第166回国会 厚生労働委員会 第13号(平成19年4月13日(金曜日)) 抜粋

案件:
 政府参考人出頭要求に関する件

 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)

 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(西村智奈美君外二名提出、衆法第九号)

 雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)

 雇用基本法案(大島敦君外二名提出、衆法第一三号)

 労働者の募集及び採用における年齢に係る均等な機会の確保に関する法律案(加藤公一君外二名提出、衆法第一四号)

 若年者の職業の安定を図るための特別措置等に関する法律案(山井和則君外二名提出、衆法第一五号)

議事録全文(衆議院のサイト)
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〔前略〕

櫻田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日、私にいただきました時間、十分でございますが、そもそもこのパート労働法の審議に 当たって、立法背景、現状がどうなっておるか、そして、この立法は何をしたいためのものか、 立法趣旨そのものが私はやはりまだまだ深められておらないと思いながらきょうの審議も伺い ました。しかし、もう時間が残されておりませんので、不承不承でございますが、十分間やら せていただきます。

 さきの委員会で柳澤厚生労働大臣にお伺いいたしました郵政公社の民営化問題に伴うもので ございます。大臣もあのとき御答弁くださいましたが、実は、公社となってこの三年の間にも 正規常勤職員は減り続け、今、二十五万四千百七十七、そして非常勤が十三万二千四百十二人 (常勤換算)ということになっております。

 郵便業務や集配業務におきましても、どんどんどんどんこの非正規職員の比率が増してきて ございまして、その中で、大変に労働災害なども多い分野ですから、問題も山積しております。 そして、そういう問題をさらに深刻にさせるのが、私は、このたびの公社化の中でしかれるい ろいろな身分差別であると思います。

 きょう、大臣のお手元には、一応これは日本郵政株式会社人事資料という中から抜粋いたし てまいりましたが、公社から民営化された場合の職員の処遇について書いてございます。正規 社員は八時間働きますが、そのほかに、スペシャリスト、エキスパート、キャリアスタッフ、 一般、パートタイマー、アルバイト、郵政短時間職員と、さまざまな身分がここに出現いたし ます。スペシャリスト、エキスパートはのけておきまして、この下の契約社員以下が、現状で ゆうメイトと呼ばれる非正規社員のこれから振り分けられる先というふうに予定されておりま す。

 この中で、特に私はしっかり見ていただきたいのですが、例えばこの契約社員、キャリアス タッフ、一般という中で、キャリアスタッフは、非常勤でありながら他の職員の指導をすると いうことにおいてキャリアスタッフと置かれておりますが、例えば八時間働くキャリアスタッ フ、一般の契約社員で八時間働く、八時間働けば、すなわち正社員と同じ時間なので、何度も 指摘されるようなフルタイムパートになるわけです。といたしますと、ここにまた非常に膨大 な数のフルタイムパート、せんだっての御質疑で三百四十五万人と言われる方たちが、またこ こで十数万あるいはふえてくるかもしれません。

 大谷局長、再度の御答弁で恐縮ですが、こうした実態というものも、これが現状起こりつつ ある世の中の実態であるということも認識されておるのかどうか、そして、重ねて、どう取り 組むのかもお願いいたします。

大谷政府参考人 今回、法律で規定をしております短時間労働者、それか ら、それに類似するいろいろな呼び方の労働者の方々がおられるということは承知しておりま すし、また、今の資料でも勉強させていただいたところでございます。

 この改正パート労働法に基づきまして、事業主が、パート労働者について、その働きや貢献 に見合った公正な待遇を実現するという観点から、正社員との待遇の均衡を図っていただく、 こういう場合には、一般論としてでありますけれども、雇用しておられる労働者全体の納得性 や公平性を考えれば、法律によって措置を求められていないいわゆるフルタイムの有期契約社 員、いろいろな方々がおられますが、こういった方々についても、雇用管理に当たって、この 改正法案の考え方が考慮されていくということは望ましいというふうに考えておるところでご ざいます。

阿部(知)委員 望ましいのですが、逆に言えば、八時間にしてしまえば パート労働法からも外されて、固定的に契約社員として何ら措置が図られないということが起 こるから、この法律改正は大きな問題があるんじゃないかと私は指摘させていただきました。  さらに、もっと深刻な問題がございます。

 これは大臣にお伺いいたしますが、さまざまに分けられたキャリアスタッフ、一般、パート、 アルバイトの中で、二枚目をお開きいただきますと、これも郵政株式会社の資料でございますが、 上段の一番下のところに、「必要な労働力を確保するため、派遣社員の活用、」次であります、 「キャリアスタッフから正規社員への登用などを検討する。」と。

 そうなりますと、正規社員への転用は、ここでは、はなからキャリアスタッフということしか 念頭に上げられておりません。非常勤で雇われて他の職員の指導をするキャリアスタッフだけは このような形で差別化され、他の者については、このパート労働法の趣旨とは見合わない。私は、 このような取り決めはいかがなものかと思います。

 大臣は、こうした事案をどのようにお考えになるでしょうか。こうやって最初から固定的に、 現実を見ないで、あなたは永久にその身分だよというようなことでは、今お考えになっているパ ート労働法は生かされませんよね。どうでしょうか。

柳澤国務大臣 日本郵政株式会社の労働者については、既に民間会社の労働 者として、もしこの改正パート労働法を成立させていただいた場合にはこれが適用されるという ことは、かねて御説明をさせていただきました。

 私どもは、そういう中で、非正規の方々が正規に移行することを促進するという制度的ないろ いろな手だても講じておりますので、そういうことで、正規社員の方に登用される、それからま た正規社員に登用されない方についても均衡待遇を図っていただくということで、いろいろなメ ルクマールに従って、それに応じた均衡処遇を図っていただくということを今回させていただい ておりますので、そういうことが実現されるということになろうかと思っております。

阿部(知)委員 こうした実態を放置しておいたらざる法になるということ ですから、厚生労働行政としてしっかりと注意も喚起していただきたい。

 最後に伺います。

 私は、このパート労働法が、いわゆるパートの方たちの人権や人間性すら差別するものに現状の パート労働がなっている中で、さらにまたそこに固定するのではないかという非常に大きな懸念を 持つ一項を質疑させていただきます。

 改正法第十一条の項目の中に、福利厚生施設をパート労働者にも供与しなければならないという ことが明記されていますが、具体的には食堂、休憩室、更衣室となっております。これは権利に のっとったものでありますが、しかしながら、現行のパート指針によれば、給食、医療、教養、文 化、体育、レクリエーション等の施設の利用について、短時間労働者にも同等の取り扱いとなって おります。

 大臣、私は特に医療施設を伺いたいです。もし、職場でおなかが痛くなったり、頭が痛くなった ら、パートの人は同じ職場にある診療所を同様に利用できないものであるのか。

 これは、パートの労働指針の中ではきちんと医療というものが組み込まれながら、今度の十一条 では医療という問題は、人間がもうそこで、生ものですから急なことというのはあると思います。 パートであればわざわざ外の医療機関まで行かねばならないのか、そこまで差別されねばならない のか。弔慰金の問題もしかりであります。

 人としての人権にかかわるような部分までこのパート労働法改正法案では到達していない現実を 踏まえて、少なくとも、今のパート労働指針を一歩たりとも後退させず、人として当たり前の尊厳 を持った扱いがされるように大臣として取り組んでいただけるかどうか、御答弁をお願いいたしま す。

柳澤国務大臣 今回の法改正を契機といたしまして、現行のパート労働指針の 内容をどうするのかという観点から、今、委員は医療施設の問題をお取り上げになられたわけでご ざいます。私どもといたしましては、今回の法改正を契機として、現行指針の内容を後退させると いうことは一切考えておりません。

 したがいまして、医療施設の利用については、パート労働者を通常の労働者と同様に取り扱うよ う努めるべき旨、引き続きパート労働指針に規定を残しておきたい、このように考えております。

阿部(知)委員 残すだけでなく強めていただくことをお願い申し上げて、 質疑を終わらせていただきます。


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