第164回国会 予算委員会 第3号 (平成18年1月27日(金曜日)) 抜粋

案件:  政府参考人出頭要求に関する件
 平成十七年度一般会計補正予算(第1号)
 平成十七年度特別会計補正予算(特第1号)
 平成十七年度政府関係機関補正予算(機第1号)

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〔前略〕

大島委員長 それでは次回に。

 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 私は、昨日に引き続きまして、ただいま吉井委員もお取り上げのアスベスト問題で、冒頭二問、小池環境大臣と厚生労働大臣の川崎新大臣にお願いいたします。

 小池大臣が、昨日、私の質問に対してお答えになった、今度の新立法による救済措置の中での通院費の問題で、小池大臣は、月十万の療養費の中に通院費も入っているんだという答弁でした。時間がなかったので反論できませんでしたが、私は逆に、それでは大臣は、現在この法律の対象になる人たちの生活状況をしかとごらんになったのか、御存じなのか、この立法に当たってどんな調査をなさったのか、極めて不安に思い、こんなまま立法ができてはとても本来的な救済にすらならない。本来的な、労災並みの措置にも及ばず、救済にもならないと思いましたので、きょう、皆さんに資料配付をさせていただきます。

 冒頭、大きな二枚のA3のコピーがございますが、これは、この間、アスベストの被害が、昨年の六月、尼崎で患者さんたち三人が立ち上がって以降、患者と家族の会というものが活発に活動されるようになってなさったアンケート調査の結果でございます。ソーシャルワーカーの方とか、あるいは疫学方面に、統計方面に詳しい方の御助力を得ての分析ですが、冒頭、一枚目には患者さんからのお返事が、実は四十四通あったもののうち整理ができたのが四十一通、約一カ月をかけての聞き取り調査あるいは御自身の記入でございます。

 これをよく見ていただきますと、この中にはわずかに労災認定されたものもございますが、ここで「環境曝露」となっておりますのは、主には尼崎の事例でございます。「不明」というのは、不明なもの、どこが原因かわからないというのもございます。

 これを見ていただきますと、「環境曝露」という方の死亡時の年齢あるいは現在生きておられる方の年齢は、四十一歳、五十四歳、四十八歳、五十四歳、極めてお若い。すなわち、環境暴露であれば、昨日も申しましたように、子供のころ遊んでいて患者さんになっちゃった事例です。

 こうしたお若い方が四十代、五十代でアスベストの被害になり、二枚目、繰っていただきます、一体どれくらいの減収、収入の減が起こっておるのかというのが左から二番目の欄に書いてございます。十万円から五万円という方もございますが、もとの収入等々もございますので、お人によっては五十万、四十万、三十万。そして、おまけにでございます、ここからがきょうの質問です。実は、お子さんを抱えた方が非常に多くおられます。

 恐縮ですが、先ほどの二枚目の右の端には通院費の集計がございまして、お人によっては十六万かかってございます。大臣がきのう、十万円で、その中に含まれていると言ったときに、このような事例もあるんだ、生きるために、通院するためにかかったお金くらい出してしかるべきでないかと、私は最終的に、本当に怒りを持って申し上げましたが、それ以外にも、子供さんがおられる。

 これは一枚目に戻っていただきますと、年齢が、きのう御紹介した五十四歳の八番目の方にもおられますが、もっとお若い方々の中で、例えば二十二番目の方には十二歳から十九歳のお子さんがおられます。あるいは十六番目の方にも十二歳から十九歳のお子さんがおられます。学校、学業の途中です。もし労災保険であれば、こうしたお子さんがおられるときに、おのおの支援の費用が出てまいります。小学生では一万二千円、大学生であれば三万六千円内外だと思います。

 今回の立法では、こうやって環境暴露によって工場の壁一つ隔てたところで暴露して、子供がいても、収入は減り、子供たちの修学すら不可能になります。なぜ大臣は、立法に先立って、こうした患者さんたちのなさった調査のようなものをきっちりしなかったのか、一点。

 もう一つは、今からでもまだできることとして、せめて次世代の子供たちのために修学費を労災保険並びにすることの英断をしていただきたいが、いかがでしょうか。

小池国務大臣 私も実際に尼崎の方に参りまして、御家族の方々との話し合いの機会などを持たせていただきました。近所に住んでおられた方も、近所というのは私の近所に住んでおられた方も含まれておりました。

 一方で、この制度をすき間なく早急につくっていくという中にありまして、やはりコンセプト、考え方というのは極めて重要であると思いますが、この制度は、そもそも民事上の賠償責任に基づく補償制度ではございません。社会保障的な考え方に基づいて見舞金的性格の給付を行うという救済制度でございまして、労災補償制度、公健法のように、被害者のすべての損害を補てんするということを目的とした制度ではございません。

 そこで、御質問でございますけれども、その意味から、遺族の修学手当の支給はしないということになっているものでございます。

阿部(知)委員 答弁漏れがございますが、なぜ調査をなさらなかったのですかと私は聞きました。制度があって人があるわけではないのです。実態があって、現実に生きていく人々がいて、そのことをどうするかが私は政治の役割だと思います。

 そして、今の大臣の答弁には、実はその背景には、政府の責任の認識の甘さがあると思います。これは一貫して私がこの間質疑してまいりましたが、引き続いて、きょうは具体的に、一九八六年のILOの条約における我が国の態度について、特に厚生労働大臣に伺います。

 一九八六年の石綿に関する条約を我が国が締結いたしましたのは、十九年後の昨年の十月でございました。当時、ILOで話題となっておりましたときに、我が国は、その国際社会が進めようとする条約に、住民の条項を排除する、削除する提案をいたしました。逆に、今までは立法不作為と申しましたが、明らかな作為、わかっていて、住民条項は、既に一九七〇年代からさまざまに指摘されておりました。

 時間がなくて済みません。川崎大臣、私は、この一九八六年のILOの締結における我が国の政府の対応を特に問題といたしたいと思いますが、いかがでしょうか。

川崎国務大臣 今の御指摘は、石綿による環境の汚染を防止するための適当な措置をとるという文章の削除を求めた、これがけしからぬ、こういうお話だろうと思います。

 ただ、ILOの総会での議論、この条約の基本が、作業の過程における労働者の石綿暴露の防止、これがまず基本にかかわりますので、こうした趣旨にのっとるならば、ここは少し修正した方がいいんじゃないですかという御提案を申し上げた。

 結論としては、御承知のとおり、討議の結果、作業場から発散される石綿粉じんが一般の環境を汚染することを防止するために適当な措置をとるという、環境汚染防止という趣旨が明確になった上で私ども賛成をしたということでございますから、手続論として議論があったということは確かでございますけれども、どうぞ御理解を賜りたいと思います。

大島委員長 阿部君、時間です。

阿部(知)委員 我が国の締結は十九年後ですから、今の御答弁も当たらないと思います。

 終わらせていただきます。

大島委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

〔後略〕


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