第164回国会 予算委員会 第4号 (平成18年2月7日(火曜日)) 抜粋 案件: 政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
平成十八年度一般会計予算
平成十八年度特別会計予算
平成十八年度政府関係機関予算
議事録全文(衆議院のサイト)
ビデオ (衆議院のサイト)
〔前略〕
○大島委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。
次に、阿部知子君。
○阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
私は、本日は、まず第一点目として、国の基本的な外交姿勢、とりわけアジア外交と歴史認識ということについて、総理並びに麻生外務大臣のお考えを伺いたいと思います。
先ほど岡田委員と総理の質疑応答を聞きながら、総理には後ほど、麻生大臣にお伺いした後お尋ね申し上げますので、冒頭は麻生大臣にお願いいたします。
現在の我が国の外交で、とりわけアジア諸国との外交、中国、韓国のような東アジアの国あるいはASEAN諸国との問題等々、果たして、今一番勃興するアジア、アジアンルネサンスと言われる時代にあって、我が国の果たすべき役割、そしてこれからのアジアの発展にとって何が肝要かということを考えまして、私は、麻生大臣がこの間、例えば、天皇陛下が靖国に参拝すべきではないか、あるいは台湾の問題では、日本の占領統治下に義務教育を普及させたことが台湾の教育レベルに非常に貢献した等々の発言が、むしろ、この間、小泉首相自身がどうお考えかわかりませんが、小泉首相の靖国参拝というのは、アジア、特に中国、韓国に対しての一つのとげとなって、非常にとげとげしい関係が続いている中にあって、本来であれば麻生外務大臣は、もう一方、本当に前向きな外交を進めるべき大事なポジションにおられる中にあって、あえてこの天皇靖国参拝あるいは台湾の問題を持ち出された真意はどこにあるのか。それはアジア外交にとって前向きな御提案であるのかどうかをまず冒頭お伺いしたいと思います。
○麻生国務大臣 ありがとうございました。真意を申し上げる機会がなくて一方的な話をやられると、こちらもたまりませんので。
まず、天皇陛下のお話につきまして御質問がありましたけれども、天皇陛下が参拝できる今状況にないというのは現状認識として皆さんお持ちだと思います。私としては、政府の高官も天皇陛下も一般国民も、自然な気持ちで戦死者のために、みんな感謝と敬意を持って参拝できるような状況をつくるべきではないのかという問題提起をしたというのが最初の話であります。
二つ目の、台湾の話が出ましたけれども、台湾の話につきましてはよく文章をきちんと読んでいただくとわかると思いますが、台湾については、少なくとも義務教育の普及というものをなすに当たって非常に大きな貢献があったんだという例をずっと引いて、ある台湾の偉い方に教えてもらったという話を引いて、私どもの政治家の先輩も偉いことをやった人がいたなという話をしたら、麻生はかくかくしかじかというところだけとられてあの種の話になって、そしてそれが中国語訳になったらさらにゆがめられて、その中国語を読んだ向こうはかちんときてという話になっておりますので、そういった経緯というものをぜひ御理解いただけると。
もともと、ちょっと人徳のなさがさせるわざかなと思って反省しております。
○阿部(知)委員 事は単に人徳のなさというふうなレベルの問題にとどまりませんで、実は外交というのは本当に微妙な橋を渡るようなものだというのは、麻生大臣はだれよりも御存じなはずなんだと思うんです。
その外務上の一番大事なポジションにおられる大臣が、例えば前者の天皇靖国参拝問題にしろ、もしそういうことをお考えであるとして、ここは個々、私と意見が違いますが、あるとしても、どうやったら今あるとげを、今ある、先ほどから何回も言う、やはり不正常な関係なんだと思います。お互いに本音で事が話せない関係になっていることを打開すべきが外務大臣の役割であるのに、かえって事を緊張させる。
やはり政治は、相手あっての物種でございます。ひとり勝手に自分の思いだけを言っていればいいのであれば、外交などもともと成り立たないんだと思います。
私は、中国の問題においては、もしかして麻生大臣は同じ番組をごらんになったでしょうか、数日前、NHKスペシャルで、残留孤児、日本人の子供が、当時、特に満州と呼ばれた地域に数多く残され、それは四カ月の赤ちゃんであったり二歳前の幼子であったりした子供たちを、中国の婦人たちが我が子として抱きとめて、大事に育ててくれて、その方々が今八十も過ぎようかという中で、お年を召されて、そして日本人の子供は日本に帰りたい、老いた親を置いてくる、その引き裂かれた家族の映像をやっておりました。
私は、このこと一つとっても、結局、戦争という悲惨が、例えば四カ月の赤ちゃんを拾った女性は、その前に日本兵におなかをけられて流産をした、しかし彼女は、この赤ちゃんには罪がないといって日本の子を、大地の子を大事に育ててくれました。国というものが相向き合い、そして時に戦争という極限状態になる中でも、逆にそれを超える本当の庶民の、人の交流ができてこそ、やはり平和は訪れるんだと思います。ですから、麻生大臣には、大きな未来に向けて、本当に言葉を慎重に選んで、一つ一つほぐしていく努力をぜひしていただきたい。
そうでなければ、逆に、小泉政権の五年間で、私は、小泉首相がなさった日朝国交回復の決断を高く評価します。と同時に、その後、中国と、今も日朝は国交正常化に向けての対話が行われていますが、これをいかに本当に拉致問題の解決も含めてきっちりと着地させていけるかどうかは、冒頭申しましたアジアの中における我が国の役割としても、何よりも重要と思っております。
これは私が一方的に言って、麻生大臣の御答弁を求めませんで失礼ですが、小泉首相に引き続いてお伺いを申し上げます。
小泉首相にあっては、とりわけアメリカとの外交関係は、これまで非常に緊密に運営してこられました。しかし、そのアメリカでさえも、例えば、ゼーリック国務副長官が先月の初め日本に来られた折に、今の日本と中国の非常に不正常な関係について、例えばアメリカと中国と日本で歴史認識を詰めていくような作業をしてはどうかという提案があったとも伺っています。
あるいは、前駐日大使のハワード・べーカー氏が先ほど来問題になっている靖国神社の遊就館に行かれて、遊就館は、総理もいらしたことがあると思いますが、あの中で展示されているものすべて戦争展示品でございます。わけても、自存自衛の戦いで日本が本当にたくさんの命を散らした、しかし自存自衛の戦いだという論調で、歴史認識にアメリカとすら大きな差があると言われています。
アメリカの識者すら、今は日本のこうした風潮に懸念を抱き、日本がアジアで果たすべき役割について、これでは大変に危惧されると。例えば、アメリカの安全保障会議の前責任者であった、この方はマイケル・グリーンさんですね、せんだって辞任されましたが、彼も同じような発言をしておられます。
歴史認識は、これからの外交にとって、我が国が進む未来にとって極めて重要と思いますが、小泉総理は、先ほど来岡田委員への御答弁も踏まえて、一体どんなふうに歴史認識の溝を埋め、逆に未来に本当に踏み出していくためのどういうお考えがあり、どういう御準備があるのか。この点をお聞かせいただきたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 歴史認識は、国によってそれぞれ違うと思います。日本と韓国との歴史研究も始まっておりますが、それは今後、将来、日本と中国とも歴史研究を始めるのもいいと思っております。
かつて敵同士であった国が何年かたてば友好関係になっている、いい例が日本とアメリカですね。ドイツとフランスにおいてもそうであります。かつての敵はきょうの友というものは、歴史を見ればこれは余り不思議なことじゃない。日本と中国におきましても、一時期の不幸な時期を除いて、多くは友好関係、今でも友好関係を持っております。
しかし、一つの問題が全体の友好関係を損ねていくというのは好ましいことではないと思っております。日本とアメリカも、かつての敵が同盟関係になっている。日本と中国も、今は友好関係を維持発展させていこうという共通認識を持っている。かつての東南アジア諸国とも日本は緊密な友好関係を持っているわけでありますので、こういう関係をますます発展させていくことがいいのではないか。
ただ、歴史認識は国によって違ってもいいと思っております。未来に向けて、かつての歴史の教訓を踏まえ、戦争をしない、未来志向で友好関係を築いていこう、そういう視点が大事ではないかなと思っております。
○阿部(知)委員 今の御答弁であれば、各国はおのおのの歴史認識を持ち、しかし、その溝は埋めなくていいということになってまいります。もちろん、物事ですから、こっちから見たときとこっちから見たときは違うかもしれません。それでも、将来の平和、お互いの相互理解のために、この溝は埋めていかねばならないんだと思います。そうでなければ、あの戦争で亡くなられた三百十万余の方の本当の、私どもが感謝し、あるいはその命を惜しみ、慰霊することにもならないと私は思います。
私は、先週日曜日、遊就館に行って思いました、なぜこの若者たちは死んでいったのか。そのことにきっちりと答えられなければ、私たちは後世を生きる人間の役割がないんだと思います。特に政治家たるもの、先ほど首相がおっしゃいました、ドイツとフランスも歴史認識のその共通のテーブルを持ち、ポーランドも加わり、やってきたわけです。これから、例えば台湾も同じでしょう、中国もそうでしょう、韓国も北朝鮮も我が国も、お互いがお互いの認識を合わせ、そしてその差を埋めていく作業がなければ、今の不幸は一切解決されないと思います。
私は、今の答弁は、総理は答弁になっていないと思います。中国とうまくいっていない現状、それは、靖国参拝、小泉首相はそれにこだわられます。それが原因で、そこを追及されているだろうというふうにさっきからずっと御答弁です。でも、私は、もし首相がそういうことをなさるのであれば、そのことを一歩越えていくプログラムがあって当然じゃないかと思うわけです。そこが一切提示されていないからこそ、ばらけた関係のまま、今、日中韓が置かれています。
私は、このことを本当に、総理があと在任ことしの九月までという中で、一体御自身はどう決着していかれるのか、きっちりと御答弁をいただきたいと思いますが、もう一度お願いします。
○小泉内閣総理大臣 私は、中国や韓国に対して、条件をつけて友好関係を発展させていこうなんということを言っていませんよ。私が靖国神社に行くか行かないか、これはだれにも指図されるものではない。靖国神社参拝するなというお立場ですか、中国がいけないと言うから行くなというお立場なんですか。私は、日本の首相が日本国内の一つの施設に、外国の政府から、行ってはいけないとか行けとかいう問題ではないと思います。そんなことを言っている首脳はいませんよ、中国、韓国以外は。
私を批判している、靖国参拝しちゃいけないというのは、靖国参拝自体いけないのか、中国がいけないと言うからいけないのか、韓国がいけないからいけないのか、そういうことでしょうか。中国が行っていいと言えば行っていいんでしょうか。そういう問題ですか。
○阿部(知)委員 論議を引き戻さないでいただきたいんですね。
私自身は、靖国参拝は、外国が言うからではなくて、我が国の憲法の政教分離から行くべきでないと思っていますが、私は今ここでそれを問題にしているのではありません。総理が行かれるのであれば、当然、中国や韓国の反発も想定内のことです。そのことを見越して、行かれるのであれば逆にそれに続く和解のプロセスがなければ、これはぶち壊しただけに終わるじゃないですか。総理はそこを一貫して避けてお話しであります。
私が行くのはいいんですか悪いんですかと私に聞いていないで、総理自身が行っているんですから、行ったことの結果、何が生じ、そのことも織り込んでどのように改善していくかというのが政治家なんです。私は、一遍もそのことについて総理から御答弁を伺ったことがありません。先ほどの岡田委員への質疑もそうでした。現実に何回も行かれたんです、もう事実として。そのことを今云々しているのではないのです。行かれた結果の硬直した関係が現状あり、アメリカすらそのことを案じている、どう打開なさるんですか責任者としてということを伺いました。
○小泉内閣総理大臣 靖国神社に参拝した後も、何度も談話を出し、その後、中国首脳とも韓国首脳とも何回か会談して、未来志向の関係を築いていこうと。私がなぜ靖国神社を参拝するかということもじかに説明し、話しております。そして、何回か会談してきております。
その発表された談話にしても、あるいは演説にしても、読んでいただければわかると思います。それをじかに、中国首脳に対しても韓国首脳に対しても私は申し上げております。その上で靖国神社を参拝しております。
○阿部(知)委員 何度も言いますが、自分が思うように自分のことを言えば外交なんだというのは、外交ではないのです。しかし、それは総理自身がよくおわかりで、わざとそのように答弁されているものと私は思いますので、次の問題に行かせていただきます。
この国会の中で、一番目に私が今外交の基本姿勢を問題にしましたが、もう一つ、きょうの新聞報道でも明らかなように、この間、東横インというビジネスホテルが、障害のある方々の宿泊のための、例えば駐車場あるいは障害者の方々が泊まれるような客室等々を、いわば建築の完了確認がおりてから、新たな改造図面を用意して、もともと用意してあるのですが、早急に差しかえて改造してしまう、そして、駐車場は見ばえが悪いから、あるいは客室は使う人がいないから等々で改造した事件がございました。
東横インというホテルは、現在、多分百二十三件営業中と思いますが、このうち七十七件が確認後の改造で、うち六十一件が、ハートビル法という障害者のためのバリアフリー化あるいは社会参加を促進させるための法律や、あるいは建築基準法の法令に違反しているということが報道されております。
しかし、ここは北側大臣にお伺いいたしますが、そういう法令違反が次々と一月二十七日から明らかになっても、新たに二月一日と二日、この東横イン系は新装開店、オープンいたしました。すなわち、幾つ違反あるいは不法な取り壊し、改装をやっても開業できる、営業できるという状態になっております。
こういう実態について、障害者団体からも人権の無視ここにきわまれりという声も上がっていますが、国土交通大臣として北側大臣はこの事態にいかにお臨みになるか、お考えをお願いします。
○北側国務大臣 御指摘のこの東横インの件につきましては、私の方で、関係の都道府県、特定行政庁にそれぞれ実態を調べていただきたいということをお願いいたしまして、報告が上がってきたのが今委員がおっしゃった内容でございます。
完了検査後に改造をする、法令に違反して改造する、それも、かなり昔から大規模でこのようなことをやっている、もう会社ぐるみで、常態化した形でこのようなことをやっているわけでございまして、極めて遺憾と言わざるを得ません。
事実関係をしっかりと確認させていただいて、また、関係特定行政庁とも今週中にも会議を開かせていただきますが、そこでよく協議をさせていただいて、法令にのっとって厳正に対処をさせていただきたいと考えております。
○阿部(知)委員 私は、違反でも営業し続けられる状態、それが恒常化しておる状態について本当はお考えを聞かせていただきたかったと思います。
時間の関係で、総理にもう一点お願いいたしますが、実はアメリカでは、ブッシュ大統領のお父さん、パパ・ブッシュと呼ばれている方ですが、この時代、一九九〇年に全米障害者法というのを成立させました。ADAと日本語では略されています。
この法律では、公共の建物の中に障害者が利用できるようなきちんとした宿泊施設を設けねばならない。そして、それに違反したら、初回は五百万円、そして二回目は一千万円、ドルですから少し、五万ドルと十万ドルですが、そういう厳しい罰則。違反すれば、すなわち一回目から。今の日本のハートビル法では百万円が上限であります。この一九九〇年のADA法の成立というのは、実は、党派の壁を超えて、社会が障害というものをどう受けとめて、どういう社会をつくるかという大きなアメリカの決断でありました。
我が国は、繰り返し言いますが、幾つ法令違反をやっても、あるいは、例えば千葉市は、違反の指導をしたけれども十五年間放置されて、今日も開業も何でもできる。
私は、障害のある方が、これからは生まれついての障害者も、御高齢になって障害を得る方も、私たちの社会にとって欠くべからざる存在であるということを、今決意すべき本当に大事な転換点だと思っています。小泉首相はみずからのリーダーシップで、このアメリカで成立したところの全米障害者法、ここに至るまでもいろいろな経過がありました。しかし、これこそ政治が踏み込んで決断したから、障害のある方も働き、町で暮らし、ホテルに泊まり、当たり前に生活できる、飛躍的な法律であったと思います。
総理のこのことに対しての決断、お考え、リーダーシップを御答弁ください。
○小泉内閣総理大臣 平成元年、私が厚生大臣に就任したときにも、バリアフリーという言葉、なかなか理解しがたい言葉だなと思った時代がありましたけれども、最近では、バリアフリーというのはごく当たり前の言葉になってきたと思います。そして、障害者の皆さんも、そうでない方も一緒に社会に参加しようという意識というものは、この十数年でかなり向上してきたと思います。
障害者のオリンピックあるいはスペシャルオリンピック、そういうのを見ていても、むしろ障害者の活躍に我々は感銘を覚えているわけでありますけれども、この法律違反に対して、厳正に対処するのは当然でありますし、どういう処罰がいいかという点については、私は各党そんなに違いはないのではないかと思っております。
今後よく検討して、今の法令違反に対してはどのような対策がいいか、改善策を講じたらいいか、こういう点は十分今後とも検討していかなきゃならない問題だと思っております。
○阿部(知)委員 さきに障害者自立支援法も成立し、しかし現状でまだこういうことが起きるということは、私は国の法令上も、法律上も問題があるんだと認識しております。
そして、残る一問、実は文部科学大臣にお伺いする通告をしてございましたが、時間の関係で次回に送らせていただきます。申しわけございません。
終わらせていただきます。
○大島委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。
〔後略〕
第164回国会 国会活動コーナーに戻る 阿部知子のホームページに戻る