第166回国会 本会議 第38号(平成19年6月1日(金曜日)) 抜粋

案件:
 日程第一 日本年金機構法案(内閣提出)(前会の続)

 日程第二 国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出)(前会の続)

 日程第三 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律案(石崎岳君外四名提出)(前会の続)

 日程第四 競馬法及び日本中央競馬会法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 

議事録全文(衆議院のサイト)
ビデオ(衆議院のサイト)


〔前略〕

議長(河野洋平君) 阿部知子君。

    〔阿部知子君登壇〕

阿部知子君 阿部知子です。

 討論に先立ち、去る五月二十八日、お亡くなりになった松岡農水大臣に心から哀悼の意を表します。今、その霊は、緑の森、清らかな水、そし て雄大な阿蘇の山懐、ふるさとの熊本へと戻られました。国政の場にいる私どもは、松岡農水大臣が願った農林水産業の再生と、そして命絶つこ ととなった政治と金の問題に真正面から真摯に取り組んでまいることを誓いたいと思います。(拍手)

 では、社会民主党・市民連合を代表して、本日議題となりました三法案に対する反対の討論を行わせていただきます。

 年金機構法に反対の理由の第一は、この法案が、国民の最大の関心事であり願いでもある年金の安定運営に関して国の責任をあいまいにし、社 会保険庁の看板を新たに日本年金機構にかけかえることによって、本来、社会保険庁のとるべき真の責任を解体させるものだからです。

 世界的に見ても、少子高齢化の進む今日、公的年金の徴収を担当する組織を民間的手法にゆだねる国などどこにもありません。ここには、日本 の官僚機構は批判と責任逃れのためなら世界の非常識をすらあえて平気で行い、政府・与党がそれを政治的に支える構造が浮かび上がります。だ からこそ年金官僚の利権はしっかり温存され、また年金保険料の流用も恒久化されます。

 思い起こせば、この三年来の社会保険庁をめぐる不祥事の数々はいずれも国会審議の中で野党によって明らかとされ、逐一改善が図られた経緯 がありますが、新たな日本年金機構は特殊法人であり、その理事長には国会出席の義務もなく、今後はすべてやみからやみへと事が運ばれること になります。

 年金積立金の運用の問題も含めて、年金運営にかかわる組織に今何より求められるのは、公正性、効率性、そして透明性です。その使命を果た させるためには、社会保険庁をしっかりと国会と国民的監視のもとに置きながら、とりわけ給付に関するサービスを抜本的に改善していくことが 必要です。民間的手法なるうたい文句のもとに行われる大量の業務委託は、大事な年金個人情報の大量流出、組織運営の不安定化を招くのみです。

 反対の理由の第二は、一九九七年の基礎年金番号への統合時から今日に至るまで、約五千万件の宙に浮いた年金記録を放置し続けてきた問題で す。

 受給者への情報提供を含め、本来その責務を担う社会保険庁は、この間の国会審議でも一貫してその挙証責任を国民の側に押しつけてまいりま した。これだけの膨大な数の未統合の年金記録があることすら国民は今日に至るまで知らされておらず、その上、保険料を支払ったことの証明を 国民の側に求めようとするのは本末転倒であります。

 受給に結びつくことなく、このままでは消えてしまう年金をきちんと持ち主に戻すのは国や社会保険庁の責任です。国民に対して謝罪もせず、 おためごかしの時効特例立法などで幕引きを図るべきものではありません。

 さらに、反対の理由の第三は、国民年金法改正案には、国民年金の徴収体制の強化と称して、本来制度の異なる国民健康保険にまで制裁措置の 片棒を担わせる仕組みが仕掛けられていることです。現在、百二十二万世帯に発行されている国民健康保険の短期保険証が、この法案によってさ らに二百四十万世帯に発行される可能性があり、そこに暮らす子供らを含めた国民の医療へのアクセスは著しく遠ざけられます。

 将来の安心である年金への信頼ばかりか、医療の受給権まで奪うこの法案は、命のセーフティーネットまでも崩壊させかねず、断じて認められ ません。

 最後に、これらの政府案及び政府の対応ではこの間の年金の根本的な問題である空洞化が阻止できないことは、火を見るより明らかです。国民 年金はおろか厚生年金においても深刻な未納、未加入問題が発生している今日、全額税方式による国民すべてが受け取れる基礎的暮らし年金と、 企業の社会的責任を明確にした所得比例年金から成る抜本的な年金制度の改革が不可欠です。

 真に国民の立場に立つ年金制度の確立に向け、社会民主党として全力を挙げることをお誓い申し上げ、私の反対討論といたします。(拍手)


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