第164回国会 青少年問題に関する特別委員会 第5号(平成18年6月1日(木曜日))抜粋

案件:

 政府参考人出頭要求に関する件

 青少年問題に関する件

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〔前略〕

近藤委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党の阿部知子です。

 本委員会では初めてお時間をちょうだいいたしまして、質問をさせていただきます。

 私は、実は小児科の医師でもありまして、特に思春期の子供たちを診療いたします思春期外来というのをこの二十五年間ほど、自分自身もかかわってやってまいっております。

 その中で、せんだって、四月のたしか十八日だと思いますが、名古屋で、NPO法人で引きこもりの若者を宿泊させて矯正させるという施設の中で、二十六歳の青年が手錠等をはめられ、あるいは体に暴行を受けた傷があって亡くなるという事案が報道されております。

 山口副大臣にあっては、まずこの事件、どのようにお受けとめであるか、冒頭お願いいたします。

山口副大臣 私も同年代の息子を持つ者として大変遺憾に思うわけでありますけれども、引きこもりの若者支援というのは、青少年の育成上、大変重要な課題であります。政府においても対策を進めているところでございますけれども、NPO法人を含め、今、さまざまな民間団体においても、このような若者のいい意味の支援を行っていることは委員も承知だと思います。

 しかし、今回の事件については、報道でもなされておりますが、入寮者を不当に拘束、監禁した結果死亡に至ったと聞いておりまして、本当に大変痛ましい遺憾な事件であり、もう親の気持ちを思うと、何ともやりきれないという気持ちが率直な気持ちでございます。

阿部(知)委員 この亡くなっていかれた二十六歳の青年も、今副大臣がおっしゃったように、親御さんのお気持ちも本当にはかり知れないものがあると思いますが、一方で、この引きこもりと総称される問題の深刻さについて、これまで、我が国の政策的な対応の中でどこまで支援の手が差し伸べられてきたか。親も孤立し、また当事者、引きこもっている青年たちは、自分の最後の居場所である家に引きこもっているわけですが、今度はそこにも場が与えられず、無理やり連れていかれて結果的に亡くなってしまった。幾重にも問題が深いかと思います。

 実は、さかのぼって一九八〇年から八二年に運営されておりました戸塚ヨットスクールというところでも、預かっておられる少年の死がございましたし、その後、一九九一年、風の子学園という同じような宿泊型の施設で預かっておる子供さんが亡くなられたという青少年の事案がございました。

 副大臣もおっしゃったように、NPO法人という形で、これは市民活動を非常に活性化させるための手段ではありますが、逆に宿泊型の、すべて外から見えないところで全生活を預かるようなものも、もちろんNPO法人として運営されているという事実が一方でございます。

 副大臣は残念だとおっしゃいましたが、今後、とりわけこういう宿泊型の青少年を預かる、特にこれは十八歳以上だとどこにも実は今窓口が、どういう問題が起きても窓口がないのですね。最終的に警察が介入して、暴行事件、殺人事件として裁くという、でも、それはもうそういう事件が起きた後しか、事後処理しかなされませんのですが、こういう事態に対して、全体をリードされる内閣府として、今後何らかのお取り組みのお考えがおありかどうか、お願いいたします。

山口副大臣 今、民間の宿泊者のある意味では人権というふうに考えるわけでありますけれども、引きこもりの若者支援は、青少年育成上の大変重要な課題でありまして、政府におきましても、青少年の社会的自立の支援を青少年育成施策大綱の重点課題の第一に掲げ、また引きこもりへの対策を盛り込むなど、取り組みを進めているところでございます。

 そして、この問題に対しましては、例えば、厚生労働省において各都道府県の保健所や精神保健福祉センターにおける相談事業や、思春期精神保健の専門家の養成のための研修会を実施するなど、関係省庁において取り組みを進めているところでございます。

 また、引きこもりの若者の支援につきましては、これまでも、若者の自立を支援する団体が活動を行い、子供の引きこもり、悩み苦しむ親御さんの駆け込み寺的な存在として機能してきたと承知をしております。

 こういった施設においては、各種法令に照らしまして適切な対応が行われなければならないことは当然のことだ。そして、引きこもり等への対策は大変難しい課題でありますけれども、これらの若者一人一人に応じた適切なケアが行われるよう、引き続き施策の充実を図り、関係省庁で全力で取り組んでまいりたいと思っております。

阿部(知)委員 二つの御答弁があったと思います。

 厚生労働省にかかわります部分は別途、後ほど聞かせていただきますが、その後段の、例えば人権侵害が起こらないように、あるいは、場合によっては殺人等々にならないようにという意味での適切な行政的な管理監督というものが果たしてどういう形で行われ得るのか。

 実は、こういう宿泊型、子供さんを預かって日々の生活をやっているような施設が全国で一体幾つあるのか、その実態がどうであるのかということもつまびらかではないわけです。私は、昨日、この問題を質疑するに当たって、内閣府や厚労省にも担当、来ていただきまして、しかし、こうやって宿泊型で特に外から見えづらいような実情について、どのように対応、対処していくべきかということのお答えを求めたのですが、はっきり言えば、うちでもない、そっちでもない、こっちでもないということで、たらい回し状態でありました。

 私は、先ほどこれまでの事案も含めて述べましたけれども、今副大臣の御決意のほども伺いましたので、これはぜひ内閣府として音頭をとって、例えば児童虐待の場合であれば、先ほど馳文科の副大臣がおっしゃいましたが、警察の介入、文部省、大体こういう引きこもり施設に、宿泊型に行く以前の子供たちは不登校ですから、文科省もかかわってまいります。それから、保健所行政の厚労省もかかわってまいります。総体を挙げた省庁横断的な取り組みを、特に宿泊施設の人権というところにフォーカスを当ててお願いしたい、そのリーダーシップをとっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

山口副大臣 委員のおっしゃるとおりです。私も、本当に近所で、私の町内会でもそういうのを現実に見ておりますので、関係省庁、本当に連携をとりながら前向きにしっかりやっていきたいと思っております。猪口大臣にもきちっと伝えます。

阿部(知)委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。そして、二度とこうした若者の未来を奪うことがないような行政をお願いしたいと思います。

 引き続いて厚生労働省にお願い申し上げます。

 厚生労働省の方でも、この引きこもりということについては全く問題意識がなかったというよりも、実は、こんな分厚い、引きこもりのための地域精神保健活動のガイドラインなるものも手元にいただきまして、これが、二〇〇一年に多分最初のものが出されて、地域保健センター等あるいは保健所の窓口等々への親御さんの相談、あるいは引きこもっている本人のメンタルヘルスケアも含めての相談を業務としてやってこられたと思います。

 これまでのお取り組み、そして今後の課題についてどのようにお考えか、お願い申し上げます。

中谷政府参考人 今までの取り組み、それから今後の状況でございますけれども、今までこのようなガイドライン、これは研究班がつくりまして、やはり行政を中心としましてまず御理解をいただこうということでお配りをしているところでございます。

 また、あわせまして、特に相談窓口の充実、これは大切でございますので、全国にございます精神保健福祉センター、保健所などで相談窓口をつくってございます。

 その実数でありますけれども、平成十六年のデータで言いますと、精神保健福祉センターでは二万二千二百七十六件、これの思春期の相談を受けておるところでございますけれども、今まで引きこもりの相談というので別枠にしていないわけでございますので、平成十七年度からは統計も別枠といいますか、しっかりとりまして、今後とも対策の充実に努めてまいりたいと思っております。

阿部(知)委員 ちょうだいいたしました資料は平成十四年度の統計が出ておりまして、そこには、今おっしゃった精神保健福祉センター以外、保健所も窓口になって一応は出ておるのですが、各保険所、年間で一、二件なんですね。正直申しまして、精神保健福祉センターまではやはりハードルが高いのです。御家族にとって、精神保健福祉センターに行ってみようというふうになかなか思えないんですね。身近な保健所というところでとりあえずワンクッションでも窓口があれば、実は多くの親御さんが孤立し、そして私のような医療機関には来られますが、果たしてその後の地域支援にどうつなげるかというところで、もう一歩も二歩も保健所の活動に私は期待いたしますので、また今後集計も出てくると思いますし、厚生労働行政の中でぜひ保健所の役割それから人材の育成ということをよろしくお願い申し上げたいというのが一点。

 あと、先ほど山口副大臣にもお願いしましたが、実は児童虐待、これは例えば児童養護施設でも起こるわけですね。あるいは老人虐待、これは御老人を預かるような施設でも高齢者虐待として起こってまいります。他の分野で起こる虐待問題については、これまで厚労省としてもいろいろな、例えば児童虐待が児童養護施設で起こった場合の取り組みというのはございますけれども、何度も繰り返すようですが、こうやって宿泊型、収容型で引きこもっているお子さんを預かっている施設の実態、ここでまた精神的な虐待、物理的な虐待が起こっている状況について、いま少しやはり意識とそして役割を認識していただいて、活動、行政をやっていただきたいということをお願い申し上げたいんですが、最後、いかがでしょうか。

中谷政府参考人 今、障害者自立支援法によりまして、関係の施設におきましてはサービス管理者をつけ、しっかりした体制で臨んでいこうというふうに思っております。その中で、引きこもりの方を含めました精神障害者などの社会復帰、地域生活支援、こういうことも充実してまいりますので、十分対応してまいりたいと思っておりますし、先ほど御答弁ございました内閣府との連携、これも極めて重要でございますので、関係省庁、地方自治体とも協力してまいります。

阿部(知)委員 よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございます。

近藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十七分散会


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