テロ・イラク支援特別委員会 第4号(平成19年4月26日(木曜日) 抜粋

案件:
 政府参考人出頭要求に関する件

 イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案(<内閣提出第八九号)

 イラクにおける自衛隊の部隊等による対応措置を直ちに終了させるためのイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する法律案(原口一博君外四名提出、衆法第一九号)

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〔前略〕

浜田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日、私にいただきました十二分ですので、まずは、イラク戦争の現状ということをきょうは質疑させていただき、できれば 次回、何をなすべきかということを伺わせていただきたいと思います。

 まず冒頭、麻生外務大臣にお伺いいたしますが、大臣は文化的なことにも非常に造詣が深い方でいらっしゃいますけれども、 四月二十三日に亡くなったアメリカのピュリッツァー賞作家のデービッド・ハルバースタムさんという方を御存じでしょうか。

麻生国務大臣 名前ぐらいしか知りません。直接知っているかというと、面識があるわけじゃありません よ。名前ぐらい知っています。

阿部(知)委員 御面識があるかという意味ではなくて、彼の活動を御存じかという意味で伺いました。

 彼は、一九六四年の当時、ベトナム戦争について泥沼化という言葉を使い、そのベトナム戦争の報道において、その後も高い 評価を得た方であります。私は、この間のイラク戦争、そして、今を戦後と言うべきか、新たな内戦状態で非常に悪化している 方向に向かっているかどうかもかなりきちんと考えておかねばいけない状況と思いますので、この方のおっしゃったところをち ょっときょうは引用させていただきます。

 この方は、ワシントンに比べて戦場に楽観派は少ない、現場に近づくほど当局の楽観主義からは遠くなるということをおっし ゃっていて、ベトナム戦争が非常に厳しくなっていくときに、ワシントンと現場のベトナムの様子を比べながら報道して、なぜ アメリカがあのベトナム戦争にどんどんどんどん巻き込まれていき、アメリカ自身も苦しい思いをしたかということを述べられ た方であります。

 私は、このたびのブッシュ大統領の増派兵ということに先立つブッシュ大統領自身の総括を拝見していても、実は、日本の小 泉前総理よりは現状を厳しく認識しておられたと思う節があります。

 ここには、小泉総理が昨年の六月にブッシュ大統領を訪問されたときの発言を引用させていただきますが、「イラクの国造り を支持し大きな成果を達成したブッシュ大統領の指導力に改めて敬意を表する、」ということを昨年六月に小泉前首相はお述べ であります。

 しかし、この昨年六月と申しますのは、二月にシーア派の聖廟が爆破されて以降どんどんどんどん、さっき外務大臣がおっし ゃったようなシーア派とスンニ派の問題、あるいはその後のアルカイダとの関連もあり、もう何が何やらわからなくなって、い ろいろな抗争が起きていった当初であります。

 近く安倍総理は、もう出発されていますが、アメリカと中東を訪れられるというお話ですが、現状で麻生外務大臣は、当時の 小泉総理の御発言をどう思われるか、そして、今回安倍総理が出向かれますことに対して、イラクの現状というものはどういう ふうにお考えかということを一点、お願いいたします。

麻生国務大臣 阿部先生御存じのように、イラクのフセイン政権が倒れた後、今はいわゆる政情不安という ところにスポットが当たりますけれども、基本的に忘れられちゃいかぬことは、この国は、みんなで開かれた形で選挙をやって 議員を選んで、その人たちに憲法をつくらせて、それをもとにもう一回議会をつくって、そしてそれをもとに政府をつくったと いうところは、これまででは考えられないぐらいのことがイラクでなされたという点は、全く今だれも触れられないところになっ ていますが、これは間違いなく、スンニ、シーア、クルド、それぞれ足したところでの政府ができたという点に関しましては、 成果として認めないといかぬ、私どもはそう思っております。

 それから、今私どもとして考えなければいかぬというのは、このイラクの中において、現状につきましては官房長官また防衛 大臣がそれぞれ述べられたとおりなんだと存じますが、私どもとしては、この状況を放置して、ぱっとそのままということには なかなかいかぬのではないか。少なくとも、この状況を何らかの形でオーダー、秩序を保つ、秩序を取り戻すというところにど ういう形で我々としては貢献していくかというのが大事なところであって、それができませんと、結果的に一番迷惑するのはそ こにいる国民、人民、子供ということになろうと思いますので、そういったところを考えて、どういうやり方が一番いいかとい うところが意見の分かれているところなんだと思います。

 そこそこみんな、もういいかげんにしてもらいたいという表現は、CNNやらBBCや何かを聞かれているとよく出てくると ころで、みんな多分同じなんだと思うんです。そこらのところに至るまでの経緯が、ちょっと何とも言えず、人様の話を、それ ぞれこの間三派が来た話を聞いていても、ちょっと私の理解ではなかなかもう少し、でも、同じ選挙区でも、もと党が同じだと なかなか話が込み入りますので、あれと同じかなと思って、いろいろ考えながら話をずっと聞いていたんですけれども。

 正直、余りに難しい話にしておられるけれども、現実、もとはそんなに難しい話からスタートしたんじゃないんじゃないんで すかねという感じが話したときの率直な感じですので、先生、何かのきっかけが多分要るんだなという感じが率直なところです。

阿部(知)委員 きっかけが外務大臣のおっしゃる宗派間対立を超えて国民の融和、融合を図るということ であるという認識は一緒であります。しかし、私は、やはり余りに現状認識が楽観的過ぎれば、処方せんを誤ると思います。

 例えば、今回、ブッシュ大統領が増派兵いたしましてやることは、戸別訪問ならぬ、各一戸一戸の家にイラク兵とともに米兵 が行って、スンニ派であれシーア派であれ、だれか隠れていてテロリストではないか、こういうことをあぶり出すという作戦に 入り込んでおります。逆に言うと、イラクの国民から多くの恨みを買うことだってあります。今、方向が非常に混沌としており ますし、私どもは極めて慎重に事の事態を見守らなきゃいけない中であります。

 済みませんが、塩崎官房長官に御質疑お願いいたします。申しわけありません、急に振って。

浜田委員長 急でございますね。ちょっとお待ちください。(阿部(知)委員「急でございます、申しわけ ありません、お休み中」と呼ぶ)

 済みません。

阿部(知)委員 はい、済みません。

 安倍総理は、このたび、アメリカに向かわれた後、中東にも出向かれると。日経連関係のミッションをお連れというか、御一緒、 同行していかれるわけですね。

 官房長官として、例えば今イラクの状況は、私が見るところ、国内、国外に難民が非常にふえておりますし、数え方によっては 内外で二百万ずつ、すなわち四百万近い難民もいる。もっと多いという集計もございます。そして、エジプトの外務大臣は、イラ クでこんなに難民が発生しちゃっていて、それが周辺諸国に次々と出てくると、周辺諸国も大変である、やはり多国籍軍にもっと 費用を出してもらったっていいじゃないかというふうなお話もあるやに報道されています。

 このたび行かれる中東での一番の成果は何と考えられて、どのようなお話をしてこられるのでしょうか。帰ってきたらまた御報 告を受けますので、きょうは行く前段に当たっての政府としての方針を伺います。特に、御手洗さんを初めとして多くの経済関係 分野からのミッションをお連れでありますので、その点も含めてお願いいたします。

塩崎国務大臣 これは、イラクの問題との絡みで先ほども申し上げましたけれども、今回、中東五カ国訪問を いたしますが、当然のことながら、周辺諸国も一緒になってイラクの復興を支援していこうということで首脳との話し合いをしよ うということを申し上げたところでございます。当然、首脳会談でそういった話が一つの大きな話題になるのは明らかだと思って います。ちょうどイラク・コンパクトの会議がエジプトでございます。麻生大臣が追っかけ行かれることにもなっておりますが、 閣僚レベルの会合もあるということで、当然ですが、そういうことを話し合うことになります。したがって、今先生御指摘のよう な難民の状況等々も話題になる可能性は十分あると思うわけでございますので、それはそれとしてやっていきたいと思います。

 今回、経済人百数十名行かれるというふうに聞いています。日経連というよりは日本経団連からのお声がけが多いんだろうと思 うわけですが、これは言うまでもなく、中東地域、特に湾岸地域は、日本のエネルギー、先ほど来お話が出ているように、九割ぐ らいあの地域から石油や天然ガス等を輸入しているということもあって、極めて重要な日本の言ってみればライフラインの大もと でもあります。したがって、その地域での安定とともに、安定的な経済関係も大事だということがございます。

 それともう一つは、当然のことながら、日本があの地域で経済的にどういう貢献ができるのか。金融もいろいろと発展しつつあ る。それから、変わり行く中東の国々、将来を見据えていろいろなことを今模索しています。日本の経済界がそれらに対して投資 等々通じてどういう貢献ができるのか、そんなことも多分話題になるんだろうと思いますので、そういうようなことを含めて幅広 い対話を、多分あの湾岸の国々、そしてまたエジプトの経済界とあるいは政府要人との間で行われるのではないかなというふうに 思っております。

阿部(知)委員 米国内のイラク研究グループの指摘にもあるように、この湾岸諸国とのいわば政治的な新た な枠組みでイラクの問題をきっちりと支援していけるということは重要と思いますので、単に、経済面ももちろん重要です、しかし 同時に、政治的な、私は、日本がよって立つ立場、そして何をなすべきかということもしっかりやってきていただきたい。また御 報告を受けたいと思います。

 ありがとうございます。

浜田委員長 次回は、明二十七日金曜日午後二時五十分理事会、午後三時委員会を開会することとし、本日は、 これにて散会いたします。

    午後六時十分散会


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