第166回国会 厚生労働委員会 第16号(平成19年4月25日(水曜日)) 抜粋

案件:
 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)

 雇用基本法案(大島敦君外二名提出、衆法第一三号)

 労働者の募集及び採用における年齢に係る均等な機会の確保に関する法律案(加藤公一君外二名提出、衆法第一四号)

 若年者の職業の安定を図るための特別措置等に関する法律案(山井和則君外二名提出、衆法第一五号)

 消費生活協同組合法の一部を改正する等の法律案(内閣提出第八八号)(参議院送付)

 厚生労働関係の基本施策に関する件

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〔前略〕

櫻田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 私は、本日の細川委員と政府答弁者の質疑を聞きながら、我が国は本当にこれで、外国の方々が働きやすい、そして人権が守られた国として これからの二十一世紀を生きていけるのかどうか大変不安に思いました。

 冒頭、柳澤大臣に確認の御答弁をいただきたいと思いますが、実は、四月二十日、私どもの日森文尋が質疑させていただきました在日外国人 の届け出の問題に関しまして、一言の御答弁で結構です、届け出を必要とする永住者の中には特別永住者の皆さんは含まれていないという厚生 労働省の方針ですね、お願いします。

柳澤国務大臣 仰せのとおり、含まれておりません。

阿部(知)委員 含まれておらないからいいかどうか、もちろんいいと思いますが、しかし、それにしても問題が多うござ います。実は、この届け出ということをめぐりましては、いわゆる当事者、個人情報の保有者である外国人の方が、自分にかかわります情報が どのように行政機関に把握されておるかということにおいて、二つの点で大きな問題がありますので、これは安定局長の方に伺います。

 事業主がどんな届け出を行ったかということについて、当事者、外国人の方が知りたいと思ったとき、開示請求権がございます、あるいは訂 正権、違うよということを言う権利がございますが、これについては十分保障されているのですね、いかがですか。

高橋(満)政府参考人 今回の雇用状況報告制度によりまして取得した情報につきましては、行政機関の保有する個人情報 の保護に関する法律、これの対象となるものでございます。したがいまして、この取得した個人情報につきまして外国人労働者御本人から開示 請求あるいは訂正請求がありました場合には、同法の規定に基づいて適切に対応をしてまいりたいと考えております。

阿部(知)委員 まあ当然過ぎるほど当然なことであります。個人の情報でありますから。

 そして、もう一つ質問があります。先ほど来、厚生省と法務省の間でどんな情報が行き来するかということで細川委員が御質疑されておりま したが、いわゆる職業安定所が保有する情報のどの部分が法務省に行ったのかということを、情報の当事者である外国人の方には通知されるん でしょうか、いかがですか。

高橋(満)政府参考人 今回の法案の第二十九条にございます法務省への情報提供につきまして、私ども、外国人労働者のプライバ シー面にも十分配慮しながら、この規定の範囲内での合理的な情報提供となるよう適切に対応する考えでございますし、また、今御答弁させて いただきましたとおり、開示請求、訂正請求につきましても、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に基づいて適切に対応すること といたしておるわけでございます。

 そういう意味で、この外国人雇用状況報告制度により取得いたしました外国人の個人情報につきましては、あくまでも、こうした配慮を加え た上で保有、活用されるものであるというふうに考えているわけでございまして、今御指摘ありました、法務省に情報提供した旨の通知であり ますとか提供した事項についての通知につきましては、現在、外国人本人に対しての通知については考えてはおりません。

阿部(知)委員 それが最もおかしいと思うのですね。自分にかかわります情報が行政機関の中で行き来して、本人は知ら ない。だれの情報なんですか。

 やはり、そこはきっちりと通知すべきではありませんか。大臣、どうですか。

柳澤国務大臣 先ほど職業安定局長からお答え申し上げましたとおりでございます。外国人本人からの開示請求や訂正請求 につきましても、個人情報保護に関する法律に基づいて適切に処理をするということでございます。

 そうした配慮を加えた上で、行政庁内部で、行政機関の間での情報提供につきましては、本法、行政機関の保有する個人情報の保護に関する 法律でも、本人への通知を求めるというものになっておりませんので、そうしたことも勘案して、我々は、あくまでも運用に当たってはプライ バシー等の重要性にかんがみまして運用をするつもりでございますけれども、今の御提起された、本人への通知ということは考えておりません。

阿部(知)委員 本当にそれはひどいことなんだと思いますね。その本人にとってのプライバシー権や自己情報のコントロ ール権というものが全くそれでは担保されないわけです。そういう法律を、こういう枠組みの中で勝手に乗り越えてつくろうとすること自体、 私はこの法案の最大の問題点だと思います。

 引き続いて他の質問に移らせていただきます。

 いわゆる障害者雇用政策について、先ほども御質疑がありましたが、神戸市内の小規模作業所の利用者に対して、いわゆる労働基準法に認め られるところの最低賃金法にのっとっていないということで、労働基準監督署の方から改善指導を検討しているということが報道されています。 私は、この報道に接したときに、ちょうど医療現場で起こるさまざまな事故などの問題が、例えば検察、警察等々の介入によって、非常に現場 にいろいろな混乱をもたらすことと同じような問題をここに見ました。

 現在、厚生労働省は、果たして小規模作業所や更生施設でどんな就労やあるいは福祉的援助の実態があるか、すなわち、小規模作業所では最 低賃金として保障したくてもできないような現状があるかもしれませんし、また、一部の作業所では、当然普通の就労と同じことをしていなが ら最低賃金にも満たない額を働いている方にお支払いしているという実態もあると思うんです。こうした現状を放置している厚生労働省行政、 すなわち、今まで、労働分野と福祉分野が合体して厚生労働省となったわけです。また、障害者雇用政策については、この間自立支援法の討議 等でも十分問題にされてまいりました。

 大臣は、このたび、こういう労働基準監督署が指摘し指導するというような形で露見した実態について、もっと厚生労働省が本質的に、本来 的に監督省庁として実態を把握すべきと思いますが、いかがですか。

柳澤国務大臣 一般的に、小規模作業所等施設における作業員の労働者性というものを、もっと関心を持って、これに必要 な調査あるいは行政的なもろもろの措置を講ずる対象にすべきだ、つまり、労働者性のあった場合には、それをしっかり労働行政の観点で監視 あるいは監督すべきだというお話でございます。

 このことは、一般論としては私もそのとおりだというふうに思っておりまして、労働者性と申しますか、使用従属性の有無によりまして、労 基法の上で言う労働者であるかということを判断して、労基法の労働者性があると判断された場合には、必要な指導を厳に行うように努めてお りますし、今後とも行ってまいりたい、このように考えます。

阿部(知)委員 この問題は、実は、昭和二十六年に出された厚生省発令の省令等々によってしか対処されていないわけ です。自来、いろいろな国際的な取り組みがありました。例えばILOの百五十九号条約とか、また、近々日本は障害者の権利条約を批准し ようとしています。

 大臣は今、労働者性の問題云々とおっしゃいましたが、障害のある方にとって、労働者性の問題と同時に、福祉的援助は相並立して必要なも のであります。大臣、例えば障害のある人が、自分が就労するためのその通勤に対して、今どんな援助があるとお考えでしょうか。

 例えば、障害者自立支援法の言うところの地域生活支援事業では、労働者として障害のある人が働こうと思って会社に行くまでの通勤の補助、 ガイドヘルプはつけられません。障害者が地域で暮らす地域生活支援のものだったらいいよと。仕事をしていただくように、もっと就労してい ただくようにという法律を一方でつくりながら、実際には就労のためのガイドヘルプには使えない。こんなちぐはぐなことをしていたら、ここ からは就労、ここからは福祉、ぱつんと切ってやっていたのでは、現実に障害のある人の就労の道は狭められます。

 この点について、どのように対処されようとしているのか、事務方からお願いします。

岡崎政府参考人 通勤につきましては、基本的には企業が配慮していくという中での、企業に対しての支援は雇用政策の中 でやっているということでございます。

 企業の配慮の中で足りない部分で、では福祉的施策の中でどうするかということだろうというふうに思いますが、これにつきましては、今先 生御指摘の、地域の支援事業の中で、各市町村が、企業におきます実態等も踏まえながら、地域の中でそれぞれ判断して事業としてやっていた だく、こういうことになろうかというふうに考えております。

阿部(知)委員 そんなに簡単に企業と地域と分けられないんです。毎日の通勤なんですよ。毎日行くのに必要なんですね。 企業の方にそれだけ十分な補助なり支援なりがおりているのか。あるいは地域生活事業の中でそれが現実に使えるのか。使えないんですね。だか ら、障害者は就労したくたってできない、本当に苦しい状況にあります。

 大臣、お伺いいたします。

 厚生労働科学研究において、平成十五年度のものですが、そのような実態に対して、これからは社会的に支援をするような雇用、社会支援雇 用といいます。これは、労働実態と福祉のサポートをあわせ持つような、他の言い方ですると、保護雇用という名で呼ぶ国もあります。そうい う、一人の障害者が労働者として持つ能力が、例えば通常の三分の一なり四分の一なり半分なりで、サポートを必要とする部分の福祉的な援助 もあわせ兼ねないと就労がまかり通らないということについて、諸外国は皆支援をしながら、社会的な支援雇用あるいは保護雇用という制度を とっているわけです。

 我が国も、せっかく労働科学研究の中でこれを一つテーマとして挙げました。これから、大臣として、ぜひ障害のある方の雇用を促進すると いう意味で、何がハードルで、そしてまた支援せねばならないものは何であるのかを確定し、もっと就労率を破格に上げていくために、一・八 %とか、諸外国では全く違います。五から七%等々が就労の実態です。そこには社会的な支援雇用があるからです。こういう日本版の保護雇用 制度あるいは社会的支援雇用制度について、研究班を立ち上げるなり、研究班というよりは有識者会議、審議会等々をお持ちになるお考えはな いのか、最後にお伺いいたします。

柳澤国務大臣 福祉と雇用の兼ね合いというものをうまく調整した保護雇用という制度もあるのではないかという御指摘で ございます。

 我々は、国によってさまざまな取り組みがあるというふうに考えておりますけれども、これはやや中期的な課題として取り組むべきテーマか というふうに思いますので、また、そうした今委員が示唆されたような有識者の方々に相談を投げかける、そういう機会も持ってまいりたい、 このように考えます。

阿部(知)委員 日本の社会の構造改革のためにも、ぜひ早急にやっていただきたいと思います。

 以上で私の質問を終わります。

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櫻田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 私は、社会民主党・市民連合を代表し、内閣提出の雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正す る法律案に反対、民主党提案の二法案に賛成の立場からの討論を行います。

 今回の雇用対策法の改正は、人口減少下において、働く希望を持つすべての青少年、女性、高齢者、障害者などの就業参加の実現を図ること を明確化するために行うとしています。しかし、日本で働く外国人に対しては、事業主に外国人の雇用状況の届け出を義務化するなど外国人に 対する管理強化を打ち出す一方で、人権の面から見ても看過できない問題をはらんでいます。外国人雇用状況報告制度は、雇用環境を改善し、 就業参加を促す雇用対策法と全く異質なものであり、雇用対策法を逸脱するものと言わざるを得ません。

 反対理由の第一は、事業主による外国人雇用状況届け出の義務化や法務大臣への情報提供など、外国人のプライバシーを侵害し、外国人に対 する差別や偏見を助長するものとなるからです。

 そもそも永住者や定住者は、就労を目的で日本に在留しているわけではなく、日本社会を生活基盤として在留しているのであって、そうした 永住者や定住者まで届け出を義務化する積極的な理由は全くありません。

 外国人雇用状況報告制度を設ける理由の一つに不法就労対策を挙げていますが、いわゆる不法就労をしている外国人を雇用している事業主が、 みずから報告するはずもありません。不法就労対策には到底なり得ません。

 反対理由の第二は、外国人雇用状況届け出の義務化は外国人労働者の労働条件の改善に資するためと説明していますが、多くの外国人労働者 は、低賃金で社会保険や雇用保険などに未加入のまま、請負会社などのブローカーを通じて、製造業など、三K職場と言われる仕事に従事させ られています。外国人の雇用管理については、労働者としての権利を保護すると同時に、偽装請負や派遣など、劣悪な雇用条件の改善こそが先 決です。

 こうした外国人の劣悪な雇用環境に対しては、現行法でも可能な労働基準監督署の立入調査や行政指導の強化こそが求められているはずです。 こうしたことは全く行おうとせずに外国人雇用状況届け出の義務化を行うことは、幾ら外国人の雇用条件の改善のためといっても、絵そらごと でしかありません。

 反対理由の第三は、外国人雇用状況届け出の義務化は、雇用対策法の立法趣旨から大きく逸脱していることです。

 第一条の目的では、「労働者の職業の安定と経済的社会的地位の向上とを図る」と明記されています。この「労働者」の中には、当然外国人 も含まれるはずです。外国人雇用状況届け出の義務化は、明らかに第一条の目的に反し、同法を取り締まり法規とすることになります。

 雇用情勢の大きな変化に対応し、国としての雇用対策の方向性を明確化することは極めて重要です。世界がグローバル化している中で、日本 の雇用も変化を強いられています。外国人雇用状況届け出の義務化は、明らかに世界の流れに逆行するものです。

 また、青少年、女性、高齢者、障害者を雇用対策の基本方向に位置づけるとしていながら、打ち出されたものは抽象的かつ一般的な指摘にと どまっています。これまで政府が進めてきた規制緩和などによる雇用の悪化などの政策を点検することから出発しない限り、時代の要請には全 くこたえることができず、政府案には反対せざるを得ません。

 また、大島敦さん外二名提案の雇用基本法と山井和則さん外二名提出の若年者の職業の安定を図るための特別措置法については、その基本的 理念を評価し、賛成といたします。

 以上、二十一世紀にふさわしい雇用対策の確立を強く訴え、私の討論といたします。(拍手)

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櫻田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日は、私にいただきました十五分のお時間の中で、出産の場の確保の問題と医師の不足問題について質疑をさせていただきます。

 まず、前段の出産の場の確保の問題でございますが、柳澤厚生労働大臣にあっては、この間、やはりこのままでは日本の少子化問題、もう本 当に真っ暗やみだということで、真剣なお取り組みをしていただいているものと思っております。

 ちなみに、三月の六日の日でございますが、参議院の予算委員会で共産党の小池委員からの御質疑に対して、九六年から二〇〇五年の間に産 婦人科のある病院というものは全体で二八・七%減少しておるが、特に国立病院の産婦人科が減っておる、数値で出すと三五%だという御指摘 を受けた大臣は、「国公立病院がどのような役割を演ずるのか、これについては私は腰が引けたような対応は許さない」というふうに御答弁で ありました。

 頼もしく思いますし、本当に実行していただきたいと思うのですが、その観点からいたしますと、私は、ここでは小池さんは国立病院の問題 をお出しになりましたが、きょうは、いわゆる全国の自治体立病院でどのようなスピードで出産の場が減っておるかということについて取り上 げさせていただきます。

 まず、厚生労働省ないしは大臣にお伺いいたしますが、自治体立病院は集計上、統計上は総務省の管理になっておるのは承知しておりますが、 しかし、医療提供体制全体は厚生労働省の任務とするところでもあると思います。

 さて、自治体立病院は、現状四百五十四、産婦人科を標榜しているものがございます。標榜というのは、看板がかかっているということであ ります。その四百五十四ある自治体立の産婦人科標榜病院の中で、看板はかかっていても産婦人科をやっていないというところが大変ふえてお りますが、この現状について把握しておられますか。お願いします。

松谷政府参考人 平成十七年度に厚生労働省が行いました医療施設(静態・動態)調査によりますと、産科を標榜する病 院数は一千六百十六病院でございます。このうち、地方自治体立病院は五百十二病院と、この時点ではなっております。また、この調査により ますと、このうち分娩を取り扱っている病院数は一千三百二十一病院でございます。

 なお、ここでは設立主体別の数字が集計されておりませんので、地方自治体立病院についての数字は、残念ながら、この調査からは出てこな いということでございます。今、先生御指摘のとおり、総務省において最新の数字は持ち合わせていらっしゃるということだと思います。

 なお、厚生労働省では、医師確保等支援チームにおきまして、産科医療について基礎的なデータを詳細に把握するため、現在、各都道府県の 医療圏別に病院、診療所、助産所別の分娩数ないし産婦人科の医師数、助産師数、またハイリスク時の主な紹介、搬送先病院などの調査をして いるところでございます。

阿部(知)委員 今のお答えは平成十七年度でありました。私が伺いたかったのは、それから一年有余たち、さらに状況は 深刻になっており、そして御答弁にもありましたが、厚生労働省は、実際に自治体立病院のどれほどが現実に産科を提供しておられるかは御存 じないということであります。

 今、実態を地域別に把握しているんだということは、それはそれでよろしゅうございます。しかし、やはり厚生労働省は厚生労働省として、 大臣が明確に御答弁になったように、国公立病院に対して、出産というものは非常に公共性の強いものであります、そういうものに対して、国 がなすべき役割があるんだろうと私は思います。なべて平地にならすのではなくて、やはり大臣がおっしゃったように、国公立病院ならではの 役割をサポートしていくという厚生労働省の役割がなければ、ほうり投げ状態になります。

 私は、厚生労働省にデータをいただけませんでしたので、総務省にお願いいたしまして、かなり手間暇のかかる集計をつくっていただきまし たのが、きょうお手元に配らせていただきました、全国自治体立病院における産婦人科診療の実態という一枚目のグラフでございます。  大臣にはよくごらんになっていただきたいのですが、先ほど申しましたように、産婦人科を看板だけでも掲げている病院は四百五十四、産科 を看板だけで掲げているのは五十五ございます。これを合わせれば、おっしゃったような五百十二近くにはなると思います。

 しかし、これは看板倒れなのであります。何を言っているかというと、看板はあっても中身がない、やれていない。実際、そのうちどれくら い分娩を扱っているかということを調べていただきましたが、これは平成十九年の三月段階の数値でございますが、左のグラフをごらんいただ きますと、三百三十六施設しか分娩を扱っておりません。四分の三ないし三分の二に近くなっております。両方合わせれば、そのような数値に なってまいります。

 ちなみに、またさらに、もう既にと申しましょうか、分娩の取りやめが予定されている施設が十五ございます。すなわち、ことしのうちにも、 分娩が可能な病院は三百二十五に減ってしまうという実態であります。

 大臣には特に伺いたいですが、こうした実態が実はこの五年、とりわけこの一、二年、急速だということであります。

 例えばこの自治体立病院にしても、この十年、一九九七年の四月一日から二〇〇七年の三月三十一日で百九病院が中止、では、この五年では 、二〇〇二年の四月一日から二〇〇七年の三月三十一となりますと八十九であります。十年で百九のうち、この五年が八十九、この一年が三十 二もございます。雪だるま式、加速度的に産科医療が提供できなくなっております。

 果たして大臣は、こういう実態、国立病院も三五%なくなる、自治体立病院も加速度的に減っておる、こういうことに対してどのようなお考 えをお持ちになりますか、御答弁をお願いします。

柳澤国務大臣 自治体の病院も、地方財政の困窮の中で、なかなか経営が思わしくないというようなところを中心にして、 かなりきつい合理化の努力をしなければならない、こういう状況に置かれているようでございます。

 私が出ます会議におきましても、自治体について、どちらかというと、自治体財政の困窮ぶりを背景にして、自治体病院についてもさらに合 理化に拍車をかけるようにというような、そういう発言をよく聞くわけでございますが、私は、これに対しては、そういうことだけでは困ると いうことを申し上げているわけでございます。

 ですから、いろいろな文書で、そのあたりのことについては私の発言もそれなりに酌み取ってもらって、そして、ただ一瀉千里に合理化とい うようなことだけではない方向で、もっと必要な機能というものを確保するということに辛うじてなっているというような状況が実はございま す。

 今後とも、この自治体病院の合理化ということの流れの中で、産科のクローズドというようなことができるだけないように、私としては努め ていきたい、こう思っております。

 それからもう一つ申し上げるのは、先ほど医政局長が申しましたように、私どもは、医師確保のためにきめ細かに地域の実情を掌握する必要 があるということで、これは総務省なぞとも語らって支援チームというものを編成したわけでございますが、そこで真っ先に取り上げたのはこ の産科医療でございまして、今、医政局長言うように、産科医療の実態について詳細な資料を収集すべく努めているところでございます。その 実態の把握の上に立って必要な措置を講じてまいりたい、このように考えております。

阿部(知)委員 この産科医療の問題には、大臣が御指摘のように、全体の経営環境、運営状況の逼迫そして人手不足、 両方が両輪になって、もう突進している状態にあります。

 大臣が明確に御答弁いただいたように、公共性を守るために、やはり国が財政的支援ということをもっと真剣にしていただくと同時に、私は、 せっかく総務省がこれだけのデータ、各病院に一軒一軒聞いてくださいました、お手数もかけました。しかし、そういうことが厚生労働省の中 に全く蓄積されておらないということは悲しむべき事実でありますから、総務省におつくりいただいたデータもきちんと分析していただいて、 地域で出産が可能になるように、大臣にもお取り組み願いたいと思います。

 さて、大臣がおっしゃった後段の医師不足問題で、きょう皆さんのお手元に資料を配らせていただきました。実は、医師不足の問題は、厚生 労働省は表向きは一貫して、不足よりは偏在であるという御見解をとっておられるやに私は聞きおきます。しかしながら、きょう皆さんの二枚 目の資料の中にお配りいたしましたものは、今、各病院が医師の数を、その病院の常勤医のみでどのくらい充足しているだろうかという数値を 出しました。

 例えば青森県では、常勤医できちんとした数を持っている病院は二六・四%しかない、あとはいわゆる不足である。これに非常勤の方を加え ても、申しわけないが、青森県の場合は四三・四、二つの病院に一つは定足数に足りていない、充足していない、こういう実態が浮かび上がっ ております。もちろん都市部に行けば行くほど非常勤で賄い得るところが多いですから、例えば神奈川県などは、常勤医のみだと三五・〇%し か満たしていない、三つに一つの病院しか満たしていないが、そこに非常勤を雇うことによって九四・六%になる、医師不足を補っているとい う実態です。しかし、本来的には、常勤医で賄われる部分がせめて六割ないし七割ないと安定した医療提供体制にはならないんだと思います。

 この現状、惨状ということをまず大臣に頭に入れていただいて、では、それでもなおかつ医師の数は足りないんだろうかという問題、逆に言 えば余っているんだろうか、その問題のために、最後のページをお開きいただきたいと思います。

 ここには、厚生労働省が行う三師調査、ここの表は、医師、歯科医師、薬剤師となっておりますが、看護師等々も調査しておりますが、いつ も厚生労働省はこの数値をもって、この棒グラフでどんどんどんどんふえていっている、毎年差し引き三千五百から四千人がふえて、平成十六 年段階ではほぼとんとんである、これから医師過剰時代が来るぞとおっしゃいます。しかし、ここに大きな集計上のミスがあると私は思います。  例えば、ここに登録されている医師は、その医師が何時間働こうと一換算されるわけです。しかし、一方で長時間労働、一方でパート、アル バイト、非正規雇用かもしれません。そういう形で、今、医師の働き方も多様になっております。その多様になった働き方を踏まえずに頭数だ け換算すれば、当然、労働の負荷は、まじめに長時間働いている人にさらに拍車をかけます。

 大臣にお願いがございます。やはり、どのくらいの労働時間働いていて、実数、どのくらいかということを見直さないと、医師は足りている のか不足なのか、わからないわけであります。厚生労働省のこれまでの調査では、医師は四十八時間働くことにして、現在の診療所の医師数、 病院の医師数は足りているという換算であります。しかし、先ほどお見せいたしましたように、非常勤で働く方が多いわけです。四十八時間も 働いていない方も多いわけです。何度も申します。そうすると、残された者に非常に負荷がかかって、医療は、立ち去り型サボタージュと言わ れるように、疲れ果て、みんなやめていきます。

 大臣、実労働、実際にどのくらい働いているかにのっとって、これは多様な働き方が、特に女医さんもふえてきました、出てきた今日のあら ゆる職種の実態でありますから、そうした観点で医師の需給を見直していただきたいが、いかがでしょうか。

柳澤国務大臣 医師の需給をどう見るかというのは、なかなかいろいろな議論があるようでございまして、私も、専門家の 阿部委員を前にして何か立派な意見が吐けるとも思いませんけれども、この医師の登録数の調査もそれなりの意味を持っているというふうに理 解をしております。それは、医師の登録をしているけれども、お医者さんでありながら診療に従事していない医師、そういうような方について わかるというような面もあるようでございます。

 それからまた、実労働時間というようなことになった場合に、例えば四十八時間とか六十三時間とかというような長時間労働をしている先生 が一・五人分に見られてしまうとかというような、そういう面もまた逆にあるようでございまして、何か長時間労働を肯定的につかんでしまう というようなデメリットも生じてくるということを私は聞いております。

 このあたりのことは、一体どういうふうにして実像を、実態をつかんでいくかということについては、私も、今の医師の確保対策というか、 率直に言えば不足だと言われているこの事態への対策を考えるに当たって、今後、今の阿部委員の御指摘も勘案し、また念頭に置きながら、的 確な判断ができるように実態をつかんでいきたい、このように考えます。

阿部(知)委員 医療現場は崩壊の危機ですので、ぜひ、今の大臣の御答弁を生かしたお取り組みをお願いいたします。

 終わらせていただきます。

櫻田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十分散会


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