなみに、昨日いただきました専修学校における第一種、第二種の奨学金の現状を見ましても、平成十四年度が、第一種が約一万二千人お受けでありますが、これが平成十六年度では二万人と、ふえております。第二種についても五万六千人から八万三千人と、専修学校に行っていても、途中で御家族の問題やさまざまな問題があって奨学金を受ける。もちろん大学に行っている子供たちの奨学金の額も、今増加しております。

 しかし、私は、最も資本投下して、すなわちお金を入れて惜しくない部分だと思いますので、大臣にあっては、前段の御答弁は、では、果たしてこれは十分な賃金なのか、親のところでパラサイトしていれば別です、賃金をもらって、そして、学費を出して、残りで生活できるのかどうかということについては、このスタートとともに、よくよく御検証をいただけますようにお願い申し上げます。

 最後の質問に移りたいと思いますが、若者の失業問題を考えます場合に、先ほど高橋委員が非常によい資料で御提示でございますが、いわゆる公的な職業訓練機関に通い、就労する率は依然として高いのに、公的機関は少なくなっているという現状がございます。公的機関が少なくなり、では、どこで、どのような形でスキルアップしていけるかといったときに、先ほど言った奨学金の問題と同時に、その人が生活をしていかなければなりませんが、失業保険のあり方は、三十歳未満だと、わずか三カ月ということになります。運よく次々仕事をかわるのでなくて、あるところに就職し、失業保険がもらえるようなところに就職して、失業したとして、三カ月、九十日でございます。

 そうすると、これが再チャレンジできない大きな要因になっている。自分が、お金がないから、その日にお金が入るような仕事しか見つけられない、つくことができない、こういう現実がございます。こうした者に対して、ヨーロッパ諸国、イギリスもそうですが、求職手当、職を求めている間の手当という別枠をもって、いわゆる失業手当とはまた異なる枠組みで、本当に求職を支援していこうという考え方もある現在でございます。

 日本の失業手当の支給のされ方、さっきのこのOJTに入っても、失業手当のない方も、これから生じるやもしれません、全体に、本当に若い人の就労を支えようと思ったら、極めて根本的見直しをしないといけないと思いますが、いかがでしょうか。

鈴木政府参考人 雇用保険の失業給付についてのお尋ねがございました。

 この失業給付、これは、今まで働いていた人は当然収入がございます、その人が、保険事故、失業によって収入がなくなった場合に補てんするという仕組みのものでございますので、それに該当しない方に手当というのは困難でございます。

 ただ、いずれにしても、そういった人、雇用保険の受給資格者だけじゃなくて、若い方が職を求めているということになりますと、先ほどから二十五万人プランとか、いろいろ施策のお話がございましたが、そういった施策については、そういった若い方も当然対象にして、その人のいろいろな状況をお聞きしながら、就職の促進に努めております。

阿部(知)委員 大臣に最後に確認の御答弁をお願いしたいですが、今、一千七百万人が非正規雇用という形になり、果たしてこの中のどのくらいの方が、失業保険が受給できるような要件をお持ちなのか。これがないと、もちろんいろいろな施策はありますが、やはり、まず生活していくことができないから、その日のお金が入るような仕事に次々流れがちにもなると私は思うのです。厚生労働行政の施策において、もちろん、雇用保険は雇用保険会計があり、それに加入された方たちでやっているという現状があるのは知ってございます。しかし、一方で、これだけ多くの若い人たちの非正規化を生んだ今日、就労のあり方を支えるいま一つの仕組みということについても、もっと鋭意、英知を絞っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

川崎国務大臣 確かに、今お話しいただいたのは私の問題意識と一緒でございまして、非正規雇用というものをもう少し分けて見なければならない。総理もよく言われるんですけれども、やはり、若者を正規雇用にしっかり導いていかなきゃならぬ。

 一方で、六十を超えて、例えばトヨタに勤めていてあと三年延長ですよと、これは雇用延長というより、再雇用システムで三年間の契約社員、これは一年ごとのようですので、これもやはり非正規雇用なんですね。しかし、六十を超えた人が今まで勤めていた会社にいて一回退職金をもらって、その場合にどうだかと言われれば、それはそれなりの形がとられているんだろうと思います。

 したがって、言われましたとおり、非正規雇用という中をしっかり分析していかなきゃならぬ。非正規雇用の中に、やはり雇用保険を初め、社会保険がしっかり適用できるような方向にしていかなければならない。

 また、再三御答弁申し上げていますとおり、非正規雇用と正規雇用がほとんど同じ仕事をしていながら、余りにも賃金等の待遇が違い過ぎるという問題についても、やはり私ども、しっかりしていかなきゃならぬと。したがって、今ちょっと分析させていますので、もう少しお時間をいただきたいと思います。

阿部(知)委員 私どもは、どんなに短時間でも、働いた方については必ず社会保障政策を企業が責任を持ってつける、それを企業の社会的責任という考え方で、年金や医療政策も提案させていただいています。今の大臣の御答弁も伺いながら、ぜひ本当に、労災保険や失業保険がない人たちはどうなるの、どうするの、どう支えるのということについて、もっともっと明確な政治のメッセージをお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

〔中略〕

岸田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党の阿部知子です。

 午前中の審議に引き続き、両案の提案者の皆さんにおいて合意がなされ新たな提出の案件ができ、この場をおかりいたしまして、厚生労働大臣初め行政にかかわります皆様に確認の答弁をさせていただきます。

 この法案の誕生の経緯と申しますものは、もともと命には色も党派もないにもかかわらず、先ほど来共産党の高橋委員が御指摘のように、少数政党には配慮を欠く運営がなされました。このことは、この法案の中身のすばらしさとは別途に、やはりもっとちゃんとしたやり方があったのではないかと私は思っております。

 しかし、その一方で、この法案の成立を待ち望む患者さんがおられるということも事実でございますので、そういう観点からは、この法案の趣旨自身には賛成をさせていただくものであります。

 以後、三点にわたって確認をさせていただきたいと思います。

 午前中の審議でも申し上げましたが、厚生労働省並びに政府にあっては、昭和五十六年、がんが我が国の死亡者統計の一位になりましたときから、三次にわたる計画、十カ年計画、新十カ年計画、そして現在、第三次対がん十カ年総合戦略ということで取り組みを進めておられます。

 その第三次がちょうど平成十六年度から始まってございますが、この第三次の計画の中でも、例えば推進体制においては、企画運営会議を設けるというふうなことも書かれております。今般できてまいります新たな協議会とこの企画運営会議との整合性はどのように図られるのか、この点について大臣にお願いいたします。

川崎国務大臣 法案の内容を私、よく承知しておりませんので、今やっていることを申し上げますと、基本的に、まず私どもは、経産省、文科省と私どもによります三省のがん対策に対する連絡会議がございます。それがある意味では内閣の中に位置づけられた組織でございます。

 一方で、昨年、尾辻さんが先頭になっておつくりいただいた、大臣を中心とした推進体制というものが厚生省の中にあるということが今日までの体制でございますけれども、新しい体制ができ上がりましたときに、一つは、先ほどからお話がございましたように、がん患者等の方々が参加して、我々、その意見を聞きながら最終的にまとめていくというステップになるのであろう。それから、多分、先ほど私が申し上げた、経産省、文科省との連携、これを法律的に位置づけたという解釈を私どもはいたしております。多分総務省等も入ってくるんだろう、このように考えております。

阿部(知)委員 私がお伺いしたかったのは、今度、推進協議会は、厚生労働省の審議会の一つとして、例えば中医協、社会保険審査会とか、あるいは中央最低賃金審議会とかと並ぶ一つの大きな審査会、協議会として発足するわけです。それはそれで大変に前向きですし、患者さんの声もそこに反映されるということで、こうした案を御提案くださった皆さんの英知は非常に私は前向きに評価するものでありますが、一方で、これまでの体制というものとどう絡み合わせていくのか。やはり幾つものヘッドクオーターがございますと、物事がなかなか推進していかなくなる場合もございます。その辺のかじ取りは厚生労働大臣が鋭意御尽力いただきますことを一点お願い申し上げたいと思います。

 二点目は、今大臣の御答弁にもございましたが、これまでの十カ年計画等々でございましたならば、既に経産省、昔は科学技術庁と申しました、そして文科省、厚生労働省、あるいは他の省庁も含めての内閣を挙げての取り組みということも考えられておりました。

 ちなみに、例えば予算面で申しますと、今、厚生労働省関係のがん対策予算が百四十一億で、文科省関係の予算が百二十九億、合わせて、総計、三次十カ年計画では二百七十億という予算が計上されております。

 私は、今後さらに、先ほど山井委員の御質疑の中にも、どのくらいの予算が今後このがん対策についていくのかという観点からも、あるいは、他の省庁と挙げた取り組みをしていくためにも、それなりの論議の場というか受け皿と申しますか、考え方を詰める場が必要と思いますが、それはどのような形でなされるのでしょうか。大臣に御答弁をお願いいたします。

川崎国務大臣 予算の実額については、きょう法律を取りまとめていただいたところでございますので、正直言って全く見当がついておりません。

 それから、経産省でも科学技術関係予算ということで研究費が入っておると思いますので、三省の予算を合わせながら、もちろん総務省の交付税もあるわけですから、もう少し膨らみは、実は地方を足しますと大きいんだろうと思いますけれども、それを合わせながら、そういう数字もしっかり掌握しながらやっていかなきゃならないな、このように思っております。

阿部(知)委員 この点についても、ぜひ厚生労働大臣のリーダーシップ並びに内閣挙げてのお取り組みをお願いしたいと思います。

 ちなみに、私がこれまでいただきました文科省と厚生労働省の予算等々の内容の中にも、最も問題になります医師の育成、これから放射線治療にしろ疼痛緩和治療にしろ、もっと言えば、これから外科医が少なくなっている等々の基本的な医療構造の問題にしろ、何せこれからの世代が、がんを避けたり、当直やきつい勤務は嫌という声が上がっている中でございますが、果たして医師の教育ということにおいてはどんな計画をお持ちで、どんな予算立てをお考えであるのか。少なくともそのくらいはお考えを披瀝していただかないと、医療を支えるのは人でございます、医師でございます。器はできても中で支える人が育ってこなければ、実際には患者さんたちに納得のできるいい医療は提供できません。

 これは医療制度改革論議のさなかにも最も問題になりましたことでありますので、本日のこのがん対策基本法の新たな成立を見るに当たって、大臣としてのお考えをお願いいたします。

川崎国務大臣 これは、正直言って、今回初めて、先ほども冨岡委員の中で議論がございましたけれども、がんセンターを拠点としながら、各地域の拠点病院をつくっていく、県のシステムをつくり上げていく、その中核はやはり大学病院に入っていただきたい、こういうシステムをつくっているわけですけれども、現実は、余り大学病院の参加もいただいてまいりませんでした、去年まで。ことしは文科省から通達を出してもらいまして、各県の拠点というものに、まず中核的に入ってもらうということから今整備を進めているところでございます。

 そういう意味では、各県が大学病院を中心としながら、病院関係者としっかりとしたネットワークを組んでいく、その情報というものの掌握は、がんセンターが行う。場合によっては研修等もそういう形でやっていくという中で、まず進めることになるだろうと思います。

 しかし、その他の問題で、文科省とまだまだこれから実は話し合いを始めなきゃならない問題が極めて多うございます。正直申し上げて、まだしっかりとした道のりができ上がったわけではございません。しかし、法案でも示されているとおり、それを大きな問題意識としてやっていかなきゃならないと思っております。

阿部(知)委員 一人のいい臨床医を育てるにも、指導医にかかわる給与、あるいはさまざまな教育にかかわる経費というものは、これは非常に重要なファクターでございますから、また鋭意お取り組みをお願いしたい。

 そして、最後に、私は、このたび民主党の仙谷委員あるいは亡くなられた今井先生、そして今御尽力中の山本孝史先生などの、本当に命をかけてのこの取り組みを高く評価するものですが、また同時に、同じ働く仲間からがんが出るということ、それは私自身も含めて可能性のあることです。そうした場合に、こういう、この場にいる者の、議員の健診はさておき、ここでお働きの職員の皆さんの健診がどうであるかということも、ちょっとちなみに手元にデータを取り寄せてみました。受診率ももちろん低く、正直申しまして健診の内容についてもまだまだ問題があるかなと思います。

 私どもの院の仕事を支えてくれる大事な職員ですから、ぜひこの点も大臣が先頭になって、ここの、私どもを支えてくださる仲間の健康をきっちりと守っていただけますようにお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

岸田委員長 以上で発言は終わりました。

 お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております草案をがん対策基本法案の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

岸田委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岸田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十三日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二分散会

〔後略〕


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