第166回国会 厚生労働委員会 第30号(平成19年6月13日(水曜日)) 抜粋

案件:

 政府参考人出頭要求に関する件

 労働契約法案(内閣提出第八〇号)

 労働基準法の一部を改正する法律案(内閣提出第八一号)

 最低賃金法の一部を改正する法律案(内閣提出第八二号)

 社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案(内閣提出第八六号)(参議院送付)

 救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法案(参議院提出、参法第三号)

議事録全文(衆議院のサイト)
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〔前略〕

伊藤(信)委員長代理 次に、阿部知子さん。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 思えば、この社会保険庁改革問題、あるいはきょうは社会保障の、各国に共通するような新しい制度の設計についての審議でありますが、 年金問題が論議に上がるときはいつもいろいろな数字が飛び交って、その一つ一つが、実はこうした場で、主には野党側の質問によって明 らかになる。そしてそれは、国民の一人一人にとっては、生きていく一人一人の人生をあらわす数値である。

 私ども野党は、昨夜も非常に深夜まで、山井さんは徹夜までなさって、社会保険庁からのデータを求め、得られず、本日は、質問の通告 も十分にはできない状態での質疑を交わさねばならないわけです。

 しかし一方、考えれば、まだ、こうした形で資料を求め、求め、求めて、質疑ができるだけいいかもしれません。なぜならば、これから 後、社会保険庁は解体され、あるいは年金の積み立ての運用機構は独立行政法人となった途端に、こうした国会の審議の中での一つ一つの 数値の確認、あるいは責任者のこの場への出席すらままならなくなる。そして、国民には多大な不安を残したまま、年金はやみからやみに 消えたり、あるいは浮いたり、あるいは隠されたりしていくんだと思います。その意味で、私は、今参議院で審議中の法案は即刻凍結すべ きである、国民の安心、その一言のために凍結すべきであるということをまず申し上げたいと思います。

 そして、冒頭の質問は、先ほど長妻委員が御質疑でありました、一千四百三十万件の、いわゆるマイクロフィルムに残されている、そし てオンラインには統合されていない記録、私どもは、この審議の中で、もうほかにはよもよもそういうものはないでしょうね、今わかって いるものは、オンラインにあるもの、あるいはここでマイクロフィルムにあるもの、そして紙ベースにあるものは基本的にはマイクロフィ ルム化されていると考えて、しかしながら、物によっては一部残っているかもしれない、この三つくらいだろうと思ってまいりました。し かしながら、昨日の参議院の審議の中で、私ども社民党の党首の福島みずほがお伺いいたしました三十六万件の船員保険、このデータは一 体どこにあるんでしょうか。どこにどのような形で隠れているか、置かれているか。青柳さん、お願いします。

青柳政府参考人 昨日の参議院の厚生労働委員会で、今委員から御紹介ありましたように、船員保険のデータについて 御指摘がございました。私ども、急遽調べさせていただきました。結論、わかったことを申し上げます。

 これは、船員保険の被保険者のマイクロフィルムでの情報の管理数でございまして、三十六万件、全体でございます。この三十六万件は、 マイクロフィルムの作成時点では磁気データ化をしておらないということでございます。

 その内容は、昭和十五年から昭和二十五年の四月一日までに船員保険の被保険者資格を喪失した方の船員保険の被保険者台帳でございま して、例示として申し上げれば、厚生年金保険における一千四百三十万件と同様の性格のものというふうに承知をしております。

阿部(知)委員 すなわち、千四百三十万件以外にも、またここに全くオンラインからは外されて、載せられもせず、 眠らされたデータがあるわけです。

 大臣、この一つとて、私たちが審議の中でもう本当に探し出しているんです。それは、国民の不安を解決したいから。千四百三十万件も、 長妻さんが一生懸命過去の社会保険庁の歴史を読み、見つけてきました。もしこの作業がこの国会でなければ、すべてはなかったことにさ れかねません。

 今また三十六万件の船員保険、昭和十五年から二十五年までのものと伺いました。しかし、これも全くオンライン化されておりません。千 四百三十万件だけではありませんでしたね、大臣。どう思われますか。大臣にお願いします。

柳澤国務大臣 千四百三十万件は、これは旧台帳それから資格喪失者の台帳ということで、そもそも長妻委員が御紹介 いただいたときのあの資料にもございましたように、利用の頻度が低いというような位置づけをされておりました。

 そういうことで、それはどうしてかといいますと、結局、昭和十七年に厚生年金がスタートをして、以後、昭和二十九年ということですか ら、その間、十二年間のことでございます。したがいまして、当時の二十年の資格取得の期間、あるいはその後における二十五年の資格の取 得期間ということを考えますときに、やはりそれは、多くの方はかなり一時金ということで決済をされたのではないかというようなことが背 景の認識としてございまして、そういう位置づけになっていたんだろう、このように考えるところでございます。

 そしてまた、三十四年の三月末まで、さらにはその後においてもう一度お勤めになられて厚生年金の資格を取得したという方がいらっしゃ いまして、特に、二十九年から三十四年の五年間に再取得したという人の記録は、この千四百三十万件からまたこのオンラインの方に移行し ているとも考えられますので、非常に対象は少ないのではないかということでございますが、なおやはり、今委員が言われるように未統合の ものもございますから、我々、これについてはオンラインとの照合をしてまいりたい、このように考えているところでございます。

阿部(知)委員 私が申したいのは、あれこれこうやって野党側の委員が探してこなければ、社会保険庁が一切みずか ら明らかにしようとしない、その問題を指摘しているのであります。

 大臣は今るるおっしゃいましたが、それでも、たとえその中に一人でも受給権が消える方があれば、私はそれはもう意図的と思わざるを 得ません。三十六万件は磁気ファイル化されていません。オンラインに行こうにも行く道がないのです。

 大臣は、この間の審議の中でいろいろな数値が行き交う中で、本当に、例えば制度改革の問題、今、年金制度だって、例えば今OECD 諸国の中で、我が国の公的年金は給付のレベルが四〇%を割っているんじゃないかという指摘があるような、本来の年金の問題に一日も早 く行きたいと思っておられると思うんです。しかしながら、相次ぐこうしたデータの、ある意味での、結果的に見てデータ隠しです。これ が相続く限り、私は、その中でいわば強権的な採決がなされて、社保庁が解体されていってもだれも喜ばない、みんな隠されちゃうと思う わけです。

 きょうは、大臣にこのことを強く申し上げて、三十六万件、さらに一千四百三十万件プラス三十六万件がここにマイクロフィルムに残さ れたままであるということを大臣にも確認していただきたいと思います。

 次いで、私は、きょう質疑の中で大変気になったことをあと二点伺いたいと思います。

 いわゆる第三者機関の問題であります。

 今度総務省に置かれる第三者機関によって、いろいろ、例えば領収書がない場合等々も含めて、その方の年金の受給をどうするかと いうことに見解が述べられ、最終的には、厚生労働省で裁定、社会保険庁の、今度どんな名前にするか知りません、裁定をされるわけです よね。

 そうすると、その裁定に不服な場合、違うんじゃないかとやはり思う方はおられるわけです。これまでも裁定に不服申請をなさっている 方はおられます。しかし、今度はダブル責任逃れになります。判断は、先ほどの大臣の答弁では、第三者委員会がした、それを今度の裁定 において厚生労働省は追認するんだと。果たして裁定の最終責任はだれがとれるんでしょうか。だれがその方にきちんと、例えば裁判が起 こったときに面と向かって説明をしたり、あるいは責任をとれるんでしょうか。

 私は、こんな権力の二重構造みたいなことをしたら、ますます受給権からは遠くなる。あちらが判定したんですから、私たちは それを受けてやりましたと言うだけでしょう。総務省の方は、厚労省が裁定したんですから、私たちは第三者委員会として意見を 述べただけですと。

 大臣、普通に考えても、こんな無責任構造をとるべきではないと思いますが、いかがでしょうか。大臣にお願いします。

    〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕

柳澤国務大臣 これは、今委員は裁判の際なぞというお話でございますが、当然、日本国民は、自分の財産権をめぐっ ては、最後は司法の場で判断を仰ぐという権利を有しているわけでございますので、そういうこともあり得ないわけではない、あり得るとい う前提で申しますが、そういう場合には、これはもう逃げも隠れもいたしません。社会保険庁長官、あるいはその地位を引き継ぐ者、これが 裁定者としての責任を負う。それで、裁判等の場合には、社会保険庁長官がこの被告ということになる、こういうことでございます。

阿部(知)委員 だったら、大臣、それは法的には裁定の最終責任者は厚生労働省あるいは社会保険庁あるいは新日本年 金機構になるわけですよ。そして、その間の第三者委員会というのは、果たしてどんな意味を持つのか。最終の裁定まで責任を持たねば、事 はそこに金銭が発生し、受給権が発生することですから、私は、こんなあいまいな組織はとっていただきたくないと思います。

 もう一つ、大臣はおっしゃいました、法的なことで、これだけは確認しなきゃいけません。特例の時効法案のことに関して、大臣の言葉、 私がメモしました、社会保険庁の不手際等々があったためにこのたびは時効法案にしたんだと。社会保険庁に不手際があったら時効は停止す るんですよ。そのための時効法案なんておかしいじゃないですか。大臣、自分の御答弁をきちんと読み直していただきたい。私は、これは、 時間がこれきりですから、それではお願いします。

柳澤国務大臣 要するに、これは、最初の問題提起のときに私がお答えしたように、会計法という非常に強固な法的な枠 組みがあるわけです。それに対して、一方、信義則、こういう民事法の法理に、非常にこれもとうとい理念としてあるわけです。これが対立す るわけです。

 その場合に、信義則を援用して時効を不適用にするということは、これは非常に難しい、これは個別判断である、どちらかというと司法の判 断を仰がなければならないようなケースが多い、こういう、非常に会計法の枠を突き破るのが難しいんです。一般的には難しい。だから、一般 的にこれを難しいこととしないで、むしろこちらの方が強いように、会計法の壁を破れるような、そういう法律が必要だ、こういうことで今回 の立法が行われたということでございます。

阿部(知)委員 そんな法律だったら、本来とるべき社会保険庁の責任、手落ち、不手際は社会保険庁側にあるんですから その時点で停止するんですよ。大臣、そういう、今までのそれがルールで、今まで以下になるじゃないですか。よくよくお考えになっていただ きたいと思います。

 以上で終わります。


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