第166回国会 厚生労働委員会 第17号(平成19年4月27日(金曜日)) 抜粋

案件:
 政府参考人出頭要求に関する件

 消費生活協同組合法の一部を改正する等の法律案(内閣提出第八八号)(参議院送付)

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〔前略〕

櫻田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党の阿部知子です。

 本日は、昭和二十三年制定の消費生活協同組合法の改正ということで、時代の要請は、少子高齢社会でありますし、共助の仕組みと いうことについて、我が国もまた新たな取り組みがさらに要請されていることと思います。

 先ほど、高橋委員の御指摘にありました、地域に根差した身近な、そしてもう一つ言えば、自主性、自治の精神を生かしたものであ るということがこの法律の根幹にあると思いますが、冒頭、柳澤大臣に一問、通告外のことで御質疑をさせていただこうと思います。

 実は大臣は金融大臣でもあられましたから、この間のいわゆる生保や損保の不払い問題、これは調査を追うごとに数がふえていき、 額もふえてまいります。例えば、生保の不払い総額は三百五十九億円、特に第三分野という医療保険に関連する分野での不払いが多い。 三百五十九億円も、本来は払った保険の契約が不履行であるということは、社会的に見れば民民契約ではありますが、本当にとんでも ない事態であります。

 一方で、生協法下で行われます共済事業の中でも同種の保険は取り扱っておられて、幸い、私が事務局サイドに伺いますと、その分 野での不払いは全くゼロとはしないが比較的額は少ないと。では、ここに何の差があるのかと考えました場合に、やはり生協という組 織はみんなで支えている、利用者に支えられてしっかりした信頼関係において支払いが行われる、これが共助の仕組みの一つのメリッ トであろうかと思います。

 大臣は、こうした二つに明暗を分けた実態について、まず冒頭、御所見があればお願いいたします。

柳澤国務大臣 まず、生協も共済を扱っておりまして、その意味では民間の生損保と同じ業務を、しかも兼業の形 で行っているということでございまして、私ども、これから先、常に共済が健全にしかも契約者の保護の観点で十全なものでなければ ならないと思っておりまして、そういう方向での法律の改正もお願いしますし、また、運用においてそうしたことが万全であることを 期してまいりたい、こう思います。

 民間の生損保におきます最近の不払い問題についてコメントをしろということでございますけれども、これは、私は立場にないとい うことを言わざるを得ないわけでございますが、そんたくするに、最近の生損保さんも競争が非常に熾烈になってくるに当たって、い ろいろ契約にオプションをたくさんつけることになっているようでございまして、そういうことの絡みで不払いというものが起こって いるのではないか、こういうように勝手に想像している次第でございます。

阿部(知)委員 私が伺いましたのは、片方の、市場原理専らのものと、生協活動の中で行われているさまざま な保険事業がやはり事実として明暗を分けたと思います。そこについての御所見を伺いたかったわけです。

 時間がございませんので次に行かせていただきますが、そうした観点からも、今回、出産をめぐるいろいろな医療事故、医療過誤、 医療ミスも含めた問題で、無過失補償制度というのを厚生労働省が検討しておられます。この無過失補償制度においても、支払いを民 間損保会社にゆだねるということになってございます。この制度設計も含めて、幾つかの疑念、そして厚生労働省としてきっちり検討 していただきたいことがございますので、残された時間内で質問をさせていただきます。

 まず、無過失補償制度という名前でありますが、世上、過失があってもなくても支払いがなされるという言い方をよくされます。し かし、過失があれば医療賠責、医賠責保険で支払われるべきで、医療サイドに過失があれば当然このシステムではないわけです。この 過失があれ、なかれという言い方は大変誤解を招くと思いますが、時間がないので大臣に単刀直入に伺いますが、この制度は、過失が ないという調査がなされ、しかし、患者さんがお困りである場合であって、過失があった、ないしはその調査に不服であれば、当然、 訴訟に訴えるという余地をきっちり残したものであるかどうか、お願いいたします。

柳澤国務大臣 今度、無過失補償制度というものを組成しようということでございますが、その考え方というの は、今委員の御指摘いただいたとおりのものであるということでございます。

 つまり、出産というのはなかなか難しい面を持っているということで、ある確率で必ずそうした事故が生じてしまうということがあ りまして、これについて、今のように、過失のあった場合、訴訟だけにゆだねるというようなことで対処するよりも、ここは無過失補 償制度というものを組成しまして、とにかく事故が起こったときにはまず妊産婦の皆さんに対して一定の補償を出す、しかし、その中 で過失があるというふうになれば、それはそれで責任がまたお医者さんに問い直される、こういう仕組みであるということでございま す。

 いずれにしても、そうした事故が起こってしまった場合の妊産婦の救済、それからまたお医者さんの負担の軽減というものをまず前 面に出して、その後、過失の有無について判定をして、過失があれば通常の訴訟まで行く、そういう全体の仕組みになっているという ことでございます。

阿部(知)委員 そのために、きょう皆様のお手元に配らせていただいた資料の中で、最も大切なのは、過失の 有無を調査し適正に判断する運営組織に課せられていると思います。

 今厚生労働省の方では、日本医療機能評価機構に置くようなお考えもあると思いますが、実は、過失があった場合には医療現場が是 正されるような機能もこの組織に持たせていただかないと、患者さんたちは、単にお金の問題で医療事故に対しての救済を求めるだけ でなく、再発防止という観点が非常に強い願いであります。医療現場が安全なものになってほしいというのが何よりの願いでございま す。

 今の制度設計でいきますと、果たしてこの運営組織はそうした是正を行政指導できるものなのか否か、ここは大きくネックになって くると私は思います。今のスキームのままでいくと、民間保険会社にお支払いをまずしていただくためだけのもの、金だけのものに終 わりかねない。

 この点について、これは原局でも結構です、どのようにお考えであるか。きちんと是正、指導、行政的な指導はどのように担保され るのか。

 二つあると思います。過失があったら、今は医道審などにかけられるわけです、医師の民事における問題も医道審の範疇になりまし たから。患者さんたちが一番望むのは、二度と再び繰り返されないということ。もちろん無過失の場合の救済はそれはそれとしてござ いますが、ここには玉石混交でいろいろなものが参ります。そうすると、果たして医療現場への指導がなされるのか。そして問題が医 師の事案と発覚した場合に医道審などにどのような形で反映されるのか。この二点、お願いいたします。

松谷政府参考人 産科の無過失補償制度の関係でございますが、与党において取りまとめられた枠組みにおきまし ては、基本的には民間保険を活用するわけでございますけれども、民間保険会社の外に運営組織を設置して、その組織が補償対象か否 かの審査あるいは今委員御指摘の事故原因の分析を実施し、また、事故原因等につきましては、再発防止の観点から情報公開を行うと いうこととされているところでございます。

 現在、しっかりとした調査や再発防止策等を講じることができるものになるよう検討させているところでございます。

 また、行政処分との関係でございますけれども、御存じのとおり、医師法では、罰金以上の刑を受けた場合、あるいは医事に関する 不正のあった場合などにつきまして、医道審議会において御審議をいただいて、その結果を踏まえて行政処分を行うこととしていると ころでございます。

 行政処分に当たりましてはこういう過程を経るわけでございますけれども、無過失補償制度で過失が認定された場合で医師個人に著 しい過失があるというような場合など、個別の事案によっては、調査を行い、行政処分が行われる場合も当然あるのではないかと思っ ております。

阿部(知)委員 そこをしっかりしていただきたい。

 そして、お金の制度設計の問題は、時間がございませんので次回。

 そして大臣、最後に、ごめんなさい、一つだけお願いがあります。

 今、厚生労働省が進めているお産の集約化の中で、集約された先の病院が、マンパワー上、もう手いっぱいだからお産を断らざるを 得ないという事態が既に生じています。集約化したってあふれている、この現状に今厚生労働省は、お調べ中であると伺いますが、も う火急的ですのでよろしくお取り組みいただきたいと思います。

 終わります。


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