第166回国会 厚生労働委員会 第24号(平成19年5月25日(金曜日)) 抜粋 案件:
政府参考人出頭要求に関する件
日本年金機構法案(内閣提出第七八号)
国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七九号)
歳入庁設置法案(山井和則君外五名提出、衆法第二三号)
国民年金事業及び厚生年金保険事業の適切な財政運営に資するための国民年金法及び厚生年金保険法の一部を改正する法律案(山井和則君外五名提出、衆法第二四号)
公的年金制度に対する国民の信頼の回復を図るための年金個人情報関係調査の実施等に関する法律案(山井和則君外五名提出、衆法第二五号)
労働契約法案(内閣提出第八〇号)
労働基準法の一部を改正する法律案(内閣提出第八一号)
最低賃金法の一部を改正する法律案(内閣提出第八二号)
〔前略〕
○櫻田委員長 次に、阿部知子君。
○阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
本日は、総理御出席のもとということで、本来であれば、総理が冒頭おっしゃいました、現在の社保庁を廃止・解体六分割、腐った組織を 変える、こうした内容が何であるかをもっと審議したいと思います。
しかし、きょう、総理が来ておっしゃったことは冒頭のそれだけで、あとは、宙に浮いた五千万件の年金の処理について、やっと初めて、 六回の委員会審議を経て、この間、へねごねつべこべ言っていた大臣、あるいは、もちろんやる気のない社保庁、その皆さんの答弁を、たっ た一言、総理は、この五千万件について、処置をする、処理をするということを言いに来られただけです。では、具体的にどうするんだとな ると、見通しも内容も全く空疎、中身がありません。
私は、このことを詰める前に、もう一つ、総理にはきょうこの場で、今回の法案が持つもう一つの非常に危険な側面を指摘させていただき ます。このこともきょうぜひ総理に御回答いただきたいと思います。
私はきょう思いました。おためごかしの救済法案と、そして一方で、強権行使の、新たな、特に年金の未納問題に絡めた国民健康保険の短 期証明書の問題、これが子供たちの未来を奪うという問題です。
総理は、日ごろ十分知識をお持ちでしょうから、平成十八年度、短期保険証は百二十二万世帯に交付されております。当然、ここには子供 さんをお持ちの家庭もおられます。先回、先々回の審議の中で高橋委員もお取り上げですが、今回、この政府のやろうとしている法案によれ ば、さらに短期の資格証明書、国民健康保険です、年金ではありません、全く仕組みの違うもの、この違う仕組みに対しても、三カ月、一カ 月と期限の切られた国民健康保険証が渡されます。その御家庭に子供がいたら、夜、急に熱が出た、しかし保険証の期限は切れている、病院 に行くに行けない、こういうことが、今百二十二万世帯、これからこの倍、恐らく二百四十万世帯に起こり得る可能性があります。
総理は、この子供たちの奪われた受診権、もし万が一そのことで何か起こったら、命への責任がとれるでしょうか。冒頭、私は、この法案 は五千万件の問題でこれだけ揺れております、しかし、その陰に、強権的に国民年金の納付をさせるために、ありとあらゆる手だてを使って 国民の暮らしや子供たちの命を脅かす法案であると思いますから、冒頭一問、これをお願いいたします。
○安倍内閣総理大臣 突然の御質問でございますが、ただ、今阿部議員は、実はかなり大げさにおっしゃっている。命を脅 かす、まるで受診ができないかのごとくの質問でございましたが、これは普通の被保険者と同じように受診できます。お子さんが病気になれ ば、短期の保険証を持っていっていただいて受診ができるわけであります。
しかし、期間が短い。期間がなぜ短いかといえば、それは、なるべく市町村と未納者の方々が接触する機会をふやしていただいて、免除が必 要であれば免除の措置をする。また、払う能力があるのであれば払っていただく……(発言する者あり)済みません、理事、私は答えているん ですから。(発言する者あり)いや、だって、質問に対して答えているんですから。
○櫻田委員長 総理が答弁中であります。御静粛に。
○安倍内閣総理大臣 理事だったら、少しルールどおりやってくださいよ。(阿部(知)委員「答えてください、あと五分 なんですから」と呼ぶ)
ということを申し上げているわけであって、ですから、そういう誤解があるようなことは言っていただきたくない。つまり、これは短いか長 いかというだけの差であって、受診はできるということははっきりと申し上げておかないと大変な不安を広げてしまう、このように思うところ でございます。
○阿部(知)委員 この不安は、総理が仕組みをわかっていないからですよ。三カ月で期限が切れたものを持って親御さんは 来ないんですよ。そんなことは庶民の暮らしの当たり前なんですよ。庶民はそれだけ萎縮して暮らしているんですよ。その実態を見ないで、こ の五千万件の年金問題もそうです。きょう、ここにたくさんの人が来られている。社保庁に行って、あれ出せ、これ出せ、それ出せ。出せない んですよ。行くだけだって敷居が高いんですよ。その五千万件に対してやっと総理が手をつけると言った。しかし、具体的にどうするのか。
柳澤大臣と総理に伺います。
このために、例えば三千万人の既裁定者、五千万件のデータを突合するために新たなシステム開発をなさいますか。その人件費あるいはシス テム開発代はどこから出る予算でしょうか。よもよも保険料を流用などはしないのでしょうね。さっき柳澤大臣は言いました、この負荷を次の 組織にはかけないと。であれば、当然、予算、このことにかかわるコスト、きちんと別建てで法律なりなんなりを手だてしてやらねば、やれる ようなことではありません。この間ずっと年金の保険料の流用は続いてきました、事務費という形で。そして、このシステムが導入されて、毎 年一千億のシステム経費、みんな保険料から払っています。かてて加えて、この起きた事態を、大臣、どこの予算から出しますか。総理もお願 いします。
○安倍内閣総理大臣 今回の件につきまして、保険料を充てるということについて、それは自分の給付にも影響があるのでは ないだろうかという御批判、御懸念があることは十分に承知をしております。そうした国民の皆様のお気持ちを十分に踏まえながら、今後しか るべき財政の合理化努力の中で捻出をさせていきたい、このように考えております。
○阿部(知)委員 お金をどこから出すか。では、一般会計の中で別建てでなさるんですね。これはしかと柳澤さんに答えて いただきたい。
実は、平成九年、基礎年金番号が導入されて、そのときのシステム開発の問題が大きく尾を引いていると私は思います。その開発上の問題。要 するに、ソフト、コンセプト、考え方とこのシステムがうまく合致していかないところに、そして先ほど答弁でした、村瀬長官がこの事態に気が ついたのは二〇〇七年二月であった。指摘されねばずっと放置され続けて、看板がかわり、責任が解体する、こんなことは到底看過できないので す。
大臣、はっきりしっかり、お人を雇うとおっしゃった。システムも、もしかして突合のためにつくるとおっしゃった。そのための予算は、どの ように、どこから捻出し、国民への謝罪はどこでなさいますか。
○安倍内閣総理大臣 先ほども答弁をさせていただきましたように、国民の皆様が、今回のことについて、これが自分の給付 にかかわってくる、あるいは保険財政に大きな影響が出てくるんではないか、このような御懸念があることは十分に承知をしております。
我々は、今回の処置についての費用について、保険料から賄うということは考えていないということをはっきりと申し上げておきたいと思い ます。
○阿部(知)委員 そうであればある分だけ、実は、このいま一つの年金かけかえ法案、新しい年金機構、この法案の採決の 前に、めどを立てていただかねばならないのです。そのめどを先ほど来、委員は皆さん、聞かれています。
いいですか、総理、きょう来ていただきましたけれども、総理はただ一言、これを五千万件は宙に浮かせないということをおっしゃいました。い いことです。当然です。そのための立法は、私は、立法などせずとも今の行政の手続の中でできることを、おためごかし立法だと思います。だっ て、落ち度は社会保険庁にあるんですから、納めた側には何もないのです、瑕疵は。それをわざわざ立法して、会計法の云々、確かに柳澤大臣は 詳しい。だけれども、本質的なものを私は見誤っていると思います。
まだまだ、安倍総理が当初おっしゃった解体六分割、腐った組織の中身の話は、何も総理と私どもはいたしておりません。私は、そういう段階 で、よもよも委員長は採決などなさらないと思いますし……(発言する者あり)どうでしょう、委員長。
○櫻田委員長 質問を続けてください。きょうは総理も厚生労働大臣もおりますので。
○阿部(知)委員 はい。総理に伺います。
きょう、総理は来られてわかったと思います。この新たな組織の内容についての論議は、私ども委員会のメンバーと総理はほとんど交わしてお りません。いいでしょうか。たった一言、大臣に命じた、あるいは腰の重い社保庁にこれから大臣は言うんでしょう。そうやって順送りみたいな ことがやっと動いただけです。本来の大事な信頼を取り戻すための組織についての論議を総理と十分に重ねたいと思いますが、総理、いかがで しょうか。
○櫻田委員長 持ち時間が既に終了しておりますので、総理、短目に答弁願います。
○安倍内閣総理大臣 この法案につきましては、この委員会で担当の大臣との間で十分な議論が、深い議論がなされてきた、 このように思う次第であります。私は、これは重要広範議案でありますから、本日出席をいたしました。この中で、今回、この年金の記録の問題 について主に御議論をさせていただいた次第であります。
そして、私は、たった一言ではなくて、これは被保険者の方々に対してはどういう対応をするか、あるいは既に年金を受給されている方々には どういう対応をするか、突合をどのようにやっていくか、またあるいは、五年のいわば時効と言われた方々についてはどうするかということにつ いて、詳細に私どもの対策をお話しさせていただいた、このように思っております。
いずれにいたしましても、年金は国民の信頼の上に成り立っている。私ども、信頼をしっかりとかち得るべく努力をしていきたいし、この社会 保険庁の改革をしっかりと行うことによってこそ、私は、年金への信頼をかち得ることができる、このように確信をいたしております。
○櫻田委員長 阿部知子君、既に持ち時間が経過しておりますので、質疑を終了してください。
○阿部(知)委員 わかりました。
総理は今、重要法案とおっしゃいました。法案の中身は何も話されていないのです。そのまま採決など、絶対に許されないのです。 そのことを私は最後に申し添えて、委員長に知恵ある采配をお願いいたします。
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