第164回国会 厚生労働委員会 第4号(平成18年2月24日(金曜日)) 抜粋 案件:
政府参考人出頭要求に関する件
厚生労働関係の基本施策に関する件
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〔前略〕
○岸田委員長 次に、阿部知子君。
○阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
本日は、各委員の皆さん、長時間の御審議、御苦労さまでございます。
また、川崎厚生労働大臣には、本日、初めて大臣としての所信を受けて私が質疑をさせていただきますので、冒頭ですので、やはり一番国民の期待も高く関心も高い厚生労働分野で、これまで私が御質疑申し上げた二人の大臣、坂口前大臣あるいは尾辻前大臣、今、国は決して豊かにお金をふんだんに使えるという時代ではない中で、しかし、誠心誠意、その方の人格そのもので厚生労働行政に取り組んでいただき、この質疑を生かしていただいたと思っておりますので、きょうはそうした観点から、川崎新厚生労働大臣に期待し、また大臣らしい、お人柄の出る、いい厚生労働行政を行っていただきたいと願って、一問目の質問に入らせていただきます。
実は、私と川崎大臣とは、大臣がお気づきであるかどうかわかりませんが、全く同年代、世で言う団塊の世代でございます。
私は、先ほど山井委員の大臣に対する御質疑、特に小児医療のことを伺いながら、今、私たち団塊世代が小児科からリタイアいたしますと、本当に深刻な二〇〇七年問題が生じます。このことをまず大臣に冒頭認識していただきたいなと思いながら、私はきょうの御答弁、ちょっと納得しがたいのです。
と申しますのは、実はこの私も、昨日、夜八時から十一時まで、小児の夜間救急をやってまいりました。国会議員をやりながらやっている。半分は自分が子供の医療をライフワークとしているからでもありますが、半分は現実に小児科医が足りません。その両方の中で、しかし、私はもともと議員になりたいと思った最も根幹は、子供の問題、わけても小児医療の問題ですので、きょう山井委員がお取り上げくださったこと、本当にこうやってまとまった資料と綿密な討議で、ありがたいと思いました。
しかし、その中での大臣の御答弁は、例えば、小児科医が減っておる、志望者が四割減だというのは、これは大学病院の話じゃないかという御答弁でした。しかし、大臣、ここはよくお考えいただきたい。大学病院よりも市中病院の方がもっと状況はシビアなのです。小児科医が二人か三人でやっているところが大半で、大学であればまだ年代の世代のプールがあったとしても、市中病院は、私の世代も含めて、本当にもうぎりぎりの当直をしております。
今、本当に医学教育の中でも、どうやって小児科医、産婦人科医を育てて、地域に定着してもらうか、その連携も必要ですし、まず何よりも、山井委員がおっしゃったように、実態が把握されておりません。きょう、山井委員の御提示の資料の二枚目、人の資料を使って恐縮ですが、病院の小児科が二二%減だと。まさにこのような状態でございます。大学病院だけでなく、市中病院も次々と小児科病棟を閉鎖しております。実は、これは一九九〇年代に入ってからの、私自身も勤めていて本当にせつなく思いながらやってきた分野です。
大臣は、本当に今迅速に、少子化どころか、もう少子そのものです。少子化が進んでいるといっても本当に深刻です。この新聞の左の端には、川崎市で子供が五カ所救急病院をたらい回しになり亡くなっていっています。私は、先ほどの、小児科医が減だ、あるいは病棟が閉鎖されている、このことに、本当に今大臣が早急に実態を把握されて、解決策に一歩なりとも手を打っていただきたい。
ただし、その場合の解決策とは、例えば、そこで労働基準法以外の宿直というのがございます。労働基準法が外されています。これをやらせているからその病院を指導するというだけでは、事が足りません。そこまでやらないと小児科がもたないから、私たちは来る日も来る日も働き、ある人は討ち死にし、うつ病になり、あるいは戦線を離れていきます。
私は、チェックのためのチェックだったら何の意味もない。本当に持続可能な子供たちを支える体制のために大臣に頑張っていただきたいですが、まず、御決意のほどを一点お願いします。
○川崎国務大臣 先ほどから、仙谷さん、また山井さんとの議論の中で、正確なデータで話をしましょうと言っているわけです。したがって、小児科医の数については一万四千六百七十七名、この十年間で千三百三十一名ふえましたと申し上げたんです。一方で、新聞でお示しになったのは、大学の医局へ残る人が減ってきている、これは研修医制度全体の議論をしていかなきゃならぬ話でしょう。しかし、現実はそうです。大学の医局の話と、全体の小児科の数という問題は別だ。
しかし一方で、小児科の救急という問題になると、委員が御指摘のとおりでございます。ではどうなんだ。簡単に言えば、開業をされる人が多くて、残念ながら救急の小児科というものに仕事をしてくれる人が少ない、これをどうやって解決するかという議論を皆さん方としっかりしていかなきゃなりませんね。そういう意味では、急性期の医療というものをしっかりしていく位置づけをしなきゃならぬ。それから、県としっかり話し合いをしながら、実は私の地域もそれがありまして、一年間もめたんです。
実は、大学の方からの提案は、各市に一つ一つそれを持たれたのではとてもできない、したがって集約してやってくれないかという御提案がありました。しかし、現実問題として、市長さんの立場からいうと、我が市に小児科の救急がない、これでは立たないということで、大阪の方からも人員を頼んで、どうにか両市が今持っておる状況にあります。しかし、現実的には、できるだけ小児科医療というものを、いい救急医療を仕上げようとしたら、三重大学から御提案されたように、両市が合体した中できちっとつくった方がいいことは事実だ、したがって、こうしたものを踏まえながら、よく議論をしながらやっていこうと。
私、小児科の実態が足りているという感じでは、委員が御指摘のように、思っておりません。ただ、数字の事実だけ申し上げたということでございます。
○阿部(知)委員 そういう実態の中では、とりわけ小児科のベッドがないんです、入院できるベッドが。これが非常に深刻で、厚生労働省に何回も何回も伺いましたが、数は把握できないと。もちろん、あるときは大人用に使い、あるときは子供用に使いしている実態もあると思います。ただしかし、その地域に確保されているベッドがなければ、五カ所たらい回し、亡くなるとなっていきますから、ぜひそこも含めて大臣には御尽力いただきたい。
そして、そうしたハードの分野だけでなくて、小児科医にとってもう一つのプレッシャーは、ソフトの分野でも存在すると私は思います。
実は、小児科医はすごくやりがいがあるし、子供たちの回復する力の大きさ、すばらしさにも感動できるし、本当に感動したという分野です。でも、一方で、きょう私が質疑の一番目に取り上げたい、例えば日本における三種混合ワクチン、これは、ワクチン禍、ワクチン被害の中でも物すごく小児科医の心のトラウマになったものでございます。
皆さん、余りお小さいお子さんがいないからおわかりじゃないかと思いますが、三種混合というのは、はしかと風疹とおたふくの予防接種を三つ込み込みで一回にやったら一回で済むじゃないか、子供もいいし、痛くないしということで、一九八九年に始まりました。
私たち小児科医は、大体、新しい薬が出たりワクチンが来ると、その説明書を見ます。そこには大したことは書かれていません、本当に、正直言うと。だから、使うときも、それは、自分でまあその程度の情報で突っ込んでいかざるを得ない。そして、ワクチンというのは元気な子に打つので、そのワクチンの安全性が、このMMRという三種混合で問題になったようにがたがたになると、親との関係も含めて、自分が子供に重い障害を生ませてしまったという医師としての立ち直れない本当に大きな傷を負います。
私は、この一枚目に「日本のMMRワクチン「人災」から何を学ぶか?」、人災とあえてさせていただきました。予防接種被害にもいろいろありますが、近年のものとしてはこのMMRが最も顕著です。
一九八九年、日本で開始され、二カ月もしないうちから、打っている小児科医自身が、何かこのワクチンを打つと、髄膜炎といって脳の中にウイルスが入って、子供がけいれんしたり、吐いたりすることが多いぞと多くの小児科医が思いました。おかしいなおかしいなと、打って二カ月としないうちから感覚がありました。
しかし、そうした小児科医の実感はどこにも実はまとまって拾い上げられることなく約半年が経過し、余りに多い髄膜炎の発生に、やはりこれは問題があろうかということで、厚生労働省の方でも、実は一九九一年までかかるのですが、MMRワクチンの何が問題なのかの検索に入ります。
そして、中のワクチンの一種類を変えたのがやっと九一年なのですが、何と、この間に千七百人を超える髄膜炎。子供の髄膜炎というのは、親にしてみれば死んでしまうかと思うような病気です。しかし、幸いに回復をされた方もいますし、いわゆる予防接種被害として認定された方は千四十人でございました。このうち、死亡例が三例ございます。
一枚めくっていただきますと、いつの時点でだれがどんなことになったかという重症例の一覧表がございます。これは、三種混合の接種によって生じた被害者を救済する会というのが親御さんたちの自発的な取り組みででき上がり、その後、被害認定や、認定されない方の場合は訴訟、訴えて、今度の四月二十日にも大阪で判決が出るケースもございますが、それも含めて重症例をここに挙げてございます。
八九年の五月九日の接種例は、五月十六日に突然死。あるいは、上から四段目の八九年の十月二十五日は、この人は髄膜炎で死亡。九一年の三月十五日は、子供の独特な脳症であるライ症候群になり、死亡。この右の端の欄に二重丸がついているのは、いずれも予防接種による被害と認定されて、いろいろな一時金や、あるいは障害が残って障害年金を受けた方ですが、しかし、断トツにMMRという予防接種は被害が多かったものであります。
今厚生労働省は、この三種からおたふくを抜いて、二種でもう一回やってみようかという方針を決められています。既に多くの小児科医の中から不安や、小児科学会の会長みずから懸念や、いろいろな意見を寄せました。しかし、強行されようとしています。
まず、大臣に伺います。このMMRという、厚生労働省にとっても大きな問題だったと思います、この件について、今厚生労働省はどのような総括の視点をお持ちなのか。一点目です。
○川崎国務大臣 まず、MMRワクチンの接種により千人以上の健康被害が生じたことは重く受けとめており、今後とも安全な予防接種行政に努めてまいりたいと考えております。
ただ、この案件が今大阪高裁で裁判中、もう御承知のとおりでございます。細かい内容については、この段階では差し控えさせていただきたいと思います。
○阿部(知)委員 私は、予防接種行政がそのようなものであるなら、次のステップは待つべきだと思います、今大臣がおっしゃったような見解であるならば。
これは、ワクチン自身の性能も問題でした。副作用、副反応が起きたときの報告体制も問題でした。その後の認定にも時間がかかりました。救済に至るまで、今も裁判が続いています。
何度も申しますが、健康な子にウイルスを入れるわけです。万全でなければ、でも、それはないことかもしれない。でも、私たち小児科医は、子供を守りたいその一心で、どんなにハードなワークでも、長時間労働でも、みんなやっています。それが自分自身の誇りだからです。
しかし、このたびの二種混合の新たな採用は、開いていただけると三ページ目、資料がございます。
実は、こうした三種混合とか二種混合という、はしか、風疹、おたふくを一緒にやったら楽じゃないかという方式で、一回接種して、そして何年かたってもう一回接種するという方式は、アメリカやヨーロッパでもなされています。ただ、日本ほどのワクチン被害は生んでおりません。何らかの日本のワクチン行政の問題であったと思いますが、それを今横に置いたとしても、今回厚生労働省がなさろうとしていることで最も小児科医が懸念し、そして、きょう、ぜひとも大臣に見ていただきたいのは、上にございます枠は外国の使っているワクチンです。風疹、おたふく、そして麻疹、はしかのことです。
ここにワクチンのウイルスの単位が書いてあります。十の三乗のTCID五〇、これはウイルスの力、力価と申します。下の段に今度日本で使われるウイルスの力価が小さい字で書いてございますが、これが五千PFUあるいは五千FFU。この単位はおのおのほぼ同等。確かに、少しの国による違いはありますが、通常で比較しますと、日本では五倍のウイルス力価のものを使うことになります。
これは現在も使われておりますので、このこと自体をどうこう直には申しませんが、しかし、今度、今までは別々に打っていたものを合わせて打って、今度の接種ではこの新しい、新発売のウイルスしか使用できなくなります。今までの長い歴史の中で、MMRの三つがだめなときは、また単品に使用を戻すことができました。今度は、厚生省御推奨の葵の御印籠つきのものはたった一種類で、今まで使っていた二種類は使えません、単品は。
小児科医たちは、みんな、今までの長い年月の中で、経験で安全性を持って使ってきたものを併用できる道はないかと願っています。それが、先ほど山井さんもお取り上げになった小児科学会の会長の衛藤さんの、十七年六月二十六日の厚生労働省の結核感染課長の牛尾さんあての要望です。概して小児科医というのは穏やかですから、私自身はどうかはわかりませんが、小児科医はめったに強いことは言いませんが、ここの文章の中に、今回の措置は「「子どもに対して優しい」感染予防対策と言えるものでは到底ありません。」小児科医がこれだけの言葉を述べるというのは、物すごく決意が要ります。勇気が要ります。
子供にとって優しい予防接種行政じゃないと言われている今回の判断、厚生省がお墨つきを出して、でも、これは新しいワクチンだから、実はやってみなければ副反応はわかりません。またMMRの、この前みたいなことがあるかもしれません。そして、臨床現場で子供を守っている小児科医は、今までのものも使いたい、安全性が長い年月の中で確立したからと、望んでいます。
これは現場サイドで結構です。大臣には問題の所在を認識していただきたい。
私たちは、臨床というその場から学び、子供たちを守るべく、ワクチンの安全性を何例も何例も何例も何例も積み重ねた結果の使用をしてございます。なぜ、あえてこれだけ要望が強い要望を切り捨てて、今回の厚生省御推奨の、まだ副作用も未知数の、たかだか三百例か二百例でやった治療経験に基づくワクチンだけを採用されるのか。その根拠を教えてください。
○中島政府参考人 ただいまの御質問でございますが、まずMR混合ワクチン、二種混合のワクチンにつきましては、現在使用されております麻疹ワクチン、そして風疹ワクチン、これらを混合したものでございますが、その臨床試験におきましては、これら両ワクチンを混合することによる副反応が、頻度がふえるとか、あるいはその程度が増強するといったような所見は認められないという結果が示されているところでございます。
定期の予防接種によります副反応に対する監視体制につきましては、平成六年、予防接種後の健康状況調査及び予防接種後の副反応報告が行われておりまして、これをいかに改善していくかということなどについては、現在検討を進めているような状況もございます。
また、こういった状況のもとでございますが、今回、麻疹及び風疹の対策の強化という観点から、この二回接種という仕組みを導入することになりまして、これに当たりましては、行政が勧奨接種を行います予防接種の接種液として、今お話にありますMR混合ワクチン、二種の混合ワクチンを採用することとしたわけですが、その理由としては、一つは、MR混合ワクチンを使用することによりまして、麻疹及び風疹の両方のワクチンの接種率の向上が図れるということ、それからまた被接種者の利便性、接種費用の軽減などの観点からも有用であるということが専門家からも指摘をされたというようなことを考慮したものでございます。
以上でございます。
○阿部(知)委員 実は、今おっしゃったようなことはMMRのときも言っていたんです。三つを一遍にやったら楽だろう、利便性がある、安全性も確認されたと。
でも、ワクチンというのは、やってみないとわからないのです。だから、現在まで歴史を持って使われているものも、おのおの単品で風疹とはしかとあるんだから、使ったらどうですかと小児科医は言っているんです。そして、安全性が確認されたと何度も言いますが、たかが二百人とか三百人で試験をしているんです。これが、一回予防接種としてお墨つきで使われるときは百万人単位に広がるんです。非常にリスクが高いんです。
そして、大臣、最後の一点、お願いします。
私は、きょう、資料の中に「予防接種による健康被害に対する救済制度の比較表」というのを出しました。先ほど言った、一級の障害、二級の障害、死亡されたときに、今度は厚生省が新発売したMRワクチンしか予防接種法による救済には乗らず、現状で私どもが日々使っているはしかや風疹のこれまでの長い経過のあるものについては、これは独立行政法人の医薬品の機構法の方で救済される。
しかし、救済の額も違う。本当にすごく差があります。死亡時一時金は、予防接種法であれば四千三百万円、これまで私たちが使っていた方は、これからは任意の接種、自分でお金を出す、あるいは地方自治体はお金を出すかもしれない。しかし、一たん事が起こったら、この救済機構には乗らなくなります。扱いの面においても差別だし、何よりも、親が選べません。
親たちは今までの安全性の確立されたものを使いたいんです。今まで三百人にやって、これから急に百万人に、あなたが人体実験だと言われているような形のワクチンは、本来であれば、親が選んでしかるべきです。親がみずから、二回よりは一回がいい、だけれどもこれはまだ実績は三百人だよ、それでも今までの二つをまぜたものだからね、二回痛いより一回がいいかなと私たちは話して、親に勧めることになります。でも、今は、それは選ぶんじゃなくて、もうこれっきゃない路線になりました。
何度も申します。小児科医は、この子供に優しくない予防接種行政の急激な変化、改変を望んでいません。実は、予防接種行政は、去年、ツベルクリンのBCGの接種の問題でも、一方的に厚生労働省が変えました。小児科医は六カ月以降も希望者にはやれるように道を残してとお願いしました。大事な子供を守る、私たちは何よりも安全性と親の意見を聞いた選択のもとにやりたい。
私はきょう、大臣にこの問題を初めて、大臣にしてみれば、現場に任せておられることだと思います。しかし、親と子を守る小児科医にとっては、ワクチンという問題ほどストレスフルで安全性を担保されねばいけない問題はないのです。
もう一度、まだ四月までは日時がございます、問題の所在を検討していただけまいか、御答弁をお願いします。
○川崎国務大臣 医師であり政治家である阿部委員の説得力ある御質問をいただきました。
正直申し上げて、大変迫力がありますので、そうかなと思うと同時に、行政側の判断もございました。私も、専門家の意見を違う立場から聞いてみたい、こう思います。
○阿部(知)委員 よろしく御検討をお願いいたします。
残余はまた後ほどお願いします。
○岸田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
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