テロ・イラク支援特別委員会 第9号(平成19年5月14日(月曜日)) 抜粋 案件:
政府参考人出頭要求に関する件
イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第八九号)
イラクにおける自衛隊の部隊等による対応措置を直ちに終了させるためのイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する法律案(原口一博君外四名提出、衆法第一九号)
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〔前略〕
○浜田委員長 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。
次に、阿部知子君。
○阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
私にいただきました時間が十二分のため、恐れ入りますが、簡潔な御答弁に御協力をいただきたいと思います。
二〇〇三年三月の二十日、イラク戦争がアメリカの攻撃という形で開始されました。そして、四年をたった今日、果たしてこの戦争がもたらしたものは何であったかというところで、委員の皆さん並びに総理にはお手元の資料がございますし、またテレビ等々の国民でごらんになっている皆さんには、ここに、イラク・ボディーカウントといって、戦闘によって犠牲になった民間人の死者数をずっとカウントしたものがございます。
例えば、二〇〇三年から二〇〇四年、二〇〇四年に特に多いのは、二〇〇四年の四月と十一月でございますが、これはファルージャというところで無差別的な米軍の掃討作戦が行われました。このファルージャの掃討作戦と申しますのは、当時は、病院にも医師が行けない、赤十字の派遣された医師も行けない、袋小路のようにして市民を一斉に銃撃で襲った大惨事でありました。それが二〇〇四年の四月と十一月、このように多数の民間人の犠牲を出しました。多く見積もれば一千五百人というのが十一月です。
しかし、その後、さらにこの民間人の犠牲が拡大いたしました。一番顕著になりましたのは、二〇〇六年の二月以降、さらに六月、七月、もうここからはウナギ登りで、二千五百人から三千人の市民が毎月亡くなっております。
安倍総理に伺います。果たしてこのイラク戦争がもたらしたものは何であったのでしょう。
○安倍内閣総理大臣 イラク戦争において、またその後の国内の状況において、多くの民間人の命が奪われた、大変これは痛ましいことでありますし、私も胸が痛むわけでございます。
しかし、イラク戦争が始まる前にも、サダム・フセインは、自国民を、やはり相当、数千人の規模で殺りくしていたのも事実である、そのことは申し上げておかなければならない、こう思うわけであります。
こういう、今でもやはり多くの民間の方々が命を失っているという状況があるからこそ、何とかこの治安を回復しなければいけない。米国を初めとして多国籍軍も、またそして日本も今努力をしているわけでございます。
今回の米軍の増派の結果が出るというのはまだ数カ月先になるかもしれませんが、先ほど御紹介をいたしました五月一日のブッシュ大統領の演説によると、宗派間の対立の状況も、衝突の状況もだんだん減少し、また、地区によっては、イラク人の方々が、バグダッドにおいて、その地区に安全が少し以前よりも向上したという認識のもとに地区に戻る人も出てきたという認識を示した、このように承知をしているわけでありますが、今後、治安が何とか回復をされて、イラクの方々が安心して生活のできる、そういうイラクを取り戻していくために我々も努力をしていきたいと考えております。
○阿部(知)委員 治安も何とも回復されず、電気も水もない、非常に困難な中に、今イラク国内で難民が二百万人、ヨルダンやシリア、近隣に、また海外に逃れた難民が二百万人、さらにそれ以外の国の、逃れた難民が二百万人、六百万人と計算いたしますと、イラクの人口二千五百万から六百万のうち、四人に一人とか五人に一人が難民状態になっているわけであります。
この四年間がもたらしたものは、いわばイラクという国家の人々にとってはホロコーストに等しい状態があるんだと思います。そして、そのきっかけになったのが、アメリカが言うところの、大量破壊兵器があるんだ、アルカイダとの関係があるんだということでの戦争の開始でありました。
先ほど来の安倍総理の御答弁を聞きますと、私は、二〇〇三年三月二十日の小泉総理の記者会見での発言をここにもう一度お知らせしなきゃいけないと思います。
このとき、小泉総理、安倍現総理は官房副長官でいらしたかと思います。そのときの小泉総理の言葉は、「危険な破壊兵器を危険な独裁者が持った場合に対する脅威に対して、我々がどう対処するのかということを考えますと、今回のアメリカの立場も理解できますし、支持するのが日本の国益にかなう」という言葉でした。「危険な破壊兵器を危険な独裁者が持った場合」、こういうふうになっております。
そして、総理は何回もここでの質疑で、危険な破壊兵器はアメリカみずからがなかったんだということを言っている。では、日本はその情報をどう共有し、今どう反省し、せめてそこくらいは国民に対してもはっきりさせるべきだと思うのです。それを言うと、累次の国連決議とだらだらだらだらと言って、ごまかしておられます。
やはりこの大量破壊兵器の問題は、本当になかったということがこの段階で明らかな以上、我が国も、この総理の発言も含めてです、大量破壊兵器があるんだということにのっとって支持しているわけです。安倍総理、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 これは私も何回も答弁をしておりますが、事実、サダム・フセイン当時の大統領は、かつて独裁者として大量破壊兵器を使って自国民を殺したという、これは実績があります。そして、事実、実績がある以上、大量破壊兵器を持っていたんですね。持っていたんだったら、ないということを証明するためには、それを廃棄したということを証明しなければならない。そして、その証明するチャンスは何回もあったのにそれを果たしてこなかったということは、これは国際社会において、それは持っているであろう、保持しているであろうと類推する、これは私は合理的なことではないか、このように思うわけであります。
そして、情報について、ブッシュ大統領もブレア首相も、そのときそれを証明したという情報については誤りがあった、このように述べているわけでございます。
日本の立場としては、これは主体的に情報をとれるという立場ではなかったわけでありますが、しかし、情報については、それについていろいろ提供等、共有等がもちろんあったわけでございますが、しかし、その中において日本は、先ほど申し上げましたような累次の国連決議について違反をしてきたという状況の中で主体的に判断をして支持をした、こういうことでございます。
○阿部(知)委員 もうそれは先ほど来のこの委員会で、イラクのクウェート侵攻の時点でのお話です。その後国連の査察が入り、国連の査察団みずからが、あともう少し時間があればないことを証明できると言っていたじゃないですか。なぜそこまでごまかされるんですか。そして、アメリカとイギリスが情報の判断が誤っていたと言われたときに、我が国政府は一貫してそのことに触れていないんですよ。そこが一番政治家としていさぎが悪い、ごまかしが見え見えで、国民から見ても、誤りは誤りとして認めた上で、今イラクの人々がこれだけ困窮しているところに何をすべきかという論議に立ち返るべきではありませんか。
そして、もう一点伺います。
今回の自衛隊派遣延長二年間でありました。しかし、これから、例えばこの八月には、恐らく国連のイラク・ミッションがさらに一年継続するかどうか、あるいは十一月には、ブッシュ大統領が言うところのイラクへの治安権限の移譲、そして年末には、多国籍軍がさらにまた一年延長するかどうか、おのおの国連決議ないしイラク政府との協約が必要になるものです。この六カ月の間でもそれだけの動きがあるわけです。 なぜ、我が国だけそれらを無視して二年間で決めるのか。そして、国会の審議がもしここで二年先送りされれば、その間にも国民は、さっきの真っ黒けの情報公開の中で、そしてだれをどのように運んでいるのかもわからない中でついていかざるを得なくなります。これだけ他の国連機関やあるいは多国籍軍、治安権限の移譲がこの半年以内にもある中で、なぜ二年延長されますか。明確に答えてください、総理。
○安倍内閣総理大臣 イラクは今まさに大変大事なときを迎えているんだろう、私はこのように思います。治安権限が確かに移譲していく、そうでしょう。しかし、その中で宗派間の対立もあります。この宗派間の対立を何とか緩和するために日本も独自の努力をしております。国民融和セミナーをことし三月に開きました。また、私も、マリキ首相やハシミ副大統領に対して、この国民融和、宗派間の対立を克服して何とか治安を回復するように、そんなお話もいたしたわけでございます。
そういう中におきまして、しかし、まだしばらくの間、治安が回復され、安定的にイラクが復興に向けて円滑に順調に進んでいくというまでには時間がかかる可能性も排除できないわけでありまして、日本としては、国際社会とともに安定的、継続的にそうしたイラクのイラク人による努力を支援していくということを示していくことが大切であろう、このように考えたわけでありまして、そういう観点から今回二年間の延長をお願いしているところでございます。
○阿部(知)委員 その二年に全く根拠がないじゃないですか。二年ということの以前に、例えばさっき言った国連のミッションの話、多国籍軍の話、その都度やはり国民に問わなきゃいけないんだと思います、イラクがどうなっていくのか、日本が何をなすべきなのか。
そもそも、例えば自衛隊がサマワのあの地から撤退するときに立てた雇用計画、九十一万人までサマワの地で雇用しようということだって、現状三十一万人、これまでの延べですよ、大幅におくれているわけです。
今、二年間を根拠とする何ら客観的な理由もなく、国民に見えないところでの二年間が過ごされることに、私は心から、この情報公開のなさ、国民主権をないがしろにされた状況に怒りを持って、私の質問を終わります。
○浜田委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。
以上で内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。
午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
正午休憩
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午後一時一分開議
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