第166回国会 厚生労働委員会 第19号(平成19年5月11日(金曜日)) 抜粋 案件:
政府参考人出頭要求に関する件
日本年金機構法案(内閣提出第七八号)
国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七九号)
歳入庁設置法案(山井和則君外五名提出、衆法第二三号)
国民年金事業及び厚生年金保険事業の適切な財政運営に資するための国民年金法及び厚生年金保険法の一部を改正する法律案(山井和則君外五名提出、衆法第二四号)
公的年金制度に対する国民の信頼の回復を図るための年金個人情報関係調査の実施等に関する法律案(山井和則君外五名提出、衆法第二五号)
〔前略〕
○櫻田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。阿部知子君。
○阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
本日、私はこの質疑時間を、同時刻にイラク特別委員会がありますために、民主党の御好意で民主党の皆さんよりお先にやらせて いただくことになりました。大変にありがとうございます。
そこで、冒頭、早速大臣にお伺いさせていただきますが、年金の問題と申しますのは今国民にとっても最大の関心事ですし、私ど もがこうした委員会で審議することが、国民にとっての年金不安や将来不安にきっちりこたえていくような場であってほしいと願う ものであります。しかしながら、せんだっての与党の皆さんの水曜日の質問に引き続いて、きょう午前中、民主党の長妻さんが質疑 をなさいましたけれども、私は正直言って、こんな法案だったの、こんなずさんなことが放置されたまま、またさらに恥の上塗りの 法案になっていくのかなという危惧を持ちました。
そこで、大臣に冒頭、大きく二くくりで二問お願いしたいと思います。前半の年金という問題では、今我が国の年金ということに ついて最も重要な問題は何であるのか、この点の大臣の認識をお願いいたします。
○柳澤国務大臣 年金制度は国民の老後生活等の安定、これは遺族年金、障害年金を含めてお答え申し上げている んですが、基本的には老後生活の安定ということが柱だと思います。そういうことで、少子高齢化が進む中にありましても、国民皆 年金のもとで、その役割、機能を堅持していくということが最も望まれる機能でございます。
この国民の期待にこたえていくために何が一番大きな課題かといえば、それはもう申すまでもなく、長期的な給付と負担の均衡を 確保することを通じて制度を持続可能なものにすること、これが最も大事なことである、私はこのように考えます。それと、そうい う制度的な、実態的な課題ということと同時に、年金の運営組織について国民の信頼にこたえるということが最も大きな課題である、 このように考えます。
○阿部(知)委員 当然ながら制度と運営だと、両方を大臣は御答弁でありました。
そして、制度の中身ということを言えば、一番大切なものは年金というものに対しての拠出、すなわち、国民年金であれば保険料 の納付、あるいは働く者の厚生年金であれば勤労者と事業主の両方の保険料負担。今の我が国にとって、この年金制度の根本になる 拠出の部分が非常に揺らいでいるんだと思います。この入ってくる方が揺らげば、当然アウトプット、給付という方も問題になりま すし、その中間を、ハンドル、扱う例えば社会保険庁等々の機構もまた非常に難題を抱えるんだと思います。
私はきょう、長妻委員と大臣の御質疑を聞きながら、例えば総務省の方が厚生年金の未加入の事業所の数を六十万と推定され、今 社会保険庁の方では実際に実務でそうしたことを調べて加入促進を図ったのが六万、この間にある大きな乖離、もちろん、一方は予 測であるし、片っ方は実績であるといっても、これだけ乖離があると、国民にとっては、みんなで負担してみんなで支えていこうよ という原則にはならないわけです。
この背景には企業の保険料逃れというのも大きいと私は思いますし、また、働く者にとっても、やはり、非常に収入が不安定で目 先も大変だ、日々の生活が大変だというところで、長期的な年金への信頼やあるいはそれを負担してもいいかなという気持ちもどう しても揺らぎがちな、非常に深刻な時代に立ち至っていると思います。そして、そういう時代であるからこそ、これをつかさどりま す社会保険庁の役割というものは、この年金制度をしっかり国民が信頼してくれるように百倍努力せねばならないんだと思うわけで す。
しかし、今回出された法案では、私は聞けば聞くほど、さっき申しました、えっ、そんな法案だったの、官もどきか民もどきかわ かりませんが、どちらともつかないゆえに、どちらの悪い方も引きずったまま、この組織が新たに看板をかけかえるのではないかと 思います。
具体的なことを大臣に伺いますが、これは政権与党の公約でありました、年金の運営の事務費等々にかかわります問題です。
先ほどの御質疑にもありましたが、保険料をいわゆる年金給付以外には使用しない、これは小泉前首相のお言葉でありますし、ま た、百歩譲っても、いわゆる事務費とは給付にかかわりますさまざまな事務であって、それ以外でも以上でもないということは、例 えば現在の法改正が行われました平成九年から十年にかけましても恐らく確認された原則であって、平成十年から十五年までの間、 年金事務費の一部に国の負担以外の財源を充てる、すなわち保険料を充てることについては、人件費以外の年金事務費に対して保険 料財源を充当となっております。人件費以外の事務費に対して今保険料が使われているというのが現状の骨格であります。
ところが、大臣、御存じでしょうか。平成十年から今日の平成十八年まで、年金の事務費というものにかかわりますうちの国庫負 担分と保険料負担分の比率が、どんどんどんどん国庫負担分が下がり、保険料から支払われる分がふえてきております。このあらあ らのデータを御存じでしょうか。大臣、もしおわかりでなければ実務サイドでお願いいたします。
○柳澤国務大臣 阿部委員におかれては、午前中の御議論を聞いていて何か不安になられたというようなことをお っしゃるわけですが、それでは困るわけでございまして、それはどうしてかといいますと、こういう社会保険庁の抱えるいろいろな 問題を解決しようというときに、先ほども申したように二つ方向があるんですね。
民主党さんのように、これをもっともっと国の機関として国会の議論の近くに置くということと、それと、我々のように、できる だけ民営化をしていって、それで、民の行動原理と申しますか、そういう原理を使ってこの問題を解決しようということと、二通り あります。 私どもは、独立行政法人を考えるときも、我々の行政改革のところでは二通りあったわけですよ。そういうようなことで、これは もう基本のところで方向が違ったということでございます。
我々は、そういうことの中で、一つ事務費について、これを直接的に年金の給付、徴収、こういうようなことをやるところに限る、 しかし、人件費等、一般の行政経費については国庫負担をする、こういう原則を立てて今回もやっているわけでございまして、グリ ーンピアに象徴されるような、そういう年金福祉というようなものについては、これを廃止したということでございますので、御理 解を賜りたいと思います。
○阿部(知)委員 大臣も、数値等々おわかりのない中で、精いっぱい答えようとしてくださったんだと思いま す。
私は、午前中を聞いて、年金が国民にとって不安になった大きな理由を二つ述べさせていただいたつもりです。
一つは、拠出回避、いわゆる保険料負担を免れている人たちがそんなにいるのかというふうに国民が思えば、例えば国民年金の納付 率もそうでございます。これは最後に村瀬長官にも伺おうと思いますが、八〇%などという目標を立てても、せいぜい不正免除や、本 当はそこにいる人を不在処理して、分母処理をして上げているだけの、実際は、納められない、あるいは納めていない人の増大、そし て企業も保険料負担を回避する、これはもう制度設計にかかわります問題で、大きな不安のもとです。
もう一つは、これを運営する組織が、今大臣がおっしゃったような独立行政法人、これももどきですけれども、そういうものにして いくことが本当に何を意味しているんだろうかと。私はいろいろな意味があると思いますが、一つわかりやすい数値でお伺いをしたい と思って、事務費の問題を取り上げたわけです。
これは、大臣、御存じないかもしれませんので、平成十年度予算では、例えば年金事務費二千九百三十七億円中、国庫負担は二千三 百二十九億円、そして年金の保険料負担は六百八億でありました。約四対一と記憶してください。そして、平成十九年度になりますと、 国庫負担は千七百九十六億に対して、年金の保険料負担が九百五十七億、二対一くらいに保険料負担の占める比率が高くなっているわ けです。
その間にあるからくりは何だろうか。私は、その答えの一つを先ほど大臣の答弁の中に見出したので、あえて伺ったわけです。
大臣は先ほど、これからさらに看板がかけかえられて独立行政法人もどきになったときに、さらに、繁忙期にそこで臨時に雇った方 の人件費も保険料から出すとおっしゃいました。実は、この間のからくりとは、正規の職員以外の、例えば年金のためのいろいろなサ ービス説明やそうした非常勤の皆さんの給与を、ある意味で、非常勤であるゆえに物品費同様に扱い、年金の人件費としてではなく、 いいですか、大臣、保険料から流用してきたんですよ。そして、今度この看板のかけかえが起こったら、さっき大臣のおっしゃったよ うなことがさらに加われば、これは保険料からどんどんどんどん使い込まれていくわけです。そんな改正におめおめ、何が官から民で すか。これは流用法案ですか。保険料をさらに流用して恥じない法案ですか。
大臣、答えていただきたい。なぜこの十年間で国庫負担は減り、保険料の負担がふえ、そのふえた中身は何であり、今度かけかえた らどうなるのか。そこをこの審議中に明確にしていただかないと、こんなもの、官か民かの言葉の遊びで、実際は負担増法案になりま す。いかがでしょう。
○柳澤国務大臣 先ほど私が答弁申し上げたのも、常勤、非常勤ということで、片や国庫負担、片や事務費という ふうにするということを申し上げているわけではありません。非常勤でありましても、恒常的なマンパワーを裏づけるところの人件費、 これは形態的に物件費の形をとろうとも、これはもう国庫負担で行うということでございます。
しかし、季節的な繁忙というようなことで、直接に、年金の事務が繁忙期になったというのでそういうような臨時の職員を雇った場 合は、これはまさに直接、年金事務に充てられる事務費ということで、これは保険料によって充当されるということを申し上げたので、 一般的に常勤、非常勤で分けるということではありませんので、その点は御理解を賜りたいと思います。
それからまた、もう一つ申し上げたいのは、保険の事務費のうち、保険料負担の部分がふえてきたのではないかということですけれ ども、これは、明らかに平成十年度から、いわゆる特例措置という形で、事務費のうち保険事業運営に直接かかわる経費はやはり保険 料で持っていただくべきではないか、こういう考え方の転換がありまして、それ以降、そうしたことが数字の上にもあらわれていると いうことで、そこで一つの制度的な変換が行われたということを御理解賜りたいと思います。
○阿部(知)委員 制度的な変換が起こったのは、平成九年度から十年度なのです、大臣。その後もどんどんどんど ん保険料からの支出がふえていくんです。私は、なぜですかとそこを伺いたいです。
いいですか、大臣。平成十年度、初めて六百八億が保険料から充当されました。現在は九百五十七億です。そして、これから先、こ の看板のかけかえ後は果たしてどうなっていくのでしょうか。今大臣の御説明の中の、このうち幾らが、これまでも、繁忙期だからこ れは人件費から出さないで、働いてもらった人には保険料から出しましょうとやってきた分がどんどんどんどんふえてきたのですか。 なぜ保険料からの支出はふえてきたのですか。今後はどうなるのですか。大臣には、ここをきちんと見せていただかないと、国民は納 得できません。
大臣、御存じですか。せんだっての福島委員の御質疑の中でありました。例えば労災保険あるいは失業保険等々は、全員が加入して いるものではないから、その運営には保険料を充てるということも考えられるでしょうと。福島委員もそうおっしゃいました。御答弁 もそうでありました。しかし、大臣、年金という仕組み、冒頭大臣がお答えになりました、全国民の強制加入を前提に、全国民がかか わるわけです。世代間扶養と所得再配分を行う仕組みなのであります。世代間扶養と所得再配分を行う仕組みにかかわる事務費なので あります。
これは、正直言って、限りなく税に近いものだと思います。ここの社会保険料と税の仕切りは、この年金問題においては、私は、今 後ますます、ある社会保障税的な意味を持ってくるものと理解しております。ですから、そういうものを扱うのに、保険者が一つの共 助の仕組みの保険のあるグループだけの保険料で運営するというやり方が、どんどんどんどん、いつの間にか国の財政の逼迫の中です りかえられて、論理も理屈も立っていないと私は思います。
そして、大臣、なぜここまで、九百五十七億にふえてきた中身は何ですか。せめてそこだけでも明確にしてください。六百八億円か らふえてきた中身は何ですか。
そして恐縮ですが、今御答弁がかなわなければ、きょう私はこれを予告はしておりませんので、朝、長妻委員の御質疑を聞きながら、 そこまで使っちゃうのと本当にびっくりしました。繁忙期の職員の給与まで出していったら、今度どんどん正職は少なくして、繁忙だ 繁忙だといって非常勤を雇って……(発言する者あり)本当です。年じゅう繁忙だったらどんどん保険料から使うんだろうか。これは 素朴な国民の実感ですよ、大臣。
だから、なぜこれまでの十年間こうやって保険料からの拠出の方が多くなっているのか、この点について次回で結構です、詳しいデ ータ分析をしてぜひ御答弁を賜りたいのと、看板をかけかえた場合にこれはどうなっていくのか、その点についても聞かねば私たち納 得できませんので、よろしいでしょうか、大臣、お願いします。
○柳澤国務大臣 まず第一に、事務費を一切保険料で賄うということをやめるべきだ、そういうお立場からの議論で ございますけれども、これはやはり海外の例もそうですし、また、いろいろな民間における活動という場合にも、直接に年金保険とい うものを賄う、運営する費用ということにつきましては、そうした事務費については保険料で負担をしていただこうということが、先 ほど委員も御指摘になられた特例という形で最初はスタートしたということでございます。
その後、事務費が十三年、十四年というところで少しふえたわけでございますけれども、これはむしろ、地方の事務であったものを 国の事務に転換をしていくという例の行政改革の裏づけとしてこちらの事務費がそれなりに増嵩をしたということでございまして、そ の中で徐々にそれを節減する努力が続けられているというのが、最近、ここ数年における推移であるということで御理解を願いたいと 思います。
○阿部(知)委員 申しわけないが、大臣は数値をごらんじゃないのでちょっと答弁がずれていらっしゃるんだと 思いますので、今私は質問予告しましたし、また次回、数値も用意して大臣ときちんと質疑させていただきたい。
とりあえず、平成十年から十五年のお約束は人件費以外のものでございますから、それが例えば繁忙期であれ何であれ、その間の人 件費まで保険料でかぶっていくというふうな構造をこのたびの改正でさらに滑り込ませる、そういう邪悪な改正と申しましょうか、こ れ、ずるですよ。そういうことまでやるのかとびっくりしましたということだけ申し添えて、次回また引き続いてやらせていただきま す。
今大臣は、世界各国の年金の仕組みにおいて、運営にかかわる費用がどのように拠出されているかというところにも少し言及されま したが、そうならそうで、もっと現下の国際情勢、世界じゅう年金は、先進国で年金制度を持っているところはどこも悩んでおるわけ です。しかし、年金の信頼性、例えば効率性、透明性、公平性を担保するために世界各国は集まって、ISSAと略される会議、これ は国際的ないわゆる社会保障担当官庁国際研究機構というのがジュネーブにございまして、そこでみんなで知恵を集めて、本当に年金 問題を、お互いのいいところを取り入れて、官庁としても上手にやっていこうという部署もあるわけです。社会保険庁からもこのIS SAに人が派遣されていると思います。
村瀬長官に伺います。これまでの世界各国との論議の中で、今長官は、我が国の年金の運営組織の問題点と、世界各国が抱えている 問題点と、また、交流の中で学ぶべき点があったとすれば何であるとお考えか、御答弁をお願いします。
○村瀬政府参考人 今委員御指摘のように、国際社会保障協会、通称ISSAと言っておりますけれども、これに対 して社会保険庁は加盟をしております。日本の社会保険制度や事業運営を他の国の加盟機関に情報提供するとともに、社会保険庁の事 業を推進させるために必要な情報を収集しているということでございます。
私自身も実はそのISSAのメンバーでございまして、三年に一度、世界大会が開催されますけれども、その総会が近場で行われた ということで、一昨年、参加をしてございます。また、アメリカの社会保障庁の長官は訪問していただきまして、意見交換もしており ますし、それから本年度はドイツの年金保険機関から二名ほどお越しいただきまして、お互いに持っている情報交換もさせていただい ております。
また、ISSAへ派遣しています職員からは、会議参加を含めて、人口の高齢化、社会保障制度の事業運営の効率化、被保険者等へ のサービスの質の向上、お互いにやはり同一の問題意識を持っておりまして、その部分についての意見交換もさせていただいておりま す。
したがって、我々といたしましては、ISSAが持っておりますデータベースであるとか会議レポート、これらを通じまして、我々 の情報も適宜公開し、また各国の情報もいただいているということでございます。
また、最近の例といたしましては、ねんきん定期便でございますけれども、この部分につきましては、ISSAからの情報を参考に して検討した経緯はございます。
○阿部(知)委員 スウェーデンのオレンジレターでしたか、それからねんきん定期便、いい考えだと思います。よ いところはどんどん取り入れて、ただし、今村瀬長官があえて御存じでおっしゃらなかったのかどうか、私は村瀬長官はそこまで回避 する方ではないと思うので指摘させていただきたいですが、世界じゅうの年金の徴収の仕組みで大体諸外国が最も眼目としております ところは、加入者の満足度の改善ということで、サービスの改善ということです。
ところが、我が国とギリシャのみ保険料拠出回避対策というのが、すなわち冒頭申し上げました、例えば保険料を企業も回避してし まう、あるいは国民年金の保険料納付が実は六割だ、国民の保険料回避対策が眼目の一になっているというところは、本当に先進諸国 の中では少ない。それが現状、日本がなぜそこに立ち至っているのか、そのことを考えると、実は年金の制度設計の問題にも連なって くるんだと思います。
そして、一言で言えば、村瀬長官大好きなというか、私も大事と思いますガバナンスと言われる年金の問題における効率性、公平性、 透明性、これを総称してガバナンスといいますが、これをどう運営組織の中に根づかせていくかということが実は世界じゅうで問題に なり、しかし、日本はその場合、まず第一に保険者に払ってもらわなくちゃねというところでとどまっている。国会でこういう審議が ある都度、社会保険庁ってまたそんな不祥事をしたの、もう保険料なんてどうなっちゃうかわからないね、今度、保険料から事務費ま で全部出すんだってさ、いや、もう底なし沼だねと国民は思うわけです。でも、それではやはり余りにも悲しいと思います。
私は、実は社会保険庁改革においてはいろいろな提言をしたいです。でも、きょうは、最後の一問になりますが、この間、社会保険 庁がいわゆる市場化テストというのを行ってこられましたが、これもまた、やって、その成果をあるいは総括をちゃんとして次のステッ プに臨んでいるのかどうかというところで、私は、国民に対しての大きなごまかしがあると思います。
実は、皆さんのお手元に配らせていただいた資料、二枚でございますが、「国民年金保険料の収納業務(市場化テストモデル事業) に係る評価について」というのがございます。平成十七年十月から十八年九月までの一年間、五カ所で保険料の徴収業務を市場化テス トに投げました。そして、その結果を社会保険庁自身が評価されたものが二枚目に書いてございます。
簡単に言うと、今回の市場化テストは、コストは安かったけれども、納付率の改善もさしたるものもないし、むしろ徴収が困難な、 二枚目の上の方に書いてありますが、遠隔・山間地などの全区域で納付督促を実施する等々の今の社会保険事務所がやっていることに は手をつけられていない。簡単に言えば、安かろう悪かろうで、五カ所とにかく終わった。ところが、これが今年度もう既に、この総 括を待たずして、平成十八年七月から対象事務所を三十カ所拡大しております。
大臣に伺いたい。市場化テストはやった。いろいろな問題があってはかばかしい評価は出なかった。しかし、その評価を前に、それ 以前に、次の年も同じ手法でまた三十カ所市場化テストを投げ、さらに来年は九十カ所やり続ける、こういうのを税金の無駄遣いとい うんじゃないでしょうか。
市場化テストはやるなとは言いません。しかし、一つ一つ丹念に問題点を把握して次に進む、これが政策というものがどのように評 価され、定着していくかのもとではないですか。なぜ、この市場化テスト、十八年度、十九年度と当初の総括を待たずして次々にぶん 投げられていくのか、御答弁をお願いします。
○柳澤国務大臣 そんな乱暴な阿部委員らしくないお言葉を使われなくてよろしいかと思うんですね。それはどうし てかというと、私どもは、こういう総括的な評価をしつつも、なるほどな、民間の人たちはこういうことをやるのかというところを感 じるところがございました。
それはどういうところでそういうことを感じたかと申しますと、やはり、個々の被保険者に直接納付を働きかける場合に、早朝とか 夜間とか休日など、通常、国家公務員の活動としてはなかなか考えられないようなところで被保険者と接触をされて、一定の成果を上 げたというようなことが実はあったわけでございます。そういうようなことは、なるほどというようなことで、まさにこうした弾力的 な対応が可能なのは民間だ、したがって、ここのところは民間を活用して大いにやろう。
そして、今委員が指摘されたような、なかなか不便なところには手間がかかるということで、コストの競争という面もあったので行 かれなかった。しかし、今度は行くような、そういう我々の評価基準みたいなものをつくって、そういうところにも手を差し伸べてい ただくように、これはスキーム自体を改善して委託をしていこう、こういう考え方に立つということについても御理解を賜りたいと思 います。
○阿部(知)委員 何も乱暴なのは私じゃなくて、この市場化テストのやり方なんだと思います。
大臣が今御答弁されたような内容は、ここには一言も言及されておりませんし、すなわち、戸別訪問をきっちりと、社会保険事務所 の場合は電話だけじゃなくて出かけていく、電話に加え戸別訪問などのウエートが高いということがコスト高にはしておる。しかし、 その双方を比べたときの徴収率においては、電話だけの方でもさしたる、コストも安く、しかし、なおかつ成績も悪い、こう五カ所中 四カ所書いてあるんです。それでも、同じスキームで次をやられた。
もう時間の関係で委員長がこちらを強くごらんになっていますので、これは次回に送らせていただきますが、今の大臣の御答弁は、 ちょっと私は納得いたしませんし、ますます語気も強くなりますので、次回にさせていただきます。
終わります。
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