第166回国会 厚生労働委員会 第22号(平成19年5月22日(火曜日)) 抜粋 案件:
日本年金機構法案(内閣提出第七八号)
国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七九号)
歳入庁設置法案(山井和則君外五名提出、衆法第二三号)
国民年金事業及び厚生年金保険事業の適切な財政運営に資するための国民年金法及び厚生年金保険法の一部を改正する法律案(山井和則君外五名提出、衆法第二四号)
公的年金制度に対する国民の信頼の回復を図るための年金個人情報関係調査の実施等に関する法律案(山井和則君外五名提出、衆法第二五号)
〔前略〕
○櫻田委員長 次に、阿部知子君。
○阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
本日は、六人の参考人の方、いずれも大変に内容のある意見を伺わせていただきました。そして、私は、そうした御意見を伺いな がら、今、先ほどの公文参考人の御指摘にもあるように、そもそも年金の制度設計というところの根幹に手をつけないと、枝葉末節 をいじっても、本当のところ、国民にとって安心できる年金の運営組織すら浮かんでこないんだということを改めて意識した次第で あります。そして、そうした観点から参考人に順次お話をお伺いいたしたいと思います。
まず佐藤参考人にお願いしたいと思いますが、今回の新たな組織を非公務員型の公法人にするということでありまして、特に保険 料の拠出問題では、国民年金の徴収等々のサービスの向上というか、納付率の向上ということが言下にイメージされていると思うん です。でも、私は、本日の審議でも思いましたが、今我が国の年金制度で骨格的に重要な部分、もちろん基礎年金たる国民年金はそ うですが、厚生年金に当たる部分が実は非常に危機的になっているんだと思います。
どういうことかと申しませば、先ほど来参考人の御意見にもありました、非正規雇用の増大で、厚生年金の担い手の数もさして、 勤労者がふえる割にはふえておりませんし、また、意図して加入を逃れる事業所も数多いわけであります。すなわち、年金の拠出の 確実性を問うのであれば、厚生年金に未納あるいは未加入であるところの事業所の問題、これに手をつけられないと、やはり公平性、 公正性というところが浮かんでまいりません。しかしながら、もし公法人で民間的手法と言われましても、加入していない事業者に 民間的手法をもって加入を達成するというのは非常に難しいと思います。
例えば国税であれば、事業所が届け出を出したときに、同時に、そこの事業実態ということも把握するわけであります。その意味 で、私はむしろ、国民年金もさはさりながら、厚生年金は屋台骨、年金もここから我が国も始まったわけです。このことを考えた場 合に、本当に民間的手法とは何なんだろう、有効なんだろうか。
それからもう一つ、民間的手法の大問題が、この審議の中で指摘されたのは、今度の新たな年金機構法の例えば理事長なる人は、 国会に呼ばれて、公務員であれば来なければなりません、しかし、これは来る義務はない方となります。国民への説明責任、透明性 において百歩後退すると思います。
この二点、いかが検討されていらしたかについて、お願いいたします。
〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕
○佐藤参考人 有識者会議でももちろん、拠出、厚生年金部分ですね、ですから事業主との関係、ここはかなり 対応が従来もできている部分だと思うんです。ただ、おっしゃるとおり、把握できていない部分があるんじゃないかとか、そういう ことなど絡んでいると思うんですね。ですから、これは、別の情報を政府が握っている部分がありますから、横のリンケージをどう とるかという話だと思うんですね。それで対応していく。ほかの場合もそうでしたけれども、例えば、市町村の協力を得て少しずつ 改善されていく部分もございますので、それはこれからの業務改善あるいは方法論の問題になると思います、業務執行の。そういう ことでございますので、御指摘の点はおっしゃるとおりですので、並行して業務改革等でやれるようにしていただく、これはおっしゃ るとおりだと思うんです。
それから二つ目の、公法人で、理事長以下、これは非公務員ですから、直接こちらに例えば参考人等でおいでいただくことはでき ないわけですけれども、しかし、監督が厚生労働大臣なんですね。まずそこできちっとやっていただいた上で、必要があれば当然理 事長も委員会にお呼びいただく。そのかわり、委員会にお呼びいただく手続は事前に皆さんの理事会でお決めになるんでしょう、そ こできちっとお決めになって、それで承認をとればお呼びできるんじゃないでしょうか。だから、まず厚生労働大臣のところで監督 をきちっとしていただいて、それを御報告いただいて、なお足りなければとか。ですから、全く不可能ではございません。
○阿部(知)委員 もちろん不可能ではないのですが、先ほど来、各参考人の御意見にもあったように、これから、 社会保険庁の現在やっているような社会保障に関する業務というのは、非常に国民的関心事なんですね。多岐にわたりますし、そし て細やかなサービスも必要だし、国民と呼応しながらやる。その呼応の場はどこかというと、その大きな窓口の一つが国会という場 なんだと思います。そういうところに、場合によってはという、義務を負わない立場というのは、極めて政治的力関係の中で隠れた りいたしますから、私は、その意味でも透明性の担保にならないと、強い疑いと申しますか懸念を持っております。
次に、紀陸参考人にお伺いいたしますが、私が冒頭申しましたように、国民年金の基礎年金部分もさはさりながら、恐らく、今企 業経営者にとっても厚生年金問題というのは、実は、世に言う、社会的責任を果たしてくれという強い要望はありますね。みんな非 正規雇用になって働いているのに、国民年金、簡単に言えばおかしいじゃないかと。
これは国民の強い意識で、ワーキングプアなどという言葉も聞かれる昨今ですから、経営陣の皆さんも無関心ではいられないとこ ろと思いますが、もっと身近に、関心事として、この間、厚生年金の保険料収入は、一九九七年をピークとしまして、二〇〇三年あ たりは二十兆を割るくらい減ってきております。今横ばいですが、先ほど申しましたように、働いている者の数はふえているわけで す。厚生年金の保険料はふえない。
一方で、国民年金特会に出さなきゃならないところの負担金は今十兆円。大体半分は国民年金の保持のために回していかなきゃい けない。本来であれば、厚生年金そのものがもっとしっかり屋台骨を堅持していかなければ、この国の社会の安定がない。企業活動 だって、しょせん社会が安定していなければ、いい人材もいいものも、いい企業活動はできないと私は思うんですね。
そうした厚生年金のあり方についての危機感はどのように持っておられるか。また、その中で当然、私は、この間問題になってい る非正規雇用の皆さんの年金の保障の問題、もう少し、本当にこの時代、数値を見れば経営陣だってもっと深刻になっていいんじゃ ないかなと思うのですが、いかがでしょうか。
○紀陸参考人 貴重な御示唆をいただきましてありがとうございます。
私どもも、一階の部分も二階の部分も持続的に安定的に制度が維持されることが一番大事な問題だと考えておりますが、特に、先 生御指摘の厚生年金の部分につきましては、基本の問題を考えれば、雇用の関係、先ほどもちょっと御指摘ございましたけれども、 正規の方と非正規の方の組み合わせをどうするか。逆に言いかえますと、厚生年金が国民年金を支えているというような構造が今現 在ございます。先行き、根っこのところの雇用の関係をどういうふうに見通していくのか、その関係によって、当然ながら厚生年金 の保険料収入に影響が出てまいります。
これと別に、短時間雇用の方々の扱いという問題も出ましたけれども、私どもこの問題は、個別企業がどうできるかということよ りも、別途に、いわゆる日本の労働市場の中でどういうような雇用形態の組み合わせをしていったらば、働く人も企業も両方にいい 関係がつくれるか、そういうことが結局厚生年金にはね返ってくる問題ではないかというふうに思うんですね。それで、今現在でも 既に生じておりますけれども、先行き労働力供給が確実に減ってくる、そのために、我が社の雇用の構成を早目に組みかえていかな ければいけないということでもって、非正規の方を正規の方に入れていく、もうそういう動きが出てきております。
これは、一社がやれば全部右へ倣えかというとそうでもないわけなんですけれども、やれるところは、ようやく景気も回復してま いりましたし、企業の財務体質も改善してきましたので、いわゆる広い意味で雇用の関係の改善に力を入れざるを得ないというよう な状況が出てきておりまして、それに企業が対応している、経営者の方々もそういう考え方に変えてきているということでありまし て、私どもとしては、先行き必ず労働市場の形が変わってまいりますので、その変化に応じて厚生年金の部分の形も徐々に、ストレ ートではないにしても、いろいろな影響を受けてきて、今の先生の御指摘の問題についてもある程度の解が出てくるのではないかと いうふうに予測をいたしております。
○阿部(知)委員 年金制度というのは、だれしもいつかは年をとり、あるいは働けなくなるもので、本当に社 会の安心の根幹ですから、企業側にも加速する努力を私はお願いしたい。拠出回避というのは、国民年金の保険料を払っていないだ けじゃなくて、結果的に、事業主が雇っている方の保険料の拠出をしていないということも含めての拠出回避で、これが社会的には 大きな問題なんだろうと思います。
時間の関係で、先に谷澤参考人にお伺いさせていただきますが、きょうの切実な、国民の声と思ってもいいようなお話は胸を打つ ものがございました。そして、その中で、立証責任の転換という言葉を使われましたが、要は、領収書を持ってこい、本当におまえ は納めたのかと、これは本末転倒、逆さ、逆転、とんでもないことが現実に起こっています。
私は、この件について柳澤厚労大臣にも質問したのですが、そもそも、谷澤さんもよく御存じの国民年金法の中では、例えば、記 録等の保持はきちんと社会保険庁自身が義務として持っているもので、その正しい記録保持がない。原簿を備え、基礎年金番号やそ の他いろいろは、事項を記録しなければならないと義務が課せられているのは、社会保険庁の方なんだと思うんですね。にもかかわ らず、立証責任のところでまた、わざわざ、本当に谷澤さんがおっしゃるように、転換せいと言わなきゃいけないほどどこかで逆転 してしまっています。
私も立証責任の転換は大賛成ですけれども、何でこんなに逆さになっているのか、おかしい、ここをもう一度谷澤参考人の声でお 願いしたいと思います。
○谷澤参考人 阿部先生の言われるとおり、全くそのとおりであります。
私は、友人関係では性善説でありたいと思っています。しかし、この年金の問題に関して、社会保険庁の長官あるいは幹部諸氏に 関しては性悪説であります。この人らはほっといたら何をするかわからない。国会の先生方と政府ががんじがらめに監督しなければ ならないと思っています。
例えば、グリーンピアの問題で、三千七百億円という赤字を出していますが、これはだれが出したんですか。だれも責任をとった 人がいないじゃないですか。私が悪うございました、間違いましたと言う人はいないじゃないですか。これがいいことですか。私に 言わせたら、とんでもないことです。国民の年金資金を無駄遣いしている。
それで、先生方、思い出してくださいよ。年金資金の運用に関しては、社会保険庁の問題があるということで、国会決議がなされ ています。適正にしろという国会決議が六回なされているんです。六回なされてこのざまですよ。先生方もだまされているんです。 私は口が悪い。これだけ大きな声でどなりまくって、悪いと思います。だけれども、本当にどうしようもない立場の国民の人のこと を考えてください。
国会の先生方が、社会保険庁の運用資金が問題だと言うて六回も国会決議して、きちっと適正にしなさい。当時の社会保険庁の長 官も幹部諸氏も、きちっとしますと言うたはずですよ。それがこのざまです。
三千七百五十億の赤字ですよ。それをほっておいて何を言うんですか。私に言わせたら、三千七百五十億、自分らで赤字せたろう て責任も負わへんやつが、国民の年金の領収書にごちゃごちゃ言うなというのが私の意見であります。当然のことでしょう。国民の 困っている人を助けなさいよ。それが社会保険庁の諸君のする仕事じゃないですか。
以上であります。
〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕
○阿部(知)委員 本当に真っ当な御指摘でありますので、ゆめゆめ、例えば参考人のお話を伺ったらすぐ採決 しましょうなどとおっしゃる皆さんもおいでなのですが、この問題にきっちり決着、方向性をつけずして、そんな国民不在のことは ないだろうと思いますので、私もまた野党の一員として頑張っていきたいと思っています。
最後に、渡部記安参考人にお伺いいたしますが、今の谷澤参考人のお話にもありましたように、日本は、保険料を積み立てた積立 金を、例えば勝手な投資で失ってしまったり、それから、あるいは流用して、三千七百五十億をすって、なくなってしまったりする。
それもやったんですけれども、また、けしからぬことに、例えば年金のいろいろなシステムをコンピューター化するときにも、事 務費と称しまして保険料から全部持っていくわけです。平成十三年から十四年に、市町村からの委託業務であったものを社会保険庁 が引き取った、それで何をしたかというと、入力業務を全部外注化したんですね。外注化するお金に保険料を使ったんですね。
私は、例えば年金の五十八歳通知、スウェーデンで言うところのオレンジレターなどはいいと思うんですが、サービスが向上した ら、全部、保険料が減っていく。何かタコが足を食べるような構造をこれから恒久的にやろうという、もうひっくり返るような今度 の法律案なんですね。
年金の事務費に保険料を使わないということは世界の常識であるとおっしゃった点について、もちろんほかの、株式投資のいいか げんさとか先ほどのグリーンピアはあるんですけれども、それ以外にも、これからますます続くこの事務費流用問題に、もう一度、 再度御意見を賜りたいと思います。
○渡部参考人 渡部記安でございます。お答えいたします。
何もアメリカやスウェーデンやドイツが我々と比べて特に優秀ではないんです。しかし、彼らが、年金保険料、責任準備金は年金 給付以外に使用してはならない、そういう大原則を確立したのは、過去の彼らみずからの苦い苦い経験からだったんですね。
ちょっと申しわけございませんが、外国では、国会議員の先生方や官僚がその責任準備金を悪用してきたわけですよ、流用してき たわけです。その痛い痛い痛みを他の先進諸国はきちんと法律化しまして、保険料、年金責任準備金は年金給付支給以外に使用して はならない、事務費はきちんと一般歳入から出すという原則を確立したわけです。
きょう、このように御熱心に審議いただいている先生方にぜひお願いしたいのは、年金責任準備金は年金給付支給以外には使用し ない、それに違反した者は塀の向こうにほうり込むという明確な法律を制定していただきたいと思います。それが世界の常識であり、 現在は残念ながら日本の非常識であります。
先ほど言いましたドイツの年金学者が日本を批判して言ったのは、五年分以上の保険料を保有しながら株式投資して失敗しておる と。私は忘れもしません、テキストブックフェイリュアと言いましたよ、教科書的、初歩的失敗。世界第二の経済大国と言われなが ら、そういう基盤のところで大きな脆弱な欠点がある。これを阿部先生御指摘のように抜本的に改革して、法律化して、行政罰のみ ならず刑罰法規も制定しなくてはならないと思います。ぜひその御努力をよろしくお願い申し上げます。
○阿部(知)委員 井戸参考人と公文参考人には、申しわけございません、御質問ができませんでした。伺ったことを生かして、国 会審議を進めてまいります。
ありがとうございました。
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