第166回国会 厚生労働委員会 第10号(平成19年4月4日(水曜日)) 抜粋

案件:
 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)

 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(西村智奈美君外二名提出、衆法第九号)

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〔前略〕

櫻田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党の阿部知子です。

 本日は、本来であれば、冒頭、出産の場の確保で武見副大臣に御質疑をさせていただくと いうふうに通告いたしましたが、きょうは、ちょっとそれを先送りさせていただきまして、 先ほど、坂口元厚生労働大臣が大変示唆に富む御質疑をしてくださいましたので、冒頭の時 間をタミフルの問題で大臣と医薬食品局長にお願いしたいと思います。

 きょう、ちょうど、もう少したちまして十六時から、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全 対策部会安全対策調査会というのが行われます。本日行われます調査会は、せんだって来の 質問で、柳澤厚生労働大臣が、この間、この安全対策部会に寄せられました千八百件の副作 用事案について、委員会を開いて検討していただくということで、大臣の肝いりで始めてい ただきました。そのこと自身は大変評価させていただきます。

 そして、先ほどの坂口元厚生労働大臣のお話にもございましたが、恐らく、私は、こうし た薬剤の安全性や副作用、そして、いろいろな承認にかかわりますことにおいて、薬剤メー カーと厚生労働省と医学界の研究者、やはりおのおの独自性、独立性を持って事に当たらな いと本当の姿というのがなかなか出てこないと思います。

 先ほどの坂口委員の御指摘は、中外製薬は中外製薬でやるべきことがあるじゃないかと。 私がもう一歩言わせてほしいのは、やはり、厚生労働省は厚生労働省として、それとは一定、 独自に、特に安全行政を預かる立場から結論を出していただきたいと思うわけです。

 大臣にはここで、実はこのタミフルの安全性をめぐっては既に先行的に何人かの研究者の 方からその危険性が指摘され、医薬品医療機器総合機構などにも意見書が出され、また安全 対策部会にも意見書等々が出されておりました。そういう意見書の取り扱いは今後どのよう になってまいるのか。やはり私は、いろいろな意見は、きちんと厚生労働省が受けて、それ を公正な観点から安全行政に向けていくということが重要と思いますので、その点、大臣に 一言お聞き申し上げます。

柳澤国務大臣 私、かねてからここでも申させていただいておりますけ れども、国民にとって医薬の安全性というものは最も大事なものだ、こう考えております。

 したがいまして、今委員が言われたような意見書等を自発的に出していらっしゃる先生方、 こういう方々の意見にもよく耳を傾けるようにという趣旨だと思いますけれども、私どもは そのようにさせていただくつもりでございまして、具体的には、意見書等が私どもに届けら れた場合にはこれを安全対策調査会にも御披露するつもりでございます。

阿部(知)委員 既に昨年の十一月、濱さんという医師から医薬安全対 策部会に送付され、そして一応担当には配られたということでありますが、せんだって来、 私が申し上げますように、副作用事案が何例あっても審議にかかっておりませんで、このあた りは改めて、視点を新たにして見直していただきたいと思います。

 また、二点目でございますが、実はけさの報道にもございましたが、抗ウイルス剤タミフル に対して、ウイルスの方も必死に生き延びようと変化いたしますので、耐性が出てきたと。い わゆるウイルスはタミフルを乗り越えてやっていくかもしれないということも報道されており ます。今、我が国にあっては、特に新型インフルエンザに対してタミフルの備蓄ということを やっておりまして、もしここで大量にタミフル耐性のウイルスが発生いたしますと、現在の備 蓄ということにも非常に悪影響というか、備蓄の効果ということが懸念されるような事態になっ てまいります。

 これは医薬食品局長にお伺いいたしますが、この報道されるようなタミフル耐性という問題、 あるいは私が臨床現場から思いますには、やはりタミフルが、逆に、実際には非常に多用され ている向きもあると思います。これまで、発売から既に三千五百万人分使用されております。 そうした実態も踏まえて、使用実態、そして、耐性ウイルスをどう考えるかなどについても今 後研究を進めていただきたいですが、いかがでしょうか。

高橋(直)政府参考人 お答え申し上げます。

 本日報道に接しましたところでは、御指摘のタミフルの耐性ウイルスに関する情報、これは アメリカの医学界雑誌に掲載されるものというふうに承知しております。

 報道の中身を見ますと、インフルエンザウイルスのB型に対するものの中で耐性ができてき たようだということでございます。新型インフルエンザの方はA型でございますけれども、A かBかは別にして、御指摘のように、こういったタミフルの使用によって耐性ができてくる、 それが人からまた人にうつる可能性があるということは、今回報じられたところであります。

 そういった意味で、今後、タミフルの有効性にかかわる大変重要な情報でございますので、 私どもとしては、これは関連情報を収集しながら、また適切に対処してまいりたい、かように 考えております。

阿部(知)委員 世界的にも、このタミフルの備蓄という問題は、今WH Oでも我が国のいろいろな調査結果を待っておる、副作用問題も含めて。また、耐性ウイルスが 出現したというのも我が国で初めて報道されておりますので、世界の注目を浴びておる事案かと 思います。しっかりと厚生労働省として、先ほどの安全行政と、そしてさらに、やはりこれから ウイルスの問題というのは非常に大きな世界的な脅威でございますから、研究をしっかり進めて、 世界にも発信していただきたいと思います。

 引き続いて、本来のきょうのテーマであるパート労働法について伺わせていただきます。

 既に委員の皆さんあるいは柳澤大臣のお手元にも配らせていただきましたが、二枚のプリント には、一枚目は、いわゆるパート労働者と一般労働者の賃金格差の推移、そして二枚目には、い わゆる有期、期限の定めのある労働者が、例えば平成六年から十七年にかけてどのようにふえて きておるか。簡単に申しますれば、先ほど高橋委員も御指摘でしたが、賃金は、正社員とパート 労働者の格差は埋まるどころか拡大し、非正規雇用の中で特に期限の定めのある有期雇用という のも、むしろ、一九九三年にパート労働法が成立いたしましてから、逆にふえてきておるという ことになっております。賃金は正社員より低く、働き方もパートの七割が有期であるとなると、 大変に不安定、低賃金ということになってまいります。

 まず、柳澤厚生労働大臣には、果たして、一九九三年に成立いたしましたパート労働法はどの ような役割を果たしたであろうか、限界があるとすると何であろうか、このたび新たな法改正を することの一番の眼目は何であろうか、この三点、お願いいたします。

柳澤国務大臣 パート労働者の増加は、他のいわゆる非正規の雇用者と言 われる方々の中のいろいろなタイプの労働形態と同じように、経済産業構造の変化とか、あるい は労働者側の価値観の多様化などによって、双方のニーズに合う形で生み出されたというふうに 考えておりまして、パート労働法の施行後の状況を見ますと、今委員が御指摘になられたような、 そういうニーズもあって、それに対応したという意味で増加の状況がその後出現しているという ことは、そのとおりと考えます。

 施行後の状況といたしましては、労働条件の文書明示の割合が高まった、それから、賞与がパ ート労働者へ適用される割合が高まった、あるいは、パート労働者とされていながらというか、 そういう立場にありながら責任ある地位へ登用されるというような割合も高まった等、ひとつの これは成果かというふうに考えております。

 他方、限界は何かということについては、まさしく今回の私どものパート労働法の改正という ものの目的といわば裏腹の問題でございますけれども、一つは、やはりパート労働者の処遇の均 衡化を図っていかなければならない、こういうことが一つあります。それからまた、希望をされ る方には正社員化への道を開くような方向での措置を講じなければならない、こういうことでご ざいまして、私どもの改正法の目的と、これまでのパート労働法のひとつの限界と、今委員が言 われた言葉で申し上げれば、そういうことが裏腹になっているというふうに申し上げたいと思い ます。

阿部(知)委員 せっかくの御提案ですからやみくもに否定はしたくないの ですが、しかし、先ほどの大臣の御答弁の逐一の中で、確かに、労働条件が明示される率は多少高 まったやもしれません。ただし、賞与のある方がふえたといっても、賞与込みの賃金格差も改善さ れておりません。マクロな数字でありますが、お示ししたのはそのような賞与込みのものもここに 出してございまして、これは一切改善がない。責任ある地位につくことができたと言われますが、 これは裏返すと、身分は違って責任だけ背負わされるということにもなってまいります。

 私は、この九三年から現状、十四年ですか、たった中で、本当にパート労働法というのは役に立っ たんだろうかというのを、この改正の突端にあって非常に疑問に思うわけです。均衡化の問題も、 もともと一九九三年のパート労働法にも明文化されておりましたので、なぜされないのかというと ころが問題なんだと思うのです。そこには労使の力関係、今回、希望する方が正職化されるといい ますが、先ほど来伺っていると、一義的にはやはり雇用主の側の判断によるというふうなお話です ので、それでは何ら変わることがないだろうと思うのです。

 少し労働現場の実態というものに即してお伺いをしたいので、大臣のお手元にも「F社(製造業 ・印刷)における正社員とパートの賃金・福利厚生の格差」というものを出させていただきました。 これは均等待遇アクション21という皆さんが作成されたものです。きょう、いろいろな審議がござ いましたが、何をイメージして、何を論じているかのところにかなり差があるように思いましたの で、私が先ほど与野党の筆頭理事にお願いして、追加資料としてつけ加えさせていただいたもので す。

 上に右と左で表が分けてございまして、左が正社員、右がパートでございます。御多分に漏れず 正社員は男性が多くパートは女性が過半である。契約期間の有無も、一年契約のパート。労働時間 においては、七時間、正社員は七時間半ですが、一人だけ正社員と同じ七時間三十分の方がおられ て、これがいわゆるフルタイムパートと呼ばれている皆さんです。下にずっと行きますと、残業、 配転などもこのパートの皆さんにはございます。しかし、家族手当や福利厚生は全くございません。 一時金についても非常に差がある場合も多く、また、月収の比較という究極の賃金に行きますと、 フルタイムパートの方と正社員の男性、片方は女性を比べますと、男性が三十四万六千円、女性が 十七万一千円でもう二分の一になってしまいます。

 下に「パート社員の現状(二〇〇七年一月現在)」ですが、一体どれくらいの期間勤続している んだろうということで見ていただきますと、二十一年、十九年、十七年六カ月、十六年、十六年、 十五年、十四年、十四年、十二年、短い方でも二年六カ月であります。

 先ほどの大谷局長の御答弁の中には、多分に、正社員の方の方が期間が長くパートの方は暫定的 であるかの、一言で言ってしまえばそういう御答弁もあったやに思いますが、こうやって事案を並 べてみると、本当に、一体パートと正社員の間の巨大な壁、格差とは何であろうかという思いを強 くいたすわけです。

 大谷局長に確認をさせていただきますが、今回の法案は、フルタイムパートは、いわゆる短時間 社員ではございませんが、先ほどの御答弁では、このフルタイムパートの正社員化に向けても事業 主にはそれなりのインセンティブを与えることを含み込んだものだというふうに御答弁されました が、それでよろしいですか。

大谷政府参考人 今回の法律の対象は、これはまさに短時間労働者でありま すので、いわゆるフルタイムパートは含んでおらないわけであります。

 ただ、今回こういった従来の指針ベースであったものを法律化する等、法律の構成ができてまい りましたわけでありますから、こういったものが社会実態として定着していく中で、フルタイムパ ートの方々にも、こういった考え方が企業主の方から普及していただけるものという期待も込めて 考え方を申し上げたわけであります。

阿部(知)委員 では、大臣にもお願いします。大谷局長は期待を込めてと 言いましたが、今までも、やはり、先ほどの一九九三年、パート労働法の成立以来、期待は常に 行政の側にあったんだと思うんですね。でも、期待が現実に定着していかないという面もあると 思うんです。大臣にあっては、このたび、このパート労働法の改正をするに当たって、これまで を何らか上回るもの、どのような形で定着化させていけるか、このことについてお考えがあれば 最後にお願いいたします。

柳澤国務大臣 フルタイムパートにつきましては、今局長から御答弁させて いただいたように、対象に加えるというわけにはいかないのですが、実質、待遇の改善を図って いくように考えていきたいということで御理解を賜りたい、このように思います。

 それから、こういうことを言うと、また委員会の審議にお差しさわりが出るかもしれませんが、 非常にいい資料をいただきまして、こういう方々ですと、まさに私どもが、多分この中のかなり の高い率で今度は差別禁止の対象になられるパートの方々が、非常に目の当たりにすることがで きまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。

 いずれにいたしましても、均衡処遇ということで、それ以外の、つまり差別禁止の対象外の人 たちにもこの定着を図っていきたいというふうに私どもは考えておりますが、それについて、努 力義務だから余り定着の有効手法とは言えないじゃないかという御指摘かと思います。

 しかし、例えば、例に挙げさせていただきますと、応募における年齢による差別というものを、 私どもは、できるだけこれを少なくしたいということで行政指導をさせていただいてきたわけで すけれども、そのおかげで、今日、ハローワークの年齢について制限をしない求人というものが 五〇%になりつつある。こういうことで、行政指導というものの手法によるこうしたことの定着 化あるいは進捗というものも、そんなに皆さんから御批判を受けるような状況には現にないとい うことも言わせていただきたい、御理解をいただきたい、こう思うのでございます。

 私どもは、この新しい改正されたパート労働法を的確に運用することによって、処遇の均衡化 を確保してまいりたい、このように考えております。

阿部(知)委員 現場の実態把握と行政指導は大変重要と私も思います。ぜ ひ、厚生労働省に、重ねて、実態をきっちり把握して、適切に指導していただきたいということ をお願い申し上げて質問を終わります。


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